2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 3406-1993
自動車用低圧電線
Low-voltage cables for automobiles
1. 適用範囲 この規格は,自動車に使用するビニル絶縁低圧電線(以下,電線という。)について規定す
る。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS C 3005 ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法
JIS C 3102 電気用軟銅線
JIS K 2203 灯油
JIS K 2215 内燃機関用潤滑油
JIS R 6251 研摩布
JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示方法
2. 記号 電線の記号はAV(1)とする。
注(1) Aは自動車用低圧電線,Vはビニルを表す。
3. 特性 特性は,6.によって試験を行ったとき,表1のとおりとする。
表1 特性
項目
特性
試験方法
適用箇条
導体抵抗
付表1の値以下
6.2
耐電圧
スパーク
5 000Vに0.15秒間以上耐えること
6.3(1)
水中
1 000Vに1分間耐えること
6.3(2)
絶縁体の
引張り
引張強さ
16MPa以上
6.4
伸び
125%以上
6.4
耐油
50℃の油中に20時間浸し,屈曲後1 000V
に1分間耐えること
6.5
耐熱
120℃,120時間加熱屈曲後1 000Vに1分
間耐えること
6.6
低温
−40℃,3時間冷却屈曲後1 000Vに1分
間耐えること
6.7
難燃
燃焼後15秒以内で炎が自然に消えること 6.8
摩耗
表7の最小摩耗抵抗以上
6.9
4. 材料,構造及び加工方法 材料,構造及び加工方法は,付表1及び次の各項による。
(1) 導体 導体は,JIS C 3102に規定する軟銅線をより合わせたものとする。必要によって導体上に紙テ
2
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ープを巻いてもよい。
(2) 絶縁体 絶縁体は,(1)の導体の上にビニルを導体と同心円状に被覆する。絶縁体の厚さは付表1の値
の90%以上とし,最小厚さは付表1の値の80%以上でなければならない。
5. 電線の色別 電線に使用する色の記号及び標準は,表2のとおりとする。電線の色別は,地色及びマ
ーキングの色によって,その使用順位は,表3のとおりとする。
表2 色の記号と標準
色名
色記号
色の標準(2)
黒
B
N2
白
W
N9
赤
R
5R4/12
緑
G
7.5G4/6
黄
Y
7.5Y9/8
茶色
Br
5YR4/4
青
L
5PB4/12
若葉色
Lg
5G7/6
注(2) 色の標準はJIS Z 8721による。
表3 色別使用順位
色別使用順位(3)
1
2
3
4
5
6
B
BW
BY
BR
−
−
W
WR
WB
WL
WY
WG
R
RW
RB
RY
RG
RL
G
GW
GR
GY
GB
GL
Y
YR
YB
YG
YL
YW
Br
BrW
BrR
BrY
BrB
−
L
LW
LR
LY
LB
−
Lg
LgR
LgY
LgB
LgW
−
注(3) 色別が2色から構成されるものは,第1の色が電線の地
色を示し,第2の色がマーキングの色を示すものとす
る。
例 BWは,地色BにマーキングWがあることを示す。
6. 試験方法
6.1
構造 構造は,JIS C 3005の5.(構造)による。
6.2
導体抵抗 導体抵抗は,JIS C 3005の6.(導体抵抗)による。ただし,抵抗値は,1mに対する値に
換算する。
6.3
耐電圧 耐電圧は,次によって行う。
(1) スパーク スパークは,JIS C 3005の8.(3)(スパーク)による。
(2) 水中 水中は,(1)のスパークを行った後長さ約600mmの試料をとり,両端約25mmの絶縁体をはぎ
とり,その部分を互いにより合わせ,図1のように試料中央部300mmを5%塩水中に浸す。
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5時間そのままの状態で保持後,導体と大地間に50Hz又は60Hzの正弦波に近い波形の交流電圧を
加え,これを1 000Vまで徐々に上昇させた後,1分間これに耐えるかどうかを調べる。
図1 水中試験図例
6.4
絶縁体の引張り 絶縁体の引張りは,JIS C 3005の18.(絶縁体及びシースの引張り)による。
6.5
耐油 耐油は,長さ約600mmの試料をとり,その両端40mmを残して図2のように50±2℃のJIS K
2215に規定する1〜3種の1号潤滑油とJIS K 2203に規定するもの,又はこれと同等以上の油との等量混
合油中に20時間浸した後取り出し,常温になるまで放冷した後,表4に示す径をもつ円筒のまわりに巻き
付け,6.3(2)によって行う。
図2 耐油試験図例
表4 耐油試験用円筒
呼び
円筒の径 mm
1.25〜0.5f
75
8〜2
150
100〜15
255
6.6
耐熱 耐熱は,長さ約600mmの試料をとり,その両端25mmの絶縁体をはぎとり,両端各々の導体
部に表5のおもりを加え,図3のように水中に保持した表5に示す径の円筒に振り分けてつるす。そのま
まの状態で120±2℃の流通空気中で120時間加熱する。加熱後常温になるまで放冷した後,表5に示す径
の円筒のまわりに加熱時の屈曲と反対方向に巻き付け,6.3(2)によって行う。
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表5 耐熱試験用円筒とおもり
呼び
円筒の径 mm
おもりの質量 g
0.85〜0.5f
115
450
2〜1.25f
165
3
1 350
8〜5
255
40〜15
2 700
100〜50
4 500
図3 耐熱試験図例
6.7
低温 低温は,適当な長さの試料をとり−40±2℃の低温槽内に3時間保持した後,低温槽内で表6
に示す径の円筒に約10秒間で図4のように180度屈曲した後,低温槽から取り出し,次に6.3(2)によって
行う。
表6 低温試験用円筒
呼び
円筒の径 mm
1.25〜0.5f
75
8〜2
150
30〜15
255
100〜40
455
図4 低温試験図例
6.8
難燃 難燃は,JIS C 3005の28.(難燃)による。試験方法は,JIS C 3005の28.2(1)(水平試験)に
よる。
6.9
摩耗 摩耗は,長さ約900mmの試料をとりJIS R 6251に規定する150番Gの摩耗テープに接する
ように,図5のように試料を固定し,表7のおもりを加え,1 500mm/minの速さでテープを移動し,導体
とテープが接触するまでのテープの長さを読み取る。
1か所の測定を行った後,試料を25mm移動し,時計方向に90度回転させて固定し,上記の試験を行う。
このようにして1試料に対して8個の測定値を読み取り,平均値を求める。次に,8個の測定値のうち平
均値以下の測定値を再平均し,この値を摩耗抵抗値とする。
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図5 耐摩耗試験図例
表7 耐摩耗試験の条件
呼び
最小摩耗抵抗 mm
おもりの質量 g
0.5, 0.5f
457
450
0.85, 0.75f
535
1.25, 1.25f
560
2
305
1 350
3
410
5
510
8
635
15
1 900
20
750
80〜30
3 430
100
4 570
7. 検査 検査は,6.の試験方法によって,次の項目について行い,3.,4.及び5.の規定に適合しなければ
ならない。ただし,(4)〜(9)は,受渡当事者間の協定によって,その一部又は全部を省略することができる。
(1) 構造
(2) 導体抵抗
(3) 耐電圧
(a) スパーク
(b) 水中
(4) 絶縁体の引張り
(5) 耐油
(6) 耐熱
(7) 低温
(8) 難燃
(9) 摩耗
8. 包装 包装は,1条ずつドラム巻き又はたば巻きとし,運搬中損傷しないように適切な方法で行う。
9. 製品の呼び方 製品の呼び方は,名称,公称断面積及び色,又は記号,公称断面積及び色記号による。
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例 自動車用低圧電線2黒白,又はAV2BW
10. 表示 表示は,ドラム又はたばに適当な方法で,次の事項を表示する。
(1) 名称又は記号
(2) 呼び
(3) 長さ
(4) 質量
(5) 製造業者名,その略号又は登録商標
(6) 製造年月又はその略号
関連規格 ISO 6722-1 : 1984 Road vehicles−Unscreened low-tension cables−Part 1 : General requirements
andtest methods
ISO 6722-2 : 1985 Road vehicles−Unscreened low tension cables−Part 2 : Cable classes,
applicabletests and special requirements
ISO 6722-3 : 1984 Road vehicles−Unscreened low tension cables−Part 3 : Conductor sizes and
dimensions
付表1 電線の種類と構造
導体
ビニル
絶縁体
厚さ
仕上外径mm
導体抵抗
(20℃)
参考
呼び
素線数/素線径
計算断面積
外形
約
標準
最大
質量
1条の長さ
mm2
mm
mm2
mm
mm
Ω/m
g/m
m
0.5f
20/0.18
0.508 7
1.0
0.6
2.2
2.4
0.036 7
8
100
0.5
7/0.32
0.562 9
0.032 7
9
0.75f
30/0.18
0.763 0
1.2
2.4
2.6
0.024 4
12
0.85
11/0.32
0.884 6
0.020 8
1.25f
50/0.18
1.273
1.5
2.7
2.9
0.014 7
17
1.25
16/0.32
1.287
0.014 3
2
26/0.32
2.091
1.9
3.1
3.4
0.008 81
25
3
41/0.32
3.297
2.4
0.7
3.8
4.1
0.005 59
39
5
65/0.32
5.228
3.0
0.8
4.6
4.9
0.003 52
60
8
50/0.45
7.952
3.7
0.9
5.5
5.8
0.002 32
90
15
84/0.45
13.36
4.8
1.1
7.0
7.4
0.001 38
150
50
20
41/0.80
20.61
6.0
8.2
8.8
0.000 887
220
30
70/0.80
35.19
8.0
1.4
10.8
11.5
0.000 520
390
40
85/0.80
42.73
8.6
11.4
12.1
0.000 428
460
50
108/0.80
54.29
9.8
1.6
13.0
13.8
0.000 337
590
60
127/0.80
63.84
10.4
13.6
14.4
0.000 287
680
85
169/0.80
84.96
12.0
2.0
16.0
17.0
0.000 215
910
100
217/0.80
109.1
13.6
17.6
18.6
0.000 168
1100
備考 呼びのfは,フレキシブルを示す。