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C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語,定義及び略語·········································································································· 2 

3.1 用語及び定義 ················································································································ 2 

3.2 略語 ···························································································································· 3 

4 背景······························································································································· 3 

5 装置······························································································································· 4 

5.1 OSAを用いた測定方法 ··································································································· 4 

5.2 帯域透過フィルタ及び光パワーメータを用いた測定方法 ······················································· 5 

6 供試OA ························································································································· 7 

7 手順······························································································································· 7 

7.1 概要 ···························································································································· 7 

7.2 OSAを用いた測定方法 ··································································································· 7 

7.3 帯域透過フィルタ及び光パワーメータを用いた測定方法 ······················································· 9 

8 計算······························································································································ 10 

9 測定結果························································································································ 10 

附属書A(参考)信号光パワー対総ASEパワー比の信号入力光パワー,信号光波長,及び出力光パワー 

  依存性 ························································································································· 11 

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人光産業技術振興協会(OITDA)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS C 6122の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 6122-1-1 第1-1部:パワーパラメータ及び利得パラメータ−光スペクトラムアナライザ法 

JIS C 6122-1-2 第1-2部:パワーパラメータ及び利得パラメータ−電気スペクトラムアナライザ法 

JIS C 6122-1-3 第1-3部:パワーパラメータ及び利得パラメータ−光パワーメータ法 

JIS C 6122-3 第3部:雑音指数パラメータ 

JIS C 6122-3-1 第3-1部:雑音指数パラメータ−光スペクトラムアナライザ法 

JIS C 6122-3-2 第3-2部:雑音指数パラメータ−電気スペクトラムアナライザ試験方法 

JIS C 6122-3-3 第3-3部:雑音指数パラメータ−信号対総ASEパワー比 

JIS C 6122-4-1 第4-1部:過渡パラメータ−二波長法を用いた利得パラメータ測定 

JIS C 6122-4-2 第4-2部:過渡パラメータ−広帯域光源法を用いた利得パラメータ測定 

JIS C 6122-5-1 第5-1部:光反射率パラメータ測定方法−光スペクトラムアナライザを用いた測定方

法 

JIS C 6122-6 第6部:漏れ励起光パラメータ測定方法 

JIS C 6122-7 第7部:波長帯域外挿入損失測定方法 

JIS C 6122-10-1 第10-1部:マルチチャネルパラメータ−光スイッチ及び光スペクトラムアナライザ

を用いたパルス法 

JIS C 6122-10-2 第10-2部:マルチチャネルパラメータ−ゲート付き光スペクトラムアナライザを用

いたパルス法 

JIS C 6122-10-3 第10-3部:マルチチャネルパラメータ−プローブ法 

JIS C 6122-10-4 第10-4部:マルチチャネルパラメータ−光スペクトラムアナライザを用いた補間法 

JIS C 6122-10-5 第10-5部:マルチチャネルパラメータ−分布ラマン増幅器の利得及び雑音指数 

JIS C 6122-11-1 第11-1部:偏波モード分散パラメータ−ジョーンズマトリクス固有値解析(JME)

法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 6122-3-3:2016 

(IEC 61290-3-3:2013) 

光増幅器−測定方法− 

第3-3部:雑音指数パラメータ− 

信号対総ASEパワー比 

Optical amplifiers-Test methods-Part 3-3: Noise figure parameters- 

Signal power to total ASE power ratio 

序文 

この規格は,2013年に第1版として発行されたIEC 61290-3-3を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,商用化されている単一チャネル光増幅器(OA)について適用する。ここでいうOAには,

希土類添加ファイバ及びラマン効果を用いた光ファイバ増幅器(OFA),半導体光増幅器(SOA)及び平面

導波路形光増幅器(POWA)を含む。特に,OAと受信器との間に帯域透過フィルタを配置しない単一チ

ャネルOAに適用する。 

この規格は,出力光パワーと,OAが生成するASEのうち受信器の光帯域内にあるASEパワーとの比の

測定方法について規定する。この値は,光受信器のASE間ビート雑音の尺度で,OAのASE間雑音係数

(Fsp-sp)と相関がある。Fsp-spは,JIS C 6121及びJIS C 6122-3で定義している。 

JIS C 6122-3-1は,光スペクトラムアナライザ(OSA)を用いた信号光−ASE間雑音係数(Fsig-sp)の測

定方法について規定する。ただし,Fsp-spの測定方法については規定していない。 

JIS C 6122-3-2は,電気スペクトラムアナライザ(ESA)を用いた総雑音係数(Fsp-sp+Fsig-sp)の測定方

法について規定する。ただし,この方法ではFsp-sp+Fsig-spからFsp-spを分離して測定することができない。

したがって,受信器のASE間ビート雑音の定量的効果を直接測定できない。JIS C 6122-3規格群の一部で

あるこの規格は,受信器のASE間ビート雑音の定量的効果を直接測定するという点においてJIS C 

6122-3-1及びJIS C 6122-3-2を補足する。 

この規格は,信号出力パワー対総ASEパワー比を測定するための二つの方法を規定する。第1の方法は

OSAを用いる方法であり,第2の方法は帯域透過フィルタ及び光パワーメータを用いる方法である。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61290-3-3:2013,Optical amplifiers−Test methods−Part 3-3: Noise figure parameters−Signal 

power to total ASE power ratio(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

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引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 6121 光増幅器−通則 

注記 対応国際規格:IEC 61291-1:2012,Optical amplifiers−Part 1: Generic specification 

JIS C 6122-3 光増幅器−測定方法−第3部:雑音指数パラメータ 

注記 対応国際規格:IEC 61290-3,Optical amplifiers−Test methods−Part 3: Noise figure parameters

(IDT) 

用語,定義及び略語 

3.1 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1.1 

入力信号光パワー,Pin(signal input power) 

OAへ入力する信号光パワー。 

3.1.2 

出力信号光パワー,Pout(signal output power) 

OAから出力する信号光パワー。 

3.1.3 

信号光波長,λs(signal wavelength) 

光信号搬送波の波長。 

3.1.4 

信号利得,G(signal gain) 

信号光波長におけるOAの利得。入力信号光パワーに対する出力信号光パワーの比として定義する。 

3.1.5 

ASE帯域,BASE(amplified spontaneous emission band) 

OAが生成する総ASEパワーの99 %以上を含む波長帯域。 

注記 通常,ASEパワーの最大値から30 dB〜40 dB減少した値の波長範囲を波長帯域と考える。 

3.1.6 

ASE中心波長,λC(ASE center wavelength) 

ASE帯域の中心波長。 

3.1.7 

ASEパワー,PASE(ASE power) 

ASE帯域内にあるOAが生成したASEパワー。 

3.1.8 

信号対総ASEパワー比,Sig̲ASE(signal to total ASE power ratio) 

BASE内の総ASEパワーに対する出力信号光パワーの比。 

3.1.9 

ASE間雑音係数,Fsp-sp(spontaneous-spontaneous noise factor) 

OA入力におけるショット雑音による電気的なSNRに対する,OA出力におけるASE間ビート雑音によ

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

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る電気的なSNRの比。 

注記 Fsp-spの詳細な式は,JIS C 6122-3を参照。 

3.2 

略語 

この規格で用いる主な略語は,次による。 

APD 

アバランシェ フォト ダイオード 

(avalanche photo diode) 

AFF 

ASE平たん化フィルタ 

(ASE flattening filter) 

ASE 

増幅された自然放出光 

(amplified spontaneous emission) 

CD 

波長分散 

(chromatic dispersion) 

DFB 

分布帰還形 

(distributed feedback) 

EDFA 

エルビウム添加光ファイバ増幅器 

(erbium-doped fiber amplifier) 

ESA 

電気スペクトラムアナライザ 

(electrical spectrum analyzer) 

FWHM 

半値全幅 

(full width half maximum) 

NF 

雑音指数 

(noise figure) 

OA 

光増幅器 

(optical amplifier) 

OFA 

光ファイバ増幅器 

(optical fiber amplifier) 

OSA 

光スペクトラムアナライザ 

(optical spectrum analyzer) 

PDG 

偏波依存利得 

(polarization dependent gain) 

PMD 

偏波モード分散 

(polarization mode dispersion) 

POWA 

平面導波路形光増幅器 

(planer optical waveguide amplifier) 

RBW 

分解能帯域幅 

(resolution band width) 

SNR 

信号対雑音比 

(signal to noise ratio) 

SOA 

半導体光増幅器 

(semiconductor optical amplifier) 

VOA 

可変光減衰器 

(variable optical attenuator) 

WDM 

波長分割多重 

(wavelength division multiplexing) 

背景 

近年,10 Gb/sを超える高速伝送リンクが商用化されている。これらのリンクは(10 Gb/sリンクだけで

なく,例えば,海底リンクなど),限られた入力光パワーの範囲で動作するAPD受信器のような,高感度

受信器を必要とする。さらに,波長分散(CD)補償器又は偏波モード分散(PMD)補償器のような光部

品を受信モジュール内に配置するので,それによって無視できない光損失が生じる。 

マルチチャネルの波長分割多重(WDM)リンクでは,WDM信号を個々のチャネルへ分離する前に,マ

ルチチャネルOAをリンクの終端に配置する。一般的にマルチチャネルOAのチャネル当たりの出力光パ

ワーは,0 dBm〜5 dBmの範囲である。この光パワーはその後,光分波器によって減衰し,さらに上記の

光部品によって減衰する。したがって,受信器に到達する光パワーは,最小受信感度以下になる可能性が

ある。この場合,受信器に到達する光パワーを増大するために,単一チャネルOAを受信器モジュールに

配置する。 

このような構成において,単一チャネルOAと受信器との間には帯域透過フィルタを配置しない。その

結果,光増幅器が生成した増幅された自然放出光(ASE)雑音は,全て受信器に入力する。これが受信器

のASE間ビート雑音に大きな影響を与える。この雑音を特性付けるための一つの方法は,JIS C 6121及び

JIS C 6122-3の中で定義されたASE間雑音係数Fsp-spを測定することである。また,別の方法としては,

background image

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

OA出力における信号対総ASEパワー比Sig̲ASEを測定することであって,式(1)によって算出する。 

ASE

out

̲

P

P

ASE

Sig

=

 ······································································· (1) 

ここに, 

Pout: OAからの出力信号光パワー 

PASE: OAが生成したASE帯域内のASEパワー,式(2)によって算

出する。 

()λ

λ

ρ

d

P

B∫

=

ASE

ASE

ASE

······························································· (2) 

ここに, BASE: OAが生成する総ASEパワーの99 %以上を含む波長域 

BASEを定義する場合には,ASEと関連しない他の雑音源を除外することに注意する。特に,BASEには,

OA出力ポートへの漏れ励起光を除外することが望ましい。例えば,1 480 nmの励起光で励起したCバン

ドEDFAについて,BASEは1 500 nm未満の波長を含めないほうがよい。これによって,BASEが,一方では

EDFAが生成したASEの99 %以上を含み,他方では1 480 nmの漏れ励起光を除外することができる。 

注記1 多くのOA,特にOFAでは,ASEは無偏光である。幾つかのタイプのSOAモジュールでは,

ASEは偏波依存性があり,PASEは両方の偏光方向の総パワーとなる。 

Sig̲ASEとFsp-spとの間に,直接的に関係性があるものではないが,それらの間には相関性があり,両方

の値は受信器のASE間ビート雑音の影響を定量化するために用いることができる。Sig̲ASEが高いほど,

ASE間ビート雑音は低い(Fsp-spが低い。)。逆もまた同様である。 

この規格では,一般的なSig̲ASEの測定方法を示す。附属書Aに,Sig̲ASEの値を決定する様々なOA

パラメータの技術的な要約を示す。 

注記2 この規格で扱う全ての量は,特に規定がない限り,線形単位で定義する。 

装置 

5.1 

OSAを用いた測定方法 

OSAを用いてSig̲ASEを測定する装置について示す。図1に,OSAの校正,並びに入力信号光パワー及

びレーザ光源の自然放出光パワーの測定のための測定系を示す。図2に,出力信号光パワー及びASEパワ

ーの測定のための測定系を示す。 

図1−OSAの校正,並びに入力信号光パワー及びレーザ光源の自然放出光パワーの測定のための測定系 

図2−OSAを用いた出力信号光パワー及びASEパワーの測定のための測定系 

測定装置及びその要求性能を,次に示す。 

a) レーザ光源 次の性能をもつレーザ光源とする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 供試OAを測定するために必要とする全信号波長範囲で,出力可能な波長可変レーザ又は個別のレ

ーザの組合せである。 

2) 供試OAが規定する最大入力光パワーより大きな光パワーが,出力可能でなければならない。 

3) 信号出力光のサイドモード抑圧比は,40 dB以上とする。 

4) 信号出力光の半値全幅は,0.01 nm未満とする。 

5) 信号出力光のパワー変動は,0.05 dB未満とする。 

b) VOA 供試OAを測定するために必要とする入力信号光パワーレベル範囲を満足するような減衰範囲

をもつ可変光減衰器とする。各端子からみた反射率は−50 dB未満とする。 

注記1 

レーザ光源の出力光パワーが,必要な範囲で変更可能である場合には,VOAは必ずしも必

要ではない。 

c) 偏波制御器 偏波制御器は,入力信号光の任意の偏波状態を他の任意の偏波状態に変更できるものと

する。各端子からみた反射率は−50 dB未満とする。 

注記2 

供試OFA又はPOWAの偏波依存利得(PDG)が0.3 dB未満の場合には,偏波制御器は必

ずしも必要ではない。 

d) OSA 次の性能をもつOSAとする。 

1) 偏波依存性は,0.1 dBより小さくする。 

2) 光パワー安定度は,最大最小差で0.1 dBより小さくする。 

3) 波長確度は,絶対値で0.05 nmより小さくする。 

4) OSAの分解能帯域幅(RBW)は,0.2 nm〜1 nmの範囲に設定する。特に規定がない場合には,0.5 nm

に設定することが望ましい。 

5) OSAの入力端子からみた反射率は,−50 dB未満とする。 

5.2 

帯域透過フィルタ及び光パワーメータを用いた測定方法 

帯域透過フィルタ及び光パワーメータを用いた,Sig̲ASEの測定方法について示す。図3にフィルタの

挿入損失の校正,及び入力信号光パワーを測定するための測定系を示す。図4に,出力信号光パワー及び

ASEパワーを測定するための測定系を示す。 

この測定方法は,レーザ光源の自然放出光パワー分を考慮することができない。したがって,Sig̲ASE

の測定に影響を与えない程度,十分に低い自然放出光パワーをもつレーザ光源が必要である[a) 参照]。 

供試OAによっては,BASEの外側に光パワーを放射する可能性があり(例えば,1 480 nm励起を用いる

光増幅器の漏れ励起光の場合など),このような不要成分の透過を遮断するため帯域透過フィルタを光パワ

ーメータの前に配置する。この帯域透過フィルタは,BASE全域において,0.5 dB未満の挿入損失リップル

であって,かつ,不要波長帯域の成分(BASE帯域内の挿入損失)に対して,30 dB以上の消光比をもつも

のとする。このフィルタは,図3及び図4に示すように,光パワーメータの前に配置する。 

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C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 帯域透過フィルタを用いない場合の測定系 

b) 帯域透過フィルタを用いる場合の測定系 

図3−帯域透過フィルタ挿入損失の校正,及び入力信号光パワーを測定するための測定系 

a) 帯域透過フィルタを用いない場合の測定系 

b) 帯域透過フィルタを用いる場合の測定系 

図4−帯域透過フィルタ及び光パワーメータを用いた出力信号光パワー及び 

ASEパワーの測定のための測定系 

測定装置及びその要求性能を,次に示す。 

a) レーザ光源 次の性能をもつレーザ光源とする。 

1) 供試OAを測定するために必要とする全信号波長範囲で,出力可能な波長可変レーザ又は個別のレ

ーザの組合せである。 

2) 供試OAが規定する最大入力光パワーより大きな光パワーが,出力可能でなければならない。 

3) 信号光出力のサイドモード抑圧比は,40 dB以上とする。 

4) 信号光出力の半値全幅は,0.01 nm未満とする。 

5) 信号出力光のパワー変動は,0.05 dB未満とする。 

b) VOA 供試OAを測定するために必要とする入力信号光パワーレベル範囲を満足するような減衰範囲

をもつ可変光減衰器とする。各端子からみた反射率は,−50 dB未満とする。 

注記1 

レーザ光源の出力光パワーが,必要な範囲で変更可能である場合には,VOAは必ずしも必

要ではない。 

c) 偏波制御器 偏波制御器は,入力信号光の任意の偏波状態を他の任意の偏波状態に変更できるものと

する。各端子からみた反射率は−50 dB未満とする。 

注記2 

供試OFA又はPOWAの偏波依存利得(PDG)が0.3 dB未満の場合には,偏波制御器は必

ずしも必要ではない。 

d) 帯域透過フィルタ 次の性能をもつフィルタとする。 

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 供試OAを測定するため,信号光の波長範囲に対応した中心波長をもつ波長可変フィルタ,又は個

別の組合せである。 

2) 中心波長に対し,±20 GHz以上の1 dB透過帯域をもつ。 

3) 中心波長から±100 GHzの範囲を除いた,BASE帯域内の全ての波長範囲においては,中心波長の挿

入損失から,20 dB以上の減衰量をもつ。 

e) 光パワーメータ 入力光の偏波状態に影響なく,絶対値で0.2 dBより小さい測定確度をもったもので

なければならない。 

注記3 

対応国際規格では,±0.2 dBより小さい測定確度をもつと規定されているが同じ意味であ

る。 

供試OA 

供試OAは,公称動作条件で動作させる。供試OAが,反射によってレーザ発振を引き起こす場合には,

光アイソレータを用いることが望ましい。光アイソレータを用いることによって信号の不安定性及び測定

の不確かさを最小限に抑える。 

測定中,入力光の偏光状態を一定に維持することを考慮しなければならない。入力光の偏光状態が変化

する場合,使用する全ての光部品の僅かな偏波依存性によって入力光パワーが変動し,測定誤差が生じる

ことになる。 

手順 

7.1 

概要 

測定手順には,次のパラメータの測定を含む。 

− 出力信号光パワー,Pout 

− ASEパワー,PASE 

PASEを測定するためには,OAの信号利得Gと同様に光源の自然放出光パワー,すなわちレーザ光源の

PSSEを測定することが必要である。PASEは,OAの出力において測定する全ての雑音パワーからGPSSEを減

算することによって求める。Sig̲ASEの測定に影響しない程度に,レーザ光源の雑音が十分に小さいこと

を確実に考慮している場合,PSSEの測定は実施する必要はない[5.2 a) 4) を参照]。 

7.2 

OSAを用いた測定方法 

7.2.1 

校正 

7.2.1.1 

OSAの光帯域幅の校正 

OSAの光帯域幅BOSAは,測定する上で必要なRBWに影響するため正確に校正しなければならない。こ

れは,各波長における光パワー密度を測定し,所望の波長帯域内において積算した光パワーを得るために

必要である。 

注記 幾つかのOSAには,ある求められた波長帯域内において積算した光パワーを自動測定する機能

を備えている。このような機能をもつ場合は,校正を実施しなくてもよい。 

OSAの光帯域幅の校正は,次の手順による。 

a) 図1に示す測定系に接続する。 

b) レーザ光源の波長λCを,ASE帯域の中心に設定する。 

c) OSAの中心波長をλCに設定する。 

d) OSAの波長範囲をゼロに設定する。 

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 光パワーP(λC)を測定する。 

f) 

レーザ光源波長λiを,λC−5RBW〜λC+5RBWの範囲で一連に設定する。レーザ光源の波長間隔Δλiは,

RBW/5より小さくすることが望ましい。各波長にて光パワーP(λi)を測定する。 

g) OSAの光帯域幅を,式(3)によって算出する。 

()

()

i

i

i

P

P

B

λ

λ

λ∑

=

C

OSA

1

 ····························································· (3) 

7.2.1.2 

OSAの光パワー補正係数の校正 

OSAの光パワー補正係数PCalの校正は,次の手順による。この係数は,OSAの絶対光パワーを校正する。 

注記 OSAの絶対光パワーが既に校正してある場合は,この手順を実施する必要はない。 

a) 図1に示す測定系に接続する。 

b) レーザ光源の波長λCを,ASE帯域の中心に設定する。 

c) OSAの中心波長をλCに設定する。 

d) λCでの光パワーPOSAを測定する。 

e) OSAを外して,その代わりに校正した光パワーメータを接続する。 

f) 

光パワーPPMを測定する。 

g) OSAの光パワー補正係数を,式(4)によって算出する。 

OSA

PM

Cal

P

P

P=

 ··············································································· (4) 

7.2.2 

測定 

次に示す手順によって測定を行う。 

a) 図1に示す測定系に接続する。 

b) レーザ光源の波長を,求める信号波長λsに設定する。 

c) 信号入力光パワーが,求めるレベルになるようにVOAを設定する。 

d) OSAの波長帯域を,ASE帯域を含むように設定する。 

e) 信号波長におけるOSA上のパワーP(λs)を測定し,入力信号光パワーを“Pin=P(λs)×PCal”で求める。 

f) 

ASE帯域において,全ての信号波長λiにおけるパワーをRBW/5より小さい波長間隔で測定する。各波

長に対して,光パワー密度を“ρ(λi)=P(λi)/BOSA”で求める。 

g) ASE帯域における総光パワーを,式(5)によって求める。 

()

=

i

i

i

P

λ

λ

ρ

Tot

 ······································································ (5) 

h) 光源の自然放出パワーを,“PSSE=PTot×PCal−PIn”で求める。 

i) 

図2に示す測定系に接続する。 

j) 

OAを求める動作条件に設定する。 

k) 信号波長におけるOSA上のパワーP(λs)を測定し,出力信号光パワーを“Pout=P(λs)×PCal”で求める。 

l) 

信号利得を“G=Pout/Pin”で求める。 

m) ASE帯域において,全ての信号波長λiにおけるパワーをRBW/5より小さい波長間隔で測定する。各波

長に対する光パワー密度を“ρ(λi)=P(λi)/BOSA”で求める。 

n) ASE帯域における総光パワーを,式(6)によって求める。 

()

i

i

i

P

λ

λ

ρ

=∑

Tot

 ······································································ (6) 

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

o) ASEパワーを式(7)によって求める。 

SSE

out

Tot

Cal

ASE

GP

P

P

P

P

=

 ··························································· (7) 

注記1 OSAの場合,与えられた波長帯域における光パワーの積分値を自動的に計算する機能をもつ

ものもある。この場合,f),g),m) 及びn) は,この機能を用いて測定してもよい。 

注記2 OA出力端における増幅された光源の自然放出光を計算するために,信号利得Gを用いるこ

とは,信号利得が波長に依存するため完全には正確ではないかもしれない。ただし,次の二

つの場合においては,この近似が成り立つ。 

1) OAをSig̲ASEの値を最大化するように設計している場合。PASEに最も寄与する波長帯

域内において信号利得は,一般的に非常に平たんとなる。 

2) Sig̲ASEが最小となる場合。通常,GがPASEに最も寄与する波長帯域内の大部分の波長

における信号利得に比べて小さいことを意味する。 

したがって,増幅された光源の自然放出光をやや小さめに見積もり,PASEをやや大き

めに見積もることとなる。この場合,Sig̲ASEの測定最小値は,OAの全ての動作条件に

おける真のSig̲ASEに対して,下限値としてみなせることを意味する。 

7.3 

帯域透過フィルタ及び光パワーメータを用いた測定方法 

7.3.1 

概要 

帯域透過フィルタ及び光パワーメータを用いたSig̲ASEの測定手順を,7.3.2及び7.3.3に示す。 

7.3.2 

校正 

帯域透過フィルタの挿入損失の校正は,次の手順による。 

a) 図3 a) に示す測定系に接続する。 

b) レーザ光源の波長を,求める信号波長λsに設定する。 

c) 光パワーメータを用いて,帯域透過フィルタのない場合の光パワーP0を測定する。 

d) 図3 b) に示す帯域透過フィルタを挿入し,フィルタの中心波長をλsに設定する。 

e) 光パワーメータを用いて,帯域透過フィルタがある場合の光パワーP1を測定する。 

f) 

信号波長における帯域透過フィルタの挿入損失を,式(8)によって求める。 

()

0

1

s

F

P

P

IL

=

λ

 ············································································· (8) 

7.3.3 

測定 

次に示す手順によって測定を行う。 

a) 図3 a) に示す測定系に接続する。 

b) レーザ光源の波長を,求める信号波長λsに設定する。 

c) 入力信号光パワーが,求めるレベルになるようにVOAを設定する。 

d) 光パワーメータを用いて,入力信号光パワーPinを測定する。 

e) 図4 a) に示すOAを挿入する。 

f) 

OAを求める動作条件に設定する。 

g) 光パワーメータを用いて,OAの総出力光パワーPTotを測定する。 

h) 図4 b) に示す帯域透過フィルタを挿入し,フィルタの中心波長をλsに設定する。 

i) 

光パワーメータを用いて,帯域透過フィルタをもつ場合の光パワーP2を測定する。 

j) 

出力信号光パワーを“Pout=P2/ILF(λs)”で求める。 

k) ASEパワーを“PASE=PTot−Pout”で求める。 

10 

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

計算 

Pout及びPASEを用いて,式(1)からSig̲ASEを計算する。この規格で示す全ての値及び計算式は,線形単

位とする。また,これらは必要に応じてdB単位に変換してもよい。 

測定結果 

Sig̲ASEは,OAの仕様書に指定している動作条件を十分満足するように,全ての信号波長,信号入力光

パワー及びOAの動作利得レベルの組合せに対して測定しなければならない。OAのPDGが0.3 dBを超え

る場合は,各動作点において,最も低いSig̲ASEを得るように偏波制御器を設定しなければならない。 

測定を行った信号波長,信号入力光パワー及びOAの動作利得レベルとともに,Sig̲ASEが最小となる

場合の結果を提供しなければならない。 

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11 

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

信号光パワー対総ASEパワー比の信号入力光パワー,信号光波長,及び 

出力光パワー依存性 

大部分のOAは,信号波長近傍のASEに関係する雑音指数(NF)が最小になるよう設計している。た

だし,単一チャネルOAを受信器モジュールに設置するよう設計した場合,受信器の性能を向上させるた

めに信号対総ASEパワー比(Sig̲ASE)を可能な限り,大きくすることが望ましい。これは,信号光波長

近傍だけではなく総ASEパワーを最小としなければならないことを意味する。この附属書では,Sig̲ASE

に影響を与える様々なOAパラメータに関する技術的議論を記載する。 

Sig̲ASEに影響を与える主なパラメータは,入力信号光パワーである。一般的な用途では,OAが自動パ

ワー制御(APC)モードで動作するように設計しており,一定の出力信号光パワーを受信器に供給する。

この場合,OAの信号利得は入力信号光パワーに依存することを意味する。入力信号光パワーが大きくな

るほど,求める動作出力信号光パワーを得るために必要な信号利得は小さくなる。ASEパワーが近似的に

信号利得に比例するため,ある出力信号光パワーに対して,Sig̲ASEは,入力信号光パワーに近似的に比

例して増大する。高い入力信号光パワー(低い利得)では,ASEが入力信号光パワーに比例しなくなり,

代わりに出力信号光パワーによって決まる。したがって,高い入力信号光パワーでは,Sig̲ASEは低い入

力信号光パワー時に比べて緩やかに増加する。入力信号光パワーに対するSig̲ASEの依存性の例を,図A.1

に示す。 

図A.1−入力信号光パワーに対するSig̲ASEの依存性 

単一チャネルOAが特定の波長だけではなく,波長帯域全体で動作するよう指定している場合,Sig̲ASE

は信号光波長にも依存する。動作波長帯域がより広くなった場合,ASEは波長帯域において,より一定で

はなくなって,Sig̲ASEの波長依存性は,より大きくなる。図A.2に,二つの異なる信号光波長における

ASEスペクトルを示す。二つの信号光波長は,それぞれCバンドの両端にある。いずれの場合も入力信号

光パワー及び出力信号光パワーは等しいが,図A.2で明らかなように,Sig̲ASEは信号光波長1 564 nmの

場合のほうが小さい。 

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12 

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 いずれの場合においても,入力信号光パワー及び出力信号光パワーは等しい。 
注記2 RBW=0.2 nmの場合のASEスペクトルを示す。 

図A.2−異なる信号光波長に対するASEスペクトル 

規定した動作波長範囲において,Sig̲ASEを平たん化するためには,ASE平たん化フィルタ(AFF)を

用いる。このフィルタは,一般的には,最適な入力信号光パワー及び出力信号光パワー(最適な利得)に

おいてSig̲ASEが信号光波長に対して十分平たんとなる。ただし,動作条件(入力信号光パワー及び/又

は出力信号光パワー)が最適値から外れると,Sig̲ASEは傾く。この効果を図A.3に示す。図A.3は,C

バンドの両端の二つの信号光波長に対して,一定の入力信号光パワーで出力信号光パワーを変化させた場

合におけるSig̲ASEを示す。出力信号光パワーが最適値よりも大きい場合,1 531 nmにおけるSig̲ASEは

増加し,1 564 nmにおけるSig̲ASEは減少する。信号出力光パワーが最適値よりも小さい場合,逆の現象

が起こる。 

注記 最適出力信号光パワー(この場合は6 dBm)のときに,波長に対して平たんなSig̲ASE

を得るために利得平たん化フィルタ(GFF)を用いる。 

図A.3−異なる信号光波長に対する出力信号光パワー対Sig̲ASE 

13 

C 6122-3-3:2016 (IEC 61290-3-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

JIS C 6122-3-1 光増幅器−測定方法−第3-1部:雑音指数パラメータ−光スペクトラムアナライザ法 

注記 対応国際規格:IEC 61290-3-1,Optical amplifiers−Test methods−Part 3-1: Noise figure parameters 

−Optical spectrum analyzer method(IDT) 

JIS C 6122-3-2 光増幅器−測定方法−第3-2部:雑音指数パラメータ−電気スペクトラムアナライザ試

験方法 

注記 対応国際規格:IEC 61290-3-2,Optical amplifiers−Test methods−Part 3-2: Noise figure parameters

−Electrical spectrum analyzer method