C 6115-2:2006
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人光産業技術振興協会(OITDA)/財団
法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 62007-2:1999,Semiconductor
optoelectronic devices for fibre optic system applications−Part 2 : Measuring methodsを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS C 6115-2には,次に示す附属書がある。
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS C 6115規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 6115-1: pin-FETモジュール通則
JIS C 6115-2: pin-FETモジュール測定方法
C 6115-2:2006
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 測定の状態 ····················································································································· 1
4.1 標準状態 ······················································································································ 1
4.2 基準状態 ······················································································································ 1
4.3 判定状態 ······················································································································ 2
5. 測定用機器及び装置 ········································································································· 2
5.1 測定用電源 ··················································································································· 2
5.2 計器及び測定器 ············································································································· 2
5.3 光パワーメータ ············································································································· 2
5.4 光スペクトラムアナライザ ······························································································ 2
6. 電気的・光学的特性の測定方法 ·························································································· 2
6.1 最小受信光入力 ············································································································· 2
6.2 最大受信光入力 ············································································································· 4
6.3 受光感度 ······················································································································ 5
6.4 暗電流 ························································································································· 6
6.5 上昇時間 ······················································································································ 7
6.6 遮断周波数 ··················································································································· 8
6.7 周波数応答平たん度 ······································································································ 10
6.8 出力雑音電力密度 ········································································································· 11
6.9 低周波雑音 ·················································································································· 12
6.10 光反射減衰量 ·············································································································· 13
附属書1(参考) JISと対応する国際規格との対比表 ······························································· 16
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日本工業規格 JIS
C 6115-2:2006
pin-FETモジュール測定方法
Measuring methods of pin-FET modules
序文 この規格は,1999年に第1版として発行されたIEC 62007-2,Semiconductor optoelectronic devices for
fibre optic system applications−Part 2 : Measuring methodsにおいて,pin-FETモジュールの測定方法の関連部
分を翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で,側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表をその説明を付けて,附属書1に示す。
1. 適用範囲 この規格は,pin-FETモジュールの電気的・光学的特性の測定方法について規定する。
備考1. ここでいうpin-FETモジュールとは,pin形フォトダイオード(以下,フォトダイオードとい
う。),電界効果トランジスタ又は増幅回路及び光ファイバとの接続部から構成されるもので
ある。
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
IEC 62007-2:1999,Semiconductor optoelectronic devices for fibre optic system applications−Part 2 :
Measuring methods (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。こ
れらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 1102-1 直動式指示電気計器 第1部:定義及び共通する要求事項
JIS C 6115-1 pin-FETモジュール通則
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS C 6115-1による。
4. 測定の状態
4.1
標準状態 測定は,規定がない限り,温度15〜35 ℃,相対湿度25〜85 %,気圧860〜1060 hPaの
もとで行う。ただし,この標準状態での測定値の判定に疑義が生じた場合,又は特に要求された場合は,
4.3による。また,基準状態への換算を必要とする場合には,4.2による。
なお,標準状態で測定することが困難な場合には,判定に疑義が生じない限り,標準状態以外の状態で
測定を行ってもよい。
4.2
基準状態 基準状態は,温度25 ℃,相対湿度45 %,気圧860〜1 060 hPaとする。ただし,温度だ
けをもって基準状態としてもよい。
2
C 6115-2:2006
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4.3
判定状態 判定状態は,温度25±2 ℃,相対湿度45〜55 %及び気圧860〜1 060 hPaとする。
5. 測定用機器及び装置
5.1
測定用電源 直流電源は,リプル含有率3 %以下,交流電源は高調波含有率5 %以下のものとする。
ただし,商用周波数の場合は,高調波含有率10 %以下とする。
なお,特に交流出力を測定する試験では,直流電源のリプル含有率,交流電源の高調波含有率及び交流
の流れる直流電源回路の交流インピーダンスは,測定に影響を与えないように小さい値とする。また,サ
ージの侵入に対する十分な防護措置が施されていなければならない。
5.2
計器及び測定器 規定がない限り,計器は JIS C 1102-1 に規定する0.5級のもの,測定器はこれと
同等以上の確度をもつものとし,これらの入力インピーダンスは測定系への影響を無視できる値とする。
5.3
光パワーメータ 測定に使用する光パワーメータは,該当する波長で校正され,かつ,受光面感度
分布が十分に平たんなものとする。
5.4
光スペクトラムアナライザ 測定に使用する光スペクトラムアナライザは,該当する波長で,十分
なダイナミックレンジ(十分低い迷光)と,横(波長)軸,縦(レベル)軸の確度,及び発振スペクトル
を分離するのに十分な分解能をもつものとする。
6. 電気的・光学的特性の測定方法
6.1
最小受信光入力 [φeDmin(D),φeDmin(A)]
6.1.1
目的 規定された状態での,最小受信光入力を測定することを目的とする。
6.1.2
測定回路 最小受信光入力の測定は,図1及び図2によって次の方法で行う。
6.1.3
測定方法
a) アナログによる測定方法 規定の電源電圧をモジュールに印加し,光源出力を規定値に調整する。規
定の直流光入力パワーにおいて,電圧計の電圧V1を測定する。次に,光源に正弦波変調を加え,式(1)
を満足するV2の値になるように変調器の変調電流を調整する。
(
)1
2
/
1
V
N
C
V
+
=
··································································· (1)
光パワーメータなどの光信号測定器を用いて,変調された光入力パワーΔφeを測定する。これがモ
ジュールの最小受信光入力となる。
b) ディジタルによる測定方法 規定の電源電圧をモジュールに印加し,十分に高い消光比の条件下で光
源を変調する。一定の消光比と誤り率検出器への適切な入力条件を保つように増幅器の利得を調整し
ながら,光入力パワーを調整する。規定の符号誤り率が得られる最小の光入力パワーを光パワーメー
タなどの光信号測定器を用いて測定する。これがモジュールの最小受信光入力となる。
6.1.4
測定上の注意 光パワーメータなどの光信号測定器は,校正されていなければならない。光分岐を
用いる場合には,分岐比を事前に測定し温度及び偏波に対する変動が十分に小さいことを確認する。検出
ノイズの増大を避けるために,光源のC/Nは十分に高くなければならない。
6.1.5
個別規格に規定すべき項目
a) アナログ測定の場合は,次による。
1) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
2) 電源電圧
3) 光入力パワー
4) 光源のピーク波長及びスペクトル幅
3
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5) 変調周波数
6) バンド幅
7) C/N
8) イコライザのパラメータ(必要であれば)
b) ディジタル測定の場合は,次による。
1) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
2) 電源電圧
3) 光源のピーク波長及びスペクトル幅
4) 伝送速度
5) 変調形式
6) 符号誤り率
7) 信号パターン(ビットシーケンス及びマーク率)
8) イコライザのパラメータ(必要であれば)
備考 直流測定の場合には,カップリングコンデンサは使用しない。
図 1 最小受信光入力の測定回路(アナログによる測定方法)
V
C
RL
電源
供試モジュール
光源
A
F
光信号
測定器
信号発生器
(変調器)
光分岐
RL:負荷抵抗器
V:電圧計
C:カップリングコンデンサ
F:フィルタ
A:増幅器
4
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備考 光分岐は,空間伝送の場合はビームスプリッタなど,ファイバ結合の場合はファイバカプラなどを指す。
図 2 最小受信光入力の測定回路(ディジタルによる測定方法)
6.2
最大受信光入力 [φeDmax(D)]
6.2.1
目的 規定された状態での,最大受信光入力を測定することを目的とする。
6.2.2
測定回路 最大受信光入力の測定は,図3によって次の方法で行う。
6.2.3
測定方法 規定の電源電圧をモジュールに印加し,十分に高い消光比の条件下で光源を変調する。
一定の消光比と誤り率検出器への適切な入力条件を保つように増幅器の利得を調整しながら,光入力パワ
ーを調整する。規定の符号誤り率が得られる最大の光入力パワーを光パワーメータなどの光信号測定器を
用いて測定する。これがモジュールの最大受信光入力となる。
6.2.4
測定上の注意 光パワーメータなどの光信号測定器は,校正されていなければならない。光分岐を
用いる場合には,分岐比を事前に測定し温度及び偏波に対する変動が十分に小さいことを確認する。検出
ノイズの増大を避けるために,光源のC/Nは十分に高くなければならない。
6.2.5
個別規格に規定すべき項目
a) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
b) 電源電圧
c) 光源のピーク波長及びスペクトル幅
d) 伝送速度
e) 変調形式
f)
符号誤り率
g) 信号パターン(ビットシーケンス及びマーク率)
M
C
RL
電源
供試モジュール
光源
A
F
光信号
測定器
信号
発生器
光分岐
RL:負荷抵抗器
M:誤り率検出器
C:カップリングコンデンサ
F:フィルタ
A:増幅器
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h) イコライザのパラメータ(必要であれば)
備考 光分岐は,空間伝送の場合はビームスプリッタなど,ファイバ結合の場合はファイバカプラなどを指す。
図 3 最大受信光入力の測定回路
6.3
受光感度(RD)
6.3.1
目的 規定された変調条件下における光入力状態での,受光感度を測定することを目的とする。
6.3.2
測定回路 受光感度の測定は,図4によって次の方法で行う。
6.3.3
測定方法 供試モジュールに規定の電源電圧を印加する。光源を規定の直流光入力パワーφeと変
調周波数に調整し,モジュールに入力する。電圧計の交流出力V0(rms)を測定し,次式を用いて受光感度を
求める。
(
)
(
)
rms
e
rms
0
D
/φ
Δ
V
R=
························································································ (2)
6.3.4
測定上の注意 Δφe(rms)は直流光入力パワーより十分に小さく,規定された変調周波数帯で一定で
ある。
6.3.5
個別規格に規定すべき項目
a) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
b) 電源電圧
c) 負荷抵抗 RL
M
C
RL
電源
供試モジュール
光源
A
F
光信号
測定器
信号
発生器
光分岐
RL:負荷抵抗器
M :誤り率検出器
C :カップリングコンデンサ
F :フィルタ
A :増幅器
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d) 光源のピーク波長及びスペクトル幅
e) 直流光入力パワー
f)
変調周波数
図 4 受光感度測定
6.4
暗電流 (ID)
6.4.1
目的 規定された状態での,暗電流を測定することを目的とする。
6.4.2
測定回路 暗電流の測定は,図5によって次の方法で行う。
6.4.3
測定方法 光の入力がない状態で,供試pin-FETモジュールのPD電源端子に規定の電圧を印加
し,そのときの暗電流を測定する。
6.4.4
個別規格に規定すべき項目
a) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
b) 逆電圧
RL
V
C
電源
供試モジュール
光源
RL:負荷抵抗器
V:交流電圧計
又は電圧測定器
C:カップリングコンデンサ
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備考 この測定方法は,PD電源端子が独立して存在するpin-FETモジュールに対して適用する。
図 5 暗電流測定
6.5
上昇時間(tr)及び下降時間(tf)
6.5.1
目的 規定された状態での,上昇時間及び下降時間を測定することを目的とする。
6.5.2
測定回路 上昇時間及び下降時間の測定は,図6によって次の方法で行う。
6.5.3
測定方法 供試モジュールに規定の電源電圧を印加する。光源に規定光出力を得るための直流電流
及び規定の振幅並びにパルス幅及び繰返し周波数のく(矩)形電流パルスを重畳する。このようにして得
られた光パルスを供試モジュールに入力し,出力信号をオシロスコープなどで測定し,上昇時間及び下降
時間を求める。規定がない場合には,出力信号が最大値の10〜90 %までに増加するために要する時間を
上昇時間とする。また,出力信号が最大値の90〜10 %までに減少するために要する時間を下降時間とす
る(図 7を参照)。
なお,駆動パルス波形,周辺回路,配置などが測定結果に影響する場合があるので,必要に応じて,こ
れらを明示することが望ましい。
6.5.4
測定上の注意 光源は,供試モジュールの上昇時間及び下降時間よりも十分に高速な特性をもち,
安定な光出力であるものを使用する。
6.5.5
個別規格に規定すべき項目
a) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
b) 電源電圧
c) 入力光パルス波形
d) 光源のピーク波長及びスペクトル
e) 光入力パワー
f)
負荷抵抗,負荷容量
R
V
ID
V
A
供試モジュール
VPD
VCC
Vee
RL
E
E
+
−
+
−
R:保護抵抗器
A:直流電流計
V:直流電圧計
E:直流電源
RL:負荷抵抗器
VPD:PD逆電圧
VCC:電源端子
Vee:電源端子
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図 6 上昇時間及び下降時間の測定
tr tf
上昇時間 下降時間
図 7 上昇時間及び下降時間
6.6
遮断周波数(fc)
6.6.1
目的 規定された状態での,遮断周波数を測定することを目的とする。
6.6.2
測定回路 遮断周波数の測定は,図8によって次の方法で行う。
出
力
信
号
0
10
90
100
(%)
波形観測装置
C
RL
電源
供試モジュール
光源
信号
発生器
同期信号
RL:負荷抵抗器
C:カップリングコンデンサ
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6.6.3
測定方法 供試モジュールに規定の電源電圧を印加する。規定のピーク発振波長及びスペクトル幅
をもつ光源に,規定の光入力パワーが得られるような直流バイアス電流及び小信号正弦波信号を印加する。
小信号正弦波変調された光を供試モジュールに入力して電気信号に変換しその交流成分を取り出して交流
電圧計で測定し,高周波出力を求める。交流電圧計の代わりに,選択レベルメータ,スペクトラムアナラ
イザなどの測定器によって高周波出力を測定してもよい。遮断周波数fcは,変調光出力が基準とする低周
波(fc≧fc/100)の重畳時よりも3dB低下する周波数として,式(3)から求める。
()
()
0
p
c
p
10
log
10
dB
3
f
v
f
v
=
−
································································ (3)
ここに,
vp(f0 ): 基準周波数f0のときの交流出力電圧
vp(fc): 遮断周波数fcのときの交流出力電圧
6.6.4
測定上の注意 光源は,供試モジュールの遮断周波数よりも十分に高い遮断周波数をもつものを使
用する。また,レーザ駆動回路又はモジュール周辺回路の特性が,測定結果に影響する場合があるので,
必要に応じて,測定回路などを明示することが望ましい。さらに,交流信号源出力の周波数変動は十分に
小さいものを用いる。
6.6.5
個別規格に規定すべき項目
a) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
b) 電源電圧
c) 光源のピーク波長及びスペクトル幅
d) 光入力パワー
e) 負荷抵抗
図 8 遮断周波数測定
測定器
C
RL
電源
供試モジュール
光源
信号
発生器
RL:負荷抵抗器
C:カップリングコンデンサ
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6.7
周波数応答平たん度(ΔRD/RD)
6.7.1
目的 規定された状態での,周波数応答平たん度を測定することを目的とする。
6.7.2
測定回路 周波数応答平たん度の測定は,図9によって次の方法で行う。
6.7.3 測定方法 供試モジュールに規定の電源電圧を印加する。光源を規定の直流光入力パワーに設定し,
規定の周波数帯(f1〜f2)にわたって変調を加え,交流出力電圧V0(rms)を測定する。感度RDは,式(4)から算
出する。
(
)
(
)
rms
e
rms
0
/φ
V
RD=
···································································································· (4)
規定の変調周波数帯における最大感度(RDmax),最小感度(RDmin)及び中心周波数fmbでの感度
(RDmb)を求める。周波数応答平たん度は,式(5)から求める。
(
)
)
[
]
Dmb
min
D
Dmax
D
D
/
log
10
/
R
R
R
R
ΔR
−
=
(dB) ························· (5)
ここに,
fmb: 特に規定がない限りは
2
1
mb
f
f
f
×
=
とする。
6.7.4
測定上の注意 変調された光入力の交流成分は,直流成分よりも十分に小さく,変調周波数帯にわ
たって一定である。
6.7.5
個別規格に規定すべき項目
a) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
b) 電源電圧
c) 負荷抵抗
d) 光源のピーク波長及びスペクトル幅
e) 直流光入力パワー
f)
変調周波数帯及び変調度
g) 中心周波数(
2
1
mb
f
f
f
×
=
以外の場合)
図 9 周波数応答平たん度の測定
RL
V
C
電源
供試モジュール
光源
信号
発生器
RL:負荷抵抗器
V:交流電圧計又は電圧測定器
C:カップリングコンデンサ
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6.8
出力雑音電力密度(Pn0,λ)
6.8.1
目的 規定された状態での,出力雑音電力密度を測定することを目的とする。
6.8.2
測定回路 出力雑音電力密度の測定は,図10によって次の方法で行う。
6.8.3
測定方法 供試モジュールに規定の電源電圧を印加する。光源から規定の光入力パワーをモジュー
ルに入射する。規定の周波数fmにバンドパスフィルタの中心周波数を合わせ,電圧測定器で出力雑音電圧
Vmを読み取り,式(6)を用いて出力雑音電力密度を計算する。
(
)(
)
B
R
G
V
P
・
L
2
v
m
λ
n0,
/
/
=
······················································· (6)
ここに,
Gv: 増幅器の電圧利得
B: フィルタの帯域幅
電圧測定器の代わりに,スペクトラムアナライザなどの測定器によってモジュールからの出力を測定し
てもよい。
6.8.4
測定上の注意 増幅器の帯域幅は,フィルタによって決定される雑音帯域幅よりも十分に広い。測
定回路は,電気的に接地されシールドされている。
6.8.5
個別規格に規定すべき項目
a) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
b) 電源電圧
c) 負荷抵抗
d) 光源のピーク波長及びスペクトル幅
e) 光入力パワー
f)
フィルタの中心周波数及び帯域幅
図 10 出力雑音電力密度の測定
V
C
RL
電源
供試モジュール
光源
A
F
RL:負荷抵抗器
V:電圧測定器
C:カップリングコンデンサ
F:フィルタ
A:増幅器
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6.9
低周波雑音(Pno,λ,LF)及びコーナー周波数(fcor)
6.9.1
目的 規定された状態での,低周波雑音及びコーナー周波数を測定することを目的とする。
6.9.2
測定回路 低周波雑音及びコーナー周波数の測定は,図11によって次の方法で行う。
6.9.3
測定方法 光の入力がない状態で供試モジュールに規定の電源電圧を印加する。図12のように,
雑音電圧Vmが減少してほぼ一定になるまでフィルタの中心周波数を低周波側から上げていく。この一定
のVmの値をVm1とする。次にVmがVm1と比較して3 dB大きくなるまで周波数を下げていく。この周波数
がコーナ周波数fcorである。さらに,周波数を下げてゆき,ほぼリニアとなった領域での規定の周波数fm
でのVmを測定し,式(7)を用いて低周波雑音を計算する。
(
)(
)
B
R
G
V
P
・
L
2
v
m
LF
λ,
no,
/
/
=
···················································· (7)
ここに,
Gv: 増幅器の電圧利得
B: フィルタの帯域幅
6.9.4
測定上の注意 増幅器の帯域幅は,フィルタによって決定される雑音帯域幅よりも十分に広い。測
定回路は,電気的に接地されシールドされている。
6.9.5
個別規格に規定すべき項目
a) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
b) 電源電圧
c) 負荷抵抗
d) 測定周波数
e) フィルタの有効帯域幅
図 11 低周波雑音測定
V
C
RL
電源
供試モジュール
A
F
RL:負荷抵抗器
V:電圧測定器
C:カップリングコンデンサ
F:フィルタ
A:増幅器
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C 6115-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図 12 低周波雑音及びコーナ周波数
6.10 光反射減衰量(ORL)
6.10.1 目的 規定された状態での,光反射減衰量を測定することを目的とする。
6.10.2 測定回路 光反射減衰量の測定は,図13,図14及び図15によって次の方法で行う。
6.10.3 測定方法 図13の手順1に示すように試験装置を構成する。方向性結合器の端子2に基準光ファ
イバコード1を接続し,光パワーメータの指示値P0を読み取る。次に方向性結合器の端子2に基準光ファ
イバコード2を接続し,光パワーメータの指示値P0ʼを読み取る。さらに,図14の手順2−1又は図15の
手順2−2に示すように基準光ファイバコード3に供試モジュールを接続し,光パワーメータの指示値P1
を読みとる。光反射減衰量は,式(8)によって算出する。
()
(
)(
)
[
]
ʼ
ʼ
−
−
−
0
0
0
1
10
/
log
0
1
dB
P
P
P
P
ORL
=
······································· (8)
6.10.4 測定上の注意 基準光ファイバコード1は,片端に方向性結合器に接続するプラグ,反対側に完全
反射処理を施したプラグがそれぞれ付けられている光ファイバコードとする。基準光ファイバコード2は,
片端に方向性結合器に接続するプラグ,反対側に無反射終端処理を施した光ファイバコードとする。基準
光ファイバコード3は,片端に方向性結合器に接続するプラグ,反対側に供試モジュールとかん合するプ
ラグがそれぞれ付けられている光ファイバコードとする。光源からの出力が十分に安定してから測定する。
この方法の代わりにリターンロス測定器を用いてもよい。
6.10.5 個別規格に規定すべき項目
a) 周囲温度Ta又はケース温度Tc
b) 使用するファイバ及びプラグの種類
c) 光源のピーク波長及びスペクトル幅
d) 方向性結合器
3 dB
Vm*
Vm(fm)
Vm dB
fcor
fm
log f
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C 6115-2:2006
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図 13 光反射減衰量測定方法 (手順1)
図 14 光反射減衰量測定方法 (手順2−1)
図 15 光反射減衰量測定方法 (手順2−2)
方向性結合器
端子2
光源
光パワーメータ
供試モジュール
基準光ファイバコード3
P1
方向性結合器
端子2
光源
光パワーメータ
基準光ファイバコード1又は2
P0
完全反射処理又は無反射終端処理
方向性結合器
端子2
光源
光パワーメータ
供試モジュール
基準光ファイバコード3
P1
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
関連規格 JIS C 0617-1 電気用図記号 第1部:概説
JIS C 0617-2 電気用図記号 第2部:図記号要素,限定図記号及びその他の一般用途図記号
JIS C 0617-3 電気用図記号 第3部:導体及び接続部品
JIS C 0617-4 電気用図記号 第4部:基礎受動部品
JIS C 0617-8 電気用図記号 第8部:計器,ランプ及び信号装置
JIS C 0617-10 電気用図記号 第10部:電気通信:伝送
JIS Z 8202-0 量及び単位−第0部:一般原則
JIS Z 8202-1 量及び単位−第1部:空間及び時間
JIS Z 8202-2 量及び単位−第2部:周期現象及び関連現象
JIS Z 8202-3 量及び単位−第3部:力学
JIS Z 8202-4 量及び単位−第4部:熱
JIS Z 8202-5 量及び単位−第5部:電気及び磁気
JIS Z 8202-6 量及び単位−第6部:光及び関連する電磁放射
JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
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附属書1(参考) JISと対応する国際規格との対比表
JIS C 6115-2:2006 pin-FETモジュール測定方法
IEC 62007-2:1999,光ファイバ伝送システム用光電子半導体デバイスー第2部:測定方法
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差
異の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目番号
内容
項
目
番
号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
1.適用範囲
pin-FETモジュールの電気
的・光学的特性の測定方法
について規定。
IEC
62007-2
1
光半導体モジュール全般
(pin-FETモジュール,LED,光
伝送用半導体レーザモジュール
など)の測定方法について規定。
MOD/削除
JISは,pin-FETモジュ
ールに限定して規定。
削除した部分は別のJISとして制定済み又は
制定予定である[詳細は,この対比表の(Ⅰ)
JISの規定の項目番号6.に記載]。
2.引用規格
2
−
MOD/追加
引用規格にJIS規格
を追加
JISは,IEC規格にはない図記号及び計器を
規定しているため,必要な引用規格を追加。
通常一般的に広く使用されている規定であ
り,商取引上必要なので追加。IEC規格へ提
案を図る。
3.定義
JIS C 6155-1に規定の用語
の定義による。
−
−
MOD/追加
通常一般的に広く使用され,かつ,商取引上
必要な用語を追加規定。IEC規格へ提案を図
る。
4.測定の状
態
測定の状態(標準状態,基
準状態及び判定状態)につ
いて規定。
−
−
MOD/追加
測定条件の追加
pin-FETモジュールの測定時に通常広く採用
されている,温度などの条件を追加規定。IEC
規格へ提案を図る。
5.測定用機
器及び装置
測定用電源など,測定用機
器及び装置について規定。
−
−
MOD/追加
測定器及びその精度
を追加
pin-FETモジュールの測定に使用する機器及
び装置として必要な精度の規定を追加。IEC
規格へ提案を図る。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差
異の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
6.電気的・光
学的特性の
測定方法
6.1最小受信光入力
4.10
最小受信光入力
IDT
IEC規格は,複数の光能動部品に対する測定
方法を規定している。JISは,IEC規格のう
ち,pin-FETモジュールに関する測定方法だ
けを規定するとともに,現在日本で一般的に
使用されており,かつ,商習慣上必要な項目
の測定方法を追加規定した。これら追加測定
方法については,IEC規格へ提案を図る。
6.2最大受信光入力
−
−
MOD/追加
6.3受光感度
4.6
受光感度
IDT
6.4暗電流
−
−
MOD/追加
6.5上昇時間及び下降時間
−
−
MOD/追加
6.6遮断周波数
−
−
MOD/追加
6.7周波数応答平たん度
4.7
周波数応答平たん度
IDT
6.8出力雑音電力密度
4.8
出力雑音電力密度
IDT
6.9低周波雑音及びコーナ
ー周波数
4.9
低周波雑音及びコーナ周波数
IDT
6.10光反射減衰量
−
−
MOD/追加
−
pin-FETモジュールに関連する
もの以外の項目
MOD/削除
削除した部分は,別のJISとして制定済み又
は制定予定である。
制定済み:
JIS C 5941(光伝送用半導体レーザ)
JIS C 5943(光伝送用半導体レーザモジュー
ル)
JIS C 5951(光伝送用発光ダイオード)
JIS C 5991(光伝送用フォトダイオード)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差
異の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
6.電気的・光
学的特性の
測定方法
(続)
制定予定:
・光ファイバ増幅器用半導体レーザモジュー
ル
・光変調器モジュール
・デュプレクサモジュール
・LEDアレイ
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の意味は,次のとおりである。
− IDT ・・・・・・・技術的差異がない。
− MOD/追加・・・・国際規格にない規定項目又は内容を追加している。
− MOD/削除・・・・国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
− MOD・・・・・・・国際規格を修正している。