C 4431:2012
(1)
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
3.1 装置 ···························································································································· 3
3.2 分類 ···························································································································· 5
3.3 設置場所,ポート及びインタフェース················································································ 6
3.4 PEEのコンポーネント ··································································································· 10
4 共通要求事項 ·················································································································· 10
4.1 一般条件 ····················································································································· 10
4.2 試験 ··························································································································· 10
4.3 使用者及び設置業者のための文書····················································································· 10
5 イミュニティ要求事項 ······································································································ 11
5.1 一般条件 ····················································································································· 11
5.2 低周波妨害に対するイミュニティの要求事項 ······································································ 12
5.3 高周波妨害に対する基本イミュニティの要求事項 ································································ 20
6 エミッション ·················································································································· 23
6.1 一般的なエミッション要求事項 ······················································································· 23
6.2 低周波エミッション限度値 ····························································································· 23
6.3 高周波エミッション測定条件 ·························································································· 24
6.4 高周波エミッション限度値 ····························································································· 25
6.5 カテゴリC4のPEEでの適用 ·························································································· 29
附属書A(参考)EMC解析及びEMCプラン ··········································································· 33
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電気学会(IEEJ)及び一般財団
法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本
工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
C 4431:2012
パワーエレクトロニクス装置−
電磁両立性(EMC)要求事項及び試験方法
Power electronic equipment-
Electromagnetic compatibility (EMC) requirements and specific test methods
序文
この規格は,2007年に発行されたJIS C 4411-2,2008年に発行されたJIS C 4421などのパワーエレク
トロニクス装置に関連するJISを基に,パワーエレクトロニクス装置の電磁両立性(EMC)に関する要求
事項及び試験方法を整理して作成した日本工業規格である。
1
適用範囲
この規格は,パワーエレクトロニクス装置(以下,PEEという。3.1.1参照)のEMCに関する要求事項
及び試験方法について規定する。
この規格は,住宅地域,商業地域及び工業地域に設置するPEEにおいて,入力電圧及び/又は出力電
圧(線間電圧)が交流7 kV以下で,一連のきょう(筐)体に収納したPEEを対象とする。ただし,民生
用の機器は除く。この規格はPEEの容量にかかわらず適用する。
無停電電源装置(UPS),可変速駆動システム(PDS)など個別の製品規格によってEMCを規定して
いる装置又はシステムは,個別の製品規格を優先する。また,鉄道用途,電気自動車,昇降機など別の製
品群規格によってEMCが規定されているPEEには適用しない。
この規格の適用範囲はPEE単体であり,PEEを組み込んだ装置又はPEEがその一部を構成するシス
テム全体は,この規格の対象外である。PEEを組み込んだ装置又はPEEがその一部を構成するシステム
は個別の製品規格によるが,個別の製品規格が存在しない場合には,この規格を準用してもよい。
一連のきょう体に収納しておらず,複数の機器を個別に設置したPEEにあっても,この規格の内容を
準用してもよい。例えば,きょう体に収納しないで別置きする変換装置用変圧器,及び高調波フィルタ又
は力率改善用コンデンサがあるときも,それらを含めた全体に,又はそれらを除いたきょう体収納部分に
準用してもよい。それらを除いたきょう体収納部分の場合は,除いた部分に関連する項目以外を準用する。
例えば,高調波フィルタを含めてない場合は,高調波の項目は除く。
PEEについて規定する要求事項は,想定した条件で使用する場合に適用し,極めてまれな確率で発生す
る事象及び故障状態には適用しない。
この規格は,感電保護,絶縁協調及び関連する耐電圧試験,不安全な運転,故障の結果によって生じる
不安全な状態などの安全要求事項については規定しない。また,電磁現象に起因する安全及び機能安全も
対象としない。
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2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS C 4411-2:2007 無停電電源装置(UPS)−第2部:電磁両立性(EMC)要求事項
JIS C 4421:2008 可変速駆動システム(PDS)−電磁両立性(EMC)要求事項及び試験方法
JIS C 60050-161:1997 EMCに関するIEV用語
JIS C 60050-551:2005 電気技術用語−第551部:パワーエレクトロニクス
JIS C 61000-3-2:2011 電磁両立性−第3-2部:限度値−高調波電流発生限度値(1相当たりの入力電
流が20 A以下の機器)
JIS C 61000-4-2:2012 電磁両立性−第4-2部:試験及び測定技術−静電気放電イミュニティ試験
JIS C 61000-4-3:2012 電磁両立性−第4-3部:試験及び測定技術−放射無線周波電磁界イミュニティ
試験
JIS C 61000-4-4:2007 電磁両立性−第4-4部:試験及び測定技術−電気的ファストトランジェント/
バーストイミュニティ試験
JIS C 61000-4-5:2009 電磁両立性−第4-5部:試験及び測定技術−サージイミュニティ試験
JIS C 61000-4-6:2006 電磁両立性−第4-6部:試験及び測定技術−無線周波電磁界によって誘導する
伝導妨害に対するイミュニティ
JIS C 61000-4-8:2003 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第8節:電源周波数磁界イミュニテ
ィ試験
JIS C 61000-4-11:2008 電磁両立性−第4-11部:試験及び測定技術−電圧ディップ,短時間停電及び
電圧変動に対するイミュニティ試験
JIS C 61000-4-34:2008 電磁両立性−第4-34部:試験及び測定技術−1相当たりの入力電流が16 Aを
超える電気機器の電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対するイミュニティ試験
IEC 60146-1-1:2009,Semiconductor converters−General requirements and line commutated converters−Part
1-1: Specification of basic requirements
IEC 60146-2:1999,Semiconductor converters−Part 2: Self-commutated semiconductor converters including
direct d.c. converters
IEC 61000-2-2:2002,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 2-2: Environment−Compatibility levels for
low-frequency conducted disturbances and signalling in public low-voltage power supply systems
IEC 61000-2-4:2002,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 2-4: Environment−Compatibility levels in
industrial plants for low-frequency conducted disturbances
CISPR 11:2009,Industrial, scientific and medical equipment−Radio-frequency disturbance characteristics−
Limits and methods of measurement
CISPR 16-1-2:2006,Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods−Part
1-2: Radio disturbance and immunity measuring apparatus−Ancillary equipment−Conducted
disturbances
CISPR 16-1-4:2004,Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods−Part
1-4: Radio disturbance and immunity measuring apparatus−Ancillary equipment−Radiated disturbances
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用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 60050-161:1997及びJIS C 60050-551:2005によるほか,
次による。
3.1
装置
3.1.1
パワーエレクトロニクス装置,PEE(power electronic equipment)
主な機能が電力の変換である電子機器(EE)(3.1.2参照。)。PEEの構成例を,図1〜図4に示す。
注記1 主回路開閉を電子部品で行う半導体スイッチは,PEEである[オン状態では入力から出力に
電力をそのまま出力し(発生損失は除く。),オフ状態では電力を出力しない。]。
注記2 電子的に保護動作を行う開閉装置はPEEではなく,EEでもない(その主な機能は,機械部
品を使って接点の開閉を行うことである。)。
図1−PEEの構成例(例1 負荷装置に直流電力を供給する場合)
設備
高調波フィルタ
又は力率改善用
コンデンサ
上位制御装置
共通結合点(PCC)
PEE
変換器冷却装置
負荷装置
低電圧電源系統
順変換器
制御装置及び保
護装置(操作表
示を含む。)
制御装置電源
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図2−PEEの構成例(例2 直流電源から交流に電力を供給する場合)
図3−PEEの構成例(例3 負荷装置に交流電力を供給する場合)
設備
直流電源
PEE
高調波フィルタ
変換器冷却装置
低電圧電源系統
逆変換器
PCC
制御装置及び
保護装置(操作
表示を含む。)
制御装置電源
上位制御装置
設備
上位制御装置
PCC
順変換器
逆変換器
制御装置及び保
護装置(操作表
示を含む。)
制御装置電源
低電圧電源系統
PEE
高調波フィルタ
高調波フィルタ
又は力率改善用
コンデンサ
変換器冷却装置
負荷装置
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図4−PEEの構成例(例4 アクティブフィルタ又は無効電力補償装置の場合)
3.1.2
電子機器,EE(electronic equipment)
その主機能が半導体中の電子の動きを使った半導体デバイスを用いて動作し,PEE又はその一部として
用いる電気機器。
注記1 EEは,その機能に応じてデータ処理装置を含む。電子式でない要素部品又は機器を含むこと
もある。
注記2 組立済みのプリント配線板,プラグイン装置,制御装置,保護装置などのサブアセンブリ及
び機器もEEである。
3.1.3
低電圧PEE
定格電圧が交流600 Vを超えるポートをもたず,かつ,直流750 Vを超えるポートももたないPEE。
3.1.4
高電圧PEE
定格電圧が交流600 V又は直流750 Vを超えるポートをもつPEE。
3.1.5
設備(installation)
1台以上のPEE,及び必要に応じてその他の装置を備えた装置群。PEEの負荷装置,電池などがある
場合はそれを含む。
3.2
分類
3.2.1
第1種環境(first environment)
設備
高調波フィルタ
PCC
制御装置及び
保護装置(操作
表示を含む。)
補助電源
PEE
高調波発生源
無効電力発生源
変換器
制御装置電源
高調波フィルタ
変換器冷却装置
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住宅環境,並びに住宅用の低電圧商用電源系統に中間変圧器なしで接続する商業及び軽工業施設を含む
環境。
3.2.2
第2種環境(second environment)
商業,軽工業及び工業用環境。ただし,住宅用の低電圧商用電源系統に中間変圧器なしで接続する商業
及び軽工業施設を除く。
3.2.3
カテゴリC1のPEE(PEE of category C1)
次の全てを満たすPEE。
− 第1種環境で用いることを想定している。
− 定格電圧が交流600 V以下及び直流750 V以下。
− 定格電流が100 A以下。
3.2.4
カテゴリC2のPEE(PEE of category C2)
次の全てを満たすPEE。
− 第1種環境及び第2種環境で用いることを想定している。ただし,第1種環境で用いる場合には,専
門家だけが設置及び調整することができる。
− 組込装置でも移動可能な装置でない。
− 定格電圧が交流600 V以下及び直流750 V以下。
− 定格電流が100 A以下。
注記 専門家とは,EMCの特性を含め,PEEの設置及び調整において必要な技術をもつ人又は組織
をいう。
3.2.5
カテゴリC3のPEE(PEE of category C3)
次の全てを満たすPEE。
− 第2種環境で用いることを想定している。
− 第1種環境で用いることを想定していない。
− 定格電圧が交流600 V以下及び直流750 V以下。
− 定格電流が100 A以下。
3.2.6
カテゴリC4のPEE(PEE of category C4)
次のいずれかのシステムで用いることを想定したPEE。
− 定格電圧が交流600 Vを超える。
− 定格電圧が直流750 Vを超える。
− 定格電流が100 Aを超える。
− 第2種環境の複雑なシステムで用いる。
3.3
設置場所,ポート及びインタフェース
3.3.1
使用場所(試験のための)[in situ (for test)]
最終使用者の通常の使用のために装置を設置する場所。
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3.3.2
テストサイト(放射)[test site (radiation)]
規定の条件で,供試機器が放射する電磁波を正確に測定するために必要な要求事項を満たすサイト。
3.3.3
ポート(port)
装置又はネットワークの,次のいずれかに示す入出力。
− 電磁エネルギーを送り出す又は受け取る。
− 信号を送り出す又は受け取る。
− 装置の変数を観測又は測定する。
− ネットワークの変数を観測又は測定する。
注記 PEEのポートの例を,図5〜図7に示す。
図5−PEEの内部インタフェース及びポートの例1
設備
高調波フィルタ
又は力率改善用
コンデンサ
交流入力主電源ポート
信号インタフェース
計測及び制御ポート
電力インタフェース
PEE
補助電源ポート
低電圧電源系統
負荷装置
PCC
制御装置電源
上位制御装置
直流主電源ポート
順変換器
制御装置及び
保護装置(操作表
示を含む)
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図6−PEEの内部インタフェース及びポートの例2
信号インタフェース
電力インタフェース
接地ポート
補助電源ポート
主電源ポート
きょう体ポート
PEEの一部
PEEのほかの
部分
計測及び制御装置
主電源ポート
計測
及び制御ポート
図7−PEEの内部インタフェース及びポートの例3
3.3.4
きょう体ポート(enclosure port)
電磁界を放射又は入射するPEEの物理的な境界(図7参照)。
3.3.5
計測及び制御ポート(port for process measurement and control)
PEEに,計測装置及び制御装置を接続する導体又はケーブルのための入出力ポート(図5〜図7参照)。
交流入力主電源ポート
信号インタフェース
計測及び制御ポート
設備
高調波フィルタ
又は力率改善用コンデ
ンサ
上位制御装置
制御装置及び保
護装置(操作表
示を含む)
制御装置電源
低電圧電源系統
PEE
高調波フィルタ
交流出力主電源ポート
電力インタフェース
補助電源ポート
PCC
順変換器
逆変換器
負荷装置
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3.3.6
主電源ポート(main power port)
PEEの主回路の電力が通過するポート。
3.3.7
交流入力主電源ポート
通過する主回路の電力が交流で,かつ,商用電源系統又は工業用配電系統に接続する主電源ポート。
3.3.8
交流出力主電源ポート
通過する主回路の電力が交流で,かつ,負荷に接続する主電源ポート。
3.3.9
直流主電源ポート
通過する主回路の電力が直流である主電源ポート。
3.3.10
補助電源ポート(auxiliary power port)
PEEの補助回路だけに電力を供給する電源ポート。
3.3.11
接地ポート(earth port)
PEEを大地に接続するためのポート。
3.3.12
高電圧ポート
定格電圧が交流600 V又は直流750 Vを超えるポート。
注記 高電圧の主電源ポートは,高電圧主電源ポートと呼ぶ。内部回路の定格電圧が交流600 V又は
直流750 Vを超えるきょう体ポートは,高電圧ポートの一種とみなし高電圧きょう体ポートと
呼ぶ。
3.3.13
信号インタフェース(signal interface)
PEE内部の機器間を接続する信号線のための入出力(以下,I/Oという。)接続(図5〜図7参照)。
3.3.14
電力インタフェース(power interface)
PEE内部の機器間の電力を伝達又は分配するための接続(図5〜図7参照)。
注記 PEEの電力インタフェースは,異なる形態及び接続をもっていてもよい。
電力インタフェースは,PEEのある部分からPEEの別の部分への電力の分配のための接続の
場合がある。一つの電力インタフェースが,PEEの異なるコンポーネントに共通の場合もある。
PEEの外部を通して1台の順変換器から複数の逆変換器に直流電力を分配する接続も,電力
インタフェースである。
3.3.15
共通結合点,PCC(point of common coupling)
商用電源系統又は工業用配電系統において,PEEに電気的に最も近い結合点。
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3.4
PEEのコンポーネント
3.4.1
(PEEの)コンポーネント[component (of the PEE)]
製造業者が指定する固有の機能をもち,切り離して動作できる,PEEの物理的な一部分。変換器も一つ
のコンポーネントである。
3.4.2
(PEEの)サブコンポーネント[sub-component (of the PEE)]
製造業者が指定する固有の機能をもち,切り離して動作できる,コンポーネントの物理的な一部分。PEE
のコンポーネントは,サブコンポーネントに分割してもよい。
4
共通要求事項
4.1
一般条件
エミッション又はイミュニティの観点から,全ての現象は個別に検討する。限度値は,異なる現象の組
合せによる影響は考慮しないという条件で規定する。
EMCに関する状況を現実的に評価するため,試験は,代表的な機器構成で行う。
イミュニティの評価では,対象とするPEE,構成,ポート,技術仕様及び動作条件に応じて試験内容を
規定している。
4.2
試験
4.2.1
条件
この規格で規定する全ての試験は,特に製造業者による指定がない限り形式試験として行う。PEEは,
この規格で規定する試験方法で測定し,EMC要求事項に適合しなければならない。
注記 イミュニティ試験の一部は,電波伝送関連法規によって,試験を行う場所が限定されることが
ある。
EMC試験中にPEEに故障が発生したときに備えて,必要に応じて安全対策を施しておく。
試験は,製造業者が指定したケーブル及び接地方式を用いて行う。特に製造業者による指定がない限り,
適切な定格1) の負荷に接続する。受動負荷条件(抵抗又は誘導性抵抗)を追加して適用する場合もある(例
えば,低周波エミッションの評価のため。)。
注1) 適切な定格とは,規定の試験を行うために適切な定格であり,PEEの容量に対応した定格とは
限らない。
試験は,特に製造業者による指定がない限り,JIS C 61000規格群による。
4.2.2
試験報告書
試験結果は,試験報告書に記載する。試験報告書は,明確に,かつ,曖昧にならないように試験の必要
関連情報(例えば,負荷条件,ケーブル配置など)を記載する。製造業者は,表1のどの項目に対して,
どの性能判定基準を指定し,どのような内容で合否を判定したかを記載する。表1のどの項目を選定する
かは,製造業者が決定する。
試験報告書には,試験時の機器配置の選定理由を説明する。実際の動作条件相当になるように,かつ,
端子の全ての終端方式を確認できるように,十分な数の端子に対して試験する。
試験は,定格入力電圧で,かつ,再現可能な方法で行う。
4.3
使用者及び設置業者のための文書
製造業者は,PEEの使用者及び設置業者が正しく設置するために必要な情報を提供しなければならない。
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要求限度値を満たすために必要な外部条件がある場合は,説明書にその旨を明記する。必要な外部条件
には,次のような事項がある。
− 許容可能な最大及び最小の電源系統インピーダンス
− シールドケーブル又は特殊ケーブルの使用(電力用及び/又は制御用)
− ケーブルのシールドの接続に関する要求事項
− 許容最大ケーブル長
− ケーブルの分離
− フィルタなどの外部機器の使用
− 機能接地(安全対策を目的としたものではない,装置又はシステムの接地)
異なる環境で用いる場合に,異なる機器及び/又は異なる接続条件を適用する場合,そのことも記載す
る。
PEEに追加でき,かつ,イミュニティ及び/又はエミッション要求事項に適合する補助装置の一覧表も
使用者に提供する。推奨する配置条件を試験報告書で説明してもよい。
5
イミュニティ要求事項
5.1
一般条件
5.1.1
性能判定基準
PEEは,5.2及び5.3で規定する試験を行ったときに,試験ごとに適用する性能判定基準を満足しなけれ
ばならない。次のa)〜c)に示す三つの性能判定基準A,B及びCに分類する。性能判定基準A及びBの最
低性能レベルは製造業者が指定する。この規格で規定した試験を行った結果,PEEが危険な状態になった
場合,又は安全を確保できなくなった場合には,そのPEEは試験を中止し,その試験に不合格であると
判定する。
a) 性能判定基準A 機器は,動作特性に特別な変化がない。規定裕度の範囲で想定する動作を行ってい
る。
b) 性能判定基準B 機器は,動作特性の僅かな変化(目に見える,又は耳に聞こえる)が生じてもよい。
自己回復する。
c) 性能判定基準C 機器は,運転停止,又は動作特性の大きな変化があってもよい。保護装置の動作が
あってもよい。自己回復しなくてもよいが破損はしない。
負荷は,製造業者の仕様の範囲内とし,実際の負荷を試験報告書に記載する。
5.1.2
サブコンポーネントの性能判定基準
PEEの物理的寸法の制約,試験場所の電流若しくは定格電源容量の制約,又は負荷条件の理由でPEE
を試験場所で運転できない場合は,サブコンポーネントに対して表1の項目に関して試験を行うことが望
ましい。
サブコンポーネントは,試験ごとに適用する表1の性能判定基準を満足しなければならない。性能判定
基準A及びBの最低性能レベルは,製造業者が指定する。試験を行った結果,PEEが危険な状態になっ
た場合,又は安全を確保できなくなった場合は,その機器は試験を中止し,その試験に不合格であると判
定する。
12
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表1−電磁妨害に対するサブコンポーネントの性能判定基準
項目
性能判定基準a)
A
B
C
変換器(冷却装置も
含む。)
試験中及び試験後に変換器
が想定したように動作し続
ける。
試験後に正常に動作する。試
験中の性能低下及び機能喪
失はあってもよい。
試験中及び試験後において一時
的な機能喪失があってもよい。機
能が自動的に回復するか又は操
作して回復することができる。
制御装置,表示装置
及びセンサ
試験中及び試験後に製造業
者の指定した性能低下の範
囲内の運転制御を行う。
運転を停止するような誤動
作は発生しない。
外部機器との通信及びデー
タ交換に障害が生じない。
試験後に製造業者の指定し
た性能低下の範囲内の運転
制御を行う。試験中の性能低
下はあってもよい。運転を停
止するような誤動作は発生
しない。外部機器との通信が
一時的に妨害されてもよい。
情報データの変化がない。
運転停止があってもよい。通信の
誤動作,並びにデータ及び情報の
喪失があってもよい。
自動的に,又は制御装置を操作す
ることによって回復することが
できる。
保護装置及びセンサ
運転を停止するような誤動
作は発生しない。
外部機器との通信及びデー
タ交換に障害が生じない。
情報データの変化がない。
運転を停止するような誤動
作は発生しない。外部機器と
の通信が一時的に妨害され
てもよい。情報データの変化
がない。
運転停止があってもよい。通信の
誤動作,並びにデータ及び情報の
喪失があってもよい。
自動的に回復するか又は操作に
よって回復することができる。
注a) 性能判定基準A,B,C:誤始動があってはならない。誤始動は,“停止”状態からの意図しない不要動作である。
5.1.3
試験中の条件
該当する関連ポートがあるときは,関連ポートに対して試験を行う。オプションの附属器具があるとき
は,附属器具のポートも試験する。これらの試験は,明確に指定し,かつ,再現できる方法で,ポート単
位で行う。ただし,幾つかの計測及び制御ポート,又は信号インタフェースが物理的に同じ構成(配置)
となっている場合には,その形式のポート又はインタフェースの一つだけに行えばよい。
5.2
低周波妨害に対するイミュニティの要求事項
5.2.1
共通
5.2.1.1
一般事項
この細分箇条は,低周波妨害に対するPEEのイミュニティの最小要求事項を規定する。
イミュニティ要求事項に対して,製造業者は,試験,計算又はシミュレーションを用いて適合している
ことを示してもよい。特に製造業者による指定がない限り,主回路の動作が要求する性能判定基準に従い,
かつ,入力回路(高調波フィルタなど)の定格を超えない場合,適合しているとみなす。
この規格の要求事項に適合していることを,説明書に記載する。その適合を試験によって立証する場合
には,関連するJIS C 61000-4規格群を参考にしてもよい。
5.2.1.2
第2種環境の電磁環境分類
第2種環境においては,電磁環境を次のa)〜c)のクラス1,2及び3に分類する。特に製造業者による
指定がない限りクラス2を適用する。次のa)〜c)のクラス1,2及び3は,IEC 60146-1-1ではそれぞれク
ラスC,B及びAに相当する。接続する電源系統の電磁環境によって,イミュニティの項目ごとに異なる
クラスを指定してもよい。
a) クラス1 短絡比が大きい電源系統に接続する比較的小容量の変換装置に対して適用する。クラス1
を適用した変換装置を使用する場合,その運転によって発生する電磁妨害のレベルが無視できること
を確認する必要がある。
13
C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) クラス2 通常の電源系統に接続する変換装置に対して適用する。クラス2を適用した変換装置は,
一般産業システムにおいて,例えば,比較的容量の大きい交流電動機のような負荷が並列に接続され
た交流電源系統でも使用できる。クラス2を適用した変換装置を,より条件の悪い電源系統に接続す
る場合には,次に例示するいずれか,又は複数の対策が必要になる。
− サージ抑制装置の設置
− 絶縁変圧器の設置
− 交流フィルタの設置
− 無効電力補償装置の設置
c) クラス3 短絡比が小さい電源系統に接続する変換装置に対して適用する。短絡比が大きくても,例
えば,1台の変圧器に変換装置用変圧器がない他励変換装置を複数接続する場合には,1台の変換装置
の転流期間中,ほかの変換装置にとっては交流入力電圧が0に落ち込むこともあるので,このような
変換装置にもクラス3を適用する。また,電源線伝導妨害がクラス1又は2にほとんど入る場合でも,
万一の変換装置の事故発生時に著しい被害が予想される場合,又はほかの変換装置若しくは電磁妨害
を発生する負荷などを将来同一電源系統に増設することが予想される場合には,クラス3を適用でき
る変換装置にしておくことが望ましい。
5.2.2
低電圧PEE
5.2.2.1
交流入力主電源ポート
5.2.2.1.1
高調波及び転流ノッチ又は電圧ひずみ
PEEは,第1種環境では表2,第2種環境では表3に規定するイミュニティ要求事項を満足しなければ
ならない。表2又は表3のレベルが,入力回路(フィルタなど)の定格を超えないことを確認する。転流
ノッチの解析は,時間領域で行う。製造業者は,5.2.1に従って計算,シミュレーション又は試験によって
イミュニティを確認してもよい。
注記 総合高調波ひずみ率(THD)に対するノッチの影響を周波数領域で解析した場合には,転流ノ
ッチの特殊な波形(du/dt,ゼロクロスなど)が,スナバ回路の動作又は電子制御回路の動作に
及ぼす特定の悪影響を明確にできない。
表2−低電圧PEEの交流電源ポートにおける高調波及び
転流ノッチに関する第1種環境のイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判定基準
高調波
(THD及び各次高調波)
IEC 61000-2-2
両立性レベル(THD:8 %,
各次高調波:表4)の値
A
転流ノッチ
IEC 61000-1-1
要求なし
A
14
C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3−低電圧PEEの交流電源ポートにおける高調波及び
転流ノッチに関する第2種環境のイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判定
基準
クラス1
クラス2
クラス3
高調波
(THD及び
各次高調波)
IEC 61000-2-4
IEC 60146-1-1
IEC 60146-2
両立性レベル
(THD:5 %,各次高
調波:表5)の値
両立性レベル
(THD:8 %,各次高
調波:表6)の値
両立性レベル
(THD:10 %,各次
高調波:表7)の値
A
転流ノッチ
IEC 60146-1-1
IEC 60146-2
ノッチ深さ20 %
ノッチ面積125 %・度
ノッチ深さ40 %
ノッチ面積250 %・度
ノッチ深さ100 %
ノッチ面積625 %・度
A
注記1 IEC 60146-1-1では,クラスBの高調波はTHD 10 %,奇数次6 %及び偶数次2 %と規定している。
注記2 IEC 60146-2では,クラスBの高調波はTHD 8 %,奇数次6 %及び偶数次2 %と規定している。
表4−第1種環境における各次高調波電圧の両立性レベル
3の倍数以外の奇数次高調波
3の倍数の奇数次高調波
偶数次高調波
高調波次数
h
高調波電圧
%
高調波次数
h
高調波電圧
%
高調波次数
h
高調波電圧
%
5
6
3
5
2
2
7
5
9
1.5
4
1
11
3.5
15
0.4
6
0.5
13
3
21
0.3
8
0.5
17 ≦ h ≦ 49
2.27×(17/h)−0.27
21 < h ≦ 45
0.2
10 ≦ h ≦ 50
0.25×(10/h)+0.25
表5−第2種環境クラス1における各次高調波電圧の両立性レベル
3の倍数以外の奇数次高調波
3の倍数の奇数次高調波
偶数次高調波
高調波次数
h
高調波電圧
%
高調波次数
h
高調波電圧
%
高調波次数
h
高調波電圧
%
5
3
3
3
2
2
7
3
9
1.5
4
1
11
3
15
0.3
6
0.5
13
3
21
0.2
8
0.5
17 ≦ h ≦ 49
2.27×(17/h)−0.27
21 < h ≦ 45
0.2
10 ≦ h ≦ 50
0.25×(10/h)+0.25
表6−第2種環境クラス2における各次高調波電圧の両立性レベル
3の倍数以外の奇数次高調波
3の倍数の奇数次高調波
偶数次高調波
高調波次数
h
高調波電圧
%
高調波次数
h
高調波電圧
%
高調波次数
h
高調波電圧
%
5
6
3
5
2
2
7
5
9
1.5
4
1
11
3.5
15
0.4
6
0.5
13
3
21
0.3
8
0.5
17 ≦ h ≦ 49
2.27×(17/h)−0.27
21 < h ≦ 45
0.2
10 ≦ h ≦ 50
0.25×(10/h)+0.25
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表7−第2種環境クラス3における各次高調波電圧の両立性レベル
3の倍数以外の奇数次高調波
3の倍数の奇数次高調波
偶数次高調波
高調波次数
h
高調波電圧
%
高調波次数
h
高調波電圧
%
高調波次数
h
高調波電圧
%
5
8
3
6
2
3
7
7
9
2.5
4
1.5
11
5
15
2
6
1
13
4.5
21
1.75
8
1
17 ≦ h ≦ 49
4.5×(17/h)−0.5
21 < h ≦ 45
1
10 ≦ h ≦ 50
1
5.2.2.1.2
短時間高調波
短絡比の小さい交流電源系統に複数の他励変換装置を接続する場合,他励変換装置の出力電流が過負荷
になると他励変換装置が交流電源系統に発生する高調波が増加する。過負荷が頻繁に発生する他励変換装
置が複数接続された短絡比の小さい交流電源系統に接続することを想定したPEEでは,短時間高調波を
規定することが望ましい。短時間高調波のイミュニティレベルは,過負荷の比率及び時間によって決定す
ることが望ましい。短絡比の小さい交流電源系統に同時に接続される他の変換装置が自励変換装置の場合
は,出力によって高調波の大きな変化はないので,短時間高調波を規定しなくてもよい。
5.2.2.1.3
電圧変動,電圧ディップ及び短時間停電
PEEは,第1種環境では表8,第2種環境では表9に規定するイミュニティレベルを満足しなければな
らない。製造業者は,計算,シミュレーション又は試験によってイミュニティを確認してもよい。
表8−低電圧PEEにおける電圧変動,電圧ディップ及び
短時間停電に対する第1種環境のイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判定基準
電圧変動(公称電圧に対する偏差) IEC 61000-2-2
±10 %
A
電圧ディップ
JIS C 61000-4-11
(16 A以下)
残存電圧0 %で
1サイクル
B
JIS C 61000-4-34
(16 Aを超える。)
残存電圧70 %で
25/30サイクル
(50/60 Hz)
C
短時間停電
JIS C 61000-4-11
(16 A以下)
JIS C 61000-4-34
(16 Aを超える。)
残存電圧0 %で
250/300サイクル
(50/60 Hz)
C
16
C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表9−低電圧PEEにおける電圧変動,電圧ディップ及び
短時間停電に対する第2種環境のイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判定基準
クラス1
クラス2
クラス3
電圧変動(公称電
圧に対する偏差)
IEC 61000-2-4
±8 %
±10 %
+10 %〜−15 %,
−15%〜−10 %は
60秒以内の継続
A
電圧ディップ
JIS C 61000-4-11
(16 A以下)
PEEの仕様で個
別に設定する。
残存電圧0 %で
1サイクル
残存電圧0 %で
1サイクル
B a)
JIS C 61000-4-34
(16 Aを超える。)
残存電圧70 %で
25/30サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧80 %で
250/300サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧70 %で
25/30サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧40 %で
10/12サイクル
(50/60 Hz)
C
短時間停電
JIS C 61000-4-11
(16 A以下)
JIS C 61000-4-34
(16 Aを超える。)
残存電圧0 %で
250/300サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧0 %で
250/300サイクル
(50/60 Hz)
C
注a) 保護装置が動作してもよい。
装置として問題なく,かつ,危険性がない場合は,PEEの標準動作条件下で主電源のオフ及びオンによ
って短時間停電中のPEEの動作を実証してもよい。
製造業者は,電圧ディップ又は短時間停電による性能低下について,説明書に記載しなければならない。
5.2.2.1.4
電圧不平衡及び周波数変動
PEEは,第1種環境では表10,第2種環境では表11に規定するイミュニティレベルを満足しなければ
ならない。製造業者は,計算,シミュレーション又は試験によってイミュニティを確認してもよい。
表10−低電圧PEEの交流電源ポートにおける電圧不平衡及び
周波数変動の第1種環境のイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判定基準
電圧不平衡a)
IEC 61000-2-2
逆相成分:2 %
A
周波数変動
IEC 61000-2-2
±1 Hz
A
注a) 単相には適用しない。
表11−低電圧PEEの交流電源ポートにおける電圧不平衡及び
周波数変動の第2種環境のイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判定基準
クラス1
クラス2
クラス3
電圧不平衡a)
IEC 61000-2-4
逆相成分:2 %
逆相成分:2 %
逆相成分:3 %
A
周波数変動
IEC 61000-2-4
±1 Hz
±2 Hz(商用電源系統から分離して供給する場合)
A
注a) 単相には適用しない。
17
C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.2.2.2
交流出力主電源ポート
負荷を接続する交流電源ポートのイミュニティは,接続する負荷,設置状況などによって決定するので,
この規格では規定しない。これは,接続する負荷の仕様に基づいて,製造業者と使用者との協定による。
交流出力を商用電源系統又は工業用配電系統に接続する場合は,交流出力電源ポートのイミュニティは
5.2.2.1のイミュニティを適用する。交流出力が単独の電源系統であり,商用電源系統又は工業用配電系統
と同等のEMCレベルの場合には,5.2.2.1の規定又はその一部を適用してもよい。
5.2.2.3
直流主電源ポート
直流主電源ポートのイミュニティは,接続する負荷,直流電源,電池,設置状況などによって決定する
ので,この規格では規定しない。これは,接続する負荷,直流電源,電池などの仕様に基づいて製造業者
と使用者との協定による。
5.2.3
高電圧PEE
5.2.3.1
交流入力主電源ポート
5.2.3.1.1
高調波及び転流ノッチ又は電圧ひずみ
PEEは,表12に規定するイミュニティレベルを満足しなければならない。表12のレベルが,入力回路
(フィルタなど)の定格を超えないことを確認する。転流ノッチの解析は,時間領域で行う。製造業者は,
計算,シミュレーション又は試験によってイミュニティを確認してもよい。
注記 総合高調波ひずみ率(THD)に対するノッチの影響を周波数領域で解析した場合には,転流ノ
ッチの特殊な波形(du/dt,ゼロクロスなど)が,スナバ回路の動作又は電子制御回路の動作に
及ぼす特定の悪影響を明確にできない。
表12−高電圧PEEの交流主電源ポートにおける高調波及び
転流ノッチ又は電圧ひずみに対するイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判定
基準
クラス1
クラス2
クラス3
高調波
(THD及び
各次高調波)
IEC 61000-2-4
両立性レベル
(THD:5 %,各次高
調波:表5)の値
両立性レベル
(THD:8 %,各次高
調波:表6)の値
両立性レベル
(THD:10 %,各次
高調波:表7)の値
A
転流ノッチa)
IEC 60146-1-1
ノッチ深さ20 %
ノッチ面積125 %・度
ノッチ深さ40 %
ノッチ面積250 %・度
ノッチ深さ100 %
ノッチ面積625 %・度
A
注a) IEC 60146-1-1のクラスCは,変圧器の一次側に適用する。
5.2.3.1.2
短時間高調波
短絡比の小さい交流電源系統に複数の他励変換装置を接続する場合,他励変換装置の出力電流が過負荷
になると他励変換装置が交流電源系統に発生する高調波が増加する。過負荷が頻繁に発生する他励変換装
置が複数接続された短絡比の小さい交流電源系統に接続することを想定したPEEでは,短時間高調波を
規定することが望ましい。短時間高調波のイミュニティレベルは,過負荷の比率及び時間によって決定す
ることが望ましい。短絡比の小さい交流電源系統に同時に接続される他の変換装置が自励変換装置の場合
は,出力によって高調波の大きな変化はないので,短時間高調波を規定しなくてもよい。
5.2.3.1.3
電圧変動,電圧ディップ及び短時間停電
PEEの交流主電源ポートは,表13に規定するイミュニティレベルを満足しなければならない。製造業
者は,計算,シミュレーション又は試験によってイミュニティを確認してもよい。
18
C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表13−高電圧PEEの交流主電源ポートの電圧変動,電圧ディップ及び
短時間停電に対するイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判定基準
クラス1
クラス2
クラス3
電圧変動(公称電
圧に対する偏差)
IEC 61000-2-4
±8%
±10 %
+10 %〜−15 %,
−15 %〜−10 %は
60秒以内の継続
A
電圧ディップ
JIS C 61000-4-11
(16 A以下)
PEEの仕様で個
別に設定する。
残存電圧0 %で
1サイクル
残存電圧0 %で
1サイクル
B a)
JIS C 61000-4-34
(16 Aを超える。)
残存電圧70 %で
25/30サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧80 %で
250/300サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧70 %で
25/30サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧40 %で
10/12サイクル
(50/60 Hz)
C
短時間停電
JIS C 61000-4-11
(16 A以下)
JIS C 61000-4-34
(16 Aを超える。)
残存電圧0 %で
250/300サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧0 %で
250/300サイクル
(50/60 Hz)
C
注a) 保護装置が動作してもよい。
製造業者は,説明書に,電圧ディップ又は短時間停電から生じる性能の低下を明示しなければならない。
5.2.3.1.4
電圧不平衡及び周波数変動
PEEは,表14に規定するイミュニティレベルを満足しなければならない。製造業者は,計算,シミュ
レーション又は試験によってイミュニティを確認してもよい。
表14−高電圧PEEの交流主電源ポートにおける電圧不平衡及び周波数変動のイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判定基準
クラス1
クラス2
クラス3
電圧不平衡a)
IEC 61000-2-4
逆相成分:2 %
逆相成分:2 %
逆相成分:3 %
A
周波数変動
IEC 61000-2-4
±1 Hz
±2 Hz(商用電源系統から分離して供給する場合)
A
注a) 単相には適用しない。
5.2.3.2
交流出力主電源ポート
負荷が接続される交流電源ポートのイミュニティは,接続される負荷,設置状況などに依存するので,
この規格では規定しない。これは,接続される負荷の仕様に基づいて,製造業者と使用者との協定による。
交流出力を商用電源系統又は工業用配電系統に接続する場合は,交流出力電源ポートのイミュニティは
5.2.3.1のイミュニティを適用する。交流出力が単独の電源系統であり,商用電源系統又は工業用配電系統
と同等の場合には,5.2.3.1の規定又はその一部を適用してもよい。
5.2.3.3
直流主電源ポート
直流主電源ポートのイミュニティは,接続する負荷,直流電源,電池,設置状況などに依存するので,
この規格では規定しない。これは,接続する負荷,直流電源,電池などの仕様に基づいて,製造業者と使
用者との協定による。
19
C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.2.3.4
低電圧補助電源ポート
5.2.3.4.1
高調波及び転流ノッチ又は電圧ひずみ
PEEの補助電源ポートは,表15に規定するイミュニティレベルを満足しなければならない。表15のレ
ベルが,入力回路(フィルタなど)の定格を超えないことを確認する。転流ノッチの解析は,時間領域で
行う。製造業者は,5.2.1に従って,計算,シミュレーション又は試験によってイミュニティを確認しても
よい。
注記 総合高調波ひずみ率(THD)に対するノッチの影響を周波数領域で解析した場合には,転流ノ
ッチの特殊な波形(du/dt,ゼロクロスなど)が,スナバ回路の動作,又は電子制御回路の動作
に及ぼす特定の悪影響を明確にできない。
表15−PEEの低電圧補助電源ポートにおける
高調波及び転流ノッチ又は電圧ひずみに対するイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判
定基準
クラス1
クラス2
クラス3
高調波
(THD及び
各次高調波)
IEC 61000-2-4
IEC 60146-1-1
IEC 60146-2
両立性レベル(THD:
5 %,各次高調波:表5)
の値
両立性レベル(THD:
8 %,各次高調波:表6)
の値
両立性レベル(THD:
10 %,各次高調波:表
7)の値
A
転流ノッチ
IEC 60146-1-1
IEC 60146-2
ノッチ深さ20 %
ノッチ面積125 %・度
ノッチ深さ40 %
ノッチ面積250 %・度
ノッチ深さ100 %
ノッチ面積625 %・度
A
5.2.3.4.2
電圧変動,電圧ディップ及び短時間停電
PEEの補助電源ポートは,表16に規定するイミュニティレベルを満足しなければならない。製造業者
は,計算,シミュレーション又は試験によってイミュニティを確認してもよい。
表16−PEEの低電圧の補助電源ポートの電圧変動,電圧ディップ及び
短時間停電に対するイミュニティ要求事項
現象
試験方法規格
レベル
性能判定基準
クラス1
クラス2
クラス3
電圧変動(公称電
圧に対する偏差)
IEC 61000-2-4
参照
±8 %
±10 %
+10 %〜−15 %,
−15 %〜−10 %は
60秒以内の継続
A
電圧ディップ
JIS C 61000-4-11
(16 A以下)
PEEの仕様で個
別に設定する。
残存電圧0 %で
1サイクル
残存電圧0 %で
1サイクル
B a)
JIS C 61000-4-34
(16 Aを超える。)
残存電圧70 %で
25/30サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧80 %で
250/300サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧70 %で
25/30サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧40 %で
10/12サイクル
(50/60 Hz)
C
短時間停電
JIS C 61000-4-11
(16 A以下)
JIS C 61000-4-34
(16 Aを超える。)
残存電圧0 %で
250/300サイクル
(50/60 Hz)
残存電圧0 %で
250/300サイクル
(50/60 Hz)
C
注a) 保護装置が動作してもよい。
20
C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.2.3.4.3
電圧不平衡及び周波数変動
PEEの補助電源ポートは,表17に規定するイミュニティレベルを満足しなければならない。製造業者
は,計算,シミュレーション又は試験によってイミュニティを確認してもよい。
表17−PEEの低電圧補助電源ポートにおける電圧不平衡及び周波数変動のイミュニティ要求事項
現象
関連規格
レベル
性能判定基準
クラス1
クラス2
クラス2
電圧不平衡a)
IEC 61000-2-4
逆相成分:2 %
逆相成分:2 %
逆相成分:3 %
A
周波数変動
IEC 61000-2-4
±1 Hz
±2 Hz(商用電源系統から分離して供給する場合)
A
注a) 単相には適用しない。
5.2.4
電源周波数磁界イミュニティ
PEEは,表18に規定するイミュニティレベルを満足しなければならない。電源周波数磁界によって引
き起こされる妨害を模擬的に加えることによって適合性を確認する。
表18−電源周波数磁界のイミュニティ要求事項
現象
第1種環境
第2種環境
性能判定基準
試験方法規格
レベル
試験方法規格
レベル
電源周波数磁界
JIS C 61000-4-8
レベル2
10 A/m
JIS C 61000-4-8
レベル3
30 A/m
B
PEEの通電試験における磁界に敏感な部分への電源周波数磁界がJIS C 61000-4-8の試験レベルよりも
高い場合には,JIS C 61000-4-8による試験は実施しなくてもよい。
5.3
高周波妨害に対する基本イミュニティの要求事項
5.3.1
一般事項
表19及び表20に,高周波妨害試験用の最小イミュニティ要求事項を規定する。性能判定基準は,5.1.1
による。
5.3のイミュニティ要求事項は,代表的なユニットに対する形式試験によって確認する。全ての製品にお
けるEMCに関する性能は,製造業者又は供給者が何らかの品質管理手順を適用して,維持しなければな
らない。
テストサイト以外の使用場所に設置したPEEから得られた測定結果は,その設置環境だけに有効とす
る。
5.3.2
第1種環境
表19のレベルは,第1種環境で用いるPEEに適用する。
表19のイミュニティをもつように設計したPEEは,工場設備で用いてはならないことを示す警告を取
扱説明書に記載する。
注記 警告文の記載例を,次に示す。
警告
この装置は,住宅環境で用いることを想定しています。この装置を工業環境で
用いると正常に動作しないおそれがあります。工業環境では用いないでくださ
い。
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C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表19−第1種環境で用いるPEEのためのイミュニティ要求事項
ポート
現象
試験方法規格
レベル
性能判
定基準
きょう体ポート
静電気放電
JIS C 61000-4-2
4 kV CD a)
CD a) が不可能な場合
は8 kV AD b)
B
無線周波数電磁界
振幅変調
JIS C 61000-4-3
(5.3.4も参照)
80 MHz〜1 000 MHz
3 V/m
80 % AM c)(1 kHz)
A
交流電源ポート
ファストトランジェント/バースト
JIS C 61000-4-4
1 kV及び5 kHz d)
B
サージe)
1.2/50(8/20)μs
JIS C 61000-4-5
1 kV(線間)
2 kV(対地間)
B
伝導無線周波数
コモンモード
JIS C 61000-4-6
(5.3.4も参照)
0.15 MHz〜80 MHz
3 V
80 % AM c)(1 kHz)
A
直流電源ポート
ファストトランジェント/バーストf) JIS C 61000-4-4
1 kV及び5 kHz
容量性結合クランプ
B
電力インタフェース
ファストトランジェント/バーストf) JIS C 61000-4-4
1 kV及び5 kHz
容量性結合クランプ
B
計測及び制御ポート
信号インタフェース
ファストトランジェント/バーストf) JIS C 61000-4-4
0.5 kV及び5 kHz
容量性結合クランプ
B
伝導無線周波数f)
コモンモード
JIS C 61000-4-6
(5.3.4も参照)
0.15 MHz〜80 MHz
3 V
80 % AM c)(1 kHz)
A
注a) CD:接触放電
b) AD:気中放電
c) AM:振幅変調
d) 定格電流100 A以下の電源ポート:結合又は減結合回路網を用いた直接結合。
定格電流100 Aを超える電源ポート:減結合回路網を用いない直接結合又は容量性クランプ。容量性クラン
プを用いる場合,試験レベルは,2 kVとする。
e) 試験時に63 A未満の入力電流である電源ポートに限り適用できる。基礎絶縁の定格インパルス電圧以下とす
る(JIS C 60664-1参照)。
f) 接続されるケーブルの合計の長さが製造業者の仕様によって3 mを超えてもよいポート又はインタフェース
に限って適用する。
5.3.3
第2種環境
表20のレベルは,第2種環境で用いるPEEに適用する。表20のレベルは,低電圧ポート(主電源,
補助電源),又は高電圧PEEの低電圧インタフェース(電力,信号)にも適用する。高電圧ポートには適
用しない。
23
C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表20−第2種環境で用いるPEEのためのイミュニティ要求事項
ポート
現象
試験方法規格
レベル
性能判
定基準
きょう体ポート
静電気放電
JIS C 61000-4-2
4 kV CD a)
CD a) が不可能な場合
は8 kV AD b)
B
無線周波数電磁界
振幅変調
JIS C 61000-4-3
(5.3.4も参照)
80 MHz〜1 000 MHz
10 V/m
80 % AM c)(1 kHz)
A
交流電源ポート
ファストトランジェント/バースト
JIS C 61000-4-4
2 kV及び5 kHz d)
B
サージe)
1.2/50(8/20)μs
JIS C 61000-4-5
1 kV(線間)
2 kV(対地間)
B
伝導無線周波数f)
コモンモード
JIS C 61000-4-6
(5.3.4も参照)
0.15 MHz〜80 MHz
10 V
80 % AM c)(1 kHz)
A
直流電源ポート
ファストトランジェント/バーストf) JIS C 61000-4-4
2 kV及び5 kHz
容量性結合クランプ
B
電力インタフェース
ファストトランジェント/バーストf) JIS C 61000-4-4
2 kV及び5 kHz
容量性結合クランプ
B
信号インタフェース
ファストトランジェント/バーストf) JIS C 61000-4-4
1 kV及び5 kHz
容量性結合クランプ
B
伝導無線周波数 f)
コモンモード
JIS C 61000-4-6
(5.3.4も参照)
0.15 MHz〜80 MHz
10 V
80 % AM c)(1 kHz)
A
計測及び制御ポート
ファストトランジェント/バーストf) JIS C 61000-4-4
1 kV及び5 kHz
容量性結合クランプ
B
サージg)
1.2/50(8/20)μs
JIS C 61000-4-5
1 kV g)(対地間)
B
伝導無線周波数
コモンモードf)
JIS C 61000-4-6
(5.3.4も参照)
0.15 MHz〜80 MHz
10 V
80 % AM(1 kHz)
A
注a) CD:接触放電
b) AD:気中放電
c) AM:振幅変調
d) 定格電流100 A以下の電源ポート:結合又は減結合回路網を用いる直接結合。
定格電流100 Aを超える電源ポート:減結合回路網を用いない直接結合又は容量性クランプ。容量性クラン
プを用いる場合,試験レベルは,4 kVとする。
e) 試験時に63 A未満の入力電流である電源ポートに限り適用できる。基礎絶縁の定格インパルス電圧を超過し
てはならない(JIS C 60664-1参照)。
f) 接続するケーブルの合計の長さが製造業者の仕様によって3 mを超えてもよいポート又はインタフェースに
限って適用する。
g) 接続するケーブルの合計の長さが製造業者の仕様によって30 mを超えてもよいポートに限り適用する。シー
ルドケーブルの場合には,シールドへの直接結合を適用する。このイミュニティ要求事項は,技術的な理由
でサージ保護装置の使用が実用的でないフィールドバス,又はほかの信号インタフェースには,適用しない。
供試装置の結合又は減結合回路網の影響で,通常の機能が保てない場合は,この試験は必要としない。
5.3.4
電磁界に対するイミュニティ
電磁界に対するイミュニティについては,JIS C 61000-4-3及びJIS C 61000-4-6の試験を行う(5.3.2及
び5.3.3参照)。
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C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
テストサイトの制約によってPEE全体の試験を行えない場合は,製造業者は,感受性が高いサブコン
ポーネントでJIS C 61000-4-3及びJIS C 61000-4-6の試験を行う。
なお,一般的にはテストサイトの制約の目安は,次による。
− 定格電圧が600 V以下
− 定格電流が100 A以下
− 合計質量が250 kg以下
− 高さ,幅及び奥行きが1.9 m以下
サブコンポーネントだけを試験する場合は,一般工業用途の無線通信装置に対する試験は,PEE全体で
行う。この試験は,特定の位置,備え付けの装置,及び試験する周波数にだけ有効とする。
6
エミッション
6.1
一般的なエミッション要求事項
測定は,通常の用途を前提として,測定する周波数帯で最大のエミッションが発生する動作モードで行
う。
PEEのカテゴリ分類に従った要求事項は,表21による。
表21−エミッション要求事項のまとめ
カテゴリ
低周波エミッション
(電源ポート)
雑音端子電圧
(電源ポートほか)
放射エミッション
(きょう体ポート)
C1
製品評価,要求事項:6.2.2,6.2.3
第1種環境
製品評価
6.4.1.1−表22,6.4.1.2,
6.4.1.3−表23,6.4.1.5,
6.4.1.6−表25
製品評価
6.4.1.4−表24
C2
製品評価,要求事項:6.2.2,6.2.3
第1種又は第2種環境
製品評価
6.4.1.1−表22,6.4.1.2,
6.4.1.3−表23,6.4.1.5,
6.4.1.6−表25
6.4.1.1の取扱説明書の警告
製品評価
6.4.1.4−表24
6.4.1.4の取扱説明書の警告
C3
要求事項:6.2.2,6.2.3
第2種環境
製品評価
6.4.2.1,6.4.2.2−表26,
6.4.2.3,6.4.2.4
6.4.2.1の取扱説明書の警告
製品評価
6.4.2.5−表27
6.4.2.1の取扱説明書の警告
C4
施工時の計画要求事項:6.2.2,6.2.3
第2種環境
施工時の計画
6.4.2.1及び6.4.2.2−表26,
6.4.2.3,6.4.2.4
又は
6.5.1−EMCプラン及び
6.5.2−表28及び表29
施工時の計画
6.4.2.5−表27
又は
6.5.1−EMCプラン及び
6.5.2−表30及び表31
6.2
低周波エミッション限度値
6.2.1
適合性の確認方法
この規格への適合性は,計算,シミュレーション又は試験によって確認する。
6.2.2
転流ノッチ
転流ノッチは,位相制御する他励変換器(IEC 60146-1-1の3.5.6参照)などで発生する。PEEの入力回
路がノッチを発生しないか又は無視できる場合(例えば,ダイオード整流器),ノッチを考慮する必要はな
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C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
い。
ノッチは,オシロスコープを用いて交流主電源ポートで測定する。
ノッチの許容値は,第1種環境においては電源供給者の要求事項を満足し,第2種環境においては使用
者による同意を得ることが望ましい。
注記1 他励サイリスタ変換器は,ノッチを考慮するのが望ましい主な事例である。無線周波数妨害
フィルタ(以下,RFIフィルタという。)は,ノッチが影響を与える機器の事例である。RFI
フィルタは,ノッチによって過負荷になるか,又は反復性の過電圧を受けることになる。
注記2 ダイオード整流器は,非制御の他励変換器であり,ノッチは無視できる。自励変換装置(例
えば,PWM整流器を備えた電圧形間接変換装置)は,PWMパターンに依存するノッチを発
生することがある。
製造業者は,ノッチを考慮するために,次の情報を使用者に提供する。
− PEEに内蔵する減結合リアクタンスの値
− ノッチの緩和のために外部に追加できる減結合リアクタンスの許容値
注記3 減結合リアクタンスとは,他励変換装置では転流リアクタンス,自励変換装置では連系リ
アクタンスが該当する。
6.2.3
高調波
電圧300 V以下の商用電源系統に接続して用いる1相当たりの入力電流が20 A以下のPEEは,JIS C
61000-3-2による。それ以外はPCCで規定し,JIS C 4421の附属書JAによる。商用電源系統に接続しな
い交流電源ポートの高調波は,製造業者と使用者との協定による。
PEEの一部において,電源系統の品質改善を目的にした装置がある。例えば,アクティブフィルタでは
電源系統の高調波を打ち消すため,その高調波成分の周波数の電流を発生する。このため,アクティブフ
ィルタにおいては,この規格のエミッションの高調波の限度値を適用することはできない。このような装
置では,この規格の限度値によらず,装置の仕様書によって指定する。
6.2.4
直流主電源ポートの低周波エミッション
直流主電源ポートの低周波エミッションは,直流ポートに接続する負荷又は電池の仕様によるので,こ
の規格では規定しない。これは,接続する負荷又は電池の仕様に基づいて,製造業者と使用者との協定に
よる。
6.3
高周波エミッション測定条件
6.3.1
一般要求事項
6.3.1.1
共通条件
電圧又は電流の急激な変化が,高周波エミッションの主な発生源になる。この種のエミッションでは,
PEE内の電圧変化率が特に重要で,これらはPEEの定格電流よりも低い出力電流状態でも発生する。し
たがって,これらの試験は,軽負荷試験とする。試験は,適切なポートで行い,規定した再現可能な方法
でポートごとに行う。試験方法は,6.4〜6.5及びCISPR 11の箇条7による。試験のときには,接地の接続
に特に注意する。
負荷は,製造業者が指定する範囲内とし,試験で用いた実際の負荷を試験報告書に記載する。
カテゴリC1,C2及びC3のPEEの適合性は,代表とした装置に対する形式試験によって確認する。全
ての製品におけるEMCに関する性能は,製造業者又は供給者が何らかの品質管理手順を適用して,維持
しなければならない。疑義が生じた場合,PEEがCISPR 11の箇条6に規定する適合性評価の要求事項を
達成できないときに限って,この規格の要求事項に適合しないとみなす。したがって,評価は,仕様が明
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C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
確なテストサイトで行う。
6.3.1.2
伝導エミッション
商用電源系統に接続する交流電源ポートの雑音端子電圧の評価のための測定機器として,擬似電源回路
網(50 Ω/50 μH,CISPR 16-1-2:2006の4.3又はCISPR 11の7.3.2参照),及び擬似電源回路網が適用でき
ない場合のCISPR 16-1-2:2006の5.2.1又はCISPR 11の7.3.3の規定に適合した電圧プローブがある。
設置場所での雑音端子電圧の測定では,擬似電源回路網でなく,電圧プローブを用いる。PEEの入力電
流が100 Aより大きい場合,入力電圧が500 V以上の場合,又はPEEが他励変換器を含んでいる場合に
も,電圧プローブを適用できる。
6.3.1.3
放射エミッション
カテゴリC1及びカテゴリC2のPEEは,CISPR 16-1-4:2004の箇条5の要求事項に適合するテストサ
イトで測定する。
カテゴリC3のPEEは,CISPR 16-1-4:2004の箇条5の要求事項に適合するテストサイトで試験するこ
とが望ましい。ただし,皮相電力,寸法又は質量によって現実的に不可能な場合,テストサイトの要求事
項に完全には適合しない場所で試験してもよい。この場合,試験報告書の中で,この場所で試験すること
の正当性を説明する。
6.3.2
接続要求事項
テストサイトでPEEを測定する場合,試験セットアップは,使用者のための説明書(4.3参照)に記載
された想定する適用状態の代表的なものとし,電力ケーブル及び制御ケーブルの長さ及び位置を含めて,
製造業者が指定する。試験セットアップは,試験報告書に記載する。
設置場所でPEEを測定する場合,ケーブル及び接地の配置は,実際の適用状態とする。
6.4
高周波エミッション限度値
6.4.1
カテゴリC1及びC2の装置
6.4.1.1
交流入力電源ポートの雑音端子電圧
雑音端子電圧の限度値は,参考値として,表22によることが望ましい。準せん頭値及び平均値があり,
両方を同時に満たす必要がある。
表22−0.15〜30 MHzの雑音端子電圧の限度値(参考値)
周波数fの範囲
MHz
カテゴリ C1
カテゴリ C2
準せん頭値
dB(μV)
平均値
dB(μV)
準せん頭値
dB(μV)
平均値
dB(μV)
0.15 ≦ f < 0.50
66〜56
周波数の対数値に対
して直線的に減少
56〜46
周波数の対数値に対
して直線的に減少
79
66
0.5 ≦ f ≦ 5.0
56
46
73
60
5.0 < f < 30.0
60
50
73
60
PEEがカテゴリC1の限度値を満足しない場合は,次の例に示すような警告文を取扱説明書に記載する。
例
警告
この装置を住宅環境で用いると電磁障害を引き起こすことがあります。この場
合には,使用者は適切な対策が必要になることがあります。
注記 高周波コモンモードフィルタによって,大地への容量性結合の経路ができる。図8に示す電源
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の中性線Nを大地と絶縁するか,又は高インピーダンスを介して大地と接続する電源系統(以
下,IT電源系統という。)の場合は,容量性結合パスは,悪い影響を及ぼすことがある。
インピーダンスa)
系統接地
露出導電性部分
保護導体
L1
L2
L3
N
インピーダンスa)
系統接地
露出導電性部分
保護導体
L1
L2
L3
注a) 系統は,大地と絶縁する場合がある。また,中性線を設ける場合と,設けない場合とがある。
図8−IT電源系統
6.4.1.2
交流出力電源ポートの雑音端子電圧
カテゴリC1及びC2の交流出力電源ポートの雑音端子電圧の限度値は,規定しない。ただし,交流出
力電源ポートを商用電源系統又は工業用配電系統に接続する場合は,6.4.1.1による。
6.4.1.3
計測及び制御ポートの伝導妨害
計測及び制御ポートは,フィールドバスに接続することを想定している場合には,フィールドバスの関
連技術資料の伝導エミッション要求事項を満足しなければならない。
計測及び制御ポートを公共通信ネットワークに接続することを想定している場合は,表23を適用する。
準せん頭値及び平均値があり,両方を同時に満たす必要がある。
表23−通信ポート伝導妨害の許容値
周波数fの範囲
MHz
電圧許容値
電流許容値
準せん頭値
dB(μV)
平均値
dB(μV)
準せん頭値
dB(μA)
平均値
dB(μA)
0.15 ≦ f < 0.50
84〜74
74〜64
40〜30
30〜20
0.5 ≦ f ≦ 30
74
64
30
20
電圧許容値では,1 μVを0 dBとする。電流許容値では,1 μAを0 dBとする。
注記1 許容値は,0.15〜500 kHzの範囲で周波数の対数に対して直線的に減少する。
注記2 準せん頭値モードにおける測定値が平均値の許容値を満たす場合,その測定周波数での平均値測定は
行わなくてもよい。
注記3 電圧許容値及び電流許容値の変換係数は,20 log10 150=44 dBである。
6.4.1.4
放射−きょう体ポート
電磁放射妨害の限度値は,表24による(きょう体ポート,3.3.4の定義及び図7参照)。準せん頭値及び
平均値があり,両方を同時に満たす必要がある。
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表24−30〜1 000 MHzの(電磁)放射妨害の限度値
周波数fの範囲
MHz
カテゴリC1
カテゴリC2
電界強度成分
準せん頭値
dB(μV/m)
電界強度成分
準せん頭値
dB(μV/m)
30 ≦ f ≦
230
30
40
230 < f ≦ 1000
37
47
測定距離10 mとする。
カテゴリC1の場合,周囲の雑音レベルが高いなどの理由で10 m法
での電界強度測定ができないときは,3 m法を用いてもよい。3 m法を
用いた場合は,得られた測定結果は,その結果から10 dBを減じ,10 m
法での測定値に換算しなければならない。この場合,特にPEEが小形
のものではなく,周波数が30 MHzの近傍のときには,近傍界の影響
を避けることに注意することが望ましい。
注記 この説明の出典:CISPR 11:2009の6.2.2.3 表4 注記a
PEEがカテゴリC1の限度値を満足しない場合は,次の例に示すような警告文を取扱説明書に記載する。
例
警告
この装置を住宅環境で用いると電磁障害を引き起こすことがあります。この場
合には,使用者は適切な対策が必要になることがあります。
6.4.1.5
直流電源ポートの雑音端子電圧
カテゴリC1及びC2の直流電源ポートの雑音端子電圧の限度値は,規定しない。
6.4.1.6
電力インタフェースの雑音端子電圧
第1種環境で運転するPEEのエミッションの限度値は,次のいずれかの方法で測定する。
a) 適用ケーブルの長さが2 m以下の場合,又はシールドケーブルを用いる場合は,電力インタフェース
の測定を行う必要はない。シールドケーブルのシールドは,高い周波数に適した品質で長さ方向に連
続性があり,シールド終端の全周をそれぞれの装置に接続しなければならない。
b) エミッションは,表25の限度値に従って,電力変換器の電力インタフェース部の雑音端子電圧を測定
することによって確認する。準せん頭値及び平均値があり,両方を同時に満たす必要がある。
c) 低減手段(例えば,コモンモード低減手段)が適用されていてb)の測定方法が適切ではない場合は,
低減手段の効果は6.4.1.1による主電源端子の雑音端子電圧の測定において,電源入力ケーブルと電力
インタフェースケーブルとを結合させることによって得る。供試装置と擬似電源回路網とを1 m以上
離して,電源ケーブルと電力インタフェースケーブルとを0.6 m以上にわたって,10 cm以下の間隔で
平行に布設することによって結合を行う。
表25−電力インタフェースにおける雑音端子電圧の限度値
周波数fの範囲
MHz
定格出力電流における測定
準せん頭値
dB(μV)
平均値
dB(μV)
0.15 ≦ f < 0.5
80
70
0.5 ≦ f < 30
74
64
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6.4.2
カテゴリC3の装置
6.4.2.1
提供情報に関する要求事項
PEEがカテゴリC1又はC2の限度値を満足しない場合は,次の例に示すような警告文を取扱説明書に
記載する。
例
警告
この装置は,住宅に電力を供給する低電圧配電線に接続して用いることを想定
していません。低電圧配電線に接続して用いた場合は,電磁障害を引き起こすこ
とがあります。
製造業者は,推奨する低減装置を記載した据付及び使用の指針を提供する。
6.4.2.2
交流入力電源ポートの雑音端子電圧
PEEの雑音端子電圧の限度値は参考値として,表26によることが望ましい。この限度値は,高電圧PEE
の低電圧電源ポートにも適用する。高電圧ポートには適用しない。
準せん頭値及び平均値があり,両方を同時に満たす必要がある。
表26−0.15〜30 MHzの雑音端子電圧の限度値(参考値)
第2種環境のPEE−カテゴリC3のPEE
定格電流I
A
周波数fの範囲
MHz
準せん頭値
dB(μV)
平均値
dB(μV)
I ≦ 100
0.15 ≦ f < 0.50
100
90
0.5 ≦ f < 5.0
86
76
5.0 ≦ f < 30.0
90〜70
周波数の対数値に対
して直線的に減少
80〜60
周波数の対数値に対
して直線的に減少
100 < I
0.15 ≦ f < 0.50
130
120
0.5 ≦ f < 5.0
125
115
5.0 ≦ f < 30.0
115
105
専用変圧器がない100 Aを超えるPEEでは,通信又は信号ケーブルへの漏話を避けるために,電力ケ
ーブルを通信若しくは信号ケーブルから隔離するように推奨するか,又は代わりの低減手段を設置説明書
に明記する。
6.4.2.3
交流出力電源ポートの雑音端子電圧
カテゴリC3の交流出力電源ポートの雑音端子電圧の限度値は,規定しない。ただし,交流出力電源ポ
ートを商用電源系統又は工業用配電系統に接続する場合は,6.4.2.2による。
6.4.2.4
計測及び制御ポートの伝導妨害
計測及び制御ポートは,設備内のネットワークに接続することを想定している場合は,当該ネットワー
クの関連規格の伝導エミッション要求事項を満足しなければならない。
計測及び制御ポートを公共通信ネットワークに接続することを想定している場合は,表23を適用する。
6.4.2.5
放射−きょう体ポート
電磁放射妨害の限度値は,表27による(きょう体ポート,3.3.4の定義及び図7を参照)。
30
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表27−30 MHz〜1 000 MHzの電磁放射妨害の限度値
第2種環境のPEE−カテゴリC3のPEE
周波数fの範囲
MHz
準せん頭値
dB(μV/m)
30 ≦ f ≦ 230
50
230 < f ≦1000
60
測定距離10 mとする。
6.4.2.6
直流電源ポートの雑音端子電圧
カテゴリC3の直流電源ポートにおける雑音端子電圧の限度値は,規定しない。
6.4.2.7
電力インタフェースの雑音端子電圧
第2種環境で運転するPEEの場合,電力インタフェースの設置に関し,4.3に規定する必要な全ての情
報を設置及び取扱説明書に記載する。
6.5
カテゴリC4のPEEでの適用
6.5.1
施工時の計画
カテゴリC4のPEEの場合は,次の手順を用いる。
a) 一般条件 技術的な理由によって,PEEが表26の限度値に適合することができないような幾つかの
適用形態がある。これらの適用形態とは,次に示すような,定格電圧又は定格電流が大きな場合,特
別な技術的要求事項に該当する場合などである。
− 電圧が600 Vを超える場合
− 電流が100 Aを超える場合
− IT電源系統の場合
− フィルタを用いると要求された動的性能が達成できない場合
カテゴリC4のPEEをこれらの適用形態で用いる場合,製造業者と使用者との間で,想定する適用
形態におけるEMC要求事項を満足するためのEMCプランに合意しなければならない。EMCプラン
は,附属書Aを参照する。この場合,使用者は,全体の設備及び近隣を含む環境のEMC特性を指定
する(図9参照)。製造業者は,設置するPEEの代表的なエミッションレベルの情報を提供する。電
磁障害が生じた場合,6.5.2で規定する要求事項及び手順を適用する。
注記 EMCプランによる共通的な緩和方法の例としては,設備全体へのフィルタの設置,専用の特
別な変圧器の設置,ケーブルの分離などがある。
b) IT電源系統のフィルタ 適切な設計を行っていない場合,IT電源系統にフィルタを接続したPEEを
用いると,安全上の問題を生じるおそれがある。IT電源系統の場合には,電磁妨害の限度値を決める
ことはできない。システムの知識から考えられる解決策は多様であり,標準化できない。主な検討事
項は,故障状態及びフィルタの漏れ電流である。次の事例を考慮する。
1) PEEの負荷側での地絡。IT電源系統の接地状態を監視するシステムがトリップし,設備の予期しな
い停止に至る場合がある。
2) 負荷側での地絡は,隣接したほかの設備にコモンモード電圧を印加する原因となる場合がある。
3) 対地容量の増加を原因とする,IT電源系統監視システムによる故障の誤検知。設備の予期しない停
止に至る場合がある。
解決策は,個々の事例に応じて検討する。
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6.5.2
カテゴリC4のPEEのための設備境界外の限度値−電磁妨害伝搬の例
6.5.2.1
一般
第2種環境のPEEの場合,電磁妨害が高圧電源系統を介して伝搬したときでも,使用者は,隣接した
低電圧電源系統に過度の電磁妨害を発生させてはならない。
隣接する低電圧電源系統で発生した電磁障害についての申立て,又はPEEの使用者(図9の設備2の
使用者B)と別の電源系統の被害者(図9の設備1の使用者A)との間の論争の場合,電磁妨害の発生源
とみなすPEE(設備2)が動作したときに,電磁障害を生じる設備(設備1)で電磁妨害が発生している
ことを最初に明らかにしなければならない。
6.5.2.2
伝導妨害による電磁障害
6.5.2.1の場合,電磁障害を生じる装置を含む設備(設備1)の高圧変圧器の二次側低電圧部で電磁妨害
を測定する(測定点は図9参照)。周囲雑音も含め,表28又は表29で規定する要求事項を満足しなけれ
ばならない。
図9−電磁妨害の伝搬
注記 この方法は,EMCプランの中で報告された限度値をもつ高電圧PEEの場合,同じ設備の中の
異なる部分にも適用できる。この場合,伝搬した雑音端子電圧の設置場所での測定は,電磁妨
害の発生源とみなすPEEに,電気的に最も接近している高電圧変圧器(図10の設備の部分1)
の二次側低電圧部において行う(測定点については図10参照)。
高電圧電源系統
測定点
設備1
使用者A
電磁障害を
生じる装置
装置
低電圧
設備2
使用者B
PEE
(発生源)
装置
低電圧
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図10−高電圧PEEがある設備の電磁妨害の伝搬
図9の設備1が第1種環境に属する場合,雑音端子電圧の限度値は,表28による。
表28−伝搬する雑音端子電圧の限度値(境界外が第1種環境に相当する場合)
周波数fの範囲
MHz
準せん頭値
dB(μV)
平均値
dB(μV)
0.15 ≦ f < 0.50
66〜56
周波数の対数値に対
して直線的に減少
56〜46
周波数の対数値に対
して直線的に減少
0.5 ≦ f ≦ 5.0
56
46
5.0 < f < 30.0
60
50
図9の設備1又は図10の設備の部分1が,第2種環境に属する場合,雑音端子電圧の限度値は,表29
による。
表29−伝搬する雑音端子電圧の限度値(境界外が第2種環境に相当する場合)
周波数fの範囲
MHz
準せん頭値
dB(μV)
平均値
dB(μV)
0.15 ≦ f < 0.50
79
66
0.5 ≦ f ≦ 5.0
73
60
5.0 < f < 30.0
73
60
発生源とみなすPEEを運転しない状態での周囲雑音が限度値(表28及び表29)を超える場合,放射す
る周波数に特徴的なスペクトルがあり,周囲雑音を超えているときに限って,発生源とみなすPEEを不
合格とする。
6.5.2.3
放射による電磁障害
6.5.2.3.1
30 MHzを超える放射
設備の境界外で電磁障害が発生した場合,放射の測定方法は,次による。障害が第1種環境で発生した
場合,設備の境界から10 m離れて測定する。障害が第2種環境で発生した場合,設備の境界から30 m
離れて測定する。測定した電界強度の限度値は,表30による。
高電圧電力系統
測定点
設備の部分1
電磁障害を
生じる装置
装置
低電圧
設備の部分2
PEE
(発生源)
負荷
低電圧
補助電源
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表30−30 MHzを超える電磁妨害の限度値
周波数fの範囲
MHz
電界強度
準せん頭値
dB(μV/m)
30 < f ≦
230
30
230 < f ≦ 1000
37
発生源とみなすPEEを運転しない状態での周囲雑音が限度値(表30)を超える場合,放射する周波数
に特徴的なスペクトルがあり,周囲雑音を超えているときに限って,発生源とみなすPEEを不合格とす
る。
当該PEEからのエミッションは,周囲雑音又は電磁妨害の限度値のいずれか高い方を下回るまで抑制
しなければならない。
6.5.2.3.2
0.150 MHz〜30 MHzの放射
電磁障害が発生した場合,放射の測定方法は,次による。障害が第1種環境で発生した場合,設備の境
界から10 m離れて測定する。障害が第2種環境で発生した場合,設備の境界から30 m離れて測定する。
ループアンテナは,CISPR 16-1-4:2004の4.7.1によるものを用いる。電磁妨害の限度値は,表31によ
る。
表31−30 MHz以下の電磁妨害の限度値
周波数fの範囲
MHz
電界強度で表現す
る磁界強度
準せん頭値
dB(μV/m)
0.15 ≦ f ≦ 0.49
75
0.49 < f ≦ 3.95
65
3.95 < f ≦ 20
50
20
< f ≦ 30
40
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附属書A
(参考)
EMC解析及びEMCプラン
A.1 一般:PEEに適用するシステムEMC解析
A.1.1 電磁環境
A.1.1.1 一般
3.2で規定する分類に従い,より詳細で,より適した説明を行うことが可能となる場合がある。電磁環境
を説明するのに様々な手法を用いてもよい。両立性レベルが基本としている環境の一般的な特性を定義す
ることが望ましい。システムのEMCを達成するためには,設置方法,設計,物理的な分離,フィルタリ
ング及びシールドとともに,装置のイミュニティ特性を考慮することが望ましい。
PEEの種類によって,環境の特定のクラスを決定することができる。
A.1.1.2 一般モデル
システムは,幾つかのサブシステムで構成する。既存の機器(サブシステム)は,エミッション及び/
又はイミュニティの二つの作用をもつ(図A.1参照)。
図A.1−システムと電磁環境との間の相互作用
エミッションを発生する機器は,電磁環境を決定する。エミッションは,様々な種類の結合を通じて感
受性が高い機器に達する場合がある。一般的な相互作用は,サブシステムiとサブシステムjとの間,及
びサブシステムiと環境との間で決定する。これらの相互作用は,様々な結合の種類を用いた結合モデル
で決定する[共通インピーダンス結合,誘導による結合,及び放射(表A.1参照)]。
このモデルは,様々なEMC問題及び特定の限度値の決定を助ける。幾つかの例を,図A.1及び表A.1
に示す。
A.1.2 システムEMC解析技術
A.1.2.1 領域の概念
システムEMC解析は,それぞれのサブシステムの信号特性,重要な回路のノイズイミュニティレベル,
電磁環境
サブシステム
A1
サブシステム
A2
サブシステム
A3
サブシステム
A4
サブシステム
B1
サブシステム
B2
サブシステム
B3
サブシステム
B4
システム
A
システム
B
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技術評価試験及び動作上の電磁環境の検討に関する知識を利用して行うことが望ましい。発生源(送信機),
受信機,アンテナ,伝ぱ(播)媒体及び結合経路のモデルは,必要に応じて開発することが望ましい。シ
ステムEMC解析の目的は,PEEがEMC要求事項に適合することを確実にするために,設計への要求事
項及び手順の開発を助けることである。
PEEのための領域の概念は,サブシステム及び装置の動作上の電磁環境及び感受性に基づいて定義する
ことが望ましい。特定の性能判定基準は,それぞれのEMC試験に先立って各領域に対して確立すること
が望ましい。これらの性能判定基準は,イミュニティ試験期間におけるPEEの性能評価手法,及び動作
不良又は仕様書要求事項からの逸脱を検出する手法を定義することが望ましい。特定のサブシステム又は
装置のための性能判定基準は,適切なEMC試験手順に含むことが望ましい。領域の概念を,図A.2で示
す。
図A.2−領域の概念
A.1.2.2 インタフェース
表A.1は,PEE(図A.3参照)のサブシステムと環境との間の電磁相互作用の種類の例を示す。
工業用配電系統
領域0
領域1
領域2
変換装置用変圧器
遮断器
高調波
フィルタ
母線
変換器
冷却
システム
母線
負荷
アラーム
信号
ゲート
信号
補助シ
ステム
補助システム
領域4
領域3
制御回路・保護回路
使用者制御
システム
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図A.3−PEEの例
表A.1−サブシステムと環境との間の電磁相互作用
電磁波発生源とし
てのサブシステム
感受性が高い機器としてのサブシステム
環境
変圧器
変換器
ケーブル
負荷
環境
N/A
Cl
Cl
Rad.
Cl
Cl
変圧器
Cl
E,H,Rad.
N/A
Cl
N/A
N/A
変換器
Cl
Rad.
Cl
N/A
Cl
N/A
ケーブル
Cl
Rad.
Rad.
Cl
Rad.
N/A
Cl
負荷
Rad.
N/A
Cl
Cl
N/A
結合モデルを次に示す。
− 共通インピーダンス結合
Cl :抵抗性結合及び誘導性結合
N/A:適用外
− 誘導による結合
E
:電界結合
H :磁界結合
Rad. :放射結合
A.1.2.3 装置
それぞれの装置の電磁特性(エミッション及びイミュニティ)及びそれが属する領域を決定することが
望ましい。
負荷
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6.5.1に従ってEMCプランが必要な場合は,次の様式を用いることができる。
注記 このプランは,IEC 61000-5-1に基づく。
EMCプランは,特定の設備におけるPEEの使用を対象とする。EMCプランの目的は,設備レベルで
EMC解析を行うことである。EMC解析に基づいて,EMCを達成するための方法を決定する。
A.2 一般的な適用におけるEMCプランの例
A.2.1 プロジェクトのデータ及び詳細
6.5.1に従って,使用者と製造業者との間の合意及び技術情報のやりとりを,EMCプランに反映する。
PEE製造業者は,設置者及び使用者の責任範囲をEMCプランに明示することが望ましい。EMCプラン
は,製造業者,設置者及び使用者の三者が共同して計画する。対象とする用途に関係しない質問は,省略
してもよい。
EMCプランは,次の二つの部分に分けられる。
− 通常合意することが望ましい項目。A.2.2〜A.2.5に記載する。
− 特定の用途において必要になることがある付加項目。A.3に記載する。
要求事項を適用しない場合には,記号N/Aを用いる。このような場合には,説明を付ける。
次に示す推奨例は,EMCプランを構成する質問及び回答である。
製造業者名又は供給者名
最終使用者名
注文番号 ..................................................... 日付 ....................
設備の種類(例 化学工場,製紙,精錬)
用途(例 ポンプ,ファン,電池,ヒータ,めっき槽)
EMC担当者 ................................................
A.2.2 電磁環境解析
A.2.2.1 設備データ
設備データの例を次に示す。
設置場所
(PEEを設置する第2種環境に隣接した)周辺の詳細
第1種環境 第2種環境
PEEを設置する建物又は部屋から第1種環境までの距離 .................................. m
PEEを設置する建物又は部屋から第2種環境のほかの設備までの距離 ............. m
建物及び部屋の構造
種類(木造,れん瓦,コンクリート,鉄筋,アルミニウムなど) ...........................
補強(鉄,ほか)
あり ................. なし ................
システムのための専用室
あり ................. なし ................
部屋の配置
部屋の配置をできる限り縮尺どおり図示する。全ての主な装置,窓,ドアなどを表示する。
A.2.2.2 電源及び接地に関するデータ
電源及び接地に関するデータの例を次に示す。
電源系統
PEEへの電源系統:
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結合点の明確化(配電盤,開閉装置又は変圧器の表示記号によって示す。) .............................
電源系統の方式(例 TN-C,TN-S,TT,IT)
PEEに対する電源方式:
星形結線 .......... 三角結線 .......... 相数 .......... 線数 ...........
接地母線:接続方式及び接続点 .......................
結線図
主変圧器からPEEまでの当該電源系統の単線結線図を描く。全ての変圧器,配電盤などを示す。公称
電圧,定格容量,ケーブル経路及び布設方法,導体数,並びに用いるケーブル又は母線の概略長も記載す
る。
A.2.2.3 EMCデータ
EMCデータの例を次に示す。
PEEの接地
PEEの接地点 .........
1点接地 ............. メッシュ接地 ..........
等電位ボンディングの概要図を示す。
PEEのシールド
変換器は,シールドされたきょう体を用いているか。
用いている ......... 用いていない ..........
説明: ...........................
シールドケーブルを用いているか。
用いている ........... 用いていない ..........
説明: ...........................
その他の対策を施しているか(例 コンテナへの収納)。
対策している .......... 対策していない ......
説明(負荷及びケーブルについても検討する。): ...........................
設備中でRFIの影響を受けやすい装置
建物内又は設備の付近で,ラジオ周波数妨害の影響を受けやすい装置があるか。
ある ........................... ない ...........................
説明:(例 プロセス制御及び計測装置,データバス,コンピュータなど) ...........................
PEE又はPEE用ケーブルからの概略距離: ........ m
妨害に対して最も結合すると考えられる経路: ..........................
伝導性 ......... 放射性 .........
設備外でRFIの影響を受けやすい装置
設備又はその周辺で放送用又は通信用の受信アンテナがないか。
ある ........................... ない ...........................
説明(例 レーダ,ラジオ又はテレビジョン,アマチュア無線,マイクロ波,その他):
周波数 ......... アンテナからの距離 ......... m
設備において市民無線(CB電波),トランシーバ,無線通信,遠隔制御又は時報同期システムを用いて
いるか。
用いている ........................... 用いていない ..........................
説明: ...........................
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A.2.3 EMC解析
A.2.3.1 最も影響を受けやすい装置又はシステムの明確化
設備に対する電磁環境の制約を解析する。
A.2.3.2 最も妨害が発生するPEEの部分の明確化
設備に対する電磁環境の制約を解析する。
A.2.3.3 PEEからの妨害によるA.2.3.1に記載した項目の機能喪失の可能性
ある ........................... ない ...........................
説明: ...........................
A.2.4 設置規則の作成
A.2.4.1 接地
設置方式を決定するとき,PEE製造業者の推奨事項に注意する。EMCに関する接地の有効性を確実に
するために,次の項目を評価する。
a) PEEの接地点(1点接地又はメッシュ接地)
b) 等電位ボンディングは,次によって評価する。
− 露出導電部の接続
− PEEの金属構造物部分の接地
c) 接地に対する高周波特性は,次によって評価する。
− ファスナによる金属同士の接続
− 塗料又はその他の絶縁材の除去
d) 説明(EMC解決策)
A.2.4.2 ケーブル及び配線
A.2.4.2.1 ケーブルの選定
設置方式を決定するとき,PEE製造業者の推奨事項に注意する。EMCに関するケーブルの有効性を確
実にするため,次の項目を評価する。
− 信号の種類(例えば,デジタルデータ,PWM信号,アナログデータなど)
− 未使用の導体
− ケーブルの種類,及びシールドの種類(ある場合)
− 説明(EMC解決策)
A.2.4.2.2 配線経路
設置方式を決定するとき,PEE製造業者の推奨事項に注意する。EMCに関する配線の有効性を確実に
するため,次の項目を評価する。
− 大電力と小電力との分離,又は信号ケーブルとの分離
− 平行となる距離の最小化
− 離隔距離
− 90°のケーブル交差
− ケーブルトレー及び導管の,並列接地導体としての使用
− ケーブルトレーの中のケーブル位置決め
− ケーブルトレーの接地
− 説明(EMC解決策)
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A.2.4.3 PEEのきょう体のシールド
設置方式を決定するとき,PEE製造業者の推奨事項に注意する。EMCに関するきょう体の有効性を確
実にするために,次の項目を評価する。
− 金属製きょう体の電位的一体化
− スロット及び開口部の寸法
− 接地基準面を貫通するケーブル接続口
− 接地基準面へのケーブルシールドの接続(360°が望ましい。)
− 説明(EMC解決策)
A.2.4.4 専用変圧器
設置方式を決定するとき,PEE製造業者の推奨事項に注意する。EMCに関する専用変圧器の有効性を
確実にするために,次の項目を検討する。
− 専用の絶縁変圧器
− 静電シールド付き変圧器
− 説明(寸法,設置場所)
A.2.4.5 フィルタ
設置方式を決定するとき,PEE製造業者の推奨事項に注意する。EMCに関するフィルタの有効性を確
実にするために,次の項目を検討する。
− 集中する又は分散するRFIフィルタ構成
− 信号線のフィルタ
− 必要な場合,フィルタ用電力インタフェースのフィルタ
− 説明(EMC解決策)
A.2.4.6 追加の軽減対策
設置方式を決定するとき,PEE製造業者の推奨事項に注意する。
その他の軽減対策は必要か。 必要 ......... 不要 ..........
次の手法を検討する。
− 回路の電気的分離
− 光ファイバ
− データ線の電位的な絶縁(例 フォトカプラ,パルストランス)
− 影響を受けやすい機器のための特別な保護
− 説明(EMC解決策)
A.2.5 正規の結果及び保守
設備が決められた設置方式に従って設置されているか確認する。
全細目にわたって決められた設置方式に従っているか。 はい ......... いいえ .........
欠陥を修復する処置について記述する。
設備のEMC特性を維持するための指針を決定する(例 腐食対策,ドア及びフレームの接触性を悪化
させるほこり対策,接続部の緩み対策など)。
EMC責任者の署名 ...........................
日付 .............
署名 ...........................
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A.3 特定の用途に対するEMCプランへの追加内容の例
A.3.1 電磁環境の補足的解析
A.3.1.1 電気事業者変電所から設備の主変圧器までの配電系統
A.3の質問は,より外部の要因に関係し,PEEの外面的要素に関係する。
電気事業者:
最も近い変電所からの概略距離(分かる場合): ...........................
変電所からの配電の形態: 架空線 ......... 埋設 .......... 複合 ..........
説明 ...........................
設備の主変圧器特性:kVA
入力(一次): 電圧 .......... 相数 .........
結線方式: 三角結線 .......... 星形結線 .........
その他,説明 ...........................
内部配電への出力(二次)
電圧 .......... 線数 ......... 相数 ..........
結線方式: 三角結線 .......... 星形結線 .........
変圧器は接地されているか(方法及び場所の説明)。 ...........................
建物の接地電極の構成
接地棒 ......... 多点接地棒 ......... 接地格子 .......... 接地プレート .........
埋設導管 .......... 水道管 .......... 鉄骨 .........
その他,説明 ...........................
配線図の作成
変電所から主変圧器までの配電系統の単線図を作成する。全ての変圧器,配電盤などを記載する。
接地電極のインピーダンス(Ω)(分かる場合)
A.3.1.2 主電源変圧器設備からPEE用の配電盤,開閉装置又は変圧器までの配電
A.3の質問は,より複雑な適用における,EMC性能に関連する,PEEの外部の要因に関係する。
結線図
主電源変圧器から配電盤,開閉装置又は変圧器までの配電系統単線図を記載する。
配電盤,開閉装置又は変圧器
配電盤,開閉装置又は変圧器の識別 ...........................
配電盤の構成:どこにどのように接続しているか。...........................
配電盤,開閉装置又は変圧器のための電源の形式
星形結線 .......... 三角結線 ......... 相数 ..........
線数 .......... 線寸法(相,中性相又はPE):銅 ........ アルミニウム ..........
中性相母線:どのように,どこに接続しているか。...........................
接地母線:どのように,どこに接続しているか。 ...........................
PEE又はPEEの一部から個々に絶縁されたPE電線か。はい ....... いいえ ..........
説明 ...........................
A.3.2 EMC解析
A.3.2.1 周波数帯域別の解析
RFI調査の必要性 必要 ....... 不要 ..........
42
C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
説明 ...........................
必要な場合,周波数帯域別の解析を行うことによって,状況を明確にできる場合がある。例を,表A.2
に示す。
表A.2−周波数帯域別の解析の例
装置
ユニット
周波数
帯域
周波数発生源
の詳細
電圧
電流
波形
種類
参考
文献
V
A
Em
Im
インバー
タ
No.1
IGBTモジ
ュール
5 kHz
−
出力スイッチ
ング周波数
510
−
PWM
×
−
−
インバー
タ
No.2
IGBTモジ
ュール
5 kHz
−
出力スイッチ
ング周波数
510
−
PWM
×
−
−
インバー
タ
No.1
制御
40 MHz
−
TTLクロック
15
−
TTLクロック
×
−
−
インバー
タ
No.2
制御
40 MHz
−
TTLクロック
15
−
TTLクロック
×
−
−
インバー
タ
出力電流セ
ンサ
1 kHz
−
サンプリング
周波数
0.03
−
−
−
×
−
補助装置
電源
200 kHz
−
サンプリング
周波数
230
−
スパイク
×
−
−
携帯電話
−
−
−
−
−
−
−
−
×
−
業務用無
線
送信機又は
受信機
−
−
−
−
−
−
×
×
−
アマチュ
ア無線
送信機又は
受信機
144 MHz
−
−
−
−
−
−
×
−
Em:エミッション,Im:イミュニティ
“×”は,該当することを示す。“−”は,適用外を示す。
表A.2に記載する装置がPEEからの妨害によって誤動作しないかを解析し,適切な対策を明確にする
ことが望ましい。
A.3.2.2 EMC試験
EMC試験報告書の参考資料に次の事項を記載する。
更に詳細なEMC試験は必要か。
必要 .......... 不要 .........
必要な場合,次のような手順が必要になることがある。
− EMC試験計画(EMC解析を参照)を準備する。
− EMC試験を行い,試験報告書に記載する。
試験結果は,許容できるか。
許容できる ......... 許容できない ..........
不合格項目を修正するための対策を記載する。 ..........................
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C 4431:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
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注記 対応国際規格:IEC 60364-1:2001,Electrical installations of buildings−Part 1: Fundamental principles,
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JIS C 60664-1:2009 低圧系統内機器の絶縁協調−第1部:基本原則,要求事項及び試験
注記 対応国際規格:IEC 60664-1:2007,Insulation coordination for equipment within low-voltage systems
−Part 1: Principles, requirements and tests(IDT)
IEC/TR 61000-1-1,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 1: General−Section 1: Application and
interpretation of fundamental definitions and terms
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IEC/TR 61000-2-6:1995,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 2: Environment−Section 6: Assessment of
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IEC/TS 61000-3-4:1998,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 3-4: Limits−Limitation of emission of
harmonic currents in low-voltage power supply systems for equipment with rated current greater than 16 A
IEC/TR 61000-3-7:1996,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 3: Limits−Section 7: Assessment of
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IEC/TR 61000-5-1,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 5: Installation and mitigation guidelines−Section
1: General considerations−Basic EMC publication
IEC 61800-1:1997,Adjustable speed electrical power drive systems−Part 1: General requirements−Rating
specifications for low voltage adjustables speed d.c. power drive systems
IEC 61800-2:1998,Adjustable speed electrical power drive systems−Part 2: General requirements−Rating
specifications for low voltage adjustable frequency a.c. power drive systems
IEC 61800-4:2002,Adjustable speed electrical power drive systems−Part 4: General requirements−Rating
specifications for a.c. power drive systems above 1 000 V a.c. and not exceeding 35 kV
CISPR 14-1,Electromagnetic compatibility−Requirements for household appliances, electric tools and similar
apparatus−Part 1: Emission
CISPR 22:2003,Information technology equipment−Radio disturbance characteristics−Limits and methods of
measurement