C 6110 : 1997
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによって,JIS C 6110-1990は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実
用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録
出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS C 6110には,次に示す附属書がある。
附属書1(参考) 低速光伝送リンク用送・受信モジュール個別規格の様式
附属書2(参考) 低速光伝送リンク用送・受信モジュール環境試験及び耐久性試験方法規格の様式
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 6110 : 1997
低速光伝送リンク用送・受信
モジュール通則
General rules of transmitting and receiving modules
for low speed fiber optic transmission
序文 この規格は,国内外における光伝送リンク市場の拡大及び国際標準化活動の活発化という背景のも
と,国内規格の早期整備の要求に応え,10Mb/s以下のNRZディジタル信号をマルチモード光ファイバを
介して伝送するための,2R(波形再生及び波形整形)機能をもつ低速光伝送リンク用送・受信モジュール
の通則について定めたものである。
1. 適用範囲 この規格は,伝送速度が10Mb/s以下のNRZディジタル信号を,マルチモード光ファイバ
を介して伝送するための,波形再生及び波形整形機能をもつ低速光伝送リンク用送・受信モジュールの用
語,記号,分類,最大定格,性能などの一般的な共通事項について規定する。
備考 ここでいう低速光伝送リンク用送・受信モジュールとは,発光ダイオードを発光素子とし,こ
の発光素子と電子回路及び光ファイバとの接続部からなる送信部並びに受光素子と電子回路及
び光ファイバとの接続部からなる受信部によって構成されるもので,構造上次の3種類の総称
である。
a) 送信部が個別のモジュールとして構成される送信モジュール
b) 受信部が個別のモジュールとして構成される受信モジュール
c) 送信部と受信部が1個のモジュール内に構成される送受信モジュール
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS C 0301 電気用図記号
JIS C 6111 低速光伝送リンク用送・受信モジュール測定方法
3. 定義 この規格で用いる主な用語(記号)の定義は,次による。
a) 絶対最大定格 (Absolute maximum ratings) 瞬時でも超過してはならない限界値。どの一つの規格値
も超えてはならない。
b) 保存温度 (Storage ambient temperature, Tstg) 電源電圧及び入力信号を加えないときの許容周囲温度。
c) 動作温度 (Operating temperature, Top) 規定の電源電圧及び入力信号を加えたとき,動作が保証できる
周囲温度 [Operating ambient temperature, Top (a)] 又はケース温度 [Operating case temperature, Top (c)]。
d) ケース温度 (Case temperature, Tc) ケース上の規定の部分での温度。
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e) 電源電圧 (Supply voltage) 動作させるために供給する電圧。
f)
入力信号電圧 (Data input voltage, Vi) 信号入力端子に入力される信号の電圧。
g) 入力信号電流 (Data input current, Ii) 信号入力端子に入力される信号の電流。
h) 伝送速度 (Transmission bit rate) 伝送する信号の単位時間当たりの情報量(ビット数)。通常ビット
/秒 (b/s) の単位で表す。
i)
伝送距離 (Transmission distance) 規定のマーク率の信号を規定の符号誤り率以下で伝送できる最大
の距離。
j)
送信光出力 (Output optical power, Pf) 送信部の光出力端部から取り出される光パワーの平均値。単位
はdBmで表す。平均値でなくピーク値をとる場合はそれを明記する。dBm単位の光パワーは,次の
式で表される。
Pf (dBm) =10log10P
ここに, P: mW単位で表した送信光出力
Pf: dBm単位の送信光出力
k) ピーク発光波長 (Peak emission wavelength, λp) 光出力が最大となる波長。
l)
スペクトル幅 (Spectral radiation bandwidth, ∆λw) 光出力がピーク発光波長に対し,規定の値となるス
ペクトルの広がり幅(全幅)。なお,最大のピークに対し50%になる広がり幅(全幅)は特にスペク
トル半値幅 (∆λ) という。スペクトル半値幅はFWHM(半値全幅)ともいう。
m) 最大受信光入力 (Maximum received optical power, PImax) 規定の動作条件で,規定の符号誤り率で受
信できる入力光パワーの平均値の最大値。単位はdBmで表す。平均値でなくピーク値をとる場合はそ
れを明記する。
n) 最小受信光入力 (Minimum received optical power, PImin) 規定の動作条件で,規定の符号誤り率で受信
できる入力光パワーの平均値の最小値。単位はdBmで表す。平均値でなくピーク値をとる場合はそれ
を明記する。
o) 波形再生 (Regenerating) 受信部の入力信号から,ひずみ及び雑音を取り除いて送信部の出力信号に
復元する処理。
p) 波形整形 (Reshaping) 波形再生した信号から,線形又は非線形回路によって元の送信部の入力信号
を作り出す処理。
q) パルス幅 (Pulse width, tw) パルスの持続時間。規定のない限り,前縁での半値点から後縁での半値
点までの時間。
r) パルス幅ひずみ (Distortion of pulse width, ∆tw) 送信部の光出力又は受信部の電気出力の波形のパル
ス幅とその基準となる波形のパルス幅との差。
s)
パルス幅ジッタ (Randam jitter, ∆tj) ゆらぎがない理想的なパルス幅区間での信号の変換点からのラ
ンダムパターン,又は信号の符号パターンによる位相,又は変換点のゆらぎ。パルス幅ジッタの成分
の中でマーク率の変動に起因する比較的低周波のゆらぎを特にワンダと呼ぶ。
t)
NRZ (Non Return to Zero) データが“1”のとき,そのビット区間のすべてが“ハイレベル”,データ
が“0”のとき,ビット区間すべてが“ローレベル”の信号列。
u) 正論理 (Positive logic) 送信部で電気入力データが“1”のとき光出力が“点灯”し,電気入力デー
タが“0”のとき光出力が“非点灯”である論理,又は受信部で光入力が“点灯”のとき電気出力デー
タが“1”で,光入力が“非点灯”のとき電気出力データが“0”である論理。
v) 負論理 (Negative logic) 送信部で電気入力データが“0”のとき光出力が“点灯”し,電気入力デー
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
タが“1”のとき光出力が“非点灯”である論理,又は受信部で光入力が“点灯”のとき電気出力デー
タが“0”で,光入力が“非点灯”のとき電気出力データが“1”である論理。
w) 上昇時間 (Rise time, tr) 規定がない場合,送信部の光出力パルス,又は受信部の電気出力パルスがパ
ルス振幅の10%から90%まで増加するのに要する時間。
x) 下降時間 (Fall time, tf) 規定がない場合,送信部の光出力パルス,又は受信部の電気出力パルスがパ
ルス振幅の90%から10%まで減少するのに要する時間。
y) 伝搬遅延時間 (Transmission delay time, td) 信号の半値点間の時間差で表した入力信号に対する出力
信号の遅れ時間。
z) 電気入力インタフェース (Electrical input interface) 送信部の入力信号を電圧値及び電流値で表した
電気的接続。
aa) 電気出力インタフェース (Electrical output interface) 受信部の出力信号を電圧値及び電流値で表し
た電気的接続。
ab) 電源電流 (Supply current) 電源端子に電源電圧を印加したときに端子間に流れる電流値。
ac) マーク率 (Mark density, U) 二値の信号列で論理値“1”が発生又は出現する確率。
ad) 符号誤り率 (Bit error rate, BER) 単位時間当たりの送信パルス(基準パルス)ビット数で受信パルス
(被測定パルス)の誤りビット数を割った値。
4. 個別規格 個々の低速光伝送リンク用送・受信モジュールの絶対最大定格,性能,外形などを個別規
格に規定する。
5. 図記号 図記号は,JIS C 0301の規定による。
6. 分類 低速光伝送リンク用送・受信モジュールの分類は,表1による。
表1 低速光伝送リンク用送・受信モジュールの分類
分類項目
種類
大項目
小項目
適用光ファイバ
−
全プラスチックマルチモード光ファイバ,
プラスチッククラッドマルチモード光ファイバ,
石英系マルチモード光ファイバ,
多成分系マルチモード光ファイバなど
伝送速度
−
0〜1Mb/s
0.1〜10Mb/sなど
伝送距離
−
10m, 100m, 500m, 1kmなど
使用光半導体
発光素子 600nm帯発光ダイオード,
800nm帯発光ダイオード,
1 300nm帯発光ダイオードなど
受光素子 PIN形フォトダイオード (PIN-PD),
アバランシェフォトダイオード (APD) など
論理
−
正論理,負論理
構造
−
送信部単独構造,受信部単独構造,
送信部・受信部一体構造など
適用光コネクタ
−
ねじ締結構造,プッシュオン構造,バヨネット構造など
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7. 最大定格 低速光伝送リンク用送・受信モジュールの最大定格は絶対最大定格とする。最大定格の項
目は,附属書1に示す個別規格の様式による。保存温度,動作温度,電源電圧及び入力信号電圧の規定値
は,表2〜5の値とする。
表2 保存温度 (Tstg)
単位 ℃
下限値
−10
−20
−30
−40
−50
−55
−60
−65
上限値
50
60
70
80
85
90
100
125
150
表3 動作温度 (Top)
単位 ℃
下限値
0
−10
−20
−25
−40
−50
上限値
40
50
60
65
70
80
85
90
100
125
表4 電源電圧
単位 V
電源電圧
−36
−32
−18
−10
−8
−7
−6 −0.5 −0.3
0
0.5
6
7
14
18
32
36
表5 入力信号電圧 (VI)
単位 V
入力信号
−36
−30 −15
−10
−7
−5 −0.5 −0.3
0
電圧
0.5
5
5.5
6
7
10
15
20
32
36
備考 入力信号電圧の最大定格は,表5の値のほか,使用電源電圧又は使用電源電圧+0.5
でもよい。
8. 性能
8.1
電気的及び光学的特性 低速光伝送リンク用送・受信モジュールの電気的及び光学的特性は,附属
書1に示す個別規格に規定した項目で規定する。
なお,個別規格で規定する測定条件のうち,符号誤り率BERは表6の値,マーク率Uは表7の値を推
奨する。
表6 特性を規定する測定条件として与える符号誤り率 (BER)
符号誤り率
10−6
10−9 10−12
表7 特性を規定する測定条件として与えるマーク率 (U)
単位 %
マーク率
0
25
50
75
100
8.2
環境条件に対する性能 低速光伝送リンク用送・受信モジュールの環境条件に対する性能は,附属
書2に示す規定を満足しなければならない。
9. 外形 外形は,個別規格の規定による。
10. 測定 低速光伝送リンク用送・受信モジュールの測定は,個別規格に規定がない限りJIS C 6111によ
る。
11. 表示 低速光伝送リンク用送・受信モジュールには,次の項目を表示しなければならない。ただし,
低速光伝送リンク用送・受信モジュールに表示することが困難な場合は,包装に表示してもよい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,c),d)はいずれか一方を省略してもよい。
a) 形名(製造業者の指定による。)
b) 製造業者名又はその略号
c) 製造年月若しくは製造年週又はそれらの略号
d) 製造ロット番号
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書1(参考) 低速光伝送リンク用送・受信モジュール
個別規格の様式
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2(参考) 低速光伝送リンク用送・受信モジュール
環境試験及び耐久性試験方法規格の様式
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C 6110 : 1997
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
関連規格 JIS C 7021 個別半導体デバイスの環境試験方法及び耐久性試験方法
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
光能動部品標準化委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
福 田 光 男
日本電信電話株式会社NTT光エレクトロニクス研究所
井 沢 浩
三菱電機株式会社鎌倉製作所
北相模 博 夫
富士通株式会社基幹通信事業本部光開発推進部
北 原 知 之
株式会社日立製作所情報通信事業部
城 野 順 吉
アンリツ株式会社計測器事業部
堀 川 英 明
沖電気工業株式会社研究開発本部半導体技術研究所
本 田 和 生
ソニー株式会社セミコンダクタカンパニー半導体レーザ部
御神村 泰 樹
住友電気工業株式会社光電子事業部
宮 島 博 文
浜松ホトニクス株式会社中央研究所
本 舘 淳 哉
株式会社東芝半導体システム技術センター
竹 川 浩
シャープ株式会社オプトデバイス事業部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
兼 谷 明 男
通商産業省
増 田 岳 夫
財団法人光産業技術振興協会
(事務局)
山 田 康 之
財団法人光産業技術振興協会