C 3660-511:2019 (IEC 60811-511:2012,Amd.1:2017)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験方法························································································································· 2
4.1 一般 ···························································································································· 2
4.2 装置 ···························································································································· 2
4.3 試料 ···························································································································· 4
4.4 装置の洗浄及び保守 ······································································································· 4
4.5 方法A ························································································································· 4
4.6 方法B·························································································································· 5
4.7 方法C ························································································································· 5
5 試験報告書 ······················································································································ 6
C 3660-511:2019 (IEC 60811-511:2012,Amd.1:2017)
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本電線工業会(JCMA)及び
一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があ
り,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。これによって,JIS
C 3660-4-1:2011は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 3660の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 3660-100 第100部:一般事項
JIS C 3660-201 第201部:一般試験−絶縁体厚さの測定
JIS C 3660-202 第202部:一般試験−非金属シース厚さの測定
JIS C 3660-203 第203部:一般試験−仕上寸法の測定
JIS C 3660-301 第301部:電気試験−充塡コンパウンドの23 ℃における誘電率の測定
JIS C 3660-302 第302部:電気試験−充塡コンパウンドの23 ℃及び100 ℃における直流抵抗率の測
定
JIS C 3660-401 第401部:各種試験−加熱老化試験方法−エアオーブンによる加熱老化
JIS C 3660-402 第402部:各種試験−耐水性試験
JIS C 3660-403 第403部:各種試験−架橋コンパウンドのオゾン試験
JIS C 3660-404 第404部:各種試験−シースの耐油試験
JIS C 3660-405 第405部:各種試験−PVC絶縁体及びPVCシース材料の熱安定性試験
JIS C 3660-406 第406部:各種試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの耐環境応力亀
裂性試験
JIS C 3660-407 第407部:各種試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの質量増加率
JIS C 3660-408 第408部:各種試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの長期安定性試
験
JIS C 3660-409 第409部:各種試験−熱可塑性絶縁体及びシース材料の加熱減量試験
JIS C 3660-410 第410部:各種試験−銅導体を被覆するポリオレフィン絶縁材料の銅触媒による酸化
劣化試験
JIS C 3660-411 第411部:各種試験−充塡コンパウンドの低温ぜい化
JIS C 3660-412 第412部:各種試験−加熱老化試験方法−加圧空気による加熱老化
JIS C 3660-501 第501部:機械試験−絶縁体及びシース用コンパウンドの機械的特性試験
JIS C 3660-502 第502部:機械試験−絶縁体の収縮試験
JIS C 3660-503 第503部:機械試験−シースの収縮試験
JIS C 3660-504 第504部:機械試験−絶縁体及びシースの低温曲げ試験
JIS C 3660-505 第505部:機械試験−絶縁体及びシースの低温伸び試験
C 3660-511:2019 (IEC 60811-511:2012,Amd.1:2017)
(3)
JIS C 3660-506 第506部:機械試験−絶縁体及びシースの低温衝撃試験
JIS C 3660-507 第507部:機械試験−架橋した材料のホットセット試験
JIS C 3660-508 第508部:機械試験−絶縁体及びシースの加熱変形試験
JIS C 3660-509 第509部:機械試験−絶縁体及びシースの巻付加熱試験
JIS C 3660-510 第510部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−加
熱による前処理後の巻付試験
JIS C 3660-511 第511部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドのメルトフロー
インデックスの測定
JIS C 3660-512 第512部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−加
熱による前処理後の引張強さ及び破断時の伸び試験
JIS C 3660-513 第513部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−前
処理後の巻付試験
JIS C 3660-601 第601部:物理試験−充塡コンパウンドの滴下点の測定
JIS C 3660-602 第602部:物理試験−充塡コンパウンドの油分離
JIS C 3660-603 第603部:物理試験−充塡コンパウンドの全酸価の測定
JIS C 3660-604 第604部:物理試験−充塡コンパウンド中の腐食成分試験
JIS C 3660-605 第605部:物理試験−ポリエチレンコンパウンド中のカーボンブラック及び無機充塡
剤の含有量測定
JIS C 3660-606 第606部:物理試験−密度測定法
JIS C 3660-607 第607部:物理試験−ポリエチレン及びポリプロピレン中のカーボンブラック分散測
定方法
日本産業規格 JIS
C 3660-511:2019
(IEC 60811-511:2012,Amd.1:2017)
電気・光ファイバケーブル−
非金属材料の試験方法−第511部:機械試験−
ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの
メルトフローインデックスの測定
Electric and optical fibre cables-
Test methods for non-metallic materials-Part 511: Mechanical tests-
Measurement of the melt flow index of
polyethylene and polypropylene compounds
序文
この規格は,2012年に第1版として発行されたIEC 60811-511及びAmendment 1:2017を基に,技術的内
容を変更することなく作成した日本産業規格である。ただし,追補(amendment)については,編集し,
一体とした。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,電線,光ファイバ及びそれらからなるケーブルに用いる,絶縁体及びシース材料の熱可塑
性ポリエチレンコンパウンド及びポリプロピレンコンパウンドのメルトフローインデックスの試験方法に
ついて規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60811-511:2012,Electric and optical fibre cables−Test methods for non-metallic materials−Part
511: Mechanical tests−Measurement of the melt flow index of polyethylene compounds及び
Amendment 1:2017(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 3660-100 電気・光ファイバケーブル−非金属材料の試験方法−第100部:一般事項
注記 対応国際規格:IEC 60811-100:2012,Electric and optical fibre cables−Test methods for
non-metallic materials−Part 100: General
2
C 3660-511:2019 (IEC 60811-511:2012,Amd.1:2017)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 3660-100の箇条3による。
4
試験方法
4.1
一般
この規格は,JIS C 3660-100と併せて用いる。
ポリエチレンコンパウンド及びポリプロピレンコンパウンドのメルトフローインデックス(MFI)とは,
次に示す温度において,規定の力を加えたとき1.5分間又は10分間以内に規定のダイスを通して押し出さ
れる材料の量のことである。
− ポリエチレンコンパウンドは190 ℃
− ポリプロピレンコンパウンドは230 ℃
注記1 melt mass-flow rate(MFR)法として,ISO 1133で同じ方法が規定されている。
注記2 MFIは,難燃性ポリエチレンには適用されない。難燃性ポリエチレンは,炎の伝ぱ(播)を
減じるための添加剤を含むポリエチレンである。
4.2
装置
装置は,基本的に押出形ブラストメーターで,概要を図1に示す。垂直な金属シリンダ内のポリエチレ
ンは,管理された温度条件下で力を加えたピストンによって,ダイスを通して押し出される。試験材料に
接触する装置の表面は,高度に研磨されていなければならない。
装置は,次の主要部分から成る。
a) 鋼製シリンダ 鋼製シリンダは,垂直に固定し,190 ℃で操作するため適切に断熱する。シリンダは,
内径9.5〜10.0 mmで長さが115 mm以上で,b)の要求事項に合致するものでなければならない。シリ
ンダの底部は,露出金属面積が4 cm2を超える場合は,断熱処理を施さなければならず,断熱材料と
しては,押し出された材料との粘着を避けるために,ポリテトラフルオロエチレン(厚さ約3 mm)
を用いるのがよい。
b) 鋼製中空ピストン 鋼製中空ピストンの最小長さは,シリンダの長さと同じとする。シリンダ及びピ
ストンの軸は一致し,ピストンの有効長は最大135 mmとする。ヘッドの長さは6.35±0.10 mmで,
ヘッドの径はシリンダの動作範囲内でシリンダの内径より0.075±0.015 mm小さいものとする。さら
に,おもりの重さ[c)参照]を計算するために,この直径は±0.025 mmの精度で測定することが望ま
しい。ヘッドの下端は半径0.4 mmとし,上端はとがった角を取り除く。ヘッド上部のピストンは直
径約9 mmとする。ピストンの最上部に調整用おもりの支え用のスタッドを付けてもよいが,ピスト
ンはこのおもりから断熱しなければならない。
c) ピストン最上部の調整用おもり 調整用おもり及びピストンの合計質量は,次の力Pを与える値とす
る。
− 方法Aの場合(4.5参照):P=21.2 N
− 方法Cの場合(4.7参照):P=49.1 N
d) ヒーター 自動温度調節装置をもつヒーターで,シリンダ内のコンパウンドをポリエチレンの場合は
190±0.5 ℃又はポリプロピレンの場合は230±0.5 ℃に保つ。
e) 温度測定装置 温度測定装置は,シリンダ本体内でダイスに極力近付けて取り付け,測定精度が±
0.1 ℃となるように校正する。
3
C 3660-511:2019 (IEC 60811-511:2012,Amd.1:2017)
f)
ダイス ダイスは焼入鋼製で,長さ8.000±0.025 mm,平均内径2.090〜2.100 mm,長さ方向にわたっ
て均一で誤差は±0.005 mmとする(図2参照)。ダイスは,シリンダ底部から飛び出てはならない。
g) ひょう量 ひょう量は,精度±0.000 5 gとする。
単位 mm
A ダイス保持板
B 断熱板
注記 図は,大きな外径のシリンダを示す。
図1−メルトフローインデックス測定装置
4
C 3660-511:2019 (IEC 60811-511:2012,Amd.1:2017)
単位 mm
注記 図は,ダイを保持する方法の一例として,小さな外径のシリンダを示す。
図2−ダイス
4.3
試料
試験は,か(顆)粒状試料に対して行うか,又はケーブル若しくは電線の片端から採取した十分な質量
の絶縁体若しくはシース材料について行う。後者の場合,試料は,3 mm角以下の寸法で試験片として切
り出す。
同一ケーブルの異なる線心から採取してもよい。
4.4
装置の洗浄及び保守
装置は,各試験後に洗浄する。
表面に付着したコンパウンドを除去するとき又は装置の部品を取り扱うときは,ピストン,シリンダ又
はダイスの表面を荒らすおそれのある研磨剤のようなものは,使用しないほうがよい。
装置洗浄用の適切な溶剤としては,キシレン,テトラヒドロナフタリン又は無臭ケロシンがある。ピス
トンは,温かい間に溶剤に浸した布で拭い,シリンダも同様にして掃除棒で拭う。ダイスはぴたりと合う
黄銅製のリーマー又は木製くぎで洗浄した後,沸騰溶剤中に浸せきする。
定期的に,断熱板及びダイス保持板(図1参照)を外して,シリンダを十分洗浄することが望ましい(例
えば,常時使用の場合は毎週1回)。
4.5
方法A
4.5.1
一般
方法Aは,MFIが未知のコンパウンドのMFI測定に適している。
コンパウンドのMFIは,熱的及び機械的前処理によって影響されることがある。特に酸化は,MFIを下
げる傾向がある。試験中に起こる酸化は,通常カットオフ量の減少を示す原因となる。この現象は,酸化
防止剤を含んだコンパウンドでは現れない。
4.5.2
試験手順
装置を洗浄する(4.4参照)。試験に先立ち,シリンダ及びピストンの温度を15分間ポリエチレンの場合
5
C 3660-511:2019 (IEC 60811-511:2012,Amd.1:2017)
は190±0.5 ℃又はポリプロピレンの場合は230±0.5 ℃に保ち,そのままの温度をコンパウンドの押出し
中も維持する。
温度測定装置[4.2 e)参照]は,水銀棒温度計をシリンダ本体に固定して設置したものを用いるのがよい。
ウッドメタルのような低融点合金を用いて熱的接触をよくすることが望ましい。
他の温度測定装置を用いる場合は,試験に先立ち,4.2 e)に従ってシリンダ内のコンパウンド中に適切な
深さまで浸せきし,ポリエチレンの場合は190±0.5 ℃又はポリプロピレンの場合は230±0.5 ℃で水銀棒
温度計と比較して校正することが望ましい。
次に,シリンダ内に試料の一部を入れ(表1参照),次に,おもりを載せないピストンをシリンダ上部に
挿入する。
試料投入4分後,シリンダ温度がポリエチレンの場合は190±0.5 ℃又はポリプロピレンの場合は230±
0.5 ℃に復帰していることを確認する。おもりをピストン上部に載せ,コンパウンドをダイスから押し出
す。押出量は,押し出された材料を一定時間間隔ごとに適切な刃物で“カットオフ”と呼ぶ小試料を切り
取って測定する。この一定時間間隔は,表1による。試料をシリンダに投入してから20分以内に数個の
カットオフを採る。最初のカットオフ及び気泡を含んだものは除外する。残りの3個以上の連続したカッ
トオフをそれぞれ0.001 g単位まで測定し,平均値を算出する。最大値と最小値との差が平均値の10 %よ
りも大きいときには,改めて試験をやり直す。
4.5.3
結果の表し方
MFIは,有効数字2桁と記号MFI.T.20.Aとで示す(注記参照)。
t
m
×
=600
A.
20
.T.
MFI
ここに, MFI: 10分間当たりのグラム数
m: カットオフの質量平均値(g)
t: カットオフの一定時間間隔(秒)
注記 T:試験温度(℃)
20(方法Cでは50):溶融に必要な力(N)
4.6
方法B
適用しない。
注記 この細分箇条の方法BはJIS K 7210-1に規定された“プラスチック−熱可塑性プラスチックの
メルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方−第1
部:標準的試験方法”を考慮して記載する。
4.7
方法C
4.7.1
一般
方法Cは,方法Aによって測定したMFIが1未満のコンパウンドに適用する。
4.7.2
試験手順
試験手順は,方法Aと同様である。カットオフの時間間隔及びシリンダヘの投入量を,表1に示す。
6
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表1−方法A及び方法C用のカットオフを得るための(メルトフロー
インデックスに関する)時間間隔及びシリンダヘの投入量
メルトフローインデックス
(MFI)
シリンダへの投入量
g
時間間隔
s
0.1〜0.5
4〜5
240
0.5〜1
4〜5
120
1〜3.5
4〜5
60
注記 対応国際規格では表2であるが,対応国際規格には表1が存在しないため,表番号を繰り上げ
て表1とした。
4.7.3
結果の表し方
MFIは,有効数字2桁と記号MFI.T.50.Cとで示す(4.5.3の注記参照)。
t
m
×
=
Τ
150
C.
50
.
.
MFI
注記 短い切取り時間(150秒)及び重いおもり(50 N)を用いることで,方法A及びスケールAで
選ばれた結果とほぼ一致するスケールCの値が得られる。ただし,スケールA及びスケールC
との間には,直接の関係はない。
5
試験報告書
試験報告書は,JIS C 3660-100に従って作成する。
参考文献 ISO 1133,Plastics−Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and the melt volume-flow rate
(MVR) of thermoplastics