C 6122-3:2011 (IEC 61290-3:2008)
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 略語及び記号 ··················································································································· 2
4 雑音指数概論 ··················································································································· 2
5 雑音指数の要素 ················································································································ 3
6 雑音指数測定方法 ············································································································· 4
C 6122-3:2011 (IEC 61290-3:2008)
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人光産業技
術振興協会(OITDA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改
正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格であ
る。
これによって,JIS C 6122-3:2001は改正され,この規格に置き換えられた。
また,令和2年6月22日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準
化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 6122の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 6122-1-1 第1-1部:パワーパラメータ及び利得パラメータ−光スペクトラムアナライザ法
JIS C 6122-1-2 第1-2部:パワーパラメータ及び利得パラメータ−電気スペクトラムアナライザ法
JIS C 6122-1-3 第1-3部:パワーパラメータ及び利得パラメータ−光パワーメータ法
JIS C 6122-3 第3部:雑音指数パラメータ
JIS C 6122-3-1 第3-1部:雑音指数パラメータ−光スペクトラムアナライザ法(予定)
JIS C 6122-3-2 第3-2部:雑音指数パラメータ−電気スペクトラムアナライザ試験方法
JIS C 6122-5-1 第5-1部:光反射率パラメータ測定方法−光スペクトラムアナライザを用いた測定方
法
JIS C 6122-6 第6部:漏れ励起光パラメータ測定方法
JIS C 6122-7 第7部:波長帯域外挿入損失測定方法
JIS C 6122-10-1 第10-1部:マルチチャネルパラメータ−光スイッチ及び光スペクトラムアナライザ
を用いたパルス法
JIS C 6122-10-2 第10-2部:マルチチャネルパラメータ−ゲート付き光スペクトラムアナライザを用
いたパルス法
JIS C 6122-10-3 第10-3部:マルチチャネルパラメータ−プローブ法(予定)
JIS C 6122-11-1 第11-1部:偏波モード分散パラメータ−ジョーンズマトリクス固有値解析(JME)
法
日本産業規格
JIS
C 6122-3:2011
(IEC 61290-3:2008)
光増幅器−測定方法−第3部:雑音指数パラメータ
Optical amplifiers-Test methods-Part 3: Noise figure parameters
序文
この規格は,2008年に第2版として発行されたIEC 61290-3を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
この分野には新技術が多く,しかも日々進展中であるため,この規格は,今後修正及び更新が必要であ
る。
1
適用範囲
この規格は,光増幅器(OA)の雑音指数に関連するパラメータの測定方法について規定する。
この規格は,商用化されているOAに適用する。ここでいうOAには,光ファイバ増幅器(OFA),半導
体光増幅器(SOA)及び平面導波路形光増幅器(POWA)を含む。OFAには希土類添加OFA及びラマン効
果を用いたOFAを含む。
この規格の目的は,OAの雑音指数パラメータ測定に対して,一般的背景を与えること,及びJIS C 6121
の箇条3(用語,定義及び略語)で定義するOAの次のパラメータについて,正確かつ信頼性のある測定
を行うための測定方法を示すことである。
a) 雑音指数(NF)
b) 雑音係数(F)
c) 多重光路干渉(MPI)性能指数
d) 信号光−ASE間雑音指数
e) 等価ASE−ASE帯域幅(Bsp-sp)
f)
順方向ASEパワーレベル
g) 逆方向ASEパワーレベル
h) ASE帯域幅
この規格は,単一チャネル,すなわち単一の光送信器からの信号光を増幅するために使用するOAに対
する雑音指数パラメータの測定を取り扱う。マルチチャネル用途に対してOAを測定するには,チャネル
数,波長,相対的な信号光パワー,信号光を同時に測定する能力,チャネル間のASEを測定する能力など
を考慮する必要がある。マルチチャネル用途に対するOAの測定方法は,JIS C 6122-10-1,JIS C 6122-10-2,
IEC 61290-10-3及びIEC 61290-10-4を参照。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61290-3:2008,Optical amplifiers−Test methods−Part 3: Noise figure parameters(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
C 6122-3:2011 (IEC 61290-3:2008)
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 6121 光増幅器−通則
注記 対応国際規格:IEC 61291-1,Optical amplifiers−Part 1: Generic specification(IDT)
JIS C 6122-3-2 光増幅器−測定方法−第3-2部:雑音指数パラメータ−電気スペクトラムアナライザ
試験方法
注記 対応国際規格:IEC 61290-3-2,Optical amplifiers−Test methods−Part 3-2: Noise figure
parameters−Electrical spectrum analyzer method(IDT)
IEC 61290-3-1,Optical amplifiers−Test methods−Part 3-1: Noise figure parameters−Optical spectrum
analyzer method
3
略語及び記号
ASE
増幅された自然放出光
(Amplified spontaneous emission)
Bsp-sp
等価ASE−ASE帯域幅
[(Equivalent) Spontaneous-spontaneous optical bandwidth]
ESA
電気スペクトラムアナライザ
(Electrical spectrum analyzer)
F
雑音係数
(Noise factor)
FWHM 半値全幅
(Full width half maximum)
MPI
多重光路干渉
(Multiple path interference)
NF
雑音指数
(Noise figure)
OA
光増幅器
(Optical amplifier)
OFA
光ファイバ増幅器
(Optical fiber amplifier)
OSA
光スペクトラムアナライザ
(Optical spectrum analyzer)
POWA 平面導波路形光増幅器
(Planar optical waveguide amplifiers)
SOA
半導体光増幅器
(Semiconductor optical amplifiers)
SNR
信号対雑音比,SN比
(Signal-to-noise ratio)
4
雑音指数概論
雑音指数は,光増幅器の最も重要なパラメータの一つである。JIS C 6121の定義によれば,雑音係数F,
すなわち,雑音指数を線形表示したものは,式(1)によって表される。
in
2
noise
out
2
noise
2
out
2
signal
out
2
noise
in
2
noise
in
2
signal
output
input
1
i
i
G
i
i
i
i
SNR
SNR
F
=
×
=
=
··························· (1)
ここに, SNR: 信号対雑音比
i: 量子効率が1であるような理想的な光検出器における光電流
G: 信号利得
注記 式(1)における
は,時間に対する平均を意味する。
入力雑音電流は,入力信号光によって発生するショット雑音電流と定義されている。これは入力側にお
けるその他の雑音源を含んでいない。
出力雑音電流は,次の五つの要因の和として規定される。これらの雑音要因は,幾つかの要素に分離で
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きる。
a) 信号光ショット雑音係数Fshot, sig(増幅された信号光のショット雑音)
b) ASEショット雑音係数Fshot, ase(増幅された自然放出光のショット雑音)
c) 信号光−ASE間雑音係数Fsig-sp(信号光−自然放出光間のビート雑音)
d) ASE間雑音係数Fsp-sp(自然放出光間のビート雑音)
e) 多重光路干渉(MPI)による雑音係数Fmpi
雑音係数(デシベル表示ではなく,線形表示)の合計Ftotalは,式(2)によって算出する。
Ftotal=Fshot, sig+Fshot, ase+Fsig-sp+Fsp-sp+Fmpi ······································· (2)
雑音指数NFは,式(3)によって算出する。
NF=10 log (Ftotal) ······································································· (3)
式(2)は,電気的な雑音指数の測定における種々のパラメータへの影響を評価するものと同じように,光
学的な雑音指数の測定にも用いることができる。式(3)は,光増幅器における雑音指数の完全なモデルを意
味する。
5
雑音指数の要素
信号光ショット雑音係数Fshot, sigは,式(4)によって算出する。
G
F
1
sig
shot,
=
············································································· (4)
ここに,
G: 信号波長における利得
ASEショット雑音係数Fshot, aseは,式(5)によって算出する。
in
2
ase
ase
shot,
P
G
P
F
=
········································································· (5)
ここに, Pase: 波長で積分したASEパワー
Pin: 入力信号光パワー
信号光−ASE間雑音係数Fsig-spは,式(6)によって算出する。
sig
p
ase,
sp
-
sig
2Ghv
ρ
F
=
········································································· (6)
ここに,
ρase, p: 信号光波長において信号光と同じ偏波状態にある
自然放出光の光パワー密度(W/Hz)
h: プランク定数
νsig(=c/λsig): 信号光周波数(Hz)
ASE-ASE間雑音係数Fsp-spは,式(7)によって算出する。
in
2
sig
sp
sp
2
ase
sp
sp
2
P
G
hv
B
F
−
−=ρ
····································································· (7)
ここに,
ρase: 信号波長における(無偏波の)ASE光パワー密度(W/Hz)
Bsp-sp: JIS C 6121で定義する等価ASE−ASE帯域幅(入力信号光の
光パワー及び波長に依存)
注記 Bsp-spが分かっている場合,Fsp-spを分離して測定する必要はない。Fsp-spは,信号光−ASE間雑
音係数及び入力光パワーから求められる。あらゆる偏波状態のASEがFsp-spに影響するので,
ASEが無偏波ではない場合には,この計算を行うには追加情報が必要である。SOAがその典型
的な例である。
多重光路干渉(MPI)雑音は,光増幅器の出力光と1回又は複数回反射した出力光成分とのビート雑音
4
C 6122-3:2011 (IEC 61290-3:2008)
によって発生する。MPI雑音の発生には,OA内の2個又はそれ以上の反射点が必要となる。すべての反
射点が光源の可干渉長よりも離れていた場合は,MPI雑音係数Fmpiは式(8)によって表す。
)
(
Δ
Δ
π
2
,
cav
2
2
in
mpi
i
i
i
G
p
v
f
v
hv
P
F
Σ
+
=
······················································ (8)
ここに,
Gcav, i: 共振器利得を示し,OA内のi番目の共振器での利得を意味
し,“順方向利得”,“順方向での反射率”,“逆方向利得”
及び“逆方向での反射率”の四つの積
pi: 偏波整合因子を示し,無反射光及びi番目の共振器で2回
反射した光の偏波状態の一致度(値は0から1の間にあり,
p=1で完全に偏波状態が一致した状態を表示)
piGcav, i: i番目の共振器の実効的な利得を示す。
Σ: OA内におけるすべての共振器利得の総和(発振を防ぐた
めには総和は1未満)
∆ν: 光源の半値全幅スペクトル線幅(ローレンツ形で近似した
場合)
f: ベースバンド周波数
式(8)は,二つ又はそれ以上の光の間に可干渉性がある場合にも適用できる。可干渉性のある光は,近傍
の反射点から生成される。このような場合,雑音係数の周波数特性は,式(8)で与えられるようにベースバ
ンド周波数に対し滑らかに減衰するものではなく,式(8)で与えられる減衰曲線の周りで振動する特性を示
す。
雑音係数に対するMPIの影響は,光源のスペクトル線幅(∆ν)によって,すなわち,OA自身ではなく
伝送システム及び測定系のパラメータで決まる。OAの雑音係数からMPI雑音係数を分離するには,MPI
による雑音係数を積分し,OAのMPI特性を示す性能指数Impiとして示すことが望ましい。Impiは,Fmpi曲
線と座標軸とで囲まれた面積を示し,光源スペクトル線幅及びベースバンド周波数に依存しない。
)
(
,
cav
in
0
mpi
mpi
i
i
i
f
G
p
hv
P
df
F
I
Σ
=
=∫∞=
(Hz) ··········································· (9)
ここで,MPI雑音係数Fmpiは,式(10)を用いた性能指数によって算出できる。
2
2
mpi
mpi
Δ
Δ
π
2
v
f
v
I
F
+
=
································································ (10)
二重レイリー散乱は,MPIの特殊な形式であり,ラマン増幅器においては雑音指数に影響を与える重要
な要因となる。ラマン増幅器においては,反射よりもむしろ光ファイバ中のレイリー散乱によって後方散
乱される微小な信号に対して,長尺光ファイバが利得を与える。
6
雑音指数測定方法
ここでは,OAの雑音指数の定量的な評価法に関し,標準的によく用いられる二つの異なる手順を示す。
第1の手順(IEC 61290-3-1参照)は,信号光−ASE間雑音指数を求めることを目的とする。この方法
では,箇条5で示したように,利得及びASE光パワーレベルから信号光−ASE間雑音指数を求めるので,
それらの値を得るために光スペクトラムアナライザを用いる。多重光路干渉(MPI)による雑音を除いて,
その他のすべての雑音成分は,箇条5に基づき求めることができる。MPIによる雑音成分については,完
成品のOAではあまりないことだが,反射点が観測できる場合だけ確定することができる。良品のOAで
は,MPIはほとんど問題にならない。この手順で求めた信号光−ASE間雑音指数は,一般に,ディジタル
通信システム用に適していると考えられている。
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C 6122-3:2011 (IEC 61290-3:2008)
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第2の手順(JIS C 6122-3-2参照)は,全雑音指数を求めることを目的としている。この手順は,OAを
“ブラックボックス”とみなし,電気スペクトラムアナライザを用いて電気段での雑音を測定する。これ
は,個々の雑音成分を分離せずに,式(1)を直接的に実現しているとみなすことができる。この手順による
結果は,MPIによる雑音を含む。MPIの影響は,ベースバンド周波数,光源のスペクトル線幅及び光増幅
器内における反射光どうしの偏波の一致状態に強く依存することに留意する。この第2の手順によって得
られた雑音指数は,関連するすべての雑音源を含むので,一般に,アナログ通信システム用でOAの適用
性を評価するのに用いられている。
各手順において,測定できるパラメータを,表1に示す。
表1−測定方法及び測定可能パラメータ
パラメータ
光スペクトラムアナライザ
試験方法
(IEC 61290-3-1)
電気スペクトラムアナライザ
試験方法
(JIS C 6122-3-2)
(全)雑音指数/雑音係数
○
信号光−ASE間雑音指数/雑音係数
○
(○)
ショット雑音指数/雑音係数
(○)a)
(○)
ASE間雑音指数/雑音係数
(○)
MPI雑音指数/雑音係数/性能指数
○
Bsp-sp
(○)
順方向ASEパワーレベル
○
(○)
逆方向ASEパワーレベル
(○)
ASE帯域幅
(○)
(○)
注a) (○)は,引用文献には記載がないが,潜在的な可能性があることを示す。
参考文献 JIS C 6122-10-1 光増幅器−測定方法−第10-1部:マルチチャネルパラメータ−光スイッチ及
び光スペクトラムアナライザを用いたパルス法
JIS C 6122-10-2 光増幅器−測定方法−第10-2部:マルチチャネルパラメータ−ゲート付き光
スペクトラムアナライザを用いたパルス法
IEC 61290-10-3:2002,Optical amplifiers−Test methods−Part 10-3: Multichannel parameters−Probe
methods
IEC 61290-10-4:2007,Optical amplifiers−Test methods−Part 10-4: Multichannel parameters−
Interpolated source subtraction method using an optical spectrum analyzer
IEC/TR 61931:1998,Fibre optic−Terminology
J. L. Gimlett, N. K.: Cheung: Effects of phase-to-intensity noise conversion by multiple reflections on
gigabit-per-second DFB laser transmission systems, J. Lightwave Technology, Vol.7, No.6, June
1989, pp. 888-895