C 3660-403:2019 (IEC 60811-403:2012)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験方法························································································································· 2
4.1 一般 ···························································································································· 2
4.2 装置 ···························································································································· 2
4.3 試料の前処理 ················································································································ 2
4.4 試料採取及び試験片の準備 ······························································································ 2
4.5 試験片の調整法及び応力変形方法······················································································ 3
4.6 オゾン暴露 ··················································································································· 3
4.7 結果の評価 ··················································································································· 4
4.8 オゾン濃度の測定 ·········································································································· 4
5 試験報告書 ······················································································································ 5
C 3660-403:2019 (IEC 60811-403:2012)
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本電線工業会(JCMA)及び
一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があ
り,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。これによって,JIS
C 3660-2-1:2003は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 3660の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 3660-100 第100部:一般事項
JIS C 3660-201 第201部:一般試験−絶縁体厚さの測定
JIS C 3660-202 第202部:一般試験−非金属シース厚さの測定
JIS C 3660-203 第203部:一般試験−仕上寸法の測定
JIS C 3660-301 第301部:電気試験−充塡コンパウンドの23 ℃における誘電率の測定
JIS C 3660-302 第302部:電気試験−充塡コンパウンドの23 ℃及び100 ℃における直流抵抗率の測
定
JIS C 3660-401 第401部:各種試験−加熱老化試験方法−エアオーブンによる加熱老化
JIS C 3660-402 第402部:各種試験−耐水性試験
JIS C 3660-403 第403部:各種試験−架橋コンパウンドのオゾン試験
JIS C 3660-404 第404部:各種試験−シースの耐油試験
JIS C 3660-405 第405部:各種試験−PVC絶縁体及びPVCシース材料の熱安定性試験
JIS C 3660-406 第406部:各種試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの耐環境応力亀
裂性試験
JIS C 3660-407 第407部:各種試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの質量増加率
JIS C 3660-408 第408部:各種試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの長期安定性試
験
JIS C 3660-409 第409部:各種試験−熱可塑性絶縁体及びシース材料の加熱減量試験
JIS C 3660-410 第410部:各種試験−銅導体を被覆するポリオレフィン絶縁材料の銅触媒による酸化
劣化試験
JIS C 3660-411 第411部:各種試験−充塡コンパウンドの低温ぜい化
JIS C 3660-412 第412部:各種試験−加熱老化試験方法−加圧空気による加熱老化
JIS C 3660-501 第501部:機械試験−絶縁体及びシース用コンパウンドの機械的特性試験
JIS C 3660-502 第502部:機械試験−絶縁体の収縮試験
JIS C 3660-503 第503部:機械試験−シースの収縮試験
JIS C 3660-504 第504部:機械試験−絶縁体及びシースの低温曲げ試験
JIS C 3660-505 第505部:機械試験−絶縁体及びシースの低温伸び試験
C 3660-403:2019 (IEC 60811-403:2012)
(3)
JIS C 3660-506 第506部:機械試験−絶縁体及びシースの低温衝撃試験
JIS C 3660-507 第507部:機械試験−架橋した材料のホットセット試験
JIS C 3660-508 第508部:機械試験−絶縁体及びシースの加熱変形試験
JIS C 3660-509 第509部:機械試験−絶縁体及びシースの巻付加熱試験
JIS C 3660-510 第510部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−加
熱による前処理後の巻付試験
JIS C 3660-511 第511部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドのメルトフロー
インデックスの測定
JIS C 3660-512 第512部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−加
熱による前処理後の引張強さ及び破断時の伸び試験
JIS C 3660-513 第513部:機械試験−ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−前
処理後の巻付試験
JIS C 3660-601 第601部:物理試験−充塡コンパウンドの滴下点の測定
JIS C 3660-602 第602部:物理試験−充塡コンパウンドの油分離
JIS C 3660-603 第603部:物理試験−充塡コンパウンドの全酸価の測定
JIS C 3660-604 第604部:物理試験−充塡コンパウンド中の腐食成分試験
JIS C 3660-605 第605部:物理試験−ポリエチレンコンパウンド中のカーボンブラック及び無機充塡
剤の含有量測定
JIS C 3660-606 第606部:物理試験−密度測定法
JIS C 3660-607 第607部:物理試験−ポリエチレン及びポリプロピレン中のカーボンブラック分散測
定方法
日本産業規格 JIS
C 3660-403:2019
(IEC 60811-403:2012)
電気・光ファイバケーブル−
非金属材料の試験方法−第403部:各種試験−
架橋コンパウンドのオゾン試験
Electric and optical fibre cables-Test methods for non-metallic materials-
Part 403 : Miscellaneous tests-
Ozone resistance test on cross-linked compounds
序文
この規格は,2012年に第1版として発行されたIEC 60811-403を基に,技術的内容を変更することなく
作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,電線,光ファイバ及びそれらからなるケーブルに用いる架橋コンパウンドに適用するオゾ
ン試験の方法について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60811-403:2012,Electric and optical fibre cables−Test methods for non-metallic materials−Part
403: Miscellaneous tests−Ozone resistance test on cross-linked compounds(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 3660-100 電気・光ファイバケーブル−非金属材料の試験方法−第100部:一般事項
注記 対応国際規格:IEC 60811-100:2012,Electric and optical fibre cables−Test methods for
non-metallic materials−Part 100: General
JIS C 3660-501 電気・光ファイバケーブル−非金属材料の試験方法−第501部:機械試験−絶縁体及
びシース用コンパウンドの機械的特性試験
注記 対応国際規格:IEC 60811-501,Electric and optical fibre cables−Test methods for non-metallic
materials−Part 501: Mechanical tests−Tests for determining the mechanical properties of insulating
and sheathing compounds
2
C 3660-403:2019 (IEC 60811-403:2012)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 3660-100の箇条3による。
4
試験方法
4.1
一般
この規格は,JIS C 3660-100と併せて用いる。
警告 オゾンの毒性に注意する。人がオゾンにさらされる期間が最小になるように,常に予防措置を
とり,作業環境のオゾン濃度が体積比で1×10−5 %又は我が国の環境衛生基準に適用される値
のいずれかの低い方の値を超えてはならない。
注記 我が国の環境衛生基準には,公益社団法人日本産業衛生学会の作業環境基準がある。
特に規定がない限り,試験は,室温で行う。
4.2
装置
試験には,次の装置を用いる。
a) 生成量を管理できるオゾン発生装置
b) 試験片を入れる温度及び湿度を調節した容器内で,オゾン化した空気を循環する装置
c) オゾン濃度測定装置
d) 試験片を固定し,引っ張る装置
e) 木製又は金属製の円筒形マンドレル
f)
シリカゲル又はそれに相当するもので満たしたデシケータ
g) 0.1 mgまで計量できる天びん(秤)
4.3
試料の前処理
全ての試験は,絶縁体及びシース用コンパウンドの押出し後又は架橋後,16時間以上経過した後に行う。
試験を室温で行う場合,試験片は,温度23±5 ℃で3時間以上放置する。
4.4
試料採取及び試験片の準備
4.4.1
絶縁体の試料採取
ケーブルの線心数に関係なく1線心だけを試験する。ケーブルの端末から1.5 mまでの部分を除いた部
分から,試験片2本分に十分な長さを採取する。ただし,外部押出半導電層をもつ場合には,4本分に十
分な長さとする。
機械的損傷のある試料は,試験に用いてはならない。
4.4.2
シースの試料採取
少なくとも二つの試験片を採取できる試験対象のケーブル若しくはコード,又はケーブルから剝ぎ取っ
たシースを1試料採取する。
機械的損傷のある試料は,試験に用いてはならない。
4.4.3
絶縁体試験片の準備
線心上の保護被覆は,絶縁体の加硫前に絶縁体上に直接施されて接着している場合を除き,絶縁体をき
ずつけないように取り除く。
線心に半導電性テープがあれば取り除く。
線心に外部押出半導電層がある場合には,試験片2本分は外部押出半導電層を取り除き,他の2本分は
そのままとする。
3
C 3660-403:2019 (IEC 60811-403:2012)
4.4.4
シース試験片の準備
2本のダンベル状試験片をJIS C 3660-501に従って準備する。試験片の最小厚さは,0.6 mmとする。
ダンベル状試験片が採れない小さいサイズのケーブルの場合は,絶縁体試験片に対して規定した試験方
法を用いる。
4.5
試験片の調整法及び応力変形方法
4.5.1
絶縁体試験片
線心に外部押出半導電層のない場合,1本の試験片はねじれることなく線心の曲がりぐせ面に沿ってマ
ンドレルに1回巻き付け,両端の交差部をひも又はテープでしばる。2回目の試験も同様とし,曲げる方
向は逆方向とする。
線心に外部押出半導電層のある場合,2本の試験片は外部押出半導電層を取り除いたものと,そのまま
のものについて,上記と同様にそれぞれの方向へ曲げる。
曲げは,20〜28 ℃の温度で,表1に示す外径の黄銅,アルミニウム又は適切な処理を施した木製マンド
レルを用いて行う。
表1−マンドレル外径
線心の外径
d(mm)
マンドレル径
(線心径の倍数)
d≦12.5
12.5 <d≦20
20
<d≦30
30
<d≦45
45
<d
4±0.1
5±0.1
6±0.1
8±0.1
10±0.1
試験片が硬くて両端末で交差できない場合には,規定の直径のマンドレルの周りに少なくとも180度曲
げてしばる。
各試験片の表面は,清浄な布で汚れ及び水滴を拭き取る。マンドレル上に曲げられた試験片は,試験前
に,追加の処理することなく,空気中に室温で30〜45分間放置する。
4.5.2
シース試験片
各試験片の表面は,清浄な布で汚れ及び水滴を拭き取る。試験片は,デシケータに入れ,23±5 ℃で16
時間以上放置する。
試験片の両端を固定装置で引っ張って留める。伸び率は,(33±2)%とする。
注記 留め金具近くのオゾンクラックをできるだけ避けるため,試験片の留め金具近くに適切な耐オ
ゾン塗料を塗布する場合がある。
4.6
オゾン暴露
4.4によって準備した試験片を,試験コックの付いた試験槽の中央に並べる。試験片の間隔は,20 mm
以上とする。
試験片は,関連ケーブル規格に規定されていない限り,25±2 ℃の温度に維持し,規定オゾン濃度の乾
燥空気の流れの中に暴露する。
オゾン濃度及び暴露時間は,関連ケーブル規格の規定による。
オゾン濃度は,4.8によって試験槽内で測定する。
規定オゾン濃度の空気は,風量280〜560 L/hとし,空気圧は大気圧より僅かに高くしておく。
4
C 3660-403:2019 (IEC 60811-403:2012)
4.7
結果の評価
試験後,試験槽から試験片を取り出し,拡大しないで目視で観察する。
締付部分から最も遠い180度の範囲の絶縁体にクラックがあってはならない。
ダンベル状試験片の中央狭部の表面にクラックがあってはならない。
留め金具近くのクラックは無視する。
4.8
オゾン濃度の測定
4.8.1
化学分析
4.8.1.1
試薬
試薬は,分析に適した品質の試薬を用いる。
常時,蒸留水を用いる。
a) でんぷん指示液 可溶性でんぷん1 gを冷水40 mLに入れ完全に溶解するまでかくはん(撹拌)しな
がら沸点まで加熱する。この溶液を冷水で約200 mLに薄めて,次に結晶塩化亜鉛2 gを加える。溶液
を静置し,上澄液を用いる。繰り返し用いる場合,溶液は,2〜3日ごとに作り直す。
他の方法は,沸騰水100 mL中に可溶性でんぷん1 gを溶かした新しい液を使ってもよい。
いずれのでんぷん溶液も指示薬として用いる場合は,滴定液に10 %酢酸を2〜3滴加える。
b) 標準よう素溶液 よう化カリウム(KI)2 g及び水10 mLをひょう量瓶に入れ質量を量る。ひょう量
皿に載せたひょう量瓶内の溶液中によう素を総よう素量が約0.1 gになるまで直接加える。よう素を加
えた溶液の質量を正確にひょう量し,加えたよう素の量を決定する。溶液をビーカーに注いでから,
ビーカー上に保持したひょう量瓶を水で洗う。次に,溶液をビーカーから1 000 mL目盛の全量フラス
コに注ぎ,水ですすがれたビーカーで水を全量フラスコへ注ぎ,全量フラスコ内の溶液を1 000 mLに
希釈する。
注記 この溶液は,茶色の瓶に入れ,密栓をして冷暗所に保管すると安定する。
c) チオ硫酸ナトリウム溶液 標準よう素溶液とほぼ同じ力価のチオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)溶液を準
備する。作り方は,1000 mL全量フラスコにチオ硫酸ナトリウム五水和物(Na2S2O3・5H2O)0.24 gを
入れ1 000 mLに希釈する。この溶液は徐々に力価を失うので,オゾン試験を行う日に,力価を補正す
る。
Na2S2O3溶液の力価Eは,よう素等価計数として次の式で計算され,溶液ミリリットル(mL)当た
りのよう素ミリグラム(mg)で表す。
S
C
F
E
×
=
ここに,
F: よう素溶液の体積(mL)
C: よう素濃度(mg/mL)
S: 滴定に要したNa2S2O3溶液の体積(mL)
d) よう化カリウム溶液 純粋なKI 20 gを水2 000 mLで薄める。
e) 酢酸 10 %溶液(体積比)を準備する。
4.8.1.2
手順
体積を測定したオゾンを含む空気を試験槽からKI溶液を通して泡立てるか,又は適切な方法で捕集し
てKI溶液と混合させる。
手順は,次のいずれかの方法による。
a) KI溶液100 mLの入った試料瓶の一方の口を試験槽の試料採取用コックへ,他の口を500 mLガスビ
5
C 3660-403:2019 (IEC 60811-403:2012)
ュレットへ接続する。試料瓶からガス室の試料採取用コックへ接続するガラス管は,試料瓶内のKI
溶液面より下方に達するようにする。ビュレット上の2方止栓を大気方向に開き,ビュレットの底に
接続したアスピレータをもち上げて,ビュレットを水で満たす。ビュレットの大気側方向止栓を閉じ,
試料瓶方向へ開き,試験槽の試料採取用コックを試料瓶方向へ開く。アスピレータをビュレットの水
が空になるまで下げる。この点に達したとき,試験槽から500 mLのガスがKI溶液内で泡立つ。次に,
止栓を閉じ,瓶を滴定のために回収する。
b) 400 mL容量の分液漏斗をKI溶液で満たし,充塡された口を試験槽の試験用コックへ接続する。試験
用コックと分液漏斗の底に付いている止栓とを同時に開け,KI溶液約200 mLを漏斗の下方に置いた
目盛付きシリンダに移す。試験栓と止栓とを速やかに閉じた後,分液漏斗を取り外す。次に,KI溶液
と完全に反応するよう分液漏斗を振る。目盛付きシリンダ内の溶液は,遊離よう素の存在を確認する
ため,でんぷん指示薬で試験し,検出されなかった場合は,そのガス試料は捨てて,再度捕集する。
a)又はb)のいずれかの方法によって,試験槽からの既知体積と反応したKI溶液は,でんぷん指示薬を
用いて,Na2S2O3溶液で滴定する。
4.8.1.3
計算
室温及び常圧下で(平均室内温度及び圧力下での,この分析方法の精度内で)よう素1 mgはオゾン0.1
mgと等価であるから,オゾン濃度は,次の式で計算する。
オゾン%(体積比)=
V
E
S×
×
10
ここに,
S: 滴定に使用したNa2S2O3溶液の体積(mL)
E: Na2S2O3溶液のよう素等価係数(よう素mg/Na2S2O3 mL)
V: 捕集したガス試料の体積(mL)
4.8.2
オゾンメータによる直接測定
化学的分析に代わる方法として,オゾン濃度は,化学的方法によって得られた結果との比較によって,
校正されたオゾンメータで直接測定できる。
5
試験報告書
試験報告書は,JIS C 3660-100に従って作成する。