C 4902-2:2010
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 使用状態 ························································································································· 3
5 過負荷使用条件 ················································································································ 4
6 種類······························································································································· 5
7 定格······························································································································· 5
8 性能······························································································································· 8
9 構造······························································································································· 9
10 試験方法 ······················································································································ 10
11 検査 ···························································································································· 11
12 製品の呼び方 ················································································································ 11
13 表示 ···························································································································· 12
C 4902-2:2010
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人電気学会 (IEEJ) 及び財団法人日本
規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調
査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。これによってJIS C 4902 : 1998は廃止
され,直列リアクトルに関する部分を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
JIS C 4902の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 4902-1 第1部:コンデンサ
JIS C 4902-2 第2部:直列リアクトル
JIS C 4902-3 第3部:放電コイル
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 4902-2:2010
高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器−
第2部:直列リアクトル
High voltage power capacitors and attached apparatus-
Part 2 : Series reactors
序文
この規格は,従来,JIS C 4902 : 1998(高圧及び特別高圧進相コンデンサ及び附属機器)の附属書1で規
定していたが,附属書を独立させて制定した日本工業規格である。
1
適用範囲
この規格は,力率改善,電圧調整などの目的で,交流3 300 V以上の回路に使用し,JIS C 4902-1に規定
する高圧及び特別高圧進相コンデンサ又はコンデンサ群(以下,コンデンサという。)に直列に挿入して,
回路電圧の波形のひずみを軽減させ,かつ,コンデンサ投入時の突入電流を抑制する目的に使用する直列
リアクトル(以下,リアクトルという。)について規定する。
注記 交流3 300 V未満の回路で使用するリアクトルは,この規格を準用してもよい。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 2320 電気絶縁油
JIS C 4902-1 高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器−第1部:コンデンサ
JIS Z 8304 銘板の設計基準
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
回路電圧
コンデンサを接続する回路の公称電圧。
注記 回路電圧を公称電圧とすることによって,過電圧など不都合が生じる場合には,回路電圧を公
称電圧によらなくてもよい。
3.2
定格電圧 (rated voltage of a reactor)
定格周波数の定格電流を流した場合に,一つの相の巻線の両端に現れる電圧。
2
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.3
定格電流 (rated current of a reactor)
リアクトルと直列に組み合わせて使用するコンデンサの定格電流と同じ電流。
3.4
定格容量 (rated output of a reactor)
定格電圧と定格電流との積。三相リアクトルの定格容量は,定格電圧と定格電流との積の3倍で表す。
3.5
最高周囲温度
リアクトルを支障なく使用できる周囲温度の高温側の限度。
3.6
最低周囲温度
リアクトルを支障なく使用できる周囲温度の低温側の限度。
3.7
%リアクタンス
リアクトルリアクタンスのコンデンサリアクタンスに対する比を%で表したもの。
3.8
最大許容電流 (maximum permissible a.c. current of a reactor)
リアクトル回路に高調波電流を含む場合,リアクトルが実用上支障を生じないで使用できる合成電流の
実効値の限度。
注記 “実用上支障を生じない”とは,寿命を著しく短縮するほどに至らないことをいい,性能など
は必ずしも定格状態における規定値とは合致しなくてもよい。
3.9
最大瞬時許容電流
リアクトル回路の短絡などで瞬間的に流れ,実用上支障を生じない過電流の限度。
3.10
線路端子 (line terminal)
外部回路の線路導体に接続する端子。
3.11
接地端子
巻線から絶縁した鉄心及び外箱を接地又は電位固定する端子。
3.12
定格設備容量
コンデンサとリアクトルとを組み合わせた設備の,定格電圧及び定格周波数における設計無効電力。
3.13
公称設備容量
リアクトルによる実効無効電力の増大を考慮しない設備容量。
注記 これは,JIS C 4902 : 1998で定格設備容量を定義する前から,一般的に使用されていた設備容
量である。
3
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.14
周囲温度 (ambient air temperature)
リアクトルを設置する場所の空気温度。
3.15
冷却空気温度 (cooling air temperature)
リアクトル容器から約0.1 m離れて,底から高さの2/3の位置で測定した運転中の空気温度。ただし,
リアクトルが間隔0.2 m以下で並置されている場合には,リアクトル間の中央で測定した運転中の空気温
度。
3.16
受渡検査 (routine tests)
出荷前にすべてのリアクトルに対して行う検査。
3.17
形式検査 (type tests)
代表するリアクトルに対し,リアクトルが指定された要求に合致しているかを判定するために行う検査。
3.18
使用者 (purchaser)
リアクトルの使用者,発注者,購入者又はそれらの総称。
4
使用状態
4.1
標準使用状態
標準使用状態は,次のとおりとし,特に指定がない限り,リアクトルはこの状態で使用する。
a) 最高周囲温度 最高周囲温度は,表1による。
表1−最高周囲温度
単位 ℃
温度種別 最高周囲温度 24時間平均の最高温度 1年間平均の最高温度
A
40
35
25
B
50
45
35
注記 温度種別Aは主として屋外使用のものに適用し,閉鎖配電盤内で使用
する場合は,温度種別Bを適用するのがよい。
b) 最低周囲温度 最低周囲温度は,−20 ℃又は−5 ℃とする。
なお,最低周囲温度−5 ℃は,主として屋内使用のものに適用する。
c) 相対湿度 屋内使用時の相対湿度は,85 %以下とする。
d) 標高 標高は,1 000 m以下とする。
4.2
特殊使用状態
特殊使用状態とは,4.1に規定する標準使用状態以外,及び次のいずれかの状態をいう。この使用状態の
場合,使用者は製造業者にあらかじめその旨を指定しなければならない。
a) 急激な温度変化を受ける頻度の高い場所で使用する場合。
b) 著しく潮風を受ける場所で使用する場合。
c) 著しく湿潤な場所で使用する場合。
d) 過度のじんあいのある場所で使用する場合。
e) 爆発性,可燃性,腐食性及びその他有害ガスのある場所又は同ガスの襲来のおそれのある場所で使用
4
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
する場合。
f)
異常な振動又は衝撃を受ける場所で使用する場合。
g) 水蒸気又は油蒸気中で使用する場合。
h) その他の特殊な条件下で使用する場合。
5
過負荷使用条件
過負荷使用条件は,次による。
a) 最大許容電流 最大許容電流は,表2による。ただし,これはリアクトルの回路に第5調波を含む場
合,その含有率が基本波に対し,表2の値以下の合成電流の実効値とする。
表2−最大許容電流
許容電流種別
最大許容電流(定格電流比)
%
第5調波含有率(基本波電流比)
%
I
120
35
II
130
55
許容電流種別Iは主として特別高圧受電設備に適用し,許容電流種別IIは主として高圧配電
系統に直接接続するコンデンサ設備に適用する。
注記 コンデンサ設備の高調波条件は適用条件によって広範囲に変化し,条件によっては表2の許
容値を超過するおそれがある。この場合には使用者と製造業者との協議によって,次のリア
クトルのいずれかを適用する。
1) リアクタンスが6 %で,第5調波含有率が70 %まで許容できるリアクトル。
2) リアクタンスが13 %で,第5調波含有率が35 %まで許容できるリアクトル。
b) 最大瞬時許容電流 最大瞬時許容電流は,定格電流の25倍で2秒間とする。このとき,リアクトルは
熱的及び機械的に損傷なく耐えなければならない。この状態における巻線の温度は,次の式で計算し
て表3の値(巻線温度の限度)を超えてはならない。
1) 銅の場合
1
000
101
)
235
(
2
2
0
0
−
×
+
×
+
=
t
σ
θ
θ
θ
2) アルミニウムの場合
1
600
43
)
225
(
2
2
0
0
−
×
+
×
+
=
t
σ
θ
θ
θ
ここに,
θ: 最終温度 (℃)
θ0: 始発温度 (℃)(表3による。)
σ: 短絡電流に対する電流密度 (A/mm2)
t: 短絡時間 (s)
5
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3−短絡時の巻線温度の限度
単位 ℃
耐熱クラス
巻線温度の限度
始発温度a)
銅巻線 アルミニウム巻線
油入リアクトル
A
250
200
105
乾式リアクトル
A
180
E
200
120
B
350
130
F
− b)
155
H
180
注a) 各種絶縁の許容最高温度と同じ温度。
b) 耐熱クラスF及びHのアルミニウム巻線の巻線温度の限度は,使用者と製
造業者との協定による。
6
種類
種類は,屋内・屋外の別のほか,表1の温度種別,表2の許容電流種別及び表3の耐熱クラスによる。
7
定格
7.1
定格電圧
三相回路に使用するリアクトルの定格電圧は,回路電圧に応じて表4による。ただし,単相回路に用い
るリアクトルの定格電圧には,適用しない。
表4−三相回路に使用するリアクトルの定格電圧
単位 V
回路電圧
定格電圧
3 300
122
6 600
243
11 000
405
22 000
811
33 000
1 220
66 000
2 430
77 000
2 840
注記 三相回路に使用するリアクトルの定格電圧は,コ
ンデンサ定格電圧の1/√3倍の6 %となる。
7.2
絶縁強度
対地試験電圧値は,回路電圧に応じて表5による。ただし,絶縁架台上に設置するものは,表5によら
なくてもよい。
6
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表5−試験電圧値
単位 kV
回路電圧
試験電圧値
雷インパルス耐電圧試験
商用周波耐電圧試験(実効値)
3.3
30
10
45
16
6.6
45
16
60
22
11
75
28
90
22
125
50
150
33
170
70
200
66
350
140
77
400
160
・ 表5に定めていないものについては,使用者と製造業者との協定によ
る。
・ 一つの回路電圧に対し複数の試験電圧値が対応している場合,低い試
験電圧値は,避雷器などの保護装置によって過電圧が低いレベルに抑
制されて,過電圧レベルが小さい場合に適用できる。
7.3
相数
相数は,単相又は三相とする。
7.4
定格周波数
定格周波数は,50 Hz専用又は60 Hz専用とする。
7.5
定格電流
定格電流は,組み合わせて使用するコンデンサ設備の定格電圧及び定格容量から,次の式によって求め
る。
a) 単相回路に使用するリアクトル
N
3
N
N
10
U
Q
I
×
=
b) 三相回路に使用するリアクトル
N
3
N
N
3
10
U
Q
I
×
×
=
ここに,
IN: 定格電流 (A)
QN: コンデンサ設備の定格容量 (kvar)
UN: コンデンサ設備の定格電圧 (V)
7.6
定格容量
定格容量は,コンデンサの定格容量の6 %とする。ただし,単相リアクトル3台を使用する場合は,こ
の1/3とする。その標準値は,表6による。
7
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表6−直列リアクトルの定格容量の標準値
回路電圧
V
3 300,6 600
周波数
Hz
50
60
50
60
50
60
50
60
50
60
50, 60
公称設備容量
kvar
10
12
15
18
20
24
25
30
30
36
50
75
定格設備容量
kvar
10
12
15
18
20
24
25
30
30
36
50
75
コンデンサ定格容量 kvar
10.6
12.8
16.0
19.1
21.3
25.5
26.6
31.9
31.9
38.3
53.2
79.8
リアクトル定格容量
kvar
単相
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
三相 0.638 0.766 0.957 1.15
1.28
1.53
1.60
1.91
1.91
2.30
3.19
4.79
回路電圧
V
3 300,6 600
周波数
Hz
50,60
公称設備容量
kvar
100
150
200
250
300
400
500
750
1 000
1 500
定格設備容量
kvar
100
150
200
250
300
400
500
750
1 000 (1 060) 1 500 (1 600)
コンデンサ定格容量 kvar
106
160
213
266
319
426
532
798
1 060 (1 130) 1 600 (1 700)
リアクトル定格容量
kvar
単相
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
三相 63.8
9.57 12.8
16.0
19.1
25.5 31.9
47.9
63.8
(67.9)
95.7
(102)
回路電圧
V
3 300,6 600
周波数
Hz
50,60
公称設備容量
kvar
2 000
3 000
4 000
5 000
定格設備容量
kvar 2 000 (2 130) 3 000 (3 190) 4 000 (4 260) 5 000 (5 320)
コンデンサ定格容量 kvar 2 130 (2 260) 3 190 (3 400) 4 260 (4 530) 5 320 (5 660)
リアクトル定格容量
kvar
単相 42.6
(45.3)
63.8
(67.9)
85.1
(90.5)
106
(113)
三相
128
(136)
191
(204)
255
(272)
319
(340)
回路電圧
V
11 000,22 000,33 000,66 000,77 000
周波数
Hz
50,60
公称設備容量
kvar 500
750
1 000
1 500
2 000
3 000
4 000
定格設備容量
kvar 500
750 1 000 (1 060) 1 500 (1 600) 2 000 (2 130) 3 000 (3 190) 4 000 (4 260)
コンデンサ定格容量 kvar 532
798 1 060 (1 130) 1 600 (1 700) 2 130 (2 260) 3 190 (3 400) 4 260 (4 530)
リアクトル定格容量
kvar
単相 10.6 16.0 21.3
(22.6)
31.9 (34.0) 42.6 (45.3)
63.8
(67.9) 85.1
(90.5)
三相 31.9 47.9 63.8
(67.9)
95.7
(102)
128
(136)
191
(204)
255
(272)
回路電圧
V
11 000,22 000,33 000,66 000,77 000
周波数
Hz
50, 60
公称設備容量
kvar
5 000
10 000
15 000
20 000
30 000
40 000
定格設備容量
kvar (5 000) 5 320 (10 000) 10 600 (15 000) 16 000 (20 000) 21 300 (30 000) 31 900 (40 000) 42 600
コンデンサ定格容量 kvar (5 320) 5 660 (10 600) 11 300 (16 000) 17 000 (21 300) 22 600 (31 900) 34 000 (42 600) 45 300
リアクトル定格容量
kvar
単相 (106) 113
(213)
226
(319)
340
(426)
453
(638)
679
(851)
905
三相 (319) 340
(638)
679
(957) 1 020 (1 280) 1 360 (1 910) 2 040 (2 550) 2 720
8
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表6−直列リアクトルの定格容量の標準値(続き)
回路電圧
V
11 000,22 000,33 000,66 000,77 000
周波数
Hz
50,60
公称設備容量
kvar
50 000
60 000
80 000
120 000
定格設備容量
kvar
(50 000)
53 200
(60 000)
63 800
(80 000)
85 100
(120 000)
127 600
コンデンサ定格容量 kvar
(53 200)
56 600
(63 800)
67 900
(85 100)
90 500
(127 600)
135 800
リアクトル定格容量
kvar
単相
(1 060)
1 130
(1 280)
1 360
(1 700)
1 810
(2 550)
2 720
三相
(3 190)
3 400
(3 830)
4 070
(5 100)
5 430
(7 660)
8 150
既設品との互換性を必要とする場合などには,表中の ( ) を付けた容量を用いてもよい。
8
性能
8.1
容量
容量は,10.3の試験を行ったとき,容量の定格容量からの偏差は,定格容量の−5 %〜+10 %の範囲に
なければならない。
8.2
耐電圧
耐電圧は,10.4の試験によって表5(絶縁架台上に設置するものは表7)に規定する電圧を加え,これに
耐えなければならない。
表7−絶縁架台上に設置する直列リアクトルの
巻線線路端子の試験電圧
単位 kV
回路電圧
商用周波電圧 インパルス電圧
66
63
233
77
73
266
表7に定められていないものについては,
使用者と製造業者との協定による。
8.3
導体抵抗
導体抵抗は,製造業者の保証値がある場合,10.5の試験を行ったとき,その値以下でなければならない。
8.4
リアクタンス
表8の電流を通じて10.7の試験によって算出したリアクタンスは,定格リアクタンスの95 %以上でな
ければならない。
表8−通電電流
許容電流種別
通電電流(定格電流比)
%
I
150
II
170
8.5
損失
損失は,製造業者の保証値がある場合,10.6の試験を行ったとき,その値以下でなければならない。
8.6
温度上昇
温度上昇は,次による。
a) 温度上昇は10.8の試験を行ったとき,油入リアクトルの場合は表9,乾式リアクトルの場合は表10
の値以下とする。
9
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表9−油入リアクトルの温度上昇の限度
単位 ℃
リアクトルの部分
温度測定方法
温度上昇a)
巻線
抵抗法
55 b)
油
本体タンク内の油が直接外気と接触する場合
温度計法c)
50
本体タンク内の油が直接外気と接触しない場合d)
温度計法e)
55
注a) 温度種別Aの場合を示す。種別Bの場合は,これらの値から10 ℃を差し引いた値
とする。
b) 油自然循環の場合。
c) 油表面近くで温度を測定する。
d) 開放形コンサベータ付きの場合を含む。
e) 本体タンク内の頂部近くの油温度を測定する。
表10−乾式リアクトルの温度上昇の限度
単位 ℃
リアクトルの部分温度測定方法
耐熱クラス
温度上昇a)
巻線
抵抗法
A
55
E
70
B
75
F
95
H
120
注a) 温度種別Aの場合を示す。種別Bの場合は,これらの値か
ら10 ℃を差し引いた値とする。
b) 冷却空気の温度が高い場合の温度上昇の限度 冷却空気の温度が4.1 a)に指定する値を超える場合の
温度上昇の限度は,使用者と製造業者との協定による。
c) 冷却空気の温度が低い場合の温度上昇の限度 冷却空気の温度が4.1 a)に指定する値より5 ℃以上低
い場合の温度上昇の限度は,使用者と製造業者との協定によって,表9及び表10の値よりも高くして
よい。
9
構造
9.1
構造一般
リアクトルは,取扱いに便利で,実用上十分な強さをもった構造でなければならない。
9.2
絶縁構造
リアクトルは,鉄心をもつものは良質な鉄心に適切な絶縁及び巻線を施し,油入りのものは外箱内に収
めて,これにJIS C 2320に規定する電気絶縁油又はこれと同等以上の性能をもつものを満たし,乾式のも
のはこれらと同等以上の性能をもつように処理しなければならない。
9.3
外箱
外箱は,鉄板その他適切な材料で,運搬及び使用中に損傷を生じないように堅ろう(牢),かつ,湿気の
侵入又は油漏れなどを生じないように製作し,塗装その他適切な方法で,さび止め若しくは防食をするか,
又はこれと同等以上の性能をもつように処理しなければならない。
9.4
端子
線路端子及び接地端子は,接続線を確実に接続できるものでなければならない。
10
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
10 試験方法
10.1 試験条件
リアクトルの試験は,特に指定がない限り,すべて常温・常湿で行い,温度換算が必要な場合の基準温
度は+20 ℃とする。
10.2 構造試験
構造は,9.1,9.3及び9.4の規定に適合するかどうかを調べる。
10.3 容量試験
容量試験は,50 Hz又は60 Hzの正弦波に近い波形で定格の90〜110 %の電流を流したときのリアクトル
の端子電圧を測定し,その容量を算出する。ただし,適切な換算係数があれば,他の電流及び周波数で測
定してもよい。
10.4 耐電圧試験
耐電圧試験は,表11による。
表11−直列リアクトルの耐電圧試験方法
電圧種別
設置箇所
印加箇所
印加時間
又は回数
試験
方法
単相リアクトル
三相リアクトル
6本ブッシング
3本ブッシング
商用周波
電圧
地上及び
絶縁架台上
端子一括と接地鉄
心及び外箱との間
端子一括と接地鉄心
及び外箱との間並び
に巻線相互間
端子一括と接地鉄
心及び外箱との間
1分間
a)
インパルス
電圧
地上
1回
b)
絶縁架台上
−
−
注a) 最初,周波数50 Hz又は60 Hzの正弦波に近い波形をもつ規定値の1/3以下の電圧を加え,次いで電圧計でそ
のときどきの電圧が表示できる範囲で,素早く電圧を上昇させ規定値に達してから,表11に規定する印加時
間を保持し,リアクトルがこれに耐えるかどうかを調べる。
b) 乾燥状態で,標準波形 (1.2×50) µsの正波インパルス電圧を加え,リアクトルがこれに耐えるかどうかを調
べる。
10.5 導体抵抗試験
導体抵抗試験は,線路端子間に適切な直流電圧を加え,ブリッジ法など適切な方法によって導体抵抗を
測定する。
10.6 損失試験
損失試験は,容量試験における有効電力を室温で測定する。測定値は,ワット (W) で表す。
10.7 リアクタンス試験
リアクタンス試験は,表8の電流を通じたときのリアクトル端子間の電圧を測定し,リアクタンスを算
11
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
出する。
10.8 温度上昇試験
温度上昇試験は,次のいずれかの条件の試験を実施したとき,温度が一定に達した後,巻線及び絶縁油
の部分の温度を測定する。いずれの方法で行うかは製造業者が選択する。
a) 定格周波数の定格電流に表2の第5調波含有率の第5調波電流を重畳して連続的に通じる。
b) 定格周波数の定格電流による実測損失と,表2の第5調波含有率の第5調波電流による実測損失とを
足した損失と等価となる基本波電流を連続的に通じる。
c) 定格周波数の表12の電流を連続的に通じる。
表12−連続通電電流
許容電流種別
連続通電電流(定格電流比)
%
I
125
II
155
許容電流種別Iは主として特別高圧受電設備に適用し,許容電流種別
IIは主として高圧配電系統に直接接続するコンデンサ設備に適用する。
11 検査
11.1 形式検査
形式検査は,箇条10によって同一試験品について次の試験を行ったとき,箇条8,箇条9及び箇条13
の規定に適合しなければならない。
a) 構造
b) 容量
c) 耐電圧
d) 導体抵抗
e) リアクタンス
f)
損失
g) 温度上昇
h) 表示
11.2 受渡検査
受渡検査は,箇条10によって同一試験品について次の試験を行ったとき,箇条8,箇条9及び箇条13
の規定に適合しなければならない。ただし,使用者と製造業者との協定によって,一部の項目を省略して
もよい。
a) 構造
b) 容量
c) 耐電圧(商用周波電圧だけ)
d) 導体抵抗
e) 損失
f)
表示
12 製品の呼び方
製品の呼び方は,箇条13のa),b),c),d),f),g),j) 及びk) による。
12
C 4902-2:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
例1 進相コンデンサ1 060 kvar用直列リアクトル 屋外用 絶縁強度 22/60 kV
6 600 V 三相 50 Hz 63.8 kvar
例2 進相コンデンサ11 300 kvar用直列リアクトル 屋外用 絶縁強度 50/150 kV
22 000 V 単相 50 Hz 226 kvar
13 表示
リアクトルには見やすい箇所に明りょうかつ容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならな
い。表示の方法については,JIS Z 8304を参照することが望ましい。
a) 名称(進相コンデンサ用直列リアクトルと記す。)
b) 種類:種類は,次による。
1) 屋内・屋外の別
2) 温度種別:温度種別は,最低周囲温度/温度種別で,−5/Aのように表す。ただし−20/Aの場合は,
省略してもよい。
3) 耐熱クラス(乾式リアクトルの場合だけ表示する。)
4) 許容電流種別
5) 絶縁油種別[絶縁油を使用している場合だけ,化学組成名,又は商品名(JIS C 2320に定める絶縁
油の場合は省略してもよい。)]
c) 絶縁強度 (kV):絶縁強度は,商用周波耐電圧試験値 (kV)/雷インパルス耐電圧試験値 (kV) で,50/150
kVのように表す。ただし,絶縁架台上に設置するものは,記載しない。
d) 回路電圧(V又はkV)
e) 定格電圧(V又はkV)
f)
相数
g) 定格周波数 (Hz)
h) 定格電流 (A)
i)
リアクタンス (%)
j)
定格容量 (kvar)
k) 接続すべきコンデンサ容量 (kvar)
l)
結線(単相のときは省略する。):例えば,次による。ただし,端子記号及びその順序は,これによら
なくてもよい。
m) 油量(油入りの場合,おおよその値をLで示す。)
n) 総質量(おおよその値をkgで示す。)
o) 製造業者名又はその略号
p) 製造番号
q) 製造年
U
V
W
X
Y
Z