C 6183-1:2019
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 標準試験条件 ··················································································································· 3
5 試験の概要 ······················································································································ 3
5.1 試験の種類 ··················································································································· 3
5.2 不確かさの算出方法 ······································································································· 3
5.3 確度の算出方法 ············································································································· 4
6 波長の不確かさ及び確度の試験 ··························································································· 4
6.1 波長の不確かさ及び確度の試験の概要················································································ 4
6.2 標準試験条件における波長の不確かさ及び確度の試験 ··························································· 5
6.3 動作条件における波長の不確かさ及び確度の試験 ································································· 6
6.4 波長不確かさの合成 ······································································································· 8
6.5 確度 ···························································································································· 8
7 パワーレベルの不確かさ及び確度の試験 ··············································································· 8
7.1 パワーレベルの不確かさ及び確度の試験の概要 ···································································· 8
7.2 標準試験条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験 ··············································· 8
7.3 動作条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験 ···················································· 10
7.4 パワーレベル不確かさの合成 ·························································································· 14
7.5 確度 ··························································································································· 14
8 分解能試験 ····················································································································· 14
8.1 分解能試験の概要 ········································································································· 14
8.2 試験 ··························································································································· 14
9 その他の性能試験 ············································································································ 15
9.1 試験系 ························································································································ 15
9.2 近傍ダイナミックレンジ ································································································ 15
9.3 高次光抑圧比 ··············································································································· 16
9.4 迷光抑圧比 ·················································································································· 16
10 過負荷試験 ··················································································································· 16
11 強度試験 ······················································································································ 16
11.1 強度試験の概要 ··········································································································· 16
11.2 振動試験 ···················································································································· 17
11.3 落下試験 ···················································································································· 17
附属書A(規定)不確かさの規定 ··························································································· 18
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人光産業技術振興協会(OITDA)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。これによって,
JIS C 6183:1992は廃止され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 6183の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 6183-1 第1部:試験方法
JIS C 6183-2 第2部:校正方法
日本工業規格 JIS
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光スペクトラムアナライザ−第1部:試験方法
Optical spectrum analyzers-Part 1: Test methods
序文
この規格は,光スペクトラムアナライザに対する試験方法を規定することによって,安定した統一の試
験を行うことを目的としている。
1
適用範囲
この規格は,光スペクトルのパワー分布を測定する光ファイバコネクタ用入力端子を備えた分散分光方
式の光スペクトラムアナライザ(以下,光スペクトラムアナライザという。)の試験方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 6122-3-1 光増幅器−測定方法−第3-1部:雑音指数パラメータ−光スペクトラムアナライザ法
JIS C 6830 光ファイバコード
JIS C 6831 光ファイバ心線
JIS C 6835 石英系シングルモード光ファイバ素線
JIS C 60068-2-6 環境試験方法−電気・電子−第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc)
JIS C 60068-2-31 環境試験方法−電気・電子−第2-31部:落下試験及び転倒試験方法(試験記号:
Ec)
JIS Z 8103 計測用語
JIS Z 8120 光学用語
ISO/IEC Guide 98-3:2008,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in
measurement (GUM: 1995)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8103及びJIS Z 8120によるほか,次による。
3.1
光スペクトラムアナライザ(optical spectrum analyzer)
光ファイバコネクタ用の入力端子をもち,入力端子に入射した光の時間平均されたスペクトルの波長(周
波数)に対するパワー分布を測定し,画面に表示する機能をもつ光測定器。
2
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3.2
測定波長範囲(wavelength range of measurement)
仕様に記載されている性能規格を満たす入射光の波長範囲。
3.3
波長掃引幅(displayed wavelength range)
表示画面のフルスケールに表示される波長の範囲。
3.4
スペクトル分解能(spectral resolution)
光を単色光成分に分解する分解能。輝線スペクトルを被試験器を用いて測定したとき,表示されるスペ
クトルの半値全幅(ピーク値より3 dB下がった点の波長間隔)をスペクトル分解能とする。
3.5
パワーレベル(power level)
光スペクトラムアナライザのスペクトル分解能当たりの光パワー。光スペクトラムアナライザの場合,
設定スペクトル分解能当たりの光パワーが測定され表示される。
3.6
近傍ダイナミックレンジ(close-in dynamic range)
光スペクトラムアナライザで波長の近接した二つの光スペクトルのパワー比を測定するとき,検出可能
な最大パワー比。
3.7
高次光抑圧比(high order diffraction light suppression ratio)
光スペクトラムアナライザに単色光を入射し,その信号光及び高次光のスペクトルのパワー分布を測定
したとき,信号光のスペクトルと高次光のスペクトルとによる最大値のレベル比。
ただし,高次光とは,回折格子を用いた光スペクトラムアナライザによって波長λの光を測定したとき,
mλ(ただし,mは整数)の波長に観測される光出力のうち,信号光(通常は,m=1の1次光)以外の光
出力(通常は,m≧2の成分)のことである。
3.8
迷光抑圧比(stray light suppression ratio)
光スペクトラムアナライザに単色光を入射し,その測定波長範囲全域でのスペクトルのパワー分布を測
定したとき,信号光のスペクトルと迷光のスペクトルとによる最大値のレベル比。
ただし,迷光とは,光スペクトラムアナライザに信号光を入射したときに発生する,信号光及びその高
次光成分以外の漏えい(洩)光成分のことである。
3.9
不確かさ(uncertainty)
ある測定値に対して,その測定対象とした値が存在する範囲の広さを確率的に推定したもの。詳細は,
ISO/IEC Guide 98-3:2008の“計測における不確かさの表現のガイド”を参照。
3.10
標準不確かさ(standard uncertainty)
不確かさを,測定対象となった値の確率分布の標準偏差の値によって表記したもの。
3.11
拡張不確かさ(expanded uncertainty)
3
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測定結果の値の分布の大部分を含むと期待される区間を規定する量。測定器の誤差の限界を示す指標と
して用いる。
3.12
確度(limit of error)
試験の結果によって推定した測定器の動作誤差の限界値。測定器のかたよりに,測定結果のばらつきに
伴う不確かさの影響を加算することによって算出する。
注記1 “確度”は,測定量とその“真の値”との一致度を示す指標の意味で用いる場合があるが,
“不確かさ”の規定の下では,“真の値”が未知のため,この意味での“確度”は定義できな
い。そこで,この規格では,ここで定義した意味に限定して“確度”を規定する。
注記2 “確度”及び“拡張不確かさ”は,いずれも誤差の限界を示す指標であるが,“確度”は測定
器のかたよりを明示的に含む点において,“拡張不確かさ”とは異なる概念である。
4
標準試験条件
光スペクトラムアナライザ(以下,被試験器という。)を試験するとき標準となる条件は,規定がない限
り次のとおりとする。標準試験条件で試験することが困難な場合は,実施した条件及びその影響について
試験結果に記録しなければならない。
a) 温度 (23±2) ℃
b) 相対湿度 (50±20) %
c) 光ファイバ 光ファイバ長は2 m以上とし,JIS C 6830,JIS C 6831及びJIS C 6835で規定されたシ
ングルモード光ファイバを用いる。
5
試験の概要
5.1
試験の種類
光スペクトラムアナライザの性能は,波長及びパワーレベルに対する不確かさ及び確度の試験,並びに
スペクトル分解能,近傍ダイナミックレンジ,高次(低次)光応答,ゴースト及び迷光レベル,過負荷の
各試験を行って評価する。ただし,これらの各試験は評価項目の次元が異なるので,各試験での不確かさ
は各項目ごとの評価値とし,それらを足し合わせて総合不確かさとはしない。
なお,上記試験とは別に,被試験器の機械的強度を確認するため,強度試験を行う。
5.2
不確かさの算出方法
波長及びパワーレベルについて,被試験器のかたより及び不確かさを評価する。評価方法は,まず,標
準試験条件における不確かさ及び確度の試験で指示値のかたより及び測定のばらつきに伴う標準不確かさ
を算出し,次に各動作条件に対する不確かさ及び確度の試験で,それぞれの動作条件に対する被試験器の
不確かさの寄与を算出する(附属書Aを参照)。かたより及び不確かさは測定値と同一の次元(単位),又
は測定値に対する百分率(%)で表記する。
なお,不確かさは,被試験器の指示値についてかたよりを補正した結果に対してだけ有効となる点に注
意する。
評価対象に対する被試験器の不確かさは,式(1)によって算出する。
∑
=
+
=
p
i
i
u
u
u
1
2
t
2
to
t
········································································ (1)
4
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ここに,
ut: 被試験器の合成標準不確かさ
uto: 標準試験条件における不確かさ
uti: 各動作条件に対する不確かさの寄与
i: 各動作条件に対する添字
p: 動作条件の数
また,式(1)で算出した不確かさの値を式(2)に代入して,拡張不確かさを算出する。被試験器の精度(誤
差の限界)を表示する場合は,拡張不確かさの値を用いる。
tu
k
U =
················································································· (2)
ここに,
U: 拡張不確かさ
k: 包含係数
約95 %の信頼の水準に対してはk=2となる。約99 %の信頼の水準を選択する場合,k=3となる。この
kの値は,ISO/IEC Guide 98-3:2008の記載に沿って,その有効性を確認することが望ましい。有効でない
場合,より大きい包含係数を,これらの信頼の水準を達成するために用いることが望ましい。
5.3
確度の算出方法
被試験器の確度の評価方法は,まず標準試験条件における不確かさ及び確度の試験で指示値のかたより
及び不確かさを求め,次に各動作条件に対する不確かさ及び確度の試験で被試験器の不確かさの寄与を求
める。次に,これらのかたより及び不確かさの値を式(3)に代入することによって動作誤差の限界を算出し,
被試験器の確度とする(A.6を参照)。
∑
=
+
±
=
±
=
p
i
i
u
u
k
D
u
k
D
ε
ε
1
2
t
2
to
to
t
to
tl
tu
············································· (3)
ここに,
εtu: 動作誤差の上限
εtl: 動作誤差の下限
Dto: 被試験器のかたより
k: 包含係数
ut: 被試験器の合成標準不確かさ
uto: 標準試験条件における不確かさ
uti: 各動作条件に対する不確かさの寄与
i: 各動作条件に対する添字
p: 動作条件の数
包含係数kの値は,求めるべき確度の信頼の水準に応じて適切に選択するとともに,その値を明記する。
なお,かたより補正ができる場合は,式(3)の第1項を除いてよい。
注記1 式(3)で算出した誤差の限界値の区間は,式(2)で算出した拡張不確かさと同じになる。
注記2 かたよりDtoは,各被試験器ごとに固有の値をもつ。Dtoを被試験器ごとのばらつきとみなし,
同一光スペクトラムアナライザ製品群の仕様値として確度を評価する場合は,式(A.14)又は
式(A.15)によって誤差の限界値を算出してもよい。ただし,対象となる光スペクトラムアナ
ライザ製品の台数が少なく,製品ごとのDtoの分布を精度よく求められない場合は,評価結
果が不正確となる可能性があるため,十分な注意が必要である。
6
波長の不確かさ及び確度の試験
6.1
波長の不確かさ及び確度の試験の概要
波長の不確かさを決める要因は,標準試験条件下での被試験器固有のかたより及び測定の不確かさ,並
5
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びに動作条件(波長依存特性及び温度依存特性)に依存した不確かさである。前者を標準試験条件におけ
る波長の不確かさ及び確度の試験で求め,後者を動作条件における波長の不確かさ及び確度の試験で求め
る。波長の不確かさは,各試験の結果を式(1)及び式(2)に代入して算出する。また,試験結果を式(3)に代入
することによって,被試験器に対する確度(動作誤差の限界)を求めることができる。
なお,6.2及び6.3で規定する波長の不確かさは,特に記載がない限り,1回の測定によって得た測定値
に対するものである。
6.2
標準試験条件における波長の不確かさ及び確度の試験
図1に,標準試験条件における波長の不確かさ及び確度の試験の試験系を示す。試験は,標準試験条件
で行う。
光源
被試験器
光ファイバ
図1−標準試験条件における波長の不確かさ及び確度の試験の試験系
標準試験条件における波長の不確かさ及び確度の試験の装置及び試験手順は,次による。
a) 装置
1) 光源 被試験器にその校正用光源の設定がある場合には,その光源を用いる。設定がない場合は,
スペクトル半値幅が,被試験器の設定スペクトル分解能より十分狭く,かつ,被試験器の波長不確
かさに対して十分高い波長安定度をもつ光源を用いる。光源は,表1に示すレーザ又は波長安定化
単一縦モード半導体レーザであることが望ましい。
表1−推奨光源
光源
真空中波長
nm
Arレーザ
488.122
514.673
He−Neレーザ
632.991
1 152.590
1 523.488
b) 試験
1) 図1の試験系で,被試験器のスペクトル分解能Rを可能な限り小さい値に設定し,光源のスペクト
ル分布が表示できるように被試験器の波長掃引範囲を設定した後,測定データの波長読取間隔λsmp
が式(4)を満足するように波長掃引幅S及び測定データの表示ポイント数Nを調整する。このとき,
λsmpはSをNで除した値となる。
10
≦
smp
R
λ
················································································ (4)
2) 被試験器によって波長λ0の光源のスペクトル分布を求め,そのピーク波長を測定する。この測定を
10回以上繰り返して行い,i番目のピーク波長の測定値をλ1i(nm)として,式(5)によって平均
1λ(nm)
を算出する。
6
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∑
=
=
m
i
i
λ
m
λ
1
1
1
1
············································································· (5)
ここに,
m: 繰返し測定の回数
3) 式(6)及び式(7)によって,百分率のかたよりDλt(%)及びばらつきに伴う百分率不確かさuλtd(%)
を算出する。
100
0
0
1
λt
×
−
=
λ
λ
λ
D
······································································· (6)
0
1
2
1
1
td
λ
100
)
(
1
1
λ
λ
λ
m
u
m
i
i
×
−
−
=
∑
=
····················································· (7)
4) 波長について被試験器の標準試験条件での標準不確かさuλto(%)は,式(8)で算出する。
2
sx
2
λtd
λto
u
u
u
+
=
········································································ (8)
ここに,
usx: 光源の波長の百分率不確かさ(%)
なお,光源の波長の不確かさusxが,ばらつきに伴う不確かさuλtdの1/10未満の場合は,usxは無
視しても構わない。
注記 複数回(例えば,m回)の測定結果の平均を測定値とする場合には,式(8)のばらつきに伴う
不確かさuλtdの値を,uλtd /mに置き換えて算出したuλtoの値を,標準試験条件での標準不確
かさとする。
6.3
動作条件における波長の不確かさ及び確度の試験
6.3.1
動作条件における波長の不確かさ及び確度の要因
動作条件において波長不確かさ(確度)に寄与する要因として,次の2項目による不確かさを評価する。
a) 波長依存特性
b) 温度依存特性
注記 複数回の測定結果の平均を測定値とする場合も,ここで評価した不確かさを,そのまま動作条
件における不確かさとして用いてもよい。
6.3.2
波長依存特性
図2に,波長依存特性の試験系を示す。試験は,標準試験条件で行う。
光源
被試験器
光ファイバ
波長計
図2−波長依存特性の試験系
波長依存特性の試験における装置及び試験手順は,次による。
a) 装置
7
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1) 光源 スペクトル半値幅が,被試験器の設定スペクトル分解能より十分狭く,かつ,その波長安定
度が,被試験器の波長不確かさに対して十分よい光源を用いる。光源は,表1に示すレーザ又は波
長安定化単一縦モード半導体レーザであることが望ましい。
2) 波長計 光源の波長を測定するもので,波長試験の精度に対して十分な性能をもつものを用いる。
b) 試験手順
1) 被試験器に対して製造業者が設定した波長範囲内で上限及び下限の近傍の波長を含み,なるべく等
間隔となるように配置した5点以上の波長を発生可能な光源(波長可変光源又は複数の光源のセッ
ト)を用意し,そのj番目の波長をλ0j(nm)とする。
2) 波長λ0jが不明の光源の場合,波長計を用いて各光源の波長を測定する。波長λ0jが十分な精度で既
知の光源を用いる場合は,その値をそのまま光源の波長として用いる。
3) j番目の光源を被試験器に接続し,被試験器によって測定したピーク波長をλ1j,i(nm)とする。この
測定を10回以上繰り返して行い,式(9)によって百分率のかたよりDλt,λj(%)を算出する。
(
)
j
m
i
j
i
j
j
λ
λ
m
D
0
1
0
,
1
λ
λ
λt,
λ
100
1
λ
×
−
=
∑
=
······················································ (9)
ここに,
mλ: 繰返し測定の回数
4) 3) の測定を,用意した全ての波長に対して実施する。各波長におけるかたよりDλt,λj( j=1, 2,…)
の値から,式(10)によって,波長依存性に伴う不確かさuλt,λ(%)を算出する。
|)
(|
max
3
1
λ
λt,
λ
λt,
j
j
D
u
=
······························································ (10)
なお,繰返し測定の回数mλは,mλ≦100の範囲で,測定のばらつきに伴うDλt,λjの不確かさuλtd /
λ
m
が,不確かさの寄与uλt,λに比べて十分小さくなるように設定する。
6.3.3
温度依存特性
図3に,波長不確かさの温度依存特性の試験系を示す。試験は,温度を除き標準試験条件で行う。
光源
被試験器
光ファイバ
恒温槽
図3−温度依存特性の試験系
温度依存特性の試験における装置及び試験手順は,次による。
a) 装置
1) 光源 6.2 a) による。
b) 試験手順
1) 被試験器に対して製造業者が設定した使用温度範囲の上限及び下限を含み,等間隔に配置した5点
以上の試験温度を設定し,そのj番目の温度をTjとする。
2) 被試験器の温度がj番目の試験温度となるように恒温槽の温度を設定し,波長λ0の光源のスペクト
ル分布を被試験器によって測定したときのピーク波長をλTj,iとする。この測定を10回以上繰り返し
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て行い,式(11)によって百分率のかたよりDλt,Tj(%)を算出する。
(
)
0
1
0
,
T
T
T
λt,
100
1
T
λ
λ
λ
m
D
m
i
i
j
j
×
−
=
∑
=
·······················································(11)
ここに,
mT: 繰返し測定の回数
3) 2) の測定を,設定した全ての温度に対して実施する。各温度におけるかたよりDλt,Tj( j=1, 2,…)
の値から,式(12)によって,波長依存性に伴う不確かさuλt,T(%)を算出する。
|)
(|
max
3
1
T
λt,
T
λt,
j
j
D
u
=
······························································ (12)
なお,繰返し測定の回数mTは,mT≦100の範囲で,測定のばらつきに伴うDλt,Tjの不確かさ
uλtd /
T
mが,不確かさの寄与uλt,Tに比べて十分小さくなるように設定する。
6.4
波長不確かさの合成
6.2及び6.3で算出した波長不確かさの測定結果を式(1)に代入し,合成波長不確かさuλt(%)の算出式と
して,式(13)を得る。
2
T
λt,
2
λ
λt,
2
λto
λt
u
u
u
u
+
+
=
······························································ (13)
6.5
確度
波長のかたより及び不確かさの算出結果を式(3)に代入すれば,波長の確度を規定する誤差の上限ελtu(%),
下限ελtl(%)の算出式として,式(14)を得る。
2
T
λt,
2
λ
λt,
2
λto
λt
λt
λt
λtl
λtu
u
u
u
k
D
u
k
D
ε
ε
+
+
±
=
±
=
···································· (14)
包含係数kの値は,求めるべき確度の信頼水準に応じて適切に選択するとともに,その値を明記する。
7
パワーレベルの不確かさ及び確度の試験
7.1
パワーレベルの不確かさ及び確度の試験の概要
パワーレベルの不確かさを決める要因は,標準試験条件下での被試験器固有のかたより及び測定の不確
かさ,並びに動作条件(波長依存特性,偏光依存特性,直線性及び温度依存特性)に依存した不確かさで
ある。前者を標準試験条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験で求め,後者を動作条件にお
けるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験で求める。パワーレベルの不確かさは,各試験の結果を式(1)
及び式(2)に代入して算出する。また,試験結果を式(3)に代入することによって,被試験器に対する確度(動
作誤差の限界)を求めることができる。
なお,7.2及び7.3で規定するパワーレベルの不確かさは,特に記載がない限り,1回の測定によって得
た測定値に対するものである。
7.2
標準試験条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験
図4に,標準試験条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験の試験系を示す。試験は,標準
試験条件で行う。
9
C 6183-1:2019
光源
被試験器
光ファイバ
基準の
光パワー
メータ
図4−標準試験条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験の試験系
標準試験条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験の装置及び試験手順は,次による。
a) 装置
1) 光源 出力0.1 mW(−10 dBm)から1 mW(0 dBm)までの安定な光ファイバ出射光を得ることが
でき,スペクトル半値幅が被試験器の設定スペクトル分解能より十分狭い光源を用いる。光源は,
表1に示すレーザ又はサイドモード抑圧比40 dB以上の波長安定化単一縦モード半導体レーザであ
ることが望ましい。
2) 光パワーメータ 標準試験条件で次のいずれかによって校正されたものを用いる。
− 校正業務を行う公的機関で校正されたもの。
− 上記の公的機関が定めた規格に従って,規定の不確かさで校正されたもの。
b) 試験手順
1) 被試験器のスペクトル分解能を,測定に用いる光源のスペクトル半値幅より十分大きく設定する。
光源からの光を光ファイバに導入し,光ファイバ出射光パワーを光パワーメータで測定する。出射
光パワーが測定に最適となるように光源の光パワーを調整し,調整後の光ファイバ出射光パワーを
リニアスケールで読み取り,その値をP0(mW又はμW)とする。
2) 次に上記光ファイバ出射光を被試験器に接続してスペクトル分布を測定し,ピークにおけるパワー
レベルをリニアスケール(mW又はμW単位)で読み取る。この測定を10回以上繰り返して行い,
i番目の測定値をP1i(mW又はμW)として,式(15)によって平均値
1P(mW又はμW)を算出する。
∑
=
=
m
i
i
P
m
P
1
1
1
1
········································································· (15)
ここに,
m: 繰返し測定の回数
3) パワーレベルについて被試験器の標準試験条件でのかたよりDPt(%)及び標準不確かさuPtd(%)
を,それぞれ式(16)及び式(17)によって算出する。
100
0
0
1
Pt
×
−
=
P
P
P
D
···································································· (16)
0
1
2
1
1
Ptd
100
)
(
1
1
P
P
P
m
u
m
i
i
×
−
−
=
∑
=
··················································· (17)
4) パワーレベルについて被試験器の標準試験条件での標準不確かさuPto(%)は,式(18)によって算出
する。
2
PM
2
Ptd
Pto
u
u
u
+
=
····································································· (18)
ここに,
uPM: 光パワーメータ測定値の百分率不確かさ(%)
10
C 6183-1:2019
注記1 光パワーメータ測定値の不確かさがdB単位による表記となっている場合には,この値に23.0
(=10 loge10)を乗じることによって,%単位の不確かさに換算することができる。
注記2 複数回(例えば,m回)の測定結果の平均を測定値とする場合には,式(18)のばらつきに伴
う不確かさuPtdの値を,uPtd /mに置き換えて算出したuPtoの値を,標準試験条件での標準不
確かさとする。
7.3
動作条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験
7.3.1
動作条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の要因
動作条件においてパワーレベルの不確かさ及び確度に寄与する要因として,次の各項目による不確かさ
を考える。
a) 波長依存特性
b) 偏光依存特性
c) 直線性
d) 温度依存特性
注記 複数回の測定結果の平均を測定値とする場合も,ここで評価した不確かさを,そのまま動作条
件における不確かさとして用いてもよい。
7.3.2
波長依存特性
図5に波長依存特性の試験系を示す。試験は,標準試験条件で行う。
光源
被試験器
光パワーメータ
波長計
光ファイバ
図5−波長依存特性の試験系
波長依存特性の試験における装置及び試験手順は,次による。
a) 装置
1) 光源 スペクトル半値幅が,被試験器の設定スペクトル分解能より十分狭く,試験対象となる波長
範囲において出力光パワーが安定で,かつ,波長依存性の小さい波長可変光源を用いる。
2) 波長計 光源からの出力光の波長を測定する。出力光波長が校正された光源を用いる場合は,波長
計を用いず,校正された波長の値を用いる。
3) 光パワーメータ 波長依存性がないか,又は波長依存性の校正された光パワーメータを用いる。
b) 試験手順
1) 被試験器に対して製造業者が設定した波長範囲の上限及び下限の波長を含み,なるべく等間隔とな
るように配置した5点以上の波長を設定し,そのj番目の波長をλjとする。
2) 環境温度を十分安定させた後,波長が校正された光源の場合は,光源の波長設定機能を用いて波長
11
C 6183-1:2019
をλjに設定する。波長が校正されていない光源の場合は,波長計を用いて光源の波長をλjに設定す
る。
3) 光源を光パワーメータに接続し,出力光パワーを測定する。このときの光パワーメータの指示値を
P0jとする。
4) 光源を被試験器に接続する。この場合の被試験器のスペクトル分解能は,入射光のスペクトル半値
幅よりも広く設定する。被試験器によってスペクトル分布を測定し,そのピークパワーをP1j,i(mW
又はμW)とする。この測定を10回以上繰り返して行い,式(19)によって百分率のかたよりDPt,λj
を算出する。
(
)
j
m
i
j
i
j
j
P
P
P
m
D
0
1
0
,
1
λ
λ
Pt,
100
1
λ
×
−
=∑
=
····················································· (19)
ここに,
mλ: 繰返し測定の回数
5) 2)〜4) の測定を,用意した全ての波長に対して実施する。各波長におけるかたよりDPt,λj(%)
( j=1, 2,…)の値から,式(20)によって,波長依存性に伴う不確かさuPt,λ(%)を算出する。
|)
(|
max
3
1
λ
Pt,
λ
Pt,
j
j
D
u
=
······························································ (20)
なお,繰返し測定の回数mλは,mλ≦100の範囲で,測定のばらつきに伴うDPt,λjの不確かさuPtd /
λ
m
が,不確かさの寄与uPt,λに比べて十分小さくなるように設定する。
7.3.3
偏光依存特性
図6に偏光依存特性の試験系を示す。試験は,標準試験条件で行う。
光源
光ファイバ1
被試験器
光ファイバ2
偏光コントローラ
レ
ン
ズ
偏
光
子
1−2
波
長
板
レ
ン
ズ
図6−偏光依存特性の試験系
偏光依存特性の試験における装置及び試験手順は,次による。
a) 装置
1) 光源 出力0.1 mW(−10 dBm)から1 mW(0 dBm)までの安定な光ファイバ出射光を得ることが
でき,スペクトル半値幅が被試験器の設定スペクトル分解能より十分狭い光源を用いる。光源は,
表1に示すレーザ又はサイドモード抑圧比40 dB以上の波長安定化単一縦モード半導体レーザであ
ることが望ましい。
2) 偏光コントローラ 偏光子,及び1/2波長板を備え,入力光の偏波面を180°以上回転制御可能な
光ファイバ出力を得ることができるものを用いる。
3) 光ファイバ この場合の光ファイバ長は1 m〜2 mとし,JIS C 6830,JIS C 6831及びJIS C 6835で
規定されたシングルモード光ファイバを用いる。
12
C 6183-1:2019
なお,光ファイバは,試験中に動かないように固定する。
b) 試験手順
1) 被試験器に対して製造業者が設定した波長範囲内で上限及び下限の近傍の波長を含み,なるべく等
間隔となるように配置した波長を発生可能な光源のセットを用意し,そのj番目の波長をλjとする。
λjが不明の場合は,波長計によって測定する。
2) 被試験器のスペクトル分解能を,測定に用いる光源のスペクトル半値幅より十分大きく設定し,j
番目の光源の出力を,光ファイバ1によって偏光コントローラに入射し,その出力を光ファイバ2
によって被試験器に入射する。
3) 光ファイバ2の出射光を,偏光コントローラの偏光子で消光比20 dB以上の直線偏光にする。1/2
波長板を回転させ,試験光の偏波面を0°〜180°まで回転させる。そのときの被試験器で測定値(ス
ペクトル分布のピークパワーレベル)の最大値R1(λj),最小値R2(λj)(mW又はμW)を求める。
4) 波長λjの試験光のパワーレベル変動に伴うかたよりDPt,R(λj)(%)を,式(21)によって算出する。
100
)
(
)
(
)
(
)
(
)
(
2
1
2
1
R
Pt,
×
+
−
=
j
j
j
j
j
λ
R
λ
R
λ
R
λ
R
λ
D
·················································· (21)
5) 2)〜4) の測定を全ての波長λjに対して実行し,偏光依存性に伴う不確かさuPt,R(%)を,式(22)に
よって算出する。
}
{
)
(
max
3
1
R
Pt,
R
Pt,
j
j
λ
D
u
=
·························································· (22)
7.3.4
直線性
図7に直線性の試験系を示す。試験は,標準試験条件で行う。
被試験器
基準の
光パワー
メータ
光源
光ファイバ
可変減衰器
光ファイバ
図7−直線性の試験系
直線性の試験における装置及び試験手順は,次による。
a) 装置
1) 光源 7.2 a) 1) による。
2) 可変減衰器 光パワーの試験範囲を可変できる可変減衰器を用いる。
3) 光パワーメータ 測定光パワーレンジで確度の保証された光パワーメータを用いる。
b) 試験手順
1) 光減衰器出力を光パワーメータに接続し,出力光パワーレベルが標準試験条件における試験の際の
出射光パワーレベルP0とほぼ同じ値になるよう,光減衰器の減衰量を調整する。
2) 光パワーメータによって出力光パワーレベルを測定し,その測定値をPREF(mW又はμW)とする。
次に光減衰器出力を被試験器に接続して,出力光パワーレベル(スペクトル分布のピークパワー)
POSA(mW又はμW)を測定し,式(23)によって両者の比R0を算出する。
13
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REF
OSA
0
P
P
R=
·············································································· (23)
3) 被試験器に対して製造業者が設定した入力光パワーレベルの範囲内で,その上限及び下限の近傍の
値を含むように配置したmL個のパワーレベルを設定する。ただし,mLは5以上とする。
4) 光減衰器出力が,設定したj番目のパワーレベルの近傍の値になるように光減衰器の減衰量を調整
する。その後,光パワーメータによる出力光パワーレベル測定値PREF,j(mW又はμW)及び被試験
器による測定値POSA,j(mW又はμW)を求め,式(24)によって両者の比R0,jを算出する。さらに,
式(25)によって百分率のかたよりD0,j(%)を算出する。
j
j
j
P
P
R
REF,
OSA,
0,=
··········································································· (24)
100
0
0
0,
0,
×
−
=
R
R
R
D
j
j
································································· (25)
5) 4) の測定を,設定した全てのパワーレベルに対して実行し,各減衰量におけるかたよりD0,j( j=1,
2,…)の値から,式(26)によって,波長依存性に伴う不確かさuPt,P(%)を算出する。
|)
(|
max
3
1
0,
P
Pt,
j
j
D
u
=
······························································· (26)
7.3.5
温度依存特性
図8に温度依存特性の試験系を示す。試験は,温度を除き標準試験条件で行う。
光源
被試験器
光ファイバ
恒温槽
図8−温度依存特性の試験系
温度依存特性の試験における装置及び試験手順は,次による。
a) 装置
1) 光源 7.2 a) 1) による。
b) 試験手順
1) 被試験器に対して製造業者が設定した使用温度範囲の上限及び下限を含み,等間隔に配置した5点
以上の試験温度を設定し,そのj番目の温度をTjとする。
2) 被試験器のスペクトル分解能を,測定に用いる光源のスペクトル半値幅より十分大きく設定する。
被試験器の温度を標準試験条件内の設定温度に安定させ,被試験器によって光源のパワーレベル(ス
ペクトル分布のピークパワー)を測定する。この測定を10回以上繰り返してパワーレベルの平均値
を求め,その値をP0T(mW又はμW)とする。
3) 被試験器の温度がj番目の試験温度で安定するように恒温槽の温度を設定し,被試験器によって測
定したピークパワーをP1Tj,i(mW又はμW)とする。この測定を10回以上繰り返して行い,式(27)
によって百分率のかたよりDPt,Tj(%)を算出する。
14
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(
)
0T
1
0T
,
T
1
T
T
Pt,
100
1
T
P
P
P
m
D
m
i
i
j
j
×
−
=∑
=
···················································· (27)
ここに,
mT: 繰返し測定の回数
4) 3) の測定を,設定した全ての温度に対して実施する。各温度におけるかたよりDPt,Tj( j=1, 2,…)
の値から,式(28)によって,波長依存性に伴う不確かさuPt,T(%)を算出する。
|)
(|
max
3
1
T
Pt,
T
Pt,
j
j
D
u
=
······························································ (28)
なお,繰返し測定の回数mTは,mT≦100の範囲で,測定のばらつきに伴うDPt,Tjの不確かさ
uPtd /
T
mが,不確かさの寄与uPt,Tに比べて十分小さくなるように設定する。
7.4
パワーレベル不確かさの合成
標準試験条件におけるパワーレベルの不確かさ及び各動作条件におけるパワーレベルの不確かさの測定
結果を式(1)に代入すれば,合成パワーレベル不確かさuPt(%)の算出式として,式(29)を得る。
2
T
Pt,
2
P
Pt,
2
R
Pt,
2
λ
Pt,
2
Pto
Pt
u
u
u
u
u
u
+
+
+
+
=
·············································· (29)
7.5
確度
パワーレベルのかたより及び不確かさの算出結果を式(3)に代入すれば,パワーレベルの確度を規定する
誤差の上限εPtu(%),下限εPtl(%)の算出式として,式(30)を得る。
2
T
Pt,
2
P
Pt,
2
R
Pt,
2
λ
Pt,
2
Pto
λt
Pt
Pt
Ptl
Ptu
u
u
u
u
u
k
D
u
k
D
ε
ε
+
+
+
+
±
=
±
=
··················· (30)
包含係数kの値は,求めるべき確度の信頼水準に応じて適切に選択するとともに,その値を明記する。
8
分解能試験
8.1
分解能試験の概要
被試験器のスペクトル分解能は,単一波長光源に対するスペクトル分布測定結果の3 dB帯域幅(波長幅)
で規定する。ただし,分解能試験では,設定スペクトル分解能に対する実測値のかたよりだけを評価し,
不確かさは評価しない。
光増幅器の雑音指数測定に被試験器を適用する場合,3 dB帯域幅に代えて,連続波長光源の光パワーを
正確に評価できるようにスペクトル分解能を規定する必要がある。このため,光増幅器の雑音指数測定に
適用するスペクトル分解能は,JIS C 6122-3-1の6.1.1(光帯域幅の校正)に記載の方法に従って評価する
ことが望ましい。
8.2
試験
図9に分解能試験の試験系を示す。試験は,標準試験条件で行う。
光源
被試験器
光ファイバ
図9−分解能試験の試験系
分解能試験における装置及び試験手順は,次による。
15
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a) 装置
1) 光源 被試験器にその校正用光源の設定がある場合には,その光源を用いる。設定がない場合は,
スペクトル半値幅が被試験器の設定スペクトル分解能より十分狭く,かつ,その波長安定度が,被
試験器の波長不確かさに対して十分よい光源を用いる。光源は,表1に示すレーザ又は波長安定化
単一縦モード半導体レーザであることが望ましい。
b) 試験手順
1) 光源波長をλ0とし,不明の場合は波長計によってあらかじめ測定しておく。被試験器のスペクトル
分解能を,試験すべき設定値R0に設定し,測定したスペクトル分布の波形の詳細が明瞭に観測でき
るように,波長掃引範囲を十分狭く設定する。
2) 被試験器によって光源のスペクトル分布を測定し,そのピークパワーレベルから3 dB低いパワーレ
ベルにおけるスペクトル波長幅を測定する。この測定を10回以上繰り返して行い,i番目の波長幅
の測定値をR1i(nm)として,式(31)によって平均R1(nm)を算出し,波長λ0,設定スペクトル分
解能R0(nm)における被試験器のスペクトル分解能の実測値とする。また,式(32)によって,設定
値R0に対する実測値R1の百分率のかたよりDRt(%)を算出する。
∑
=
=
m
i
i
R
m
R
1
1
1
1
·········································································· (31)
100
0
0
1
Rt
×
−
=
R
R
R
D
··································································· (32)
ここに,
m: 繰返し測定の回数
3) 必要であれば,光源又は被測定器の設定スペクトル分解能を変更して2) の測定を実行し,当該波
長及び設定スペクトル分解能における被試験器のスペクトル分解能のかたよりを求める。
9
その他の性能試験
9.1
試験系
図9に示した試験系を用いる。試験は,標準試験条件で行う。
9.2
近傍ダイナミックレンジ
光源は,スペクトル半値幅が被試験器のスペクトル分解能より十分狭く,かつ,測定誤差に影響する他
のスペクトル成分の抑圧比が,被試験器に対して製造業者が設定した近傍ダイナミックレンジより十分大
きい光源を用いる。試験用の光源は,表1に示すレーザであることが望ましい。半導体レーザを用いる場
合は,サイドモードの影響に対して十分な注意を払わなければならない。
試験光のパワーレベルは,測定に最適なレベルとなるようにする。
図9で,被試験器のスペクトル分解能を適切な値に設定する。このときのピークパワーP1及びピーク波
長からDλ離れた波長でのパワーP2を読み取る。
近傍ダイナミックレンジSDR(dB)は,式(33)によって算出する。
1
2
10
DR
log
10
−
P
P
S
=
··································································· (33)
Dλの値は,被試験器に対して製造業者が設定した値を用いる。被試験器に規定がない場合の推奨値とし
ては,0.2 nm,0.5 nm及び1 nmがある。
また,試験結果には,Dλの値を併記する。
16
C 6183-1:2019
9.3
高次光抑圧比
光源は,スペクトル半値幅がスペクトル分解能より十分狭く,かつ,測定誤差に影響する他のスペクト
ル成分の抑圧比が被試験器に対して製造業者が設定した高次光レベルより十分大きい光源を用いる。試験
用の光源は,表1に示すレーザ又は波長安定化単一縦モード半導体レーザであることが望ましい。
試験光のパワーは,測定に最適なレベルとなるようにする。
図9で,被試験器の測定波長範囲全域にわたり,入射光波長の整数倍の波長近傍に現れる高次光のスペ
クトルのレベルを測定する。このときの入射光のピークパワーP1,高次光のピークパワーP2を読み取る。
高次光抑圧比SH(dB)は,式(34)によって算出する。
1
2
10
H
log
10
−
P
P
S=
····································································· (34)
注記 被試験器が,回折格子の1次以外の回折次数を利用して光スペクトルを測定している場合には,
波長λの信号光に対してm/k(mは整数,kは被試験器が利用している回折次数)の波長にm次
の回折光が現れる。このとき,m>kの回折光が高次光であり,m<kの回折光は低次光となる。
例えば,2次の回折光を利用している光スペクトラムアナライザでは,波長λの信号光に対し
て,波長3λ/2, 2λ, 5λ/2, 3λ,…の高次光及び波長λ/2の低次光が観測されることがある。
なお,高次光抑圧比の試験では,この低次光も高次光とみなして測定を行う。
9.4
迷光抑圧比
光源は,スペクトル半値幅が被試験器のスペクトル分解能より十分狭く,かつ,測定誤差に影響する他
のスペクトル成分の抑圧比が被試験器に対して製造業者が設定した迷光抑圧比より十分大きい光源を用い
る。試験用の光源は,表1に示すレーザであることが望ましい。
試験光のパワーは,測定に最適なレベルとなるようにする。
図9で,被試験器のスペクトル分解能の設定は,被試験器に規定がない場合には被試験器で設定できる
最大のスペクトル分解能で試験する。被試験器の測定波長範囲全域で,入射光のピークパワーP1と入射光
及びその高次光を除いたスペクトルのピークパワーP2とを読み取る。
迷光抑圧比SS(dB)は,式(35)によって算出する。
1
2
10
S
log
10
−
P
P
S=
····································································· (35)
10
過負荷試験
被試験器に対して製造業者が設定した波長範囲の光源を用いて,被試験器に対して製造業者が設定した
最大許容レベルの光パワーを10分間連続入射する。光入射の前後に6.2の試験を実施し,光入射に伴うパ
ワーレベルのかたよりDPtの変化を評価する。DPtの変化が,拡張不確かさkuPtd以内かどうかで合否を判断
することが望ましい。ただし,被試験器が製品規格によって他の試験方法又は試験の厳しさを規定してい
る場合は,それに従う。
なお,光源の光出力が最大許容レベルに達しない場合は,その旨を試験条件に明記する。
11
強度試験
11.1
強度試験の概要
機械的な振動及び衝撃を与えて被試験器の損傷及び特性の変化の有無を試験する。強度試験は,被試験
器を包装していない状態で行う。特性の変化は,強度試験後に6.2の試験を実施し,被試験器の波長かた
17
C 6183-1:2019
よりDλtの強度試験前後の変化が,拡張不確かさkuλto以内かどうか,さらに,7.2の試験を実施し,被試験
器のパワーレベルかたよりDPtの強度試験前後の変化が,拡張不確かさkulto以内かどうかで合否判断する
ことが望ましい。
被試験器が機械的にぜい(脆)弱な構造となっていて,強度試験によって回復不可能となるおそれがあ
る場合には,この試験を省いてもよい。また,被試験器が製品規格によって他の規格又は他の試験の厳し
さを規定している場合は,それに従う。
11.2
振動試験
試験は,JIS C 60068-2-6に従って実施する。
なお,試験の厳しさは,次による[JIS C 60068-2-6の表C.2(掃引耐久試験−高い折れ点振動数の例)
を適用する。]。
− 振動数範囲 10 Hz〜55 Hz
− 振幅(片振幅) 0.15 mm
− 各軸方向の掃引サイクル数 10
11.3
落下試験
試験は,JIS C 60068-2-31の5.1.3.1(面落下)又は5.1.3.2(角落下)に従って実施する。試験の厳しさ
は,面落下,角落下のいずれも,25 mm又は30°の厳しさの小さいほうを適用する。
18
C 6183-1:2019
附属書A
(規定)
不確かさの規定
A.1 一般
この附属書は,測定における不確かさ及びかたよりの規定を要約したものである。これは,ISO/IEC
Guide 98-3:2008の“計測における不確かさの表現のガイド”に基づくが,この附属書は,ISO/IEC Guide
98-3:2008に記載されている詳細内容を十分には反映していない。
標準として,測定の不確かさの評価方法について二つのタイプを規定する。タイプAは,同じ測定に対
する一連の繰返し測定を統計的に分析し,不確かさを評価する方法である。タイプBは,他の知識に基づ
いて,不確かさを評価する方法である。
A.2 タイプA評価の不確かさ
タイプA評価の標準不確かさは,同じ測定条件の下で,個別の独立した測定の場合に適用できる。
量Xについて,n回の独立な測定で得たXkに対しての算術平均は,式(A.1)によって算出する。
∑
=
=
n
k
k
X
n
X
1
1
········································································· (A.1)
この平均は,その量の推定値となる。つまり,x=Xとする。測定に基づいて実験の標準偏差は,式(A.2)
によって算出する。
2
1
2
1
)
(
1
1
)
(
−
−
=
∑
=
n
k
kX
X
n
X
s
····················································· (A.2)
ここに,
X: 測定値の算術平均
Xk: 一連の測定の測定サンプル
n: 測定の回数で,例えば,n≧10のような大きな数字を想
定する。
推定値をxとするとき,タイプAの標準不確かさutypeA(x) は,式(A.3)によって算出し,実験の平均値に
おける標準偏差で表す。
n
X
s
X
s
x
u
)
(
)
(
)
(
typeA
=
=
····························································· (A.3)
A.3 タイプB評価の不確かさ
タイプB評価の標準不確かさは,一連の測定の統計的な分析以外によって不確かさを評価する方法であ
る。ここでは,数値の変動に関して得ることができるあらゆる情報に基づいた科学的な判断によって評価
する。
量Xの推定値xが,製造業者の仕様,校正証明書,ハンドブック又は他の情報源から得ることができ,
その引用した不確かさU(x) が,標準偏差のk倍ある場合,標準不確かさu(x) は,単に,式(A.4)となる。
k
x
U
x
u
)
(
)
(
=
·········································································· (A.4)
19
C 6183-1:2019
量Xについて,上限値Xmax及び下限値Xminが評価できる場合(例えば,製造業者の仕様又は温度範囲の
ような),方形状の確率分布を推定して,推定値xは,式(A.5)によって算出する。
)
(
2
1
min
max
X
X
x
+
=
·································································· (A.5)
標準不確かさは,式(A.6)によって算出する。
)
(
3
2
1
)
(
min
max
X
X
x
u
−
=
··························································· (A.6)
出力推定値y及び関連付けられる標準不確かさへの寄与で,入力推定値x及び関連する標準不確かさが
要因となって生じるものは,式(A.7)によって算出する。
)
(
)
(
x
u
C
y
u
×
=
······································································· (A.7)
ここに,Cは,入力推定値xに依存する感度係数であって,これは,モデル関数y(x) の入力推定値xに
おける偏導関数の値である。
x
y
C
∂
∂
=
················································································· (A.8)
感度係数Cは,入力推定値xの変化が,出力推定値yにどの程度影響を与えるかを示し,式(A.8)又は数
値計算,すなわち,入力推定値xの変化に伴う出力推定値yの変化を,モデル関数y(x) から計算すること
によって求められる。
なお,実験によって,xの変化に伴うyの変化を求めるのが適切な場合もある。
A.4 標準不確かさの合成
合成した標準不確かさucは,個々の不確かさを集めて一つの量にまとめたものであり,式(A.9)に示すよ
うに,個々の不確かさが統計上互いに独立であるとの仮定の下で,タイプA評価及びタイプB評価によっ
て得た全ての不確かさの二乗和の平方根として求めることができる。
∑
=
=
n
i
iy
u
y
u
1
2
c
)
(
)
(
·································································· (A.9)
ここに,
i: 個々の要因の数
ui(y): それぞれの標準不確かさ
n: 不確かさの数
注記 式(A.9)では,最大の不確かさ(ばらつき量)の1/10以下の不確かさは,二乗すると1/100以下
となるので無視してもよい。
上記の不確かさを,更なる不確かさの算出に用いる場合は,個々の不確かさに代えて合成した標準不確
かさucを,式(A.9)に再投入することができる。この場合,ucは,部分的にはタイプAの性格を帯びてい
るが,タイプBの不確かさとみなす。
A.5 かたより(系統誤差)
ここでは,測定器を用いてある量を測定した結果から得た推定値xと,その基準値(参照値又は標準値)
X0との差を,この測定器のかたよりDと考える。上記のタイプA及びタイプB(一様分布の場合)の不確
かさ算出の際に用いた測定サンプルから,それぞれ式(A.10)及び式(A.11)によって算出する。
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∑
=
−
=
n
k
kX
X
n
D
1
0
typeA
)
(
1
(タイプA) ·········································(A.10)
X
X
X
D
−
+
=
2
min
max
typeB
(タイプB) ········································· (A.11)
一般にこのようなかたよりは,十分に高い精度で測定サンプルの基準値が評価済みであれば,測定結果
に与える影響を事前に予測できる性質のものであり,生の測定値に補正を加える(測定結果からDを減じ
る)ことで,その影響を除去できると考える。このため,上記で定義する標準不確かさは,考え得る全て
のかたよりの影響を補正した後の測定結果によって算出することを前提としている。すなわち,測定結果
に含まれるかたよりが補正済みであると仮定している。これに対し,確度の規定では,かたよりの寄与を
明示的に含んだ形で誤差の限界値を算出する。
(a) かたよりのある分布
(b) かたよりを不確かさ
に置き換えた分布
Xmax
D
X0
3utypeB
3utypeB
X0
3utypeB
3utypeB
Xu= max(|Xmax−X0|, |Xmin−X0|)
Xmin
X0+Xu
X0−Xu
図A.1−タイプB不確かさのかたよりを不確かさに置き換える方法
一般に,温度範囲などの動作条件に伴う不確かさの寄与は,タイプBの不確かさとして扱う。こうした
動作条件に伴うかたよりの寄与をそのまま被試験器の確度に反映させることが適切でない場合,図A.1に
示すように,かたよりのある一様分布を,もっと広い対称的な(かたよりをもたない)分布に置き換えて
考えることによって,かたよりを省くことができる。この場合,不確かさは,式(A.6)による値よりも大き
くなり,式(A.12)によって算出した値となる。
|)
|
|,
max(|
3
1
)
(
0
min
0
max
X
X
X
X
x
u
−
−
=
······································(A.12)
A.6 不確かさと確度との関係
各動作条件に対するかたよりの寄与を不確かさに置き換えて考える場合,確度の定義は式(A.13)のとお
りとなる。
∑
=
+
±
=
p
i
ε
ε
k
ε
ε
ε
1
2
ti
2
to
to
tl
tu
·························································(A.13)
ここに,
εtu: 被試験器の動作誤差の上限
εtl: 被試験器の動作誤差の下限
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to
ε: 標準試験条件における被試験器のかたより
εto: 標準試験条件における被試験器の不確かさ
3
)
,
max(
|
||
|
tl
tu
i
i
ε
ε
ここに,
εtui: 各動作条件に対する不確かさ寄与の上限
εtli: 各動作条件に対する不確かさ寄与の下限
k: 包含係数
i: 各動作条件に対する添字
p: 動作条件の数
式(A.13)の右辺第1項は,かたより補正を表す。また,第2項は,予期できない測定値のばらつきを表
す。これらの式で用いる各変数のうち,to
ε及びεtoは,それぞれ標準試験条件におけるかたよりDto及び測
定値のばらつきに伴う不確かさutoに相当し,εtiは,各動作条件における不確かさの寄与utiに相当する。
したがって,試験によって得た不確かさの値を用いて被試験器の確度を求めることができる。
A.7 製品群としての確度(参考)
かたよりDtoは被試験器ごとに固有の値をもつが,同一仕様の複数の被試験器に対してDtoを評価すれば,
その値はある統計分布に従う確率変数とみなすことができる。したがって,その統計分布を知ることがで
きれば,Dtoを被試験器ごとのばらつきと捉え,その不確かさの寄与を評価することが可能となり,これを
被試験器が属する製品群の仕様値としての確度の算出に用いることができる。例えば,被試験器の確度が
式(A.13)で与えられており,被試験器が属する製品群におけるDtoの分布の標準偏差がσtoである場合,製
品群としての確度は式(A.14)によって算出できる。
∑
=
+
+
±
=
p
i
ε
ε
σ
k
ε
ε
1
2
ti
2
to
2
to
tl
tu
······················································(A.14)
さらに,Dtoが一様分布に従い,かつ,その上限Dto,u及び下限Dto,lが既知である場合,製品群としての確
度は式(A.15)によって算出できる。
∑
=
+
+
−
±
=
p
1
i
2
ti
2
to
2
l
to,
u
to,
tl
tu
12
)
(
ε
ε
D
D
k
ε
ε
·········································(A.15)