C 3312 : 2000
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本電線
工業会 (JCMA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調
査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本工業規格である。これによってJIS C 3312 : 1993は改正
され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願などの知的財産権にかかわる確認については,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 3312 : 2000
600 Vビニル絶縁ビニルキャブ
タイヤケーブル
600 V Grade polyvinyl chloride insulated and
sheathed portable power cables
1. 適用範囲 この規格は,600V以下の移動用電気機器の電源回路などに用いる塩化ビニル樹脂を主体と
したコンパウンド(以下,ビニルという。)を絶縁体及びシースとするビニル絶縁ビニルキャブタイヤケー
ブル(以下,ケーブルという。)について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 3005 ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法
JIS C 3102 電気用軟銅線
JIS C 3152 すずめっき軟銅線
3. 記号 記号は,VCTとする。
4. 特性 特性は6.によって試験を行ったとき,表1による。ただし,単心ケーブルのシースを兼ねてい
る絶縁体の特性については表中の絶縁体の欄による。
表1 特性
項目
特性
試験方法
適用箇条
導体抵抗
付表1〜4の値以下
6.3
耐電圧
3 000V1分間に耐えなければならない。
6.4
絶縁抵抗
付表1〜4の値以上
6.5
絶縁体及
びシース
の引張り
絶縁体 引張強さ
10 MPa以上
6.6
伸び
100 %以上
シース 引張強さ
10 MPa以上
伸び
120 %以上
加熱
絶縁体 引張強さ
加熱前の値の85%以上
6.7
伸び
加熱前の値の80%以上
シース 引張強さ
加熱前の値の85%以上
伸び
加熱前の値の80%以上
2
C 3312 : 2000
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項目
特性
試験方法
適用箇条
耐油
絶縁体 管状
引張強さ 浸油前の値の85%以上
6.8
ダンベル状
浸油前の値の80%以上
管状
伸び
浸油前の値の85%以上
ダンベル状
浸油前の値の60%以上
シース 引張強さ
浸油前の値の80%以上
伸び
浸油前の値の60%以上
巻付加熱
表面にひび及び割れを生じてはならない。
6.9
低温巻付け
6.10
加熱変形
厚さの減少率50%以下
6.11
曲げ
破損又はひび及び割れを生じず,各線心の
導体素線の断線は30%を超えてはならな
い。
6.12
難燃
30秒以内で自然に消えなければならない。
6.13
5. 材料,構造及び加工方法 材料,構造及び加工方法は,付表1〜4及び次による。
a) 導体 導体は,JIS C 3102に規定する軟銅線又はJIS C 3152に規定されたすずめっき軟銅線をより合
わせたものとする。
b) 絶縁体 絶縁体は,a)の導体上に付表1〜4に示す厚さのビニルを導体と同心円状に被覆する。
絶縁体の平均厚さは,付表1〜4の値の90%以上とし,最小厚さは,付表1〜4の値の80%以上とす
る。単心ケーブルは,この絶縁加工を終わったものを完成品とする。
この場合,ケーブルの表面には,有害なきず及び気ほうがあってはならない。
c) 線心の識別 線心の識別は,絶縁体の色によるものとし,通常次による。
単心
黒
2心
黒,白
3心
黒,白,赤又は黒,白,緑
4心
黒,白,赤,緑
d) 線心より合わせ 多心ケーブルは,線心所要条数を層心径の20倍以下のピッチでSよりにより合わ
せる。
e) シース シースは,次の式によって算出した厚さとし,d)の線心より合わせ上に被覆する。
t=D/15+1.3
ここに,
t: シース厚さ (mm)
D: シース内径 (mm)
(小数点以下2位を四捨五入)
シースの平均厚さは付表2〜4の値の90%以上とし,最小厚さは,付表2〜4の値の85%以上とする。
シースの色は通常黒とする。
なお,ケーブルの表面には,有害なきずがあってはならない。
3
C 3312 : 2000
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6. 試験方法
6.1
外観 外観は,JIS C 3005の4.1(外観)による。
6.2
構造 構造は,JIS C 3005の4.3(構造)による。
6.3
導体抵抗 導体抵抗は,JIS C 3005の4.4(導体抵抗)による。
6.4
耐電圧 耐電圧は,JIS C 3005の4.6 a)(水中)による。
6.5
絶縁抵抗 絶縁抵抗は,JIS C 3005の4.7.1(常温絶縁抵抗)による。
6.6
絶縁体及びシースの引張り 絶縁体及びシースの引張りは,JIS C 3005の4.16(絶縁体及びシース
の引張り)による。
6.7
加熱 加熱は,JIS C 3006の4.17(加熱)による。加熱温度及び加熱時間は,JIS C 3005の4.17.2
(試験方法)の表5のBによる。
6.8
耐油 耐油は,JIS C 3005の4.18(耐油)による。浸油温度及び浸油時間は,JIS C 3005の4.18の
表6のAによる。
6.9
巻付加熱 巻付加熱は,JIS C 3005の4.19.1(A法)による。加熱温度は,120℃±3℃とし,巻付回
数及び円筒の径は,表2による。
表2 巻付回数及び円筒の径
導体公称断面積
mm2
仕上外径
mm
巻付回数
回
円筒の径
絶縁体
8以下
−
6
絶縁体外径の1倍
14,22
絶縁体外径の2倍
38
1
60, 100
約21
シース
−
15未満
6
仕上外径の 5倍
15以上20未満
約21
仕上外径の 8倍
20以上
仕上外径の10倍
6.10 低温巻付け 低温巻付けは,JIS C 3005の4.20.1(A法)による。冷却温度は,−10℃±1℃とし,
巻付回数及び円筒の径は,表3による。
表3 巻付回数及び円筒の径
導体公称断面積
mm2
仕上外径
mm
巻付回数
回
円筒の径
絶縁体
8以下
−
6
絶縁体外径の3倍
14,22
3
絶縁体外径の4倍
38,60
約21
絶縁体外径の5倍
100
絶縁体外径の6倍
シース
−
15未満
6
仕上外径の 5倍
15以上20未満
約21
仕上外径の 8倍
20以上
仕上外径の10倍
6.11 加熱変形 加熱変形は,JIS C 3005の4.23(加熱変形)による。加熱温度は,120℃±3℃とし,荷
重は表4による。ただし,板状試験片を用いる場合の荷重は,10Nとする。
4
C 3312 : 2000
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表4 荷重
導体公称断面積
mm2
仕上外径
mm
荷重
N
絶縁体
0.75
−
3
1.25
4
2〜8
5
14〜38
7
60
10
100
15
シース
−
8未満 5
8以上12未満 7
12以上
10
6.12 曲げ 曲げは,公称断面積38mm2以下のケーブルについてJIS C 3005の4.27(曲げ)による。r及
びlは,5.5mm2以上の場合には,JIS C 3005の4.27の表10のAによって,3.5mm2以下の場合には,JIS C
3005の4.27の表10のBによる。
6.13 難燃 難燃は,JIS C 3005の4.26(難燃)による。試験方法は,JIS C 3005の4.26の2 b)(傾斜試
験)による。
7. 検査 検査は,6.の試験方法によって次の項目について行い,4.,5.及び9.1の規定に適合しなければ
ならない。ただし,受渡当事者間の協定によって,その一部又は全部の項目を省略してもよい。
a) 外観
b) 構造
c) 導体抵抗
d) 耐電圧
e) 絶縁抵抗
f)
絶縁体及びシースの引張り
g) 加熱
h) 耐油
i)
巻付加熱
j)
低温巻付け
k) 加熱変形
l)
曲げ
m) 難燃
8. 製品の呼び方 製品の呼び方は,名称,導体の種類を表す記号(1)及び線心数×公称断面積又は記号,
導体の種類を表す記号(1)及び線心数×公称断面積による。
例1. 600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル TA1×5.5mm2又はVCT・TA1×5.5mm2
例2. 600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル 3×14mm2又はVCT3×14mm2
注(1) すずめっき軟銅線の場合は,TAとし,軟銅線の場合は,Aとする。ただし,軟銅線の場合はこ
れを省略してもよい。
9. 表示及び包装
5
C 3312 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9.1
ケーブルの表示 ケーブルの表示は,適切なところに次の事項を容易に消えない方法で連続表示す
る。
a) 製造業者名又はその略号
b) 製造年又はその略号
9.2
包装の表示 包装の表示は,適切な方法で次の事項を表示する。
a) 名称又はその記号
b) 導体の種類を表す記号[すずめっき軟銅線の場合だけ (TA) と記す。]
c) 線心数及び公称断面積
d) 長さ
e) 質量(ドラム巻きの場合は,総質量も併記する。)
f)
ドラムの回転方向
g) 製造業者名又はその略号
h) 製造年又はその略号
9.3
包装 包装は,1条ずつドラム巻き又はたば巻きとし運搬中損傷がないように適切な方法で行う。
付表1 単心ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル
公称
断面積
mm2
導体
絶縁体
厚さ
mm
仕上
外径
(約)
mm
導体抵抗
(20℃) Ω/km
絶縁抵抗
(20℃)
MΩ・km
参考
構成
素線数/素線径
mm
外径
mm
めっき
なし
めっき
あり
概算質量
kg/km
標準条長
m
0.75
30/0.18
1.1
2.3
5.7 24.4
25.8
50
41
200
1.25
50/0.18
1.5
6.1 14.7
15.5
50
2
37/0.26
1.8
6.4
9.50
9.91
60
3.5
45/0.32
2.5
2.4
7.3
5.09
5.38
40
85
5.5
70/0.32
3.1
2.6
8.3
3.27
3.46
115
8
50/0.45
3.7
2.9
9.5
2.32
2.45
155
14
88/0.45
4.9
3.2
11.5
1.32
1.39
240
22
7/20/0.45
7.0
3.6
14.5
0.844 0.892
30
380
38
7/34/0.45
9.1
3.9
17.0
0.496 0.525
580
60
19/20/0.45
11.6
4.1
20
0.311 0.329
850
100
19/34/0.45
15.2
4.6
25
0.183 0.193
20
1 370
6
C 3312 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表2 2心ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル
公称
断面積
mm2
導体
絶縁体
厚さ
mm
シース
厚さ(2)
mm
仕上
外径
(約)
mm
導体抵抗
(20℃) Ω/km
絶縁抵抗
(20℃)
MΩ・km
参考
構成
素線数/素線径
mm
外径
mm
めっき
なし
めっき
あり
概算質量
kg/km
標準条長
m
0.75
30/0.18
1.1
0.8
1.7
8.8
25.1
26.6
50
100
200
1.25
50/0.18
1.5
9.6
15.1
16.0
120
2
37/0.26
1.8
1.8
10.5
9.79
10.2
150
3.5
45/0.32
2.5
12.0
5.24
5.54
40
205
5.5
70/0.32
3.1
1.0
2.0
14.5
3.37
3.56
305
8
50/0.45
3.7
1.2
2.1
16.5
2.39
2.52
410
14
88/0.45
4.9
1.4
2.3
20
1.36
1.43
645
注(2) シース厚さは,標準的な構造について本体5. e)の計算式によって算出したもので,ケーブル設
計構造によって0.1mm増減する場合がある。
付表3 3心ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル
公称
断面積
mm2
導体
絶縁体
厚さ
mm
シース
厚さ
(2)
mm
仕上
外径
(約)
mm
導体抵抗
(20℃) Ω/km
絶縁抵抗
(20℃)
MΩ・km
参考
構成
素線数/素線径
mm
外径
mm
めっき
なし
めっき
あり
概算質量
kg/km
標準条長
m
0.75
30/0.18
1.1
0.8
1.7
9.2
25.1
26.6
50
100
200
1.25
50/0.18
1.5
10.5
15.1
16.0
140
2
37/0.26
1.8
1.8
11.0
9.79
10.2
175
3.5
45/0.32
2.5
1.9
13.0
5.24
5.54
40
255
5.5
70/0.32
3.1
1.0
2.0
15.0
3.37
3.56
370
8
50/0.45
3.7
1.2
2.2
17.5
2.39
2.52
510
14
88/0.45
4.9
1.4
2.4
22
1.36
1.43
810
7
C 3312 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表4 4心ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル
公称
断面積
mm2
導体
絶縁体
厚さ
mm
シース
厚さ(2)
mm
仕上
外径
(約)
mm
導体抵抗
(20℃) Ω/km
絶縁抵抗
(20℃)
MΩ・km
参考
構成
素線数/素線径
mm
外径
mm
めっき
なし
めっき
あり
概算質量
kg/km
標準条長
m
0.75
30/0.18
1.1
0.8
1.7
9.9
25.1
26.6
50
135
200
1.25
50/0.18
1.5
1.8
11.5
15.1
16.0
175
2
37/0.26
1.8
12.0
9.79
10.2
210
3.5
45/0.32
2.5
2.0
14.0
5.24
5.54
40
320
5.5
70/0.32
3.1
1.0
2.1
16.5
3.37
3.56
460
8
50/0.45
3.7
1.2
2.3
19.5
2.39
2.52
640
14
88/0.45
4.9
1.4
2.5
24
1.36
1.43
1 020
8
C 3312 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
第20委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
荒 井 聰 明
東京電機大学工学部
(委員)
塚 本 修
通商産業省基礎産業局
斎 藤 俊 樹
資源エネルギー庁公益事業部
八 田 勲
工業技術院標準部
高 橋 健 彦
関東学院大学工学部
樋 口 登
工業技術院電子技術総合研究所
深 川 裕 正
財団法人電力中央研究所
橋 本 欣 也
東京都立産業技術研究所
白 井 藤 雄
財団法人電気安全環境研究所
若 松 淳 一
財団法人日本品質保証機構
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
三 上 裕 久
財団法人関東電気保安協会
下 川 英 男
社団法人電気設備学会
浅 井 功
社団法人日本電気協会
萩 原 壽 夫
社団法人電線総合技術センター
小田切 司 朗
電気事業連合会
赤 嶺 淳 一
社団法人日本電機工業会
田 谷 利 明
社団法人日本電子機械工業会
石 黒 開 二
社団法人日本配線器具工業会
藤 井 信 弘
社団法人日本照明器具工業会
川 本 紀 男
社団法人日本電設工業協会
山 本 勝
全日本電気工事業工業組合連合会
勝 田 銀 造
東京電力株式会社
横 山 博
東京電力株式会社
岡 田 雅 彦
関西電力株式会社
藤 垣 伸 一
中部電力株式会社
前 川 雄 一
電源開発株式会社
横 澤 芳 廣
東日本旅客鉄道株式会社
内 田 忠 敬
株式会社関電工
辻 康次郎
社団法人日本電力ケーブル接続技術協会
久 垣 豊 一
古河電気工業株式会社
大 澤 茂 樹
住友電気工業株式会社
新 元 孝
株式会社フジクラ
薄 田 新 一
日立電線株式会社
杉 山 敬 二
三菱電線工業株式会社
矢 地 竹 男
昭和電線電纜株式会社
岩 田 聖 二
タツタ電線株式会社
松 崎 雄 二
矢崎電線株式会社
高 山 芳 郎
社団法人日本電線工業会
(事務局)
金 田 康 三
社団法人日本電線工業会
大 木 敬 一
社団法人日本電線工業会