C 6065:2016
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
0 安全性の原則 ··················································································································· 1
1 一般事項························································································································· 3
2 用語及び定義 ·················································································································· 10
3 一般要求事項 ·················································································································· 20
4 試験に関する一般条件 ······································································································ 21
5 表示及び説明書 ··············································································································· 27
6 危険な放射 ····················································································································· 32
7 通常動作状態の下での温度上昇 ·························································································· 34
8 感電保護に関する構造要求 ································································································ 38
9 通常動作状態の下での感電の危険 ······················································································· 45
10 絶縁要求 ······················································································································ 48
11 故障状態 ······················································································································ 51
12 機械的強度 ··················································································································· 54
13 空間距離及び沿面距離 ···································································································· 59
14 部品 ···························································································································· 70
15 端子 ···························································································································· 85
16 外部可とうコード ·········································································································· 91
17 電気的接続及び機械的固定 ······························································································ 94
18 映像管の機械的強度及び爆縮に対する保護 ········································································· 96
19 安定性及び機械的危険 ···································································································· 97
20 耐火性 ························································································································· 99
附属書A(規定)防まつ(沫)機器に適用する追加要求事項······················································· 114
附属書B(規定)ネットワーク線に接続する機器 ······································································ 115
附属書C(規定)広帯域ノイズ測定用バンドパスフィルタ ························································· 118
附属書D(規定)タッチカレントの測定回路網 ········································································ 119
附属書E(規定)空間距離及び沿面距離の測定 ········································································· 120
附属書F(規定)電気化学的電位表 ························································································ 124
附属書G(規定)燃焼性試験法 ····························································································· 125
附属書H(規定)介在絶縁物なしで用いる絶縁巻線 ·································································· 128
附属書I(規定なし) ·········································································································· 130
附属書J(規定)最小空間距離を求めるための代替方法 ····························································· 131
附属書K(規定)インパルス試験発生器 ················································································· 136
附属書L(規定)写真用エレクトロニックフラッシュ装置に適用する追加要求事項 ························· 137
附属書M(参考)空間距離の軽減を許容するための品質管理プログラムに対する要求事項の例 ········· 140
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ページ
附属書N(参考)ルーチン試験 ····························································································· 141
附属書JA(規定)製造時における耐電圧試験 ·········································································· 143
附属書JB(参考)過電圧・過電流に関する設置環境の現状及び対処法 ········································· 144
参考文献 ··························································································································· 147
附属書JC(参考)JISと対応国際規格との対比表 ····································································· 149
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人ビジ
ネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案
を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が
改正した日本工業規格である。これによって,JIS C 6065:2013は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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オーディオ,ビデオ及び類似の電子機器−
安全性要求事項
Audio, video and similar electronic apparatus-Safety requirements
序文
この規格は,2014年に第8版として発行されたIEC 60065を基とし,国内の電源事情などを考慮し,技
術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JCに示す。また,附属書JA及び附属書JBは対応国際規格にはない事
項である。
0
安全性の原則
0.1
一般事項
この箇条は,この規格に規定する要求事項の基になる原則を正しく認識することを意図して設けたもの
である。この原則を理解することは,安全な機器を設計し,製造するために不可欠である。
この規格の要求事項は,人間及び機器周囲に対する保護を備えることを意図している。
標準化した要求事項は,満足できる安全レベルを達成するために最低限必要なものであるという原則に
留意する。
技能及び技術の更なる進歩によって,将来この規格の改正の必要性が生じる場合がある。
注記 上記の“機器周囲に対する保護”には,機器のライフサイクル,すなわち,製造,使用,保守,
廃棄及び機器の部品の寿命後のリサイクルを考慮して,機器の使用を意図した自然環境の保護
も含めることが望ましい。
0.2
危険性
この規格の適用は,次の危険要因による傷害又は損害を防止することを意図している。
− 感電
− 過度の温度
− 放射
− 爆縮
− 機械的な危険
− 火災
− 化学熱傷[例:リチウムコイン(ボタン)電池を誤飲した結果として]
0.3
感電
感電は,人体に流れる電流によって起きる。ミリアンペアオーダの電流は,健康な人に反応を起こさせ,
無意識の反応が二次的な危険を生むことがある。電流が大きくなれば,更に損傷被害が増加する。ある限
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度値以下の電圧は,一般的に特定の条件下では危険でないものとみなす。接触又は操作する部分に高い電
圧の現れる可能性に対する保護を備えるために,そのような部分は接地するか又は適切に絶縁する。
触れることができる部分に対しては,単一故障によって生じる感電の危険を防止するために,通常2段
階の保護を設けている。このようにして単一故障及びこれによって派生する故障が危険を発生させること
がないようにする。追加の保護手段,例えば,付加絶縁又は保護接地の装備は,適切に設計した基礎絶縁
に代わるものではなく,軽減するものでもない。
原因
防止策
通常危険な電圧である部分に触れる。
固定又は鍵付のカバー,インタロックなどによって危険な電圧部に
触れることを防止する。
危険な電圧状態のコンデンサを放電する。
通常危険な電圧部と可触部との間の絶縁が
破壊する。
通常危険な電圧部と可触部との間に二重絶縁若しくは強化絶縁の
いずれかを用い,絶縁破壊が起きないようにするか,又は可触導電
部を保護接地に接続し,発生する電圧を安全な値に制限するように
する。絶縁には,十分な機械的及び電気的強度を施す。
通常危険な電圧部と通常危険な電圧でない
回路との間の絶縁が破壊し,可触部及び端子
を危険な電圧にする。
危険な電圧回路と危険でない電圧回路との間を二重絶縁若しくは
強化絶縁で分離して絶縁破壊が起きないようにするか,又は保護接
地遮蔽物によって若しくは通常危険でない電圧の回路を保護接地
に接続して,発生する電圧を安全な値に制限するようにする。
危険な電圧部から人体を通って流れるタッ
チカレント(タッチカレントには,主電源供
給回路と可触部又は端子との間に接続した
RFIフィルタ部品による電流を含む。)。
タッチカレントを安全な値に制限するか又は可触部に保護接地接
続を施す。
0.4
過度の温度
要求事項には,可触部の過度の温度による傷害を防止すること,過度の内部温度による絶縁の損傷を防
止すること,及び機器の内部に発生する過度の温度による機械的不安定を防止することを含む。
0.5
放射
要求事項には,例えば,放射を危険でない値に制限することによって,過度のエネルギーレベルの電離
放射及びレーザ放射による傷害を防止することを含む。
0.6
爆縮
要求事項には,映像管の爆縮による傷害を防止することを含む。
0.7
機械的な危険
要求事項には,機器及びその部品が十分な強度及び安定性をもつこと,シャープエッジがないようにす
ること,並びに危険な可動部を保護するか又はインタロックを設けることを含む。
0.8
火災
火災は,次の要因で発生する。
− 熱源
− アーク
これらは,次の原因によって起こる。
− 過負荷
− 部品故障
− 絶縁破壊
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− 接続不良
− 導体損傷
要求事項には,機器の内部で発生する火災を発火源のごく近傍以外には広がらないようにすること,及
び機器の周辺への損害を防止することを含む。
次の防止策を推奨する。
− 適切な部品及び部分組立品を用いる。
− 通常状態又は故障状態の下で,発火の原因となる過度の温度上昇を防止する。
− 不完全接触,接続不良及び遮断のような潜在的発火源を除去する手段を講じる。
− 用いる可燃性材料の使用量を制限する。
− 潜在的発火源に対して,可燃性材料の取付位置を調節する。
− 潜在的発火源の近くでは耐火性の高い材料を用いる。
− 機器内部での火災の広がりを制限するために,カプセル封入又はバリアを用いる。
− エンクロージャに適切な難燃性の材料を用いる。
1
一般事項
1.1
適用範囲
1.1.1
この安全規格は,主電源,電源装置,電池又は遠隔電力供給から給電するように設計し,かつ,オ
ーディオ,ビデオ及び関連の信号を受信,発生,記録又は再生することを意図して設計した電子機器につ
いて規定する。また,通常,上記の機器と組み合わせて用いるように設計した機器にも適用できる。
この規格は,主として,家庭用及びこれに類するところで用いることを意図した機器に適用するが,こ
れらの機器は,公共の会合場所,例えば,学校,劇場,作業所及び仕事場で用いてもよい。公共の会合場
所に用いることを意図した専門家用機器にも,特に他の規格の対象となっていない限りこの規格を適用す
る。
この規格は,上記の機器の安全性に関わる事項だけに関与し,その他の事項,例えば,形状又は性能に
は関与しない。
上記の機器が,例えば,組み込まれているモデムによって,ネットワーク線又は類似の通信網に接続す
るように設計した場合,この規格を適用する。
この規格の対象となる機器の例は,次による。
− 音声及び/又は映像用の受信器及び増幅器
− 独立した負荷変換器及びソース変換器
− この規格の適用範囲内の機器に給電することを意図した電源装置
− 電子楽器,並びに電子的又は非電子的な楽器とともに用いるリズム発生器,調音発生器,調律器及び
これに類する電子的なアクセサリ
− 教育用のオーディオ及び/又はビデオ機器
− ビデオプロジェクタ
注記1 フィルムプロジェクタ,スライドプロジェクタ及びオーバヘッドプロジェクタは,JIS C
9335-2-56の適用範囲内である。
− ビデオカメラ及びビデオモニタ
− ビデオゲーム機及びフリッパゲーム機
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− ジュークボックス
− 電子ゲーム機器及び電子得点記録機器
注記2 業務用のビデオゲーム機,フリッパゲーム機,その他のアミューズメント機器は,JIS C
9335-2-82の適用範囲内である。
− テレテキスト装置
− レコード及び光ディスクプレーヤ
− テープ及び光ディスクレコーダ
− アンテナ信号変換器及び増幅器
− アンテナポジショナ
− (市民バンド機器を削除した。)
− 画像処理用機器
− 電子式光効果機器
− アラームシステムに用いる機器
− (伝達媒体として低電圧主電源を用いる相互通信機器を削除した。)
− ケーブルヘッドエンド受信器
− 専門家用の一般用増幅器,レコード又はディスクプレーヤ,テーププレーヤ,レコーダ及び拡声シス
テム
− 専門家用の音響及び/又はビデオシステム
− 写真用エレクトロニックフラッシュ装置(附属書L参照)
− マルチメディア機器
マルチメディア機器の安全性の要求事項に適合させるために,JIS C 6950-1の要求事項を用いてもよい
(IEC Guide 112も参照)。
1.1.2
この規格は,次の値以下の定格電圧の機器に適用する。
− 単相の交流電源又は直流電源に接続する機器の場合,250 V
− 単相以外の交流電源に接続する機器の場合,433 V
1.1.3
この規格は,主として,乾燥した地域及び温帯気候又は熱帯気候の地域で,海抜2 000 m以下の高
度で用いる機器に適用する。
我が国では,温帯気候の規定を適用する。
飛まつ(沫)に対する保護を備えた機器に対しては,附属書Aに追加の要求事項がある。
ネットワーク線に接続する機器に対しては,附属書Bに追加の要求事項がある。
車,船若しくは飛行機内,又は海抜2 000 mを超える高度で用いることを意図した機器に対しては,追
加の要求事項が必要になる場合がある。
注記1 JIS C 60664-1の表A.2を参照。
注記2 (対応国際規格の“中国は,海抜2 000 mを超える高度での増倍率の選択について,特別な
要求事項がある”の注記を削除した。)
特別の使用条件を意図した機器に対しては,この規格に規定する要求事項に対し,追加の要求事項が必
要になる場合がある。
1.1.4
主電源から電力供給を受けるように設計した機器の場合,JIS C 60664-1に規定する過電圧カテゴ
リII以下の過渡過電圧の主電源に接続することを意図した機器に対しては,この規格を適用する。
過電圧カテゴリIIを超える過渡過電圧が加わる機器については,その機器の主電源に,追加の保護が必
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要になる場合がある。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60065:2014,Audio, video and similar electronic apparatus−Safety requirements(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
1.2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0205-2 一般用メートルねじ−第2部:全体系
注記 対応国際規格:ISO 261,ISO general purpose metric screw threads−General plan(IDT)
JIS B 0205-3 一般用メートルねじ−第3部:ねじ部品用に選択したサイズ
注記 対応国際規格:ISO 262,ISO general purpose metric screw threads−Selected sizes for screws, bolts
and nuts(IDT)
JIS C 0920:2003 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
注記 対応国際規格:IEC 60529:1989,Degrees of protection provided by enclosures (IP Code)及び
Amendment 1:1999(IDT)
JIS C 0922:2002 電気機械器具の外郭による人体及び内部機器の保護−検査プローブ
注記 対応国際規格:IEC 61032:1997,Protection of persons and equipment by enclosures−Probes for
verification(IDT)
JIS C 1514:2002 オクターブ及び1/Nオクターブバンドフィルタ
注記 対応国際規格:IEC 61260,Electroacoustics−Octave-band and fractional-octave-band filters(IDT)
JIS C 2107 電気絶縁用粘着テープ試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60454 (all parts),Pressure-sensitive adhesive tapes for electrical purposes
(MOD)
JIS C 2134 固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
注記 対応国際規格:IEC 60112:2003,Method for the determination of the proof and the comparative
tracking indices of solid insulating materials及びAmendment 1:2009
JIS C 2140:2009 固体電気絶縁材料−絶縁抵抗の測定方法
注記 対応国際規格:IEC 60167:1964,Methods of test for the determination of the insulation resistance of
solid insulating materials(MOD)
JIS C 2143(規格群) 電気絶縁材料−熱的耐久性
注記 対応国際規格:IEC 60216 (all parts),Electrical insulating materials−Thermal endurance properties
(MOD)
JIS C 2336 電気絶縁用ポリ塩化ビニル粘着テープ
注記 対応国際規格:IEC 60454 (all parts),Pressure-sensitive adhesive tapes for electrical purposes
(MOD)
JIS C 2338 電気絶縁用ポリエステル粘着テープ
注記 対応国際規格:IEC 60454 (all parts),Pressure-sensitive adhesive tapes for electrical purposes
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(MOD)
JIS C 2814-2-2 家庭用及びこれに類する用途の低電圧用接続器具−第2-2部:ねじなし形締付式接続
器具の個別要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60998-2-2,Connecting devices for low-voltage circuits for household and
similar purposes−Part 2-2: Particular requirements for connecting devices as separate entities with
screwless-type clamping units(MOD)
JIS C 3216-3 巻線試験方法−第3部:機械的特性
注記 対応国際規格:IEC 60851-3:2009,Winding wires−Test methods−Part 3: Mechanical properties
(MOD)
JIS C 3216-5 巻線試験方法−第5部:電気的特性
注記 対応国際規格:IEC 60851-5:2008,Winding wires−Test methods−Part 5: Electrical properties
(MOD)
JIS C 3662(規格群) 定格電圧450/750 V以下の塩化ビニル絶縁ケーブル
注記 対応国際規格:IEC 60227 (all parts),Polyvinyl chloride insulated cables of rated voltages up to and
including 450/750 V(MOD)
JIS C 3662-2 定格電圧450/750 V以下の塩化ビニル絶縁ケーブル−第2部:試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60227-2:1997,Polyvinyl chloride insulated cables of rated voltages up to and
including 450/750 V−Part 2: Test methods
JIS C 3663(規格群) 定格電圧450/750 V以下のゴム絶縁ケーブル
注記 対応国際規格:IEC 60245 (all parts),Rubber insulated cables−Rated voltages up to and including
450/750 V(MOD)
JIS C 4003 電気絶縁−熱的耐久性評価及び呼び方
注記 対応国際規格:IEC 60085,Electrical insulation−Thermal evaluation and designation(MOD)
JIS C 4526-1:2005 機器用スイッチ−第1部:一般要求事項
注記 対応国際規格:IEC 61058-1:2000,Switches for appliances−Part 1: General requirements(MOD)
JIS C 5101-1:2010 電子機器用固定コンデンサ−第1部:品目別通則
注記 対応国際規格:IEC 60384-1:2008,Fixed capacitors for use in electronic equipment−Part 1:
Generic specification(IDT)
JIS C 5101-14:2009 電子機器用固定コンデンサ−第14部:品種別通則:電源用電磁障害防止固定コ
ンデンサ
注記 対応国際規格:IEC 60384-14:2005,Fixed capacitors for use in electronic equipment−Part 14:
Sectional specification: Fixed capacitors for electromagnetic interference suppression and connection
to the supply mains(IDT)
JIS C 6101-1:1998 テレビジョン受信機試験方法 第1部:一般的事項−高周波テレビジョン信号及
び映像周波数における電気的測定
注記 対応国際規格:IEC 60107-1:1997,Methods of measurement on receivers for television broadcast
transmissions−Part 1: General considerations−Measurements at radio and video frequencies
(MOD)
JIS C 6575(規格群) ミニチュアヒューズ
注記 対応国際規格:IEC 60127 (all parts),Miniature fuses(MOD)
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JIS C 6691:2013 温度ヒューズ−要求事項及び適用の指針
JIS C 6802:2011 レーザ製品の安全基準
注記 対応国際規格:IEC 60825-1:2007,Safety of laser products−Part 1: Equipment classification and
requirements(IDT)
JIS C 6802:2014 レーザ製品の安全基準
JIS C 6950-1 情報技術機器−安全性−第1部:一般要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60950-1:2005,Information technology equipment−Safety−Part 1: General
requirements,Amendment 1:2009及びAmendment 2:2013(MOD)
JIS C 6965 ブラウン管の機械的安全性
注記 対応国際規格:IEC 61965,Mechanical safety of cathode ray tubes(IDT)
JIS C 8105-2-9:2005 照明器具−第2-9部:写真及び映画撮影用照明器具に関する安全性要求事項(ア
マチュア用)
注記 対応国際規格:IEC 60598-2-9:1987,Luminaires−Part 2: Particular requirements−Section 9: Photo
and film luminaires (non-professional)及びAmendment 1:1993(MOD)
JIS C 8105-2-17:2000 照明器具−第2-17部:舞台照明,テレビ,映画及び写真スタジオ用の照明器具
に関する安全性要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60598-2-17:1984,Luminaires−Part 2: Particular requirements−Section 17:
Luminaires for stage lighting, television and film studios (outdoor and indoor),Amendment 1:1987
及びAmendment 2:1990(MOD)
JIS C 8282(規格群) 家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント
JIS C 8283(規格群) 家庭用及びこれに類する用途の機器用カプラ
注記 対応国際規格:IEC 60320 (all parts),Appliance couplers for household and similar general purposes
(MOD)
JIS C 8283-1 家庭用及びこれに類する用途の機器用カプラ−第1部:一般要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60320-1,Appliance couplers for household and similar general purposes−Part
1: General requirements(MOD)
JIS C 8283-2-2 家庭用及びこれに類する用途の機器用カプラ−第2-2部:家庭用及び類似の機器用相
互接続カプラ
JIS C 8283-2-3 家庭用及びこれに類する用途の機器用カプラ−第2-3部:IPX1以上の保護等級をも
つ機器用カプラ
JIS C 8285 工業用プラグ,コンセント及びカプラ
JIS C 8286 電気アクセサリ−電源コードセット及び相互接続コードセット
JIS C 8303 配線用差込接続器
JIS C 8513 リチウム一次電池の安全性
注記 対応国際規格:IEC 60086-4,Primary batteries−Part 4: Safety of lithium batteries(MOD)
JIS C 8712 ポータブル機器用二次電池(密閉型小型二次電池)の安全性
JIS C 9335-1 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性−第1部:通則
注記 対応国際規格:IEC 60335-1,Household and similar electrical appliances−Safety−Part 1: General
requirements
JIS C 60068-2-6:2010 環境試験方法−電気・電子−第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc)
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注記 対応国際規格:IEC 60068-2-6:2007,Environmental testing−Part 2-6: Tests−Test Fc: Vibration
(sinusoidal)(IDT)
JIS C 60068-2-31:2013 環境試験方法−電気・電子−第2-31部:落下試験及び転倒試験方法(試験記
号:Ec)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-31:2008,Environmental testing−Part 2-31: Tests−Test Ec: Rough
handling shocks, primarily for equipment-type specimens(IDT)
JIS C 60068-2-75 環境試験方法−電気・電子−第2-75部:ハンマ試験
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-75,Environmental testing−Part 2-75: Tests−Test Eh: Hammer tests
JIS C 60068-2-78 環境試験方法−電気・電子−第2-78部:高温高湿(定常)試験方法(試験記号:
Cab)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-78,Environmental testing−Part 2-78: Tests−Test Cab: Damp heat,
steady state(IDT)
JIS C 60664-1:2009 低圧系統内機器の絶縁協調−第1部:基本原則,要求事項及び試験
注記 対応国際規格:IEC 60664-1:2007,Insulation coordination for equipment within low-voltage
systems−Part 1: Principles, requirements and tests(IDT)
JIS C 60664-3 低圧系統内機器の絶縁協調−第3部:汚損保護のためのコーティング,ポッティング
及びモールディングの使用
注記 対応国際規格:IEC 60664-3,Insulation coordination for equipment within low-voltage systems−
Part 3: Use of coating, potting or moulding for protection against pollution(IDT)
JIS C 60695-11-5:2007 耐火性試験−電気・電子−第11-5部:試験炎−ニードルフレーム(注射針バ
ーナ)試験方法−装置,試験炎確認試験装置の配置及び指針
注記 対応国際規格:IEC 60695-11-5:2004,Fire hazard testing−Part 11-5: Test flames−Needle-flame
test method−Apparatus, confirmatory test arrangement and guidance(IDT)
JIS C 60695-11-10:2015 耐火性試験−電気・電子−第11-10部:試験炎−50 W試験炎による水平及び
垂直燃焼試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60695-11-10:2013,Fire hazard testing−Part 11-10: Test flames−50 W
horizontal and vertical flame test methods(IDT)
JIS C 61558-1:2012 変圧器,電源装置,リアクトル及びこれに類する装置の安全性−第1部:通則及
び試験
注記 対応国際規格:IEC 61558-1:2005,Safety of power transformers, power supplies, reactors and
similar products−Part 1: General requirements and tests及びAmendment 1:2009(MOD)
JIS K 7341 プラスチック−小火炎に接触する可とう性フィルムの垂直燃焼性試験方法
注記 対応国際規格:ISO 9773,Plastics−Determination of burning behaviour of thin flexible vertical
specimens in contact with a small-flame ignition source(IDT)
ISO 306:2004,Plastics−Thermoplastic materials−Determination of Vicat softening temperature (VST)
ISO 3864-2,Graphical symbols−Safety colours and safety signs−Part 2: Design principles for product safety
labels
ISO 7000,Graphical symbols for use on equipment−Index and synopsis,available from:
<http://www.graphical-symbols.info/equipment>
IEC 60027 (all parts),Letter symbols to be used in electrical technology
9
C 6065:2016
IEC 60127-6,Miniature fuses−Part 6: Fuse-holders for miniature fuse-links
IEC 60169-2,Radio-frequency connectors−Part 2: Coaxial unmatched connector
IEC 60249-2 (all parts),Base materials for printed circuits. Part 2: Specifications
IEC 60268-1:1985,Sound system equipment−Part 1: General
IEC 60317-43,Specifications for particular types of winding wires−Part 43: Aromatic polyimide tape wrapped
round copper wire, class 240
IEC 60417,Graphical symbols for use on equipment, available from:
<http://www.graphicalsymbols.info/equipment>
IEC 60454 (all parts),Pressure-sensitive adhesive tapes for electrical purposes
IEC 60691:2002,Thermal-links−Requirements and application guide
IEC 60730 (all parts),Automatic electrical controls for household and similar use
IEC 60730-1:2010,Automatic electrical controls for household and similar use−Part 1: General requirements
IEC 60747-5-5:2007,Semiconductor devices−Discrete devices−Part 5-5: Optoelectronic devices−
Photocouplers及びAmendment 1:2013
IEC 60851-6:2012,Winding wires−Test methods−Part 6: Thermal properties
IEC 60906 (all parts),IEC system of plugs and socket-outlets for household and similar purposes
IEC 60990,Methods of measurement of touch current and protective conductor current
IEC 60999-1,Connecting devices−Electrical copper conductors−Safety requirements for screw-type and
screwless-type clamping units−Part 1: General requirements and particular requirements for clamping
units for conductors from 0.2 mm2 up to 35 mm2 (included)
IEC 60999-2,Connecting devices−Electrical copper conductors−Safety requirements for screw-type and
screwless-type clamping units−Part 2: Particular requirements for clamping units for conductors above 35
mm2 up to 300 mm2 (included)
IEC 61051-2:1991,Varistors for use in electronic equipment−Part 2: Sectional specification for surge
suppression varistors及びAmendment 1:2009
IEC 61293,Marking of electrical equipment with ratings related to electrical supply−Safety requirements
IEC 61558-2-16,Safety of transformers, reactors, power supply units and similar products for voltages up to
1 100 V−Part 2-16: Particular requirements and tests for switch mode power supply units and
transformers for switch mode power supply units
IEC 62133,Secondary cells and batteries containing alkaline or other non-acid electrolytes−Safety
requirements for portable sealed secondary cells, and for batteries made from them, for use in portable
applications
IEC 62151:2000,Safety of equipment electrically connected to a telecommunication network
IEC 62368-1,Audio/video, information and communication technology equipment−Part 1: Safety
requirements
IEC 62471:2006,Photobiological safety of lamps and lamp systems
ITU-T Recommendation K.44,Resistibility tests for telecommunication equipment exposed to overvoltages
and overcurrents−Basic recommendation
10
C 6065:2016
2
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
2.1
定義の一覧(アルファベット順)
可触(の),アクセスできる(accessible) ·············································································· 2.8.3
オーディオ増幅器(audio amplifier) ····················································································· 2.2.1
取り出すことができる電力(available power) ········································································ 2.3.7
基礎絶縁(basic insulation) ································································································ 2.6.3
手で(による)(by hand) ·································································································· 2.8.4
クラスI(class I) ············································································································· 2.6.1
クラスII(class II) ·········································································································· 2.6.2
クラス0I(class 0I) ········································································································ 2.6.2A
空間距離(clearance) ······································································································· 2.6.11
コイン(ボタン)電池(coin cell battery / button cell battery) ·····················································2.7.15
主電源に導電的に接続した(conductively connected to the mains) ················································ 2.4.4
導電性パターン(conductive pattern) ···················································································2.7.13
沿面距離(creepage distance) ·····························································································2.6.12
主電源に直接接続した(directly connected to the mains) ···························································· 2.4.3
二重絶縁(double insulation) ······························································································ 2.6.4
電子楽器(electronic musical instrument) ················································································ 2.2.2
防火用エンクロージャ(fire enclosure) ················································································2.8.10
危険な活電(hazardous live) ······························································································2.6.10
画像処理(imagery) ········································································································· 2.2.8
教育を受けた人(instructed person) ······················································································ 2.8.6
絶縁変圧器(isolating transformer) ······················································································· 2.7.1
レーザ(laser) ················································································································ 2.2.7
レーザシステム(laser system) ··························································································· 2.2.6
負荷変換器(load transducer) ······························································································ 2.5.4
主電源(mains) ··············································································································· 2.4.1
主電源スイッチ(mains switch) ························································································· 2.7.11
手動式機械スイッチ(manually operated mechanical switch) ······················································2.7.10
マイクロ遮断(micro-disconnection) ····················································································· 2.7.7
ノイズ信号(noise signal) ·································································································· 2.5.2
ノンクリップ出力(non-clipped output power) ········································································ 2.3.4
耐炎性(passive flammability) ····························································································2.8.12
恒久接続機器(permanently connected apparatus) ····································································· 2.4.2
ピンクノイズ(pink noise) ································································································· 2.5.1
可搬形機器(portable apparatus) ·························································································2.2.10
潜在的発火源(potential ignition source) ··············································································· 2.8.11
プリント配線板(printed board) ·························································································2.7.12
専門家用機器(professional apparatus) ·················································································2.2.12
11
C 6065:2016
保護接地端子(protective earthing terminal) ············································································ 2.4.6
保護遮蔽(protective screening) ··························································································· 2.6.8
保護分離(protective separation) ·························································································· 2.6.7
PTCサーミスタ(PTC thermistor) ······················································································· 2.7.8
定格消費電流(rated current consumption) ·············································································· 2.3.6
定格負荷インピーダンス(rated load impedance) ····································································· 2.3.5
定格消費電力(rated power consumption) ··············································································2.3.10
定格電圧(rated supply voltage) ··························································································· 2.3.1
強化絶縁(reinforced insulation) ·························································································· 2.6.6
リモートコントロール(remote control) ················································································ 2.2.9
遠隔電力供給(remote power feeding) ··················································································· 2.4.8
必要な耐電圧(required withstand voltage) ············································································· 2.3.8
リップルがない(ripple free) ······························································································ 2.3.3
ルーチン試験(routine test) ································································································ 2.8.2
安全インタロック(safety interlock) ····················································································· 2.7.9
分離変圧器(separating transformer) ····················································································· 2.7.2
熟練者(skilled person) ····································································································· 2.8.5
ソース変換器(source transducer) ························································································ 2.5.3
特殊電池(special battery) ·································································································2.7.14
専用電源装置(special supply apparatus) ················································································ 2.2.5
待機状態(stand-by) ········································································································· 2.8.8
付加絶縁(supplementary insulation) ····················································································· 2.6.5
電源装置(supply apparatus) ······························································································· 2.2.3
一般用電源装置(supply apparatus for general use)···································································· 2.2.4
ネットワーク線(telecommunication network) ········································································· 2.4.7
ネットワーク線過渡電圧(telecommunication network transient voltage) ········································ 2.3.9
端子(terminal) ··············································································································· 2.4.5
サーマルカットアウト(復帰形温度過昇防止装置)(thermal cut-out) ·········································· 2.7.4
温度ヒューズ[サーマルリンク(非復帰形温度過昇防止装置)](thermal link) ····························· 2.7.5
サーマルリリース(温度過昇防止装置)(thermal release) ························································· 2.7.3
TNV回路(TNV circuit) ···································································································· 2.4.9
TNV-0回路(TNV-0 circuit) ······························································································2.4.10
TNV-1回路(TNV-1 circuit) ······························································································ 2.4.11
TNV-2回路(TNV-2 circuit) ······························································································2.4.12
TNV-3回路(TNV-3 circuit) ······························································································2.4.13
タッチカレント(touch current) ·························································································· 2.6.9
移動形機器(transportable apparatus) ··················································································· 2.2.11
トリップフリー(trip-free) ································································································ 2.7.6
形式試験(type test) ········································································································· 2.8.1
使用者(user) ················································································································· 2.8.7
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木質材料(wood-based material) ·························································································· 2.8.9
動作電圧(working voltage) ································································································ 2.3.2
2.2
機器のタイプ
2.2.1
オーディオ増幅器(audio amplifier)
オーディオ信号増幅を行う独立した機器,又はこの規格を適用する機器のオーディオ信号増幅部。
2.2.2
電子楽器(electronic musical instrument)
電子オルガン,電子ピアノ,ミュージックシンセサイザなど,使用者が操作することによって音楽を奏
でる電子装置。
2.2.3
電源装置(supply apparatus)
主電源から電力の供給を受けて,その電力を一つ以上の他の機器に供給する装置。
2.2.4
一般用電源装置(supply apparatus for general use)
この規格の適用範囲内の機器の電源として用いることができるだけでなく,他の機器又は装置,例えば,
ポケット計算機に対して,特別な処置をしなくても用いることができる電源装置。
2.2.5
専用電源装置(special supply apparatus)
この規格の適用範囲内の機器の電源だけに用いるように設計した電源装置。
2.2.6
レーザシステム(laser system)
付加的な組込み部品のあるなしにかかわらず,レーザと適切なレーザエネルギー源とを組み合わせたも
の。
注記 JIS C 6802:2011の3.48を参照。
2.2.7
レーザ(laser)
主に誘導放出を制御することによって,180 nm〜1 mmの波長範囲での電磁放射を発生又は増幅するこ
とができるデバイス。
注記1 JIS C 6802:2011の3.41を参照。
注記2 この定義を適用しないデバイスは,ディスプレイ用,赤外線リモートコントロール用,赤外
線オーディオ信号・ビデオ信号送信用及びオプトカプラ用に用いる発光ダイオード(LED)
である。
2.2.8
画像処理(imagery)
ビデオ信号の加工,編集,操作及び/又は保管。
2.2.9
リモートコントロール(remote control)
例えば,機械的,電気的,音響的又は放射の手段による,離れたところからの機器の制御。
13
C 6065:2016
2.2.10
可搬形機器(portable apparatus)
容易に持ち運べるように特別に設計した機器で,その質量が18 kg以下のもの。
2.2.11
移動形機器(transportable apparatus)
ある場所から別の場所へ頻繁に動かすように特別に設計した機器で,その質量が18 kgを超えるもの。
注記 移動形機器の例は,楽器及びそれに附属する増幅器である。
2.2.12
専門家用機器(professional apparatus)
商取引,専門的職業又は産業で用いる機器で,一般大衆向けに販売を意図していないもの。
注記 分類は,製造業者がその用途を指定することが望ましい。
2.3
定格及び電気的な値
2.3.1
定格電圧(rated supply voltage)
製造業者が設計した機器の供給電圧又は供給電圧範囲(三相の場合,線間電圧)。
2.3.2
動作電圧(working voltage)
機器が通常動作状態の下で定格電圧で動作しているとき,対象となる絶縁物が受けるか,又は受けるこ
とができる最大電圧。ただし,繰返し性がない過渡電圧は,無視する。
2.3.3
リップルがない(ripple free)
リップル含有量が,実効値で直流成分の10 %以下の直流電圧。公称電圧120 Vのリップルがない直流シ
ステムの場合,最大ピーク電圧は140 V以下である。公称電圧60 Vのリップルがない直流システムの場合,
最大ピーク電圧は70 V以下である。
2.3.4
ノンクリップ出力(non-clipped output power)
定格負荷インピーダンスで消費する正弦波電力。ただし,1 000 Hzで測定し,片側又は両側がクリップ
する直前のもの。
注記 1 000 Hzで動作させることを意図していない増幅器の場合,最高の応答をする試験周波数を用
いる。
2.3.5
定格負荷インピーダンス(rated load impedance)
製造業者が指定する,出力回路を終端するための抵抗性負荷。
2.3.6
定格消費電流(rated current consumption)
通常動作条件の下で定格電圧で動作している機器の消費電流。
2.3.7
取り出すことができる電力(available power)
供給回路を切り離し,2分間を超えてその供給回路から最大電力を取り出すことができるように選択し
た値の抵抗性負荷を通して取り出すことができる最大電力。
14
C 6065:2016
注記 図1参照。
2.3.8
必要な耐電圧(required withstand voltage)
対象となる絶縁物が破壊しないピーク電圧。
2.3.9
ネットワーク線過渡電圧(telecommunication network transient voltage)
通信網上の外来過渡現象に起因し,ネットワーク線と機器との接続点で予期される最大ピーク電圧。
2.3.10
定格消費電力(rated power consumption)
通常動作条件の下で定格電圧で動作している機器のワットで表した消費電力。
2.4
電源供給及び外部接続
2.4.1
主電源(mains)
公称電圧が交流(ピーク)又は直流35 Vを超える電力源であって,1.1.1に規定する機器に給電するた
めだけに用いるものでないもの。
2.4.2
恒久接続機器(permanently connected apparatus)
手で緩めることができない接続方法によって主電源へ接続することを意図した機器。
2.4.3
主電源に直接接続した(directly connected to the mains)
機器の保護デバイスを短絡しないで,主電源のいずれかの極との接続によって,9 A以上の恒久的電流
がその接続箇所に流れるような主電源との電気的接続。
注記 9 Aの電流は,6 Aのヒューズの最小遮断電流として選定している。
2.4.4
主電源に導電的に接続した(conductively connected to the mains)
機器を接地しないで,主電源のいずれかの極と2 000 Ωの抵抗器を介して接続し,その抵抗器に0.7 mA
(ピーク)を超える恒久的電流が流れるような主電源との電気的接続。
2.4.5
端子(terminal)
それによって外部導体又は他の機器と接続するようになっている機器の一部。
注記 端子には数個の接点があってもよい。
2.4.6
保護接地端子(protective earthing terminal)
安全上接地する必要がある部分を接続する端子。
2.4.7
ネットワーク線(telecommunication network)
離れた建物に設置するような機器間の通信を意図した,金属終端されている伝達手段。ただし,次のも
のを除く。
− 電気通信伝達手段として用いる場合の電力の供給,電送及び分配のための主電源システム
− ケーブルTV分配システム
15
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注記1 ネットワーク線という用語は,電気的特性ではなくその機能の観点から定義する。ネット
ワーク線は,それ自身TNV回路(2.4.9参照)として定義しない。機器の中の回路だけを
そのように分類する。
注記2 ネットワーク線は,次のものであってもよい。
− 公共又は個人所有のもの
− 大気中の放電及び電力分配システムの故障による過渡過電圧を受けるもの
− 近接の電力線又は電気架線から誘導された恒久的な縦(コモンモード)電圧を受ける
もの
注記3 ネットワーク線の例は,次による。
− 公衆電話回線網
− 公衆データ回線網
− ISDN回線網
− 上記と類似の電気的インタフェース特性を備えた私設網
2.4.8
遠隔電力供給(remote power feeding)
ケーブル回線網,例えば,ネットワーク線又はアンテナ信号用ケーブル分配網を介した機器への電力の
供給。
2.4.9
TNV回路(TNV circuit)
可触部(TNV-0回路を除く。)への接触を制限し,通常動作状態及び故障状態の下で,電圧が規定限度
値以下になるように設計し,保護した機器内の回路。
注記1 TNV回路は,主電源に導電的に接続されていない。
注記2 通常動作状態及び故障状態の下での電圧限度値は,附属書Bを参照。TNV回路に触れる可能
性に関する要求事項については,IEC 62151の4.2.1を参照。
注記3 TNV回路は,それぞれ2.4.10,2.4.11,2.4.12及び2.4.13に定義するようにTNV-0,TNV-1,
TNV-2及びTNV-3に分類する。
注記4 これらのTNV回路の関係を,表1に示す。
表1−TNV回路の電圧範囲
ネットワーク線からの
過電圧の可能性
電圧範囲
TNV-0回路の限度値以内
TNV-0回路の限度値を超え,
TNV回路の限度値以内
あり
TNV-1回路
TNV-3回路
なし
TNV-0回路
TNV-2回路
2.4.10
TNV-0回路(TNV-0 circuit)
TNV回路であって,その電圧が通常動作状態及び故障状態の下で安全値以下で,ネットワーク線からの
過電圧を受けないもの。
注記 通常動作状態及び故障状態の下での電圧の限度値は,それぞれ9.1.1.2及び11.1に規定がある。
16
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2.4.11
TNV-1回路(TNV-1 circuit)
TNV回路であって,その電圧が通常動作状態の下でTNV-0回路に対する安全値以下で,ネットワーク
線からの過電圧の可能性があるもの。
2.4.12
TNV-2回路(TNV-2 circuit)
TNV回路であって,その電圧が通常動作状態の下でTNV-0回路に対する安全値を超え,ネットワーク
線からの過電圧を受けないもの。
2.4.13
TNV-3回路(TNV-3 circuit)
TNV回路であって,その電圧が通常動作状態の下でTNV-0回路に対する安全値を超え,ネットワーク
線からの過電圧の可能性があるもの。
2.5
信号,ソース及び負荷
2.5.1
ピンクノイズ(pink noise)
単位帯域幅当たりのエネルギー(ΔW/Δf)が周波数に反比例するノイズ信号。
2.5.2
ノイズ信号(noise signal)
瞬時値が正規分布する定常的なランダム信号。
注記 特に規定がない場合,平均値は,ゼロである。
2.5.3
ソース変換器(source transducer)
非電気信号エネルギーを電気エネルギーに変換することを意図した機器。
注記 例としては,マイクロホン,画像センサ,磁気再生ヘッド及びレーザピックアップがある。
2.5.4
負荷変換器(load transducer)
電気信号エネルギーを他の形のエネルギーに変換することを意図した機器。
注記 例としては,拡声器,映像管,液晶ディスプレイ及び磁気記録ヘッドがある。
2.6
感電に対する保護及び絶縁
2.6.1
クラスI(class I)
感電に対する保護を基礎絶縁だけに頼るのではなく,基礎絶縁が破損した場合でも可触導電部が危険な
活電部にならないように,追加の安全対策として,可触導電部を固定配線設備の保護(接地)導体に接続
する手段を備えた設計。
注記 このような設計には,クラスIIの部分があってもよい。
2.6.2
クラスII(class II)
感電に対する保護を基礎絶縁だけに頼るのではなく,二重絶縁又は強化絶縁のような追加の安全対策を
講じたものであって,保護接地を備えることもなく,更に,据付条件に頼っていないもの。
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2.6.2A
クラス0I(class 0I)
感電に対する保護として,少なくとも基礎絶縁をもち,基礎絶縁が破損した場合,危険な活電部となる
可触導電部を,固定配線設備の保護接地導体に接続するために,2ピンの主電源プラグの先に接地用口出
し線をもつ電源コード又は電源コードセットを用いたもの。
3ピン−2ピン変換プラグアダプタを用いたものも,クラス0I機器とみなす。
注記 このような設計には,クラスIIの部分があってもよい。
2.6.3
基礎絶縁(basic insulation)
感電に対する基礎的な保護をするために,危険な活電部に施した絶縁。
注記 基礎絶縁は,機能絶縁(機能的な絶縁)として用いてもよい。
2.6.4
二重絶縁(double insulation)
基礎絶縁及び付加絶縁の両方で構成する絶縁。
2.6.5
付加絶縁(supplementary insulation)
基礎絶縁が破損した場合の感電の危険性を減じるために,基礎絶縁に追加して設けた独立した絶縁。
2.6.6
強化絶縁(reinforced insulation)
感電に対して二重絶縁と同等の保護度合いを備える,危険な活電部に施した単一の絶縁。
注記 強化絶縁は,基礎絶縁又は付加絶縁として単独で試験することができない幾つかの層で構成し
てもよい。
2.6.7
保護分離(protective separation)
基礎的及び付加的保護(基礎絶縁に付加絶縁又は保護遮蔽を加えたもの),又は同等の保護手段,例えば,
強化絶縁による回路間の分離。
2.6.8
保護遮蔽(protective screening)
保護接地端子に接続した導電性遮蔽物を間に挿入する手段による危険な活電部からの分離。
2.6.9
タッチカレント(touch current)
人体が一つ又はそれ以上の可触部に触れたときに,人体を通過する電流。
2.6.10
危険な活電(hazardous live)
危険なタッチカレント(感電)を流すことができる物体の電気的状態。
注記 9.1.1を参照。
2.6.11
空間距離(clearance)
二つの導電部間の空間を介した最短距離。
18
C 6065:2016
2.6.12
沿面距離(creepage distance)
二つの導電部間の絶縁物表面に沿った最短距離。
2.7
部品
2.7.1
絶縁変圧器(isolating transformer)
入力巻線と出力巻線との間に保護分離を備えた変圧器。
2.7.2
分離変圧器(separating transformer)
入力巻線を少なくとも基礎絶縁によって出力巻線から分離している変圧器。
注記 このような変圧器には,絶縁変圧器の要求事項に適合する部分があってもよい。
2.7.3
サーマルリリース(温度過昇防止装置)(thermal release)
機器のある部分を電源から切り離して,その部分が過度な高温のままになることを防止するデバイス。
注記 PTCサーミスタ(2.7.8参照)は,この定義の意味において,サーマルリリース(温度過昇防止
装置)ではない。
2.7.4
サーマルカットアウト(復帰形温度過昇防止装置)(thermal cut-out)
使用者による温度設定ができない復帰式のサーマルリリース(温度過昇防止装置)。
注記 サーマルカットアウト(復帰形温度過昇防止装置)は,自動復帰形でも手動復帰形でもよい。
2.7.5
温度ヒューズ[サーマルリンク(非復帰形温度過昇防止装置)](thermal link)
一度動作すると,部分的交換又は全ての交換を必要とする非復帰式のサーマルリリース(温度過昇防止
装置)。
2.7.6
トリップフリー(trip-free)
復帰機構の操作又はその位置とは独立するように設計されている,復帰操作部をもつ自動作動。
2.7.7
マイクロ遮断(micro-disconnection)
機能の確保を確実にするための適切な接点分離。
注記 接点ギャップに対する耐電圧の要求事項はあるが,寸法についての要求事項はない。
2.7.8
PTCサーミスタ(PTC thermistor)
上昇する温度が特定の値に達すると抵抗値が階段状に大きくなる感温形半導体抵抗器。
注記 感温素子を流れる電流若しくは周囲温度の変化又はその両者の組合せによって,その温度が変
化する。
2.7.9
安全インタロック(safety interlock)
危険が取り除かれるまで危険な領域へ接近できないようにするための手段か,又は接近すると危険な状
態を自動的に取り除く手段。
19
C 6065:2016
2.7.10
手動式機械スイッチ(manually operated mechanical switch)
半導体素子を用いない,手で操作するデバイスであって,機器の回路のどこかにあり,可動接点によっ
てその意図した機能,例えば,音声及び/又は映像を中断できるもの。
注記 手動式機械スイッチの例としては,単極又は全極主電源スイッチ,機能スイッチ及びスイッチ
ングシステムがある。スイッチングシステムの例としては,リレー及びそのリレーを制御する
スイッチの組合せから成るものがある。
2.7.11
主電源スイッチ(mains switch)
保護接地導体を除き,主電源の単極又は全極を切り離す手動式機械スイッチ。
2.7.12
プリント配線板(printed board)
必要な全ての穴及び1個以上の導電性パターンを備えた基材であって,一定の大きさに切ったもの。
2.7.13
導電性パターン(conductive pattern)
プリント配線板上に形成した導電材料のパターン。
2.7.14
特殊電池(special battery)
機器に備えるか,又は製造業者が使用を推奨する充電可能な電池又は充電可能な電池群であって,かつ,
電池の製造業者名及びカタログ番号を明示したもの。
2.7.15
コイン(ボタン)電池(coin cell battery / button cell battery)
高さよりも直径の方が大きい,小形で単一セルの電池。
2.8
その他
2.8.1
形式試験(type test)
ある設計が,この規格の全ての要求事項に適合することを示すために,その設計の一つ以上のサンプル
に対して行う試験。
2.8.2
ルーチン試験(routine test)
各サンプルがある判定基準に適合するかどうかを確認するために,製造中又は製造後に行う試験。
2.8.3
可触(の),アクセスできる(accessible)
JIS C 0922に規定する検査プローブBに従ったテストフィンガによる接触の可能性。
注記 非導電部分の全ての可触領域は,導電層で覆われているとみなす(例として,図3参照)。
2.8.4
手で(による)(by hand)
工具,硬貨など,ものを用いる必要がない操作。
2.8.5
熟練者(skilled person)
20
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電気が引き起こす危険を回避し,予防するための教育を受け,経験を積んだ人。
2.8.6
教育を受けた人(instructed person)
電気が引き起こす危険を回避し予防するために,熟練者から適切な助言又は監督を受けた人。
2.8.7
使用者(user)
熟練者又は教育を受けた人以外で,機器に触れる可能性のあるあらゆる人。
2.8.8
待機状態(stand-by)
音声及び/又は映像のような主機能をスイッチによって遮断し,機器が部分的に働いている動作状態。
注記 この状態では,例えば,時計のような恒常的な機能は維持され,機器は,例えば,リモートコ
ントロールによって又は自動的に全面的動作状態に入ることができる。
2.8.9
木質材料(wood-based material)
主成分が機械加工した天然木で,接着剤によって接合した材料。
注記 木質材料は,硬質繊維板又はチップボードのような,粉砕又は小片にした木を集合させた材料
である。
2.8.10
防火用エンクロージャ(fire enclosure)
内部からの火又は炎の広がりを最小限にするための機器の部分。
2.8.11
潜在的発火源(potential ignition source)
遮断又は接触不良の可能性のある箇所で,開路電圧が交流(ピーク)又は直流50 Vを超え,かつ,この
電圧のピーク値と通常動作状態の下で測定した実効値電流との積が15 VAを超える,火災が発生する可能
性のある故障。
注記1 電気接続部における遮断又は接触不良には,プリント配線板上の導電パターンで発生するも
のも含む。
注記2 潜在的発火源になる故障を防止するために,電子保護回路を用いてもよい。
2.8.12
耐炎性(passive flammability)
部品が外部からの熱によって燃焼する程度。
注記 熱は,例えば,炎によって生じるかもしれない。
3
一般要求事項
3.1
一般事項
機器は,通常動作状態又は故障状態の下で,意図した目的で用いたときに危険が生じることがないよう
に,特に,次の項目に対する保護を備えるような設計及び構造でなければならない。
− 人体に流れる危険な電流(感電)
− 過度の温度
− 危険な放射
21
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− 爆縮及び爆発の影響
− 機械的不安定
− 機構部品による傷害
− 火災の発生及び広がり
一般に,4.2及び4.3に規定する通常動作状態及び故障状態の下で,関連する全ての試験を実施し,適否
を判定する。
3.2
クラス指定
主電源から電源供給を受けるように設計した機器は,クラスI機器,クラス0I機器又はクラスII機器の
要求事項に従った構造でなければならない。
注記1 頻繁に移動させて用いる機器は,クラスI機器及びクラス0I機器としないことが望ましい。
注記2 設置時に明らかに接地接続が困難な状況で設置される機器の場合は,我が国の配電事情を考
慮し,クラスI及びクラス0Iの絶縁構造を避けることが望ましい。ただし,サービスマン又
は設置業者が設置することを意図した機器を除く。
3.3
この規格に明確に記載していない構造及び部品
機器がこの規格に明確に記載していない技術,部品及び材料,又は構造の方法を含む場合,機器は一般
的にこの規格に記載する安全性の原則と同等以上の安全対策を施さなければならない。
3.4
IEC 62368-1に適合する部品及び部分組立品
IEC 62368-1に適合する部品及び部分組立品は,この規格が適用する機器の一部として適合するとみな
す。ただし,最終製品で部品又は部分組立品を適切に用いていると考慮できない場合は,追加の評価を行
う。
4
試験に関する一般条件
4.1
試験の実施
4.1.1
この規格に基づく試験は,形式試験とする。
注記 ルーチン試験については,附属書Nに推奨事項がある。
4.1.2
試験サンプルは,使用者が入手する機器を代表するものか,又は使用者に出荷する実際の機器とす
る。
完成品で試験を行う代わりに,機器の外部で回路,部品又は部分組立品で別に試験を行ってもよいが,
機器及び回路の組合せの検査は,組み立てた機器がこの規格の要求事項に適合することが明確に保証でき
る場合に限る。
このような試験において完成品に不適合が発生するおそれがある場合,機器に組み込んで再度試験を行
う。
この規格に規定する試験が破壊試験の場合,評価する条件を代表する物理モデルで試験を行ってもよい。
試験は,次に示す順序で行うことが望ましい。
− 部品又は材料の事前の選定
− 部品又は部分組立品のベンチ試験
− 機器に電源を入れない状態での試験
− 次の通電状態での試験
・ 通常動作状態
・ 故障状態
22
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・ 破壊が起きそうな状態
注記 試験に関係する資源の量及び廃棄物を最小限にするために,関係者が試験プログラム,試験サ
ンプル及び試験の手順について一緒に考えてもよい。
4.1.3
試験は,特に規定がない限り,次の通常動作状態の下で行う。
− 周囲温度:15〜35 ℃
− 相対湿度:最大75 %
4.1.4
通気口は塞がず,機器の使用目的に合うあらゆる位置(置き方)で行う。
温度測定は,製造業者の用意した取扱説明書に基づく位置に機器を置いて試験を行う。取扱説明書に指
示がない場合,機器を木製試験箱に入れ,試験箱前面の開口部の縁から5 cm奥に置き,試験箱内で機器上
面及び両側面を1 cm空け,機器の背面を5 cm空けた状態で試験を行う。
機器の製造業者が供給しない組立品を後から取り付けるように意図した機器は,製造業者の用意した取
扱説明書,特に機器の適正な換気に関する指示に従って試験を行う。
オープンベンチで試験を行う場合,機器は,表3にも適合しなければならない。
4.1.5
試験用電源は,4.2.2に規定するものを除き,試験結果に大きな影響を及ぼさない特性のものを用
いる。
電源の特性の例としては,電源のインピーダンス及び波形がある。
4.1.6
適切な場合,図C.1のフィルタに適合する特性をもつフィルタによって,帯域制限したピンクノイ
ズで構成する標準信号を用いる。
注記 標準信号を用いて搬送波を変調してもよい。
出力測定装置は,波高率が3以上の真の実効値を表示するもので,かつ,附属書Cを満足する周波数特
性のものとする。
4.1.7
この規格では,特に規定がない限り,交流値は,実効値とする。
この規格では,直流値は,リップルがない値とする。
4.2
通常動作状態
4.2.1
通常動作状態は,4.2.2〜4.2.13に示す状態の最も不利となる組合せとする。
4.2.2
電池で動作する機器を除き,機器の設計のあらゆる定格電圧の0.9倍又は1.1倍の供給電圧に接続
する。
電池で動作する機器の場合,満充電した充電電池又は新品の乾電池を用いる。
定格消費電流及び定格消費電力は,定格電圧で測定する。テレビジョンセットの定格消費電流又は定格
消費電力の測定は,次の設定を適用する。
− “三縦じま信号”は,JIS C 6101-1の3.2.1.3(三縦じま信号)に定義したものを用いる。
− 使用者がアクセスできる映像コントロールは,最大の消費電力になるように調整する。
− 音声の設定は,4.2.5 a) の規定による。
疑義がある場合,更にいずれかの定格電圧で試験を行ってもよい。
電圧切換器の調整が不要で定格電圧範囲をもつ機器は,定格電圧範囲の下限の0.9倍又は上限の1.1倍の
供給電圧に接続する。さらに,機器は,表示した定格電圧範囲内のあらゆる公称電圧に接続する。
電源の周波数は,機器に表示したあらゆる定格周波数を用いる。
機器が用いるように設計した全ての種類の電源を用いる。
機器の構造上防止していない場合,直流機器に対しては,逆極性を含むあらゆる極性を用いる。
4.2.3
手で調整するために使用者がアクセスできる制御器は,リモートコントロールを含み,あらゆる位
23
C 6065:2016
置とする。ただし,ボリュームコントロール,トーンコントロール及び14.9に規定する要求事項に適合す
る電圧切換器を除く。
コネクタ又は類似のもので抜き差しできるケーブル付きリモートコントロール装置は,接続した場合又
は接続しない場合のいずれかとする。
手で開けることができるレーザシステム用のカバーは,完全に開けた状態,一部分開けた状態又は閉じ
たままの状態のいずれかとする。
4.2.4
単相電源の場合,接地端子及び保護接地端子は,試験で用いる分離電源のいずれの極に接続しても
よい。
単相以外の電源の場合,接地端子及び保護接地端子は,試験で用いる分離電源の中性線又はいずれの極
に接続してもよい。
4.2.5
オーディオ増幅器の場合,次のとおりとする。
a) トーンコントロールを中間の位置にして,4.1.6に規定する標準信号を用いて定格負荷インピーダンス
にノンクリップ出力の1/8が取り出せるように機器を動作させる。
標準信号でノンクリップ出力を得ることができない場合,最大限取り出せる出力の1/8で動作させ
る。
上記の代わりに,増幅器の機能に悪影響がない場合,1 kHzの正弦波を各チャンネルに加えてもよ
い。適用可能な場合,1 kHz以外であっても,この機器の関連する部分についての上下それぞれマイ
ナス3 dBの応答点の幾何平均に対応する周波数を用いてもよい。
正弦波で行った測定結果がこの規格に適合しない場合,ピンクノイズで測定する。
ある部分又は出力端子の接点が危険な活電部かどうかを,9.1.1.2及び11.1の規定に従って判断する
場合,機器を1 kHz,又は適用できる場合は,その機器の増幅器の該当する部分の上下それぞれマイ
ナス3 dBの応答点の幾何平均に対応する周波数の正弦波入力試験信号を用い,定格負荷インピーダン
スにノンクリップ出力を供給するのに十分な振幅で機器を動作させる。開路出力電圧は,負荷を外し
た後に決定する。
b) 出力回路に最も厳しい定格負荷インピーダンスを接続する。
c) 調音発生器をもつオルガン,その他これに類する楽器であって,ペダルをもつものは,任意のペダル
2個を用い,かつ,手で弾く鍵盤10鍵を同時に用いる。この場合,用いることによって出力が増加す
る音栓,タブなどは全て動作させた状態とする。
連続した調音を発生しない電子楽器内に用いるオーディオ増幅器の場合,信号入力端子又はこのオ
ーディオ増幅器の入力段の適切な箇所に,4.1.6に規定する標準信号を加える。
d) その増幅器の意図した機能が二つのチャンネル間の位相差による場合,二つのチャンネルに加える信
号の位相差を90°にする。
e) 各チャンネルを独立して動作させることができるマルチチャンネル増幅器を含む機器の場合,各チャ
ンネルは定格負荷インピーダンスにノンクリップ出力の1/8が取り出せるように出力レベルを調整し,
機器を動作させる。幾つかのチャンネルが独立して動作させることができない場合は,調整できない
チャンネルは定格負荷インピーダンスによって動作させ,調整可能なチャンネルを定格負荷インピー
ダンスにノンクリップ出力の1/8が取り出せるように出力レベルを調整し,機器を動作させる。
4.2.6
モータ駆動機器の場合,負荷状態は,手による停止も含めて意図した使用時に起きる状態とする。
4.2.7
他の機器に電源を供給する機器は,定格電力を供給する負荷を接続した場合又は接続しない場合と
する。
24
C 6065:2016
4.2.8
通常,機器の中で用いる電源装置は,製造業者の取扱説明書に基づいて機器に組み込んで試験する。
4.2.9
(市民バンド機器に関する要求事項を削除した。)
4.2.10 アンテナ位置制御装置は,4.2.10.1及び4.2.10.2の要求事項に従う。
4.2.10.1 制御装置及び電源装置と組み合わせて,アンテナ位置制御装置を次の要領で試験する。
− 片端から他端への連続4回動作
− その後,15分間の休止時間
動作及び休止時間は,関連する試験に必要な回数を繰り返す。温度測定は,4時間を限度に動作及び休
止時間を温度が安定するまで繰り返す。
温度測定において,最後に動作した後の15分間の休止時間は,適用しない。
4.2.10.2 モータ駆動システムをもたない電源供給装置及び制御器で構成する衛星アンテナ位置調整装置
は,電源供給装置に表示した出力定格に従った負荷をかけ,5分間オン及び15分間オフの周期で動作させ
る。
4.2.11 機器の製造業者が指定する専用電源装置からだけ電源供給を受ける機器は,その専用電源装置と組
み合わせて試験する。
専用電源装置への供給電圧は,4.2.2の規定に基づき決定する。
専用電源装置に出力電圧設定装置がある場合,試験する機器の定格電圧に調節する。
4.2.12 一般用電源装置から電源供給を受ける機器は,その定格電圧に対応する表2に規定する十分な電流
容量をもつ試験用電源で試験を行う。表2に規定する公称無負荷電圧値には,4.2.2に規定する下限及び上
限の条件を適用する。
表2−試験用電源
定格電圧(直流)
V
公称無負荷電圧(直流)
V
内部抵抗
Ω
1.5
2.25
0.75
3.0
4.50
1.50
4.5
6.75
2.25
6.0
9.00
3.00
7.5
11.25
3.75
9.0
13.50
4.50
12.0
18.00
6.00
試験用電源の電圧及び電流パラメータは,この表に限定されない。この表は,
出力電圧が12 V未満で定格出力電流が1 A未満の電源装置を代表するパラメー
タの標準的組合せを示す。
4.2.13 機器の製造業者が供給する着脱できる脚又はスタンドを随意に用いることができるように意図し
た機器は,その脚又はスタンドを取り付けた状態か,又は取り付けない状態で試験する。
4.3
故障状態
4.3.1
故障状態の下での動作とは,4.2に規定する通常動作状態に加えて,4.3.2〜4.3.17に規定する各状
態を一度に一つ適用することをいう。また,それに関連して論理的結果として生じるその他の故障状態を
含む。
注記1 論理的結果としての故障状態とは,ある故障を起こさせたことによって生じる故障状態であ
る。
供給する開路電圧が交流(ピーク)又は直流35 V以下で,かつ,この値よりも高い電圧を発生しない回
25
C 6065:2016
路又は回路の一部において,短絡を含むあらゆる負荷状態の下で2分間を超えて回路から取り出せる電流
が0.2 A以下の場合,火災の危険がないとみなす。このような回路には,故障状態試験を適用しない。
電圧及び電流を測定する試験回路の例を,図1に示す。
注記2 一般的に,危険が発生しそうな故障状態及び適用する必要がある故障状態は,機器の検討及
び集積回路の内部回路図を除く機器の全ての回路図の検討によって分かる。それを最も都合
のよい順序に従って適用する。
最も好ましくない結果を発生させるために適用する模擬故障の動作状態は,機器及び回路
図を検討することによって分かる。多くの場合,その機器の全てが動作している間に模擬故
障を適用した場合,最も好ましくない結果となる。
ただし,ある部分については,機器の主電源スイッチを入れる前にその模擬故障を適用し
た場合に最も好ましくない結果が発生することがある。機器の待機状態時に模擬故障を適用
した場合に最も好ましくない結果が発生する可能性もある。
注記3 注記2の検討を行う場合,集積回路の動作特性を考慮する。
注記4 設置方法の指示がなく,かつ,試験箱が結果に影響を及ぼすおそれがある場合,故障試験は,
4.1.4に規定する木製試験箱の中だけで行うことに留意する。
ある故障状態について試験を行うことによって,部品が遮断状態又は短絡状態になることがある。疑義
がある場合,当該部品を新しいものと取り替えて,更に2回まで同じ故障状態を起こさせて,常に同じ結
果になるか否かを調べる。上記を行うことによって結果に差が出る場合,設定した故障状態に加え引き続
き生じる最も不利となる故障,すなわち,該当部品の遮断又は短絡を併せて行う。
4.3.2
基礎絶縁及び付加絶縁で箇条13に規定する値に満たない空間距離及び沿面距離を短絡する。ただ
し,主電源に直接接続した異極間の絶縁を除く。
注記 主電源に直接接続した異極間の空間距離については,13.1を参照。
4.3.3
短絡によって,感電又は過熱に対する保護に関する要求事項に適合しなくなるおそれがある絶縁物
を短絡する。ただし,10.4に規定する要求事項に適合する絶縁部を除く。
注記 これは,コイル巻線間の絶縁を短絡する必要があるということを意味するものではない。
4.3.4
次の部分の短絡,又は可能な場合は遮断を行う。
− 電子管のヒータ相互間
− 電子管のヒータとカソードとの間の絶縁
− 映像管を除く電子管内の間隔
− 半導体,ただし,一度に1本のリード線だけを順次遮断するか又は任意のリード線2本を一度に一組
短絡する[4.3.5 d) 参照]。
注記 ある電極間の短絡が生じる可能性が小さいか又は不可能な構造の電子管の場合,該当する電極
間を短絡する必要はない。
4.3.5
短絡又は切断によって感電又は過熱に対する保護に関する要求事項に適合しなくなるおそれがあ
る抵抗器,コンデンサ,巻線(例えば,変圧器,消磁コイル),スピーカ,オプトカプラ,バリスタ又は非
線形受動部品を短絡又は切断のいずれか厳しい方を行う。
この故障状態は,次のものには適用しない。
a) 14.2,及び該当する場合は11.2に規定する要求事項に適合する抵抗器
b) IEC 60730-1の箇条15(製造偏差及びドリフト),箇条17(耐久性),J.15(製造偏差及びドリフト)
及びJ.17(耐久性)に規定する要求事項に適合するPTCサーミスタ
26
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c) 14.3の要求事項に適合するコンデンサ及びRCユニットであって,それらの端子間電圧がそれぞれの
定格電圧以下で,かつ,8.5又は8.6に規定する使用条件に適合するもの
d) 14.12に規定する要求事項に適合するオプトカプラの入出力端子間の絶縁
e) 14.4に規定する要求事項に適合する巻線及び変圧器と他の巻線との絶縁
f)
14.13に規定する要求事項に適合するサージ抑制バリスタ
4.3.6
オーディオ増幅器を含む機器の場合,4.1.6に規定する標準信号を用いて,ゼロから最大到達出力
までの最も不利となる出力を,定格負荷インピーダンス,又は可能な場合,出力端子に接続した短絡及び
開路を含む最も不利な負荷インピーダンスに加える。
4.3.7
モータは,拘束する。
4.3.8
短時間又は間欠動作を意図したモータ,リレー,その他これに類するものは,機器の動作中に起こ
る可能性のある場合,連続動作させる。
4.3.9
構造的に防止していない限り,代替可能なタイプの電源に同時に接続する。
4.3.10 主電源に直接接続した主電源コンセントを除き,他の機器に電源を供給する機器の出力端子に,短
絡を含む最も不利となる負荷インピーダンスを接続する。主電源コンセントへの配線が主電源コードと同
じ断面積である場合を除き,主電源コンセントには,過電流保護及びコンセントの構造に基づき,可能性
がある最も高い負荷の1.1倍の負荷をかける。
4.3.11 機器の上面,側面及び背面に通気口がある場合,密度200 g/m2で,大きさが試験する表面の面積以
上の1枚のカードによって一度に1面ずつ,その面にある全ての開口部をカバーする。
機器の上面にある別々の表面の開口部に限り(存在する場合),同時に別々のカードによってカバーする。
機器の上面にあって,水平面に対して30°を超え60°未満の角度で傾斜する表面に存在し,物がそこか
ら容易に滑り落ちるような開口部は除外する。
機器の背面及び側面では,カードは機器の上部先端に取り付け,つり下げる。
注記 底面は,試験対象外である。
4.3.12 使用者が交換できる電池で,極性を逆に差し込む可能性がある場合,1個又は複数の電池を意図ど
おりに及び逆極性に挿入して機器を試験する。
注記 この試験を行う場合,破裂の危険があるので注意する。
4.3.13 (市民バンド機器に関する要求事項を削除した。)
4.3.14 交流主電源から電力を供給し,使用者が設定できる電圧切換器をもつ機器は,電圧切換器を最も不
利な位置にして可変範囲の最大値の電圧に接続する。
4.3.15 機器の製造業者が指定する出力電圧への切換器をもつ専用電源装置から電力を受けるように設計
した機器は,切換器をあらゆる出力電圧にセットして試験する。
専用電源装置に定格電圧を供給することを除き,この試験中は,4.2.2を適用する。
試験中に機器の電流消費が,例えば,ヒューズの溶断によって,0.2 Aを超える電流が2分間を超えて維
持されない場合,試験を行う必要はない。
4.3.16 一般用電源装置から電力を供給する機器は,表2に規定する試験用電源を用いて,試験する機器の
定格電圧の値よりも一段階上の値から始め,一段階ずつ順次上に上げていく。
この試験は,表2に規定する最大定格電圧以上の定格電圧をもつ機器には適用しない。
無負荷電圧が公称値であることを除き,この試験中は4.2.2を適用する。
試験中に機器の電流消費が,例えば,ヒューズの溶断によって,0.2 Aを超える電流が2分間を超えて維
持されない場合,試験を行う必要はない。
27
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4.3.17 充電回路をもつ機器に対しては,完全放電した特殊電池内の一つのセルを短絡した状態で再充電す
る。
注記 11.2及び14.11.3も参照。
5
表示及び説明書
5.1
一般要求事項
注記1 表示及び説明書に対する追加要求事項は,4.1.4,4.2.8,8.18,9.1.5,14.4.2,14.6.2.4,14.6.3.2,
14.6.5及び箇条19に規定がある。また,附属書Bも参照する。
表示は,永続性があり,理解しやすく,機器を用いるときに機器上で容易に識別できるものでなければ
ならない。
情報は,底面以外の外表面に表示することが望ましい。ただし,取扱説明書に表示場所の記載がある場
合,例えば,蓋の内側,可搬形機器,7 kg以下の機器の底面など,手を使えば,容易に見えるようにでき
る場所でもよい。
適否は,目視検査及び水を浸した布で15秒間,更に別の箇所又は別のサンプルで石油を浸した布で15
秒間,表示を手でこすって判定する。この試験の後,表示は,判読できなければならず,また,表示板が
簡単に外すことができたり,丸まったりしてはならない。
用いる石油は,脂肪溶剤ヘキサンで,芳香族成分が体積分率で最大0.1 %,カウリブタノール値が29,
沸点約65 ℃,乾点約69 ℃,比重が約0.7 kg/Lとする。石油の代替として,n-ヘキサンを85 %以上含有
する試薬等級のヘキサンを用いてもよい。
注記2 n-ヘキサンとは,“ノルマル”又は直鎖状炭化水素を指す化学名である。この石油精製物は,
更に,ACS(アメリカ化学会)が認可した試薬等級ヘキサン(CAS# 110-54-3)と同一のもの
でもよい。
量及び単位を示す文字記号は,IEC 60027の規格群の規定によらなければならない。
安全に関与する図記号は,IEC 60417及びISO 7000の規定によらなければならない。適否は,目視検査
によって判定する。
5.2
識別表示及び電源定格
機器には,次の表示を行わなければならない。
a) 製造業者又は責任ある販売業者の名称,商標又は識別表示
b) モデル番号又は形式
c) 機能接地をもたないクラスII機器の記号:
[IEC 60417-5172(2003-02)]
機能接地をもつクラスII機器の場合の記号:
[IEC 60417-6092(2011-10)]
d) 電源の種類
− 交流だけの記号:
[IEC 60417-5032(2002-10)]
− 直流だけの記号:
[IEC 60417-5031(2002-10)]
− 交流・直流両用の記号:
[IEC 60417-5033(2002-10)]
− 三相系統については,IEC 61293の規定による。
e) 定格電圧,又は電圧切換器を操作せずに印加できる定格電圧の範囲
異なった定格電圧又は定格電圧範囲に設定できる機器は,設定する電圧又は電圧範囲が機器を用い
るときに機器上で識別できる構造でなければならない。
使用者が選択できる定格は,例えば,110/230 Vのように斜線を用い,定格範囲は,例えば,110-230
28
C 6065:2016
Vのようにハイフンを用いる。
f)
正しい主電源周波数を用いないと安全性を損なう場合,ヘルツ(Hz)で主電源周波数(又は周波数範
囲)の表示
g) 一般用電源装置から電力を受けることができる機器の定格消費電流又は定格消費電力
代わりに,この情報を取扱説明書に記載してもよい。
定格電圧で測定した消費量は,表示値の110 %を超えてはならない。
h) 交流主電源に接続することを意図した機器には,定格消費電流又は定格消費電力
定格電圧で測定した消費量は,表示値の110 %を超えてはならない。
クラスI用の機器用カプラを,機能接地接続をもつクラスII機器に用いる場合,箇条15及び箇条16に
規定するクラスI構造に関連する要求事項は,機能接地への保護接地導体の接地点まで適用しなければな
らない。
安全に関与する機器上の図記号は,この規格での要求の有無にかかわらず,該当する場合には,IEC
60417,ISO 3864-2又はISO 7000に従わなければならない。適切な図記号がない場合には,製造業者が特
別な図記号をデザインしてもよい。
この規格で要求しない追加の表示及び説明書は,この規格で規定する表示及び説明書の要求事項と矛盾
しないように注意しなければならない。
安全に関与する機器上への記号は,取扱説明書で説明しなければならない。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
5.3
端子
端子には,次の表示を行わなければならない。
a) 電源線の保護接地導体の接続を意図した配線端子
[IEC 60417-5019(2006-08)]
この記号は,他の接地端子には用いてはならない。
b) 通常動作状態の下で危険な活電部になる端子。ただし,主電源供給用の端子は除く。
[IEC 60417-5036(2002-10)]
c) 接続できる機器の形番を端子に表示しない場合,主電源供給用のものを除き,他の機器への供給用出
力端子には,次の事項の表示
− 公称出力電圧
− 最も不利な負荷状態で表3に規定する通常動作状態の下での温度上昇値を超える場合,最大出力電
流又は電力
主電源電力を他の機器に供給するコンセントには,取り出せる電力及び電流を表示しなければなら
ない。
他の機器へ電力を供給する端子が1個しかない場合,5.1の規定を満たすとき,表示は機器上のどこ
にあってもよい。
適否は,目視検査によって判定する。
5.4
注意表示
該当する場合,次の表示を含めなければならない。
29
C 6065:2016
a) 製造業者のサービス資料,例えば,回路図又は部品表で,安全上の理由で資料に記載した部品だけと
交換しなければならないことを示す場合,次の記号を用いなければならない。
[ISO 7000-0434(2004-01)]
この記号は,関連する部品の近くにも表示してよい。
この記号は,部品上に表示してはならない。
b) 工具,コイン,その他のものを用いて外側から取り外すことができるスピーカグリルが保護カバー(9.2
参照)になる場合,次の表示又は同等のものが,グリルを外した後でエンクロージャ上に見えるよう
にしなければならない。
注意
感電防止のため,グリルを外している間は主電源につながないで下さい。
上記の要求事項の代わりに,記号[IEC 60417-5036(2002-10)]をグリルを外した後で見えるよう
に表示し,かつ,上記の注意文をこの記号とともに取扱説明書に記載してもよい。
c) 12.7.1に規定する使用者が交換可能なリチウムコイン(ボタン)電池を用いる機器には,次のいずれ
かの記号を表示しなければならない。
[ISO 7000-0434(2004-01)]
[ISO 7000-0434(2004-01)及びISO 7000-1641(2004-01)の組合せ]
電池交換を意図しない場合,又は機器を分解しないと電池にアクセスできない場合,この表示は要
求しない。
適否は,目視検査によって判定する。
注記 (フィンランド,ノルウェー及びスウェーデンの国内規格を考慮したクラスI機器をアース付
きコンセントに接続する旨の注記を削除した。)
5.5
説明書
5.5.1 この規格に従って安全に関する情報が必要な場合,この情報は設置説明書又は取扱説明書に記載し,
機器とともに供給しなければならない。この情報は,日本語によらなければならない。
注記 JIS S 0137を参照。
安全に関連する場合,適用できる限り,次の情報を含めることが望ましい。
− 十分な通気のための機器周辺の最小距離
− 通気口を新聞紙,テーブルクロス,カーテンなどで覆って換気を妨げない。
− 機器上に,例えば,火のついたろうそくのような裸火を置かない。
− 電池の廃棄による環境影響に注意を払う。
− 熱帯及び/又は温帯気候における機器の使用
5.5.2
説明書には,できる限り,次の事項を含めなければならない。
a) 主電源から供給を受ける機器及び内部で交流(ピーク)又は直流35 V以上の電圧を発生する機器で,
附属書Aに規定する飛まつ(沫)に対する保護がない場合,取扱説明書への,機器を水滴又は飛まつ
(沫)がかかる場所に置かない旨,及び水の入ったもの,花瓶などを機器の上に置かない旨の記載
b) 5.3 b) の表示がある端子は,危険な活電部である旨,及びこのような端子に外部配線をするには教育
30
C 6065:2016
を受けた人による取付け,又は既製の電線若しくはコードを用いる旨の警告
c) 機器が交換可能なリチウム電池を内蔵する場合は,次による。
− 使用者が電池を交換するように意図する場合,電池の近くか,又は取扱説明書及びサービス説明書
の両方への警告
− 使用者が電池を交換するように意図していない場合,電池の近く又はサービス説明書への警告
これらの警告には,次の内容か,又は類似の内容を含める。
注意
電池を誤って交換すると爆発する危険があります。
必ず同一又は同等のタイプのものと交換して下さい。
d) クラスI構造の機器は,保護接地接続をもつ主電源コンセントに接続しなければならない旨の警告
e) マルチメディアシステムに機器を正しく安全に設置し,相互接続することを確実に行うための指示
f)
機器を所定の場所に固定することによって,その機器に対し,19.2,19.3又は19.4に規定する安定性
要求事項に関する試験を行わない場合,次の警告,若しくは類似の警告内容を機器上に表示するか,
又は機器と一緒に提供する。
警告
傷害防止のため,この機器は,設置説明書に従って
床又は壁にしっかりと取り付ける必要があります。
g) 電池(電池パック又は組込電池)は,日光,火などの過度の熱にさらさない旨の警告
h) 機器にCRT(ブラウン管)があり,その表示面にJIS C 6965の規定に従った爆縮保護のための保護フ
ィルムを備える場合,取扱説明書への次の警告又は類似の警告内容
警告
この機器のCRT(ブラウン管)の表示面には保護フィルムが張られています。
このフィルムは安全のためのもので,取り除いてはいけません。
取り除くと深刻な傷害の生じる危険性が増大します。
i)
家庭での使用を意図し,7 kgを超える質量をもつ床置形でないテレビジョンセットの場合,設置指示
書又は取扱説明書への次の警告又は類似の警告内容
警告
不安定な場所にテレビジョンセットを置かないで下さい。
テレビジョンセットが落下すると,重大な人身傷害や死亡の原因になることがあります。
多くの傷害は,特に子供に対しては,次のような簡単な予防措置を取ることで回避できます。
− テレビジョンセットメーカが推奨するキャビネット又はスタンドを使用する。
− テレビジョンセットを安全に支持する専用の家具を使用する。
− テレビジョンセットが支持する家具の端から突き出さないようにする。
− 適切な支持物に家具及びテレビジョンセットの両方を固定することなく,背の高い家具(食器
棚,本棚など)にテレビジョンセットを置かない。
− テレビジョンセットと支持する家具との間に,布又は他の材質のものを敷かない。
− テレビジョンセット又はその制御器に触れるために,家具によじ登ることの危険性を子供に教
育する。
31
C 6065:2016
使用中のテレビジョンセットをそのまま使い続けるか,又は再配置する場合,上記と同じ考慮が必
要です。
注記1 (中国でのケーブル分配器の設置についての要求事項の注記を削除した。)
注記2 (ノルウェー及びスウェーデンでのテレビジョン信号分配システム用の同軸ケーブルの保
護設置についての要求事項の注記を削除した。)
j)
12.7.1に規定する使用者が交換可能なリチウムコイン(ボタン)電池を用いる機器には,次の警告文
又は類似の警告内容
警告
電池を飲み込まないで下さい。化学的反応による傷害の危険があります。
この製品(この製品に付属するリモートコントロール装置)は,リチウムコイン(ボタン)
電池を含んでいます。リチウムコイン(ボタン)電池を飲み込むと,2時間足らずで重大な
体内損傷を引き起こし,死に至ることがあります。
新しい電池及び使用済みの電池は,子供の手の届かないところに保管して下さい。
電池収納部がしっかり閉まらない場合は,製品の使用を中止し,子供の手の届かないとこ
ろに保管して下さい。
電池を飲み込んでしまった,又は電池を飲み込んだ疑いがある場合は,直ちに医師の診断
を受けて下さい。
注記 リモートコントロール装置ではなく機器内に電池がある場合は,上記のリモートコントロー
ル装置に関する部分は省略できる。
電池交換を意図しない場合,又は機器を分解しないと電池にアクセスできない場合,この警告は要
求しない。
適否は,目視検査によって判定する。
5.5.3
主電源から分離するデバイスについて,説明書に次の事項を含めなければならない。
a) 遮断デバイスとして主電源プラグ又は機器用カプラを用いる場合,この遮断デバイスは容易に操作で
きるようにしておかなければならない旨の記載
b) 遮断デバイスとして全極主電源スイッチを用いる場合,スイッチの機器上の位置及び機能,並びにこ
のスイッチは,容易に操作できるようにしておかなければならない旨の記載
c) 全極主電源スイッチも全極回路遮断器もない恒久接続機器の場合,設置は,全ての適用可能な設置規
則に従って行わなければならない旨の記載
注記 設置規則には,電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年3月27日通商産業省令第
52号)がある。
IEC 60417-5008(2002-10)又はIEC 60417-5010(2002-10)に従ったオフの位置を示す記号は,保護接
地導体を除く主電源の全てを切り離す全極主電源スイッチだけに認める。
表示,信号ランプ又は同様な手段によって,機器が主電源から完全に分離している印象を与えそうな場
合,正しい状況を明記した情報を説明書に含めなければならない。記号を用いる場合,説明書にその意味
も説明しなければならない。
適否は,目視検査によって判定する。
5.5.3A クラス0I機器には,主電源プラグ又は機器本体の見やすい箇所に,次の内容の警告表示をしなけ
32
C 6065:2016
ればならない。
警告
必ず接地接続を行って下さい。
さらに,クラス0I機器には,次の内容を機器本体の見やすい箇所に表示するか,又は取扱説明書に記載
しなければならない。
警告
接地接続は必ず,主電源プラグを主電源につなぐ前に行って下さい。
また,接地接続を外す場合,必ず主電源プラグを主電源から切り離してから行って下さい。
適否は,目視検査によって判定する。
6
危険な放射
6.1
電離放射
潜在的な電離放射線源を含む機器は,通常動作状態及び故障状態の下で,電離放射線に対して人体を保
護できる構造でなければならない。
適否は,次の条件での測定によって判定する。
通常動作状態に加え,外部から手か,又は工具,コインなどの道具を用いて調節できるあらゆる調節器,
及び信頼できる方法で固定していない内部調節器又はプリセットを,1時間にわたり明瞭な映像を維持し
ながら最大放射となるように調節し,その最終段階で測定を行う。
注記1 はんだ付け及びペイントロックは,適切な固定方法の例である。
機器外部のあらゆる箇所の放射の割合は,10 cm2の有効面積の測定器で機器の外面から5 cm離れた箇所
で測定して決定する。
さらに,高電圧の増加をもたらす故障状態の下で,1時間にわたり明瞭な映像を維持し,その最終段階
で測定を行う。
放射の割合は,36 pA/kg(0.5 mR/h又は5 μSv/h)を超えてはならない。
注記2 この値は,ICRP 15の箇条289の規定に従っている。
注記3 CENELEC加盟国の中では,電離放射線量を1996年5月13日の欧州議会指令96/29/Euratom
(欧州原子力共同体)によって規制している。この指令は,機器の外表面から10 cm離れた
あらゆる点において,バックグラウンドレベルを考慮して放射の割合は,1 μSv/h(0.1 mR/h)
以下であることを要求している。
次の全ての条件を満たしている場合,映像は明瞭であるとみなす。
− 有効スクリーン幅の70 %以上の走査振幅がある。
− 試験信号を用い,同期の取れた無信号のラスタの輝度が50 cd/m2以上ある。
− 中央部で1.5 MHz以上に相当する水平解像度がある。垂直解像度は,水平解像度に応じて劣化してよ
い。
− フラッシュオーバの割合が1回/5分間以下である。
33
C 6065:2016
6.2
レーザ放射
6.2.0A 一般事項
レーザシステムをもつ機器は,通常動作状態及び故障状態の下で,レーザ放射に対して人体を保護でき
る構造でなければならない。
レーザシステムをもつ機器は,次の条件を満たしている場合,この細分箇条のこれ以降の要求事項を適
用しない。
− JIS C 6802:2011の箇条3,箇条8及び箇条9の規定に従った製造業者による分類が,あらゆる動作状
態,保守,修理及び故障状態の下で,到達放射レベルがクラス1以下であることを示す。
− 機器は,JIS C 6802:2011に規定する組込形レーザを含んでいない。
注記1 用語“到達放射レベル”は,JIS C 6802:2011に規定する“被ばく放出限界(AEL)”を意味
する。
機器は故障状態下で測定した到達放射レベルに従い分類し,表示を行わなければならない。ただし,ク
ラス1以下の機器には,JIS C 6802:2011の5.2の規定は,適用しない。
外部から手か,又は工具,コインなどの道具を用いて調節できるあらゆる調節器,及び信頼できる方法
で固定していない内部調節器又はプリセットは,最大放射となるように調節する。
注記2 はんだ付け及びペイントロックは,適切な固定の例である。
JIS C 6802:2011の3.37 d) に規定する反射によるレーザ放射は,クラス1のレーザシステムでは測定し
ない。
適否は,JIS C 6802:2011に規定する要求事項を,次のように変更及び追加した要求事項に適合するかど
うかによって判定する。
通常動作状態:
a) 機器は,通常動作状態の下で,JIS C 6802:2011の表4及び表5に規定するクラス1の到達放射限度値
に適合しなければならない。分類の基準時間は,100秒間とする。
適否は,JIS C 6802:2011の箇条9に規定する測定によって判定する。
b) 通常動作状態の下でクラス1の到達放射限度値に適合するレーザシステムを内蔵する製品には,c) 及
びd) を適用しない。
c) クラス1の限度値を超えるレーザ放射へのアクセスを防いでいるカバーは,手で開けることができな
いような適切な対策を施さなければならない。
適否は,目視検査及び試験によって判定する。
d) 安全性が機械的安全インタロックの適切な動作に依存する場合,このインタロック装置は,フェイル
セーフ(故障モードでは機器が動作しなくなるか,又は危険でなくなる。)とするか,又は通常動作状
態の下の電圧・電流で,50 000回の開閉試験に耐えなければならない。
適否は,目視検査又は試験によって判定する。
単一故障状態:
e) 機器が4.3に規定する故障状態の下で動作する場合,到達放射レベルは,波長が400〜700 nmの範囲
外ではクラス3R以下,波長が400〜700 nmの範囲内ではクラス1の限度の5倍以下でなければなら
ない。
注記 クラス3Rの限度値は,JIS C 6802:2011の表7及び表8に規定がある。
適否は,JIS C 6802:2011の箇条9に規定する測定によって判定する。
f)
故障状態の下でe) の到達放射限度値に適合するレーザシステムを内蔵する機器にはg) 及びh) を適
34
C 6065:2016
用しない。
g) e) の限度値を超えるレーザ放射へのアクセスを防いでいるカバーは,手で開けることができないよう
な適切な対策を施さなければならない。
適否は,目視検査及び試験によって判定する。
h) 安全性が機械的安全インタロックの適切な動作に依存する場合,このインタロック装置は,フェイル
セーフ(故障モードで機器が動作しなくなるか,又は危険でなくなる。)とするか,又は通常動作状態
の下の電圧・電流で50 000回の開閉試験に耐えなければならない。
適否は,目視検査又は試験によって判定する。
6.2.0B 従来形のランプとして機能するように設計されたレーザシステムをもつ機器
子供用玩具を除き,従来形のランプとして機能するように設計したレーザシステムに対しては,6.2.0A
に代えてJIS C 6802:2014の4.4(従来形のランプとして機能するように設計されたレーザ製品)を用いて
もよい。
注記 従来形のランプとして機能するように設計したレーザシステムをもつ機器の例としてはレーザ
を光源として用いたフロント投写形ビデオプロジェクタがある。
6.3
LED
ランプ製造業者の指定によって,200〜3 000 nmの波長範囲をもち,IEC 62471に規定するリスクグルー
プ3の範囲となる光学的放射を生成するLEDを含む機器は,使用者のアクセス可能なエリアへのリスクグ
ループ3の光学的放射の可能性を低減するための手段(インタロック,バリア,ガード,類似の手段など)
を施さなければならない。低出力のLEDは,IEC 62471に適合する必要はない。
注記1 一般的に,次の用途で用いるLEDは,低出力である。
− 表示灯
− 家庭用娯楽デバイスに用いる赤外線デバイス
− コンピュータとその周辺機器との間で用いるようなデータ転送用の赤外線デバイス
− オプトカプラ
− 他の同等の低出力デバイス
適否は,入手可能なデータシートの評価,目視検査,及び必要な場合,測定によって判定する。
注記2 測定の技術的ガイダンスは,IEC 62471を参照する。
注記3 光学的放射が広範囲で,IR-A放射及び光源の輝度が104 cd/m2を超えない場合,IEC 62471の
4.3(危険な露光限界)に規定する露光限界値を超えない放射であると判断する[IEC 62471
の4.1(一般事項)を参照。]。
7
通常動作状態の下での温度上昇
7.1
一般事項
7.1.1
要求事項
意図した使用中に,機器のいかなる部分も過剰な温度に達してはならない。
適否は,通常動作状態の下で安定状態に達したときの温度の測定によって判定する。
注記 一般に,4時間後には安定状態に達すると判断できる。
温度上昇は,次によって決定する。
− 巻線用電線の場合,抵抗法又は巻線用電線の平均温度を測定できるその他の方法
巻線用電線の抵抗測定時には,巻線用電線につないだ配線又は回路の影響が無視できるように注意
35
C 6065:2016
することが望ましい。
− その他の箇所は,適切な方法
温度上昇は,7.1.2〜7.1.6に規定する値を超えてはならない。
試験中に動作する保護回路の単一の保護デバイス又は部品は,次のものを除き無効にする。
a) 14.6.2に規定する要求事項に適合する自動復帰形のサーマルカットアウト
b) 14.6.4に規定する要求事項に適合するPTCサーミスタ
オーディオ増幅器の連続動作が不可能な場合,連続動作が可能な最大信号レベルでも動作させる。
7.1.2
可触部
可触部の温度上昇は,表3に規定するa) の“通常動作状態”の値を超えてはならない。
7.1.3
巻線を除く電気絶縁部
基礎絶縁,付加絶縁又は強化絶縁を構成するか,又は故障が起きると9.1.1の規定又は火災の危険の要求
事項に反する原因となる巻線以外の絶縁又は絶縁部品の温度上昇は,表3の注d) に規定する条件を考慮し
て,表3に規定するb) の“通常動作状態”の値を超えてはならない。
空間距離の確保又は沿面距離に寄与するために用いる絶縁部が許容温度上昇値を超える場合,箇条8及
び箇条11に規定する要求事項に対する適合性を評価するときは,この絶縁部を無視する。
7.1.4
保持部又は機械的バリアとして機能する部分
機械的故障によって,9.1.1の要求事項に反する部分の温度上昇は,表3に規定するc) の“通常動作状
態”の値を超えてはならない。
7.1.5
巻線
感電又は火災の危険に対する保護の役割を果たす絶縁を構成する巻線の温度上昇は,表3に規定するb)
及びd) の“通常動作状態”の値を超えてはならない。
空間距離の確保又は沿面距離に寄与するために用いる絶縁部が許容温度上昇値を超える場合,箇条8及
び箇条11に規定する要求事項に対する適合性を評価するときは,この絶縁部を無視する。
絶縁が巻線の中にあり,直接その温度が測定できない場合,絶縁物の温度は,巻線用電線の温度と同じ
とみなす。
注記 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
7.1.6
7.1.2〜7.1.5の適用を受けない部分
7.1.2〜7.1.5の適用を受けないの部分の温度上昇は,表3に規定するe) の材料の種類に従った“通常動
作状態”の値を超えてはならない。
表3−機器の各部の許容温度上昇a)
機器の部分
通常動作状態a)
K
故障状態a)
K
a) 可触部
ノブ,ハンドルなど
− 金属
30
65
− 非金属c)
50
65
エンクロージャ
− 金属b)
40
65
− 非金属b), c)
60
65
36
C 6065:2016
表3−機器の各部の許容温度上昇a)(続き)
機器の部分
通常動作状態a)
K
故障状態a)
K
b) 電気絶縁物d)
電源供給コード及び配線の絶縁
− 塩化ビニル又は合成ゴム
・ 機械的応力が加わらない。
60
100
・ 機械適応力が加わる。
45
100
− 天然ゴム
45
100
その他の絶縁物
− 熱可塑性材料e)
f)
f)
− 含浸してない紙
55
70
− 含浸してない厚紙
60
80
− 含浸してある綿,絹,紙及び繊維
70
90
− 次で固めたセルロース又は繊維基材積層板
・ フェノールホルムアルデヒド,メラミンホルムアルデヒド,フェノール
フルフラール又はポリエステル
85
110
・ エポキシ
120
150
− 成形品
・ フェノールホルムアルデヒド,フェノールフルフラール,メラミン及び
メラミンフェノールコンパウンド
− セルロース充塡材
100
130
− 無機充塡材
110
150
・ 無機充塡材入り熱硬化性ポリエステル
95
150
・ 無機充塡材入りアルキド
95
150
− 複合材
・ ガラス繊維強化ポリエステル
95
150
・ ガラス繊維強化エポキシ
100
150
− シリコンゴム
145
190
c) エンクロージャ内部を含め機械的バリア又は保持部d)
木及び木質材料
60
90
熱可塑材e)
f)
f)
その他の材料
d)
d)
d) 巻線用電線d), g)
− 次で絶縁したもの
・ 含浸してない絹,綿など
55
75
・ 含浸してある絹,綿など
70
100
・ 含油樹脂
70
135
・ ポリビニルホルムアルデヒド又はポリウレタン樹脂
85
150
・ ポリエステル樹脂
120
155
・ ポリエステルイミド樹脂
145
180
e) その他の箇所
次の温度上昇値はa),b),c)及びd)でカバーされない部分に適用する。
木及び木質材料の部分
60
140
リチウム電池
40 h)
50 i)
抵抗器及び金属,ガラス,セラミックなどの部分
制限なし
制限なし
その他のあらゆる部分
200
300
37
C 6065:2016
表3−機器の各部の許容温度上昇a)(続き)
表3に適用する条件
注a) 熱帯気候に対しては,この表に規定する値よりも10 K低い許容温度上昇とする。
温度上昇値は,温帯気候では35 ℃,熱帯気候では45 ℃の最高周囲温度に基づく。
自動復帰形のサーマルカットアウト又はPTCサーミスタによって温度を制限する場合,その部分の測定温
度は,表3に規定する許容温度値に35 ℃を加えた値を超えてはならない。
b) 通常の使用状態では,意図した使用中に触れそうにない部分に対して,65 Kまでの温度上昇を認める。触れ
そうな部分の評価をするとき,4.1.4に規定する試験箱は用いない。次の部分は触れそうにない部分とみなす。
− 後面及び底面。ただし,通常の使用時に操作するスイッチ又は操作器がそこにある場合を除く。
− 外部ヒートシンク及び外部ヒートシンクを直接覆う金属。ただし,通常の使用時に操作するスイッチ又
は操作器がそこにある場合を除く。
− 上面の一般的な面から30 mmを超えて引っ込んでいる箇所
0.3 mm以上の厚さのプラスチックで覆った金属部の外面に対しては,絶縁材の許容温度上昇を認める。
機器内部のヒートシンクをカバーするエンクロージャが次の全ての条件を満たす場合,65 Kまでの温度上
昇を認める。
− エンクロージャ表面の加熱部分又はその近傍に記号(IEC 60417-5041)表示がある。
− 使用中に操作する可能性のある制御器と加熱部分との間の機器の表面上の最短距離が150 mm以上ある。
− 取扱説明書に,記号(IEC 60417-5041)の意味及び加熱部分に関する情報の記載がある。
例 “この記号の近くは高温になるので,触れないで下さい。”
c) ここに規定する温度上昇が,関連する絶縁階級の絶縁物に対する許容値よりも高い場合,それを認めるか否
かについては,絶縁物の材質が決定要因となる。
d) この規格の許容温度上昇値は,絶縁物の温度に対する安定性に関しての長年にわたる経験に基づく。ここで
取り上げた材料は例示にすぎない。さらに高い温度上限値の適用についての要請があった材料,及びこの表
に例示していない材料の最高温度は,問題がないと認める温度以下になるようにしなければならない。例え
ば,JIS C 4003に準拠する。
注記 電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈(20130605商局第3号)(以下,技術基準の解釈という。)
の別表第四の1 (1) ロ(ハ)は,この規格に例示していない材料に対して,問題がないと認める温度
に関する要求事項とみなされている。
また,b) の電源コード及び配線に関する表の限度値は,JIS C 3662の規格群又はJIS C 3663の規格群に規
定する要求事項に適合する電線に適用する。その他の電線は,通常動作状態の下で,上記に規定する問題が
ない温度と認める温度以下とし,故障状態の下では,100 Kを超えてはならない。
e) 天然ゴム及び合成ゴムは,熱可塑性材とはみなさない。
f) 熱可塑性材は広範囲にわたるため,一般的な許容温度上昇を決めることができない。特定の熱可塑性材の軟
化温度を決めるためには,材料の製造業者からのデータによるか,又はISO 306に規定する試験B50によっ
て決定したビカット軟化温度を用いる。材料が不明であるか,又はその部分の実際の温度が軟化温度を超え
る場合,絶縁物の軟化温度は,50 ℃/hの加熱割合でISO 306に規定する条件を次のように変更して,別の試
験品で試験を行い,決定する。
− 貫通の深さは,0.1 mm
− ダイヤルゲージをゼロに設定するか,又は初期値を記録し10 Nの押圧力を加える。
温度上昇値を求める場合に考慮する温度限度値は,次による。
− 通常動作状態の下では,軟化温度よりも10 K低い温度
− 故障状態の下では,軟化温度自体
120 ℃を超える軟化温度が必要な場合,注c) の条件を考慮する。
g) スイッチモード変圧器に対しては,温度上昇は,熱電対を実際的である範囲でできるだけ巻線に近づけて測
定してもよい。許容温度上昇は,表3に規定する値よりも10 K低い値とする。
h) JIS C 8513に規定する関連の電気的試験を満足するリチウム電池を除く。
i) JIS C 8513に規定する全ての電気的試験を満足するリチウム電池を除く。
7.2
絶縁材料の耐熱性
主電源に導電的に接続した部分を保持する絶縁材料は,意図した使用時に定常電流が0.2 Aを超え,不
完全な接続によってかなりの発熱をするおそれがある場合,耐熱性がなければならない。
38
C 6065:2016
適否は,絶縁材料に表3の注f) に規定する試験又は材料の製造業者からのデータを確認することによっ
て判定する。
絶縁材料の軟化温度は,150 ℃以上でなければならない。
絶縁物が保持する二つのグループの導体を,お互いに強固に接続又は固定する場合(例えば,プラグ及
びソケットによって),いずれか一方の絶縁物がこの試験に合格すればよい。片方を機器に固定する場合,
この部分が試験に耐えなければならない。
注記1 意図した使用中にかなりの発熱をする部分の例は,スイッチ及び電圧切換器の接点,ねじ端
子,ヒューズホルダなどである。
注記2 関連するIEC規格,IEC規格に整合したJIS,箇条14又は箇条15で使用を認める部品に対
しては,この試験は必要ない。
8
感電保護に関する構造要求
8.1
ラッカー,溶剤ベースのエナメル,普通紙,未処理の繊維,酸化フィルム又はビーズだけで覆った
導電部は,裸とみなす。
適否は,目視検査によって判定する。
8.2
機器は,手による次の操作によって感電の危険が生じないように設計し,かつ,組み立てなければ
ならない。
− 電圧設定又は電源の種類の切換え
− ヒューズ及び指示灯の交換
− 引出しの操作
適否は,9.1.1に規定する試験によって判定する。
8.3
危険な活電部の絶縁は,吸水性がある材料であってはならない。
適否は,目視検査及び疑義がある場合,次の試験によって判定する。
材料の試験片は,JIS C 2140の箇条9(選択,準備及び測定の手順)の規定に従い,温度40±2 ℃及び
相対湿度90〜95 %で,次の時間,前処理をする。
− 熱帯の条件で用いる機器:7日間(168時間)
− その他の機器:4日間(96時間)
試験片は,前処理後1分以内に,10.4の試験に耐えなければならない。ただし,10.3の湿度処理は行わ
ない。
8.4
機器は,可触部又は手でカバーを外したとき可触になる部分からの感電の危険がないように組み立
てなければならない。
この要求事項は,電池の交換時にカバーを外すことによって,可触部となる電池室の内部にも適用する。
この要求事項は,メモリ用の電池のように,使用者による電池の交換を意図していない場合,機器内部
の電池室には適用しない。
適否は,8.5又は8.6に規定する要求事項に適合するかどうかによって判定する。
5.3 b) に従って図記号を表示した端子,機器を主電源に接続するための端子,又は他の機器に電力を供
給するための端子を除き,端子の触れることができない接点であっても可触部とみなす。
注記 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
8.5
クラスI機器及びクラス0I機器の場合,二重絶縁又は強化絶縁(クラスII構造)の部分を除き,可
触導電部分は,箇条10の絶縁要求事項並びに箇条13の空間距離及び沿面距離の要求事項に適合する基礎
39
C 6065:2016
絶縁によって,危険な活電部から分離しなければならない。
この要求事項は,短絡しても感電の危険の原因とならない絶縁には適用しない。
注記1 分離変圧器の二次巻線の片端が可触導電部につながっている場合,もう一方の端は同じ可触
導電部に関する特別の要求事項に適合する必要はない。
基礎絶縁,二重絶縁又は強化絶縁を橋絡する抵抗器は,14.2 a) の要求事項に適合しなければならない。
危険な活電部と保護接地端子に接続した可触導電部との間の基礎絶縁を橋絡するコンデンサ又はRCユ
ニットは,14.3.2 a) の要求事項に適合しなければならない。
このような抵抗器,コンデンサ又はRCユニットは,機器のエンクロージャ内に配置しなければならな
い。
クラスI機器は,可触導電部及び保護接地極(コンセントを備えるクラスI機器に限る。)を確実に接続
する保護接地端子又は接点をもたなければならない。クラス0I機器は,可触導電部を確実に接続するため
の保護接地端子又は接点をもたなければならない。このような接続は,可触導電部を危険な活電部から二
重絶縁若しくは強化絶縁で絶縁した部分(クラスII構造)か,又は保護接地端子に確実に接続した導電物
によって危険な活電部から保護した部分には,要求しない。
注記2 このような導電物の例は,変圧器の一次巻線と二次巻線との間の金属遮蔽物,金属シャーシ
などである。
適否は,目視検査によって判定する。
8.6
クラスII機器の場合,可触部は,次のa) に規定する二重絶縁か,又はb) に規定する強化絶縁のい
ずれかによって,危険な活電部から分離しなければならない。
この要求事項は,短絡しても感電の危険の原因とならない絶縁には適用しない。
例 分離変圧器の二次巻線の片端が可触導電部につながっている場合,もう一方の端は同じ可触導電
部に関する特別の要求事項に適合する必要はない。
a) 可触部を危険な活電部から基礎絶縁及び付加絶縁によって分離する場合,次を適用する。
それぞれの絶縁は,箇条10に規定する絶縁要求事項,並びに箇条13に規定する空間距離及び沿面
距離の要求事項に適合しなければならない。
8.3に規定する要求事項に適合しない木製のエンクロージャは,10.4に規定する耐電圧試験に耐える
場合,付加絶縁として認める。
適否は,目視検査及び/又は測定によって判定する。
b) 可触部を危険な活電部から強化絶縁によって分離する場合,次を適用する。
絶縁は,箇条10に規定する絶縁要求事項に適合しなければならない。さらに,箇条13に規定する
空間距離及び沿面距離の要求事項に適合しなければならない。
注記 強化絶縁の評価例を,図2に示す。
適否は,目視検査及び/又は測定によって判定する。
8.7
14.4.5.3に規定する要求事項に適合する部品は,基礎絶縁だけを橋絡することができる。
14.2 a) 又は14.4に規定する要求事項に適合する14.4.5.3以外の部品は,基礎絶縁,付加絶縁,二重絶縁
又は強化絶縁を橋絡することができる。
14.3.2 a) に規定する要求事項に適合する同一定格値のコンデンサ又はRCユニットによって,基礎絶縁
及び付加絶縁を個々に橋絡することができる。
二重絶縁又は強化絶縁を橋絡することができる部品は,次による。
− 14.3.2 a) に規定する要求事項に適合する同一定格値の2個直列にしたコンデンサ又はRCユニット
40
C 6065:2016
− 14.3.2 b) に規定する要求事項に適合する1個のコンデンサ又はRCユニット
注記 二重絶縁又は強化絶縁を橋絡する外部の絶縁については,8.8の規定も参照する。
このような抵抗器,コンデンサ又はRCユニットは,機器のエンクロージャ内に配置しなければならな
い。
適否は,目視検査によって判定する。
8.8
基礎絶縁,付加絶縁及び強化絶縁は,10.4に規定する耐電圧試験に耐えなければならない。
二重絶縁については,基礎絶縁又は付加絶縁のいずれかは,0.4 mm以上の厚さがなければならない。
強化絶縁は,通常動作状態及び故障状態の下の温度で,絶縁材料の変形又は劣化が起きるような機械的
ストレスにさらされなくても,0.4 mm以上の厚さがなければならない。
機械的なストレス状態下では,箇条10に規定する絶縁要求事項及び箇条12に規定する機械的強度の要
求事項に適合するには,絶縁厚を増加させる必要が生じる場合がある。
これらの要求事項は,次のいずれかを満たす薄いシート状の絶縁には,厚さに関係なく適用しない。た
だし,その絶縁を機器の内部で用いる場合に限る。
− 基礎絶縁又は付加絶縁を2層以上で構成し,それぞれが10.4に規定する基礎絶縁又は付加絶縁に対す
る耐電圧試験に耐える。
− 基礎絶縁又は付加絶縁を3層で構成し,あらゆる2層の組合せが10.4に規定する基礎絶縁又は付加絶
縁に対する耐電圧試験に耐える。
− 強化絶縁を2層以上で構成し,そのそれぞれが10.4に規定する強化絶縁に対する耐電圧試験に耐える。
− 強化絶縁を3層で構成し,あらゆる2層の組合せが10.4に規定する強化絶縁に対する耐電圧試験に耐
える。
全ての絶縁層が同じ材質でなければならないという要求事項はない。
付加的内挿絶縁なしで用いる巻線用絶縁電線に対する要求事項については,8.16による。
分離できない薄いシート状の絶縁の試験方法については,8.21による。
注記 8.21に規定する試験の目的は,絶縁材料が絶縁層の内側に隠れている場合であっても損傷に耐
える強度を十分にもつことを保証するためである。したがって,これらの試験は,2層の絶縁
には適用しない。これらの試験は,付加絶縁にも適用しない。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
8.9
電線若しくはケーブルの危険な活電導体と可触部との間か,又は可触導電部に接続した電線若しく
はケーブルの導体と危険な活電部との間の器内配線の絶縁は,塩化ビニル製の場合,0.4 mm以上の厚さが
なければならない。
その他の材料の場合,10.4に規定する耐電圧試験に耐え,更に構造上必要な場合,同等の機械的強度を
確保する厚さがなければならない。
注記 例えば,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)絶縁は,厚さが0.24 mm以上の場合,この要求
事項に適合すると判断する。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
8.10 クラスII機器は,次の部分間に二重絶縁を備えなければならない。
− 可触部と主電源に導電的に接続した電線又はケーブルの導体との間
− 可触導電部に接続した電線又はケーブルの導体と主電源に導電的に接続した部分との間
基礎絶縁又は付加絶縁のいずれかは,8.9の要求事項に適合しなければならない。その他の絶縁は,基礎
絶縁又は付加絶縁に対する10.4に規定する耐電圧試験に耐えなければならない。
41
C 6065:2016
二重絶縁を別々に試験できないような2層で構成する場合,10.4に規定する強化絶縁に対する耐電圧試
験に耐えなければならない。
10.4に規定する試験電圧は,長さ10 cmにわたって電線の絶縁に強固に巻き付けた金属はく(箔)と導
体との間に印加する。
絶縁スリーブの場合,10.4に規定する試験電圧は,スリーブに強固に密着して差し込んだ金属棒と長さ
10 cmにわたってスリーブに強固に巻き付けた金属はくとの間に印加する。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
8.11 機器の構造は,万が一電線が外れても,外れた電線の自然な動きによって空間距離及び沿面距離が
箇条13に規定する値未満になってはならない。この要求事項は,電線が外れるおそれがない場合には適用
しない。
同時に2か所以上の接続が外れることは,想定しない。
注記1 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
注記2 電線が外れないようになっているとみなす方法の例を,次に示す。
a) 振動によって,はんだ付け部の近くで電線が切れるおそれがある場合を除き,電線をタ
グに固定した後にはんだ付けをする。
b) 確実な方法で電線を一緒にねじる。
c) JIS C 2107,JIS C 2336,JIS C 2338又はIEC 60454の規格群の規定に基づく熱硬化性の
接着剤を用いた粘着テープ,ケーブルタイ,スリーブなどで電線を一緒に確実に固定す
る。
d) 振動によってプリント配線板の近くで線材が切れる可能性がある場合を除き,プリント
配線板にあけた電線の導体よりも少し大きな穴に,電線を差し込んだ後にはんだ付けを
する。
e) 電線の導体及び絶縁物がある場合,特殊工具を用いてその絶縁物を端子に確実に巻き付
ける。
f)
電線の導体及び絶縁物がある場合,特殊工具を用いてその絶縁物を端子に圧着する。
疑義がある場合,適合性を判定するために12.1.3に規定する振動試験を行う。
8.12 窓,レンズ,信号ランプのカバーなどは,それがないと危険な活電部が可触部になる場合,有効な
手段で固定しなければならない。
摩擦だけに頼る方法は,有効な手段とはみなさない。
注記 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
適否は,目視検査によって,また,疑義がある場合,最も厳しい場所及び最も厳しい方向に外部から20
Nの力を10秒間加えることによって判定する。
8.13 端子を保持するカバー(箇条15参照)のように,意図した使用中に力が加わるおそれがあるカバー
は,それがないと危険な活電部が可触部になる場合,有効な手段で固定しなければならない。
摩擦だけに頼る方法は,有効な手段とはみなさない。
注記 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
適否は,目視検査によって,また,疑義がある場合,最も厳しい場所及び最も厳しい方向に外部から50
Nの力を10秒間加えることによって判定する。
8.12及び8.13に規定する試験の後,機器は,この規格に不適合となる損傷があってはならない。特に,
42
C 6065:2016
危険な活電部が可触になってはならない。
8.14 内部配線の絶縁の損傷が,この規格に不適合となるような内部配線は,次による。
− その配線又はその周囲の物に2 Nの力を加えたとき,表3に規定する電線の絶縁の許容温度上昇値を
超える部分に触れないよう固定しなければならない。
− その配線又はその周囲の物に2 Nの力を加えたとき,例えば,シャープエッジ,可動部分又はピンチ
(挟まれるおそれのある箇所)によって,機器の他の部分に接触するおそれがある線の絶縁に損傷の
危険がない構造になっていなければならない。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
8.15 機器の製造業者が指定した電源装置の電力だけを受けるように設計した機器は,改造しない限り専
用電源装置を一般用電源装置に置き換えることができないような構造でなければならない。
注記 互換性がないことという要求事項は,例えば,特別の接続部を用いることで達成できる。
適否は,目視検査によって判定する。
8.16 基礎絶縁,付加絶縁,強化絶縁又は二重絶縁の絶縁構造を備えた巻線部品の絶縁巻線は,次の要求
事項に適合しなければならない。
− 絶縁巻線の絶縁を巻線部品内で,基礎絶縁,付加絶縁又は強化絶縁を提供するために用いる場合,そ
の絶縁線は附属書Hに適合する。
− 導体に適用する構造層の最小数は,次による。
・ 基礎絶縁の場合,2層巻き又は1層の押出し層
・ 付加絶縁の場合,2層巻き又は2層の押出し層
・ 強化絶縁の場合,3層巻き又は3層の押出し層
− 上記で2層以上の構造層が必要な場合,必要な全層数を1導体に対して施しても,2導体間で分担し
て施してもよい。
− 互いに隣接する絶縁巻線の絶縁は,各導体の絶縁が動作電圧に対する定格をもっている場合,二重絶
縁によって分離するとみなす。
− 線を同心円状に巻いた2層以上のテープで絶縁する場合,層の重なり部分は,巻線部品の製造中に重
なり部分を連続して十分に確保する。層間の沿面距離が,巻いた状態でこの規格の箇条13を満たさな
い場合,テープ層はシールする。
注記 押出し工程で絶縁する線材は,その工程において本質的にシーリングがなされる。
− 二つの絶縁した線か,又は一つの裸線と一つの絶縁した電線とが巻線部品の内部で接触し,45〜90°
の角度でお互いに交差し,更に巻線の張力を受ける場合,機械的ストレスに対する保護を施す。この
保護は,次のいずれか一つで達成できる。
・ 絶縁スリーブ若しくはシート材の形状内での物理的な分離か,又は必要な絶縁層数の2倍を用いる。
・ 巻線部品は,8.17に規定する要求事項に適合する。
− H.3に規定するルーチン耐電圧試験を全数,その線に行ったことを,製造業者は明示する。
適否は,絶縁巻線の製造業者による宣言書及びその部分の目視検査によって判定する。
8.17 8.16に要求がある場合,各サイクルをヒートラン,振動試験及び湿度処理で構成する次のサイクル
試験を巻線部品に行う。このサイクル試験の前及び各サイクルの後に,8.17 d) の規定に従って測定を行う。
試験品の数は,3個とする。試験品には,10回の試験サイクルを実施する。
a) ヒートラン 絶縁の形式(熱分類)に応じ,表4に規定する時間及び温度の組合せで,加熱用キャビ
ネット中に試料を放置する。同じ組合せで10回実施する。
43
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加熱用キャビネットの温度は,±3 ℃の許容差内に保持する。
表4−試験温度及び試験時間(日)/サイクル
単位 日
試験温度
℃
絶縁システムに対する温度
100 ℃
115 ℃
120 ℃
140 ℃
165 ℃
220
4
210
7
200
14
190
4
180
7
170
14
160
4
150
4
7
140
7
130
4
120
7
JIS C 4003及びJIS C 2143の
規格群の規定に従った分類
A
E
B
F
H
この試験にどの時間及び温度の組合せを用いるかは,製造業者が決定する。
加熱試験後,試料は振動試験を行う前に周囲温度まで冷やしてもよい。
b) 振動試験 試料は,JIS C 60068-2-6に規定するとおり,ねじ,クランプ又は部品に巻き付けたストラ
ップによって通常の使用位置で振動発生機に固定する。振動の方向は垂直とし,条件は,次による。
− 持続時間:30分間
− 振幅:0.35 mm
− 掃引周波数:10 Hz → 55 Hz → 10 Hz
− 掃引率:毎分約1オクターブ
c) 湿度処理 試料は,10.3に規定する湿度処理を2日間行う。
d) 測定 各サイクル後,10.4の規定に従って絶縁抵抗を測定し,耐電圧試験を行う。さらに,主電源周
波数だけで動作する変圧器に対して,次の試験を行う。
耐電圧試験後,一つの入力回路に定格周波数の2倍で,定格電圧の1.2倍以上の値の試験電圧を5
分間印加する。変圧器には負荷を接続しない。ポリファイラ巻線がある場合,試験中,直列に接続し
ておく。
耐電圧試験には,より高い試験周波数を用いてもよい。この場合,接続する時間は,定格周波数を
試験周波数で除したものの10倍の時間で分単位とし,2分間以上とする。
この試験中,巻線の各層間の絶縁,入出力回路間の絶縁,隣接する入力若しくは出力回路間の絶縁か,
又は巻線と全ての導電性コアとの間の絶縁に破壊があってはならない。
10.4に規定する耐電圧試験の試験電圧の値は,規定値の35 %まで下げ,試験時間を2倍にする。
無負荷電流又は無負荷入力電流の同相成分が,初期測定で得た値よりも30 %以上大きくなる場合,試料
は不合格とする。
10サイクルを全て終了後,一つ以上の試料が不合格になった場合,変圧器は耐久試験に耐えなかったと
みなす。
44
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8.18 機器を主電源から電力を受けるように設計した場合,サービス時に機器を主電源から分離する遮断
デバイスを備えなければならない。
注記 遮断デバイスの例を,次に示す。
− 主電源プラグ
− 機器用カプラ
− 全極主電源スイッチ
− 全極遮断器
主電源プラグ又は機器用カプラを遮断デバイスとして用いる場合,取扱説明書は,5.5.3 a) に適合しな
ければならない。
全極主電源スイッチ又は全極遮断器を遮断デバイスとして用いる場合,各極間の接点間隔は,3 mm以
上とし,同時に全極を遮断しなければならない。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
遮断デバイスとして主電源スイッチを用いる機器は,スイッチのオンの位置を指示しなければならない。
例 表示,照明,音,その他の適切な手段による指示は,一般的なオンの位置の指示と考える。
指示が表示の場合,5.5.3に規定する関連要求事項に適合しなければならない。
適否は,目視検査によって判定する。
8.19 主電源スイッチは,主電源可とうコードに取り付けてはならない。
注記 スイッチに関する追加の要求事項は,14.7に規定がある。
適否は,目視検査によって判定する。
8.20 主電源に導電的に接続したスイッチの接点ギャップを橋絡するために抵抗器,コンデンサ又はRC
ユニットを用いる場合,これらの部品はそれぞれ,14.2 a)又は14.3.3に規定する要求事項に適合しなけれ
ばならない。
適否は,目視検査によって判定する。
8.21 分離できない薄いシート材は,JIS C 61558-1の26.3[絶縁物を通しての距離(dti)]に規定する要
求事項,又は次の要求事項に適合しなければならない。
個々の試験サンプルは,強化絶縁を形成する分離できない3層以上の薄いシート材からなる3個のサン
プルを準備する。1回に1個のサンプルを,図15に示すように図14に示すマンドレルに取り付ける。
適切な取付具を用い,サンプルの自由端に150±10 Nの下向きの力を加える(図16参照)。マンドレル
は,次の手順で,手で緩やかに回転させる。
− 初期位置(図15)から最終位置(図16)まで回転させた後,反転させて初期位置に戻す。
− 同様に,もう1回行う。
− さらに,初期位置から最終位置まで回転させ,そこで止める。
サンプルが回転中にマンドレルに固定した部分又は取付具の部分で破損した場合は不合格とはみなさず,
新たなサンプルで上記の手順を繰り返す。サンプルが上記以外の部分で破損した場合は不合格とする。
上記の処理の後に,厚さ0.035±0.005 mmで,長さ200 mm以上の金属はく(箔)をサンプルの表面に
沿って置き,マンドレルの両側につるす(図16参照)。サンプルに接する金属はくの表面は,導電性のも
のを用い,酸化していたり,又は他の方法で絶縁しない。金属はくは,サンプルの両端から18 mm以上と
なる位置(図17参照)とする。その後,適切な取付具を用いて同じ質量のおもりを金属はくの両端(図
16参照)に付けて,金属はくを締め付ける。
マンドレルが最終位置になって60秒以内に,その状態のままでマンドレルと金属はくとの間で10.4.2
45
C 6065:2016
の規定に従って耐電圧試験を実施する。表5に規定する強化絶縁に対する値の1.5倍の電圧又は5 kVのい
ずれか高い電圧を試験電圧として用いる。
この全ての試験手順を他の2個のサンプルについて繰り返す。
試験中にフラッシュオーバ又は絶縁破壊が生じてはならない。コロナ放電又は同種の現象は無視する。
9
通常動作状態の下での感電の危険
9.1
外側に対する試験
9.1.1
一般事項
9.1.1.1
要求事項
可触部は,危険な活電部であってはならない。
他の規格の適用を受ける機器と相互接続する場合,回路は,9.1.1及び構造によっては8.5又は8.6に規
定する要求事項に適合することが望ましい。
さらに,別の機器を接続しない場合,可触とならない端子の接点は,次の例外を除き危険な活電部であ
ってはならない。
− 機能上の理由によってその接点が危険な活電部であって,その接点を箇条8に規定する可触導電部に
対する要求事項に従って電源から分離した信号出力端子の接点。例えば,スピーカの端子のような接
触できない入力端子は,危険な活電部となる出力端子に接続した場合,危険な活電部になってもよい。
注記 このような出力端子に対する表示については,5.3 b) 参照。
− 他の機器に電力を供給するために備えた接続ブロックの接点及びコンセント,並びに主電源に機器を
接続するために備えた15.1.1に規定する要求事項に適合する端子
専門家用機器のオーディオ出力端子は,オーディオ出力電圧がノンクリップ出力で交流120 V(実効値)
以下の場合,熟練者がアクセスできることを認める。
危険な活電部が可触かどうかを確認するための要求事項は,交流1 000 V(実効値)又は直流1 500 V以
下の危険な活電電圧の部分だけに適用する。これよりも高い電圧については,危険な活電電圧の部分とテ
ストフィンガ又はテストピンとの間に,13.3.1に規定する基礎絶縁に対する空間距離がなければならない
(図3参照)。
適否は,目視検査,9.1.1.2に規定する測定,及び9.1.1.3に規定する試験によって判定する。
9.1.1.2
危険な活電部の決定
端子の一部又は接点が危険な活電部となるかどうかを確認するため,あらゆる二つの部分間又は接点間,
続いていずれかの部分又は接点と試験中に用いる電源のいずれか一方の極との間で次の測定を行う。
注記1 主電源プラグの極間の放電量については,9.1.6参照。
a) 開路電圧が,次の値を超える場合,端子の一部又は接点は,危険な活電部とする。
− 交流35 V(ピーク)又は直流60 V
− 専門家用機器のオーディオ信号の場合,120 V(実効値)
− 専門家用機器以外のオーディオ信号の場合,71 V(実効値)
電圧がa)の限度値を超える場合には,b)〜d)を適用する。
b) 附属書Dに規定する測定回路網を用い,IEC 60990の規定に基づいて測定したタッチカレントに対応
する電圧U1及びU2が次の値を超える場合,端子の一部又は接点は,危険な活電部とする。
− 交流の場合:U1=35 V(ピーク)及びU2=0.35 V(ピーク)
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− 直流の場合:U1=1.0 V
注記2 交流に対する限度値U2=0.35 V(ピーク)及び直流に対する限度値U1=1.0 Vは,それぞ
れ交流0.7 mA(ピーク)及び直流2.0 mAに相当する。
限度値U1=35 V(ピーク)は,100 kHzを超える周波数に対して交流70 mA(ピーク)
に相当する。
注記3 熱帯気候で用いることを意図した機器は,一般的にa) 及びb) の1/2の値が適用される。
大地へのタッチカレント(実効値)は,クラスI構造の場合,3.5 mAを,クラス0I機器の場合,1.0 mA
を超えてはならない。測定は,附属書Dに規定する測定回路網を用い,保護接地を接続せずに行う。
電源を遮断した直後,機器を電源に接続するための端子に対する放電量を測定する。次のいずれかの場
合,危険な活電部とする。
c) 直流60 V〜15 kVの電圧で蓄積する機器の場合,電荷が45 μCを超える。
d) 直流15 kVを超える電圧で蓄積する機器の場合,放電エネルギーが350 mJを超える。
9.1.1.3
可触部の決定
危険な活電部が可触であるかどうかを決めるため,JIS C 0922に規定する検査プローブBに基づく関節
付きテストフィンガを,ほとんど力を加えずに,エンクロージャに押し付けるか又は底面の開口部を含む
エンクロージャの開口部に挿入する。
テストフィンガを,開口部のあらゆる箇所及び深さに挿入し,挿入前,挿入中及び挿入後にあらゆる位
置になるよう回転させるか,又は曲げる。開口部にテストフィンガが入らない場合,テストフィンガをま
っすぐにして20±2 Nまで力を加え,テストフィンガを曲げた状態にして試験を繰り返す。
JIS C 0922に規定する検査プローブ18及び19に基づく小さいテストフィンガプローブを用いて試験を
繰り返す。この試験は,意図した使用状態で子供が近付けない場合は適用しない。
ラッカー,溶剤ベースのエナメル,普通紙,未処理の繊維,酸化フィルム又はビーズだけで覆っている
導電部分は,裸とみなす。
ダストキャップ,スピーカコーン,パッシブラジエータなどのスピーカシステムの可動部は,接触を妨
げるものとはみなさない。
注記1 13.3.1も参照。
クラスII構造の場合,JIS C 0922に規定する検査プローブ13で全ての可能な位置に3±0.3 Nの力を加
えたとき,プローブが危険な活電部に触れてはならない。
検査プローブは,コンセント,主電源を供給するコネクタ,ヒューズホルダなどには適用しない。
注記2 電気的接触の確認のため,40〜50 Vの電圧に適切なランプを直列につないで用いてもよい。
9.1.2
操作用ノブ,ハンドル,レバーなど
操作用ノブ,ハンドル,レバー及び同様のものの軸は,危険な活電部であってはならない。
適否は,目視検査,及び疑義がある場合,9.1.1.2に規定する測定によって判定する。
9.1.3
エンクロージャの開口部
機器は,つり下がった異物が通風口,その他の開口部から入った場合,危険な活電にならないように設
計しなければならない。
適否は,直径4 mm長さ100 mmの金属製テストピンを開口部に差し込んで判定する。テストピンは,
一方の端を自由にしてつり下げ,テストピンの長さまで挿入する。
テストピンは,危険な活電になってはならない。
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9.1.4
端子
接地若しくはアンテナ用,又はオーディオ,ビデオ若しくはその関連信号用の端子の接点に接続するた
めに単極プラグ又は裸線を用いることによって,感電の危険が生じることがあってはならない。
この試験は,5.3 b) の記号の表示がある端子には適用しない。
注記 15.1.2も参照。
適否は,次の試験によって判定する。
端子の各接点から測定して25 mm以内で全ての可能な箇所に,JIS C 0922に規定する検査プローブDに
基づくテストピンを挿入する。ただし,長さは,20±0.2 mmに制限し,疑義がある場合,10±1 Nの力を
加える。
各接点には,JIS C 0922に規定する検査プローブDに基づくまっすぐなテストピンを用い,疑義がある
場合,1±0.1 Nの力を加えて試験する。
テストピン又はテストプローブは,危険な活電になってはならない。
9.1.5
プリセットコントロール
エンクロージャ又は取扱説明書にプリセットコントロール用の開口部であることを表示していて,この
コントロールの設定にドライバ又は他の工具が必要である場合,コントロールの調整時に感電の危険があ
ってはならない。
適否は,JIS C 0922に規定する検査プローブCに基づくテストプローブを開口部に挿入して判定する。
テストプローブは,あらゆる可能な位置に挿入する。疑義がある場合,テストプローブに10±1 Nの力
を加える。
テストプローブは,危険な活電になってはならない。
9.1.6
主電源プラグの引抜き
主電源プラグを用いて主電源に接続する機器は,プラグをコンセントから引き抜いた後,プラグのピン
又は接点に触れたとき,コンデンサに蓄積した電荷による感電の危険がないように設計しなければならな
い。
14.2に規定する要求事項に適合しないブリーダ抵抗(放電用抵抗を含む。)は,測定中,一度に一つずつ
開放する。
この細分箇条では,おす形の相互接続カプラ及びおす形の機器用カプラは,主電源プラグとみなす。
注記 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
適否は,9.1.1.2 a) 若しくは9.1.1.2 c) に規定する測定か,又は計算によって判定する。
主電源スイッチがある場合,オンの位置がより不利な条件にならない限りオフの位置にする。
主電源プラグを引き抜いた2秒後に,そのプラグのピン又は接点が危険な活電部であってはならない。
試験は,最も不利な状態を得るために,最大10回まで繰り返してもよい。
主電源の両極間の公称容量が0.1 μF以下である場合,試験は行わない。
測定を行う場合,25 pF以下の入力容量及び100±5 MΩの抵抗値を並列にした入力インピーダンス又は
同等の入力インピーダンスをもつ測定器を用いて測定する。
9.1.7
外力に対する耐性
機器のエンクロージャは,外力に対して十分に耐えなければならない。
適否は,次の試験によって判定する。
a) JIS C 0922に規定する検査プローブ11に基づく関節なしテストフィンガを用いて,開口部及び布製カ
バーを含むエンクロージャの様々なところに,内側に向けて50±5 Nの力を10秒間加える。
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くさび作用又はてこの作用が起きないようにテストフィンガの先端に力を加える。
試験中,エンクロージャは危険な活電部にならず,危険な活電部は可触とならず,布製のカバーは
危険な活電部に触れてはならない。
b) 図4に規定するテストフックを用いて,全ての可能なところに20±2 Nの力を外向きに10秒間加える。
試験中,危険な活電部は可触となってはならない。
c) 外側の導電性エンクロージャ及び外側のエンクロージャの導電部には,床置き形機器の場合250±10
N,その他の機器の場合100±10 Nの一定の力を5秒間加える。これは,直径30 mmの円形状平面の
表面に接触させることができる適切な試験用具を用いて,エンクロージャ,又は機器に装着したエン
クロージャの部分に対して行う。
注記1 端子の接点は,外側のエンクロージャの導電部とは判断しない。
試験後,機器にこの規格に不適合となる損傷があってはならない。
注記2 試験中,機器を電源に接続する必要はない。
9.2
保護カバーの取外し
手でカバーを外すことによって可触となる部分は,危険な活電部であってはならない(14.8も参照)。
この要求事項は,電池の交換時にカバーを手で取り外すか,工具,コイン,その他のもので取り外すか
を問わず,カバーを取り外すことによって可触となる電池収納部の内部部分にも適用する。ただし,メモ
リ用電池のように使用者が交換することを意図しない電池は,除外する。
この要求事項は,工具,コイン,その他のものを用いて,外側からスピーカグリルを外すことによって
アクセスできるようになるスピーカシステムの内部部分にも適用する。この場合,機器には5.4 b)に規定
する表示をしなければならない。
適否は,目視検査及び9.1.1に規定する試験によって判定する。ただし,測定は,カバー又はグリルを外
した2秒後に行う。
注記 電圧切換器の手で外せる部分は,保護カバーと判断する。
10 絶縁要求
10.1 周波数
この規格で規定する絶縁要求事項は,周波数30 kHzまでに対するものである。追加のデータを得るまで
は,30 kHzを超える周波数で動作する絶縁に対しても同じ要求事項を適用してもよい。
注記 周波数に関係する絶縁挙動に関する情報については,JIS C 60664-1及びJIS C 60664-4を参照。
10.2 サージ試験
クラス0I機器及びクラスII機器における可触部か又はそれに接続する部分と危険な活電部との間の絶縁
は,例えば,雷雨などによって生じ,アンテナ端子を通して機器に入り込んでくるような過渡現象による
サージに耐えなければならない。
適否は,次の試験によって判定する。
次の絶縁に対し,図5のa) に示す試験回路で,10 kVに充電した1 nFのコンデンサから最大毎分12回
の割合で50回の放電を行う。
− アンテナ接続端子と主電源供給端子との間
− アンテナ端子付きの他の機器に電源電圧を供給する機器の場合,主電源供給端子とその他の端子との
間
この試験中,機器は,通電しない。
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試験後,試験をした絶縁は,10.4に規定する要求事項に適合しなければならない。
10.3 湿度処理
意図した使用で生じる可能性がある湿度条件によって,機器の安全性が損なわれてはならない。
適否は,10.3に規定する湿度処理を行った直後に,10.4に規定する試験を行って判定する。
ケーブルの取入れ口がある場合は開けておく。ノックアウトを設けている場合は開けておく。
手で取り外すことができる電気部品,カバー,その他の部品は外し,必要がある場合は,主要部分とと
もに湿度処理を行う。
湿度処理は,相対湿度(93±3)%の空気の恒湿槽で行う。
機器を設置する全ての場所の空気の温度は,20〜30 ℃に維持する。選択した温度は,試験中,±2 ℃に
保つ。熱帯気候で用いることを意図した機器は,温度40±2 ℃を適用する。
機器を恒湿槽に入れる前に,機器を規定温度とその値よりも4 K高い温度との間にしておく。
機器を恒湿槽に次の時間入れておく。
− 熱帯気候で用いることを意図した機器:5日間(120時間)
− その他の機器:2日間(48時間)
注記1 多くの場合,湿度処理をする前に,機器を4時間以上規定温度に維持することで規定の温
度になると判断できる。
注記2 恒湿槽内の空気は,かくはんすることが望ましい。恒湿槽は,霧又は水滴が機器に付かな
いように設計することが望ましい。
この試験中,機器は通電しない。
この処理終了後,機器はこの規格に不適合となる損傷があってはならない。
10.4 絶縁抵抗及び耐電圧
10.4.1 絶縁材料の絶縁は,適切でなければならない。
適否は,特に指定がない限り10.3に規定する湿度処理をした直後に,10.4.2の規定に基づいて判定する。
耐電圧試験を容易にするため,部品及び部分組立品を別々に試験してもよい。
10.4.2 表5に規定する絶縁に対し,次の測定及び試験を行う。
− 直流500 Vでの絶縁抵抗測定
− 次の電圧による耐電圧試験
・ (リップルがない)直流電圧が加わる絶縁に対しては,直流電圧
・ 交流電圧が加わる絶縁に対しては,主電源周波数の交流電圧
コロナ放電,電離現象,充電の影響又は同様の現象が生じる可能性がある場合(例えば,コンデンサ)
は,直流試験電圧を用いることが望ましい。
試験電圧は,適切な絶縁等級(基礎絶縁,付加絶縁又は強化絶縁)及び当該絶縁に加わる動作電圧Uに
応じて表5に規定するとおりとする。
なお,動作電圧(ピーク)142 Vのとき,曲線A及び曲線Bは,それぞれ1 414 V,2 828 Vを通るとみ
なす。
動作電圧Uを決定するために,次の事項を適用する。
− 機器には,定格電圧を供給する。
− 交流電圧の場合,半減期が50 nsを超える周期的又は非周期的な重畳パルスを含む真のピーク値を測
定する。
− 直流電圧の場合,重畳するリップルのピーク値を含める。
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− 半減期が50 ns以下の周期的又は非周期的な過渡電圧は,無視する。
− 接地していない可触導電部は,接地端子又は保護接地端子若しくは接点に接続しているとみなす。
− 変圧器の巻線・その他の部分が浮いている場合,すなわち,接地に対して相対電位が発生する回路に
接続していない場合,その部分は,接地端子若しくは保護接地端子に接続しているか,又は最も高い
動作電圧になる点で接触しているとみなす。
− 二重絶縁を用いる場合,基礎絶縁に加わる動作電圧は,付加絶縁の短絡を想定して決定する。また,
その逆も想定する。変圧器巻線間の絶縁については,他の絶縁の両端間に最大の動作電圧が発生する
箇所で短絡が生じているとみなす。
− 二つの変圧器巻線間の絶縁に対しては,巻線に接続する可能性のある外部電圧も考慮に入れた上で,
二つの巻線間の任意の2点間における最大電圧を用いる。
− 変圧器巻線とその他の部分との間の絶縁に対しては,巻線の任意の点と他の部分との間の最大電圧を
用いる。
最初に,規定する試験電圧の半分以下の電圧を印加し,その後,規定値まで急速に上げ1分間維持する。
絶縁抵抗測定及び耐電圧試験は,取り外しておいた部品を再度組み立てた後,機器を規定する温度にし
た上で,その部屋又は恒湿槽の中で行う。
1分後に測定した絶縁抵抗が表5に規定する値以上で,耐電圧試験中にフラッシュオーバ又は絶縁破壊
が生じない場合,機器はこの要求事項に適合するとみなす。
絶縁材料のエンクロージャを試験する場合,可触部に金属はくをしっかりと押し付ける。
強化絶縁と,より低いグレードの絶縁との両方を用いた機器に対しては,強化絶縁に印加する電圧が基
礎絶縁又は付加絶縁に対して過剰ストレスにならないように注意しなければならない。
耐電圧試験中,可触導電部は一緒に接続してもよい。
薄いシート状の絶縁材料の耐電圧試験を行う装置を,図6に示す。
注記1 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
注記2 この試験は,短絡しても感電の危険の原因とならない絶縁には行わない。例えば,絶縁変圧
器の二次巻線の片側が可触導電部につながっている場合,もう一方の端は,同じ可触導電部
に関する絶縁要求事項に適合する必要はない。
試験する絶縁と並列に接続した抵抗器,コンデンサ及びRCユニットで,それぞれ14.2,14.3.2及び14.3.3
に適合するものは,取り外しておく。試験を妨げることがない限り,インダクタ及び巻線も取り外してお
く。
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表5−耐電圧試験の試験電圧及び絶縁抵抗値
絶縁
絶縁抵抗
交流試験電圧(ピーク)又は直流試験電圧
1
主電源に直接接続した異極相互間
2 MΩ
定格主電源電圧≦150 V(実効値):1 410 V
定格主電源電圧>150 V(実効値):2 120 V
2
基礎絶縁又は付加絶縁によって分離した部分間
2 MΩ
図7の曲線A
3
強化絶縁によって分離した部分間
4 MΩ
図7の曲線B
注記 図7の曲線A及び曲線Bは,それぞれ次の点を通る。
動作電圧
U(ピーク)
試験電圧(ピーク)
曲線A
曲線B
35 V
707 V
1410 V
354 V
4240 V
1410 V
3980 V
10 kV
15 kV
15 kV
10 kVを超え
1.5U V
1.5U V
11 故障状態
11.1 感電の危険
感電の危険に対する保護は,機器が故障状態の下で動作していても存在していなければならない。
適否は,箇条9に規定する試験を次のように修正し,故障状態の下でその試験を行って判定する。
端子の接点に対する9.1.1.2に規定する限度値は,次のとおり,増加させる。
− オーディオ信号以外に対して,交流70 V(ピーク)及び直流120 Vとする。
− 交流の場合,U1=70 V(ピーク)及びU2=1.4 V(ピーク)とし,直流の場合,U1=4 Vとする。ただ
し,アンテナ及び/又は接地用のコネクタが試験する端子に挿入できない場合に限る。
オーディオ信号に対する通常動作状態の下での限度値は,故障状態の下でも超えてはならない。
注記 熱帯気候で用いることを意図した機器は,一般的に上記の1/2の値が適用される。
抵抗器,コンデンサ,RCユニット,オプトカプラ又はインダクタを短絡又は取り外したときにこの要
求事項に適合しなくなる場合でも,これらの部品が箇条14に規定する関連要求事項に適合する限り,機器
を不適合とはみなさない(4.3.5参照)。
試験中,表5に規定する絶縁が通常動作状態の下で発生する電圧を超える電圧を受け,かつ,この増加
によって10.4に規定する試験電圧がより高くなる場合,この絶縁は,より高い試験電圧の耐電圧試験に耐
えなければならない。ただし,より高い電圧が,箇条14に規定する関連要求事項に適合する抵抗器,コン
デンサ,RCユニット,オプトカプラ又はインダクタを短絡したり,取り外したりすることによって発生
する場合を除く。
11.2 温度上昇
11.2.1 要求事項
機器が故障状態の下で動作するとき,次のような温度に達する部分があってはならない。
− 機器の周辺に火災の危険をもたらす。
− 機器で発生する異常な熱によって安全性が損なわれる。
適否は,11.2.2に規定する試験によって判定する。
試験中,機器の内部で発生する炎は,10秒以内に消えなければならない。
試験中,機器がこの規格に不適合となることがない限り,はんだは軟化又は溶解してもよい。
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さらに,はんだ付け終端部は,例えば,温度ヒューズのはんだのように,溶かすことを意図したものを
除き,保護の仕組みとして用いてはならない。
11.2.2 温度上昇値の測定
機器を故障状態の下で動作させ,安定状態に達した後,温度上昇を測定する。ただし,機器の動作後,4
時間を超えて動作させない。
この試験中,機器は11.2.3〜11.2.8に規定する要求事項に適合しなければならない。
故障状態にした後,安定状態に達する前に電流が遮断された場合,その遮断直後に温度上昇を測定する。
故障状態の下で,温度上昇をヒューズによって制限する場合,次のいずれかに適合しなければならない。
− JIS C 6575の規格群に適合するヒューズ,又は同等以上の特性をもつヒューズは,1秒以内に溶断す
る。
注記1 技術基準の解釈の別表第三に適合するヒューズは,同等以上の特性をもつとみなされてい
る。
− 上記の規格群又は規定に適合しないヒューズは,3回連続して1秒以内に溶断する。
− ヒューズは,次の試験に適合する。
a) ヒューズを短絡し,故障状態の下でヒューズに流れる電流を測定する。
b) この電流値がヒューズの定格電流の2.1倍未満の場合,安定状態に達した後,温度上昇を測定する。
c) この電流値がすぐにヒューズの定格電流の2.1倍以上になるか,又は該当ヒューズに流れる電流が
あらかじめ定められた溶断までの最大時間後にこの値に達する場合,当該ヒューズの溶断までの最
大時間に対応する追加時間の後,ヒューズ及び短絡線の両方を外し,直後に温度上昇を測定する。
ヒューズの抵抗値が関連する回路の電流に影響する場合,電流値を決めるときにヒューズの最大抵
抗値を考慮する。
注記2 この試験は,JIS C 6575の規格群に規定する溶断特性に基づく。また,JIS C 6575の規格
群には,最大抵抗値を算出するために必要な情報もある。
JIS C 6575の規格群に規定するA種のヒューズは“2.1倍”を“1.35倍”,B種のヒューズは“2.1
倍”を“1.6倍”と読み替える。JIS C 6575の規格群に規定する動作特性以外のヒューズは,その特性
を考慮して試験を行う。
注記3 技術基準の解釈の別表第三で規定する溶断特性がA種のヒューズは“2.1倍”を“1.35倍”,
B種のヒューズは“2.1倍”を“1.6倍”と読み替えることができる。
ヒューズに流れる電流を決める場合,この電流は時間の関数で変化する事実を考慮するのがよい。
したがって,その回路の完全な動作までの時間遅れを考慮に入れて,スイッチをオンにした後,でき
る限り早く測定することが望ましい。
温度上昇が絶縁の短絡によって表3に規定する値を超える場合,機器を不適合とはみなさないが,この
絶縁は10.4に規定する耐電圧試験に耐えなければならない。
温度上昇が抵抗器,コンデンサ,RCユニット,オプトカプラ又はインダクタを短絡又は取り外すこと
によって表3に規定する値を超える場合,これらの部品が箇条14に規定する関連要求事項に適合する限
り,機器を不適合とはみなさない(4.3.5参照)。
温度上昇が抵抗器を取り外すことによって表3に規定する値を超える場合,製造業者による接続部も含
め,機器に取り付けた抵抗器に関して,14.2 b) に規定する過負荷試験を繰り返す。試験中,接続部が不良
になってはならない。
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11.2.3 可触部
可触部の温度上昇は,表3に規定するa) の“故障状態”の値を超えてはならない。
11.2.4 巻線及びプリント配線板を除く電気絶縁部
巻線及びプリント配線板以外の絶縁部に故障が起きると11.1,11.2.3及び11.2.5に規定する要求事項に
適合しなくなる場合,その絶縁部の温度上昇値は,表3に規定するb) の“故障状態”の値を超えてはな
らない。
温度上昇限度値を超え,感電の危険があるかどうか疑義がある場合,関連する導電部間を短絡し,11.1
に規定する試験を繰り返す。
11.2.5 保持又は機械的バリアとして働く部分
機械的故障によって9.1.1に規定する要求事項に適合しなくなる部分の温度上昇は,表3に規定するc) の
“故障状態”の値を超えてはならない。
11.2.6 巻線
巻線の温度上昇は,表3に規定するb) 及びd) の“故障状態”の値を超えてはならない。ただし,次の
場合を除く。
− 交換又はリセット可能な保護装置の動作によって温度を制限する場合,その装置の動作後2分までは
超えてもよい。
巻線が感電の危険に対する保護を備える場合,又は故障時に火災の危険になる可能性がある場合は
試験を3回行い,10.4に規定する耐電圧試験を,温度上昇測定後1分以内に行う。ただし,10.3の湿
度処理は行わない。
一度でも不合格になってはならない。
− 一体形のリセットできない若しくは交換できない保護装置が動作するか,又は巻線の開路によって温
度を制限する場合,温度上昇値を超えてもよいが,新しい部品を用いて試験を3回繰り返す。
巻線が感電の危険に対する保護を備える場合,又は故障時に火災の危険になる可能性がある場合,
巻線はそれぞれの試験の温度上昇測定後1分以内に,10.4に規定する耐電圧試験を行う。ただし,10.3
の湿度処理は行わない。
一度でも不合格になってはならない。
− 巻線の絶縁の故障が感電又は火災の危険の原因にならず,通常動作状態の下で5 Wを超える電力供給
能力をもつ電源に接続しない場合,その巻線にはより高い温度上昇値を許容する。
− 温度上昇値を超え,危険があるかどうか疑義がある場合,関係する絶縁を短絡し,11.1及び11.2.3に
規定する試験を繰り返す。
絶縁が巻線の中にあり,直接その温度が測定できない場合,絶縁物の温度は,巻線用電線の温度と同じ
とみなす。
注記 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
11.2.7 プリント配線板
故障によって11.1,11.2.3及び11.2.5に規定する要求事項に適合しなくなる場合,プリント配線板の温
度上昇値は,表3に規定するb) の“故障状態”の値を超えてはならない。ただし,次の場合を除く。
− 温度上昇値は最大5分間,表3に規定するb) の“故障状態”の値を超えてもよい。ただし,100 K以
下とする。
− JIS C 60695-11-10若しくはG.1に規定する燃焼性分類がV-0,又はJIS K 7341に規定する燃焼性分類
がVTM-0であるプリント配線板の場合,温度上昇値は,次の値を超えてもよい。
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a) 表3に規定するb) の“故障状態”の値。ただし,100 K以下とし,総面積が2 cm2以下の一つ以上の
小面積であって,各故障状態の下で感電の危険がない場合に限る。
b) 最大5分間,表3に規定するb) の“故障状態”の値。ただし,表3に規定するe) の“故障状態”の
“その他のあらゆる部分”の値までとし,総面積が2 cm2以下の一つ以上の小面積であって,各故障
状態の下で感電の危険がない場合に限る。
温度上昇限度値を超え,感電の危険があるかどうか疑義がある場合,関連する導電部間を短絡し,11.1
に規定する試験を繰り返す。
試験中,プリント配線板の導体に断線,剝離又は浮きが発生しても,次の全てを満たせば機器を不適合
とはみなさない。
− プリント配線板のJIS C 60695-11-10若しくはG.1に規定する燃焼性分類がV-0,又はJIS K 7341に規
定する燃焼性分類がVTM-0である。
− 導体が断線することによって潜在的発火源にならない。
− 断線した導体を橋絡した状態でも,機器が11.2.7の要求事項に適合する。
− 導体に浮き又は剝離が発生して,危険な活電部と可触部との間の空間距離及び沿面距離が箇条13の規
定値未満に減少しない。
クラスI機器及びクラス0I機器の場合,保護接地接続の連続性を維持しなければならず,かつ,この種
の導体の浮き又は剝離が発生してはならない。
11.2.8 11.2.2〜11.2.7の適用を受けない部分
材料の種類に従って,その部分の温度上昇は,表3に規定するe) の“故障状態”の値を超えてはなら
ない。
12 機械的強度
12.1 完成機器
12.1.1 要求事項
機器は,十分な機械的強度をもたなければならず,かつ,意図した使用中に予測できる取扱いに耐える
構造でなければならない。
機器は危険な活電部と可触導電部又はそこに導電的に接続した部分との間の絶縁が,例えば,ねじの意
図しない緩みによって短絡しないような構造でなければならない。
適否は,主電源プラグの一部を形成するデバイスを除き,12.1.2〜12.1.6の試験によって判定する。
注記 主電源プラグの一部を形成するデバイスは,15.4の試験対象となる。
12.1.2 バンプ試験
質量7 kgを超える機器は,次の試験を行う。
機器を水平の木製支持板に載せ,それを5 cmの高さから木製テーブルの上に50回落とす。
試験後,機器にはこの規格に不適合となる損傷があってはならない。
12.1.3 振動試験
楽器のオーディオ増幅器としての使用を意図した移動形機器,可搬形機器及び装飾部分を除いて少なく
とも一つの面が金属エンクロージャである機器は,JIS C 60068-2-6に規定する掃引で振動試験を行う。
機器を意図した使用状態にして,エンクロージャにストラップを巻き付けて振動発生機に固定する。振
動の方向は垂直とし,条件は次による。
− 持続時間:30分間
55
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− 振幅:0.35 mm
− 周波数範囲:10 Hz → 55 Hz → 10 Hz
− 掃引率:毎分約1オクターブ
試験後,機器はこの規格に不適合となる損傷があってはならない。特に,接続又は部品の緩みが安全性
を損なう可能性がある場合,緩みがあってはならない。
12.1.4 衝撃試験
機器を強固な支持台にしっかり固定し,危険な可動部又は危険な活電部を保護する弱そうな箇所であっ
て,通気口部,引き出した状態の引出し,ハンドル,レバー,スイッチのノブなどのあらゆる表面に,運
動エネルギーを0.5 Jに調節したJIS C 60068-2-75に規定するスプリングハンマで,リリースコーンを垂直
に押し付けて,衝撃を3回ずつ加える。
この衝撃試験は,エンクロージャから5 mmを超えて飛び出すか,又は各表面の投影面積が1 cm2を超
える場合に限り,窓,レンズ,信号ランプ及びそれらのカバーにも行う。
さらに,危険な活電部を保護するエンクロージャの通気口がなく,かつ,切れ目がない部分にも,表6
に規定する衝撃を1回加える。
表6に規定する衝撃は,直径50±1 mmで約500 gの質量の硬く滑らかな鋼球を図8に示すように,静
止の位置から垂直に自由落下させることによって発生させ,規定する衝撃をエンクロージャの表面に垂直
に当てる。
表6−機器のエンクロージャへの衝撃試験
エンクロージャの部分
衝撃
J±1 %
可搬形機器並びにテーブルトップ機器の上面,側面,背面及び前面
2
固定取付機器の全外表面
2
床置形機器の上面,側面,背面及び前面
3.5
注記1 必要な衝撃エネルギーを加えるための正しい高さは,次の式によって算出できる。
m
E
h
×
g
=
ここに,h :垂直距離(m)
E :衝撃エネルギー(J)
g :重力加速度(9.81 m/s2)
m :鋼球の質量(kg)
注記2 映像管の機械的強度及び爆縮の効果に対する保護については,箇条18を参照。
試験後,機器は10.4に規定する耐電圧試験に耐え,この規格に不適合となる損傷があってはならない。
特に,次のとおりでなければならない。
− 危険な活電部は,可触になってはならない。
− 絶縁用のバリアは,損傷を受けてはならない。
− スプリングハンマによって衝撃を加えた部分は,目で見えるクラックが生じてはならない。
注記 仕上げ材の損傷,空間距離及び沿面距離を規定値未満に減少させない小さなへこみ,肉眼で見
えないクラック,繊維強化材の表面クラックなどは無視してもよい。
12.1.5 ドロップ試験
質量が7 kg以下の可搬形機器は,落下試験を行う。完成機器のサンプルを最も不利な結果をもたらすよ
うな位置にし,1 mの高さから水平面上に落とすことによって3回の衝撃を加える。
56
C 6065:2016
水平面は,それぞれが厚さ19〜20 mmの2枚の合板の上に置いた厚さ13 mm以上の堅木で構成し,全
体をコンクリート又は同等の弾力がない床の上に保持する。
各回の落下は,試験サンプルの表面の異なる位置に衝撃が加わるようにする。適用可能な場合,製造業
者の指定する電池を取り付けて落下させる。
試験終了後,機器は動作可能である必要はないが,この規格に不適合となる損傷があってはならず,10.4
に規定する耐電圧試験に耐えなければならない。特に,次のとおりでなければならない。
− 危険な可動部又は危険な活電部は,可触になってはならない。
− 絶縁バリアは,損傷を受けてはならない。
− 空間距離及び沿面距離は,箇条13に規定する値未満に減少してはならない。
この試験の判定条件は,映像管の表面の開口部には適用しない。
12.1.6 応力リリーフ試験
成形又は型枠で作った熱可塑性プラスチック材のエンクロージャは,成形又は型枠の作業によって発生
する内部応力を解放することによって発生する材料の収縮又はひずみによって危険な活電部が露出しない
構造でなければならない。
完成機器又は支持用枠組みを取り付けた完全なエンクロージャのサンプルを7.1.4に規定する試験中に
観測したエンクロージャの最高温度よりも10 K高い温度又は70 ℃のいずれか高い温度に設定した空気循
環形の恒温槽に7時間放置する。その後,室温まで冷却する。
完成エンクロージャで試験するのが実際的でないような大形の機器の場合,厚さ,形状及び機械的な支
持材の全てについて完成品を代表するエンクロージャの一部を用いることを認める。この場合,適合性を
決定するために機器を再度組み立てることが必要となることもある。
試験終了後,機器には,この規格に不適合となる損傷があってはならず,特に,危険な可動部又は危険
な活電部が可触になってはならない。
12.2 操作用素子の固定
操作用素子,例えば,ノブ,押しボタン,キー及びレバーは,それらを用いることによって,感電の危
険に対する保護を損なわない構造であり,そのように固定しなければならない。
適否は,次の試験によって判定する。
固定用のねじがある場合は緩め,次に表20に規定するトルクの2/3で締め付け,最後に1/4回転緩める。
次に,操作用素子にはその周辺に100 Nの力に相当するトルク,ただし,1 Nm以下のトルクを1分間加
える。さらに,100 Nの引張力を軸方向に1分間加える。機器の質量が10 kg未満の場合,引張力は機器の
質量に対応する値を上限とするが,25 N未満にはしない。
意図した使用中に押し付ける力だけがかかり,機器の表面からの突出しが15 mm以下の押しボタン,キ
ーのような操作用素子に対する引張力は,50 Nを上限とする。
試験後,機器は,この規格に不適合となる損傷があってはならない。
12.3 手で保持するリモートコントロール装置
手で保持することを意図した危険な活電部を含むリモートコントロール装置の各部分は,適切な機械的
強度をもち,予測できる取扱いに耐える構造でなければならない。
適否は,次の試験によって判定する。
可とうコードがある場合,それを10 cmに短くし,JIS C 60068-2-31の5.3に規定する方法2に従ってリ
モートコントロール装置を試験する。落下の高さは,500 mmとする。
たる(樽)の回転数は,装置の質量が250 g以下のコントロール装置の場合は50回,250 gを超える場
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合は25回とする。
試験後,機器は,この規格に不適合となる損傷があってはならない。
手で保持することを意図しない,ケーブル接続のリモートコントロール装置は,つながっている機器の
一部として試験する。
12.4 引出し
機器から一部を引き出すことを意図した引出しには,危険な活電部が可触部になることを防止するため
に,適切な機械的強度をもつ停止機構を備えていなければならない。
適否は,次の試験によって判定する。
引出しは,停止機構によって引き出せなくなるまで,意図した方法で引き出す。次に,最も不都合な方
向に50 Nの力を10秒間加える。
試験後,機器は,この規格に不適合となる損傷があってはならない。特に,危険な活電部は可触部にな
ってはならない。
12.5 機器に取り付けたアンテナ同軸接続器
機器に取り付けたアンテナ同軸接続器であって,危険な活電部を可触部から分離する部品及び部分品を
組み込んだ接続器は,意図した使用中に予測できる機械的ストレスに耐える構造でなければならない。
適否は,次の試験を順番に行って判定する。
試験後,機器は,この規格に不適合となる損傷があってはならない。
− 耐久試験 図9に示すテストプラグを接続器に対して100回抜き差しする。テストプラグの抜き差し
中,意図的に接続器に損傷を与えないように注意する。
− 衝撃試験 図9に示すテストプラグを接続器に差し込み,運動エネルギーを0.5 Jに調節したJIS C
60068-2-75に規定するスプリングハンマで,そのプラグの同じ場所に,最も厳しい方向で連続3回の
衝撃を加える。
− トルク試験 図9に示すテストプラグを接続器に差し込み,プラグの軸と直角になる方向に50 Nの力
をゆっくり10秒間加える。力は,接続器の弱そうな箇所に鉛直方向の力が加わるようにする。力は,
例えば,テストプラグの穴を利用して取り付けたばねばかりで測定する。
この試験を10回行う。
IEC 60169-2と異なるアンテナ同軸接続器を試験する場合,それに対応した同じ長さのプラグを用いて
試験する。
注記 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
12.6 伸縮式アンテナ又はロッドアンテナ
12.6.1 一般要求事項
伸縮式アンテナ又はロッドアンテナは,終端部に直径6.0 mm以上のボタン又は球を備えていなければ
ならない。
伸縮式アンテナ又はロッドアンテナは,アンテナ又はその一部が破損した場合でも,アンテナの一部又
は固定用の取付金具が機器内に落下し,危険な活電部に接触することを防止するガード又はバリアを設け
なければならない。
固定用の取付金具とは,アンテナを固定するのに用いる部品か,又はアンテナを動かすときにストレス
を受ける部品だけをいう。
12.6.2 物理的固定
アンテナ終端部及び伸縮式アンテナの構成部品は,外れないような方法で固定しなければならない。
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適否は,次の試験によって判定する。
終端部にアンテナの主軸に沿って20 Nの力を1分間加える。さらに,終端部がねじ込み式の場合,別の
5個の終端部(エンドピース)に対し緩めるためのトルクを加える。このトルクはロッドを固定して,ゆ
っくりと加える。規定するトルクに達したら,そのトルクは15秒間以上保持しない。1個のサンプルに対
する保持時間は5秒間以上で,5個のサンプルに対する平均保持時間は8秒間以上とする。
終端部の試験のトルク値は,表7の規定による。
表7−終端部の試験のトルク値
終端部の直径
mm
トルク
Nm
8.0未満
0.3
8.0以上
0.6
12.7 コイン(ボタン)電池を含む機器
12.7.1 一般事項
これらの要求事項は,リモートコントロール装置を含む次の全ての条件に当てはまる機器に適用する。
− 製造業者が提供する情報を考慮した上で,子供がアクセス可能になる機器
− 直径32 mm以下のリチウムコイン(ボタン)電池を備える機器
なお,次の機器には適用しない。
− 専門家用機器
注記 専門家用機器は,特別な販売経路を通じて販売される。通常の電気販売店を通じて販売され
る機器は,専門家用機器とは考えない。
− 子供が近寄りそうもない場所に設置する機器
− 所定の位置にはんだ付けするコイン(ボタン)電池を含む機器
12.7.2 構造に関する要求事項
電池収納部に扉又はカバーをもつ機器は,次のいずれかの手法によって,子供が電池を取り外す可能性
を減少する設計を施さなければならない。
− 電池収納部を開けるために,ドライバ又はコインのような工具を必要とする。
− 電池収納部の扉又はカバーに対して,手で開けるために独立した少なくとも二つの動作を必要とし,
これらを同時に動かす方法を必要とする。
12.7.3 試験
12.7.3.1 試験の順番
一つの試験サンプルを用いて,12.7.3.2〜12.7.3.6のうち,該当する試験を受けなければならない。12.7.3.2
に該当する場合,最初に,12.7.3.2に規定する試験を行う。
12.7.3.2 応力リリーフ試験
電池収納部に成形又は型枠で作った熱可塑性樹脂材料を用いる場合,完成機器又は支持用枠組みを取り
付けた完全なエンクロージャのサンプルで,12.1.6に規定する応力リリーフ試験を行う。試験中,電池は
過度な温度にさら(曝)さないように,外してもよい。
12.7.3.3 電池交換試験
電池収納部に扉又はカバーをもつ機器の場合,通常の交換を模擬するため,製造業者の説明書に従って,
電池収納部の開閉,並びに電池の取外し及び交換を10回行う。
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なお,電池収納部の扉又はカバーを一つ以上のねじで固定している場合,適切なドライバ,スパナ又は
鍵を用いて,表20に規定するトルクを継続的に加えて,ねじを緩め,次に締め付ける。ねじは毎回,完
全に取り外して再度取り付ける。
12.7.3.4 ドロップ試験
質量が7 kg以下の可搬形機器は,12.1.5の試験方法に従って,電池収納部に最大の力が加わるような姿
勢で,1 mの高さから水平面上に3回落下させる。
機器がリモートコントロール装置の場合は,10回落下させる。
12.7.3.5 衝撃試験
電池収納部の扉又はカバーは,12.1.4の試験方法に従って,扉又はカバーの垂直方向から,次の力で,3
回の衝撃を加える。
− 鑑賞用の眼鏡(例えば,3Dテレビジョン受信機)の場合,0.5 J(高さ102±10 mmで得られる。)
− その他の扉又はカバーの場合,2 J(高さ408±10 mmで得られる。)
12.7.3.6 圧壊試験
手持形のリモートコントロール装置を,支えなしに最も不利な結果を生じるような姿勢で,固定された
堅い支持面に置く。安定した状態に置かれたリモートコントロール装置の露出した上下の表面に,約102
×250 mmの平らな面によって,330±5 Nの圧壊力を10秒間加える。
12.7.4 適合性
適否は,電池収納部の扉又はカバーに対して,最も不利な場所かつ最も不利な方向に,JIS C 0922の検
査プローブ11に従った関節なしテストフィンガで,30±1 Nの力を10秒間加えて判定する。力は,一度
に一方向に加える。
電池収納部の扉又はカバーは,その機能を保持していなければならず,かつ,次のいずれかでなければ
ならない。
− コイン(ボタン)電池が,アクセス可能にならない。
− 図4に規定するテストフックを用いて20 Nの力を加えても,製品から電池が外れない。
13 空間距離及び沿面距離
13.1 一般事項
空間距離は,機器に入ってくる可能性のある過渡過電圧,及び機器内で発生するピーク電圧によって絶
縁破壊しない寸法でなければならない。詳細な要求事項は,13.3の規定による。
沿面距離は,発生する動作電圧及び汚損度に対してフラッシュオーバ又は絶縁の破壊(トラッキング)
が起きないような寸法でなければならない。詳細な要求事項は,13.4の規定による。
空間距離の決定には,動作電圧のピーク値を測定する。沿面距離の決定には,動作電圧の実効値又は直
流値を測定する。
注記 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
空間距離及び沿面距離の測定法は,附属書Eの規定による。
空間距離及び沿面距離は,例えば,コネクタの未使用接点などの接続していない導電性の部品を間に置
くことによって,分割することができる。この場合,分割したそれぞれの距離を合計した値が規定する最
小値を満足しなければならない(図E.8参照)。
規定する最小空間距離及び沿面距離値に対する種々の汚損度は,次のように適用する。
− 汚損度1は,ほこり及び湿気が入らないように密閉した部品及び組立品の場合
60
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− 汚損度2は,一般に,この規格の適用範囲内の機器の場合
− 汚損度3は,機器内の部分的な内部環境に導電性の汚損若しくは結露すると導電性になる可能性のあ
る乾燥した非導電性の汚損が存在する場合,又は機器の設置場所において,外部環境に導電性の汚損
若しくは導電性になる可能性のある乾燥した非導電性の汚損が存在する場合
主電源に直接接続した異極間の絶縁を除き,規定値よりも小さな空間距離及び沿面距離であってもよい
が,4.3.2,4.3.3及び11.2に規定する要求事項の対象となる。
13.2 動作電圧の決定
動作電圧を決定する場合,次の全ての要求事項を適用する。
− 機器の定格電圧には,電圧変動(0.9倍又は1.1倍)を適用しない。
− 主電源に導電的に接続した回路と大地との間の動作電圧,及び主電源に導電的に接続した回路と主電
源に導電的に接続しない回路との間の動作電圧は,次のいずれかの最大値であるとみなす。
・ 定格電圧又は定格電圧での動作中における上記の2点間の最大測定電圧
・ 定格電圧範囲の上限電圧又は定格電圧範囲内の任意の電圧での動作中における上記の2点間の最大
測定電圧
− 接地していない可触導電部は,接地しているとみなす。
− 巻線部品又は他の部分が浮いている場合,すなわち,大地に対して相対的なポテンシャルをもつ回路
に接続していない場合,最大の動作電圧となる点で接地しているとみなす。
− 二重絶縁を用いる場合,基礎絶縁に加わる動作電圧は,付加絶縁の短絡を想定して決定する。また,
その逆も想定する。巻線部品の巻線間の二重絶縁に対しては,最大動作電圧がもう一方の絶縁に発生
する点で短絡が起きると仮定する。
− 次に認める場合を除き,巻線部品の二つの巻線間の絶縁に対しては,その巻線に接続した外部電圧を
考慮に入れ,二つの巻線の任意の2点間の最大電圧を用いる。
− 次に認める場合を除き,巻線部品のある巻線部と他の部分との間の絶縁に対しては,巻線部と他の部
分との間の最高電圧を用いる。
巻線部品の絶縁が巻線の長さによって異なる動作電圧をもつ場合は,空間距離,沿面距離,及び絶縁物
を通しての距離を変えてもよい。
注記 このような構造の例として,直列に接続した多重ボビンで構成し,片端を接地した30 kVの巻
線がある。
13.3 空間距離
13.3.1 一般事項
特定の部品,部分組立品又は機器全体に対して,13.3.1〜13.3.4に規定する方法又は附属書Jの代替方法
のいずれかを用いてもよい。
注記1 附属書Jを用いる利点には,次の事項がある。
− 空間距離は基本規格JIS C 60664-1の規定に準拠するので,他の安全規格(例えば,変圧
器に対する規格)とも整合している。
− 主電源に導電的に接続した回路での過渡電圧の減衰を含め,機器内での過渡電圧の減衰
を考慮している。
注記2 空間距離の要求事項は,交流主電源から機器に侵入すると予想される過渡過電圧に基づく。
JIS C 60664-1の規定によると,これらの過渡過電圧の大きさは,公称主電源電圧及び供給形
態によって決まる。これらの過渡過電圧は,JIS C 60664-1の規定によって過電圧カテゴリI
61
C 6065:2016
〜IVの四つのグループに分類する(設置区分I〜IVとしても知られる。)。
注記3 固体絶縁及び空間距離の設計は,付随する過渡過電圧が過電圧カテゴリIIの限度値を超える
場合,固体絶縁は空間距離よりも高い電圧に耐えるように考慮することが望ましい。
あらゆる交流の電力系統に対して,表8〜表10に規定する交流主電源電圧は,相線と中性線との間の電
圧とする。
注記4 (対応国際規格の“ノルウェーではIT電力送電システムが用いられているので,交流主電源
電圧は相線間の電圧に等しいと判断する。したがって,単一の接地不良の場合でも,230 V
のままである。”の注記を削除した。)
規定する空間距離は,サーモスタット,サーマルカットアウト,過負荷保護装置,マイクロギャップ構
造のスイッチ及び類似の部品の接点間の空隙で,空間距離が接点とともに変化するものには適用しない。
注記5 遮断スイッチの接点間の空隙については,8.18を参照する。
13.3の適否は,附属書Eに規定する測定によって判定する。この場合,次の条件を適用する。空間距離
を確認するための耐電圧試験は行わない。
可動部品は,最も厳しくなる位置に置く。
スピーカのボイスコイルとそれに隣接した導電部分との間の空間距離は,ないものとみなす。
エンクロージャのスロット又は開口部を通して絶縁材料のエンクロージャからの空間距離を測定する場
合,可触の表面は,JIS C 0922に規定する検査プローブBに基づく関節付きテストフィンガ(9.1.1.3参照)
でほとんど力を加えずに触れることができる部分は全て,金属はくで覆われているかのように導電性があ
るとみなす(図3のB点参照)。
空間距離を測定する間,内部部品の任意の箇所に力を加え,更に導電性エンクロージャの外側に,空間
距離が狭くなるように力を加える。力の値は,次による。
− 内部部品には2 N
− エンクロージャには30 N
力は,JIS C 0922に規定する検査プローブ11に基づく関節なしテストフィンガによってエンクロージャ
に加える。
13.3.2 主電源に導電的に接続した回路の空間距離
主電源に導電的に接続した回路の空間距離は,表8及び該当する場合は表9に規定する最小寸法に適合
しなければならない。
表8はJIS C 60664-1に規定する過電圧カテゴリIIを超える過渡電圧を受けない機器に適用できる。該
当する主電源過渡電圧は,各公称交流主電源電圧欄の括弧の中に示す。更に高い過渡電圧となる場合,機
器への供給回路か,又は設置場所内に追加の保護が必要となることがある。
注記1 附属書Jに,代替設計方法がある。
300 V以下の公称交流主電源電圧で動作する主電源に導電的に接続した回路で,その回路のピーク動作
電圧が公称交流主電源電圧のピーク値を超える場合,考慮する絶縁に対する最小空間距離は,次の二つの
値の合計とする。
− 公称交流主電源電圧に等しい動作電圧に対して,表8の規定から得た最小空間距離
− 表9の規定から得た適切な加算空間距離の値
表8の規定を用いるとき,動作電圧は,公称交流主電源電圧に等しいとみなす。
注記2 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
表8の規定によって,主電源に導電的に接続した回路の空間距離を求めるときに用いる動作電圧は,次
62
C 6065:2016
による。
− 直流電圧に重畳するリップルのピーク値が,2.3.3に規定する許容値を超える場合,リップルのピーク
値を含める。
− 繰返しがない過渡電圧[例えば,周辺の大気のじょう(擾)乱によるもの]は,考慮しない。
注記3 主電源に導電的に接続していない回路の繰返しがない過渡電圧は,主電源に導電的に接続
した回路の主電源過渡電圧以下と判断する。
− 危険な活電部でない回路,又はTNV回路(呼出信号電圧を含む。)での電圧は,ゼロとみなす。
さらに,ピーク動作電圧が公称交流主電源電圧を超える場合,表9では,最大ピーク動作電圧を用いる。
空間距離について,表8及び表9の用い方は,次による。
− 公称交流主電源電圧及び汚損度に対して,表8の該当する欄を選択する。動作電圧が交流主電源電圧
に等しい適切な列を選択する。最小空間距離の要求値を記録する。
− 表9に行き,公称交流主電源電圧及び汚損度に対して該当する欄を選択し,その欄から実際のピーク
動作電圧に該当する列を選択する。
− 合計の最小空間距離は,表9の右側二つの欄の一方から加算空間距離を読み,この値に,表8の規定
で得た最小空間距離を加えて算出する。
注記4 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
表8−主電源に導電的に接続した回路間,及びこのような回路と主電源に
導電的に接続していない回路との間の絶縁に対する最小空間距離
単位 mm
動作電圧
(以下)
公称交流主電源電圧
150 V以下
(主電源過渡電圧1 500 V)
公称交流主電源電圧
150 Vを超え300 V以下
(主電源過渡電圧2 500 V)
公称交流主電源電圧
300 Vを超え600 V以下
(主電源過渡電圧4 000 V)
交流
(ピーク)
又は直流
実効値
(正弦波)
汚損度
1及び2
汚損度
3
汚損度
1,2及び3
汚損度
1,2及び3
(V)
(V)
B
及びS
R
B
及びS
R
B及びS
R
B及びS
R
210
150
1.0
(0.5)
2.0
(1.0)
1.3
(0.8)
2.6
(1.6)
2.0
(1.5)
4.0
(3.0)
3.2
(3.0)
6.4
(6.0)
420
300
B及びS 2.0(1.5) R 4.0(3.0)
3.2
(3.0)
6.4
(6.0)
840
600
B及びS 3.2(3.0) R 6.4(6.0)
1400
1000
B及びS 4.2 R 6.4
2800
2000
B,S及びR
8.4
7000
5000
B,S及びR
17.5
9800
7000
B,S及びR
25
14000
10000
B,S及びR
37
28000
20000
B,S及びR
80
42000
30000
B,S及びR 130
63
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表8−主電源に導電的に接続した回路間,及びこのような回路と主電源に
導電的に接続していない回路との間の絶縁に対する最小空間距離(続き)
この表の値は,基礎絶縁(B),付加絶縁(S)及び強化絶縁(R)に対して適用する。
括弧内の値は,製造工程が品質管理プログラム(このようなプログラムの例が附属書Mにある。)に基づく場合
だけ,基礎絶縁(B),付加絶縁(S)及び強化絶縁(R)に対して適用する。特に,二重絶縁及び強化絶縁には,ル
ーチン試験の耐電圧試験を行う。
交流(ピーク)又は直流420〜42 000 Vの動作電圧に対しては,近接する2点間に直線内挿法を,交流(ピーク)
又は直流42 000 Vを超える動作電圧に対しては外挿法を適用する。算出した距離は,0.1 mm単位で切り上げる。
汚損度の説明については,13.1の規定を参照する。
表9−公称交流主電源電圧のピーク値を超えるピーク動作電圧をもつ
主電源に導電的に接続した回路の絶縁,及びそのような回路と
主電源に導電的に接続していない回路との間の絶縁に対する加算空間距離
公称交流主電源電圧
150 V以下
公称交流主電源電圧
150 Vを超え300 V以下
加算空間距離
mm
汚損度1及び2
汚損度3
汚損度1,2及び3
基礎絶縁又
は付加絶縁
強化絶縁
最大動作電圧
V(ピーク)
最大動作電圧
V(ピーク)
最大動作電圧
V(ピーク)
210
(210)
210
(210)
420
(420)
0
0
298
(288)
294
(293)
493
(497)
0.1
0.2
386
(366)
379
(376)
567
(575)
0.2
0.4
474
(444)
463
(459)
640
(652)
0.3
0.6
562
(522)
547
(541)
713
(729)
0.4
0.8
650
(600)
632
(624)
787
(807)
0.5
1.0
738
(678)
715
(707)
860
(884)
0.6
1.2
826
(756)
800
(790)
933
(961)
0.7
1.4
914
(839)
−
1006
(1039)
0.8
1.6
1002
(912)
−
1080
(1116)
0.9
1.8
1090
(990)
−
1153
(1193)
1.0
2.0
−
−
1226
(1271)
1.1
2.2
1300
(1348)
1.2
2.4
−
(1425)
1.3
2.6
括弧内の値は,表8の括弧内の値を表8に記載の品質管理プログラムに基づいて用いるときに適用する。
この表に示す値を超える動作電圧に対しては,直線外挿法を適用する。
近接する2点間には直線内挿法を適用する。算出した距離は,0.1 mm単位に切り上げる。
汚損度の説明については,13.1の規定を参照する。
13.3.3 主電源に導電的に接続していない回路の空間距離
主電源に導電的に接続していない回路の空間距離は,表10に規定する最小寸法に適合しなければならな
い。
表10に規定する主電源に導電的に接続していない回路に対する空間距離を決定するときに用いる動作
電圧は,次による。
− 直流電圧に重畳するリップルのピーク値が2.3.3に規定する許容値を超える場合,リップルのピーク値
を含める。
− 非正弦波に対しては,ピーク値を用いる。
主電源の過電圧カテゴリがIIの場合,主電源に導電的に接続していない回路の過電圧カテゴリは,通常
64
C 6065:2016
Iとなる。種々の交流主電源電圧に対する過電圧カテゴリIの最大過渡電圧は,表10の見出し欄に示す。
しかし,機器内の主電源に導電的に接続していない浮いている回路であっても,接地する可能性があるコ
ネクタ(例えば,アンテナ用又は信号入力用)をもつ場合は,表8及び表9の主電源に導電的に接続した
回路に対する要求事項を適用する。ただし,浮いている回路が保護接地端子がある機器の中にあり,かつ,
次のいずれかに該当する場合,この要求事項は適用しない。
− 浮いている回路を接地した金属遮蔽物によって,主電源に導電的に接続した回路から分離している場
合
− 主電源に導電的に接続していない回路の過渡電圧が,過電圧カテゴリIの最大許容値以下の場合(例
えば,コンデンサのような部品を主電源に導電的に接続していない回路と接地との間に挿入すること
によって減衰する場合)。過渡電圧レベルを測定する方法は,13.3.4の規定による。
ネットワーク線過渡電圧が分かる場合,その値を用いることが望ましい。
ネットワーク線過渡電圧が不明の場合,TNV-2回路に対しては800 V(ピーク),TNV-1回路及びTNV-3
回路に対しては1.5 kV(ピーク)の推定過渡電圧を用いることが望ましい。
侵入する過渡電圧が機器内部で減衰することが分かっている場合,用いる過渡電圧の値は,13.3.4 b) の
規定に基づいて決定することが望ましい。
表10−主電源に導電的に接続していない回路の最小空間距離
単位 mm
動作電圧
(以下)
公称交流主電源電圧150 V
以下(主電源に導電的に接
続していない回路の過渡電
圧定格800 V)b)
公称交流主電源電圧150 V
を超え300 V以下(主電源
に導電的に接続していない
回路の過渡電圧定格1 500
V)b)
公称交流主電源電圧300
Vを超え600 V以下(主
電源に導電的に接続して
いない回路の過渡電圧定
格2 500 V)b)
過渡過電圧
を受けない
回路a)
交流
(ピー
ク)又
は直流
V
実効値
正弦波
V
汚損度
1及び2
汚損度
3
汚損度
1及び2
汚損度
3
汚損度
1,2及び3
汚損度
1及び2だけ
B
及び
S
R
B
及び
S
R
B
及び
S
R
B
及び
S
R
B
及び
S
R
B
及び
S
R
71
50
0.7
(0.2)
1.4
(0.4)
1.3
(0.8)
2.6
(1.6)
1.0
(0.5)
2.0
(1.0)
1.3
(0.8)
2.6
(1.6)
2.0
(1.5)
4.0
(3.0)
0.4
(0.2)
0.8
(0.4)
140
100
0.7
(0.2)
1.4
(0.4)
1.3
(0.8)
2.6
(1.6)
1.0
(0.5)
2.0
(1.0)
1.3
(0.8)
2.6
(1.6)
2.0
(1.5)
4.0
(3.0)
0.7
(0.2)
1.4
(0.4)
210
150
0.9
(0.2)
1.8
(0.4)
1.3
(0.8)
2.6
(1.6)
1.0
(0.5)
2.0
(1.0)
1.3
(0.8)
2.6
(1.6)
2.0
(1.5)
4.0
(3.0)
0.7
(0.2)
1.4
(0.4)
280
200
B及びS 1.4(0.8) R 2.8(1.6)
2.0
(1.5)
4.0
(3.0)
1.1
(0.2)
2.2
(0.4)
420
300
B及びS 1.9(1.0) R 3.8(2.0)
2.0
(1.5)
4.0
(3.0)
1.4
(0.2)
2.8
(0.4)
700
500
B及びS 2.5,R 5.0
840
600
B及びS 3.2,R 5.0
1 400
1 000
B及びS 4.2,R 5.0
2 800
2 000
B,S及びR
8.4 c)
7 000
5 000
B,S及びR
17.5 c)
9 800
7 000
B,S及びR
25 c)
14 000 10 000
B,S及びR
37 c)
28 000 20 000
B,S及びR
80 c)
42 000 30 000
B,S及びR 130 c)
65
C 6065:2016
表10−主電源に導電的に接続していない回路の最小空間距離(続き)
この表の値は基礎絶縁(B),付加絶縁(S)及び強化絶縁(R)に対して適用する。
括弧内の値は,製造工程が品質管理プログラム(このようなプログラムの例が附属書Mにある。)に基づく場合だ
け,基礎絶縁(B),付加絶縁(S)及び強化絶縁(R)に対して適用する。特に,二重絶縁及び強化絶縁には,ルーチ
ン試験の耐電圧試験を行う。
交流(ピーク)又は直流420〜42 000 Vの動作電圧に対しては,近接する2点間に直線内挿法を,42 000 Vを超える
交流(ピーク)又は直流の動作電圧に対しては,直線外挿法を適用する。算出した距離は,0.1 mm単位で切り上げる。
空間距離の経路が,材料グループIでない材料の表面を部分的に通る場合,空隙部間にだけ耐電圧試験を行う。
汚損度の説明については,13.1の規定を参照する。
より低い過渡電圧に対しては,JIS C 60664-1の表F.2の規定を用いてもよい。
注a) この値は,主電源に導電的に接続していない直流回路で,大地に確実に接続し,リップルのピーク対ピーク値
をこの直流電圧の10 %に制限する容量性のフィルタをもつ直流回路に適用できる。
b) 機器の過渡電圧がこの値を超える場合,更に大きく適切な空間距離を用いなければならない。
c) 交流1 400 V(ピーク)又は交流1 000 V(実効値)を超える動作電圧に対しては,空間距離の経路が10.4.2の
規定に従った次のいずれかの条件による耐電圧試験に適合する場合,最小空間距離は5 mmとする。
− 実効値がピーク動作電圧の106 %となる交流電圧。
− ピーク動作電圧の150 %の直流電圧。
13.3.4 過渡電圧の測定
次の試験は,ある回路で空間距離間の過渡電圧が,例えば,機器内のフィルタ効果によって,公称値よ
りも低くなるかどうかの確認が必要となる場合だけ行う。空間距離間の過渡電圧は,次の試験手順で測定
し,空間距離は測定(電圧)値に基づいて決定する。
試験中,機器は,該当する場合は別の電源装置に接続し,主電源及びあらゆる回路網,例えば,ネット
ワーク線には接続しない。さらに,主電源に導電的に接続した回路にある全てのサージ抑制器は切り離す。
電圧測定器は,対象となる空間距離間に対して接続する。
a) 主電源の過電圧による過渡電圧 主電源の過電圧による過渡電圧の減衰レベルを測定するために,附
属書Kに規定するインパルス試験発生器を用いて,Ucを表8の見出し欄に記載した主電源過渡電圧に
等しくし,1.2/50 μsのインパルスを発生させる。
インパルス間に1秒間以上の間隔を置き,交互の極性で3〜6回,次の関連する箇所に印加する。
− 相線間
− 全ての相導体を一つに接続した箇所と中性線との間
− 全ての相導体を一つに接続した箇所と保護接地との間
− 中性線と保護接地との間
b) ネットワーク線の過電圧による過渡電圧 ネットワーク線の過電圧による過渡電圧の減衰レベルを測
定するために,附属書Kに規定するインパルス試験発生器を用いて,Ucをネットワーク線過渡電圧に
等しくし,10/700 μsのインパルスを発生させる。
対象となるネットワーク線過渡電圧が不明な場合は,次による。
− ネットワーク線に接続する回路がTNV-1回路又はTNV-3回路の場合,1 500 V(ピーク)
− ネットワーク線に接続する回路がTNV-0回路又はTNV-2回路の場合,800 V(ピーク)
インパルス間に1秒間以上の間隔を置き,交互の極性で3〜6回,次のネットワーク線の接続箇所に
印加する。
− インタフェースの対になる端子間[例えば,AとBとの間,又はチップ(tip)とリング(ring)と
の間]
66
C 6065:2016
− 単一インタフェース形の全ての端子を一つに接続した箇所と接地との間
13.4 沿面距離
沿面距離は,動作電圧の値,汚損度及び材料グループを考慮し,表11に規定する適切な最小値よりも小
さくてはならない。
表11から導いた沿面距離が13.3又は附属書Jに規定する空間距離よりも小さい場合,その空間距離の
値を最小沿面距離として適用する。
ガラス,マイカ,セラミック又は類似の材料については,該当する空間距離に等しい最小沿面距離を用
いてもよい。
沿面距離を決定するときに用いる動作電圧は,次による。
− 実際の実効値又は直流値を用いる。
実効値を測定する場合,測定器は,正弦波波形同様,非正弦波波形に対しても,真の実効値が読めるも
のであることに注意する。
− 直流値を用いる場合,重畳するリップルは,全て考慮しない。
− 短時間の条件(例えば,TNV回路の断続呼び出し信号)は考慮しない。
− 短時間の障害(例えば,過渡電圧)は考慮しない。
特性が分かっていないネットワーク線に接続したTNV回路に対する動作電圧を決定する場合,通常の
動作電圧は,次の値とみなす。
− TNV-1回路に対しては,直流60 V
− TNV-2回路及びTNV-3回路に対しては,直流120 V
材料グループは,次のように分類する。
− 材料グループI
CTI(比較トラッキング指数)600以上
− 材料グループII
CTI 400以上 600未満
− 材料グループIIIa
CTI 175以上 400未満
− 材料グループIIIb
CTI 100以上 175未満
材料グループは,JIS C 2134に規定する50滴の溶液Aを用いて得たデータの評価によって検証する。
材料グループが分かっていない場合,材料グループIIIbとみなす。CTI 175以上が必要で,データがな
い場合,材料グループは,JIS C 2134に規定する保証トラッキング指数(PTI)の試験で判断する。これら
の試験によって確定したPTIが,ある材料グループに対して規定するCTIの低い方の値以上の場合,その
材料は,その材料グループに該当するとしてもよい。
表11−最小沿面距離
単位 mm
動作電圧(以下)
交流(実効値)
又は直流(V)
基礎絶縁及び付加絶縁
汚損度1
汚損度2
汚損度3
材料グループ
I,II,IIIa又はIIIb
材料グループ
材料グループ
I
II
IIIa又は
IIIb
I
II
IIIa又は
IIIb
10
a)
0.4
0.4
0.4
1.0
1.0
1.0
12.5
0.42
0.42
0.42
1.05
1.05
1.05
16
0.45
0.45
0.45
1.1
1.1
1.1
67
C 6065:2016
表11−最小沿面距離(続き)
単位 mm
動作電圧(以下)
交流(実効値)
又は直流(V)
基礎絶縁及び付加絶縁
汚損度1
汚損度2
汚損度3
材料グループ
I,II,IIIa又はIIIb
材料グループ
材料グループ
I
II
IIIa又は
IIIb
I
II
IIIa又は
IIIb
20
a)
0.48
0.48
0.48
1.2
1.2
1.2
25
0.5
0.5
0.5
1.25
1.25
1.25
32
0.53
0.53
0.53
1.3
1.3
1.3
40
0.56
0.8
1.1
1.4
1.6
1.8
50
0.6
0.85
1.2
1.5
1.7
1.9
63
0.63
0.9
1.25
1.6
1.8
2.0
80
0.67
0.9
1.3
1.7
1.9
2.1
100
0.71
1.0
1.4
1.8
2.0
2.2
125
0.75
1.05
1.5
1.9
2.1
2.4
160
0.8
1.1
1.6
2.0
2.2
2.5
200
1.0
1.4
2.0
2.5
2.8
3.2
250
1.25
1.8
2.5
3.2
3.6
4.0
320
1.6
2.2
3.2
4.0
4.5
5.0
400
2.0
2.8
4.0
5.0
5.6
6.3
500
2.5
3.6
5.0
6.3
7.1
8.0
630
3.2
4.5
6.3
8.0
9.0
10
800
4.0
5.6
8.0
10
11
12.5
1000
5.0
7.1
10
12.5
14
16
1250
6.3
9.0
12.5
16
18
20
1600
8.0
11
16
20
22
25
2000
10
14
20
25
28
32
2500
12.5
18
25
32
36
40
3200
16
22
32
40
45
50
4000
20
28
40
50
56
63
5000
25
36
50
63
71
80
6300
32
45
63
80
90
100
8000
40
56
80
100
110
125
10000
50
71
100
125
140
160
12500
63
90
125
16000
80
110
160
20000
100
140
200
25000
125
180
250
32000
160
220
320
40000
200
280
400
50000
250
360
500
63000
320
450
600
近接する2点間には直線内挿法を適用する。算出した距離は,0.1 mm単位に切り上げる。
強化絶縁に対する沿面距離の値は,この表の基礎絶縁の値の2倍とする。線形補間する場合は,2倍した後に切
り上げる。
汚損度の説明については,13.1の規定を参照する。
注a) 汚損度1の絶縁に対する最小沿面距離は,規定しない。最小空間距離は,13.3又は附属書Jに規定する値を
適用する。
68
C 6065:2016
適否は,附属書Eの規定を考慮して測定によって判定する。
次に示す条件を適用する。
可動部分は,最も不利となる位置にする。
通常,取り外せない電源供給コードを組み込む機器での沿面距離の測定は,15.3.5に規定する最大の公
称断面積の導体を付けた状態及び導体を付けない状態で行う。
エンクロージャのスロット又は開口部を通して絶縁材料のエンクロージャからの沿面距離を測定する場
合,可触の表面は,JIS C 0922に規定する検査プローブBに基づくテストフィンガ(9.1.1.3参照)でほと
んど力を加えずに触れることができる部分は,全て,金属はくで覆われているかのように導電性があると
みなす(図3のB点参照)。
注記 絶縁テープ上の接着剤の存在は,CTIを決定するときに考慮することが望ましい。
13.5 プリント配線板
13.5.1 IEC 60249-2の規格群の関連する部分に規定する引離し強度及び剝離強度の要求事項に適合するプ
リント配線板上の導体間の最小空間距離及び沿面距離は,片側が主電源に導電的に接続した場合であって
も図10に規定する値とする。さらに,次に示す条件を適用する。
− この距離は,過熱に関する場合だけ導体間に対して適用(11.2参照)し,組み込んだ部品又は関連す
るはんだ付け部には適用しない。
− JIS C 60664-3に規定する要求事項に適合するコーティングを除き,ラッカー又は類似のコーティング
は,距離を測定するときには無視する。
13.5.2 JIS C 60664-3に規定するタイプ2コーティングを施したプリント配線板の場合,導体間の絶縁は,
JIS C 60664-3に規定する要求事項に適合しなければならない。タイプ2コーティングは,基礎絶縁だけに
適用する。
このようなプリント配線板の場合,コーティングの下には空間距離及び沿面距離は存在しない。
注記1 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
多層プリント配線板の場合,JIS C 6950-1の2.10.6.4(プリント配線板の異なる表面上の導体間の絶縁)
及び表2R(プリント配線板における絶縁)を参照する。
注記2 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
13.6 継ぎ目の絶縁
接合していない継ぎ目に沿った導電部間の距離は,13.3又は附属書Jに規定する空間距離及び13.4に規
定する沿面距離の値を適用しなければならない。
次の試験に適合する,信頼性がある接合した継ぎ目に対しては,空間距離及び沿面距離は存在しない。
この場合,8.8の規定だけを適用する。
適否は,目視検査,測定及び試験によって判定する。
この試験では,巻線用エナメル電線がある場合,エナメル電線は,非絶縁線に置き換える。
次の試験に耐える場合,材料は,互いに接合しているとみなす。
3台の機器,部品又は部分組立品は,次に示す温度サイクルを10回行う。
− X±2 ℃で68時間
− 25±2 ℃で1時間
− 0±2 ℃で2時間
− 25±2 ℃で1時間
ここで,Xは,当該機器,部品又は部分組立品の通常動作状態の下で測定した最高温度に10 Kを加えた
69
C 6065:2016
温度とする。ただし,Xは85 ℃以上とする。
一つの機器,部品又は部分組立品は,10.4に規定する耐電圧試験を行う。ただし,試験電圧は,10.4に
規定する値の1.6倍とし,10.3の湿度処理は行わない。
この試験は,最終温度サイクルの68時間温度処理の後に,直ちに行う。
全ての温度サイクルが終了し次第,残りの二つの機器,部品又は部分組立品は,10.4に規定する耐電圧
試験を行う。ただし,試験電圧は10.4に規定する値の1.6倍とする。
注記 試験電圧は,表面を互いに接合しない場合に絶縁破壊が起きるかどうかを確認するために,通
常の試験電圧よりも高くして行う。
変圧器,磁性結合器及び類似のデバイスに対して,安全性が絶縁に依存する場合,上記の温度サイクル
中に,周波数50 Hz又は60 Hzの交流500 V(実効値)の電圧を巻線間,及び巻線とその他の導体との間
に印加する。
この試験中,絶縁破壊の兆候があってはならない。
13.7 包囲した部分及び密封した部分
主電源に導電的に接続しておらず,ほこり及び湿気が侵入しないように包囲,封入又は密封した,機器,
部分組立品又は部品の最小空間距離及び沿面距離は,表12に規定する値まで小さくしてもよい。
注記 このような構造例としては,密封した金属製の箱,接着剤で封止したプラスチック製の箱,デ
ィップコート又はプリント配線板で用いるJIS C 60664-3に規定するタイプ1コーティングで封
入した部品がある。
表12−最小空間距離及び沿面距離(包囲,封入又は密封した構造)
動作電圧(以下)交流(ピーク)又は直流
V
最小空間距離及び沿面距離
mm
35
0.2
45
0.2
56
0.3
70
0.3
90
0.4
110
0.4
140
0.5
180
0.7
225
0.8
280
1.0
360
1.1
450
1.3
560
1.6
700
1.9
900
2.3
1120
2.6
1400
3.2
1800
4.2
2250
5.6
2800
7.5
3600
10.0
4500
12.5
5600
16.0
70
C 6065:2016
表12−最小空間距離及び沿面距離(包囲,封入又は密封した構造)(続き)
動作電圧(以下)交流(ピーク)又は直流
V
最小空間距離及び沿面距離
mm
7000
20.0
9000
25.0
11200
32.0
14000
40.0
この表の値は,基礎絶縁及び付加絶縁の両方に適用する。
強化絶縁に対する値は,表の値の2倍とする。
用いる絶縁材料には,100以上のCTIが必要となる。CTI定格は,JIS C 2134の溶液Aに
基づいて求めた値を参照する。
近接する2点間には直線内挿法を適用する。算出した距離は,0.1 mm単位で切り上げる。
適否は,目視検査,測定,及び機器,部分組立品又は部品を,次に示す温度サイクルを10回行うことに
よって判定する。
− Y±2 ℃で68時間
− 25±2 ℃で1時間
− 0±2 ℃で2時間
− 25±2 ℃で1時間
ここで,Yは,当該機器,部分組立品又は部品の通常動作状態の下で測定した最高温度とする。変圧器
の場合には,Yは,通常動作状態の下で測定した最高巻線温度に10 Kを加えた温度とする。ただし,Yは
85 ℃以上とする。
次に機器,部分組立品又は部品について10.4に規定する耐電圧試験を行う。
試験は,3個のサンプルを用いて行う。
1個でも不合格になってはならない。
13.8 全ての空間を絶縁物で充塡処理してある機器,部分組立品又は部品内部の導電部間の距離には,空
間距離及び沿面距離が存在しないため,8.8に規定する要求事項だけを適用する。
注記 このような処理には,ポッティング,カプセル封入及び真空含浸を含む。
適否は,13.7の規定に基づき,8.8の規定とともに次の事項を考慮に入れ,検査することによって判定す
る。
カプセル封入材,注入材その他の材料にクラックがないこと,コーティングが緩んだり縮んだりしない
こと及びサンプルを断面が分かるように切ったときに材料中に顕著な気泡がないことを目視で検査する。
14 部品
14.1 一般事項
ある範囲の値をもつ部品をその一部の値で用いる場合,その範囲にある全ての値を試験する必要はない。
その値が幾つかの技術的に同一の小分類に分けることができる場合,サンプルは,これらの小分類を代表
するものであることが望ましい。さらに,可能な場合,構造的に類似の部品の代表という概念を用いるこ
とが望ましい。
JIS C 60695-11-10に規定するある燃焼性分類を要求する場合,代替の試験法については,附属書Gを参
照する。
箇条14で燃焼性について何も要求していない場合,20.2.5の要求事項を適用する。
71
C 6065:2016
注記1 (対応国際規格の“オーストラリア及びニュージーランドでは,20.1の注記の特別な国家条
件も全ての部品に適用する。”の注記を削除した。)
注記2 (対応国際規格の“スウェーデンでは,サーモスタット,リレー,レベルコントロールなど
の水銀を含むスイッチを許容しない。”の注記を削除した。)
14.2 抵抗器
短絡又は切断によって,故障状態(箇条11参照)の下での要求事項に適合しなくなるような抵抗器及び
主電源スイッチの接点ギャップを橋絡する抵抗器は,過負荷において十分安定した抵抗値でなければなら
ない。
このような抵抗器は,機器のエンクロージャの内部になければならない。
適否は,10個の試験品に次のa) 又はb) の試験を行って判定する。
a) 又はb) の試験に先立ち,各試験品の抵抗値を測定し,JIS C 60068-2-78に規定する次の厳しさの高
温高湿試験を行う。
− 温度:40±2 ℃
− 相対湿度:(93±3)%
− 試験期間:21日間
a) 危険な活電部と可触導電部との間に接続した抵抗器及び主電源スイッチの接点ギャップ間を橋絡する
抵抗器の場合,10個の試験品に図5のa) に示す試験回路で10 kVに充電した1 nFのコンデンサから,
最大12回/分の割合で50回放電する。
抵抗値は,高温高湿試験の前後に測定し,20 %を超える抵抗変化があってはならない。
1個でも不合格になってはならない。
b) 他の抵抗器の場合,機器を故障状態の下で動作したとき,機器に付いている抵抗器の規定の定格値と
等価な抵抗値をもつ抵抗器を介して測定した電流値の1.5倍を流す電圧を,10個のサンプルにそれぞ
れ印加する。試験中,電圧は一定に保つ。
抵抗値は,高温高湿試験の前及び安定状態に達した後に測定し,20 %を超える抵抗変化があっては
ならない。
1個でも不合格になってはならない。
危険な活電部と可触導電部との間に接続した抵抗器の場合,終端間の空間距離及び沿面距離は,箇条13
の強化絶縁の要求事項に適合しなければならない。
内部にリード端子の終端がある抵抗器は,内部の距離を明確かつ正確に定める場合だけ認める。
適否は,測定及び目視検査によって判定する。
14.3 コンデンサ及びRCユニット
14.3.1 JIS C 5101-14の表3(サンプリング計画 安全性を要求する試験)に規定する試験を引用する場合,
試験を次のように補足して行う。
JIS C 5101-14の4.12に規定する高温高湿試験の期間を21日とする。
注記 コンデンサ又はRCユニットを電磁妨害抑制のために用いるか否かに関係なく,JIS C 5101-14
を引用する。
14.3.2 短絡又は切断によって,故障状態の下での感電の危険に対する要求事項に適合しなくなるコンデン
サ又はRCユニットは,次による。
a) JIS C 5101-14の表3に規定するコンデンサ又はRCユニットのサブクラスY2又はY4に対する試験
に耐えなければならない。
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C 6065:2016
サブクラスY2のコンデンサ又はRCユニットは,定格主電源電圧が大地又は中点に対して,150 V
を超え250 V以下の機器に用いなければならない。
サブクラスY4のコンデンサ又はRCユニットは,定格主電源電圧が大地又は中点に対して,150 V
以下の機器だけに用いてもよい。
b) JIS C 5101-14の表3に規定するコンデンサ又はRCユニットのサブクラスY1又はY2に対する試験
に耐えなければならない。
サブクラスY1のコンデンサ又はRCユニットは,定格主電源電圧が大地又は中点に対して,150 V
を超え250 V以下の機器に用いなければならない。
サブクラスY2のコンデンサ又はRCユニットは,定格主電源電圧が大地又は中点に対して,150 V
の機器だけに用いてもよい。
注記 a) 及びb) を適用する場合は,8.5及び8.6の規定を参照する。
この種のコンデンサ又はRCユニットは,機器のエンクロージャの内部になければならない。
14.3.3 主電源に直接接続した終端をもつコンデンサ又はRCユニットは,JIS C 5101-14の表3に規定する
X1又はX2のコンデンサ又はRCユニットの試験に耐えなければならない。
サブクラスX1のコンデンサ又はRCユニットは,公称電圧が大地又は中点に対して,150 Vを超え250
V以下の主電源に接続することを意図した恒久接続機器に用いなければならない。
サブクラスX2のコンデンサ又はRCユニットは,その他の用途に用いてもよい。
X1又はX2のコンデンサ又はRCユニットの代わりに,Y2のコンデンサ又はRCユニットを用いてもよ
い。
150 V以下で用いる場合,X2のコンデンサ又はRCユニットの代わりにY4のコンデンサ又はRCユニ
ットを用いてもよい。
14.3.4 主電源周波数の出力をもつ変圧器の二次側巻線間に用いるコンデンサ又はRCユニットは,短絡す
ることによって過熱に関する要求事項に適合しなくなる場合,JIS C 5101-14の表3に規定するサブクラス
X2のコンデンサ又はRCユニットの試験に耐えなければならない。
コンデンサ又はRCユニットの特性は,通常動作状態の下での機器の機能に対して適切でなければなら
ない。
14.3.5 (将来,14.3.2〜14.3.4に規定するコンデンサ又はRCユニットに対する要求事項以外の別の要求事
項を規定する必要があるときのために,意図的に空白にしておく。)
14.3.6 14.3.2〜14.3.5に当てはまらないコンデンサ又はRCユニットは,次による。
注記 X1又はX2のコンデンサ又はRCユニットを14.3.3の規定で要求する場所以外で用いる場合で
も,これらのコンデンサ又はRCユニットは,14.3.3の規定対象とみなすのがよい。
a) コンデンサ又はRCユニットを短絡したときに,短絡回路に流れる電流が0.2 Aを超える回路に用いる,
体積が1 750 mm3を超えるコンデンサ又はRCユニットは,JIS C 5101-1の4.38(耐炎性)に規定する
耐炎性カテゴリB以上の耐炎性の要求事項に適合しなければならない。
b) 潜在的発火源と体積が1 750 mm3を超えるコンデンサ又はRCユニットとの距離が表13に規定する値
の場合,これらのコンデンサ又はRCユニットは,表13に規定するJIS C 5101-1の4.38に規定する
適切な(コンデンサの体積範囲に従った)耐炎性カテゴリ以上の耐炎性の要求事項に適合しなければ
ならない。潜在的発火源から20.2.5に規定するバリアによって遮蔽する場合,これらのコンデンサ及
びRCユニットには,耐炎性の要求事項は適用しない。
金属製のケースをもつコンデンサ及びRCユニットには,この規定を適用しない。ケース上の薄いコー
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C 6065:2016
ティング又はチューブは,無視する。
表13−潜在的発火源からの距離による燃焼性分類
潜在的発火源の開路電圧
交流(ピーク)又は直流
V
潜在的発火源の下方又は横
方向にあるコンデンサ又は
RCユニットまでの距離が
下欄の値未満a)
mm
潜在的発火源の上方にある
コンデンサ又はRCユニッ
トまでの距離が下欄の値未
満a)
mm
JIS C 5101-1に基づく
耐炎性カテゴリ
50を超え 4 000以下
13
50
B
4000を超え
20.3による。
注a) 図13参照
適否は,JIS C 5101-1の4.38の規定に基づく検査によって判定する。
14.4 インダクタ及び巻線
14.4.1 要求事項
インダクタ及び巻線は,次のいずれかに適合しなければならない。
− JIS C 61558-1に規定する要求事項及びJIS C 61558-2の関連する部に規定する要求事項。さらに,イ
ンダクタ及び巻線の絶縁材料は,薄いシート状のものを除き20.2.5に規定する要求事項に適合しなけ
ればならない。
− 14.4.2〜14.4.6に規定する要求事項
注記 JIS C 61558-2の関連する部の例を,次に示す。
・ JIS C 61558-2-1:複巻変圧器(この規格では,分離変圧器という。2.7.2参照。)
・ JIS C 61558-2-4:絶縁変圧器
・ JIS C 61558-2-6:安全絶縁変圧器
・ IEC 61558-2-16:スイッチモード電源装置用変圧器
14.4.2 表示
例えば,絶縁変圧器のように故障が起きると機器の安全性を損なうインダクタには,製造業者名又は商
標,及び形番又はカタログ番号を表示しなければならない。製造業者名及び形番は,コード番号でもよい。
適否は,目視検査によって判定する。
14.4.3 一般
注記1 機器での使い方に応じて,10.2に規定する巻線の絶縁に関する要求事項に注意する。
絶縁変圧器は,次に適合しなければならない。
− 14.4.4
− 14.4.5.1又は14.4.5.2
− 14.4.6.1又は14.4.6.2
分離変圧器は,次に適合しなければならない。
− 14.4.4
− 14.4.5.3
− 14.4.6.1又は14.4.6.2
例えば,固定子だけに電力を供給する誘導形モータ,消磁コイル,リレーのコイル,単巻変圧器などの
他の巻線は,適用できる限り14.4.4.1,14.4.6.1及び14.4.6.2に規定する要求事項に適合しなければならな
い。
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スイッチモード電源(SMPS)用の変圧器は,JIS C 61558-1及びIEC 61558-2-16に規定する要求事項に
適合するか,又は上記の絶縁変圧器若しくは分離変圧器の要求事項に適合しなければならない。
インダクタ及び巻線の絶縁材料は,薄いシート状のものを除き,20.2.5に規定する要求事項に適合しな
ければならない。
プレーナ変圧器に対しては,JIS C 6950-1の2.10.6.4(プリント配線板の異なる表面上の導体間の絶縁)
及び表2R(プリント配線板における絶縁)を参照する。
注記2 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
14.4.4 構造要求
14.4.4.1 全ての巻線
空間距離及び沿面距離は,箇条13に規定する要求事項に適合しなければならない。
14.4.4.2 複数の巻線をもつ場合の設計
接合していない押付け形の隔壁で構成する絶縁バリアを用いる場合,沿面距離は,継ぎ目に沿って測定
する。継ぎ目をJIS C 2107,JIS C 2336,JIS C 2338又はIEC 60454の規格群の規定に基づく要求事項に
適合する接着剤付きの固定テープで覆う場合,このテープを製造中に折りたたんでしまう危険を少なくす
るために,壁の各側面に対して一層のテープが必要となる。
入力巻線及び出力巻線は,電気的にお互いを分離しなければならず,この巻線同士が直接又は導電物を
介して間接的に接続する可能性がない構造でなければならない。
特に,次の事態を防止するように注意しなければならない。
− 入力巻線,出力巻線又はこれらの不適切な変位
− 内部電線又は外部接続用の電線の不適切な変位
− 電線の切断又は接続の緩みが起きたときの,巻線の一部又は内部電線の不適切な変位
− 電線,ねじ,ワッシャ及びそれに類するものが,緩んだり外れたりした場合の,巻線の接続部を含む
入力巻線と出力巻線との間の絶縁の橋絡
各巻線の最後の一巻きは,例えば,テープ,適切な接着剤のような信頼性がある方法で固定するか,又
は処理技術によって構造を維持しなければならない。
枠のないボビンを用いる場合,各層の最後の巻線は,信頼できる方法で保持しなければならない。各層
には,例えば,各層の最終巻線部から突き出した適切な絶縁材料を挟み,更に次のいずれか一つの処理を
施さなければならない。
− 巻線を熱硬化又は常温硬化の材料で含浸し,層間の空隙を十分に埋め,最終巻線部を効果的に封じ込
める。
− 巻線を絶縁物で束ねる。
− 巻線を,例えば,処理技術で固定する。
注記 二つの独立した固定法が同時に緩むとは判断しない。
きょ(鋸)歯状のテープを用いる場合,ぎざぎざがある部分は,絶縁物とみなさない。
適否は,目視検査によって判定する。
14.4.5 巻線間の分離
14.4.5.1 クラスII構造の巻線
危険な活電巻線と可触導電部に接続する巻線との間の分離は,8.8に規定する二重絶縁又は強化絶縁によ
って構成しなければならない。ただし,強化絶縁として用いるコイルフォーマ及び隔壁については,0.4 mm
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C 6065:2016
の厚さの規定だけを適用し,追加の要求事項は適用しない。
例えば,鉄芯のように可触導電部に接続することを意図していない介在導電部が当該巻線相互間にある
場合,介在導電部を通したこれら巻線相互間の絶縁は,上記のように二重絶縁又は強化絶縁で構成しなけ
ればならない。
適否は,検査及び測定によって判定する。
14.4.5.2 クラスI構造の巻線
次の条件を全て満たす場合,危険な活電巻線と可触導電部に接続する巻線との間の分離は,基礎絶縁と
保護遮蔽物とによって構成してもよい。
− 危険な活電巻線と保護遮蔽物との間の絶縁は,危険な活電電圧に対する8.8に規定する基礎絶縁の寸
法の要求事項に適合する。
− 保護遮蔽物と危険でない活電巻線との間の絶縁は,表5の2に規定する耐電圧の要求事項に適合する。
− 絶縁不良によって入力電圧が出力巻線に加わることを効果的に防ぐように,保護接地端子又は接点に
接続することを意図した保護遮蔽物を,入力巻線と出力巻線との間に配置する。
− 保護遮蔽物は,隣接するいずれか一つの巻線の全幅以上の金属はく又は巻線遮蔽物で構成する。巻線
遮蔽物は,巻線間に隙間が生じないようにしっかりと巻く。
− 巻線が短絡することによって起こる過熱を防止するために,保護遮蔽物は,終端が互いに接触したり,
同時に鉄芯に接触したりしないように配置する。
− 保護遮蔽物及びその引出線は,絶縁破壊が起きたとき,遮蔽物又は引出線が破壊する前にヒューズ又
は遮断装置が確実に回路を開放するために十分な断面積をもつ。
− 引出線は,信頼性がある方法,例えば,はんだ付け,溶接,リベット止め又はクリンプ止めで保護遮
蔽物に接続する。
適否は,検査及び測定によって判定する。
14.4.5.3 分離構造の巻線
危険な活電巻線と可触部から付加絶縁だけで分離した部分に接続する巻線との間の分離は,少なくとも
8.8に規定する基礎絶縁で構成しなければならない。
適否は,検査及び測定によって判定する。
14.4.6 危険な活電部と可触部との間の絶縁
14.4.6.1 クラスII構造の巻線
次の絶縁は,8.8に規定する二重絶縁又は強化絶縁で構成しなければならない。ただし,強化絶縁として
用いるコイルフォーマ及び隔壁については,0.4 mmの厚さの規定だけを適用し,追加の要求事項は適用し
ない。
− 危険な活電巻線と可触部との間か,又は危険な活電巻線と鉄芯などの可触導電部に接続することを意
図した部分との間の絶縁
− 危険な活電巻線に接続した鉄芯などの危険な活電部と可触導電部に接続した巻線との間の絶縁
適否は,検査及び測定によって判定する。
14.4.6.2 クラスI構造の巻線
次の絶縁は,8.8に規定する基礎絶縁で構成しなければならない。
− 危険な活電巻線と可触導電部との間か,又は危険な活電巻線と鉄芯などの保護接地端子若しくは接点
に接続する可触導電部に接続することを意図した部分との間の絶縁
− 機能絶縁だけで危険な活電巻線から分離した鉄芯などの危険な活電部と保護接地端子又は接点に接続
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C 6065:2016
することを意図した保護遮蔽物又は巻線ワイヤとの間の絶縁
保護接地端子又は接点に接続することを意図した巻線部品の巻線ワイヤは,絶縁破壊が起きたときに,
その巻線が破壊する前に,ヒューズ又は遮断装置が確実に回路を開放するだけの十分な導電容量をもたな
ければならない。
適否は,検査及び測定によって判定する。
14.5 高電圧部品及び組立品
14.5.1 一般事項
注記 高電圧ケーブルについては,20.2.3参照。
4 kV(ピーク)を超える電圧で動作する部品及び過電圧防止のために設けた放電ギャップは,20.2.4で
カバーしていない限り,機器の周辺への火災の危険又はこの規格に不適合となる他のいかなる障害も引き
起こしてはならない。
適否は,JIS C 60695-11-10に規定する燃焼性分類V-1の要求事項に適合するか,又は14.5.2及び14.5.3
に規定する各試験を行うことによって判定し,不適合があってはならない。
14.5.2 高電圧変圧器及びマルチプライヤ
一つ以上の高電圧巻線をもつ変圧器又は高電圧マルチプライヤの3個の試験品について,次のa) の処
理を行った後,b) の試験を行う。
a) 前処理 変圧器に対しては,最初に10 Wの電力(直流又は主電源周波数の交流)を高電圧巻線に加
える。この電力を2分間保持し,その後2分間の間隔で10 Wずつ40 Wまで増加させる。
この前処理は,8分間持続するか,又は巻線の切断若しくは保護カバーに目に見える割れ目が発生
したらすぐに終了する。
注記1 ある種の変圧器では,この前処理ができないように設計されている。この場合,b)の試験
だけを行う。
高電圧マルチプライヤに対しては,その出力回路を短絡しておき,適切な高電圧変圧器から得た電
圧をその入力に印加する。
入力電圧は,短絡回路の初期電流が25±5 mAになるように調節する。この電流を30分間保持する
か,又は回路の切断若しくは保護カバーに目に見える割れ目が発生したらすぐに終了する。
注記2 高電圧マルチプライヤが短絡電流25 mAを得ることができないように設計されている場合
は,マルチプライヤの設計上又は特定機器でのその使用状態のいずれかで決まる最大到達
電流値に相当する前処理電流を用いる。
b) 燃焼性試験 試験品は,G.1.2に規定する燃焼性試験を行う。
14.5.3 高電圧組立品,その他の部品
燃焼性試験 試験品は,G.1.2に規定する燃焼性試験を行う。
14.6 保護デバイス
14.6.1 一般事項
保護デバイスを用いる場合,その定格値に従っていなければならない。
保護デバイス及びその接続部の外部空間距離及び沿面距離は,その装置が開放状態になったときにその
装置の両端にかかる電圧に対して,箇条13に規定する基礎絶縁の要求事項に適合しなければならない。
適否は,検査又は計算によって判定する。
14.6.2 サーマルリリース(温度過昇防止装置)
14.6.2.1 機器がこの規格に不適合となることを防止するために用いるサーマルリリースは,適用できる限
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C 6065:2016
り14.6.2.2,14.6.2.3又は14.6.2.4に規定する要求事項にそれぞれ適合しなければならない。
14.6.2.2 サーマルカットアウトは,次の要求事項のいずれか一つに適合しなければならない。
a) 部品単体として試験する場合,サーマルカットアウトは,適用できる限りIEC 60730の規格群に規定
する要求事項及び試験に適合する。
この規格の目的から,次を適用する。
− サーマルカットアウトは,タイプ2作動[IEC 60730-1の6.4.2(タイプ2作動)参照]である。
− サーマルカットアウトは,少なくともマイクロ断路(タイプ2.B)(IEC 60730-1の6.4.3.2及び6.9.2
参照)をもつ。
− サーマルカットアウトは,故障が継続した場合,接点の開放を妨げないトリップフリー機構(タイ
プ2.E)(IEC 60730-1の6.4.3.5参照)をもつ。
− 自動作動のサイクルは,次のサイクル数以上である。
・ 機器をスイッチオフしてもスイッチオフしない回路に用いる自動復帰形のサーマルカットアウト
については,3 000サイクル(IEC 60730-1の6.11.8参照)
・ 機器とともにスイッチオフする回路に用いる自動復帰形のサーマルカットアウト及び機器の外部
から手で復帰する非自動復帰形サーマルカットアウトについては,300サイクル(IEC 60730-1の
6.11.10参照)
・ 非自動復帰形で,機器の外部から手で復帰できないサーマルカットアウトについては,30サイク
ル(IEC 60730-1の6.11.11参照)
− サーマルカットアウトは,長時間(IEC 60730-1の6.14.2参照)の電気的ストレスが絶縁部にかか
るよう設計したものとして試験する。
− サーマルカットアウトは,10 000時間(IEC 60730-1の6.16.3参照)以上の意図した使用に対する
エージングの要求事項に適合する。
− 耐電圧に関しては,サーマルカットアウトは,10.4に規定する要求事項に適合する。ただし,接点
遮断間は除く。また,終端部と接点の接続リード線との間も除外するが,これらには,IEC 60730-1
の13.2の規定を適用する。
サーマルカットアウトの次の特性は,通常動作状態及び故障状態の下での機器の使用に対して適切
である。
− サーマルカットアウトの定格[IEC 60730-1の箇条5(定格)参照]
− サーマルカットアウトの次の分類
・ 電源の種類[IEC 60730-1の6.1(電源の性質による分類)参照]
・ 制御される負荷のタイプ[IEC 60730-1の6.2(制御装置の各回路によって制御される負荷の種類
による分類)参照]
・ 固体物質及びほこりの侵入に対する外郭による保護等級(IEC 60730-1の6.5.1参照)
・ 水の有害な浸入に対する外郭による保護等級(IEC 60730-1の6.5.2参照)
・ サーマルカットアウトに適する汚損の状態(IEC 60730-1の6.5.3参照)
・ 最高周囲温度の限度値[IEC 60730-1の6.7(スイッチヘッドの周囲温度限度値による分類)参照]
適否は,IEC 60730の規格群に規定する試験に従って,検査及び測定によって判定する。
b) 機器の一部として試験する場合,サーマルカットアウトは次の全てを適用する。
− 少なくともIEC 60730-1に規定するマイクロ断路をもち,かつ,IEC 60730-1の13.2に規定する耐
電圧試験電圧に耐える。
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C 6065:2016
− 機器の故障が継続した場合,接点の開放を妨げないトリップフリー機構をもつ。
− 機器を周囲温度35 ℃(熱帯気候での使用を意図した機器は,45 ℃)で通常動作させたときのサー
マルカットアウトの周囲温度で,300時間エージングする。
− 関連する故障状態を発生させて,部品単体のサーマルカットアウトの試験を規定するa) に規定す
るサイクル数の自動動作を行う。
試験は,3個の試験品で行う。
試験中に持続するアークが発生しない。
試験後サーマルカットアウトは,この規格に不適合となる損傷がない。特に外郭の劣化,空間距離
及び沿面距離の減少,並びに電気的接続又は機械的固定の緩みが起きない。
適否は,検査及び規定の試験を,記載の順序で行うことによって判定する。
14.6.2.3 温度ヒューズは,次の要求事項のいずれか一つに適合しなければならない。
a) 部品単体として試験する場合,温度ヒューズは,IEC 60691:2002又はJIS C 6691に規定する要求事項
及び試験に適合するか,又は同等以上の特性をもつ。
注記 技術基準の解釈の別表第三及び別表第十二に適合する温度ヒューズは,同等以上の特性をも
つとみなされている。
IEC 60691:2002又はJIS C 6691の規定に基づく場合,温度ヒューズの特性は,通常動作状態及び故
障状態の下で,機器の使用に対して適切である。
温度ヒューズの耐電圧は,10.4に規定する要求事項に適合しなければならない。ただし,切断部(接
点部)間は除く。また,終端部と接点の接続リード線との間も除外してもよいが,これらにはIEC
60691:2002の11.3又はJIS C 6691の10.3(耐電圧)の規定を適用する。
適否は,IEC 60691:2002又はJIS C 6691に規定する試験条件に規定する検査及び測定によって判定
する。
b) 機器の一部として試験する場合,温度ヒューズは次の全てを適用する。
− 機器を周囲温度35 ℃(熱帯気候での使用を意図した機器は45 ℃)で通常動作させたときの温度ヒ
ューズの周囲温度で,300時間エージングする。
− 温度ヒューズの動作の原因となる機器の故障状態を起こさせる。試験中,持続性があるアークが発
生せず,この規格に不適合となる損傷がない。
− 遮断した部分間の2倍の電圧に耐え,かつ,絶縁抵抗は,遮断した部分間の電圧の2倍で測定した
とき0.2 MΩ以上である。
試験は3回行い,1個も不合格がない。
各試験を行うごとに,温度ヒューズは部分的又は完全に交換する。
温度ヒューズを部分的又は完全に交換できない場合,温度ヒューズを含む完全な構成部分,例えば,
変圧器を交換するのがよい。
適否は,検査及び規定の試験を,記載の順序で行うことによって判定する。
14.6.2.4 はんだ付けによって復帰することを意図した熱遮断装置は,14.6.2.3 b) の規定に従って試験する。
ただし,動作後に遮断装置を交換せず,機器の製造業者の取扱説明書に従って復帰するか,指示がない
場合は,Sn60Pb40の標準のすず・鉛はんだではんだ付けする。
注記 はんだ付けによって復帰することを意図した遮断装置とは,例えば,外部から電力形の抵抗に
組み付けたサーマルリリースをいう。
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14.6.3 ヒューズ及びヒューズホルダ
14.6.3.1 機器がこの規格に不適合となることを防止するために,主電源に直接接続した部分にあるヒュー
ズについては,JIS C 6575の規格群に規定する要求事項に適合するか,又は同等以上の特性をもたなけれ
ばならない。
注記 技術基準の解釈の別表第三に適合するヒューズは,同等以上の特性をもつとみなされている。
表示は,14.6.3.2の規定による。
適否は,検査によって判定する。
14.6.3.2 JIS C 6575の規格群に適合するヒューズは,次の表示をヒューズホルダ又はヒューズ近傍に記載
の順序で行わなければならない。
− 相対的溶断時間−電流特性を示す記号
例えば,次による。
F:速断形を示す。
T:タイムラグ形を示す。
○A:A種を示す。
○B:B種を示す。
− 1 A未満の定格電流の場合は電流をミリアンペアで示し,1 A以上の定格電流の場合は電流をアンペア
で示す。
− 該当する場合,そのヒューズの遮断容量を示す記号
例えば,
L:低遮断容量を示す。
E:中遮断容量を示す。
H:高遮断容量を示す。
表示の例:T315L又はT315 mAL
F1.25H又はF1.25 AH
− 誤って,より低い定格電圧のヒューズを装着する可能性がある場合,ヒューズの電圧定格。
どのヒューズホルダに対する表示であるかが明らかな場合,機器内又は機器上のどこに表示があっても
よい。
表示の要求事項は,JIS C 6575の規格群に規定する範囲以外の定格電流をもつヒューズであっても適用
する。
JIS C 6575の規格群と同等以上の特性をもつヒューズが電流値,及びA種又はB種の溶断特性をもつ場
合には,それぞれ○A又○Bの記号を表示しなければならない。
注記 技術基準の解釈の別表第三に適合するヒューズは,同等以上の特性をもつとみなされている。
適否は,検査によって判定する。
14.6.3.3 ヒューズが同じ回路で並列に接続できるように設計したヒューズホルダは,用いてはならない。
適否は,検査によって判定する。
14.6.3.4 ヒューズ又は遮断装置の交換中に,危険な活電部に触れやすくなる場合,そのような箇所へ手が
接近できてはならない。
ねじ込み式又は差込み式の小形カートリッジヒューズ用のヒューズホルダであって,機器の外部から手
でヒューズホルダのキャップを取り外してヒューズを交換することができるものは,ヒューズの挿入時,
取外し時又は取外し後のいずれの時点においても,危険な活電部が接触不可能な構造でなければならない。
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IEC 60127-6に適合するヒューズホルダは,この要求事項に適合するとみなす。
ヒューズホルダのキャップがヒューズを固定する構造の場合,試験中ヒューズをキャップに取り付けて
おく。
適否は,検査によって判定する。
14.6.4 PTCサーミスタ
機器がこの規格で規定する不安全になることを防止するために用いるPTCサーミスタは,IEC 60730-1
の箇条15,箇条17,J.15及びJ.17に規定する要求事項に適合するか,又はIEC 60730-1のタイプ2.ALの
デバイスに対する要求事項に適合しなければならない。
適否は,検査及び11.2に規定する試験によって判定する。
周囲温度25 ℃において,定格ゼロ電力抵抗に対して消費電力が15 Wを超えるPTCサーミスタの場合,
充塡剤又はチューブは,JIS C 60695-11-10に規定するV-1以上の燃焼性分類に適合しなければならない。
適否は,JIS C 60695-11-10又はG.1.2の規定に基づいて判定する。
14.6.5 14.6.2,14.6.3又は14.6.4に規定のない保護デバイス
例えば,ヒューズ抵抗器,JIS C 6575の規格群で標準化されていないヒューズ又は小形のサーキットブ
レーカのような保護デバイスは,十分な遮断容量をもたなければならない。
ヒューズのように復帰できない保護デバイスについては,正しく交換ができるよう,保護デバイスの近
傍に表示を行わなければならない。
適否は,検査及び故障状態の下での試験中に判定する(11.2参照)。
故障状態の下での試験は,3回行う。
1個でも不合格が生じてはならない。
14.7 スイッチ
14.7.1 次の手動式機械スイッチは,a) 又はb) のいずれかに適合しなければならない。
− 交流(実効値)又は直流0.2 Aを超える電流を制御するもの
− 開いた状態でのスイッチ接点間の電圧が交流35 V(ピーク)又は直流24 Vを超えるもの
a) 単独の部品として試験するスイッチは,JIS C 4526-1に規定する要求事項及び試験に適合しなければ
ならない。
この場合,次の各条件を適用する。
− 動作サイクルは10 000回(JIS C 4526-1の7.1.4.4参照)
− スイッチは,通常の汚損状態での使用に適する(JIS C 4526-1の7.1.6.2参照)
− JIS C 4526-1の13.1の規定とは別に,ブラウン管テレビジョンに組み込む交流又は直流の主電源ス
イッチの場合,接点の開閉速度は,操作の速度に依存しない。
注記 この要求事項は,消磁コイルへの高い突入電流のためにある。
− 主電源スイッチは燃焼性分類V-0又はG.1.1に規定する要求事項に適合する。
スイッチの次の特性は,通常動作状態の下でのスイッチの機能に適切である。
− スイッチの定格[JIS C 4526-1の6.(定格)参照]
− スイッチの次のような分類
・ 電源の種類[JIS C 4526-1の7.1.1(電源の種類による分類)参照]
・ スイッチによって制御される負荷のタイプ[JIS C 4526-1の7.1.2(スイッチの各回路で制御する
負荷の種類による分類)参照]
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・ 周囲温度[JIS C 4526-1の7.1.3(周囲温度による分類)参照]
適否は,JIS C 4526-1に規定する試験に基づく検査及び測定によって判定する。
スイッチが,他の機器に電源を供給する主電源コンセントを制御する主電源スイッチの場合,その
測定時に14.7.5に規定するコンセントに接続される負荷の合計定格電流及びピークサージ電流を考慮
しなければならない。
b) 通常動作状態の下で稼動する機器の一部として試験するスイッチは,14.7.2,14.7.5及び20.2.5に規定
する要求事項並びに次の要求事項に適合しなければならない。
− 交流(実効値)又は直流0.2 Aを超える電流を制御するスイッチで,開放状態でのスイッチ接点間
の電圧が交流35 V(ピーク)又は直流24 Vを超えるものは,14.7.3及び14.7.4に規定する要求事項
に適合する。
− 交流(実効値)又は直流0.2 Aを超える電流を制御するスイッチで,開放状態でのスイッチ接点間
の電圧が交流35 V(ピーク)又は直流24 V以下のものは,14.7.3に規定する要求事項に適合する。
− 交流(実効値)又は直流0.2 A以下の電流を制御するスイッチで,開放状態でのスイッチ接点間の
電圧が交流35 V(ピーク)又は直流24 Vを超えるものは,14.7.4に規定する要求事項に適合する。
− 主電源スイッチは,G.1.1に規定する要求事項に適合する。
14.7.2 14.7.1 b) の規定に従って試験するスイッチは,過度のきず,その他の有害な影響がなく,意図し
た使用時に発生する電気的,熱的及び機械的ストレスに耐えなければならない。
適否は,JIS C 4526-1の13.1の規定及び次の耐久試験によって判定する。
スイッチにJIS C 4526-1の17.1.2に規定する順番で,機器の通常動作状態の電気的及び熱的条件の下で
10 000回の動作を行う。ただし,JIS C 4526-1の17.2.4[試験条件のタイプ(TC)]に規定する加速させた
速度で行う増加電圧試験は行わない。
試験は3個の試験品で行い,1個でも不合格になってはならない。
14.7.3 14.7.1 b) の規定に従って試験するスイッチは,意図した使用中に過度の温度に達しないような構
造でなければならない。用いる材料は,スイッチの動作が機器の意図した使用中の操作によって過度の影
響を受けないものでなければならない。特に接点及び終端部の材料及び設計は,酸化,その他の劣化がス
イッチの動作及び性能に悪影響を及ぼしてはならない。
適否は,通常動作状態並びにJIS C 4526-1の16.2.2のd),l) 及びm) の規定に従って,オンの位置で判
定する。主電源コンセントがある場合,14.7.5の規定に基づくピークサージ電流及び合計定格電流Iを考
慮する。
終端部の温度上昇値は,この試験中に55 Kを超えてはならない。
14.7.4 14.7.1 b) の規定に従って試験するスイッチは,十分な耐電圧をもたなければならない。
適否は,次の試験によって判定する。
スイッチは,事前の湿度処理を行わず,10.4に規定する耐電圧試験に耐えなければならない。ただし,
試験電圧は,10.4に規定する値の75 %に減じた値とし,最小値は交流500 V(実効値)(700 Vピーク)と
する。試験電圧の印加箇所は,次による。
− オンの位置で,試験電圧を危険な活電部と可触導電部又は可触導電部に接続した部分との間,更に多
極スイッチの場合は,極間に印加する。
− オフの位置で,試験電圧を各接点ギャップ間に印加する。試験中,接点ギャップに並列に接続した抵
抗,コンデンサ及びRCユニットは取り外してもよい。
14.7.5 スイッチが主電源コンセントを制御する主電源スイッチの場合,JIS C 4526-1の図10(定格10/100
82
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A 250 V〜のスイッチの試験に用いる容量負荷試験回路の数値)を考慮に入れ,JIS C 4526-1の図9a(交流
回路用容量性負荷試験及び擬似白熱電球負荷試験用回路)に示す回路で構成する追加の負荷をコンセント
に接続し,耐久試験を行う。
追加する負荷の合計定格電流は,コンセントの表示[5.3 c) 参照]に対応しなければならない。追加す
る負荷のピークサージ電流は,表14に規定する値としなければならない。
表14−ピークサージ電流
スイッチで制御される
コンセントの合計定格電流
A
ピークサージ電流
A
0.5以下
20
0.5を超え 1.0以下
50
1.0を超え 2.5以下
100
2.5を超え
150
試験後,スイッチにはこの規格に不適合となる損傷があってはならない。特に,エンクロージャの劣化,
空間距離若しくは沿面距離の減少,又は電気的接続若しくは機械的固定の緩みがあってはならない。
適否は,目視検査及び14.7.3及び/又は14.7.4に規定する試験を,記載順に実施することによって判定
する。
14.8 安全インタロック
この規格に規定する危険がある区域に手で近づける場合,その場所には,安全インタロックを設けなけ
ればならない。
要求事項及び試験の仕様については,JIS C 6950-1の2.8(安全インタロック)の規定を参照する。
14.9 電圧切換装置及び類似の装置
機器は,ある電圧から他の電圧へ,又はある種類の電源から他の種類の電源へ,設定を変更することが
不用意に起きない構造になっていなければならない。
適否は,目視検査及び手動試験によって判定する。
設定の変更に,手による一連の動きが必要な場合,この要求事項に適合すると判断する。
14.10
モータ
14.10.1
モータは,長期の意図的な使用において,この規格への適合性を損なう電気的又は機械的故障を
防止するような構造でなければならない。熱,振動などによって絶縁は影響を受けず,接点及び接続部は,
緩みがあってはならない。
適否は,通常動作状態の下で,機器に次の試験を行って判定する。
a) 機器を定格電圧の1.1倍及び定格電圧の0.9倍でそれぞれ48時間接続する。短時間又は間欠動作のモ
ータは,機器の構造によって制限している場合,動作時間に従った時間接続する。短時間動作の場合,
適切な冷却期間を置く。
注記1 この試験は,7.1に規定する試験の直後に行うのがよい。
b) 機器を定格電圧の1.1倍に接続している間,及び定格電圧の0.9倍に接続している間にそれぞれモータ
を50回起動させる。それぞれの接続時間は,起動からフルスピードになるまでの時間の10倍以上,
ただし,10秒間以上とする。
起動間の間隔は,接続時間の3倍以上とする。
複数の速度をもつ機器は,試験は最も厳しい速度で行う。
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これらの試験の後,モータは,10.4に規定する耐電圧に耐え,接続の緩みがなく,安全性を損なう劣化
があってはならない。
注記2 ステータ(固定子)だけに電力を供給する誘導モータについては,14.4.3も参照する。
14.10.2
モータは,配線,巻線,整流子,スリップリング,絶縁などが,オイル,グリース若しくは意図
した使用中にさらされる他の物質によって悪影響を受けない構造とするか,又はそのように取り付けなけ
ればならない。
適否は,目視検査によって判定する。
14.10.3
人のけがの原因となるような可動部は,意図した使用中,この危険に対し十分な保護を備えるよ
うに配置するか,又は囲っていなければならない。保護エンクロージャ,ガード及び類似のものは,十分
な機械的強度をもたなければならない。それらは手で外せてはならない。
適否は,目視検査及び手による試験によって判定する。
14.10.4
進相コンデンサをもつモータ,三相モータ及び直巻モータには,JIS C 6950-1のB.8(コンデン
サをもつモータに対する試験),B.9(三相モータに対する試験)及びB.10(直巻モータに対する試験)に
規定する試験を適用する。
14.11
電池
14.11.1
一般事項
アルカリ又は他の酸以外の電解液を用いる手で持ち運ぶことができる密閉型小型二次電池[コイン(ボ
タン)電池]を除く。)は,IEC 62133又はJIS C 8712に適合しなければならない。
電池は,可燃性ガスの滞留の危険がないように,かつ,電解液の漏出によって絶縁を損なうことがない
ように取り付けなければならない。
適否は,目視検査によって判定する。
14.11.2
使用者が交換できる充電可能な電池
使用者が,機器内で充電できる充電可能な電池を,充電できない電池に交換できる場合,充電可能な特
殊電池パックの充電端子を別にするか,又は電子的保護回路などの特別の手段を講じて充電できない電池
に電流が流れないようにしなければならない。
この要求事項は,使用者による交換を意図していない,例えば,メモリ用の電池のような,機器の内部
の電池には適用しない。
適否は,目視検査によって判定する。
注記 取扱説明書に関する追加要求事項は,5.5.2に規定がある。
14.11.3
電池の使用
通常動作及び故障状態の下で,次の値は,電池製造業者が示した許容値を超えてはならない。
− 充電電池の場合,充電電流
− リチウム電池の場合,放電電流及び逆電流
適否は,測定によって判定する。
リチウム電池は,放電電流を測定するときは回路から取り外して電圧源に置き換え,逆電流を測定する
ときは回路から取り外して短絡回路に置き換える。
14.11.4
電池の成形応力リリーフ
電解液の封入を熱可塑性樹脂材に依存するが,IEC 62133又はJIS C 8712の適用範囲ではない特殊電池
は,電解液が絶縁物に触れるか,又は使用者サービス区画に浸入する場合,成形工程によって発生する応
力によって電解液が漏れてはならない。
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適否は,次の試験によって判定する。
電池を,温度70 ℃に保持した空気循環式の恒温槽に7時間入れる。この恒温槽処理の後,電池から電
解液が漏れていないかを調べる。
14.11.5
電池の落下試験
使用者サービスの対象だが,IEC 62133又はJIS C 8712の適用範囲ではない特殊電池は,落とすことに
よって電解液が漏れ出てはならない。
適否は,次の試験によって判定する。
3個のサンプルをそれぞれ15.4.3に規定する硬板の表面に1 mの高さから1回落とす。この落下試験の
後,電池から電解液が漏れていないかを調べる。
14.12
オプトカプラ
オプトカプラは,箇条8の要求事項に適合しなければならない。
オプトカプラの外部の空間距離及び沿面距離は,箇条13に規定する要求事項に適合しなければならない。
内部を完全に満たす絶縁物の充塡材で構成するオプトカプラの場合,内部の空間距離及び沿面距離は要
求しない。
他の全てのオプトカプラの場合,内部の空間距離及び沿面距離は,箇条13に規定する要求事項に適合し
なければならない。
オプトカプラが次のいずれかを満足する場合,オプトカプラ内部を完全に満たす絶縁物の充塡材で構成
する付加絶縁又は強化絶縁の絶縁厚は,要求しない。
a) 次に合格する。
− 13.6に規定する形式試験及び目視検査基準
− 10.4.2に規定する試験電圧値で,附属書JAに規定する製造時における耐電圧試験(1秒間適用)
b) IEC 60747-5-5に規定する要求事項に適合する。ただし,IEC 60747-5-5の5.2.7に規定する次の試験電
圧は,この規格の10.4.2に規定する試験電圧値以上とする。
− 形式試験の電圧Vini, a
− 1秒間のルーチン試験の電圧Vini, b
c) 13.8の規定に適合する。
14.13
サージ抑制バリスタ
主電源の過電圧が機器に入るのを防ぐために用いるサージ抑制バリスタは,IEC 61051-2に規定する要
求事項に適合しなければならない。
このような部品は,主電源に接続した部分と可触導電部又はそこに接続した部分との間に,直接接続し
てはならない。ただし,恒久接続機器の接地した部分は除く。
注記 直接接続しない例としては,外部の空間距離及び沿面距離の要求事項に適合するガス放電管を
直列に接続する方法がある。
IEC 61051-2を引用する場合には,次の要求事項を適用する。
− 好ましい気候区分(IEC 61051-2の2.1.1参照)
・ 最高下限温度:−10 ℃
・ 最低上限温度:+85 ℃
・ 気候試験の最短期間:21日間
− 最大連続電圧(IEC 61051-2の2.1.2参照) 最大連続交流電圧の最小値は,機器の定格電圧の1.2倍と
する。
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− 電流パルス定格(IEC 61051-2の2.1.2参照) サージ抑制バリスタは,1.2/50 μsの電圧波形及び8/20 μs
の電流波形の,6 kV/3 kAの組合せパルスに耐えなければならない。
代替方法として,公称主電源電圧及び過電圧カテゴリにおける,IEC 61051-2の2.3.6(組合せパル
ス),表Iのグループ1及び附属書A(組合せパルス試験)の組合せパルス試験を認める。
適否は,IEC 61051-2に規定する表Iのグループ1の試験を行って判定する。試験後,バリスタ電圧
(IEC 61051-1で定義)は,製造業者の指定した電流で測定したとき,10 %を超える変化があっては
ならない。
− 火災の危険(IEC 61051-2の表Iのグループ6参照) サージ抑制バリスタのコーティングは,JIS C
60695-11-10に規定する燃焼性分類V-0以上でなければならない。
適否は,JIS C 60695-11-10又はG.1.1の規定によって判定する。
− 熱ストレス 公称主電源電圧が150 V未満の機器の場合,機器及び試験抵抗器を直列につなぎ,交流
250 Vの電源に接続する。
各試験の直列抵抗値を2 000 Ω,500 Ω,250 Ω及び50 Ωとし,電源は4時間又はバリスタを通る回
路がオープンするまで供給する。前の試験での損傷が修復できない場合,抵抗値ごとに別の機器を用
いる。
各試験の終了後,機器は箇条11に規定する要求事項に適合しなければならない。
15 端子
15.1 プラグ及びソケット
15.1.1 機器を主電源に接続するための主電源プラグ及び機器用カプラ,並びに主電源電力を他の機器に供
給するために設けたコンセント及び相互接続用カプラは,次による。
a) 主電源プラグ及びコンセントは,関連するJISに規定する要求事項に適合するか,又は同等以上の性
能をもたなければならない。
b) 機器用カプラ及び相互接続用カプラは,関連するJISに規定する要求事項に適合しなければならない。
次の該当基準及び規格に適合するものは,この要求事項に適合するとみなす。
− 主電源プラグ・コンセント: JIS C 8282の規格群
− 機器用コネクタ: JIS C 8283-1又はJIS C 8283-2-3
− 機器用インレット:JIS C 8283-1又はJIS C 8283-2-3
− 相互接続カプラ用の機器用アウトレット:JIS C 8283-2-2
− 相互接続カプラ用のプラグコネクタ:JIS C 8283-2-2
− 電源コードセット及び相互接続コードセット:JIS C 8286
定格電流が16 Aを超える機器用コネクタ(JIS C 8283-1に規定する20 A,125 V定格のカプラを除く。),
又は相互接続カプラを用いる場合,JIS C 8285に規定する要求事項に適合するか,又は同等以上の性能を
もたなければならない。この場合,JIS C 8285以外の関連するJISに規定する全てのスタンダードシート
の接続部にかん合できない形状でなければならない。
機器の定格電圧が125 V以下の場合に限り,JIS C 8283-1に適合するC14及びC18タイプの機器用イン
レットは4.2に規定される通常動作状態の下でも,機器用インレットの温度がJIS C 8283-1に規定する制
限値を超えない場合,15 Aまで用いてもよい。
注記1 (対応国際規格の“オーストラリア,デンマーク,イスラエル,日本,ニュージーランド,
南アフリカ,スイス及び英国には主電源プラグ及びコンセントに関して特別の条件がある。”
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の注記を削除した。)
注記2 (対応国際規格の“南アフリカにおいては,主電源に接続するために主電源コードセットを
用いており,主電源プラグが国の規格に適合する場合,再配線できる主電源プラグを用いて
もよい。”の注記を削除した。)
注記3 技術基準の解釈の別表第四に適合する電源プラグ又はコンセントは,同等以上の性能をもつ
とみなされている。
クラスII機器に付ける主電源コンセント及び相互接続用カプラは,クラスII機器だけが接続できるよう
になっていなければならない。クラス0I機器には,主電源コンセント及び相互接続用カプラを設けてはな
らない。
クラスI機器に付ける主電源コンセント及び相互接続用カプラは,他のクラスII機器だけが接続できる
ようになっているか,又はその機器の保護接地端子若しくは接点に確実に接続した保護接地極を備えてい
なければならない。
クラスI機器に付けるコンセント及び相互接続用カプラは,同一機器にクラスI機器用のもの及び/又
はクラスII機器用のものを設けていてもよい。
注記4 クラスII機器だけに接続できるコンセントは,例えば,IEC 60906-1のスタンダードシート
3-1若しくは3-2に準じて,又はJIS C 8283-2-2のスタンダードシートD若しくはHに基づ
いて設計することができる。
主電源電力を他の機器に供給するために設けたコンセントをもつ機器は,機器を主電源に接続するため
の主電源プラグ又は機器用コネクタの定格電流が16 A未満の場合,主電源プラグ又は機器用インレットが
過負荷にならないような手段を設けなければならない。
注記5 コンセントの表示は,5.3 c)を参照する。
主電源電力を直接,又は主電源スイッチを介して他の機器に供給するために設けたコンセントの内部配
線の導体は,外部可とうコードについて規定する16.2の規定に従った公称断面積をもっていなければなら
ない。ただし,4.3.10に規定する条件を適用したときに箇条11に規定する要求事項に適合する機器は除く。
適否は,関連する規格に基づく目視検査及び16.2の規定に基づく検査によって判定する。
15.1.2 主電源電力接続用以外のコネクタは,プラグ又はソケットと主電源コンセント,機器用カプラ又は
主電源コネクタとの接続が不用意に起こらないような形状に設計しなければならない。
主電源コンセントにコネクタを挿入中,又は挿入後,可触導電部が危険な活電部にならない限り,この
要求事項は主電源に導電的に接続しない非着脱式コードの一部を形成するコネクタには適用しない。
注記 この要求事項に適合するコネクタの例は,IEC 60130-2,IEC 60130-9,IEC 60169-2又はIEC
60169-3の規定に基づく構造のものを,規定するように用いる場合である。いわゆる“バナナ
プラグ”は,この要求事項に不適合とは判断しない。
5.3 b) の記号の付いた負荷変換器のオーディオ及びビデオ回路用ソケットは,5.3 b) に示す記号の付い
ていない負荷変換器及びソース変換器のオーディオ及びビデオ回路用,データ及び類似の回路用,並びに
アンテナ及び接地用のプラグが,挿入できないように設計しなければならない。
適否は,目視検査によって判定する。
15.1.3 電源装置の出力回路に用いる端子及びコネクタは,その出力電圧が標準公称主電源電圧でない場
合,家庭及び類似の一般用途に対するそれらの規定,例えば,JIS C 8282の規格群,JIS C 8283の規格群,
JIS C 8303及びIEC 60906の規格群に規定するものと互換性があってはならない。
適否は,目視検査及び手による試験によって判定する。
87
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端子又はコネクタは,通常動作状態及び意図した使用中に現れる負荷条件に合わせて設計しなければな
らない。
適否は,安全性,例えば,感電及び過熱に関する限り,JIS C 8283の規格群の規定に基づいて判定する。
15.2 保護接地のための規定
基礎絶縁の単一絶縁不良が起きたとき,危険な電圧になる可能性のあるクラスI機器及びクラス0I機器
の可触導電部,及びクラスI機器のコンセントの保護接地接点は,機器の保護接地端子に確実に接続して
いなければならない。
はんだ付けを,保護導体の機械的な固定を施す単一の手段として用いてはならない。
保護導体の終端は,導体自体へのサービスを除き,サービス中に緩められることがないようになってい
ければならない。保護接地導体の終端は,他の部品を固定する手段として用いてはならない。
接地用口出し線付き主電源プラグの接地用口出し線は,クリップによって接地してはならない。
接地用口出し線付き主電源プラグの定格電圧は,交流150 V未満でなければならない。
保護接地回路には,スイッチ又はヒューズが含まれていてはならない。
保護接地導体は,裸でも絶縁していてもよい。絶縁する場合,次の二つの場合を除き,その絶縁部は,
緑及び黄でなければならない。
a) 接地用編組線に対しては,絶縁は緑及び黄,又は透明でなければならない。
b) リボンケーブル,母線,フレキシブルプリント配線板などのような,組立品の内部保護導体に対して
は,導体の使用の誤解がおきないようになっている場合はどのような色でもよい。
緑及び黄の組合せ色で識別した電線は,保護接地接続だけに用いなければならない。
恒久接続機器及び着脱できない主電源可とうコード又はケーブルを備えた機器は,主電源端子の近くの
独立した保護接地端子を用い,保護接地端子は15.3に規定する要求事項に適合しなければならない。
手で外せる部分に保護接地接続がある場合,その部分を取り付けるとき,接地接続は,電流路を接続す
る前に達成できなければならず,その部分を外すときには,保護接地を遮断する前に電流路の接続が離れ
なければならない。
保護接地接続部に接触する導電部は,電気化学的作用によって著しい腐食が起きてはならない。附属書
Fに規定する線よりも上の組合せは,避けなければならない。
保護接地端子は,著しい腐食に対する耐性がなければならない。
注記1 耐腐食性は,適切なめっき又はコーティングによって達成できる。
適否は,目視検査及び附属書Fに規定する電気化学的電位表によって判定する。
保護接地端子又は接点とこれに接続することを要求する部分との間の接続抵抗は,0.1 Ωを超えてはなら
ない。
適否は,次の試験によって判定する。
試験は,交流又は直流25 Aの試験電流で1分間行う。試験電圧は,12 V以下とする。
注記2 (対応国際規格の“カナダでは30 Aの試験電流が用いられている。”の注記を削除した。)
保護接地端子又は接点と,これに接続することを要求する部分との間の電圧降下を測定し,抵抗値を電
流及びこの電圧降下から算出する。主電源コードの保護接地導体の抵抗値は,抵抗値測定時に含めない。
15.3 外部可とうコード用及び主電源への恒久接続用端子
15.3.1 恒久接続機器は,ねじ,ナット又は同等の効果があるデバイスによって接続する端子を備えていな
ければならない。同等の効果があるデバイスの例として,JIS C 2814-2-2に規定するねじなし形締付ユニ
ット,又はIEC 60999-1及びIEC 60999-2に規定する端子がある。
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適否は,目視検査によって判定する。
インレットの開口部については,JIS C 9335-1の規定を参照する。
15.3.2 非着脱式の主電源コードをもつ機器の場合,個々の導体と機器の内部配線との接続は,信頼できる
電気的機械的方法で達成しなければならない。ただし,非着脱式の主電源コード又はケーブルの電源導体
及び保護接地導体は,プリント配線板の導体に直接はんだ付けをしてはならない。
外部導体の接続には,はんだ付け,圧着又は同等の接続方法を用いてもよい。ただし,はんだ付け又は
圧着接続の場合,導体がはんだ付け点から外れるか,又は圧着したコネクタから滑り出ても,空間距離及
び沿面距離が箇条13及び附属書Jに規定する値未満に減少することがないようにバリアを設けなければ
ならない。導体を正しい位置に保持するために,接続法だけに依存しないような方法で接続部の位置を保
つか,又は固定してもよい。
適否は,目視検査,及び疑義がある場合,接続部に5 Nの引張力をあらゆる方向に加えることによって,
判定する。
15.3.3 外部主電源供給導体を締め付けるねじ及びナットは,JIS B 0205-2又はJIS B 0205-3に規定する要
求事項に適合したねじ山,又はピッチ及び機械的強度で互換性があるねじ山をもっていなければならない。
これらは,他の部品を一緒に固定するために用いてはならない。ただし,主電源供給導体を取り付けると
き,内部導体が動かないように配置する場合は内部配線を締め付けてもよい。
機器に組み込み,機器への主電源電力の供給端子として用いる部品(例えば,スイッチ)の終端は,15.3.1
に規定する要求事項に適合しなければならない。
適否は,目視検査によって判定する。
15.3.4 主電源コードに対する要求事項を適用する場合は,次による。
− 2個の独立した固定は同時に緩まないと仮定する。
− はんだ付けで接続した導体は,はんだ付けとは別に終端部の近くで固定しない場合は十分な固定とは
みなさない。ただし,はんだ付けの前に“引っかけておくこと(hooking-in)”は,導体を通す穴が過
剰に大きくない場合,一般的に主電源コードの導体を正しい位置に固定する適切な手段とみなす。
− 他の手段で端子又は終端部に接続した導体は,終端部又は端子の近くに追加の固定手段がない場合,
十分な固定とはみなさない。この追加の固定は,絶縁部と導体との両方を締め付けてもよい。
15.3.5 外部可とうコード用の端子は,表15に規定する公称断面積の導体が接続できるものでなければな
らない。
16 Aを超える定格電流の場合,JIS C 6950-1の表3D(端子に接続できる導体寸法の範囲)の規定を適用
する。
適否は,目視検査,測定及び表15に規定する適切な範囲の最小及び最大の断面積のコードを装着するこ
とによって判定する。
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表15−許容する端子の公称断面積
機器の定格消費電流a)
A
公称断面積
mm2
6以下
0.75 〜1
6を超え 10以下
1
〜1.5
10を超え 16以下
1.5 〜2.5
注a) 定格消費電流には,他の機器に主電源電力を供給するための
コンセントから取り出せる電流を含む。
15.3.6 15.3.3の規定に従った端子は,表16に規定する最小寸法をもたなければならない。
スタッド端子は,座金を備えなければならない。
16 Aを超える定格電流の場合,JIS C 6950-1の表3E(主電源供給導体及び保護接地導体用の端子の寸法)
を参照する。
適否は,測定及び目視検査によって判定する。
表16−最小公称ねじ山の直径
機器の定格消費電流a)
A
最小公称ねじ山直径
mm
ピラー形又はスタッド形
ねじ式
10以下
3
3.5
10を超え 16以下
3.5
4
注a) 定格消費電流には,他の機器に主電源電力を供給するための
コンセントから取り出せる電流を含む。
15.3.7 端子は,金属表面の間で,十分な接触圧で導体を損傷することなく導体を締め付けるように設計し
なければならない。
端子は,固定用のねじ又はナットを締めたとき,導体が滑り出てこないように設計するか,又はそのよ
うな位置に取り付けなければならない。
端子は,導体を締め付ける手段を締めたり緩めたりしたとき,次のように固定していなければならない。
− 端子自体が緩むことがない。
− 内部配線に過度のストレスがかからない。
− 空間距離及び沿面距離が,箇条13及び附属書Jに規定する値未満にならない。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
15.3.8 通常動作状態の下で0.2 Aを超える電流が流れる回路にある端子は,接触圧がセラミック以外の絶
縁物を介して伝達しないように設計しなければならない。ただし,絶縁材料に生じる可能性があるあらゆ
る縮みを十分に補償する弾性が金属部にある場合,この限りではない。
適否は,目視検査によって判定する。
15.3.9 非着脱式の主電源コードの場合,各端子はそれぞれ対応する異極の端子の近くになければならな
い。さらに,保護接地端子がある場合,その近くになければならない。
適否は,目視検査によって判定する。
端子は,導体を取り付けるとき導体の素線が端子から外れても,素線と次の部分との間で偶発的な接触
が起きないように配置するか,保護するか又は絶縁しなければならない。
− 可触金属部又はそこに接続した導電部
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− 保護接地端子に接続していない導電部分及び付加絶縁だけで可触導電部から分離した導電部
適否は,目視検査及び素線が飛び出るのを防止するような特別なコードを用意していない場合,次の試
験によって判定する。
適切な公称断面積をもつ可とう導体の端から8 mmの長さの絶縁物を取り除く。1本の素線を外したま
ま,残りの線を端子に差し込み,締め付ける。
これ以上絶縁物を引き裂くことなく,バリアの周囲で鋭角に曲げないようにして,自由に動かせる素線
を可能なあらゆる方向に曲げる。
導体が危険な活電部の場合,自由に動かせる素線は,可触部又は可触導体に接続したあらゆる導電部に
接触してはならず,二重絶縁の機器の場合,可触導電部から付加絶縁だけで分離したあらゆる導電部に接
触してはならない。
接地端子に接続する導体の場合,自由に動かせる素線は,あらゆる危険な活電部に触れてはならない。
15.4 主電源プラグの一部を形成するデバイス(ダイレクトプラグイン機器)
15.4.1 固定コンセントに差し込むように意図したピン(又は刃)をもつデバイスは,コンセントに過度の
負荷をかけてはならない。
適否は,意図した使用状態で図11に示す試験装置のコンセントにデバイスを取り付けて判定する。試験
装置の平衡アームは,コンセントの取付面から8 mm奥まったところにあるコンセントの接触管(又は刃
受け)の中心線を通る水平軸を支点として回るようになっている。デバイスを取り付けないときに平衡ア
ームは,コンセントの取付面が垂直になるようにつり合っている。
デバイスを取り付けた後,平衡アームのおもりの位置を変えて取付面が垂直を保つようにしてコンセン
トに加わるトルクを求める。このトルクは,0.25 Nmを超えてはならない。
注記1 この試験は,JIS C 8282-1に規定する試験法と同等である。
注記2 図11に示す試験装置は,主電源プラグの一部を形成するデバイスを試験することを意図す
る。主電源プラグの例は,JIS C 8303参照。その他の寸法の主電源プラグの一部を形成する
デバイスに対しては,他の試験装置及び要求事項が必要になることもある。
15.4.2 デバイスの主電源プラグ部は,主電源プラグの寸法に対する規格に適合しなければならない。デバ
イスの全体の形は,それが標準主電源プラグと間違えないものでなければならない。
適否は,関連の規格に基づいて測定することによって判定する。
注記 ある種の主電源プラグの寸法は,JIS C 8303に規定がある。特殊な主電源プラグに対しては,
関連規格の最新版に注意する。
15.4.3 デバイスは,十分な機械的強度をもたなければならない。
適否は,目視検査及び次の試験によって判定する。
a) デバイスに落下試験を行う。
完成品の試験品を1台最も不利な位置になるようにして,1 mの高さから水平面に落とすことによ
る衝撃を3回加える。
水平面は,厚さ19〜20 mmの二層の合板の上に厚さ13 mm以上の堅木を置いたもので構成し,全
体をコンクリート又は同等の弾力性がない床に置く。
試験の後,試験品はこの規格の要求事項に適合しなければならない。ただし,動作可能である必要
はない。
感電の危険に対する影響がない場合,小さな破片が剝げ落ちてもよい。
ピン(又は刃)のゆがみ,装飾部の損傷,並びに空間距離及び沿面距離が箇条13に規定する値未満
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にならないような小さなへこみは,無視する。
b) ピン(又は刃)に最初にある方向に1分間,その後反対方向に1分間,0.4 Nmのトルクをかけたとき,
ピンは回転してはならない。
注記 ピン(又は刃)が回転してもこの規格に不適合とならない場合,この試験は行わない。
c) ピン(又は刃)の縦軸方向に1ピンずつ順に1分間,表17に規定する引張力を加える。ただし,急激
に加えない。
機器を70±2 ℃の温度の恒温槽に1時間放置した後,恒温槽の中で引張力を加える。
試験後,機器を室温まで冷やす。機器の中で,ピン(又は刃)は1 mmを超える変位が起きていて
はならない。
表17−ピン(又は刃)に加える引張力
同等の主電源プラグタイプの定格
極数
引張力
N
130/250 V
10 A以下
2
40
3
50
130/250 V
10 Aを超え 16 A以下a)
2
50
3
54
440 V
10 Aを超え 16 A以下
3
54
4以上
70
注a) 我が国の平行刃の場合,この欄に規定する値を適用する。
この試験では,保護接地接点はその数に関係なく1極とみなす。
b) 及びc) の試験は,新しいサンプルで別々に行う。
16 外部可とうコード
16.1 主電源可とうコードは,次のいずれかに適合するシース付きのものでなければならない。
− 合成ゴムコードの場合は,JIS C 3663の規格群
− PVC製の場合は,JIS C 3662の規格群
上記のコードと同等以上の電気機械的特性及び火災に対する安全特性をもつ可とうコードを,用いても
よい。
注記1 技術基準の解釈の別表第一に適合するシース付き電源コードは,同等以上の電気機械的特性
及び火災に対する安全特性をもつとみなされている。
注記2 (対応国際規格の“国家又は地域の規格が存在する場合,そのコードは上記のパラグラフに
適合しており,用いることができる。”の注記を削除した。)
適否は,主電源可とうコードをJIS C 3662の規格群若しくはJIS C 3663の規格群に規定した試験,又は
同等以上の試験を行い,判定する。
注記3 (対応国際規格の“オーストラリア及びニュージーランドは外部可とうコードについて特別
の国の条件がある。”の注記を削除した。)
クラスI機器の非着脱式可とうケーブル及びコードは,緑及び黄の芯線を備え,機器の保護接地端子に
接続しなければならない。主電源プラグ付きの場合,主電源プラグの保護接地接点にも接続しなければな
らない。
クラス0I機器の主電源プラグの先に付ける接地用口出し線は,緑及び黄の線とし,長さは10 cm以上な
92
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ければならない。
適否は,目視検査によって判定する。
16.2 電源供給コードの導体は,JIS C 3662の規格群又はJIS C 3663の規格群に規定する要求事項に適合
する場合,表18に規定する値以上の公称断面積をもたなければならない。その他の基準に適合する電源
供給コードの場合,その導体は,関連する配線規定に適合しなければならない。
注記 技術基準の解釈の別表第一に適合するシース付き電源コードにあっては,技術基準の解釈の別
表第四の1(共通の事項)の(3)(部品及び附属品)イ(ハ)に規定する要求事項に適合する
場合,この細分箇条の要求事項に適合するとみなされている。
表18−外部可とうコードの公称断面積
機器の定格消費電流a)
A
公称断面積
mm2
6以下
0.75
6を超え 10以下
1
10を超え 16以下
1.5
注a) 定格消費電流には,他の機器に主電源電力を供給す
るためのコンセントから取り出せる電流を含む。
より大きな電流に対しては,JIS C 6950-1の表3B(導体の寸法)を参照する。
適否は,測定によって判定する。
注記 (対応国際規格の“アメリカ及びカナダでは,最小断面積0.81 mm2を要求する。”の注記を削
除した。)
16.3 16.1の要求事項を満足しない可とうコードであって,ある機器と組み合わせて用いる機器の相互接
続に用い,危険な活電導体を含むものは,次のa) 及びb) に適合しなければならない。
a) 十分な耐電圧をもつ。
適否は,長さ約1 mの試験品を用い,対象とする絶縁等級に応じて10.4.2に規定する試験電圧によ
る耐電圧試験を次のように行って判定する。
− 導体の絶縁 個々の導体絶縁に対して試験する。
− 付加絶縁(例えば,一群の導体の回りのスリーブ) スリーブに差し込んだ導体と長さ100 mm以上
にわたってスリーブにしっかり巻き付けた金属はくとの間で試験する。
注記 絶縁特性が16.1に規定するコードタイプの絶縁特性に適合する電源供給コードを機器の内部
で用いる場合,外部電源供給コードの延長であっても,又は別のケーブルであっても,シー
スは適切な付加絶縁と判断する。
b) 意図した使用中に起きる曲げ及び他の機械的ストレスに耐える。
適否は,表19を適用することを除き,JIS C 3662-2の3.1(可とう性試験)に規定する試験によっ
て判定する。
表19−可とう性試験に対するおもりの質量及びプーリの直径
可とうケーブル又はコードの直径
mm
おもりの質量
kg
プーリの直径
mm
6以下
1.0
60
6を超え 12以下
1.5
120
12を超え 20以下
2.0
180
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キャリヤは,15 000回往復させる(30 000回動作)。
導体間の電圧Uは,10.4に規定する試験電圧とする。
試験中及び試験後において,試験品は,10.4に規定する耐電圧試験に耐えなければならない。
16.4 ある機器と組み合わせて用いる機器相互間の接続に用いる可とうコードの導体は,通常動作状態及
び故障状態の下で,絶縁部の温度上昇が無視できるような断面積をもたなければならない。
適否は,目視検査によって判定する。疑義がある場合,絶縁部の温度上昇は,通常動作及び故障状態の
下で決定する。この温度上昇値は,表3に規定する該当する欄の値を超えてはならない。
16.5 一つ以上の危険な活電導体を含む外部可とうコードを機器に用いる場合,導体の接続部に張力が加
わらないように,外被を摩耗から保護し,かつ,導体がねじれないようにコードを接続できなければなら
ない。
さらに,開口部から機器内部にコードを押し込むことによって,この規格に不適合となる場合,外部コ
ードを機器内に押し込むことができてはならない。
張力に対する保護及びねじれに対する保護の方法は,はっきり分かるようになっていなければならない。
コードに結び目を付けたり糸でしばるような,間に合わせの方法を用いてはならない。
コードの絶縁が破壊したとき可触金属部が危険な活電部になる場合,張力及びねじれ保護デバイスは,
絶縁材料でできているか,又は天然ゴム以外の絶縁物の固定カバーがなければならない。
クラスI機器又はクラス0I機器は,主電源可とうコード用端子の配置又は張力及びねじれ保護デバイス
と端子との間の導体の長さを工夫して,コードが張力及びねじれ保護デバイスから外れても,危険な活電
導体が保護接地端子に接続した導体よりも先にぴんと張るようになっていなければならない。
適否は,目視検査及び次の試験によって判定する。
機器に付けるコードと同じ形のもので試験をする。
張力及びねじれ保護デバイスを適切に用いて,可とうコードを機器に取り付ける。導体を端子に取り付
け,端子ねじがある場合は導体の位置が容易に変わらないように少し締め付ける。
この準備の後,機器内部へのコード押込みができてはならず,かつ,これによってこの規格に不適合と
なってはならない。
張力を加えた状態で,機器への入り口付近でコードに印を付け,可とうコードに40 Nの力で各1秒間,
100回の引張力を加える。引張力は,急激に加えない。
直後にコードに,0.25 Nmのトルクを1分間加える。
試験中に,張力を加えた状態で測定して2 mmを超える変位があってはならない。導体の端部は,端子
部ではっきり分かる変位があってはならない。張力及びねじれ保護デバイスによって,可とうコードに損
傷が生じてはならない。
16.6 16.5に規定する外部可とうコード用の開口部は,コードの挿入時及びその後の移動中に,コードに
損傷を与えることがない構造でなければならない。
注記 これは,例えば,開口部の端部を丸くすることによって,又は絶縁材料製の適切なブッシング
を用いることによって可能となる。
適否は,目視検査及び可とうコードを取り付けることによって判定する。
16.7 移動形機器は,着脱式のコードセットで主電源に接続するためにJIS C 8283-1に規定する機器用イ
ンレットを備えるか,又は主電源コードを用いていないときに主電源コードを保護するために保管する手
段,例えば,収納部,フック又は巻取り部を備えなければならない。
適否は,目視検査によって判定する。
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17 電気的接続及び機械的固定
17.1 機器の寿命中に数回緩めたり締め付けたりする,電気接点及びねじ固定を備えたねじ端子は,十分
な強度をもたなければならない。
接触圧を利用するねじ,及び上記のねじ固定の一部を形成する公称直径3 mm未満のねじは,金属製ナ
ット又は金属製のねじ込み部にねじ込むものでなければならない。
直径3 mm未満のねじであっても,接触圧を利用しないねじは,表20に規定する直径3 mmのねじのト
ルクに耐える場合,金属にねじ込む必要はない。
機器の寿命中に,数回緩めたり締め付けたりするねじ固定には,端子ねじ,カバーを固定するねじ(機
器を開くのに緩めなければならない場合),及びハンドル,つまみ,脚,スタンドなどの固定用のねじを含
む。
適否は,次の試験によって判定する。
ねじは,表20に規定するトルクで,次の回数だけ緩めたり締め付けたりする。
− 金属にねじ込んで用いるねじの場合は5回
− 木,木質材料又は絶縁材料にねじ込んで用いるねじの場合は10回
後者の場合,ねじは,各回とも完全に外し,再度ねじ込む。
ねじは,急激に締め付けない。
試験後,この規格に不適合となる劣化があってはならない。
ねじを挿入した材料は,目視検査によって調べる。
表20−ねじに適用するトルク
公称ねじ径
mm
トルクNm
I
II
III
2.8以下
0.2
0.4
0.4
2.8を超え3.0以下
0.25
0.5
0.5
3.0を超え3.2以下
0.3
0.6
0.6
3.2を超え3.6以下
0.4
0.8
0.6
3.6を超え4.1以下
0.7
1.2
0.6
4.1を超え4.7以下
0.8
1.8
0.9
4.7を超え5.3以下
0.8
2.0
1.0
5.3を超え6.0以下
−
2.5
1.25
試験は,適切な試験用ドライバ,スパナ又はキーを用いて,表20に規定する該当する欄に示すトルクを
加えて行う。
対応する適切なトルクの欄は,次のねじ分類による。
− ねじを締めたとき穴から突き出ない頭なし金属ねじ
I
− その他の金属ねじ及びナット
II
− 絶縁材料製のねじで次のいずれかのもの
II
・ 六角頭のねじで,頭部の平面部の径がねじの直径を超えるもの
・ 円筒形の頭及びキーの差込み穴をもち,平たん部の寸法がねじ径の0.83倍以上の差込み穴のもの
・ ねじ径の1.5倍を超える長さの刻み目又は十字の刻み目をもつ頭のもの
− その他の絶縁材料製のねじ
III
17.2 機器の寿命中に,非金属材料製のめねじに数回緩めたり締め付けたりするねじで,この規格に規定
95
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する安全性に関係するものは,そのめねじに正しく取り付ける手段をもたなければならない。
適否は,目視検査及び手による試験によって判定する。
ナット又はねじガイドのように,へこみによって固定する箇所にねじを案内することによって,斜めに
ねじが入らないようになっている場合,この要求事項に適合するとみなす。
17.3 カバー,脚,スタンドなどを固定するためのねじ又は他の固定デバイスは,固定ねじ又は固定デバ
イスを交換することによって可触導電部又はそこに接続した部分と危険な活電部との間の空間距離及び沿
面距離が,箇条13に規定する値未満になる場合,それらのサービス中に交換できないように,外れないタ
イプのものでなければならない。
表20に規定するトルクを用いて同じ公称直径,ピッチ及び形状で,公称直径の10倍の長さをもつねじ
と交換したときに,空間距離及び沿面距離が箇条13に規定する値以上の場合は,外れないタイプのもので
なくてもよい。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
17.4 相互に永久的に固定して,通常動作状態の下で接続部に0.2 Aを超える電流が流れる導電部は,緩ま
ないような方法で固定しなければならない。
適否は,目視検査及び手による試験によって判定する。
注記1 コンパウンドなどによる封止は,ねじれの加わらないねじ接続に対してだけ有効である。
注記2 2個以上のねじ又はリベットによって固定する場合,その中の1個だけ固定すればよい。
注記3 リベットの場合,非円形の軸にするか,又は適切な刻み目を設けたものは,回転に対する十
分な保護と判断する。
17.5 通常動作状態の下で0.2 Aを超える電流が流れる電気接続部は,接触圧がセラミック以外の絶縁材料
を介して伝達しないように設計しなければならない。ただし,絶縁材料に生じる可能性のあるあらゆる縮
みを十分に補償する弾性が金属部にある場合はこの限りではない。
適否は,目視検査によって判定する。
17.6 通常動作状態の下で0.2 Aを超える電流が流れる電源供給可とうコードのより線で,ねじ端子に接続
したものは,接触圧が加わる部分を鉛・すずの共晶はんだで固めてはならない。ただし,はんだのコール
ドフローによって接触不良となる可能性がないように締付手段を設計する場合はこの限りではない。
適否は,目視検査によって判定する。
17.7 機器の寿命中に操作する可能性があるカバー固定デバイスは,その固定デバイスの故障がこの規格
に規定する機器の安全性を損なう場合,十分な機械的強度がなければならない。
このようなデバイスのロックの位置及びロック解除の位置は曖昧であってはならず,かつ,無意識のう
ちにそのデバイスがロック解除の状態にできてはならない。
適否は,目視検査,固定デバイスの操作,及び次のいずれかの試験によって判定する。
− デバイスの操作を回転及び直線的な動きの組合せによって実施する場合,デバイスをロック及びロッ
ク解除し,この操作に必要なトルク又は力を測定する。デバイスをロックの状態にしておき,デバイ
スをロックするのに必要な値の2倍のトルク又は力をロックする方向に加える。トルク又は力の最小
値は1 Nm又は10 Nとする。ただし,それ以下のトルク又は力をロックする方向に加えてロック解除
するものは,この限りではない。
この操作を10回行う。
デバイスのロック解除に必要なトルク又は力は,0.1 Nm又は1 N以上でなければならない。
− スナップファスナによってカバーを固定する場合,意図した方法で10回カバーを外したり取り付けた
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りする。
この試験後,カバーは,9.1.7のa) 及びb) に規定する関節なしテストフィンガ及びテストフックによる
試験に適合しなければならない。
17.8 機器の製造業者が供給する取外し可能な脚又はスタンドは,専用の固定手段と一緒に供給しなけれ
ばならない。
適否は,目視検査によって判定する。
17.9 内部の差込み式接続は,意図しない緩みが生じたとき,この規格に規定する安全性を損なう場合,
緩みが生じないように設計しなければならない。
適否は,目視検査によって,また,疑義がある場合,接続部に対してあらゆる方向に2 Nの力を加えて
判定する。
注記 その他の内部接続については,8.11の規定を参照する。
17.9A 機器用カプラを用いる場合,コネクタを抜き差しするときに機器用インレットの端子はんだ付け
部に機械的応力が加わらない構造でなければならない。ただし,はんだ付けだけに依存しないように機器
用インレットそのものを固定したものは,この限りでない。
適否は,目視検査によって判定する。
18 映像管の機械的強度及び爆縮に対する保護
18.1 一般事項
前面の最大寸法が16 cmを超える映像管は,爆縮及び機械的衝撃に対してそれ自体で保護するか,又は
機器のエンクロージャが映像管の爆縮に対して十分な保護を備えていなければならない。
映像管の表示面に爆縮防護システムの一部として張る保護フィルムの全ての縁は,機器のエンクロージ
ャで覆わなければならない。
それ自体で保護していない映像管は,手で外せない有効な保護スクリーンを備えていなければならない。
ガラス製の分離したスクリーンを用いる場合,映像管の表面に接触してはならない。
適否は,目視検査,測定及び次の試験によって判定する。
− 一体形の保護スクリーンをもつものを含めそれ自体で保護する映像管の場合,JIS C 6965の規定によ
る。
− それ自体で保護していない映像管をもつ機器の場合,18.2の規定による。
注記1 正しく取り付けたとき,更に保護を必要としない場合,爆縮に対する保護がそれ自体に備わ
っているものと判断する。
注記2 試験を容易にするために,映像管の製造業者は,試験する映像管の最も弱い部分を指定して
もよい。
18.2 非防爆形映像管
映像管及び保護スクリーンを正しく取り付けた機器を,床上75±5 cmの高さの水平支持台に置く。ただ
し,明らかに床上に置くことを意図した機器の場合は直接床に置く。
次の方法で,映像管を機器のエンクロージャ内で爆縮させる。
亀裂は,次に記述する方法で,それぞれの映像管の表面に生じさせる。
各映像管の側面又は前面に,ダイヤモンド針を用いて引っかききずを付け(図12参照),液体窒素又は
これに類するものを用いて,亀裂が生じるまで冷却を繰り返す。冷却用液体が試験箇所から流れ出さない
ようにするために,模型用の粘土又はこれに類するもので,せきを作るのがよい。
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C 6065:2016
この試験後,質量2 gを超える破片が,映像管の前面の投影位置から50 cm離れた床に置いた高さ25 cm
のバリアを越えて飛んではならず,かつ,どんな破片も2 mのところに置いた同じ寸法のバリアを越えて
飛んではならない。
19 安定性及び機械的危険
19.1 安定性に関する要求事項
質量が7 kg以上の機器は,十分な安定性がなければならない。さらに,製造業者が供給・推奨する脚,
カート又はスタンドを取り付けたときにも,安定性を確保しなければならない。
適否は,19.2〜19.4に規定する試験によって判定する。
安定性に関する要求事項を満たすために一定の場所に固定する必要があり,かつ,5.5.2 f) の警告文を備
える機器には,これらの試験は適用しない。テーブルへの固定,地震に対する保護などのために,機器を
固定するためのねじ穴又は他の手段をもち,使用者が設置することを意図する場合,一定の場所に固定す
る機器とはみなさない。
19.4に規定する試験は,次の機器だけに適用する。
− 質量が25 kg以上の機器
− スピーカシステムを除いて,高さが1 m以上の機器
− スピーカシステムを除いて,供給・推奨するカート又はスタンドを組み合わせた状態で,全体の高さ
が1 m以上の機器
試験中,機器は転倒してはならない。
19.2 10゜傾き試験
機器を単独か,又は供給・推奨するカート若しくはスタンドを組み合わせた状態で,水平に対し10°傾
けた面の上に意図した使用状態で置く。その通常の垂直軸を中心にゆっくり360°回転させる。
ドア,引出し,キャスタ,調整可能な脚,その他の附属物は,最も不安定になるような配置の組合せに
する。機器を単独か,又は供給・推奨するカート若しくはスタンドを組み合わせた状態で,必要に応じて,
滑ったり回転したりするのを防止するために,できる限り小さな留め具で止める。
機器を単独か,又は供給・推奨するカート若しくはスタンドを組み合わせた状態で,水平に置いて10°
傾けたとき,通常は支持面に接触しない部分が水平面に接触するようになる場合,機器を水平支持台の上
に置き,最も不安定な方向に10°傾ける。
注記 例えば,小さな脚,キャスタなどをもつ機器の場合,水平支持台上での試験が必要となる場合
がある。
19.3 垂直加重試験
機器を単独か,又は供給・推奨するカート若しくはスタンドを組み合わせて,蓋,そで,引出し,ドア,
キャスタ,車輪,調整可能な脚,その他の附属物を最も好ましくない状態にし,機器を傾きが水平に対し
て1°以内の滑らない面の上に置く。
床からの距離が75 cm以下の,水平面,突出部又はくぼみの部分に,最大の転倒モーメントが加わるよ
うに,下向きに100 Nの力を加える。
試験中,機器は転倒してはならない。試験中,支持面が機器の転倒を妨げる場合,支持面によって試験
が合格しないように試験をやり直す。
19.4 水平加重試験
機器を単独か,又は供給・推奨するカート若しくはスタンドを組み合わせた状態で,水平の滑らない面
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C 6065:2016
の上に置く。全てのドア,引出し,キャスタ,調整可能な脚,その他の可動部は,最も不安定になるよう
な組合せで設置する。
機器を単独か,又は供給・推奨するカート若しくはスタンドを組み合わせた状態で,必要に応じて,滑
ったり回転したりするのを防止するために,できる限り小さな留め具で止める。
100 N又は機器の質量の13 %に相当する力のいずれか小さい方の力を,最も不安定な結果が生じるよう
に外部から水平方向に加える。ただし,力は床面から1.5 mを超える箇所には加えない。
機器を単独か,又は供給・推奨するカート若しくはスタンドを組み合わせた状態で不安定になる場合,
機器は,垂直から15°未満の傾きで転倒してはならない。
19.5 縁及び角に対する試験
機器の適切な機能のために必要な場合を除き,機器上の場所又は使い方によって,使用者に危険を及ぼ
す可能性がある場合,縁又は角は滑らか(急に断ち切ったような不連続性がないよう)でなければならな
い。
適否は,目視検査によって判定する。
19.6 ガラスの機械的強度
19.6.1 要求事項
映像管及びラミネートガラスを除き,面積が0.1 m2を超えるか,又は長手方向の最大寸法が450 mmを
超えるガラスは,皮膚に切り傷を生じさせるような壊れ方をしてはならない。
適否は,12.1.4に規定するスプリングハンマを用いた試験だけによって判定する。
試験中及び試験後,ガラスは次のいずれかでなければならない。
− 破損又はクラックがない。
− 30 gの質量を超えるか,又は50 mmの寸法を超える破片を放出しない。
− 別の試験サンプルによる19.6.2の破砕試験に適合する。
19.6.2 破砕試験
試験サンプル全体を支持するようにし,破砕した上に細片が飛び散らないように注意する。試験サンプ
ルの一方の長辺の端の中央から15 mmの部分を,センタポンチで破砕する。破砕後5分以内に,通常,用
いる眼鏡を除き,視力を改善するもの(拡大鏡など)を用いないで,最も粗い破砕の領域を中心に50 mm
四方の正方形内にある細片の数を調べる。ただし,開口部の端又は試験サンプルの端から15 mm以内の部
分は除く。
試験サンプルは,50 mm四方の正方形内の細片の数が45片以上になるように破砕されていなければな
らない。細片が離ればなれにならない(正方形内に離れている細片がない)構造のようなサンプルは,こ
の要求事項に適合しているとみなす。
注記 細片の数を調べる適切な方法は,50 mm四方の透明な材料を試験サンプルの上に置き,50 mm
四方内の全ての細片を数えることができるようにインクで点を付ける。50 mm四方の端にある
細片を数えるには,任意の二つの隣接辺を選択し,これらにまたがる細片を数え,他の隣接辺
にまたがるものは数えない。
19.7 壁又は天井への取付手段
19.7.1 要求事項
壁又は天井への取付手段をもつ機器は,次による。
− 製造業者が壁又は天井への取付けに特定の取付器具を指定する場合は,取付器具と機器との組合せで,
19.7.2に規定する試験1に適合しなければならない。機器に取付器具を固定するために用いる部品は,
99
C 6065:2016
機器に備えるか,又は取扱説明書にねじの長さ,ねじの直径などの詳細事項を記載しなければならな
い。
− 製造業者が壁又は天井への取付けに特定の取付器具を指定しないが,機器が壁又は天井に機器を取り
付けることを容易にする部分(フック,ねじ込み穴など)を備える場合は,該当する部分は,19.7.2
に規定する試験2に適合しなければならない。取扱説明書には,その部分が安全に使用できるように,
直径及び長さを含むねじのサイズ,ねじの数などを記載しなければならない。
− 機器が取付手段を固定するためにねじ込み部分を備える場合,取付手段のない状態で,ねじ込み部品
は,19.7.2に規定する試験3に適合しなければならない。
注記 これらの試験は,取付手段と機器との固定のための試験を意図しており,壁又は天井との固定
のための試験ではない。
19.7.2 試験方法
構造部にプラスチック材料を含む場合,試験は,12.1.6に規定する応力リリーフ試験の後に行う。
試験1
機器を,製造業者の説明書に従って,可能な場合は,支持部に最もストレスがかかるように取付器具を
用いて取り付ける。
機器の質量に次のうち小さい方を加えた力を,機器の重心に対して下方向に1分間加える。
− 機器の質量の3倍の力
− 機器の質量に880 Nを加えた力
さらに,壁に取り付ける機器の場合,50 Nの水平力を横方向に1分間加える。
試験2
試験には,次のうち小さい方を取付システムの取付箇所の数で除した力を適用する。
− 機器の質量の4倍の力
− 機器の質量の2倍に880 Nを加えた力
取付システムの各々の箇所に,その中心軸に対して垂直にせん断力を,1分間加える。力は一度に一方
向,90°ごとに4方向,加える。
取付システムの各々の箇所に,中心軸に対して水平に内側に押す力を,一度に一つずつ,1分間加える。
取付システムの各々の箇所に,中心軸に対して水平に外側に引く力を,一度に一つずつ,1分間加える。
試験3
各々のねじ込み部分に,表20の第II列に規定するトルクを,一度に一つずつ,加える。製造業者が対
応するねじを供給する場合には,そのねじを用いて試験する。製造業者が対応するねじを供給しない場合
には,取扱説明書でねじタイプが推奨されていても,これと同じ直径のねじを用いて試験する。
19.7.3 適合性
適否は,目視検査,及び該当する場合は,19.7.2に規定する試験によって判定する。機器,附属する取
付器具又はねじ込み部分は,試験中,外れることなく,機械的に損傷がなく,かつ,確実に維持していな
ければならない。
20 耐火性
20.1 要求事項
機器は,火の発生及び伝搬を,できる限り抑制するように設計しなければならない。また,火災の危険
が,機器の周囲に及ばないようにしなければならない。
100
C 6065:2016
これは,次のようにして達成する。
− 機器の設計及び製造において,潜在的発火源を形成しないように優れた工学的手法を用いる。
− 潜在的発火源から規定する距離の範囲内にある内部部品には燃えにくい材料を用いる(表21参照)。
− 火の伝搬を制限するために,防火用エンクロージャ及び/又はバリアを用いる。
機器が20.2及び20.3に規定する要求事項に適合する場合,この要求事項に適合するとみなす。
注記 (対応国際規格の,“オーストラリア及びニュージーランドでは,特別の国内事情によってIEC
60695の指針と整合した試験,グローワイヤ試験,ニードルフレーム試験,それに伴う試験,
及びそれに伴う最終製品での試験を行う。”の注記を削除した。)
20.2 電気部品及び機構部品
20.2.1 一般事項
次のa) 及びb) を除き,電気部品及び機構部品は,20.2.2〜20.2.5に規定する要求事項に適合しなければ
ならない。
a) JIS C 60695-11-10に規定する燃焼性分類V-0のエンクロージャ内にある部品。ただし,そのエンクロ
ージャの配線用の開口部は,配線材で完全に塞ぎ,通気口は,長さに関係なく幅が1 mmを超えては
ならない。
b) 火災に対して燃料としてほとんど無視できる次のような部品。
− 金属,ガラス又はセラミック以外の非金属材料でそれぞれの質量が4 g以下の小さな機構部品。例
えば,取付部品,歯車,カム,ベルト,軸受など
− 次のような小さな電気部品。ただし,これらの部品は,JIS C 60695-11-10に規定する燃焼性分類V-1
以上の材料に取り付けなければならない。
・ 集積回路,トランジスタ,オプトカプラのパッケージ
・ 体積が1 750 mm3以下のコンデンサ
コネクタは,電気部品とみなす。
注記1 (対応国際規格の注記の内容は,規定であることから,本文に移した。)
注記2 火の伝搬をどのようにして最小限にするか,及び小さな部品とは何かを考察するときには,
ある部品から他の部品へ火が伝搬する可能性の決定において,隣接する小さな部品の累積効
果は重要になると考える。
20.2.2 電気部品
電気部品は,箇条14に規定する燃焼性分類の要求事項に適合しなければならない。
箇条14の規定に燃焼性分類の要求事項がない場合,20.2.5に規定する要求事項を適用する。
適否は,箇条14又は20.2.5に規定する適切な試験によって判定する。
20.2.3 内部配線材
配線材の絶縁は,次の条件の下で火の伝搬に寄与してはならない。
a) 交流(ピーク)又は直流4 kVを超える電圧で動作する箇所の配線材
b) 内部防火用エンクロージャから出ている配線材。ただし,PVC,TFE,PTFE,FEP又はネオプレンで
構成する絶縁は除く。
c) 表21に規定するバリアによって遮蔽していない場合,表21に規定する区画内にある配線材。ただし,
PVC,TFE,PTFE,FEP又はネオプレンで構成する絶縁は除く。
注記 略称の意味については,JIS K 6899-1を参照。
適否は,G.2に規定する試験によって判定する。
101
C 6065:2016
20.2.4 プリント配線板
通常動作状態の下で,交流(ピーク)又は直流50 Vを超え400 V以下の電圧で動作していて,接続点で
取り出すことができる電力が15 Wを超えるプリント配線板の基材は,JIS C 60695-11-10に規定する燃焼
性分類がV-1以上,又はJIS K 7341に規定するVTM-1以上でなければならない。ただし,プリント配線
板をJIS C 60695-11-10に規定する燃焼性分類がV-0,JIS K 7341に規定するVTM-0,又は金属製のエンク
ロージャで保護し,エンクロージャには接続線を通す開口部だけがあり,それらを配線で完全に塞いでい
る場合はこの限りではない。
通常動作状態の下で,交流(ピーク)又は直流400 Vを超える電圧で動作していて,接続点で取り出す
ことができる電力が15 Wを超えるプリント配線板の基材,及び過電圧に対する保護のためのスパークギ
ャップを保持するプリント配線板の基材は,JIS C 60695-11-10に規定する燃焼性分類がV-0,又はJIS K
7341に規定するVTM-0でなければならない。ただし,プリント配線板を金属製のエンクロージャで保護
し,エンクロージャには接続線を通す開口部だけがあり,それらを配線で完全に塞いでいる場合はこの限
りではない。
適否は,用いるプリント配線板の最小厚さのものに対し,次のいずれかの規定によって判定する。
a) JIS C 60695-11-10又はJIS K 7341
b) 機器内の使用状態の基板サンプルに対し,G.1。ただし,部品は実装しない。
b) の試験は,前処理として,125±2 ℃の空気循環式恒温槽の中で24時間,その後無水塩化カルシウム
の入ったデシケータの中で室温において4時間冷却した後行う。
20.2.5 20.2.2,20.2.3及び20.2.4に規定のない部品及び部分
この細分箇条に規定する要求事項は,防火用エンクロージャには適用しない。
潜在的発火源と20.2.2,20.2.3及び20.2.4に規定のない部品又は部分との間の距離が,表21に規定する
値未満の場合,これらの部品又は部分は,表21に規定するJIS C 60695-11-10の規定に従った適切な燃焼
性分類に適合しなければならない。ただし,これらの部品又は部分を,潜在的発火源から金属製又は表21
に規定する燃焼性分類を満たすバリアで遮蔽する場合はこの限りではない。
この規格の他の箇所で要求しない限り,バリアで遮蔽する部品又は部分には,耐炎性を要求しない。バ
リアは,固体で硬いものであり,図13に示し,表21に規定する範囲をカバーする寸法以上でなければな
らない。非金属のバリアの寸法は,バリアの端部及びバリアにある開口部の端部が燃え出すのを十分防止
できるものでなければならない。
適否は,目視検査,測定及びG.3に規定する試験によって判定する。
潜在的発火源をもつプリント配線板は,箇条20の規定ではバリアとはみなさない。
電気部品内部にある潜在的発火源は,20.2.5に含めない。
102
C 6065:2016
表21−潜在的発火源からの距離及びその結果としての燃焼性分類
潜在的発火源
の開路電圧
[交流(ピーク)
又は直流]
V
4 kV以下の電圧をもつ機器
4 kVを超える電圧をもつ機器
潜在的発火源と
部品又は部分と
の間の最小距離
(図13参照)
距離が左側の
欄で要求する
最小距離未満
の場合のJIS
C 60695-11-10
による部品及
び部分の燃焼
性分類
潜在的発火源
と非金属のバ
リアとの間の
最小距離(上
段)及び非金
属のバリアの
燃焼性分類
(下段)
潜在的発火源と
部品又は部分と
の間の最小距離
(図13参照)
距離が左側の
欄で要求する
最小距離未満
の場合のJIS
C 60695-11-10
による部品及
び部分の燃焼
性分類
潜在的発火
源と非金属
のバリアと
の間の最小
距離(上段)
及び非金属
のバリアの
燃焼性分類
(下段)
下方又
は側方
上方
下方又
は側方
上方
50を超え
400以下
13 mm
50
mm
HB75
要求なし
13 mm
50
mm
V-1
5 mm
V-1
400を超え
4 000以下
13 mm
50
mm
V-1
5 mm
V-1
20 mm
50
mm
V-1
5 mm
V-0
4 000を超え
−
20.3参照
厚さが6 mm以上の木及び木質材料は,箇条20ではV-1の要求事項に適合するものとみなす。
通常動作状態の下で4 kVを超える電圧を含み,表21に規定する距離以上の距離で保護する機器の場合
には,外部エンクロージャの材料はJIS C 60695-11-10に規定する燃焼性分類HB40以上に適合しなければ
ならない。バリア又は内部の防火用エンクロージャで保護する部分の機器の外部エンクロージャ又は区画
に対しては,燃焼性分類の要求事項はない。
適否は,使用最小厚さのものに対してJIS C 60695-11-10又はG.1の規定によって判定する。
20.3 防火用エンクロージャ
20.3.1 通常動作状態の下で開路電圧が交流(ピーク)又は直流4 kVを超える潜在的発火源は,JIS C
60695-11-10に規定する燃焼性分類V-1以上の防火用エンクロージャ内になければならない。
次のいずれかの場合,防火用エンクロージャは要求しない。
− 潜在的発火源の開路電圧を,電子保護回路によって4 kV未満に制限している。
− 潜在的発火源の開路電圧が,不完全接続又は切断が起きたときに4 kV以下である。
電圧は,アークが発生する最小の間隔の不完全接続又は切断状態で測定する。
厚さが6 mm以上の木及び木質材料は,箇条20ではV-1の要求事項に適合するものとみなす。
適否は,使用最小厚さのものに対してJIS C 60695-11-10又はG.1の規定によって判定する。
20.3.2 内部の防火用エンクロージャは,長さに関係なく幅が1 mmを超える通風口があってはならない。
接続用配線用の開口は,配線で完全に塞いでなければならない。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
20.3.3 20.3.1及び20.3.2に規定する要求事項を内部の防火用エンクロージャによって満足する場合,機器
の外部エンクロージャには燃焼性の要求事項はない。さらに,この規格の他の箇所で要求しない限り,内
部防火用エンクロージャの外側にある部品又は部分には,耐炎性の要求事項はない。
20.2.3に適合する内部配線材の絶縁は,内部の防火用エンクロージャの一部を構成するとみなす。
適否は,目視検査によって判定する。
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C 6065:2016
注記 4.3参照。
図1−故障状態の試験回路
この回路図は,分離変圧器Tを示しており,a点は,b点を基準とした危険な
活電部である。a点及びb点が機器の内部にある場合,8.6に規定する要求事項
に対する適否を確認するとき,距離x及びyの合計を考慮する。
注記 8.6参照。
図2−強化絶縁の評価例
104
C 6065:2016
A点は,接近できるかどうかの判定に用いる(9.1.1.3参照)。
B点は,空間距離及び沿面距離の測定に用いる(箇条13参照)。
注記 9.1.1.3及び13.3.1参照。
図3−可触部の例
105
C 6065:2016
単位 mm
注記 9.1.7参照。
図4−テストフック
106
C 6065:2016
スイッチSは,回路の重要部品である。このスイッチは,取り出すことができるエネルギーができるだけ
アーク又は不十分な絶縁に消費することがないような構造とする。スイッチの一例を,図5のb) に示す。
試験を行う部品Xを,端子C及びDに接続する。R3の両端にオシロスコープを接続して,部品の両端に
加わる電圧波形が観測できるように,分圧器R2及びR3を設けてもよい。試験中,部品に加わる波形と観測
波形とが一致するように,この分圧器を補正しておく。
注記 10.2及び14.2参照。
a) 試験回路
スイッチ[図5のa) のS]は,次の部品で構成する。
− A及びBは,15 mmの間隔をもたせて円形電極Eを支える黄銅製の支柱である。
− Kは,直径7 mmの黄銅製の球であり,長さ約150 mmの絶縁物製の硬い棒で支える。
A,B及びKは,図5のa) のように接続する。この場合,可とう電線を用いてKを接続する。
球Kが弾まないように注意をする。
b) 試験回路に用いるスイッチ例
図5−サージ試験器
107
C 6065:2016
注記 10.4.2参照。
図6−耐電圧試験装置
108
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動作電圧(ピーク)142 Vのとき,曲線A及び曲線Bは,それぞれ1 414 V,2 828 Vを通るとみなす。
注記 10.4.2及び表5参照。
図7−試験電圧
注記 12.1.4参照。
図8−鋼球を用いた衝撃試験
109
C 6065:2016
単位 mm
a
b
最小
c
d
最小
e
最小
f
g
h
j
k
最小
φ9.576
0
0.1
− φ8.05 φ2.438
0
0.1
−
9.1
7.112
0.8±0.4 40±0.4 φ12±0.4 43±0.4
R 0.3
テストプラグの接合部は,IEC 60169-2の図7に準拠する。
注記 12.5参照。
図9−アンテナ同軸接続器の機械的試験に用いるテストプラグ
110
C 6065:2016
曲線は,最小を0.2 mmとして,次の式で定義する。
=
300
log
78
.0
log
U
d
ここに, d:距離(mm)
U:ピーク電圧(V)
注記 13.5.1参照。
図10−プリント配線板の最小空間距離及び沿面距離
111
C 6065:2016
注記 15.4.1参照。
図11−主電源プラグの一部を形成するデバイスの試験装置
単位 mm
注記 18.2参照。
図12−爆縮試験用の引っかききずパターン
112
C 6065:2016
注記1 陰影部分は20.2.5に規定する要求事項を適用するが,表21の規定の対象外である。
注記2 20.2.5参照。
図13−潜在的発火源からの距離及びバリアの設計例
単位 mm
図14−マンドレル
113
C 6065:2016
マンドレルの最終位置は,初期位置から230±5°回転
した位置になる
図15−マンドレルの初期位置
図16−マンドレルの最終位置
単位 mm
注記1 図17は,JIS C 61558-1の図6cと比べて少し変更している。
図15及び図16も,JIS C 61558-1の図6bと比べて少し変更している。
注記2 8.21を参照。
図17−絶縁材に載せる金属はくの位置
114
C 6065:2016
附属書A
(規定)
防まつ(沫)機器に適用する追加要求事項
注記 この附属書の箇条番号は,この規格の箇条番号に対応している。
A.1 一般事項
防まつ機器に対しては,この附属書によって本体の要求事項を補足又は置き換えた要求事項を適用する。
A.5 表示及び説明書
5.2 h) の後に,次の細別を追加する。
A.5.2 i) 飛まつ(沫)に対する保護
防まつ機器には,JIS C 0920の規定に基づき,少なくともIPX4を表示しなければならない。
適否は,目視検査によって判定する。
A.5.5.2 a) 5.5.2 a) は,適用しない。
A.10 絶縁要求
10.3を次のように修正する。
A.10.3 飛まつ(沫)及び湿度処理
A.10.3.1 飛まつ(沫)処理
エンクロージャは,飛まつ(沫)に対する十分な保護を備えていなければならない。
適否は,箇条16に規定する要求事項に基づき外部可とうコードを取り付けた機器に対し,次に規定する
処理を行って判定する。
機器に対してJIS C 0920の14.2.4 a) に規定する試験を行う。
この処理後直ちに,機器は10.4に規定する試験に合格し,かつ,機器の中に入り込んだ可能性がある水
が,この規格に不適合となる損傷の原因とならないことを目視検査で確認しなければならない。特に,沿
面距離を規定する絶縁部に,水の形跡があってはならない。
A.10.3.2 湿度処理
試験期間を7日間(168 h)として,10.3の規定を適用する。
115
C 6065:2016
附属書B
(規定)
ネットワーク線に接続する機器
この規格の適用範囲内で,かつ,ネットワーク線に接続することを意図した機器に対しては,この附属
書で引用するように,この規格の要求事項にIEC 62151に規定する要求事項を補足,修正して適用する。
この附属書に引用する箇条番号は,特に指定しない限り,IEC 62151の箇条番号を示す。
注記1 1.5 kVピークを超える過電圧が機器に加わる可能性を低減するために,ITU-T
Recommendation K.11に基づいて適切な措置を講じることを前提とする。1.5 kV(ピーク)
を超える過電圧が機器に加わるような設置環境の下では,サージ抑制などの追加措置を講じ
ることが必要な場合がある。適切な措置及び追加措置に関しては,附属書JB参照。
注記2 (対応国際規格の“IEC 62151に記載のある国々では,特別の国家条件を適用する。”の注記
を削除した。)
注記3 ネットワーク線に接続する機器については,電気通信主管庁が追加の要求事項を課すことが
あることに注意する。一般的に,これらの要求事項は,機器の使用者だけでなくネットワー
ク線の保護に関するものである。
箇条1(適用範囲)及び箇条2(引用規格)を適用する。ただし,1.4(基本安全規格)を除く。
箇条3(用語及び定義)は,次の変更を行い適用する。
3.5.4(TNV-0回路)をこの規格の2.4.10の定義に置き換える。
箇条4(TNV回路)は,4.1.2(TNV-0回路の通常動作状態の下での電圧),4.1.3(TNV-0回路の故障状
態の下での電圧)及び4.2.1.2(他の二次回路又は可触部からの分離)を次のように置き換えて適用する。
4.1.2に規定する要求事項を,次の要求事項に置き換える。
単一のTNV-0回路又は相互接続したTNV-0回路においては,単一又は複数のTNV-0回路の二つの導体
間,及びそのような導体の1点と大地との間の電圧は,この規格の9.1.1.2に規定する値を超えてはならな
い。
注記4 上記の要求事項に適合するが,ネットワーク線からの過電圧にさらされる回路は,TNV-1回
路である。
4.1.3に規定する要求事項を,次の要求事項に置き換える。
基礎絶縁,付加絶縁又は部品(二重絶縁又は強化絶縁を備える部品を除く。)において単一故障が起きた
場合,単一又は複数のTNV-0回路の2導体間,及びこのような導体の1点と大地との間の電圧は,0.2秒
間を超えて,この規格の9.1.1.2に規定する値を超えてはならない。さらに,この規格の11.1に規定する限
度値を超えてはならない。
4.1.3.1(二重絶縁又は強化絶縁による分離),4.1.3.2(保護接地遮蔽物による分離)又は4.1.3.3(TNV-0
回路の接地による保護)に規定する方法の一つを用いなければならない。ただし,4.1.4(他の回路とTNV-0
回路との接続)に適合する場合は除く。
通常動作状態の下でTNV-0回路に対する要求事項に適合しないインタフェース回路の部分は,使用者が
116
C 6065:2016
接触可能な部分であってはならない。
4.2.1.2に規定する要求事項を,次の要求事項に置き換える。
注記5 箇条5(機器の危険源からのネットワーク線のサービス従事者及びネットワーク線に接続し
た他の機器の使用者の保護)及び箇条6(ネットワーク線の過電圧からの機器使用者の保護)
も参照する。
TNV-2回路及びTNV-3回路と,TNV-0回路,TNV-1回路及び可触導電部との間の分離は,次による。
− 通常の動作状態の下で,TNV-0回路,TNV-1回路及び可触導電部は,TNV-1回路に対して4.2.1.1 a) に
規定する限度値[交流35 V(ピーク)又は直流60 V]以下とする。
− 絶縁の単一故障が起きた場合,通常動作状態の下で,TNV-0回路,TNV-1回路及び可触導電部は,TNV-2
回路及びTNV-3回路に対して規定する4.2.1.1 b) に規定する限度値[交流70 V(ピーク)又は直流120
V]以下とする。ただし,0.2秒後には4.1.2に規定する電圧限度[交流35 V(ピーク)又は直流60 V]
を適用しなければならない。
この附属書の表B.1に規定するように,基礎絶縁が備わっている場合,分離に対する要求事項に適合す
る。この附属書の表B.1には,6.1(分離に関する要求事項)の規定を適用する場合も示してある。その他
の解決法を排除するものではない。
表B.1−TNV回路の分離
分離する部分
分離
TNV-0回路又は
可触導電部
TNV-1回路
6.1
TNV-2回路
基礎絶縁
TNV-3回路
基礎絶縁及び6.1
TNV-1回路
TNV-2回路
基礎絶縁及び6.1
TNV-2回路
TNV-3回路
6.1
TNV-1回路
TNV-3回路
基礎絶縁
TNV-1回路
TNV-1回路
機能絶縁
TNV-2回路
TNV-2回路
機能絶縁
TNV-3回路
TNV-3回路
機能絶縁
次の全てを満足する場合は基礎絶縁を要求しない。
− TNV-0回路,TNV-1回路又は可触導電部が,この規格に従って保護接地端子に接続している。
− 設置説明書に,保護接地端子を大地に恒久的に接続しなければならないことを明記する。
− TNV-2回路又はTNV-3回路が,通常の動作中に,外部(例えば,ネットワーク線内)で生成する信号
又は電力を受け取ることを意図する場合,4.2.1.5(外部で生成する動作電圧に対する試験)に規定す
る試験を行う。
製造業者の選択によって,TNV-1回路又はTNV-2回路をTNV-3回路として扱ってもよい。この場合,
TNV-1回路又はTNV-2回路は,TNV-3回路に対する分離要求事項に適合しなければならない。
適否は,目視検査及び測定,並びに必要がある場合,機器内で発生する可能性のある部品及び絶縁の故
障を模擬することによって判定する。試験に先立ち,基礎絶縁に対する要求事項に適合しない絶縁部は,
短絡しておく。
注記6 基礎絶縁が備わっており,かつ,この絶縁に6.1も適用する場合,6.2(電気的強度の試験手
順)に規定する試験電圧は多くの場合,基礎絶縁に対する試験電圧よりも高い。
117
C 6065:2016
箇条5は,5.3.1(ネットワーク線と大地との分離に対する要求事項)に次の変更を加えて適用する。
値1.6を値1.8に置き換える。
箇条6及び箇条7(過熱からのネットワーク線配線の保護システム)を適用する。
附属書A(電話呼出信号に関する規定),附属書B(インパルス試験発生器)及び附属書C(インパルス
試験の手順)を適用する。
118
C 6065:2016
附属書C
(規定)
広帯域ノイズ測定用バンドパスフィルタ
広帯域の測定は,IEC 60268-1の6.1を参照する。
フィルタは,図C.1(IEC 60268-1の図5参照)に示す限度値内の周波数応答をもつバンドパスフィルタ
とする。
22.4 Hz〜22.4 kHzの間で実質上一定の伝達係数をもち,この周波数帯域の外側では,JIS C 1514に規定
する中間帯域周波数31.5 Hz及び16 000 Hzのオクターブバンドフィルタに対して規定する割合で減衰する
バンドパスフィルタは,この仕様の限度内に入る応答をもつ。
注記1 帯域境界のすぐ上又は下にある強い信号は,実際に用いるフィルタの個々の周波数応答によって結果がある
程度変化するかもしれない。
注記2 4.1.6参照。
図C.1−広帯域ノイズ測定用バンドパスフィルタ(振幅−周波数応答限度)
119
C 6065:2016
附属書D
(規定)
タッチカレントの測定回路網
次に規定する図D.1は,IEC 60990に従ったタッチカレントの測定回路網である。
V: 電圧計又はオシロスコープ(実効値又はピーク値を読む。)
入力抵抗:1 MΩ以上
入力容量:200 pF以下
周波数レンジ:15 Hz〜1 MHz及び直流
非正弦波形の場合,正しい値を得るために適切な手段をとるのがよい。
測定器の校正は,様々な周波数においてIEC 60990の図F.2の実線とU2の周波数係数とを比較する
ことによって行う。校正曲線は,周波数の関数として理想曲線からU2の偏差を示すように作成する。
タッチカレント=U2/500(ピーク)
注記 9.1.1.2参照。
図D.1−IEC 60990に従ったタッチカレントの測定回路網
120
C 6065:2016
附属書E
(規定)
空間距離及び沿面距離の測定
図E.1〜図E.10に規定する空間距離及び沿面距離の測定方法は,この規格の要求事項を説明するのに用
いる。
Xの値は,表E.1に規定する。規定する距離がX未満の場合,沿面距離の測定時には,ギャップ又は溝
の深さを無視する。
表E.1は,必要な最小空間距離が3 mm以上の場合だけに有効となる。必要な最小空間距離が3 mm未
満の場合,Xの値は次のいずれか小さい方とする。
− 表E.1の対応する値
− 必要な最小空間距離の1/3
表E.1−Xの値
汚損度
(13.1参照)
X
mm
1
0.25
2
1.0
3
1.5
図E.1〜図E.10では,空間距離及び沿面距離は,次のように示す。
空間距離
沿面距離
単位 mm
条件:幅がX未満で側面が平行又は底が狭くなって
いる任意の深さの溝を含んでいる場合。
規則:空間距離及び沿面距離は,直接溝を横切って
測定する。
図E.1−狭い溝
単位 mm
条件:幅がX以上で側面が平行になっている任意の
深さの溝を含んでいる場合。
規則:空間距離は“見通せる直線”距離とし,沿面
距離は,溝の輪郭に沿った距離とする。
図E.2−広い溝
121
C 6065:2016
単位 mm
条件:内角80°未満で幅がXよりも大きいV字形の
溝を含んでいる場合。
規則:空間距離は“見通せる直線”距離とする。沿面
距離は溝の輪郭に沿った距離とするが,溝の底面
の幅がXのところで短絡(Xだけを考慮)する。
図E.3−V字形の溝
単位 mm
条件:リブ(突出部)を含んでいる場合。
規則:空間距離は,リブの先端を通る空気中の最短経
路とする。沿面距離は,リブの輪郭に沿った距離
とする。
図E.4−リブ(突出部)
単位 mm
条件:X未満の幅の溝を両側にもつ,接着していない
接合部がある場合。
規則:沿面距離及び空間距離は,図のような“見通せ
る直線”距離とする。
図E.5−狭い溝をもつ接着していない接合部
122
C 6065:2016
単位 mm
条件:X以上の幅の溝を両側にもつ,接着していない
接合部がある場合。
規則:空間距離は“見通せる直線”距離とする。沿面
距離は,溝の輪郭に沿った距離とする。
図E.6−広い溝をもつ接着していない接合部
単位 mm
条件:X未満の溝を片側にもち,反対側にX以上の溝をも
つ接着されていない接合部がある場合。
規則:空間距離及び沿面距離は,この図に示す経路
とする。
図E.7−狭い溝及び広い溝をもつ接着していない接合部
単位 mm
条件:接続していない導電部が間に挟まっている場合
の絶縁距離。
規則:空間距離はd+D,沿面距離もd+D。d又はDの
値は,Xよりも小さい場合,ゼロとみなす。
図E.8−接続していない導電部が間に挟まっている
123
C 6065:2016
単位 mm
ねじの頭とくぼみの壁との間のギャップは狭すぎるので,考慮に入れない。
沿面距離は,ねじから壁までの距離がXの経路を通って測定する。
図E.9−狭いくぼみ
単位 mm
ねじの頭とくぼみの壁との間のギャップは十分に広いので,考慮に入れる。
図E.10−広いくぼみ
124
C 6065:2016
附属書F
(規定)
電気化学的電位表
マ
グ
ネ
シ
ウ
ム
,
マ
グ
ネ
シ
ウ
ム
合
金
亜
鉛
,
亜
鉛
合
金
す
ず
8
0・
亜
鉛
2
0
め
っ
き
鋼
,
亜
鉛
め
っ
き
鋼
/
鉄
ア
ル
ミ
ニ
ウ
ム
カ
ド
ミ
ウ
ム
め
っ
き
鋼
ア
ル
ミ
ニ
ウ
ム
−
マ
グ
ネ
シ
ウ
ム
合
金
軟
鋼
ジ
ュ
ラ
ル
ミ
ン
鉛
ク
ロ
ム
め
っ
き
鋼
,
軟
質
は
ん
だ
C
r
め
っ
き
し
た
N
i
め
っ
き
鋼
,
す
ず
め
っ
き
鋼
,
1
2
%
C
r
ス
テ
ン
レ
ス
鋼
高
ク
ロ
ム
ス
テ
ン
レ
ス
鋼
銅
,
銅
合
金
銀
は
ん
だ
,
オ
ー
ス
テ
ナ
イ
ト
ス
テ
ン
レ
ス
鋼
ニ
ッ
ケ
ル
め
っ
き
鋼
銀
ロ
ジ
ウ
ム
め
っ
き
し
た
銀
め
っ
き
銅
,
銀
/
金
合
金
カ
ー
ボ
ン
金
,
プ
ラ
チ
ナ
0
0.5 0.55 0.7 0.8 0.85 0.9 1.0 1.05 1.1 1.15 1.25 1.35 1.4 1.45 1.6 1.65 1.7 1.75 マグネシウム,マグネシウム
合金
0
0.05 0.2 0.3 0.35 0.4 0.5 0.55 0.6 0.65 0.75 0.85 0.9 0.95 1.1 1.15 1.2 1.25 亜鉛,亜鉛合金
0
0.15 0.25 0.3 0.35 0.45 0.5 0.55 0.6 0.7 0.8 0.85 0.9 1.05 1.1 1.15 1.2
すず80・亜鉛20めっき鋼,
亜鉛めっき鋼/鉄
0
0.1 0.15 0.2 0.3 0.35 0.4 0.45 0.55 0.65 0.7 0.75 0.9 0.95 1.0 1.05 アルミニウム
0
0.05 0.1 0.2 0.25 0.3 0.35 0.45 0.55 0.6 0.65 0.8 0.85 0.9 0.95 カドミウムめっき鋼
0
0.05 0.15 0.2 0.25 0.3 0.4 0.5 0.55 0.6 0.75 0.8 0.85 0.9
アルミニウム−マグネシウ
ム合金
0
0.1 0.15 0.2 0.25 0.35 0.45 0.5 0.55 0.7 0.75 0.8 0.85 軟鋼
0
0.05 0.1 0.15 0.25 0.35 0.4 0.45 0.6 0.65 0.7 0.75 ジュラルミン
0
0.05 0.1 0.2 0.3 0.35 0.4 0.55 0.6 0.66 0.7
鉛
0
0.05 0.15 0.25 0.3 0.35 0.5 0.55 0.6 0.65 クロムめっき鋼,軟質はんだ
0
0.1 0.2 0.25 0.3 0.45 0.5 0.55 0.6
CrめっきしたNiめっき鋼,
すずめっき鋼,12 %Crステ
ンレス鋼
0
0.1 0.15 0.2 0.35 0.4 0.45 0.5
高クロムステンレス鋼
0
0.05 0.1 0.25 0.3 0.35 0.4
銅,銅合金
0
0.05 0.2 0.25 0.3 0.35 銀はんだ,オーステナイトス
テンレス鋼
0
0.15 0.2 0.25 0.3
ニッケルめっき鋼
0
0.05 0.1 0.15 銀
0
0.05 0.1
ロジウムめっきした銀めっ
き銅,銀/金合金
0
0.05 カーボン
0
金,プラチナ
注記1 接触する異種金属間の電気化学作用による腐食は,組合せに対する電気化学的電位がおよそ0.6 V以下の場合,
最小限に抑えることができる。上の表に,一般的に用いられる金属の組合せに対する電気化学的電位を示して
いる。
注記2 15.2参照。
125
C 6065:2016
附属書G
(規定)
燃焼性試験法
G.1
JIS C 60695-11-10の箇条7(試験片)に規定する試験片がない場合,次の試験法を適用してもよい。
試験は,機器に用いる最終製品からの試験片3個について,JIS C 60695-11-5の規定に基づいて行う。
この規格では,JIS C 60695-11-5を,次のように適用する。
9. 試験手順
9.1
次に置き換える。
試験片を機器で用いていた状態を模擬して取り付ける。
9.2
第2段落を,次に置き換える。
試験炎は,重要な箇所が全て試験できるように,試験片の数箇所に当てる。
10. 観察及び測定
第2段落を,次に置き換える。
燃焼持続時間とは,試験炎を取り去ったときから,あらゆる炎が消えるまでの時間をいう。
G.1.1 JIS C 60695-11-10に規定する燃焼性分類V-0が必要な場合,更に次の条件の下でJIS C 60695-11-5
の規定を適用する。
7. 試験の厳しさ
次に置き換える。
試験炎を当てる時間は,次による。
試験炎を10秒間当てる。試験炎を取り去った後,自己保持性の炎が15秒以内に消える場合,同じ場所
又は別の場所に再度1分間接炎する。自己保持性の炎が再び15秒以内に消える場合,同じ場所又は別の場
所に再度2分間接炎する。
11. 試験結果の評価基準
次に置き換える。
1回目の接炎後に試験片が完全に燃え尽きてはならない。どの接炎後でも,試験片の燃焼時間が15秒間
を超えてはならず,平均燃焼時間が10秒間を超えてはならない。薄葉紙には着火せず,板は焦げてはなら
ない。
G.1.2 JIS C 60695-11-10に規定する燃焼性分類V-1が必要な場合,更に次の条件の下でJIS C 60695-11-5
の規定を適用する。
7. 試験の厳しさ
次に置き換える。
試験炎を当てる時間は,次による。
試験炎を10秒間当てる。試験炎を取り去った後,自己保持性の炎が30秒以内に消える場合,同じ場所
又は別の場所に再度1分間接炎する。自己保持性の炎が再び30秒以内に消える場合,同じ場所又は別の場
所に再度2分間接炎する。
126
C 6065:2016
8. 前処理条件(14.5.2の部品に対してだけ適用)
次に置き換える。
試験片を温度100±2 ℃の恒温槽に2時間放置する。
11. 試験結果の評価基準
次に置き換える。
1回目の接炎後に,試験片が完全に燃え尽きてはならない。どの接炎後にも,自己保持性の炎は30秒以
内に消えなければならない。薄葉紙には着火せず,板は焦げてはならない。
G.1.3 JIS C 60695-11-10に規定する燃焼性分類V-2が必要な場合,更に次の条件の下でJIS C 60695-11-5
の規定を適用する。
7. 試験の厳しさ
次に置き換える。
試験炎を当てる時間は,次による。
試験炎を10秒間当てる。試験炎を取り去った後,自己保持性の炎が30秒以内に消える場合,同じ場所
又は別の場所に再度1分間接炎する。自己保持性の炎が再び30秒以内に消える場合,同じ場所又は別の場
所に再度2分間接炎する。
11. 試験結果の評価基準
次に置き換える。
1回目の接炎後に,試験片が完全に燃え尽きてはならない。どの接炎後にも,自己保持性の炎は30秒以
内に消えなければならない。
G.1.4 JIS C 60695-11-10に規定する燃焼性分類HB75又はHB40が必要な場合,次の条件の下でJIS C
60695-11-10の規定を適用する。
試験するものの最も薄い部分から切り出した長さ125±5 mm幅13±0.5 mmの3個の試験片を,JIS C
60695-11-10の箇条8(A法:水平燃焼試験)に基づいて燃焼試験を行う。
材料は,JIS C 60695-11-10の8.4(分類)にあるように,それぞれHB75又はHB40に分類しなければな
らない。
G.2
ケーブル及び電線の絶縁の適否は,JIS C 60695-11-5の規定に従って判定する。
この規格の目的では,JIS C 60695-11-5に関して次を適用する。
7. 試験の厳しさ
次に置き換える。
試験炎を当てる時間は,次による。
− 第1の試験片:10秒間
− 第2の試験片:60秒間
− 第3の試験片:120秒間
9. 試験手順
9.2
第4段落を,次に置き換える。
バーナ軸が垂直に対して45°になるようにバーナを固定する。
ケーブル又は電線をバーナの軸を含む垂直面に対して直角になるようにして,垂直に対して45°の角度
127
C 6065:2016
で保持する。
9.3
次に置き換える。
機器に用いるそれぞれのタイプのケーブル又は電線を,例えば,追加の遮蔽,スリーブを付けた状態で,
機器から切り取った3個の試験片で試験を行う。
10. 観察及び測定
第2段落を,次に置き換える。
燃焼持続時間とは,試験炎を取り去ったときから,あらゆる炎が消えるまでの時間をいう。
11. 試験結果の評価基準
次に置き換える。
試験中,絶縁材料の燃焼は安定しており,著しい炎の広がりを生じてはならない。炎は,試験炎を取り
去ってから30秒以内に消えなければならない。
G.3
バリアは,次の要求事項に適合しなければならない。
3個の試験片で次の試験を行う。
a) 非金属のバリアの場合,各試験片を水平に固定し,JIS C 60695-11-5に規定するようにニードルフレ
ームを45°の角度で下から当てる。
炎の先端は,次のいずれかとする。
1) 機器内での使用方法に合わせた実際の潜在的発火源への近接及び距離で,バリアの発火しやすい場
所に当てる。
2) 同じ厚さをもち,同じ材料でできたサンプル板の下面の中央部に当てる。
炎は,同じ場所に60秒間当てる。
ニードルフレームは,試験片を貫通してはならず,また,炎を当てた後,試験片に穴があいてはな
らない。
1個でも不合格になってはならない。
b) 材料に関係なくバリアに開口部がある場合,JIS C 60695-11-5に規定するニードルフレームがバリア
を貫通することができない場合を除き,図13に示す要求事項を適用する。
適否は,1) に基づく試験によって判定する。試験後バリアの開口部には変化があってはならない。
1個でも不合格になってはならない。
128
C 6065:2016
附属書H
(規定)
介在絶縁物なしで用いる絶縁巻線(8.16参照)
H.1 一般事項
この附属書は,その絶縁が,介在する絶縁がない巻線部品において,基礎絶縁,付加絶縁,二重絶縁又
は強化絶縁に供するために用いてもよい絶縁物をもつ巻線について規定する。
この附属書は,直径が0.05〜5.0 mmの間の円形巻線に適用する。
H.2 形式試験
H.2.1 一般事項
電線は,特に規定がない限り,温度が15〜35 ℃,相対湿度45〜75 %で行う,H.2.2〜H.2.5の形式試験
に合格しなければならない。
H.2.2 絶縁強度
試験片は,JIS C 3216-5の4.4.1(常温試験)の規定に基づいて準備する。その後,10.4に規定する関連
試験を行う。ただし,10.3に規定する湿度処理は行わない。試験電圧は,表5の規定に該当する電圧の2
倍以上とするが,最小値は,次による。
− 強化絶縁に対しては,交流6 kV(実効値)又は交流8.4 kV(ピーク)
− 基礎絶縁又は付加絶縁に対しては,交流3 kV(実効値)又は交流4.2 kV(ピーク)
H.2.3 可とう性及び粘着性
表H.1に規定する直径のマンドレルを用いて,JIS C 3216-3の5.1.1(丸線)に規定する巻付け試験を行
う。
試験片をJIS C 3216-3の5.1.1.4(テープ巻丸線)の規定に基づいて検査し,その後,10.4に規定する関
連試験を行う。ただし,10.3に規定する湿度処理は行わない。試験電圧は,電線とマンドレルとの間に加
える。試験電圧は,表5に規定する電圧以上とするが,最小値は,次による。
− 強化絶縁に対しては,交流3 kV(実効値)又は交流4.2 kV(ピーク)
− 基礎絶縁又は付加絶縁に対しては,交流1.5 kV(実効値)又は交流2.1 kV(ピーク)
表H.1−マンドレルの直径
導体の公称直径
mm
マンドレルの直径
mm
0.05〜0.34
4.0±0.2
0.35〜0.49
6.0±0.2
0.50〜0.74
8.0±0.2
0.75〜2.49
10.0±0.2
2.50〜5.00
導体直径の4倍a)
注a) IEC 60317-43による。
マンドレルに巻き付けるときに電線に加える張力は,118 MPa±10 %(118 N/mm2±10 %)になるように,
電線の直径から算出する。
129
C 6065:2016
H.2.4 熱衝撃
IEC 60851-6の箇条3(耐熱衝撃)に規定する試験に続いて,表5に規定する耐電圧試験を行う。ただし,
試験電圧は,電線とマンドレルとの間に加える。試験電圧は,表5に規定する電圧以上とするが,最小値
は,次による。
− 強化絶縁に対しては,交流3 kV(実効値)又は交流4.2 kV(ピーク)
− 基礎絶縁又は付加絶縁に対しては,交流1.5 kV(実効値)又は交流2.1 kV(ピーク)
恒温槽の温度は,表H.2に規定する絶縁の耐熱クラスに対応する温度とする。
マンドレルの直径及びマンドレルに巻き付けるときに電線に加える張力は,H.2.3の規定による。
耐電圧試験は,恒温槽から取り出した後,室温で行う。
表H.2−恒温槽の温度
耐熱クラス
A
(105)
E
(120)
B
(130)
F
(155)
H
(180)
恒温槽温度 ℃
200±5
215±5
225±5
240±5
260±5
H.2.5 屈曲後の耐電圧の保持
5個のサンプルをH.2.2の規定に従って準備し,次の試験手順で試験を行う。各サンプルをマンドレル
から取り外し,5 mm以上のメタルショットで囲むように容器の中に置く。サンプルの導体の両終端は,
フラッシュオーバを避けるため十分に長くする。ショットは直径が2 mm以下で,ステンレス鋼,ニッケ
ル,又はニッケルめっきした鉄のボールで構成する。サンプルが5 mm以上のショットで覆われるまで,
静かにショットを容器に入れる。ショットは,定期的に適切な溶剤で洗浄する。
試験電圧は,表5に規定する適切な電圧以上とするが,最小値は,次による。
− 強化絶縁に対しては,交流3 kV(実効値)又は交流4.2 kV(ピーク)
− 基礎絶縁又は付加絶縁に対しては,交流1.5 kV(実効値)又は交流2.1 kV(ピーク)
試験電圧は,ショットと導体との間に加える。
H.3 製造工程中の試験
H.3.1 一般事項
巻線用絶縁電線は,電線の製造業者が,H.3.2及びH.3.3に規定するように,製造中に耐電圧試験を行う。
H.3.2 ルーチン試験
ルーチン試験の試験電圧は,表5に規定する適切な値とするが,最小値は,次による。
− 強化絶縁に対しては,交流3 kV(実効値)又は交流4.2 kV(ピーク)
− 基礎絶縁又は付加絶縁に対しては,交流1.5 kV(実効値)又は交流2.1 kV(ピーク)
H.3.3 サンプリング試験
ツイストペアサンプルは,JIS C 3216-5の4.4.1の規定に基づいて試験を行う。電圧は,表5に示す適切
な値の2倍とするが,最小値は次による。
− 強化絶縁に対しては,交流6 kV(実効値)又は交流8.4 kV(ピーク)
− 基礎絶縁又は付加絶縁に対しては,交流3 kV(実効値)又は交流4.2 kV(ピーク)
130
C 6065:2016
附属書I
(規定なし)
131
C 6065:2016
附属書J
(規定)
最小空間距離を求めるための代替方法
J.1
一般事項
この附属書は,13.3に引用した最小空間距離を決定するための代替方法である。
空間距離を実証するための耐電圧試験はない。
J.2
最小空間距離を決めるための手順の概要
注記 基礎絶縁,付加絶縁及び強化絶縁の最小空間距離は,一次回路でも,その他の回路でも,必要
な耐電圧によって決まる。必要な耐電圧は,通常動作電圧(スイッチモード電源のような内部
回路に起因する反復的なピークを含む。)と外来過渡現象による非反復的な過電圧との相互影響
による。
それぞれの必要な空間距離の最小値を決定するための手順は,次による。
a) 対象となる空間距離間のピーク動作電圧を測定する。
b) 機器が主電源で動作する場合は,次による。
− 主電源過渡電圧(J.3参照)を決定する。
− 交流主電源電圧のピーク値を算出する。
c) 交流主電源過渡電圧及び内部過渡電圧に対して必要な耐電圧を求めるために,上記の電圧値及びJ.5 a)
による。ネットワーク線からの過渡電圧がない場合は,手順g) に進む。
d) 機器をネットワーク線に接続する場合,ネットワーク線過渡電圧を決定する(J.4参照)。
e) ネットワーク線過渡電圧に対して必要な耐電圧を決定するために,ネットワーク線過渡電圧及びJ.5 b)
のルールを用いる。主電源過渡電圧及び内部過渡電圧がない場合は,手順g) に進む。
f)
総合した必要な耐電圧を決定するために,J.5 c) による。
g) 最小空間距離を決定するために,必要な耐電圧を用いる(J.7参照)。
J.3
主電源過渡電圧の決定
交流主電源から電力供給を受ける機器に対して,主電源過渡電圧の値は,過電圧カテゴリ及び交流主電
源電圧の公称値に依存する。一般に,交流主電源に接続することを意図した機器の空間距離は,過電圧カ
テゴリIIの主電源過渡電圧に対して設計しなければならない。
主電源過渡電圧の該当する値は,表J.1を用いて過電圧カテゴリ及び公称交流主電源電圧から決定する。
我が国の公称100 Vシステムに対する主電源過渡電圧は,表J.1の150 Vの行から選択する。
132
C 6065:2016
表J.1−主電源過渡電圧
公称交流主電源電圧
相線と中性線との間
V(実効値)以下
主電源過渡電圧
V(ピーク)
過電圧カテゴリ
I
II
50
330
500
100
500
800
150 a)
800
1500
300 b)
1500
2500
600 c)
2500
4000
注記1 (対応国際規格の“ノルウェーでは,IT電力送電システムを用いるので,
交流主電源電圧は相線相互間電圧に等しいとみなす。単一接地不良の場
合でも230 Vのままである。”の注記を削除した。)
注記2 (対応国際規格の注記は,要求事項の一部であるため,規定文にした。)
注a) 120/208 V又は120/240 Vを含む。
b) 230/400 V又は277/480 Vを含む。
c) 400/690 Vを含む。
J.4
ネットワーク線過渡電圧の決定
対象となるネットワーク線に対して,ネットワーク線過渡電圧が不明な場合,次の値を用いる。
− ネットワーク線に接続する回路がTNV-1回路又はTNV-3回路の場合,1 500 V(ピーク)
− ネットワーク線に接続する回路がTNV-0回路又はTNV-2回路の場合,800 V(ピーク)
ネットワーク線の過渡電圧が1.5 kVを超える可能性がある場合は,附属書Bの注記1参照。
J.5
必要な耐電圧の決定
必要な耐電圧の決定は,次による。
a) 主電源過渡電圧及び内部過渡電圧 必要な耐電圧は,次によって決定する。
− 主電源に導電的に接続した回路であって,主電源過渡電圧を減衰なしで受ける回路
このような回路の場合,ネットワーク線からの過渡電圧の影響は無視し,次のルールを適用する。
ルール1) ピーク動作電圧Upoが公称交流主電源電圧のピーク値以下の場合,必要な耐電圧は,
J.3で決定した主電源過渡電圧とする。
U必要な耐電圧=U主電源過渡電圧
ルール2) ピーク動作電圧Upoが公称交流主電源電圧のピーク値を超える場合,必要な耐電圧は,
J.3で決定した主電源過渡電圧にピーク動作電圧と表J.1の公称交流主電源電圧のピー
ク値との差を加えた値とする。
U必要な耐電圧=U主電源過渡電圧+Upo−U主電源のピーク値
− 主電源に導電的に接続していない回路で,そこへの電力供給回路が主電源に導電的に接続されてお
り,主電源過渡電圧を減衰なしで受ける回路
このような回路の場合,必要な耐電圧は,ネットワーク線からの過渡電圧の影響を無視し,次の
ように決定する。
J.3で求めた主電源過渡電圧を,次のリストで一つだけランクを下げ,上記のルール1) 及び2) を
適用する。ただし,主電源に導電的に接続していないフローティング回路が,保護接地端子をもつ
機器の中にあり,15.2に基づく保護接地に接続した接地保護遮蔽物によって,主電源に導電的に接
133
C 6065:2016
続した回路から分離していない場合,このフローティング回路には,この減少は許容しない。
主電源過渡電圧のリスト: 330 V,500 V,800 V,1 500 V,2 500 V及び4 000 V(ピーク)
代替法として上記のルール1) 及び2) を適用してもよいが,測定によって決定した電圧[J.6 a) 参
照]を主電源過渡電圧とする。
− 主電源に導電的に接続した回路及び主電源に導電的に接続していない回路であって,減衰のない主
電源過渡電圧を受けない回路
このような回路の場合,必要な耐電圧は,ネットワーク線からの過渡電圧の影響を無視し,次の
ようにして決定する。
上記のルール1) 及びルール2) を適用するが,測定によって決定した電圧[J.6 a) 参照]を主電
源過渡電圧として扱う。
− 容量性のフィルタをもつ直流電源によって電力供給し,主電源に導電的に接続していない回路
容量性フィルタをもつ直流電源によって電源供給し,主電源に導電的に接続していない任意の接
地回路では,必要な耐電圧は直流電圧に等しいものとして扱う。
b) ネットワーク線過渡電圧 ネットワーク線からの過渡電圧だけを含む場合,J.6 b)の規定に基づいて試
験したときに低い値を得ることができない限り,必要な耐電圧はJ.4によって決定したネットワーク
線過渡電圧とする。
c) 過渡電圧の組合せ a) 及びb) の両方の過渡電圧を含む場合,必要な耐電圧は,二つの電圧の大きい
方とする。二つの値は加算しない。
J.6
過渡電圧レベルの測定
次の試験は,ある回路の空間距離間の過渡電圧が,例えば,機器内のフィルタの効果によって通常のレ
ベルよりも低いかどうかを決定するためにだけ行う。空間距離間の過渡電圧は,次の試験手順を用いて測
定する。
試験中,別の電源装置がある場合は機器に接続する。ただし,主電源又はネットワーク線には接続しな
い。さらに,主電源に導電的に接続した回路にあるサージ抑制器は外しておく。
電圧測定デバイスは,対象となる空間距離間に接続する。
a) 主電源の過電圧による過渡電圧の減少レベルを測定するために,附属書Kに規定するインパルス試験
発生器を用いて1.2/50 μsのインパルスを発生させる。Ucは,J.3の規定によって決定した主電源過渡
電圧とする。
インパルス間の間隔を1秒間以上として,極性が交互の3〜6個のインパルスを,該当する場合,次
の箇所の間に加える。
− 相線相互間
− 互いに導電的に接合した全ての相導体と中性線との間
− 互いに導電的に接合した全ての相導体と保護接地との間
− 中性線と保護接地との間
b) ネットワーク線の過電圧による過渡電圧の減少レベルを測定するために,附属書Kに規定するインパ
ルス試験発生器を用いて10/700 μsのインパルスを発生させる。Ucは,J.4で決定したネットワーク線
過渡電圧とする。
インパルス間の間隔を1秒間以上として,極性が交互の3〜6個のインパルスを単一インタフェース
形の次のネットワーク線の接続点間に加える。
134
C 6065:2016
− インタフェースの,それぞれペアになった端子間(例えば,AとBとの間,又はチップとリングと
の間)
− 単一インタフェース形の全ての端子を互いに接合したものと大地との間
同じ回路の一組だけを試験する。
J.7
最小空間距離の決定
各空間距離は,J.5の規定によって決定した必要な耐電圧の値を用いて,表J.2に規定する最小寸法に適
合しなければならない。
サーモスタット,サーマルカットアウト,過負荷保護デバイス,マイクロギャップ構造のスイッチ及び
接点によって空隙が変化する同様の部品の,接点間の空隙には規定する空間距離は適用しない。
注記 分離デバイスの接点間の空隙については,8.18の規定を参照する。
海抜2 000 mを超えるところで動作させる機器には,表J.2の規定に追加してJIS C 60664-1の表A.2を
用いるのがよい。
135
C 6065:2016
表J.2−最小空間距離
必要な耐電圧
交流(ピーク)又は直流
V
最小空間距離
基礎絶縁及び付加絶縁
mm
強化絶縁
mm
400 以下
0.2 (0.1)
0.4 (0.2)
800
0.2 (0.1)
0.4 (0.2)
1000
0.3 (0.2)
0.6 (0.4)
1200
0.4 (0.3)
0.8 (0.6)
1500
0.8 (0.5)
1.6 (1)
2000
1.3 (1)
2.6 (2)
2500
2
(1.5)
4
(3)
3000
2.6 (2)
5.2 (4)
4000
4
(3)
6
6000
7.5
11
8000
11
16
10000
15
22
12000
19
28
15000
24
36
25000
44
66
40000
80
120
50000
100
150
60000
120
180
80000
173
260
100000
227
340
J.5 a) に規定する主電源に導電的に接続した回路の場合を除き,隣接する2点間には直線内挿法を適用する。算
出した最小空間距離は,0.1 mm単位に切り上げる。
括弧内の値は,製造工程に品質管理システムを適用するときだけに適用できる(このような品質管理プログラム
の例は,附属書Mにある。)。特に,二重絶縁及び強化絶縁には,絶縁強度のルーチン試験を行う。
主電源に導電的に接続していない回路に対しては,次の場合,8.4 mm以上の空間距離への適合は不要とする。空
間距離の経路は,次のいずれかによる。
− 全てが空気層からなる。
− 全体又は一部が材料グループI(CTI. 600)の絶縁の表面に沿っている。
さらに,関連する絶縁が次のいずれかによる10.4に規定する耐電圧試験に耐える。
− 実効値が動作電圧のピーク値の1.06倍に等しい交流試験電圧
− 上記の交流試験電圧のピーク値に等しい直流試験電圧
空間距離の経路が,材料グループIでない材料の表面を部分的に通る場合,空隙部間にだけ耐電圧試験を行う。
適否は,附属書Eの規定を考慮した測定によって判定する。
次の条件を適用する。
可動部は,最も好ましくない位置にする。
エンクロージャのスロット又は開口部を通して絶縁材料のエンクロージャからの空間距離を測定する場
合,可触の表面は,JIS C 0922に規定する検査プローブBに基づく関節付きテストフィンガ(9.1.1.3参照)
でほとんど力を加えずに触れることができる部分は全て,金属はくで覆われているかのように導電性があ
るとみなす(図3のB点参照)。
空間距離を測定する場合,テストフィンガに13.3.1に規定する試験の力を加える。
136
C 6065:2016
附属書K
(規定)
インパルス試験発生器
(13.3.4及びJ.6参照)
表K.1に規定する値の部品を用いた図K.1に示す回路を用いてインパルスを発生させる。コンデンサC1
は初めに電圧Ucに充電しておく。
このインパルス試験回路は,ITU-T Recommendation K.44に基づいている。
インパルス波形は開路時のものであり,負荷状態では異なってもよい。
注記 コンデンサC1は高電位に充電されているので,これらの発生器を用いる場合,特別の注意が必
要となる。
図K.1−インパルス発生回路
表K.1−インパルス発生回路の部品の値
試験インパルス
C1
R1
R2
C2
R3
10/700 μs
20 μF
50 Ω
15 Ω
0.2 μF
25 Ω
1.2/50 μs
1 μF
76 Ω
13 Ω
33 nF
25 Ω
137
C 6065:2016
附属書L
(規定)
写真用エレクトロニックフラッシュ装置に適用する追加要求事項
L.1
概要
写真用エレクトロニックフラッシュ装置に対しては,この附属書によって,本体の要求事項を補足又は
置き換えた要求事項を適用する。
注記1 この附属書は,JIS C 9491を置き換えたものである。
注記2 この附属書の箇条番号は,この規格の箇条番号に対応している。
L.2
一般事項
次の細分箇条を,1.1.1の最後に追加する。
L.1.1.1 この附属書は,水滴又は飛まつ(沫)がかかることを意図しない,2 000 J以下の蓄積エネルギー
をもつ,次の写真用エレクトロニックフラッシュ装置及び関連装置に適用する。
− 同時に動作する一つ以上のフラッシュヘッドを付けることができる単一フラッシュ装置
− 連続した写真露光用照明装置
− 写真用エレクトロニックフラッシュ装置と連結して用いる電池充電器及び電源装置。これらの補助装
置は主電源プラグの一部を形成してもよい。
− 取扱説明書に記載した附属品
この附属書は,ストロボスコープには適用しない。
2 000 Jを超える蓄積エネルギーをもつ装置に対する適切な要求事項がない場合,適用できる限り,この
附属書を用いてもよい。爆発,熱放射などに対しては,追加の要求事項が必要になる場合がある。
この附属書は,温帯及び熱帯気候の両方において用いる装置を対象とすることを意図している。
写真用エレクトロニックフラッシュ装置と連結するモデリングランプについては,適用できる範囲内で,
JIS C 8105-2-9又はJIS C 8105-2-17から追加要求事項を得てもよい。
L.4
試験に関する一般条件
次の細分箇条を,4.2.13の後に追加する。
L.4.2.14 装置は,フラッシュヘッド,コンデンサ,その他の附属品を接続した状態か,又は接続しない状
態で試験を行う。
L.4.2.15 主電源で動作する装置は,フラッシュなしで4時間スイッチをオンにする。電池又は充電式電池
だけで電源を供給する場合,30秒間スイッチをオンにする。
その直後に,できる限り速く,連続した多くのフラッシュをせん(閃)光させる。ただし,最大40回と
する。せん光のタイミングは,表示器によるか,又は表示器がない場合,フラッシュ用コンデンサの測定
電圧が最大ピーク電圧の85 %になったときとする。装置には,定格電圧を供給する。
十分放電した充電式電池に,その電池専用に設計した充電器を4時間接続する。
次の細別を,4.3.4に追加する。
L.4.3.4
− ランプのフィラメントの断線
138
C 6065:2016
− (指示又は制御用に用いる)グロー放電ランプの短絡及び開路
次の細別を,4.3.5に追加する。
L.4.3.5
g) 過熱に関して,(例えば,金属化紙タイプの)自己回復コンデンサ。
L.5
表示及び説明書
次の文を,5.5.1の後に追加する。
L.5.5.1 電池充電器及び電源装置には,それらの使用を意図したフラッシュ装置の形式又はモデル番号を
記載した取扱説明書を添付しなければならない。
フラッシュ装置には,その使用を意図した電源装置又は電池充電器の形式又はモデル番号を記載した取
扱説明書を添付しなければならない。
代替として,この情報を装置自体の上に表示してもよい。
適否は,目視検査によって判定する。
L.7
通常動作状態の下での温度上昇
次の文を,7.1.6の第1段落の後に追加する。
L.7.1.6 リチウム電池は,JIS C 8513の関連する電気的試験に規定する要求事項に適合しない場合,表3
に規定する“通常動作状態”欄の許容温度上昇を満たさなければならない。
L.9
通常動作状態の下での感電の危険
次の文を,9.1.1.1の第2段落の後に追加する。
L.9.1.1.1 カメラのシンクロナイザに接続する端子は,危険な活電部になってはならない。
次の文を,9.1.1.2の第1段落の後に追加する。
L.9.1.1.2 可能な場合,測定中にフラッシュをせん光させる。
L.10 絶縁要求
次の文を,10.4.2の表5の直前に追加する。
L.10.4.2 高周波パルス点火を用いた装置の場合,パルス持続時間が1 ms以下のときは,試験電圧の計算
で点火パルスを無視する。
L.11 故障状態
次の文を,11.2.8の第1段落の後に追加する。
L.11.2.8 リチウム電池は,JIS C 8513に規定する全ての電気的試験に適合する電池でない限り,表3に規
定する“故障状態”欄の許容温度上昇を満たさなければならない。
L.12 機械的強度
次の文を,12.1.4の第4段落の後に追加する。
L.12.1.4 フラッシュ管の窓は,鋼球衝撃試験から除外する。
139
C 6065:2016
L.14 部品
次の細分箇条を,14.7.5の後に追加する。
L.14.7.6 さらに,主電源スイッチについては,スイッチの特性は,表示との関連において,通常動作状態
の下での装置のスイッチ機能として適切でなければならない。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
フラッシュ装置の定格主電源電流(Ir)は,次の式によって決定する。
2
1
1
0
2
0
r
ˆ
ˆ
ˆ
ˆ
3
1
I
I
I
I
I
+
+
×
=
ここに,
Î0: せん光させた直後の最大主電源電流(ピーク値)
Î1: フラッシュ用コンデンサの再充電時間の終わりにおける主電
源電流(ピーク値)。再充電時間の終わりは,インジケータに
よって決定し,インジケータがない場合,フラッシュ用コン
デンサの測定電圧によって決定し,その電圧は最大ピーク電
圧の85 %とする。装置には定格電圧を供給する。
定格電圧に接続することを除いて,この装置は通常動作状態の下で動作させる。
Î0及びÎ1は,せん光させる準備ができ,主電源に30分間以上接続した後,測定する。
ピークサージ電流は,フラッシュ用コンデンサが完全に放電した後に,そのフラッシュ装置のスイッチ
をオンにしたときの主電源電流の最大ピーク値とする。持続時間が100 μs以下の電流スパイクは無視する。
算出した定格主電源電流(Ir)及び測定したピークサージ電流は,主電源スイッチの表示定格電流を超
えてはならない。
L.20 耐火性
次の細別を,20.2.1の最後に追加する。
L.20.2.1
c) フラッシュ装置内の,放電用トリガコイル回路は,潜在的発火源とはみなさない。
140
C 6065:2016
附属書M
(参考)
空間距離の軽減を許容するための
品質管理プログラムに対する要求事項の例
注記 この附属書には,13.3及び附属書Jに規定する空間距離を軽減するための品質管理プログラム
に対する要求事項の例を示す。
13.3及び附属書Jの規定によって許容する軽減した空間距離を用いたい製造業者は,表M.1に記載する
構造の特性に対して品質管理プログラムを実行するのがよい。このプログラムには,空間距離に影響する
工具及び器具に対して特別の品質管理を含めることが望ましい。
製造業者は,直接品質に影響する保護,及び該当する場合,設置工程を明確にして計画し,これらの工
程を管理された状態の下で実行するのがよい。管理された状態には,次のものを含めることが望ましい。
− 作業説明書がないと,品質,適切な作業環境,関連する規格又は仕様への適合性,及び品質計画に多
大な影響がある場合,工程,機器,環境及び製造方法を指定する文書化した作業説明書
− 製造及び機器への組込みにおける,適切な工程及び製品の特性の監視及び管理
− 必要な程度を指定する文書化した仕様又は代表的なサンプルによる出来ばえの判定条件
− 適切であるとして認定した工程,機器,及び作業者に対する維持された記録
表M.1には,13.3及び附属書Jに規定する要求事項に適合するために必要な属性及び試験に対するサン
プリング計画を示してある。製造部品又は半製品のサンプリングの数は,IEC 60410,JIS Z 9015-1又は同
等の規格に基づくことが望ましい。
表M.1−サンプリング及び検査に対するルール−軽減した空間距離
試験
基礎絶縁
付加絶縁
強化絶縁
空間距離a)
サンプリング
検査水準:S-2
合格品質限界(AQL):4
サンプリング
検査水準:S-2
合格品質限界(AQL):4
サンプリング
検査水準:S-2
合格品質限界(AQL):4
耐電圧試験b)
無試験
無試験
ルーチン試験
1個の不合格の場合,原因の調
査が必要
注a) 試験及び検査の時間を最小にするために,空間距離の測定を破壊電圧の測定に置き換えてもよい。最初に正
確に空間距離を確認した10個のサンプルに対する破壊電圧を確定しておく。その後の部品又は半製品の破壊
電圧を,最初の10個のサンプルの最小破壊電圧から100 Vを引いた限度値で確認する。この限度値で破壊が
起きる場合,直接空間距離を測定して要求事項に適合することを確認しない限り,この部品又は半製品は不
合格とみなす。
b) 強化絶縁に対する耐電圧試験は,次のいずれか一つで構成するのがよい。
− 大きさが表5に規定する試験電圧(10.4.2参照)のピーク値に等しい1.2/50 μsのインパルス(附属書K
参照)を用い,極性が交互の6個のインパルス。
− 大きさが表5に規定する試験電圧(10.4.2参照)の交流電源周波数の3サイクルのパルス。
− 大きさが表5に規定する試験電圧(10.4.2参照)のピーク値に等しい10 msの直流インパルスを用い,極
性が交互の6個のインパルス。
141
C 6065:2016
附属書N
(参考)
ルーチン試験
N.1 一般事項
この附属書に示す試験は,安全性に関して材料又は製造の許容できないばらつきを明らかにすることを
目的とする。これらの試験は,機器の特性及び信頼性を損なうことはなく,製造業者は,製造中又は製造
後に全数これらの試験を行うことが望ましい。
一般的に,製造業者は過去の経験に基づいて,形式試験及びサンプリング試験を繰り返すなど,全ての
機器が,この規格の形式試験に適合したサンプルと同じであることを確認するために,追加試験を行う。
製造業者が実施した試験に耐えた機器が,この附属書に定めた試験に耐えた機器と少なくとも安全性に
おいて同じ程度であることが証明できる場合,製造業者は,自社の製造工程に対してより適した試験手順
を用いてもよいし,製造中の適切な段階でその試験を行ってもよい。
注記 一般的には適切な品質保証システム,例えば,JIS Q 9000の規格群が用いられている。
附属書Nに示す推奨事項は,ルーチン試験の例として挙げたものである。
N.2 製造工程中に行う試験
N.2.1 部品又は部分組立品の正しい極性及び接続
部品又は部分組立品の極性又は接続が正しくないと安全上の問題が起きる可能性がある場合,測定及び
目視検査によって,これらの部品又は部分組立品の極性及び接続が正しいことを確認することが望ましい。
N.2.2 部品の正しい値
部品の値が正しくないと安全性を損なう可能性がある場合,測定又は目視検査によって,これらの部品
が正しい値であることを確認することが望ましい。
N.2.3 遮蔽板及び金属バリアの保護接地接続
危険な活電部と可触部(8.4参照)とみなす端子又は可触金属部との間に,遮蔽板又は金属バリア(8.5
参照)をもつクラスI機器及びクラス0I機器の場合,製造工程のできるだけ最終の段階でこれらの遮蔽板
又は金属バリアと次に示す部分との間の保護接地接続の連続性を確認することが望ましい。
− 主電源プラグ又は機器用インレットの保護接地極
− 恒久接続機器の場合,保護接地端子
− クラス0I機器の場合,保護接地用口出し線又は機器用インレットの保護接地極
試験電流は,無負荷電圧が12 V以下の電源を用い,およそ10 Aの交流電流を1〜4秒間流すことが望ま
しい。
測定した抵抗値は,次の値以下が望ましい。
− 着脱可能な主電源コードを用いる機器は,0.1 Ω
− 着脱不可能な主電源コードを用いる機器は,0.2 Ω
測定器のプローブの先端と試験を行う金属部との間の接触抵抗が,試験結果に影響しないように注意す
る。
142
C 6065:2016
N.2.4 内部配線の正しい引回し
内部配線を正しく引き回さないと安全性を損なう可能性がある場合,目視検査によって内部配線の引回
しを確認することが望ましい。
N.2.5 機内接続するプラグの正しい接続状態
機内接続するプラグの接続状態が正しくないと安全性を損なうおそれがある場合,目視検査又は手によ
る試験によって,接続状態が正しいことを確認することが望ましい。
N.2.6 機器内部の安全性に関する表示
ヒューズに関する表示のような,機器内部にある安全に関する表示の読みやすさを,目視検査によって
確認することが望ましい。
N.2.7 機構部品の正しい取付け
機構部品の取付けが正しくないと安全性を損なうおそれがある場合,目視検査又は手による試験によっ
て,取付けが正しいことを確認することが望ましい。
N.3 製造工程の最終段階での試験
N.3.1 一般事項
組立てが完了し,こん包を行う直前に当該機器に対して,次の試験を行うことが望ましい。
N.3.2 耐電圧試験 (附属書JAに規定したため削除した。)
N.3.3 保護接地接続
クラスI機器に対しては,主電源プラグ又は機器用インレットの保護接地接続と,また,恒久接続機器
の場合,保護接地端子と次の部分との間で保護接地接続の連続性を確認することが望ましい。
クラス0I機器に対しては,保護接地用口出し線又は機器用インレットの保護接地接続と次の部分との間
で保護接地接続の連続性を確認することが望ましい。
− 可触部(8.4参照)とみなせる端子を含む,保護接地端子に接続する必要がある可触導電部
− 他の機器に電源を供給するコンセントがある場合,コンセントの保護接地極のそれぞれ
試験電流は,無負荷電圧が12 V以下の電源を用い,およそ10 Aの交流電流を1〜4秒間流すことが望ま
しい。
測定した抵抗値は,次の値以下が望ましい。
− 着脱可能な主電源コードを用いる機器は,0.1 Ω
− 着脱不可能な主電源コードを用いる機器は,0.2 Ω
測定プローブの先端と試験を行う導電部との接触抵抗が,試験結果に影響しないように注意する。
N.3.4 機器の外側にある安全関連表示
供給電圧など,機器の外側の安全性に関する表示の読みやすさを,目視検査によって確認することが望
ましい。
143
C 6065:2016
附属書JA
(規定)
製造時における耐電圧試験
この附属書に規定する試験は,安全性に関して材料又は製造の許容できないばらつきを明らかにするこ
とを目的とする。この試験は,機器の特性及び信頼性を損なうことはない。製造業者は,製造中及び/又
は製造後にこの試験を全数に行う。
機器の絶縁は,次の試験によって確認する。
表JA.1に規定するピーク値をもち,主電源周波数をもつ実質的に正弦波波形の交流試験電圧,直流試験
電圧,又は両者の組合せを,並列に接続した主電源端子と次に示す部分との間に印加する。ただし,これ
らは,正しくない組立てによって絶縁不良が起き,活電部になるおそれがある箇所に限る。
− 可触部(本体の8.4参照)とみなした端子
− 可触導電部分のそれぞれ
耐電圧試験中,可触部とみなした端子と可触導電部とを,接続しておいてもよい。
表JA.1−試験電圧
単位 V
試験電圧の印加箇所
試験電圧 交流(ピーク)又は直流
定格主電源電圧
150以下
定格主電源電圧
150を超える
基礎絶縁
1 130
[800(実効値)]
2 120
[1 500(実効値)]
二重絶縁又は強化絶縁
2 120
[1 500(実効値)]
3 540
[2 500(実効値)]
試験電圧を印加する前に,試験電圧を印加する電極と試験品との接触を密にする。
最初に,規定の試験電圧の半分以下の電圧を加え,その後1 560 V/ms以下の速度で規定値まで上げ,1
〜4秒間その値を維持する。
注記 1 560 V/msの上昇速度は,主電源周波数が60 Hzの正弦波の上昇速度に相当する。
試験中,主電源に導電的に接続した主電源スイッチ及び機能スイッチがある場合はオンの位置にしてお
き,適切な方法で試験電圧が完全に有効になるようにする。
試験中,フラッシュオーバ又は絶縁破壊が生じてはならない。試験電圧電源には,電流感知(過電流)
デバイスを設け,それが作動することによって試験結果が不合格であったことを示すようにする。試験電
圧電源は,電流トリップが起きるまで,ずっと規定の電圧を印加できるものとする。
電流感知デバイスがトリップした場合,フラッシュオーバ又は絶縁破壊が起きたものとみなす。
144
C 6065:2016
附属書JB
(参考)
過電圧・過電流に関する設置環境の現状及び対処法
(附属書B注記1参照)
この附属書は,機器に対して新たな技術基準を提案することが目的ではない。1.5 kVピークを超える過
電圧が機器にかかる可能性を低減する方法として,ITU-T Recommendation K.11に基づいて適切な措置を
講じた環境に設置する前提で,機器の遵守事項を記載する。ただし,我が国では,ITU-T Recommendation
K.11と整合のとれない環境も多々見受けられるため,望ましい環境について説明するとともに,望ましい
設置環境にするための対処法を示すことによって,設置環境改善の一助になることを目的とする。
JB.1 望ましい設置環境
金属線による各種サービスのための電線を建物に引き込む場合,過電圧抑制・過電流抑制のために,接
地導体を含め互いに近接していることが望ましい。特に電力線引込点,通信線引込点,及び接地導体引込
点は互いに近接させることが重要となる。その場合,遮蔽されていない通信線と電力線との間に発生する
電磁誘導には注意が必要となる。建物には,電力線及び通信線の引込点にできる限り近接して主接地端子
を設けることが望ましい。建物に引き込むシールドケーブルの遮蔽導体は全て,建物内のサージ電流を最
小にするため,引込点で直接又はアレスタなどのサージ防護デバイス(以下,SPDという。)を介して主
接地端子に接続しなければならない。必要ならば,接続部においては腐食対策を考慮する。
通信線に設けるSPDは,建物への引込点にできるだけ接近して取り付けることが望ましい。また,主電
力線の近傍にSPDを設置し,SPDから接地導体までの距離をできるだけ短くするとよい。接地導体を短く
低インピーダンスにすることは,電力系統保護導体と通信線との間のサージ電圧を減少するために有効で
ある。
TT配電系統における望ましい設置環境例を,図JB.1に示す。通信側と電力側との間に過度の電位差が
発生しないようにSPDを設置し,両者の接地線は短い導体で接続することが望ましい。推奨する設置環境
の詳細については,ITU-T Recommendation K.11,ITU-T Recommendation K.21,ITU-T Recommendation
K.27,ITU-T Recommendation K.31及びITU-T Recommendation K.66参照。
145
C 6065:2016
注a) 主接地端子への全ボンディング線は,可能な限り短くする(直撃雷の危険が大きいところでは1.5 m以下)。
b) SPDから主接地端子への接続線は,可能な限り短くする(1.5 m以下)。
c) SPDの設置(詳細略)。SPD接続線は,全て可能な限り短くする(0.5 m以下)。
図JB.1−単相三線式+中性線のTT電力系統における望ましい設置例
(ITU-T Recommendation K.66から)
JB.2 過電圧・過電流に関する設置環境の現状及び対処法
我が国における電力系統は,TT方式が多く採用されている。その代表例を,図JB.2に示す。このTT
方式は,中性線以外には接地導体が配線されない電力系統であり,接地接続を必要とする機器は,この中
性線の接地端子とは異なる電気的に独立した接地端子に,使用者が接続することを前提とする。
図JB.2−三線式TT電力系統の例
しかし,現状では,機器の設置場所に適切な接地端子付きコンセントが用意されていない場合が少なく
ない。一方,通信線の引込点に設けられるSPDの接地抵抗値が十分に小さくない場合があり,通信線に流
入しSPDを通って大地へ流れる雷サージ電流が接地抵抗に誘起する電圧によって,絶縁破壊が発生するこ
とが考えられる。電力系統にSPDを設けた場合も接地抵抗値が十分に小さくないと同様な結果が予想され
146
C 6065:2016
る。この状況を図JB.3に示す。
機器内部の過度の電位差が発生する場合,図JB.1に示すように,低抵抗の導体で両者を接続することに
よって効果的に低減することができる。
図JB.3−接地接続の不十分な設置環境(ITU-T Recommendation K.66から)
ネットワーク線接続機器を設計・販売する場合,ITU-T Recommendation K.11に基づき適切な措置が施
された環境に設置するための情報を提供することが望ましい。これによって,望ましい設置環境が速やか
に実現され,機器が安全に用いられることを期待する。
147
C 6065:2016
参考文献
JIS C 8282-1 家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント−第1部:一般要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60884-1,Plugs and socket-outlets for household and similar purposes−Part 1:
General requirements(MOD)
JIS C 9335-2-56 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性−第2-56部:プロジェクタ及びこれに類す
る機器の個別要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60335-2-56,Household and similar electrical appliances−Safety−Part 2-56:
Particular requirements for projectors and similar appliances
JIS C 9335-2-82 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性−第2-82部:サービス機器及びアミューズ
メント機器の個別要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60335-2-82,Household and similar electrical appliances−Safety−Part 2-82:
Particular requirements for amusement machines and personal service machines
JIS C 9491:2000 写真用エレクトロニックフラッシュ装置の安全性要求事項
なお,JIS C 9491は,JIS C 6065:2009(追補1)に統合されると同時に廃止された。
JIS C 60664-4 低圧系統内機器の絶縁協調−第4部:高周波電圧ストレスの考慮
注記 対応国際規格:IEC 60664-4,Insulation coordination for equipment within low-voltage systems−Part
4: Consideration of high-frequency voltage stress(IDT)
JIS C 61558-2-1 変圧器,電源装置,リアクトル及びこれに類する装置の安全性−第2-1部:一般用の
複巻変圧器及び複巻変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試験
注記 対応国際規格:IEC 61558-2-1,Safety of power transformers, power supplies, reactors and similar
products−Part 2-1: Particular requirements and tests for separating transformers and power supplies
incorporating separating transformers for general applications(MOD)
JIS C 61558-2-4 入力電圧1 100 V以下の変圧器,リアクトル,電源装置及びこれに類する装置の安全
性−第2-4部:絶縁変圧器及び絶縁変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試験
注記 対応国際規格:IEC 61558-2-4,Safety of transformers, reactors, power supply units and similar
products for supply voltages up to 1 100 V−Part 2-4: Particular requirements and tests for isolating
transformers and power supply units incorporating isolating transformers(MOD)
JIS C 61558-2-6 入力電圧1 100 V以下の変圧器,リアクトル,電源装置及びこれに類する装置の安全
性−第2-6部:安全絶縁変圧器及び安全絶縁変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試験
注記 対応国際規格:IEC 61558-2-6,Safety of transformers, reactors, power supply units and similar
products for supply voltages up to 1 100 V−Part 2-6: Particular requirements and tests for safety
isolating transformers and power supply units incorporating safety isolating transformers(MOD)
JIS K 6899-1 プラスチック−記号及び略語−第1部:基本ポリマー及びその特性
注記 対応国際規格:ISO 1043-1,Plastics−Symbols and abbreviated terms−Part 1: Basic polymers and
their special characteristics(MOD)
JIS Q 9000(規格群) 品質マネジメントシステム
注記 対応国際規格:ISO 9000 (all parts),Quality management and quality assurance standards(IDT)
JIS S 0137:2000 消費生活用製品の取扱説明書に関する指針
148
C 6065:2016
注記 対応国際規格:ISO/IEC Guide 37:1995,Instructions for use of products of consumer interest(IDT)
JIS Z 8051:2004 安全側面−規格への導入指針
注記 対応国際規格:ISO/IEC Guide 51:1999,Safety aspects−Guidelines for their inclusion in standards
(IDT)
JIS Z 9015-1:2006 計数値検査に対する抜取検査手順−第1部:ロットごとの検査に対するAQL指標型
抜取検査方式
注記 対応国際規格:ISO 2859-1:1999,Sampling procedures for inspection by attributes−Part 1: Sampling
schemes indexed by acceptance quality limit (AQL) for lot-by-lot inspection(IDT)
IEC 60130-2,Connectors for frequencies below 3 MHz−Part 2: Connectors for radio receivers and associated
sound equipment
IEC 60130-9,Connectors for frequencies below 3 MHz−Part 9: Circular connectors for radio and associated
sound equipment
IEC 60169-3,Radio-frequency connectors−Part 3: Two-pin connector for twin balanced aerial feeders
IEC 60320-2-2:1998,Appliance couplers for household and similar general purposes−Part 2-2: Interconnection
couplers for household and similar equipment
IEC 60410:1973,Sampling plans and procedures for inspection by attributes
IEC 60695 (all parts),Fire hazard testing
IEC 60906-1:2009,IEC system of plugs and socket-outlets for household and similar purposes−Part 1: Plugs and
socket-outlets 16 A 250 V a.c.
IEC 62087,Methods of measurement for the power consumption of audio, video and related equipment
IEC Guide 104,The preparation of safety publications and the use of basic safety publications and group safety
publications
IEC Guide 112,Guide on the safety of multimedia equipment
ICRP 15:1969,Protection against ionizing radiations from external sources−Published by the International
Commission on Radiological Protection
ITU-T Recommendation K.11,Principles of protection against overvoltages and overcurrents
ITU-T Recommendation K.21,Resistibility of telecommunication equipment installed in costomer premises to
overvoltages and overcurrents
ITU-T Recommendation K.27:1996,Bonding configurations and earthing inside a telecommunication building
ITU-T Recommendation K.31:1993,Bonding configurations and earthing of telecommunication installations
inside a subscriberʼs building
ITU-T Recommendation K.66:2004,Protection of customer premises from overvoltages
149
C 6065:2016
附属書JC
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS C 6065:2016 オーディオ,ビデオ及び類似の電子機器−安全性要求事項
IEC 60065:2014,Audio, video and similar electronic apparatus−Safety requirements
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及び
その内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1.1
適用範囲
1.1
JISとほぼ同じ 削除
適用機器例として“市民バンド機器”,“伝達媒
体として低電圧主電源を用いる相互通信機器”
を削除した。
“市民バンド機器”は,我が国ではほ
とんどないとのことから,また“伝達
媒体として低電圧主電源を用いる相
互通信機器”は,具体性に欠けること
から,事例として適切でないので,例
示から削除した。
追加
“我が国では,温帯気候の規定を適用する。”を
追加した。
我が国の風土,気候,配電事情などを
考慮した。
2.1
用語及び定義(ア
ルファベット順)
2.1
JISとほぼ同じ 追加
クラス0I(2.6.2A)を追加した。
我が国の配電事情を考慮した。
2.6
感電に対する保護
及び絶縁
2.6
JISとほぼ同じ 追加
2.6.2Aにおいて,クラス0Iを定義し,追加した。 我が国の配電事情のため,クラス0I
機器を認め,追加した。関連する要求
事項にも,クラス0I機器を追加した。
3.2
クラス指定
3.2
JISとほぼ同じ 追加
注記として,頻繁に移動させて用いる機器は,
クラスI及びクラス0I機器としないことが望ま
しいことを記載し,さらに,設置時に明らかに
接地接続が困難な状況で用いられる機器を制限
することを記載した。
我が国の配電事情から,クラス0I機
器及びクラスI機器に制限を設けた。
3
C
6
0
6
5
:
2
0
1
6
150
C 6065:2016
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及び
その内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4
試験に関する一般
条件
4
JISとほぼ同じ 削除
対応国際規格の4.2.9の“さらに,市民バンド機
器の場合には,アンテナ端子に定格負荷インピ
ーダンスを接続する場合若しくは接続しない場
合,又は適用できる場合,任意の長さに伸ばし
た伸縮アンテナに接続する。伝送試験条件は,
IEC/TS 61149に規定する。”及び4.3.13の“市
民バンド機器に対しては,短絡を含め最も厳し
い負荷インピーダンスをアンテナ端子又はアン
テナ自体に接続する。例えば,アンテナ端子が
ないときは伸縮アンテナに接続する。伝送試験
条件は,IEC/TS 61149に規定する。”を削除し
た。
1.1.1において市民バンド機器を削除
したため,この箇条でも削除した。
変更
4.3.14において,故障状態の下での試験のとき
に,電圧切換器の最も不利な位置として,その
可変範囲の最大電圧とした。
我が国の電源事情から,対応国際規格
に規定する250 Vに設定できないこと
に配慮した。
5.4
注意表示
5.4
JISとほぼ同じ 変更
5.4 c) において,“12.7.1に規定する”及び“リ
チウム”の語句を追加した。
対応国際規格の本来の要求事項を明
確にした。
5.5
説明書
5.5
JISとほぼ同じ 変更
5.5.2 j) において,“12.7.1に規定する”及び“リ
チウム”の語句を追加した。
対応国際規格の本来の要求事項を明
確にした。
追加
5.5.3において,設置規則として電気設備に関す
る技術基準を定める省令を例示した。
国内の関連法令を考慮した。
追加
5.5.3Aにおいて,クラス0I機器に対する注意文
を追加した。
クラス0I機器の接地接続の必要性を
喚起するため,追加した。
6.2
レーザ放射
6.2
JISとほぼ同じ 追加
従来形のランプとして機能するように設計され
たレーザシステムに対し,JIS C 6802:2014の適
用を認めるため,6.2.0Bを追加した。この細分
箇条を追加したため,項目名として“6.2.0A 一
般事項”を追加した。
フロント投写形プロジェクタの評価
を可能にするため,追加した。
3
C
6
0
6
5
:
2
0
1
6
151
C 6065:2016
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及び
その内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7
通常動作状態の下
での温度上昇
7.1
JISとほぼ同じ 追加
表3の“意図した使用中に触れそうにない部分”
に条件を満たす機器内部のヒートシンクをカバ
ーするエンクロージャに関する表示例を追加し
た。
要求事項に適合する表示内容を明確
にした。
追加
表3に規定していない材料については,所定の
条件下で関連法規に適合するものを認め,JIS C
3662の規格群又はJIS C 3663の規格群に適合す
る電線には,b) の電源コード及び配線に関する
表の限度値を適用することとし,その他の電線
の故障状態の下での限度値を規定した。また,
関連法規として技術基準の解釈の別表第四1 (1)
ロ(ハ)を例示した。
表3に規定していない材料及び部品
であっても電気用品安全法を考慮し,
安全上,問題がないものを認め,JIS
を採用するとともに,その他の電線の
故障状態での限度値を明確にした。
追加
7.2において,注記として,試験の必要のない部
品の範囲に,IEC規格に整合したJIS又はこの
規格で認めた部品を追加した。
試験の必要のない部品の範囲を明確
にした。
8
感電保護に関する
構造要求
8
JISとほぼ同じ 追加
8.5において,クラス0I機器を追加し,保護接
地端子又は接点を要求した。
我が国の配電事情から,クラス0I機
器にも必要な接地手段を規定した。
9
通常動作状態の下
での感電の危険
9
JISとほぼ同じ 追加
9.1.1.2 a) の次に,“電圧がa)の限度値を超える
場合には,b)〜d)を適用する。”を追加した。ま
た,9.1.1.2 b) において,クラス0I機器を追加し,
タッチカレント限度値として,1.0 mAを定めた。
対応国際規格の誤記を訂正し,本来の
要求事項を明確にした。本件は
IEC/TC108に修正を依頼した。
クラス0I機器に対し,電気用品安全
法技術基準の限度値と同等の限度値
とした。
10
絶縁要求
10
JISとほぼ同じ 追加
10.2において,クラス0I機器を追加し,クラス
II機器と同様に,サージ電圧試験を課した。
クラス0I機器の安全確保のため,追
加した。
10.2及び10.3において,試験中,機器は,通電
しないとした。
規定文であるので,対応国際規格の
“しないほうがよい(should not)”を
“しない”と言い切りにした。
10.4.2において,100 Vのピーク値の142 Vに対
する試験電圧を記載した。
日本の商用電圧100 Vにおける試験電
圧を明確にした。
3
C
6
0
6
5
:
2
0
1
6
152
C 6065:2016
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及び
その内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
11
故障状態
11
JISとほぼ同じ 追加
11.2.2において,規定と同等以上の特性をもつ
ヒューズも認め,同等以上の特性をもつものと
して,技術基準の解釈の別表第三を例示した。
電気用品安全法に配慮し,安全上問題
のないものを認めた。
追加
11.2.2において,JIS C 6575の規格群に規定する
A種及びB種のヒューズの溶断特性を追記し
た。また,JIS C 6575の規格群以外のヒューズ
の場合は,その特性を考慮した試験を課した。
さらに,例示した技術基準の解釈の別表第三に
規定するA種及びB種のヒューズの溶断特性を
注記に記載した。
試験条件を明確にした。
変更
11.2.7において,クラス0I機器を追加し,保護
接地接続の連続性を要求した。
クラスI機器と同様,安全性を確保す
るため,クラス0I機器にも要求した。
14.3
コンデンサ及び
RCユニット
14.3
JISとほぼ同じ 変更
対応国際規格では,JIS C 5101-14の表9(空間
距離及び沿面距離)を引用しているが,引用先
は,表3が正しいため,修正した。
対応国際規格に誤記があったため,修
正した。
14.6.2
サーマルリリース
(温度過昇防止装
置)
14.6.2 JISとほぼ同じ 追加
14.6.2.3において,JIS C 6691と同等以上の特性
をもつ温度ヒューズも認めた。また,同等以上
の特性をもつものとして,技術基準の解釈の別
表第三を例示した。
電気用品安全法に配慮し,安全上問題
のないものを認めた。
変更
14.6.2.3において,耐電圧試験の引用部分の誤記
を修正した。
対応国際規格の誤記を訂正し,本来の
要求事項を明確にした。
14.6.3
ヒューズ及びヒュ
ーズホルダ
14.6.3 JISとほぼ同じ 追加
14.6.3.1において,JIS C 6575の規格群と同等以
上の特性をもつヒューズも認めた。また,同等
以上の特性をもつものとして,技術基準の解釈
の別表第三を例示した。
電気用品安全法に配慮し,安全上問題
のないものを認めた。
追加
14.6.3.2において,JIS C 6575の規格群に規定す
るA種又はB種ヒューズ,及び同等以上のもの
として例示した技術基準の解釈の別表第三に規
定するA種又はB種ヒューズのヒューズ近傍へ
の表示内容を規定した。
電気用品安全法に配慮し,安全上問題
のないものを認めるとともに,明確化
した。
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(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及び
その内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
14.11
電池
14.11 JISとほぼ同じ 追加
14.11.1,14.11.4及び14.11.5において,密閉型小
型二次電池に適合する規格として,JIS C 8712
を追加した。
電気用品安全法に配慮した。
14.12
オプトカプラ
14.12 JISとほぼ同じ 変更
空間距離及び沿面距離を規定する箇所として,
13.1を箇条13へ変更した。
13.1は一般事項であるため,要求事項
の範囲を明確化した。
変更
製造時における耐電圧試験の附属書番号を修正
した。
附属書Nの耐電圧試験は,附属書JA
に置き換えたため,引用先を変更し
た。
14.13
サージ抑制バリス
タ
14.13 JISとほぼ同じ 変更
サージ抑制バリスタを主電源に接続した部分と
可触導電部との間に接続する場合の要求事項を
明確にした。
外部アンテナ接続機器の雷サージに
対する保護として,サージ抑制バリス
タとガス放電管とを直列に接続する
方法が必要なため,これを認めた。
15.1
プラグ及びソケッ
ト
15.1
JISとほぼ同じ 追加
関連するJISの要求事項と同等以上の性能をも
つ主電源プラグ及びコンセントも認めた。また,
同等以上の性能をもつものとして技術基準の解
釈の別表第四を例示した。さらに,この要求事
項に適合する関連JISを例示した。
電気用品安全法に配慮するとともに,
この要求事項に適合するJISを明確に
した。
追加
JIS C 8283-1に規定した125 V 15 Aカプラを用
いた電源コードセットを用いることができるよ
うに,機器のインレットを125 V 15 Aで用いる
ための要求事項を追加した。
市場からの要望を配慮し,安全確保の
ため要求事項を追加した。
追加
クラス0I機器には主電源コンセント及び相互接
続用カプラを設けないことを課した。
クラス0I機器にクラスII機器用の主
電源コンセント及び相互接続用カプ
ラを備えると,クラス0I機器が保護
接地しない状態で接続できる。この可
能性を排除し,クラス0I機器の安全
性を確保するため,追加した。
変更
15.1.2の注記において,対応国際規格ではバナ
ナプラグを要求事項に適合しないものの例とし
ているが,JISでは不適合とは判断しないことと
した。
我が国のコンセントは100 V用の平刃
(平行刃)が主流であり,バナナプラ
グが刺さらないため,禁止する必要が
ない。
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(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及び
その内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
15.1
(続き)
変更
15.1.3において,“IEC 60038の表1に基づく標
準公称主電源電圧”を“標準公称主電源電圧”
とした。また,対応国際規格のIEC/TR 60083
をJIS C 8303に置き換えた。
我が国の配電事情及び標準的なプラ
グ形状を考慮した。
15.2
保護接地のための
規定
15.2
JISとほぼ同じ 追加
クラス0I機器を追記し,単一絶縁不良で危険に
なる可触部の接地接続要求を課した。
“接地用口出し線付き主電源プラグの接地用口
出し線は,クリップによって接地してはならな
い。”及び“接地用口出し線付き主電源プラグの
定格電圧は,交流150 V未満でなければならな
い。”を追加した。
クラス0I機器の安全性を確保するた
め,要求事項を追加した。
15.3
外部可とうコード
用及び主電源への
恒久接続用端子
15.3
JISとほぼ同じ 変更
表15において,電流値3 A以下の部分を削除し,
電流値3 Aを超え6 A以下を電流値6 A以下に
置き換えた。
内線規程に従い,公称断面積0.5 mm2
の電線の使用を認めないため,変更し
た。
15.4
主電源プラグの一
部を形成するデバ
イス(ダイレクト
プラグイン機器)
15.4
JISとほぼ同じ 変更
主電源プラグの寸法例として参照するIEC/TR
60083をJIS C 8303に置き換えた。
我が国の標準的な主電源プラグ形状
を考慮した。
追加
表17において,我が国の平行刃に対し,
“130/250 V 10 Aを超え,16 A以下”を適用す
ることを追加した。
我が国の平行刃に対する適用を明確
化した。
16
外部可とうコード
16
JISとほぼ同じ 追加,
変更
16.1において,関連するJISと同等以上の特性
をもつシース付きコードも認めた。また,同等
以上の特性をもつものとして,技術基準の解釈
の別表第一のシース付きコードを例示した。
電気用品安全法に配慮した。
追加
16.1において,クラス0I機器の外部接地線は,
緑及び黄の線とし,主電源プラグの先に付ける
接地用口出し線の長さは10 cm以上とした。
クラス0I機器の安全確保のため,追
加した。
追加
16.2において,技術基準の解釈の別表第一のシ
ース付きコードを使用する場合の事項を注記と
して追記した。
我が国の配電事情を考慮した。
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C 6065:2016
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及び
その内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
16(続き)
変更
表18において,電流値3 A以下の部分を削除し,
電流値3 Aを超え6 A以下を電流値6 A以下に
置き換えた。
外部可とうコードの断面積に関し,内
線規程を適用した。
追加
16.5において,クラス0I機器についても,主電
源可とうコード用端子の配置又は張力及びねじ
れ保護デバイスと端子との間の導体の長さを工
夫して,コードが張力及びねじれ保護デバイス
から外れても,危険な活電導体が保護接地端子
に接続した導体よりも先にぴんと張るようにな
っていなければならないことを要求した。
安全確保のため,クラスI機器と同様,
クラス0I機器にも要求した。
17
電気的接続及び機
械的固定
17
JISとほぼ同じ 追加
17.9Aにおいて,機器用カプラの抜き差しで,
機器用インレットの端子はんだ付け部に機械的
応力が加わらない構造を課した。
電気用品安全法の要求事項に配慮し
た。
附属書B
(規定)
ネットワーク線に
接続する機器
附属
書B
JISとほぼ同じ 追加,
変更
注記1において,“IEC 62151に記載のある国々
では,特別の国家条件を適用する。”を削除し,
1.5 kV(ピーク)を超える過電圧が機器にかか
るような設置環境の下での措置に関する情報を
追加した。
法制度等,諸般の事情を考慮した。
ITU-T Recommendation K.11に基づ
き,過電圧が1.5 kV(ピーク)以下に
抑制されるとは限らない我が国の事
情を配慮して,適切な措置について,
附属書JBを参照することとした。
附属書J
(規定)
最小空間距離を求
めるための代替方
法
附属
書J
JISとほぼ同じ 追加
J.4において,“ネットワーク線の過渡電圧が1.5
kVを超える可能性がある場合は,附属書Bの注
記1参照。”を追加した。
ネットワーク線の過渡電圧が1.5 kV
を超える場合を配慮した。
附属書N
(参考)
ルーチン試験
附属
書N
JISとほぼ同じ 追加
N.2.3において,クラス0I機器を追加し,工程
及び最終製造工程において,保護接地用口出し
線,機器用インレットの保護接地接続又は外部
保護接地端子と可触部とみなせる端子を含む,
保護接地端子に接続する必要がある可触導電部
との間で保護接地接続の連続性の確認を推奨し
た。また,N.3.3において,これに対する試験を
推奨した。
クラス0I機器にも接地接続が必要と
なるため,クラスI機器と同等の試験
を推奨した。
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(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及び
その内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
附属書N
(続き)
削除
N.3.2において,対応国際規格の“N.3.2 耐電圧
試験”を削除した。
製造時の耐電圧試験を附属書JAに規
定として移動したため,削除した。
附属書JA
(規定)
製造時における耐
電圧試験
−
−
追加
対応国際規格のN.3.2の内容を,附属書JA(規
定)として独立させた。
参考事項では製造時の耐電圧試験の
規定として有効とならないため,独立
させた。
附属書JB
(参考)
過電圧・過電流に
関する設置環境の
現状及び対処法
−
−
追加
附属書JBとして,1.5 kVピークを超える過電圧
が機器にかかるような設置環境の場合,サージ
抑制などの追加措置を講じるための望ましい設
置環境及び国内の過電圧・過電流に対する設置
環境について記載した。
1.5 kV(ピーク)を超える過電圧が機
器にかかる可能性を低減するために,
ITU-T Recommendation K.11に基づ
いて適切な措置が講じられているこ
とを前提として,この規格の要求事項
が定められているため。1.5 kV(ピー
ク)を超える過電圧が機器にかかるよ
うな設置環境の下では,サージ抑制な
どの追加措置を講じることが必要な
場合があるため,追加した。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60065:2014,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
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