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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 6180-1991 

レーザ出力測定方法 

Measuring methods for laser output power 

1. 適用範囲 この規格は,レーザ装置から自由空間に放射されるレーザ出力の測定方法について規定す

る。 

なお,光ファイバから出射される光出力(以下,光ファイバ出射光という。)にも適用する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS C 6182 レーザビーム用光パワーメータ試験方法 

JIS C 6802 レーザ製品の放射安全基準 

JIS C 6822 マルチモード光ファイバ構造パラメータ試験方法 

JIS C 6825 シングルモード光ファイバ構造パラメータ試験方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

(1) 光パワーメータ レーザ出力のうち,連続光及び(又は)パルス光の光パワーを定量的に計測できる

機器。検出器と指示計から構成される。 

(2) 光エネルギーメータ レーザ出力のうち,パルス光の光エネルギーを定量的に計測できる機器。検出

器と指示計から構成される。 

(3) 検出器 レーザ出力の光パワー及び(又は)光エネルギーを電気的出力に変換する機器。 

(4) 有効受光面寸法 レーザ出力の検出に有効な受光面の寸法。検出器の機械的開口寸法ではない。 

(5) 補助光学素子 レーザ出力測定に必要な,被測定光源及び光パワーメータ(又は光エネルギーメータ)

以外の光学素子。シャッタ,アパーチャ,光減衰器,ディフューザ,ビームスプリッタ,光フィルタ,

レンズ系,反射光終端器など。 

(6) ビーム直径 ビームの断面で,光パワー密度がビーム内の最大値に対してe−2(=0.135 3)になる点間の

最大距離。 

(7) 発散角 発散光(発散光線束)で,光パワー密度がビーム断面内の最大値に対してe−2(=0.135 3)にな

る点のうち,最も外側にある点を通る光線と光軸がなす角度の2倍[附属書2図2(a)参照]。 

(8) 集束角 集束光(集束光線束)で,光パワー密度がビーム断面内の最大値に対してe−2(=0.135 3)にな

る点のうち,最も外側にある点を通る光線と光軸がなす角度の2倍[附属書2図2(b)参照]。 

備考 この規格をJIS C 6802に適用する場合は,(6)〜(8)の“e−2(=0.135 3)”を“e−1(=0.367 9)”とす

る。 

(9) 背景光 測定対象光以外の光で,正規の経路を通って検出器に到達する光。太陽光,照明光,励起光,

放電光,蛍光など。 

(10) 迷光 正規でない経路を通って検出器に到達する光。検出器などのすきまを通過してくる光及び測定

機器の内壁,光学部品の表面や内部,光学部品の支持具などから生じる反射光,散乱光,蛍光など。 

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C 6180-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3. 被測定光と測定項目 被測定光は,単一波長レーザ又は多波長レーザから放射される連続光又はパル

ス光とする。検出器への入力形態には,自由空間と光ファイバ系とがあり,測定項目は表1による。この

規格では,連続光の光パワーの測定を基本として規定し,パルス光の測定では,“光パワー”を“光エネル

ギー”と読み替えることとする。 

表1 被測定光と測定項目 

被測定光 

測定項目 

連続光 

光パワー (W)  

パルス光 

光平均パワー (W) ,光ピークパワー (W) ,光エネルギー (J)  

4. 測定機器の選択 

4.1 

測定環境 使用する測定機器(補助光学素子を含む。)は,温度,湿度,外光,風速などの環境条件

に適合するものでなければならない。 

4.2 

測定レベル範囲 

4.2.1 

一般事項 測定レベルに対応して,所要の最大測定光パワー,最小測定光パワー,最大測定光パワ

ー密度などをもつ検出器を選択しなければならない。特に,光ファイバ出射光は,次のような性質をもっ

ているため,測定機器の選択には注意が必要である。 

(a) 出射ビームの広がりが大きい。 

(b) ビーム断面内の光パワー分布が複雑である。 

(c) 偏光特性がある。 

4.2.2 

最大測定光パワー 検出器の最大測定光パワーは,被測定光の光パワーより大きい値でなければな

らない。 

被測定光の光パワーが検出器の最大測定光パワーより大きいときは,附属書1の方法によって測定レベ

ル範囲を拡大する。 

4.2.3 

最小測定光パワー 検出器の最小測定光パワーは,被測定光の光パワーより小さい値でなければな

らない。 

4.2.4 

最大測定光パワー密度 検出器の最大測定光パワー密度は,被測定光の受光面上での光パワー密度

より大きい値でなければならない。被測定光の光パワー密度が検出器の最大測定光パワー密度より大きい

ときは,附属書1の方法によって測定レベル範囲を拡大する。 

4.3 

波長範囲 

4.3.1 

単一波長レーザの出力測定 単一波長レーザの出力測定に用いる光パワーメータの校正された波

長範囲(1)は,被測定光源の発振波長を含まなければならない。 

注(1) 校正された波長範囲とは,波長に対する感度が補正されているか,又は波長に対する感度の補

正値が与えられている波長範囲をいう。 

4.3.2 

多波長レーザの出力測定 多波長レーザの全出力測定に用いる検出器は,被測定光源の発振波長範

囲にわたって,所要測定精度に見合った十分小さい波長感度依存性をもつものでなければならない。ただ

し,各波長の出力を分離して測定し,これらを加算する場合を除く。 

4.4 

応答時間 繰返しパルス光の光平均パワー測定では,光パワーメータの応答時間は,被測定パルス

の繰返し周期に比べて十分長くなければならない。 

光ピークパワー測定で波形観測装置を併用するときは,波形観測装置の応答時間は,被測定パルス波形

の立ち上がり時間及び立ち下がり時間に比べて十分に短くなければならない。 

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4.5 

ビーム形状と必要な検出器の有効受光面寸法 検出器の有効受光面寸法は,受光面上のビーム寸法

に比べて十分に大きくなければならない。ビーム寸法と所要受光面寸法の関係は,ビーム形状と,この項

目に対する許容誤差によって異なり,詳細は附属書2による。 

ただし,光ファイバ用検出器を使用する場合(2)には,この項目は考慮する必要がない。 

注(2) 光ファイバ出射端が,光コネクタやアダプタのようなかん(嵌)合機構によって決められた位

置に機械的に保持できるとともに,検出器に指定された光ファイバを用いる場合である。 

4.6 

検出器のNA 検出器のNA (numerical aperture) は,被測定光の発散角及び集束角より大きくなけれ

ばならない。光ファイバ用検出器を備えた測定器を使用する場合は,受光面寸法について,測定用光ファ

イバのNA及びコア径が,検出器に指定されている条件に適合することを確認しなければならない。 

4.7 

測定機器の確度 測定機器の確度は,必要とする測定精度を保証するものでなければならない。 

参考 測定機器の確度は,校正での誤差限界と個別誤差試験によって得られた部分誤差の限界から決

定される。 

個別誤差の要因には,次のものがある(JIS C 6182参照)。 

(a) 受光面の感度偏差 

(b) 入射角依存性 

(c) 直線性 

(d) 波長依存性 

(e) 偏光依存性 

(f) ゼロドリフト 

(g) 温度依存性 

(h) 照射時の安定度 

その他,パルス光測定では,光エネルギー測定におけるパルス数の計数時の誤差,光ピーク

パワー測定における波形測定時の誤差がある。光ファイバ出射光の測定では,光ファイバ端面

と検出器間の多重反射による誤差,クラッドモードによる誤差,戻り光による誤差などがある。 

5. 測定の準備 

5.1 

安全性の確認 レーザ光の出力測定には,危険を伴う場合があるので,安全確保に十分な対策をす

る必要がある。主な注意項目を次に示す[JIS C 6802の5.2(安全予防対策)参照]。 

(1) 反射光,散乱光に対する処置 

(2) レーザ光の終端処置 

(3) インタロックスイッチの動作確認 

(4) 測定者の保護具装着 

自由空間に放射されるレーザ出力の測定,特に高光パワーの測定では,測定系の配置について,安

全性を十分に確認した後に作業を開始する。 

低出力可視光による試照射系を用いて測定系の配置を行うことが望ましい。 

非可視光の測定では,主ビーム以外の補助光学素子などからの反射光についても十分な注意をする。 

5.2 

測定系の構成 

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5.2.1 

一般事項 測定系の基本的な構成は,5.2.2(1)に規定する補助光学素子を含む主ビーム測定系(レ

ーザビーム用)とする。被測定光の光パワーが大きく,主ビーム測定系による測定に耐える光減衰器など

が得られない場合や,主ビーム系の作動中に光パワーを測定する必要がある場合などには,5.2.3に規定す

る副ビーム測定系を用いる。 

なお,光ファイバ用検出器を使用する場合には,5.2.2(2)に規定する補助光学素子を省略した主ビーム測

定系(光ファイバ出射光用)を用いる。 

5.2.2 

主ビーム測定系 

(1) レーザビーム レーザビームの基本的な主ビーム測定系を,図1に示す。なお,次の(a)〜(f)の場合に

は補助光学素子を挿入する(図2参照)。 

図1 基本的な主ビーム測定系 

図2 補助光学素子を含む主ビーム測定系 

注(3) 例えば,ダミーとしての検出器,れんがなどを使用する。 

(a) 被測定光のビーム形状を,検出器の有効受光面寸法及び最大測定光パワー密度に適合させるための

ビーム寸法の変換,及び発散光又は集束光の平行光への変換が必要な場合には,レンズ系Aを挿入

する。 

(b) 測定器のゼロ点調整を行うために,被測定光を遮断する必要がある場合には,シャッタを挿入する。 

(c) シャッタを挿入する場合は,シャッタからの反射光を吸収する光吸収体Aを挿入する。 

ただし,この反射光が安全上又は測定精度上問題にならない場合には,省略してもよい。 

(d) 検出器入力がその最大測定光パワー又は最大測定光パワー密度を超える可能性がある場合には,光

減衰器を挿入する。 

(e) 光減衰器を挿入する場合は,光減衰器からの反射光を吸収する光吸収体Bを挿入する。 

ただし,この反射光が安全上又は測定精度上問題にならない場合には,省略してもよい。 

(f) ビーム寸法の変換が必要な場合には,レンズ系Bを挿入する。 

備考1. レンズ系,光減衰器などの補助光学素子を挿入する場合には,その挿入損失,偏光特性など

をあらかじめ評価して,測定結果を補正しなければならない。 

2. 高光パワーの測定では,使用素子の温度上昇などに伴う特性変化をあらかじめ評価して,測

定結果を補正しなければならない。 

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(2) 光ファイバ出射光 光ファイバ出射光の主ビーム測定系を,図3に示す。 

図3 光ファイバ出射光の主ビーム測定系 

備考1. 光ファイバは外部条件によって出射光の性質が変わるので,測定の再現性をよくするには光

ファイバの配置,曲げ,側圧などができるだけ一定になるように注意するとともに,シング

ルモード光ファイバの場合には,戻り光,偏光,干渉などにも注意する必要がある。 

2. レーザ加工などに使用される高出力光ファイバの出力測定では,光ファイバと検出器との距

離が少なくなるほど検出器へ入射する光パワー密度が大きくなるので,上記距離を必要以上

に小さくしないように,注意する必要がある。 

5.2.3 

副ビーム測定系 副ビーム測定系を図4に示す。 

レンズ系,シャッタ,光減衰器,光吸収体は,必要に応じて5.2.2(1)と同様に挿入する。 

図4 副ビーム測定系 

注(4) 例えばレーザ加工の場合は,被加工物のことをいう。 

5.2.4 

波形測定併用の場合(パルス出力)の測定系 パルス出力測定で波形測定を併用する場合の測定系

を図5に示す。 

レンズ系,シャッタ,光減衰器,光吸収体は,必要に応じて5.2.2(1)と同様に挿入する。 

図5 波形測定併用の場合(パルス出力)の測定系 

5.2.5 

多波長レーザの測定系 

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(1) 全出力測定 全出力測定の場合の測定系の構成は,5.2.2又は5.2.3による。 

(2) 単一波長光出力測定 単一波長光出力測定の場合の測定系の構成は,5.2.2又は5.2.3によることとし,

検出器の前に光フィルタ又は波長分散素子を挿入する。 

備考 使用条件(入射角など)による光フィルタの挿入損失及び各測定波長に対する波長分散素子の

挿入損失をあらかじめ評価して,測定結果を補正しなければならない。 

5.3 

検出器の位置決めの方法 

5.3.1 

一般事項 被測定光の検出器への入射方向及び入射位置は,検出器の指定による。指定がない場合

は,被測定光の入射方向は受光面に垂直とし,また入射位置は検出器開口の機械的中心がビームの中心と

一致するようにする。 

5.3.2 

低光パワーの場合 初めに,光軸合わせをする。検出器に窓がある場合は,それからの反射光を入

射ビームに一致させることによって行う。窓がないか,反射光が少ない場合は,検出器前面に適当な反射

板を付けて行う。 

次に,検出器開口の機械的中心に一致するようにピンホールをもつ基準板を検出器に取り付け,光パワ

ーメータの指示値が最大となるように検出器の位置を調節する。ピンホールの直径は,有効受光面寸法の101

以下,ビーム直径の51以下とすることが望ましい。この方法は,ガウスビームのようにビーム中心の光パ

ワー密度が最大で,比較的単調な光パワー密度分布をもつビームに対してだけ有効である。 

光パワー密度分布に複数の極大値をもつような複雑なビーム形状,又は,リング形状のビームの場合は,

検出器にビームを直接入射し,指示値が最大となるように検出器の位置を調節する。 

可視光の場合は,ピンホールをもつ基準板の代わりに,中心位置を示すマーカをもつ基準板を検出器の

開口に取り付け,目視によって位置合わせをすることができる。 

5.3.3 

高光パワーの場合 高光パワーの測定では,測定時以外はシャッタ,光減衰器などによって,人体

への被爆を防止する措置をとる。 

光軸合わせは,被測定ビームを遮断又は,十分低パワーに減衰した状態でガイド光を用いて5.3.2の方法

によって行う。次に,検出器を除く測定系の配置完了後,レーザ光のバーントパターンをとり,その中心

位置に検出器開口の機械的中心又は検出器に指定された位置を合わせる。ただし,バーントパターン観測

時は,安全確保のため可能な限り発振出力を減少させて位置決め作業を行い,最終的に測定する発振出力

に設定する。 

5.3.4 

光ファイバ出射光の場合 光ファイバ出射光の場合は,検出器に指定された裸光ファイバアダプタ

又はコネクタプラグを,検出器のレセプタクルにかん合又は締結する。 

5.4 

背景光,迷光などの不要光に対する対策 

5.4.1 

一般事項 測定レベルと所要の測定精度に応じて対策を施さなければならない。 

5.4.2 

背景光対策 遮光筒又は遮光板を用いて,外光(太陽光,照明光など),励起光,蛍光などを遮断

する。特に,励起光,蛍光などに対しては検出器までの距離を大きくする。必要に応じて,励起光,蛍光

などの波長を遮断する光フィルタなどを用いてもよい。この場合には,光フィルタの被測定光波長での挿

入損失をあらかじめ評価して,測定結果を補正しなければならない。 

5.4.3 

迷光対策 検出器外囲器,光減衰器保持金具などは,すき間のない構造とする。光フィルタを複数

重ねて使用するときは,その表面反射光が保持金具内面の反射を経て検出器に達しないように,黒色拡散

仕上げのスペーサを挿入する。 

5.5 

背景光,迷光などの不要光がないことの確認 

5.5.1 

背景光がないことの確認 

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(1) 外光がないことの確認 光源を断にした状態で,光パワーメータの指示値は,許容された誤差以内で

なければならない。 

(2) 励起光,蛍光などがないことの確認 検出器の位置を上下左右にずらして,レーザ光が検出器に入ら

ない状態で光源を発振させたとき,光パワーメータの指示値は,許容された誤差以内でなければなら

ない。 

パルス出力測定で波形測定を併用するときは,予想されるパルス波形と実際に得られた波形を比較

して,励起光の波形が現れていないことを確認する。 

5.5.2 

迷光がないことの確認 レーザ光を検出器へ入射して,その入射角又は入射位置を,検出器に指定

された範囲内で変化させたとき,光パワーメータの指示値の変化が,検出器に指定された受光面の感度偏

差以内でなければならない。 

5.6 

予熱 光パワーメータ,波形測定器など,電源を投入する測定機器は,機器の指定に従い十分な予

熱を行う。 

6. 測定手順 

6.1 

測定レンジの設定 測定レンジの設定は,次による。 

(1) 光源の出力の概略値が既知の場合は,その値がフルスケールを超えない範囲で最も感度の高いレンジ

に設定する。 

(2) 光源の出力の概略値が未知の場合は,まず最大レンジに設定する。 

なお,起こり得る最大値に対して,光減衰器などの補助光学素子を含めて,測定レベル範囲内にあ

ることが確認されていなければならない。 

自動レンジ切換可能な光パワーメータを使用する場合も,手動レンジ設定が可能であれば,まず最

大レンジに設定する。 

光源の出力の概略値が得られた後,(1)によってレンジを再設定する。 

6.2 

ゼロ点の確認 ゼロ点の確認は,次による。 

(1) シャッタなどによって検出器入力を断にし,ゼロ点を確認し,必要に応じて調整を行う。 

(2) 背景光,迷光などの不要光が微少であり,この出力を含めてゼロ点の調整が可能な場合は,不要光を

含めてゼロ点調整を行ってもよい。 

(3) 不要光がゼロ点調整範囲を超える場合は,不要光入力を補正する必要がある。この場合は,検出器開

口端面で不要光を遮断した状態でゼロ点調整を行った後,不要光入力値を測定し,光パワー測定後そ

の値を差し引く。 

6.3 

連続光出力の測定 連続光出力の測定は,次による。 

(1) シャッタなどを作動させて被測定光を検出器に入射し測定する。入射の継続時間は,光パワーメータ

の応答時間を考慮し,許容誤差以内になるように十分に長くなければならない。 

(2) 指示値のばらつきが5.6の各誤差要因に許容された値を超える場合は,測定回数の増加によって平均

化を行い,誤差を軽減する。 

(3) シャッタなどを作動させて検出器への入射を断にして,ゼロ点への復帰を確認する。反復測定では,

各測定ごとに入射前後でゼロ点を確認し,必要に応じて調整する。 

6.4 

パルス光出力の測定 

6.4.1 

光エネルギーの測定 

(1) 単一パルス 単一パルスレーザの発振を行い光エネルギーメータの指示値を読み取る。 

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(2) 繰返しパルス 被測定光の繰返し周波数が低い場合は,光エネルギーメータに指定の最大測定光エネ

ルギーを超えない時間,シャッタを開とし,光エネルギーメータの指示値をシャッタ開時間内のパル

ス数で除す。被測定光の繰返し周波数が高い場合,繰返し時間間隔より十分長い時定数をもつ光パワ

ーメータによって,平均光パワーを測定し繰返し周波数で除す。ここでいう繰返し周波数は,波形観

測によって得られる1周期時間の逆数,又は発振器側の光パルス駆動用電気信号の周波数のいずれで

もよい。 

6.4.2 

光平均パワーの測定 繰返しパルスの光平均パワーの測定は,6.3による。 

6.4.3 

光ピークパワーの測定 

(1) 単一パルス 5.2.4の測定系を用いて,次の(a)〜(c)のいずれかの方法により測定する。ただし(c)の方

法が適用できるのは,パルス波形が一つの極大値をもち,その前後が対称とみなしてよい場合に限る。 

(a) 比較的ピーク値が低い場合は,同一測定系で前もって連続波によって波形観測装置の出力を校正し

た後,光ピークパワーを測定する。 

(b) 光エネルギーの測定と波形観測を同時に行い,次の式によって光ピークパワーを算出する。 

なお,積分範囲は,1パルスの持続時間とする。 

)

(tp

kD

Pp=

dt

t

D

E

k

)

(

=

ここに, 

PP: 光ピークパワー (W)  

E: 光エネルギー (J)  

D (tp): ピーク点での波形観測値 

D (t): 時刻tでの観測値 

(c) 6.4.1と同様に光エネルギーを測定すると同時に波形観測を行い,次の式によって光ピークパワーを

算出する。 

T

E

Pp=

ここに, T: パルス波形の半値幅 (s)  

(2) 繰返しパルス 

(a) 比較的ピーク値が低い場合は,(1)の(a)による。 

(b) その他の場合は,(1)の(b)又は(c)による。ただし,光エネルギーEは,光エネルギー測定値を測定時

間内のパルス数で除し,単一パルスの光エネルギーに変換するか,又は光平均パワーを測定し,繰

返し周波数で除して単一パルスの光エネルギーに変換する。 

7. 測定結果のまとめ 

7.1 

一般事項 測定内容に応じて,測定値に影響を与える事項及び測定結果を記録する。 

7.2 

測定値に影響を与える事項 主な事項は,次のとおりである。 

(1) 測定条件 被測定光源,検出器,補助光学素子,指示計など測定機器の種類並びに形番,及び電源の

種類,その変動など。 

(2) 測定方法 測定内容に応じ,この規格の適用項目を記録するほか,必要に応じ,測定系の配置図,測

定機器の校正の有無,その方法など。 

(3) 環境条件 測定の年月日,時刻,時間,場所(室内,暗室など),雰囲気(大気中,真空中など),温

度,湿度及び冷却水の流量,水温,その変動など。 

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7.3 

測定結果 適切な形式を定め,測定結果を整理し,記録する。 

また,必要に応じ,測定結果に理由を付して補正値を記録する。 

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附属書1 測定レベル範囲の拡大 

検出器の最大測定光パワー,最大測定光パワー密度が入射光パワー(又は,光パワー密度)より小さい

ときは,次の方法によって測定範囲を拡大する。 

1. 光減衰器の挿入 光減衰器は校正されていて,校正条件と同一又は同一とみなせる条件(波長,レベ

ル,偏光,入射角,ビーム形状など)で使用しなければならない。 

減衰した入射光パワーなどは,次の式を満足しなければならない。 

min

max

P

aP

P

>

>

d

d

aP

P

>

max

ここに, 

Pmax: 検出器の最大測定光パワー 

Pmin: 検出器の最小測定光パワー 

P: 被測定光パワー 

a: 光減衰器の減衰比 

Pdmax: 検出器の最大測定光パワー密度 

Pd: 被測定光パワー密度 

2. ディフューザの挿入 検出器への入射光パワー密度を下げるために光減衰器を使用したときに,検出

器への入射光パワーが最小測定光パワー以下になる場合は,光減衰器に替えてディフューザを使用する(被

測定光パワー密度が大きい場合に適する。)。ただし,使用するディフューザの損失は校正されているか,

ディフューザを装着した状態で校正された検出器でなければならない。 

また,ディフューザは,校正条件と同一又は同一とみなせる条件(波長,レベル,偏光,入射角,ビー

ム形状など)で使用しなければならない。 

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附属書2 ビーム形状と検出器有効受光面寸法の関係 

検出器の有効受光面寸法は,受光面上のビーム寸法に対して十分大きくなければならない。ビーム寸法

と所要受光面寸法の関係は,ビーム形状と,この項目についての許容誤差によって異なる。 

1. ガウスビームの場合 所要有効受光径Dagは,次の式で与えられる。 

δ

+

g

agka

D≧

ここに, 

k: この項目についての許容誤差ε (%) によって定まる係数で,

附属書2図1による 

ag: 受光面上でのビーム直径 

δ: 受光面の中心位置とビームの中心位置とのずれ 

備考 JIS C 6802に適用する場合は,Dagは,次の式で与えられる。 

δ

+

g

ag

ka

D

2

附属書2図1 kとεの関係 

2. 発散又は集束する光源の場合 

2.1 

発散又は集束する光源の測定 受光面上のビーム寸法は,光源出射端面と受光面間の距離に比例し

て拡大又は縮小する。円形ビームの受光面上でのビーム直径a gは次の式で与えられる(附属書2図2参

照)。 

2

tan

2

:

0

d

gd

l

a

a

φ

+

=

発散の場合

2

tan

2

:

0

c

gc

l

a

a

φ

=

収束の場合

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12 

C 6180-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, agd: 発散する光源の受光面上のビーム直径 
 

agc: 集束する光源の受光面上のビーム直径 

a0: 光源出射端面上のビーム直径 

l: 光源出射端面と受光面間の距離 

φd: 発散角 

φc: 集束角 

所要有効受光面寸法は,1. によって求める。距離lの設定は,検出器の最大測定光パワー,最小測定光

パワー及び最大測定光パワー密度の条件を満たす範囲でなければならない。 

附属書2図2 発散又は集束する光源のビームプロファイルと受光面の関係 

備考1. 発散又は集束する光源の測定で,ビームスプリッタ,光減衰器などの補助光学素子を使用す

る場合,発散角又は集束角を減少する目的でレンズ系を挿入するときは,その損失をあらか

じめ評価して,測定結果を補正しなければならない。 

2. 発散角又は集束角が過大なため,検出器の入射角依存性によって測定精度が所要の値を満足

しない場合には,測定精度を向上する目的で,角度を減じるためのレンズ系を挿入すること

ができる。ただし,使用するレンズ系の損失をあらかじめ評価して,測定結果を補正しなけ

ればならない。 

2.2 

光ファイバ出射光の場合 光ファイバ用検出器を使用しない場合には,光ファイバ出射光の受光面

上でのビーム直径agfは,次の式で与えられる。 

2

tan

2

f

gf

l

a

φ

=

0

4

w

f

π

λ

φ=

(シングルモード光ファイバの場合) 

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C 6180-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

NA

1

sin

3

2

2

=

(マルチモード光ファイバの場合) 

ここに, 

l: 光ファイバ出射端面と受光面との距離 

λ: 波長 

w0: モードフィールド径[JIS C 6825の7. (モードフィールド

径の測定方法)参照] 

NA: 開口数 (numerical aperture) [JIS C 6822の6.(RNF法),8.

(NFP法)参照] 

備考 JIS C 6802に適用する場合は,モードフィールド径(w0)は,光パワー密度がビーム内の最大

値に対してe−1(=0.367 9)となる全幅で定義する。したがって,発散角φfをe−1の定義に換算し

た式は次のようになる。 

2

tan

2

f

gf

l

a

φ

=

0

2

w

f

π

λ

φ=

(シングルモード光ファイバの場合) 

NA

1

sin

3

2

=

(マルチモード光ファイバの場合) 

所要有効受光面寸法は,1. によって求める。距離lの設定は,検出器の最大測定光パワー,

最小測定光パワー及び最大測定光パワー密度の条件を満たす範囲でなければならない。 

3. その他の場合 1.及び2.以外の場合には,ビーム形状を測定し,所要有効受光面寸法を算出する。 

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C 6180-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

電子部会 オプトエレクトロニクス専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

田 中 俊 一 

東京理科大学 

吹 訳 正 憲 

通商産業省機械情報産業局 

稲 葉 裕 俊 

工業技術院標準部 

三 橋 慶 喜 

工業技術院電子技術総合研究所 

神 谷 武 志 

東京大学 

佐 藤 卓 蔵 

財団法人光産業技術振興協会 

吉 田 淳 一 

日本電信電話株式会社 

望 月 清 文 

国際電信電話株式会社 

山 本 益 生 

東京電力株式会社 

冨加見 昌 男 

東日本旅客鉄道株式会社 

小 川   武 

日本放送協会 

黒 岩 宗 弘 

住宅・都市整備公団 

北 村 芳 靖 

日本道路公団 

大久保 勝 彦 

古河電気工業株式会社 

西 川   勉 

富士通株式会社 

古 寺   博 

株式会社日立製作所 

須 川   毅 

住友電気工業株式会社 

田 中 英 吉 

安藤電気株式会社 

立 川   明 

社団法人日本電子機械工業会 

江 本 俊 夫 

社団法人日本電線工業会 

(専門委員) 

J.P.スターン 

米国電子業界日本事務所 

C.モンテイ 

日本オリベッティ株式会社 

(関係者) 

井 上 武 海 

工業技術院電子技術総合研究所 

藤 瀬 雅 行 

株式会社エイ・ティ・アール光電波通信研究所 

坂 井 徳 久 

安藤電気株式会社 

(事務局) 

吉 田   厚 

工業技術院標準部電気規格課 

宗 像 保 男 

工業技術院標準部電気規格課 

稲 田 浩 二 

工業技術院標準部電気規格課 

財団法人光産業技術振興協会 レーザ出力測定法専門委員会(昭和59年度) 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

井 上 武 海 

工業技術院電子技術総合研究所 

秋 葉 稔 光 

三菱電機株式会社 

生 田   栄 

株式会社東芝 

太 田 健一郎 

工業技術院標準部 

川 原 浄 彦 

島田理化工業株式会社 

猿 渡 正 俊 

日本電信電話株式会社 

篠 原 己 抜 

日本高周波株式会社 

菅 原 宏 之 

株式会社日立製作所 

杉 浦 吾 男 

安立電気株式会社 

中 村 義 忠 

株式会社日本レーザ 

山 本 英 夫 

安藤電気株式会社 

(事務局) 

城 所 光 宏 

財団法人光産業技術振興協会 

中 内 善 雄 

財団法人光産業技術振興協会 

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C 6180-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

財団法人光産業技術振興協会 レーザ出力測定方法JIS化WG(平成2年度) 構成表 

氏名 

所属 

(主査) 

井 上 武 海 

工業技術院電子技術総合研究所 

(幹事) 

坂 井 徳 久 

安藤電気株式会社 

猿 渡 正 俊 

日本電信電話株式会社 

川 原 浄 彦 

島田理化工業株式会社 

村 田 明 弘 

横河電機株式会社 

稲 田 浩 二 

工業技術院標準部 

(事務局) 

加 藤 靖 孝 

財団法人光産業技術振興協会