C 6011-3:2015 (IEC 61587-3:2013)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 電磁シールド性能試験 ······································································································· 2
3.1 キャビネット及びサブラックの電磁シールド性能試験 ··························································· 2
3.2 試験条件 ······················································································································ 2
3.3 試験構成 ······················································································································ 2
3.4 試験要求条件 ················································································································ 3
3.5 試験結果 ······················································································································ 4
附属書A(参考)球状ダイポールアンテナ(SDA)及びその性能試験の例 ······································· 8
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電子
情報技術産業協会(JEITA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日
本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS C 6011-3:2011は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 6011の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 6011-1 第1部:屋内設置のキャビネット,ラック,サブラック及びシャシの耐環境性能の試験
及び安全性の評価
JIS C 6011-2 第2部:キャビネット及びラックの耐震試験方法
JIS C 6011-3 第3部:キャビネット及びサブラックの電磁シールド性能試験方法
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日本工業規格 JIS
C 6011-3:2015
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電子装置用きょう体の試験方法−
第3部:キャビネット及びサブラックの
電磁シールド性能試験方法
Mechanical structures for electronic equipment-Tests for IEC 60917 and
IEC 60297-Part 3: Electromagnetic shielding performance tests for
cabinets and subracks
序文
この規格は,2013年に第2版として発行されたIEC 61587-3を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
1
適用範囲
この規格は,30 MHz〜3 000 MHzの周波数範囲における,キャビネット及びサブラック単体の電磁シー
ルド性能試験方法について規定する。JIS C 6010規格群及びIEC 60297規格群のキャビネット及びサブラ
ックの電磁シールドの性能等級を規定の電界減衰量から選択する。電磁シールド性能値は,主な産業分野
での利用を考慮して選択する。この規格は,キャビネット及びサブラックの電磁両立性(EMC)の測定方
法を規定するが,キャビネット及びサブラックを用いた装置の電磁シールド性能の最終試験に置き換わる
ものではない。
この規格は,様々な地域で,いろいろな装置に用いるキャビネット及びサブラックについて要求する,
異なる性能レベルを考慮し,キャビネット及びサブラックの単体構造としての信頼性及び環境性能を確実
にすることを目的としている。この規格は,使用者が特有の要求条件を満たす製品を選択する場合に,信
頼性の等級を提供することを意図している。この規格は,JIS C 6010規格群及びIEC 60297規格群に整合
するキャビネット及びサブラックの単体構造に対してだけ,全体又は一部分に適用する。ただし,電子装
置を組み込んだキャビネット及びサブラックには適用しない。シャシはサブラックと同じように,そして
ケースはキャビネットと同じように計測してもよい。
この規格は,IEC 61000-5-7と密接な関係のもとに,特定のキャビネット及びサブラックを対象とし,特
定の周波数範囲での電磁シールドの性能等級を規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61587-3:2013,Mechanical structures for electronic equipment−Tests for IEC 60917 and IEC
60297−Part 3: Electromagnetic shielding performance tests for cabinets and subracks(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
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引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 6010(規格群) 電子機器用ラック及びユニットシャシのモジュラオーダ
注記 対応国際規格:IEC 60917 (all parts),Modular order for the development of mechanical structures
for electronic equipment practices
JIS C 61000-4-3 電磁両立性−第4-3部:試験及び測定技術−放射無線周波電磁界イミュニティ試験
注記 対応国際規格:IEC 61000-4-3,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-3: Testing and
measurement techniques−Radiated, radio-frequency, electromagnetic field immunity test(IDT)
IEC 60297 (all parts),Mechanical structures for electronic equipment−Dimensions of mechanical structures of
the 482.6 mm (19 in) series
IEC 61000-5-7,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 5-7: Installation and mitigation guidelines−
Degrees of protection provided by enclosures against electromagnetic disturbances (EM code)
CISPR 16-1 (all parts),Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods
3
電磁シールド性能試験
3.1
キャビネット及びサブラックの電磁シールド性能試験
キャビネット及びサブラックの構造によって様々な電磁シールド性能のレベルを実現する。電磁シール
ド性能の測定値は,最終システム全体の性能予測の上限値に関係するため,反復計測を確実に行える一貫
した測定方法で行う。この規格は,異なる試験場での電磁シールド性能試験結果を相互に比較可能とする
ことを目的としている(JIS C 61000-4-3参照)。試験結果は,例えば,寸法及び構造が同一で,取外し可
能なカバー,ドアなどで構成する,キャビネット又はサブラックに対してだけ有効である。この規格は,
各種の設計評価に使うことが望ましい。
3.2
試験条件
全ての試験は,電波全無響室,電波半無響室又はオープンフィールド試験場で実施する。電波半無響室
又はオープンフィールド試験場で試験を行う場合,試験室は,CISPR 16-1の規格群で規定する垂直方向及
び水平方向の位置減衰量試験に適合しなければならない。オープンフィールド試験場又は電波無響室での
設定を,図3〜図8に示す。
3.3
試験構成
3.3.1
基準アンテナの校正
校正の目的は,基準アンテナの特性となる送信アンテナの出力レベル,及び受信アンテナの感度を確認
することである。
基準アンテナの校正は,次による。
a) 試験は,送信アンテナを受信アンテナと対向させて行う。
b) 送信アンテナの方向は,放射される電界の強度が最大になる方向を0°とする。
c) 送信アンテナの高さは,1.1 mに設定する。
d) 受信アンテナは,送信アンテナから3 mの距離で高さ1 mに設定する。校正周波数は,100 MHz及び
500 MHzとする。
e) アンテナ極性の水平方向及び垂直方向の両方を用いて,校正を行わなければならない。
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3.3.2
送信アンテナ
送信アンテナは,次による。
a) 球状ダイポールアンテナ(SDA),又はそれと等価でなければならない(表1の注記1参照)。
b) 大きさは,直径150 mm以下が望ましい。
c) SDAとの等価性は,代替アンテナの放射パターンを解析することによって評価する。SDAの性能試験
方法の例を,附属書Aに記載する。
d) 出力が十分確保できることを確認する必要がある。
e) 外部の供試体の電磁シールド性能に影響を与えることなく,接続する。
f)
送信アンテナときょう体の金属壁との距離は,送信アンテナの直径以上とする。
g) 測定器のダイナミックレンジは,表1に示す想定減衰レベルを超える適切なレベルに設定する。
3.3.3
受信アンテナ
受信アンテナは,次の形のいずれかとしなければならない。
a) バイコニカルアンテナの場合,30 MHz〜200(300) MHz
b) ログペリオディックアンテナの場合,200(300) MHz〜1 000 MHz
バイコニカルアンテナからログペリオディックアンテナへの掃引周波数の切替は,200 MHz又は300
MHzとする(表1の注記1参照)。代替として,次を使用することが望ましい。
c) 1 000 MHz以下の全周波数範囲でバイコニカル及びログペリオディックを組み合わせたアンテナを使
用
d) 1 000 MHz〜3 000 MHzの周波数範囲では,ホーンアンテナを使用
3.3.4
基準測定
基準電界強度E1(dBμV)の測定は,供試体がない状態で行う。送信アンテナは,供試体を置く位置に
設定する。送信アンテナは,受信アンテナから3 mの距離に設定し,送信及び受信の両アンテナは,校正
のために対向する。
測定は,水平及び垂直の両極性で行う。送受信アンテナは,同じ極性とする。30 MHz〜3 000 MHzで5 MHz
以下の周波数刻みで周波数掃引しなければならない。受信アンテナは,1 m〜4 mの高さで移動する。各周
波数におけるE1の最大強度を記録する(図3及び図6参照)。
3.3.5
送信アンテナの設定
送信アンテナは,供試体内の中央に,基準測定と同様の方向に絶縁体で支えて設定する(表1の注記1
参照)。
3.3.6
供試体の設定
床設置キャビネットの場合,キャビネットと測定室の基準面との間に100 mm±5 mmの絶縁物を設定す
る。テーブル上の供試体は,基準面から800 mm±4 mmの高さに設定する。
3.4
試験要求条件
測定は,次の試験要求条件による。
a) 水平及び垂直の両極性を使って遂行する。
b) 送受信アンテナは同極性とする。
c) その場合,周波数掃引測定とする。
d) 供試体は,回転台又は他の方法を用いて垂直軸の周りを360°回転する。すなわち,30 MHz〜200(300)
MHzでは,少なくとも90°の回転ごとに測定を行う。また,1回転で最低4点の観測点を得る(4点
を超えてもよい)。同様に,200(300)MHz〜1 000 MHzでは最大45°の回転ごとに測定を行い,1 000
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MHz〜3 000 MHzでは最大30°の回転ごとに測定を行う。
e) 各観測点での最大信号強度を観測値とする。
f)
30 MHz〜3 000 MHzの間で5 MHz以下の周波数刻みで,周波数掃引をする。
g) 受信アンテナは,基準面から1 m〜4 mの高さで移動する。
h) 回転台の回転及びアンテナ高さの移動の組合せによる最大の信号強度(漏えい電界強度)E2(dBμV)を
各周波数刻みで,記録する。
代表的な試験装置構成を図1に示す。
3.5
試験結果
3.5.1
一般事項
キャビネット又はサブラックの電磁シールド性能は,基準電界強度E1(図3又は図6),とキャビネット
又はサブラック内にアンテナを設置した漏えい電界強度E2との差である。試験結果は,表1を参照する。
電磁シールド性能は,E1とE2との差をデシベル単位で表す。電磁シールドの性能等級は,各周波数範囲
での減衰量によって定義する(表1参照)。測定データ(E1−E2)(dB)の代表例を,図2に示す。
要求する減衰量は,通風孔,側面板,開口など最終のキャビネット及びサブラックの構造に基づく。最
小の電磁シールド性能は,表1の注記2を参照する。
表1−電界減衰量による電磁シールドの性能等級
等級
最小電磁シールド性能
周波数範囲
30 MHz 〜230 MHz
周波数範囲
230 MHz 〜1 000 MHz
周波数範囲
1 000 MHz 〜3 000 MHz
1
20 dB
10 dB
0 dB
2
40 dB
30 dB
20 dB
3
60 dB
50 dB
40 dB
注記1 受信アンテナとして,次を用いるのが望ましい。
− 30 MHz〜1 000 MHzの周波数範囲は,バイコニカル又はログペリオディックアンテナ
− 1 000 MHz〜3 000 MHzの周波数範囲は,ホーンアンテナ
SDAは比較的小さなサブラック内に搭載する送信アンテナとして用いてもよい。SDAと等価なも
のを用いてもよい(附属書A参照)。
注記2 最小電磁シールド性能は,空洞共振を除き考慮する。
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注記1 電磁シールドの性能等級は,次のように区分する(IEC 61000-5-7参照)。
性能等級1:EMxx20xx(EMコードの周波数区分は性能等級1の区分とは完全に一致していない。)
性能等級2:EMxx42xx(EMコードの周波数区分は性能等級2の区分とは完全に一致していない。)
性能等級3:EMxx64xx(EMコードの周波数区分は性能等級3の区分とは完全に一致していない。)
注記2 電気光変換器は,光ファイバ接続時に用いる。
図1−代表的な試験装置構成
アンテナの詳細を,図3〜図8に示す。これらは,3.5.2及び3.5.3の規定に従って選択しなければならな
い。
試験結果から作成した代表的なグラフを,図2に示す。
図2−測定データの例
電気光
変換器
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3.5.2
オープンフィールド試験場
オープンフィールド試験場におけるSDAを使う場合の送信装置と送信アンテナとの間の光ファイバケ
ーブル接続の例を,図3〜図5に示す。
図3−基準電界強度E1測定の設定
図4−漏えい電界強度E2測定の設定(キャビネット)
図5−漏えい電界強度E2測定の設定(サブラック)
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3.5.3
電波半無響室又は電波全無響室
電波半無響室又は電波全無響室におけるSDAを使う場合の送信装置と送信アンテナとの間の光ファイ
バケーブル接続の例を,図6〜図8に示す。
図6−基準電界強度E1測定の設定
図7−漏えい電界強度E2測定の設定(キャビネット)
図8−漏えい電界強度E2測定の設定(サブラック)
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附属書A
(参考)
球状ダイポールアンテナ(SDA)及びその性能試験の例
球状ダイポールアンテナ(SDA)及びその性能試験の例を,図A.1〜図A.6に示す。
図A.1−SDAの概観図
図A.2−SDAシステム
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図A.3−電気光変換器−光電気変換器の伝送特性
S21:ネットワークアナライザでの挿入損失変数
図A.4−電気光変換器−光電気変換器の伝送特性計測システム
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図A.5−測定結果
R.A.
受信アンテナ
R.X.
受信機及びスペクトラムアナライザ
S.G.
信号発生器
E/O
光電気変換器
SDA
球状ダイポールアンテナ
図A.6−試験場の計測システム
μ