2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 3501-1993
高周波同軸ケーブル
(ポリエチレン絶縁編組形)
Radio-frequency coaxial cables
1. 適用範囲 この規格は,高周波機器の接続,内部配線,給電線などに使用する,ポリエチレンを絶縁
体とし,外部導体が編組形で塩化ビニル樹脂を主体としたコンパウンド(以下,ビニルという。)をシース
として使用した特性インピーダンス50Ω及び75Ωの高周波同軸ケーブル(以下,ケーブルという。)につ
いて規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS C 3002 電気用銅線及びアルミニウム線試験方法
JIS C 3005 ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法
JIS C 3102 電気用軟銅線
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
IEC 96-1 (1986) Radio-frequency cables Part 1 : General requirements and measuring methods
IEC 96-2 (1988) Radio-frequency cables Part 2 : Relevant cable specifications
3. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって参
考として併記したものである。
2. 種類及び記号 種類及び記号は,これを使用する機器の特性インピーダンスによって表1のとおりと
する。
2
C 3501-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1 種類及び記号
種類(特性インピーダンスによる)
記号
50オーム形
0.8D-2V
1.5D-2V
2.5D-2V
3D-2V
5D-2V
5D-2W
8D-2V
10D-2V
75オーム形
1.5C-2V
2.5C-2V
3C-2V
3C-2VCS
3C-2VS
5C-2V
5C-2W
7C-2V
10C-2V
備考 記号の意味は,次のとおりである。
1項の数字
:外部導体の概略内径をmm単位で表したもの。
2項の文字D
:特性インピーダンス50Ωのもの。
2項の文字C
:特性インピーダンス75Ωのもの。
3項の数字2
:ポリエチレン充実形
4項の文字V
:外部導体が一重でビニルシースを施したもの。
4項の文字W
:外部導体が二重でビニルシースを施したもの。
5項の文字S
:内部導体がより線のもの(同サイズで内部導体が
単線のものと区別する。)。
5, 6項の文字CS :内部導体が銅覆鋼線のもの(同一サイズで内部導
体が軟銅線のものと区別する。)。
3. 特性 特性は,5.によって試験を行ったとき,表2のとおりとする。
3
C 3501-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2 特性
項目
特性
試験方法
適用箇条
内部導体抵抗
付表1の値以下
5.3
耐電圧
付表1の試験電圧に1分間耐えること
5.4
絶縁抵抗
1 000MΩkm以上
5.5
静電容量
付表1の値に適合すること
5.6
特性インピーダン
ス
50オーム形 50±2Ω (1)
5.7
75オーム形 75±3Ω
波長短縮率
66±2%
減衰量
付表1の値を標準とし,最大値は標準値の115%以下(2)
絶縁体及
びシース
の引張り
絶縁体
引張強さ
10MPa {1.02kgf/mm2} 以上
5.8
伸び
400%以上
シース
引張強さ
10MPa {1.02kgf/mm2}以上
伸び
200%以上
加熱
絶縁体
引張強さ
加熱前の値の80%以上
5.9
伸び
加熱前の値の65%以上
シース
引張強さ
加熱前の値の80%以上
伸び
誘電正接
6×10-4以下
5.10
誘電率
2.2〜2.5
加熱収縮
±10%
5.11
可塑剤の移行性
2×10-4以下
5.12
低温巻付け
表面にひび,割れを生じないこと
5.13
注(1) 0.8D-2Vについては,50±4Ωとする。
(2) 0.8D-2Vについては,最大値は標準値の125%以下とする。
4. 材料,構造及び加工方法 材料,構造及び加工方法は,付表1及び次の各項による。
(1) 内部導体 内部導体は,JIS C 3102に規定する軟銅線又はこれをより合わせたもの,若しくはJIS C
3002の5.(引張り)に規定する方法によって引張試験を行ったとき,785MPa {80kgf/mm2} 以上の引
張強さをもつ銅覆鋼線とする。
より線は,同心よりとし,より方向はSよりとする。そのピッチは1.5D-2V及び3C-2VSでは層心
径の30倍以下,その他のものは層心径の20倍以下とする。
なお,単線の場合は,接続点があってはならない。より線の場合でやむを得ず接続するときは,各
素線の接続箇所を互いに30cm以上ずらして,電気溶接,銀ろう付け又は冷間圧接する。
(2) 絶縁体 絶縁体は,(1)の内部導体上に,付表1に示す厚さにポリエチレンを同心円状に被覆する。
(3) 外部導体 外部導体は,(2)のポリエチレン絶縁体上に,JIS C 3102に規定する軟銅線の編組を付表1
のとおりに均一に施す。
(4) シース シースは,(3)の外部導体上に,ほぼ同心円状に付表1の厚さのビニルを被覆する。
シースの色は,50オーム形は灰色,75オーム形は黒色とする。
5. 試験方法
5.1
外観 外観は,JIS C 3005の3.(外観)による。
5.2
構造 構造は,JIS C 3005の5.(構造)による。
4
C 3501-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.3
内部導体抵抗 内部導体抵抗は,JIS C 3005の6.(導体抵抗)による。
5.4
耐電圧 耐電圧は,内部導体と外部導体間について行い,JIS C 3005の8.(2)(空中)による。
5.5
絶縁抵抗 絶縁抵抗は,内部導体と外部導体間について測定するものとしJIS C 3005の9.1(常温絶
縁抵抗)による。
5.6
静電容量 静電容量は,内部導体と外部導体間について測定するものとしJIS C 3005の10.(静電容
量)による。
5.7
特性インピーダンス,波長短縮率及び減衰量 特性インピーダンス,波長短縮率及び減衰量は,周
波数10MHzで同調法その他適当な方法によって測定する。
5.8
絶縁体及びシースの引張り 絶縁体及びシースの引張りは,JIS C 3005の18.(絶縁体及びシースの
引張り)による。
5.9
加熱 加熱は,JIS C 3005の19.(加熱)による。加熱温度及び加熱時間は,絶縁体については,JIS
C 3005の19.2(試験方法)の表5のAによって,シースについては,JIS C 3005の19.2の表5のBによ
る。
5.10 誘電正接及び誘電率 誘電正接及び誘電率は,5.8と同様なポリエチレンシートを作り,その中央部
両面に直径約50mmのすずはくを精製ワセリンで張り付け,直径約50mmの電極を使用し,周波数1〜
10MHzの任意の1点でリアクタンス変化法その他適当な方法によって測定する。
5.11 加熱収縮 加熱収縮は,5.8と同じ方法でとったビニルシースを長さ100mm幅10mmに切り取り,
その中央部に50mmの標線を付け,JIS C 3005の23.(加熱収縮)による。
5.12 可塑剤の移行性 可塑剤の移行性は,完成品から適当な長さの試験片をとり,温度98±2℃の恒温槽
中に96時間以上保ったのち取り出して,常温に12時間以上放置し,48時間以内にポリエチレンの誘電正
接を5.10と同一の周波数で測定し,その値と加熱前における測定値との差を求める。
5.13 低温巻付け 低温巻付けは,JIS C 3005の22.1(A法)による。冷却温度は,−25±5℃,巻付回数
は6回とし,円筒の径は,表3による。
表3 円筒の径
単位mm
記号
円筒の径
記号
円筒の径
0.8D-2V
10
1.5C-2V
10
1.5D-2V
2.5C-2V
2.5D-2V
3C-2V
18
3D-2V
18
3C-2VCS
5D-2V
30
3C-2VS
5D-2W
5C-2V
30
8D-2V
70
5C-2W
10D-2V
90
7C-2V
60
10C-2V
80
6. 検査 検査は,5.の試験方法によって,次の項目について行い,3., 4.及び9.の規定に適合しなければ
ならない。ただし,受渡当事者間の協定によって,その一部の項目を省略することができる。
(1) 外観
(2) 構造
(3) 内部導体抵抗
(4) 耐電圧
5
C 3501-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(5) 絶縁抵抗
(6) 静電容量
(7) 特性インピーダンス
(8) 波長短縮率
(9) 減衰量
(10) 絶縁体及びシースの引張り
(11) 加熱
(12) 誘電正接
(13) 誘電率
(14) 加熱収縮
(15) 可塑剤の移行性
(16) 低温巻付け
7. 包装 包装は,ドラム巻き又はたば巻きとし,運搬中損傷しないように適切な方法で行う。
なお,標準条長は200mとする。
8. 製品の呼び方 製品の呼び方は,名称及ぴ記号による。
例 高周波同軸ケーブル(ポリエチレン絶縁編組形)3C-2V
9. 表示
9.1
ケーブルの表示 ケーブルには,適切なところに次の事項を容易に消えない方法で連続表示する。
(1) 記号
(2) 製造業者名又はその略称
9.2
包装の表示 包装には,適切な方法で次の事項を表示する。
(1) 記号
(2) 長さ
(3) 質量(ドラムの場合は,総質量も記す。)
(4) ドラムの回転方向
(5) ケーブルの巻き終わりの位置(ドラムの場合だけ)
(6) 製造業者名又はその略号
(7) 製造年月又はその略号
6
C
3
5
0
1
-1
9
9
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表1 高周波同軸ケーブル
項目
記号
内部導体
絶縁体
外部導体
シース
仕上外径
導体抵
抗
(20℃)
試験
電圧
静電容
量
l kHz
標準減
衰量
10MHz
参考
下打編組
上打編組
概算質
量
標準荷
造法
素線数/素
線径
外径 厚さ 外径 素線
径
持数 打数 ピッチ
mm
以下
外径 素線径 持数 打数 ピッチ
mm
以下
外径 厚さ 標準
外径
mm
mm
mm
mm
mm
mm
mm
mm
mm
mm
mm
Ω/km
V
nF/km
dB/km
kg/km
0.8D-2V
1/0.26 (3)
0.26
0.27
0.80
0.10
3
16
16
1.3
−
−
−
−
−
0.35
2.0
2.0±0.4
968
300
102±8
180
8
たば
1.5D-2V
7/0.18
0.54
0.53
1.6
5
2.1
0.4
2.9
2.9±0.4
110
104±5
85
14
2.5D-2V
1/0.8
0.8
0.95
2.7
0.12
7
24
3.3
0.5
4.3
4.3±0.5
35.9
1 000 100±5
45
35
3D-2V
7/0.32
0.96
1.02
3.0
0.14
5
24
26
3.7
0.8
5.3
5.3±0.5
33.3
100±4
47
44
5D-2V
1/1.4
1.4
1.7
4.8
7
42
5.5
0.9
7.3
7.3±0.5
11.7
27
80
5D-2W
0.14
7
24
26
62
8.0
8.0±0.5
110
8D-2V
7/0.8
2.4
2.7
7.8
0.18
8
40
8.7
−
−
−
−
−
1.2
11.1
11.1±0.5
5.13
20
180
10D-2V
1/2.9
2.9
3.4
9.7
0.20
10
60
10.7
13.1
13.1±0.6
2.67
102±4
14
260
ドラム
1.5C-2V
1/0.26 (3)
0.26
0.67
1.6
0.10
5
16
16
2.1
−
−
−
−
−
0.4
2.9
2.9±0.4
968
1 000
69±4
96
13
たば
2.5C-2V
1/0.4
0.4
1.0
2.4
0.12
6
20
3.0
0.5
4.0
4.0±0.5
145
52
25
3C-2V
1/0.5
0.5
1.3
3.1
0.14
5
24
26
3.8
0.8
5.4
5.4±0.5
91.4
67±3
42
42
3C-2VCS
1/0.5 (3)
256
3C-2VS
7/0.18
0.54
1.28
100
48
5C-2V
1/0.8
0.8
2.05
4.9
7
42
5.6
0.9
7.4
7.4±0.5
35.9
27
74
5C-2W
0.14
7
24
26
63
1.0
8.3
8.3±0.5
120
7C-2V
7/0.4
1.2
3.05
7.3
0.18
8
45
8.2
−
−
−
−
−
1.1
10.4
10.4±0.5
20.7
22
140
10C-2V
7/0.5
1.5
3.95
9.4
0.20
l0
60
10.4
1.3
13.0
13.0±0.6
13.1
18
220
ドラム
注(3) 銅覆鋼線を使用し,許容差はJIS C 3102に準ずる