C 3621 : 2000
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本電線
工業会 (JCMA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本工業規格である。これによってJIS C 3621 : 1993は改
正され,この規各に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願などの知的財産権にかかわる確認については,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 3621 : 2000
600V EPゴム絶縁ケーブル
600V Grade ethylene-propylene rubber insulated cables
1. 適用範囲 この規格は,600V以下の電力用又は制御用の回路に使用するEPゴム(1)で絶縁し,ポリク
ロロプレン(以下,クロロプレンという。)又は塩化ビニル樹脂を主体としたコンパウンド(以下,ビニル
という。)でシースを施したEPゴム絶縁ケーブル(以下,ケーブルという。)について規定する。
注(1) EPゴムとは,エチレンプロピレンゴムをいう。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 3005 ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法
JIS C 3152 すずめっき軟銅線
3. 種類及び記号 種類及び記号は,表1による。
表1 種類及び記号
種類
記号(2)
600V EPゴム絶縁クロロプレンシースケーブル
600V PN
600V EPゴム絶縁ビニルシースケーブル
600V PV
注(2) 記号の意味は,次による。
P:EPゴム
N:クロロプレン
V:ビニル
4. 特性 特性は,6.によって試験を行ったとき,表2による。
2
C 3621 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2 特性
項目
特性
試験方法
適用箇条
導体抵抗
付表1〜3の値以下
6.3
耐電圧
付表1〜3の試験電圧に1分間耐えなければならない。
6.4
絶縁抵抗
付表1〜3の値以上
6.5
絶縁体及
びシース
の引張り
絶縁体
引張強さ 4MPa以上
6.6
伸び
300%以上
シース クロロプレン 帆布なし
のもの
引張強さ 13MPa以上
伸び
300%以上
帆布あり
のもの
引張強さ 8MPa以上
伸び
250%以上
ビニル
引張強さ 10MPa以上
伸び
120%以上
加熱
絶縁体
引張強さ 加熱前の値の80%以上
6.7
伸び
シース クロロプレン
引張強さ 加熱前の値の60%以上
伸び
ビニル
引張強さ 加熱前の値の85%以上
伸び
加熱前の値の80%以上
耐油
シース クロロプレン
引張強さ 浸油前の値の60%以上
6.8
伸び
ビニル
引張強さ 浸油前の値の80%以上
伸び
浸油前の値の60%以上
巻付加熱 ビニルシースケーブル
表面にひび及び割れを生じてはならない。
6.9
耐寒
ビニルシース
試験片が破壊してはならない。
6.10
加熱変形 ビニルシース
厚さの減少率50%以下
6.11
難燃
60秒以内で自然に消えなければならない。
6.12
5. 材料,構造及び加工方法 材料,構造及び加工方法は,付表1〜3及び次による。
a) 導体 導体は,円形より線及び分割圧縮より線とする。
1) 円形より線 円形より線は,JIS C 3152に規定するすずめっき軟銅線を同心よりにより合わせたも
のとする。
なお,より方向は各層交互に反対,最外層においてSよりとする。
2) 分割圧縮より線 分割圧縮より線は,JIS C 3152に規定するすずめっき軟銅線をより合わせて圧縮
成形して各分割部分導体とし,Sよりにより合わせて円形としたものとする。
なお,各分割部分導体相互間には適切な絶縁を施すものとする。また,より合わせた後,適切な
バインダテープを巻いてもよい。
b) セパレータ 導体上には適切なセパレータを施してもよい。
c) 絶縁体 絶縁体は,a)の導体上(又は“セパレータ上に”)に,EPゴムを付表1〜3の厚さに導体と同
心円状に被覆する。
絶縁体の平均厚さは,付表1〜3の値の90%以上とし,最小厚さは,付表1〜3の値の80%以上とす
る。
なお,絶縁体上には適切なテープを施してもよい。
d) 線心の識別 線心の識別は,絶縁体又は絶縁体表面の色,その他適切な方法によって行い,次による。
3
C 3621 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2心 黒,白
3心 黒,白,赤
e) 線心より合わせ 線心のより合わせは,線心の所要条数を必要により適切な介在物とともにSよりに
より合わせる。なお,より合わせのピッチは,導体公称断面積100mm2以下のものについては,層心
径の30倍以下とする。
線心のより合わせ上には,必要によって適切なバインダを施してもよい。
f)
シース シースは,単心ケーブルでは,c)の絶縁体上に,多心ケーブルではe)の線心より合わせ上に,
クロロプレン又はビニルを次の式によって求めた厚さに被覆する。シースの色は通常黒とする。
なお,ケーブルの表面には,有害なきずがあってはならない。
8.0
25+
=D
t
ここに,
t: シースの厚さ (mm)
D: シースの内径 (mm)
(小数点2位以下四捨五入)
ただし,シースの厚さ1.5mm未満の場合は1.5mmとする。
ただし,必要に応じてこの上に約1mmの厚さに帆布を重ね巻きしてもよい。この場合,シースの厚さ
は上の計算式で求めた値に0.5mmを減じたものとし,帆布巻きの厚さは,シースの厚さに含めないものと
する。
シースの平均厚さは,上記の値の90%以上とし,最小厚さは,上記の値の85%以上とする。
6. 試験方法
6.1
外観 外観は,JIS C 3005の4.1(外観)による。
6.2
構造 構造は,JIS C 3005の4.3(構造)による。
6.3
導体抵抗 導体抵抗は,JIS C 3005の4.4(導体抵抗)による。
6.4
耐電圧 耐電圧は,JIS C 3005の4.6のa)(水中)による。
6.5
絶縁抵抗 絶縁抵抗は,JIS C 3005の4.7.1(常温絶縁抵抗)による。
6.6
絶縁体及びシースの引張り 絶縁体及びシースの引張りは,JIS C 3005の4.16(絶縁体及びシース
の引張り)による。
6.7
加熱 加熱は,JIS C 3005の4.17(加熱)による。加熱温度及び加熱時間は,絶縁体及びクロロプ
レンシースについては,JIS C 3005の4.17.2(試験方法)の表5のC,ビニルシースについては,JIS C 3005
の4.17.2の表5のBによる。
6.8
耐油 耐油は,シースについて行い,JIS C 3005の4.18(耐油)による。浸油温度及び浸油時間は,
クロロプレンは,JIS C 3005の4.18の表6のCによって,ビニルは,JIS C 3005の4.18の表6のAによ
る。
6.9
巻付加熱 巻付加熱は,導体公称断面積100mm2以下のビニルシースのものについて行い,JIS C 3005
の4.19.1(A法)による。加熱温度は,120℃±3℃とし,巻付回数及び円筒の径は,表3による。
4
C 3621 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3 巻付回数及び円筒の径
仕上外径
mm
巻付回数
回
円筒の径
15未満
6
仕上外径の 5倍
15以上
20未満
約21
仕上外径の 8倍
20以上
仕上外径の 10倍
6.10 耐寒 耐寒は,ビニルシースについて行い,JIS C 3005の4.22(耐寒)による。冷却温度は,−15℃
±0.5℃とする。
6.11 加熱変形 加熱変形は,ビニルシースについて行い,JIS C 3005の4.23(加熱変形)による。加熱
温度は,120℃±3℃とし,荷重は表4による。ただし,板状試験片を用いる場合の荷重は,10Nとする。
表4 荷重
仕上外径
mm
荷重
N
8未満
5
8以上 12未満
7
12以上
10
6.12 難燃 難燃は,JIS C 3005の4.26(難燃)による。試験方法は,4.26.2のa)(水平試験)とする。
7. 検査 検査は,6.の試験方法によって次の項目について行い,4.,5.及び9.1の規定に適合しなければ
ならない。ただし,受渡当事者間の協定によって,その一部又は全部を省略してもよい。
a) 外観
b) 構造
c) 導体抵抗
d) 耐電圧
e) 絶縁抵抗
f)
絶縁体及びシースの引張り
g) 加熱
h) 耐油
i)
巻付加熱
j)
耐寒
k) 加熱変形
l)
難燃
8. 製品の呼び方 製品の呼び方は,種類,線心数×公称断面積又は記号,線心数×公称断面積による。
例 600V EPゴム絶縁クロロプレンシースケーブル3×100mm2又は600V PN 3×100mm2
9. 表示及び包装
9.1
ケーブルの表示 ケーブルの表示は,適切なところに次の事項を容易に消えない方法で連続表示す
る。
a) 製造業者名又はその略号
5
C 3621 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 製造年又はその略号
9.2
包装の表示 包装の表示は,適切な方法で次の事項を表示する。
a) 種類又は記号
b) 線心数及び公称断面積
c) 長さ
d) 質量(ドラム巻の場合は,総質量も併記する。)
e) ドラムの回転方向
f)
製造業者名又はその略号
g) 製造年又はその略号
9.3
包装 包装は,1条ずつドラム又はたば巻きとし,運搬中損傷のないように適切な方法で行う。
6
C
3
6
2
1
:
2
0
0
0
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表1 600V 単心EPゴム絶縁ケーブル
導体
絶縁体厚さ
mm
シース厚さ(3)
mm
仕上外径
(参考)
mm
導体抵抗
(20℃)
Ω/km
試験電圧
V
絶縁抵抗
(20℃)
MΩ・km
参考
公称断面積
mm2
構成
素線数/素線径
mm
外径
mm
概算質量
kg/km
標準条長
m
クロロプレン
シース
ビニルシース
2
7/0.6
1.8
0.8
1.5
6.4
9.63
1 500
500
65
55
300
3.5
7/0.8
2.4
7.0
5.41
90
80
5.5
7/1.0
3.0
1.0
8.0
3.47
120
110
8
7/1.2
3.6
8.6
2.41
400
150
140
14
7/1.6
4.8
9.8
1.35
2 000
300
220
210
22
7/2.0
6.0
1.2
11.5
0.849
320
305
38
7/2.6
7.8
13.5
0.502
2 500
485
470
60
19/2.0
10.0
1.5
16.0
0.313
735
715
100
19/2.6
13.0
2.0
20
0.185
3 000
1 200
1 180
150
37/2.3
16.1
1.6
24
0.121
200
1 750
1 720
200
37/2.6
18.2
2.5
1.7
27
0.095 1
2 250
2 210
250
61/2.3
20.7
1.8
30
0.074 4
2 850
2 800
200
325
61/2.6
23.4
1.9
33
0.058 2
3 570
3 520
400
61/2.9
26.1
2.0
36
0.046 8
4 380
4 330
500
61/3.2
28.8
3.0
2.2
40
0.038 4
3 500
5 370
5 310
600
91/2.9
31.9
2.3
43
0.031 4
6 480
6 410
800
127/2.8
36.4
3.5
2.5
49
0.024 1
8 430
8 340
分割圧縮
34.0
47
0.023 8
8 300
8 220
1 000
127/3.2
41.6
2.7
54
0.018 5
10 810
10 710
分割圧縮
38.0
2.6
51
0.019 2
10 340
10 250
注(3) シース厚さは平均的な構造について本体5.f)の計算式によって算出したもので,ケーブル設計構造によって0.1mm増減する場合がある。
7
C
3
6
2
1
:
2
0
0
0
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表2 600V 2心EPゴム絶縁ケーブル
導体
絶縁体厚さ
mm
シース厚さ(3)
mm
仕上外径
(参考)
mm
導体抵抗
(20℃)
Ω/km
試験電圧
V
絶縁抵抗
(20℃)
MΩ・km
参考
公称断面積
mm2
構成
素線数/素線径
mm
外径
mm
概算質量
kg/km
標準条長
m
クロロプレン
シース
ビニルシース
2
7/0.6
1.8
0.8
1.5
10.5
9.82
1 500
500
140
130
300
3.5
7/0.8
2.4
11.5
5.52
185
170
5.5
7/1.0
3.0
1.0
13.5
3.54
260
245
8
7/1.2
3.6
15.0
2.46
400
325
310
14
7/1.6
4.8
17.5
1.38
2 000
300
480
460
22
7/2.0
6.0
1.2
21
0.866
700
675
38
7/2.6
7.8
1.6
25
0.512
2 500
1 080
1 050
60
19/2.0
10.0
1.5
1.9
31
0.319
1 710
1 670
100
19/2.6
13.0
2.0
2.2
39
0.189
3 000
2 830
2 770
150
37/2.3
16.1
2.4
46
0.123
200
4 090
4 010
200
37/2.6
18.2
2.5
2.7
53
0.097 0
5 300
5 200
250
61/2.3
20.7
2.9
58
0.075 9
6 680
6 560
200
325
61/2.6
23.4
3.1
64
0.059 4
8 350
8 210
8
C
3
6
2
1
:
2
0
0
0
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表3 600V 3心EPゴム絶縁ケーブル
導体
絶縁体厚さ
mm
シース厚さ(3)
mm
仕上外径
(参考)
mm
導体抵抗
(20℃)
Ω/km
試験電圧
V
絶縁抵抗
(20℃)
MΩ・km
参考
公称断面積
mm2
構成
素線数/素線径
mm
外径
mm
概算質量
kg/km
標準条長
m
クロロプレン
シース
ビニルシース
2
7/0.6
1.8
0.8
1.5
11.0
9.82
1 500
500
175
165
300
3.5
7/0.8
2.4
12.5
5.52
240
225
5.5
7/1.0
3.0
1.0
14.5
3.54
340
325
8
7/1.2
3.6
16.0
2.46
400
440
420
14
7/1.6
4.8
18.5
1.38
2 000
300
665
645
22
7/2.0
6.0
1.2
22
0.866
965
940
38
7/2.6
7.8
1.7
26
0.512
2 500
1 530
1 500
60
19/2.0
10.0
1.5
1.9
33
0.319
2 380
2 330
100
19/2.6
13.0
2.0
2.3
42
0.189
3 000
3 970
3 900
150
37/2.3
16.1
2.6
49
0.123
200
5 780
5 690
200
37/2.6
18.2
2.5
2.8
57
0.097 0
7 460
7 350
250
61/2.3
20.7
3.0
62
0.075 9
9 410
9 280
200
325
61/2.6
23.4
3.3
69
0.059 4
11 830
11 670
9
C 3621 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
第20委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
荒 井 聰 明
東京電機大学工学部
(委員)
塚 本 修
通商産業省基礎産業局
斎 藤 俊 樹
通商産業省資源エネルギー庁公益事業部
八 田 勲
工業技術院標準部
高 橋 健 彦
関東学院大学工学部
樋 口 登
工業技術院電子技術総合研究所
深 川 裕 正
財団法人電力中央研究所
橋 本 欣 也
東京都立産業技術研究所
白 井 藤 雄
財団法人電気安全環境研究所
若 松 淳 一
財団法人日本品質保証機構
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
三 上 裕 久
財団法人関東電気保安協会
下 川 英 男
社団法人電気設備学会
浅 井 功
社団法人日本電気協会
萩 原 壽 夫
社団法人電線総合技術センター
小田切 司 朗
電気事業連合会
赤 嶺 淳 一
社団法人日本電機工業会
田 谷 利 明
社団法人日本電子機械工業会
石 黒 開 二
社団法人日本配線器具工業会
藤 井 信 弘
社団法人日本照明器具工業会
川 本 紀 男
社団法人日本電設工業協会
山 本 勝
全日本電気工事業工業組合連合会
勝 田 銀 造
東京電力株式会社
横 山 博
東京電力株式会社
岡 田 雅 彦
関西電力株式会社
藤 垣 伸 一
中部電力株式会社
前 川 雄 一
電源開発株式会社
横 澤 芳 廣
東日本旅客鉄道株式会社
内 田 忠 敬
株式会社関電工
辻 康次郎
社団法人日本電力ケーブル接続技術協会
久 垣 豊 一
古河電気工業株式会社
大 澤 茂 樹
住友電気工業株式会社
新 元 孝
株式会社フジクラ
薄 田 新 一
日立電線株式会社
杉 山 敬 二
三菱電線工業株式会社
矢 地 竹 男
昭和電線電纜株式会社
岩 田 聖 二
タツタ電線株式会社
松 崎 雄 二
矢崎電線株式会社
高 山 芳 郎
社団法人日本電線工業会
(事務局)
金 田 康 三
社団法人日本電線工業会
大 木 啓 一
社団法人日本電線工業会