C 3660-409:2019 (IEC 60811-409:2012)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 絶縁体の加熱減量試験 ······································································································· 2
4.1 一般 ···························································································································· 2
4.2 試験装置 ······················································································································ 2
4.3 試料及び試験片の準備 ···································································································· 2
4.4 試験手順 ······················································································································ 3
4.5 測定 ···························································································································· 3
4.6 結果の表し方 ················································································································ 3
5 試験報告書(絶縁体の加熱減量試験) ·················································································· 3
6 シースの加熱減量試験 ······································································································· 4
6.1 一般 ···························································································································· 4
6.2 試験装置 ······················································································································ 4
6.3 試料及び試験片の準備 ···································································································· 4
6.4 試験手順 ······················································································································ 4
6.5 測定 ···························································································································· 4
6.6 結果の表し方 ················································································································ 4
7 試験報告書(シースの加熱減量試験) ·················································································· 4
附属書A(規定)蒸発表面積の計算 ························································································· 5
C 3660-409:2019 (IEC 60811-409:2012)
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本電線工業会(JCMA)及び
一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があ
り,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。これによって,JIS
C 3660-3-2:2011は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 3660の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 3660-100 第100部:一般事項
JIS C 3660-201 第201部:一般試験−絶縁体厚さの測定
JIS C 3660-202 第202部:一般試験−非金属シース厚さの測定
JIS C 3660-203 第203部:一般試験−仕上寸法の測定
JIS C 3660-301 第301部:電気試験−充塡コンパウンドの23 ℃における誘電率の測定
JIS C 3660-302 第302部:電気試験−充塡コンパウンドの23 ℃及び100 ℃における直流抵抗率の測
定
JIS C 3660-401 第401部:各種試験−加熱老化試験方法−エアオーブンによる加熱老化
JIS C 3660-402 第402部:各種試験−耐水性試験
JIS C 3660-403 第403部:各種試験−架橋コンパウンドのオゾン試験
JIS C 3660-404 第404部:各種試験−シースの耐油試験
JIS C 3660-405 第405部:各種試験−PVC絶縁体及びPVCシース材料の熱安定性試験
JIS C 3660-406 第406部:各種試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの耐環境応力亀
裂性試験
JIS C 3660-407 第407部:各種試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの質量増加率
JIS C 3660-408 第408部:各種試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの長期安定性試
験
JIS C 3660-409 第409部:各種試験−熱可塑性絶縁体及びシース材料の加熱減量試験
JIS C 3660-410 第410部:各種試験−銅導体を被覆するポリオレフィン絶縁材料の銅触媒による酸化
劣化試験
JIS C 3660-411 第411部:各種試験−充塡コンパウンドの低温ぜい化
JIS C 3660-412 第412部:各種試験−加熱老化試験方法−加圧空気による加熱老化
JIS C 3660-501 第501部:機械試験−絶縁体及びシース用コンパウンドの機械的特性試験
JIS C 3660-502 第502部:機械試験−絶縁体の収縮試験
JIS C 3660-503 第503部:機械試験−シースの収縮試験
JIS C 3660-504 第504部:機械試験−絶縁体及びシースの低温曲げ試験
JIS C 3660-505 第505部:機械試験−絶縁体及びシースの低温伸び試験
C 3660-409:2019 (IEC 60811-409:2012)
(3)
JIS C 3660-506 第506部:機械試験−絶縁体及びシースの低温衝撃試験
JIS C 3660-507 第507部:機械試験−架橋した材料のホットセット試験
JIS C 3660-508 第508部:機械試験−絶縁体及びシースの加熱変形試験
JIS C 3660-509 第509部:機械試験−絶縁体及びシースの巻付加熱試験
JIS C 3660-510 第510部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−加
熱による前処理後の巻付試験
JIS C 3660-511 第511部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドのメルトフロー
インデックスの測定
JIS C 3660-512 第512部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−加
熱による前処理後の引張強さ及び破断時の伸び試験
JIS C 3660-513 第513部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−前
処理後の巻付試験
JIS C 3660-601 第601部:物理試験−充塡コンパウンドの滴下点の測定
JIS C 3660-602 第602部:物理試験−充塡コンパウンドの油分離
JIS C 3660-603 第603部:物理試験−充塡コンパウンドの全酸価の測定
JIS C 3660-604 第604部:物理試験−充塡コンパウンド中の腐食成分試験
JIS C 3660-605 第605部:物理試験−ポリエチレンコンパウンド中のカーボンブラック及び無機充塡
剤の含有量測定
JIS C 3660-606 第606部:物理試験−密度測定法
JIS C 3660-607 第607部:物理試験−ポリエチレン及びポリプロピレン中のカーボンブラック分散測
定方法
日本産業規格 JIS
C 3660-409:2019
(IEC 60811-409:2012)
電気・光ファイバケーブル−
非金属材料の試験方法−第409部:各種試験−
熱可塑性絶縁体及びシース材料の加熱減量試験
Electric and optical fibre cables-
Test methods for non-metallic materials-Part 409: Miscellaneous tests-
Loss of mass test for thermoplastic insulations and sheaths
序文
この規格は,2012年に第1版として発行されたIEC 60811-409を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本産業規格である。
1
適用範囲
この規格は,電線,光ファイバ及びそれらからなるケーブルに用いる,ポリ塩化ビニル絶縁体及びシー
スに適用する加熱減量測定の手順について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60811-409:2012,Electric and optical fibre cables−Test methods for non-metallic materials−Part
409: Miscellaneous tests−Loss of mass test for thermoplastic insulations and sheaths(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 3660-100 電気・光ファイバケーブル−非金属材料の試験方法−第100部:一般事項
注記 対応国際規格:IEC 60811-100:2012,Electric and optical fibre cables−Test methods for
non-metallic materials−Part 100: General
JIS C 3660-201 電気・光ファイバケーブル−非金属材料の試験方法−第201部:一般試験−絶縁体厚
さの測定
注記 対応国際規格:IEC 60811-201:2012,Electric and optical fibre cables−Test methods for
non-metallic materials−Part 201: General tests−Measurement of insulation thickness及び
Amendment 1:2017
JIS C 3660-202 電気・光ファイバケーブル−非金属材料の試験方法−第202部:一般試験−非金属シ
ース厚さの測定
2
C 3660-409:2019 (IEC 60811-409:2012)
注記 対応国際規格:IEC 60811-202:2012,Electric and optical fibre cables−Test methods for
non-metallic materials−Part 202: General tests−Measurement of thickness of non-metallic sheath及
びAmendment 1:2017
JIS C 3660-401 電気・光ファイバケーブル−非金属材料の試験方法−第401部:各種試験−加熱老化
試験方法−エアオーブンによる加熱老化
注記 対応国際規格:IEC 60811-401:2012,Electric and optical fibre cables−Test methods for
non-metallic materials−Part 401: Miscellaneous tests−Thermal ageing methods−Ageing in an air
oven及びAmendment 1:2017
JIS C 3660-501 電気・光ファイバケーブル−非金属材料の試験方法−第501部:機械試験−絶縁体及
びシース用コンパウンドの機械的特性試験
注記 対応国際規格:IEC 60811-501:2012,Electric and optical fibre cables−Test methods for
non-metallic materials−Part 501: Mechanical tests−Tests for determining the mechanical properties
of insulating and sheathing compounds及びAmendment 1:2018
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 3660-100の箇条3による。
4
絶縁体の加熱減量試験
4.1
一般
この規格は,JIS C 3660-100と併せて用いる。
特に規定のない限り,エアオーブンに入れている期間を除き,全ての試験手順は室温で行う。
4.2
試験装置
試験装置は,次による。
a) 自然の空気の流れ,又は圧力による空気の流れのあるエアオーブン。
空気はエアオーブンの中に入って,試験片の表面を通り,エアオーブンの上部から出て行く。エア
オーブンは,JIS C 3660-401の4.2.1(装置)に規定する老化温度で1時間に8〜20回の換気をする。
疑義のある場合は,自然の空気の循環があるオーブンを使用する。
回転ファンは,エアオーブン内で使ってはならない。
b) 0.1 mgの感度をもつ分析はかり。
c) JIS C 3660-501の4.2.3 b)(ダンベル状試験片)によるダンベル状試験片用の打抜き型。
d) シリカゲル又はこれと同等の乾燥剤を入れたデシケータ。
4.3
試料及び試験片の準備
加熱減量試験をJIS C 3660-401の4.1(一般)に規定するように,JIS C 3660-501の機械的試験と同一試
験片で実施する場合,各線心から1個ずつ3個の試験片をJIS C 3660-401の4.2.3.1(一般)によって採取
し,エアオーブンを用いて老化する。
他の目的に使用せず,採取した試験片の厚さが4.3 c) に合致する場合,JIS C 3660-501の4.2(絶縁体)
に従って各々の線心から採取した他の3個の試験片を使用してもよい。
その他の場合,試験する各々の線心又は各々の線心の絶縁体から長さ約100 mmの3個の試験片を採取
し,次のa)〜e) に規定する方法と同じ方法で各々の線心から試験片を準備する。
a) 全ての被覆及び導体は,取り除く。絶縁体上に半導電層がある場合には,溶剤を用いずに機械的に取
3
C 3660-409:2019 (IEC 60811-409:2012)
り除く。
b) 試験片は,次による。
1) 可能な場合,図A.1に示すダンベル状試験片を作成する。
2) 線心径が小さいため,図A.1の試験片が作成できない場合は,図A.2に示す小形ダンベル状試験片
を作成する。
3) 絶縁体の内側に密着した半導電層がなく,かつ,内径が12.5 mm以下の場合は,ダンベル状試験片
の代わりに管状試験片を作成する。管状試験片の両端は,閉じてはならない。いかなるセパレータ
も溶剤を使用しないで適切な方法で取り除かなければならない。
c) ダンベル状試験片及び小形ダンベル状試験片は,JIS C 3660-501の4.2.3 b)(ダンベル状試験片)に規
定する方法によって準備する。また,これらの試験片は,全長にわたり二つの平行かつ平滑な面をも
ち,厚さは1.0±0.2 mmとし,標線は付けない。
d) 管状試験片は,JIS C 3660-501の4.2.3 c)(管状試験片)に規定する方法によって準備する。ただし,
標線は付けない。各々の試験片の蒸発表面積A(附属書A参照)は,5 cm2以上でなければならない。
e) 線心間の両側に溝のある平形2心可とう性ケーブルは,線心を分離しない試験片とする。蒸発表面積
の計算では,2心のケーブルは,二つの別々の管状試験片と考えてもよい。
各々の試験片において規定する箇所の寸法を,加熱減量試験前に測定する。試験片の蒸発表面積A[単
位は平方センチメートル(cm2)]は,附属書Aに示す式を使用して算出する。
4.4
試験手順
試験手順は,次による。
a) 準備した3個の試験片は,デシケータに入れ20時間以上室温に放置する。
各々の試験片は,デシケータから取り出し,直ちに質量をミリグラム単位で小数第1位まで測定す
る。
b) その後,3個の試験片は,他に規定がない限り常圧の空気中で7×24時間,80±2 ℃のエアオーブン(4.2
参照)中に次の条件下で保持する。
− 明らかに異なる組成のコンパウンドは,同時に同じエアオーブンで試験してはならない。
− 試験片は,エアオーブンの中央に垂直につり下げ,かつ,試験片は互いに20 mm以上離さなければ
ならない。
− エアオーブンの容積の0.5 %を超えて試験片が占有してはならない。
c) この熱処理の後,試験片はデシケータに入れたまま,室温で20時間放置する。
4.5
測定
各々の試験片は,質量をミリグラム単位で小数第1位まで測定する。
各々の試験片について,4.4 a) 及びc) とで測定した質量の差を算出し,ミリグラム単位に丸める。
4.6
結果の表し方
各々の試験片の加熱減量値は,4.5で求めた“質量の差”を蒸発表面積(附属書A参照)で除すことに
よって算出する。線心の加熱減量値は,3個の試験片の加熱減量値の平均値とし,単位は,ミリグラム毎
平方センチメートル(mg/cm2)とする。
5
試験報告書(絶縁体の加熱減量試験)
絶縁体の加熱減量試験の試験報告書は,JIS C 3660-100に従って作成する。
4
C 3660-409:2019 (IEC 60811-409:2012)
6
シースの加熱減量試験
6.1
一般
特に規定のない限り,エアオーブンに入れている期間を除き,全ての試験手順は室温で行う。
6.2
試験装置
試験装置は,4.2による。
6.3
試料及び試験片の準備
シースの試料は,4.3に従って三つを採取する。
シースの下(又は上にある場合はシースの上)の全ての構成材料は,シースをきずつけないように注意
しながら取り除き,試験片を4.3に従って準備する。
6.4
試験手順
試験手順は,4.4による。
6.5
測定
蒸発表面積は,附属書Aに示す式によって算出する。
6.6
結果の表し方
結果の表し方は,4.6による。
7
試験報告書(シースの加熱減量試験)
シースの加熱減量試験の試験報告書は,JIS C 3660-100に従って作成する。
5
C 3660-409:2019 (IEC 60811-409:2012)
附属書A
(規定)
蒸発表面積の計算
A.1 ダンベル試験片の計算
A.1.1 図A.1の大きさのダンベル状試験片
蒸発表面積A(cm2)は,次の式によって計算する。
(
)
100
180
256
1
δ
+
=
A
ここに,
δ: 試験片の平均厚さ(mm)
δは,JIS C 3660-501の4.2.4 a)(ダンベル状試験片)に規定する方法で決定し,小数第2位に丸める。
A.1.2 図A.2の大きさの小形ダンベル状試験片
蒸発表面積A(cm2)は,次の式によって計算する。
(
)
100
118
624
δ
+
=
A
ここに,
δ: 試験片の平均厚さ(mm)
δは,JIS C 3660-501の4.2.4 a)(ダンベル状試験片)に規定する方法で決定し,小数第2位に丸める。
A.2 管状試験片の計算
A.2.1 熱可塑性絶縁体
管状試験片の蒸発表面積Aは,外側の表面積,内側の表面積及び断面の表面積の和とし,次の式によっ
て計算する。
(
)(
)
100
π
2
δ
δ
+
×
−
=
l
D
A
ここに,
A: 表面積(cm2)
外側の表面積+内側の表面積
+断面の表面積。
δ: 試験片の平均厚さ(mm) 0.4 mm以下の場合,小数第2
位に丸める。
0.4 mmを超える場合,小数第
1位に丸める。
D: 試験片の平均外径(mm) 2 mm以下の場合,小数第2
位に丸める。
2 mmを超える場合,小数第1
位に丸める。
l: 試験片の長さ(mm)
小数第1位に丸める。
δ及びDは,管状試験片の端から薄く切断した試料をJIS C 3660-201の4.4(絶縁体厚さの測定手順)及
びJIS C 3660-202の4.4(非金属シース厚さの測定手順)に規定する方法によって測定する。
この式は,図A.3に示す断面積をもつ管状試験片に適用してもよい。
A.2.2 熱可塑性シース
蒸発表面積は,次の修正を行ったものを使用し,A.2.1の式によって計算する。
6
C 3660-409:2019 (IEC 60811-409:2012)
管状試験片の式は,図A.4及び図A.5に示す断面の場合だけに適用する。平形ケーブルのシースの内側
及び外側の蒸発表面積は,シースの断面をミリメートル単位で小数第2位まで測定した寸法を用いて算出
する。
くさび形の突起のある平形シースの内側は,平らであるとみなす。
単位 mm
図A.1−ダンベル状試験片
単位 mm
図A.2−小形ダンベル状試験片
図A.3−絶縁体厚さの測定(一般的な導体)
7
C 3660-409:2019 (IEC 60811-409:2012)
図A.4−厚さの測定(外側の面が平たんでない場合)
図A.5−シース厚さの測定(内側の面が不規則な円周の場合)