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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 6310-1986 

低周波治療器 

Low Frequency Therapy Equipment 

1. 適用範囲 この規格は,皮膚の表面に電極を装着して,低周波電流を人体に通じて治療することを目

的とする医用の低周波治療器(以下,治療器という。)について規定する。ただし,内部電源形の治療器は

除く。 

引用規格: 

JIS T 1001 医用電気機器の安全通則 

JIS T 1002 医用電気機器の安全性試験方法通則 

JIS T 1003 医用電気機器の電気的安全性試験方法 

JIS T 1004 医用電気機器の機械的安全性試験方法 

JIS T 1005 医用電気機器取扱説明書の様式 

2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS T 1001(医用電気機器の安全通則)の用語の

意味によるほか,次による。 

(1) 関電極 治療すべき部位に当てる電極。治療電極ともいう。また,治療すべき部位及びその周辺の皮

膚に接触させながら移動する関電極を移動電極という。 

(2) 不関電極 人体に通電するために必要な電極のうち,関電極に対する他の電極。 

(3) 関導子 関電極とそれに接続するコード及び出力端子に接続するプラグの総称。治療導子ともいう。 

(4) 不関導子 不関電極とそれに接続するコード及び出力端子に接続するプラグの総称。 

(5) 基本周波数 図1に示すように基本波のある波の起始部から,次の波の起始部までの時間をT秒とし

たときのT1ヘルツで表される周波数。 

(6) 通電期間 図1においてtで示す時間。 

(7) 休止期間 図1においてT−tで示す時間。 

(8) 群波形 基本波を変調したときに構成される包絡線の波形。 

(9) 群通電期間 図1においてDで示す時間。 

(10) 群休止期間 図1においてPで示す時間。 

(11) 定電圧治療方式 人体負荷の変動に対して,出力電圧をほぼ一定とする出力方式。 

(12) 定電流治療方式 人体負荷の変動に対して,出力電流をほぼ一定とする出力方式。 

(13) 出力電圧波形 治療器の出力端子間に500Ωの無誘導低抗器を接続したときの電圧波形。 

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C 6310-1986  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 基本波 

3. 使用条件 使用条件は,JIS T 1001の3.による。ただし,定格電源電圧は,交流100Vとする。 

4. 安全 安全に関する事項は,JIS T 1001によるほか,次による。 

(1) 電撃に対する保護の形式及び程度は,それぞれJIS T 1001に規定された次の分類に適合すること。 

(a) 電撃に対する保護の形式による分類 クラスI機器又はクラスII機器 

(b) 電撃に対する保護の程度による分類 BF形機器 

(2) 治療器の出力回路には,過大出力防止のため,少なくとも二つ以上の安全装置を備えること。ただし,

6.2(11)に規定する110号形プラグ及び238形ジャックは,この意味での安全装置とは考えない。 

5. 性能 性能は,次による。 

(1) 発振器は,少なくとも5Hz以下,5〜50Hz,50〜500Hz及び500〜1 000Hzの4種類の周波数帯におい

て,いずれの周波数帯においても一つ以上の周波数を発生できなければならない。 

(2) 出力電圧波形は,8.(8)及び取扱説明書に記載されたとおりの出力電圧波形でなければならない。 

(3) 出力変動率は,7.4(3)によって試験したとき,25%以下でなければならない。 

(4) 定格電源電圧において,基本周波数の確度は±10%以内,通電期間及び休止期間の確度は±15%以内

でなければならない。 

(5) 長時間出力変動率は,7.4(4)によって試験したとき,±2.5%以内でなければならない。 

(6) 出力電流は,出力端子に500Ωの無誘導低抗器を接続して出力調整器を最大出力の位置にしたとき,電

流が50mA(実効値)を超えてはならない。 

(7) 治療器は,連続使用に耐えなければならない。 

6. 構成及び構造 

6.1 

構成 治療器の構成は,発振器,増幅器,出力調整器,計器類,電源装置,タイマ,安全装置及び

関導子・不関導子からなる。 

なお,関導子・不関導子以外のすべてを収納したきょう体を機器の本体という。 

6.2 

構造 治療器の構造は,次による。 

(1) 一般構造は,取扱いが容易で,危険性がなく,機械的に丈夫で,その電気的性能が温度,湿度,振動

に影響されず,移動に便利な構造でなければならない。 

(2) 機器の本体は,電圧の印加されるすべての部品及び配線に外部から容易に触れることができないよう

に覆われた構造とし,接触可能導電性部分は,接地できるものでなければならない。 

(3) 出力調整器は,次の構造でなければならない。 

(a) 出力が零から連続的に増大する構造。 

(b) 電源の投入時及び停電後の再通電に際しては,出力調整器が最小の位置以外にあっては出力が出な

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い構造。 

(4) 出力電圧及び出力電流の指示は,計器類によって指示できなければならない。 

(5) 出力端子は,すべて機器の本体から電気的に絶縁された構造でなければならない。 

(6) 追加保護接地端子は,治療器外面の見やすい場所に設けなければならない。 

(7) 電源スイッチは,電源の両極を同時に開閉できる構造のものでなければならない。 

(8) タイマは,設定時間の終了を知らせる方法を講じなければならない。 

(9) 電源コードは,JIS T 1001の10.3.2による。 

また,機器と電源コードの接続にコネクタを用いる場合は,電源側の生きている部分に外部から容

易に触れられない構造でなければならない。 

(10) 電源の投入を示す表示灯の色は,赤及び黄以外とする。 

(11) 関導子及び不関導子と本体との接続は,付図1の110号形プラグ及び付図2の238形ジャック又はこ

れらのように緊急時,プラグ又はコードを引っ張ることによって出力を遮断できるものでなければな

らない。 

(12) 移動電極は,その移動の過程において,極端に接触面積が変化するものであってはならない。 

(13) 関電極及び不関電極は,金属部分が直接皮膚に接触することがない構造とする。 

なお,真空吸引電極を電極に使用してはならない。 

(14) 電極板は,耐食性及び導電性の優れた材料を用いなければならない。 

(15) コードの色は,次による。 

(a) 関電極のコードは,紺とする。 

(b) 不関電極のコードは,黄とする。 

(c) 電源コードは,(a),(b)と紛らわしくない色を用いる。 

(16) 配線は,可能な限り束ねて固定し,また,導線が緩んだり折損(切断)した場合,導線の露出部分が

他の導体に接触したり,接触可能導電性部分に接触しないように配置しなければならない。 

(17) 機器の出力回路及び電源一次側の配線は,それぞれ別々に束ね,分離しなければならない。 

(18) 部品は,すべて配線とは関係なく固定されていなければならない。ただし,20g未満の部品は,長さ

が30mm以下のリード線で固定してもよい。 

7. 試験 

7.1 

試験条件 試験条件は,JIS T 1002(医用電気機器の安全性試験方法通則)の4.によるほか,次によ

る。 

(1) 試験用電源は,JIS T 1003(医用電気機器の電気的安全性試験方法)の3.3による。 

(2) 性能試験は,電源を投入して5分経過後に測定を開始する。 

7.2 

試験項目 試験項目は,次のとおりとする。 

(1) 安全に関する試験 

(2) 性能試験 

(a) 出力電圧 

(b) 出力電流 

(c) 出力電圧波形及び周波数の確度並びに通電期間,休止期間 

(d) 出力変動率 

(e) 長時間出力変動率 

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備考 (1),(2)(a),(2)(b)は全数試験とする。 

7.3 

安全に関する試験 安全に関する試験は,JIS T 1002,JIS T 1003及びJIS T 1004(医用電気機器の

機械的安全性試験方法)による。 

7.4 

性能試験 性能試験は,次による。 

(1) 出力電圧,出力電圧波形及び周波数の確度並びに通電期間,休止期間は,ブラウン管オシロスコープ

及び必要な場合には周波数カウンタを用い,図2のように出力端子間に無誘導低抗器Rを接続し,そ

の両端の電圧(せん頭値)を観測又は撮影して調べる。 

図2 出力測定回路 

(2) 出力電流は,熱電形電流計を用い,図3において無誘導抵抗器Rを500Ωとしたときの出力電流を調

べる。 

(3) 出力変動率は,熱電形電流計を用い,図3において無誘導抵抗器Rを1kΩ (R1) 及び500Ω (R2) とした

ときの電流をそれぞれI1,I2として,次式によって求める。ただし,試験は,50〜500Hzの周波数帯

で,かつ,最大出力の90%値,又は出力制限器の動作限度の90%値において行う。 

定電圧治療方式では出力変動率 (%) =

100

5.0

1

2

1

×

I

I

I

定電流治療方式では出力変動率 (%) =

100

2

1

2

×

I

I

I

ここに, I1: 1kΩの無誘導抵抗器のときの出力電流 (A)  
 

I2:  500Ωの無誘導抵抗器のときの出力電流 (A)  

(4) 長時間出力変動率は,図3において,無誘導抵抗器Rを500Ωとして,電源を投入して5分後におけ

る出力電流I1と,その後8時間経過後における出力電流I2を測定して,次式によって求める。 

長時間出力変動率 (%) =

100

1

2

1

×

I

I

I

ここに, I1: 5分後の出力電流 (A)  
 

I2: 8時間後の出力電流 (A)  

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図3 出力測定回路 

8. 表示 治療器には,少なくとも次の事項を適当な方法で,見やすい箇所に表示しなければならない。 

(1) 製造業者名及び所在地 

(2) 名称,形名及び製造番号 

(3) 定格電源周波数 (Hz) 及び定格電源電圧 (V)  

(4) 電源入力(A,VA又はW) 

(5) 電撃に対する保護の形式及び程度 

(6) ヒューズの定格[A種・B種の別及び定格電流 (A)] 

(7) 負荷の変動に対する出力形式(定電圧治療方式,定電流治療方式) 

(8) 出力電圧波形 

9. 附属文書 治療器には,次の書類を必ず添付しなければならない。 

(1) 取扱説明書JIS T 1005(医用電気機器取扱説明書の様式)による。 

(2) 医用電気機器の使用上(安全及び危険防止)の注意事項を記載した書類。 

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付図1 110号形プラグ 

備考 端子部及び端子間の形状は内部絶縁物も含み,φ4のコードチップの取付けに支障がなければ任

意でよい。 

番号 

名称 

材料 

備考 

① 

チップ関係 

チップ 

高力黄銅棒又はネーバル黄銅棒 

一体の場合は高力黄銅棒又はネーバル黄
銅棒 

内心 

鋼又は快削黄銅棒 

端子座 

黄銅板 

② 

デッドリング 

高力黄銅棒又はネーバル黄銅棒 

③ 

リング 

快削黄銅棒 

④ 

スリーブ 

快削黄銅棒 

⑤ 

内部絶縁物 

エボナイト又は合成樹脂 

⑥ 

ねじ 

快削黄銅棒 

⑦ 

さや 

硬質塩化ビニル管又はその他の合成樹脂 

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付図2 238形ジャック 

番号 

名称 

材質 

備考 

① 

フレーム 

鋼 

亜鉛めっき 

② 

スリーブ 

黄銅 

③ 

ばね締付ねじ 

鋼 

亜鉛めっきφ3.5mmねじ 

④ 

絶縁管 

エボナイト又は合成樹脂 

⑤絶縁板が段付き構造の場合は不
要 

⑤ 

絶縁板 

エボナイト又は合成樹脂 

⑥ 

ばねブッシング 

エボナイト又は合成樹脂 

⑦ 

スリーブ端子 

黄銅 

⑧ 

チップばね 

洋白又はりん青銅 

⑨ 

リングばね 

洋白又はりん青銅 

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原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(部会長) 

樫 田 良 精 

関東中央病院 

菊 地   真 

防衛医科大学校 

椎 名 要之輔 

東京都立工業技術センター 

島   弘 志 

通商産業省機械情報産業局電子機器課 

代 田 久米雄 

厚生省薬務局審査課 

向 井   保 

通商産業省工業技術院標準部 

本 間 三 郎 

千葉大学医学部 

玉 川 鐵 雄 

高島屋東京支店診療所 

木 暮   敬 

東京大学医学部 

大 島 久 直 

株式会社大島製作所 

安 田 慶 三 

伊藤超短波株式会社 

田 中 俊 樹 

オージー技研株式会社 

寺 倉 誠 二 

朝日電子工業株式会社 

酒 井 邦 雄  ミナト医科学株式会社 

(幹事) 

錢 谷 利 男 

平和電子工業株式会社 

(事務局) 

村 山 博 一 

社団法人日本電子機械工業会 

電子部会 ME機器専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

齋 藤 正 男 

東京大学医学部 

兵 頭   洋 

通商産業省機械情報産業局 

小 宮 宏 宣 

厚生省薬務局 

太 田 健一郎 

工業技術院標準部 

井 出 正 男 

武蔵工業大学 

上 野 晴 樹 

東京電機大学理工学部 

小 川 絜以知 

東京都立工業技術センター 

越 智 秀 夫 

財団法人機械電子検査検定協会関東事業所 

菊 地   眞 

防衛医科大学校 

市 河 鴻 一 

株式会社アイカ 

大 内 清 吾 

日本光電工業株式会社 

太 田 善 久 

日本電気三栄株式会社 

諸 橋   侃 

東京女子医科大学 

楡 木 武 久 

社団法人日本電子工業振興協会 

村 山 博 一 

社団法人日本電子機械工業会 

繁 村   直 

株式会社東芝 

山 根   巖 

日立メディコ株式会社 

柄 川   順 

国立ガンセンター病院 

小 野 哲 章 

三井記念病院MEサービス部 

須 磨 幸 蔵 

東京女子医科大学 

都 築 正 和 

東京大学附属病院中央手術部 

古 幡   博 

東京慈恵会医科大学 

(関係者) 

銭 谷 利 男 

平和電子工業株式会社 

(事務局) 

潮 田 成 一 

工業技術院標準部電気・情報規格課 

福 井 正 弘 

工業技術院標準部電気・情報規格課 

後 藤 博 幸 

工業技術院標準部電気・情報規格課