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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C3053-1988 

巻線通則 

General Rules for Winding Wires 

1. 適用範囲 この規格は,電気機器の巻線及び配線に用いるエナメル線と横巻線の構造及び特性など一

般的な事項について規定する。 

引用規格: 

JIS C 2351 エナメル線用ワニス 

JIS C 3003 エナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験方法 

JIS C 3006 横巻銅線及び横巻アルミニウム線試験方法 

JIS C 3102 電気用軟銅線 

JIS C 3103 電気機器巻線用軟銅線 

JIS C 3104 平角銅線 

JIS C 3202 エナメル線 

JIS C 3204 横巻線 

JIS C 4003 電気機器絶縁の種類 

JIS H 2110 電気用アルミニウム地金 

JIS R 3413 ガラス糸 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

関連規格:JIS B 8243 圧力容器の構造 

JIS K 8271 キシレン(試薬) 

JIS Z 3282 はんだ 

2. 用語の意味 この規格及び個別規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。 

(1) 巻線 エナメル線及び横巻線の総称。 

(2) エナメル線 導体に天然樹脂又は合成樹脂絶縁塗料を焼き付けた線(表参照)。 

(3) 横巻線 導体の長さ方向に対して繊維,テープなどをら旋状に巻き付けた線(表参照)。 

(4) 絶縁皮膜 エナメル線に施された絶縁の皮膜。 

(5) 絶縁被覆 横巻線に施された絶縁の被覆。 

(6) 融着皮膜 絶縁皮膜の上にあって,熱又は溶剤で線を融着させるための皮膜。 

(7) 0種,1種,2種,3種 エナメル線における皮膜厚さの種類。0種が最も厚く,3種が最も薄いものを

示す。 

(8) 一重,二重 横巻線における繊維テープなどの重ね巻き回数。一重は1回横巻きしたもの,二重は1

回横巻きした上に反対方向に更に1回横巻きしたものを示す。 

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C3053-1988  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(9) 温度指数 JIS C 3003(エナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験方法)の22.の耐電圧試験で求

めた耐熱寿命グラフの20 000時間での温度。 

(10) 許容最高温度 JIS C 4003(電気機器絶縁の種類)の規定による継続して使用できる最高の温度で,

経験によって規定された値。 

3. 分類,種類及び記号 この規格に規定する巻線の分類,種類及び記号は,表のとおりとする。 

表 


類 

種類 

記号 

導体形状 

温度指数 

(℃) 

許容最
高温度 

(℃) 

個別製品 
規格番号 
及び名称 

左記規格
の附属書

番号 

丸線 平角線 





線 

1種油性エナメル銅線 
2種油性エナメル銅線 

1EW 
2EW 

○ 
○ 

− 
− 

105 

− 

JIS C 3202 

(エナメル

線) 

0種ホルマール銅線 
1種ホルマール銅線 
2種ホルマール銅線 

0PVF 
1PVF 
2PVF 

○ 
○ 
○ 

− 
− 
− 

0種ホルマールアルミニウム線 
1種ホルマールアルミニウム線 

Al-0PVF 
Al-1PVF 

○ 
○ 

− 
− 

ホルマール平角銅線 

PVF 

− 

○ 

0種ポリエステル銅線 
1種ポリエステル銅線 
2種ポリエステル銅線 

0PEW 
1PEW 
2PEW 

○ 
○ 
○ 

− 
− 
− 

155 

− 

1種ポリウレタン銅線 
2種ポリウレタン銅線 
3種ポリウレタン銅線 

1UEW 
2UEW 
3UEW 

○ 
○ 
○ 

− 
− 
− 

120 

− 

0種融着性ポリウレタン銅線 
1種融着性ポリウレタン銅線 
2種融着性ポリウレタン銅線 

0SBUEW 
1SBUEW 
2SBUEW 

○ 
○ 
○ 

− 
− 
− 

0種ポリエステルイミド銅線 
1種ポリエステルイミド銅線 
2種ポリエステルイミド銅線 

0EIW 
1EIW 
2EIW 

○ 
○ 
○ 

− 
− 
− 

180 

− 



線 

一重綿巻銅線 
二重綿巻銅線 

SCC 
DCC 

○ 
○ 

− 
− 

− 

90 

JIS C 3204 

(横巻線) 

一重絹巻銅線 
二重絹巻銅線 

SSC 
DSC 

○ 
○ 

− 
− 

二重綿巻平角銅線 

DCC 

− 

○ 

− 

一重ガラス巻銅線 (130℃) 
二重ガラス巻銅線 (130℃) 

BSGC 
BDGC 

○ 
○ 

− 
− 

− 

130 

一重ガラス巻銅線 (155℃) 
二重ガラス巻銅線 (155℃) 

FSGC 
FDGC 

○ 
○ 

− 
− 

− 

155 

一重ガラス巻銅線 (180℃) 
二重ガラス巻銅線 (180℃) 

HSGC 
HDGC 

○ 
○ 

− 
− 

− 

180 

二重ガラス巻平角銅線 (130℃) 
二重ガラス巻平角銅線 (155℃) 
二重ガラス巻平角銅線 (180℃) 

BDGC 
FDGC 
HDGC 

− 
− 
− 

○ 
○ 
○ 

− 

130 
155 
180 

備考 Alの記号は,Alとしてもよい。 

C3053-1988  

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4. 特性 特性は,個別規格による。 

5. 導体及び絶縁 

5.1 

導体 

5.1.1 

銅線 エナメル線の0種,1種及び横巻線の導体は,JIS C 3102(電気用軟銅線)に規定する軟銅

線又はこれに準じる軟銅線とし,エナメル線の2種及び3種の導体は,JIS C 3103(電気機器巻線用軟銅

線)に規定する軟銅線とする。 

5.1.2 

平角銅線 導体は,JIS C 3104(平角銅線)に規定する3号又は4号平角銅線とする。 

5.1.3 

アルミニウム線 導体は,JIS H 2110(電気用アルミニウム地金)に規定するアルミニウム地金を

伸線して仕上げた軟アルミニウム線とする。 

5.2 

絶縁 

5.2.1 

エナメル線 エナメル線の絶縁皮膜は,JIS C 2351(エナメル線用ワニス)に規定するエナメル線

用ワニス又はこれと同等以上の品質をもつエナメル線用ワニスを導体表面に一様に焼き付けたもので,き

ず及び汚れがあってはならない。 

丸線では,皮膜の厚さによって厚い順に0種,1種,2種及び3種に区分する。 

5.2.2 

横巻線 横巻線の絶縁被覆は,次による。 

(1) 綿巻線及び絹巻線 綿巻線及び絹巻線の絶縁被覆は,導体に白色綿糸又は白色絹糸を,むらなく緊密

に一重又は相互反対方向に二重に横巻きしたものとする。 

(2) ガラス巻線 ガラス巻線の絶縁被覆は,JIS R 3413(ガラス糸)に規定する無アルカリガラス糸,又

はこれと同等以上の品質のガラス糸を,一重又は相互反対方向に二重に緊密に横巻きし,許容最高温

度が130℃,155℃又は180℃に適する耐熱性絶縁塗料を均一に塗布焼き付けたもので,導体に対し有

害な作用を及ぼさないものでなければならない。 

6. 寸法 寸法は,個別規格による。 

7. 製造 

7.1 

潤滑剤 エナメル線の場合,巻枠及び容器に緩み,もつれが生じないようにするため通常皮膜の表

面に,皮膜に害がない潤滑剤を塗布するものとする。 

7.2 

導体の接続 導体を接続する場合には,銀ろう付け,圧接などで行うものとする。接続部の表面は,

滑らかで絶縁を行うためにふさわしいものとする。絶縁を施された部分は,個別規格を満足するものとす

る。 

8. 試験 

8.1 

試験方法 試験方法は,JIS C 3003及びJIS C 3006(横巻銅線及び横巻アルミニウム線試験方法)

による。 

8.2 

試験材料の取扱い 巻枠よりきず,曲げ,伸びなどを与えないように注意して試料を採取する。 

8.3 

試験状態 試験状態は,特に指定がない限りJIS Z 8703(試験場所の標準状態)に規定する常温,

常湿(温度20±15℃,湿度65+20%)とする。 

8.4 

再試験 試験値が規定値に適合しない場合には,個別規格に指定がある場合にだけ再試験をするこ

とができる。再試験の試験値が規定値に適合した場合には,特性を満足するとみなすことができる。 

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8.5 

試験条件 

8.5.1 

巻付け 丸線を巻き付けるために用いる丸棒は,表面が滑らかであり,その径は試験片の標準導体

径 (d) の整数倍とし,1d,2d……で表す。ただし,1dの巻付けに用いる丸棒は,試験片と同じ巻線を用い

てもよい。 

8.5.2 

曲げ 平角線を曲げるために用いる丸棒は,表面が滑らかであり,その径は試験片の標準導体厚さ 

(dF) 又は標準導体幅 (dE) の整数倍とする。厚さ方向に曲げる場合をフラットワイズ曲げ(図1参照)と

呼び,1dF,2dF……で表し,幅方向に曲げる場合をエッジワイス曲げ(図2参照)と呼び,1dE,2dE……

で表す。 

図1 

図2 

9. 検査 

9.1 

検査 検査は,8.1の試験方法によって個別規格に規定された項目について行い,個別規格の規定に

適合しなければならない。ただし,受渡当事者間の協定によってその一部の項目を省くことができる。 

9.2 

検査区分 形式検査と受渡検査に区分する。形式検査とは個別規格に規定する特性全項目にわたっ

て設計,原材料及び製造条件の良否を判定するため行う検査であって,通常の受渡しのときには行わない。 

受渡検査とは,既に形式検査に合格したものと同じ設計,原材料,製造条件による製品の受渡しに際し,

必要と認められる規格の条項を満足しているかどうかを判定するために行う検査をいう。 

10. 包装及び1巻の正味質量 包装及び1巻の正味質量は,個別規格による。 

11. 製品の呼び方 製品の呼び方は,個別規格による。 

12. 表示 表示は,個別規格による。 

13. 製品の保管 製品の特性を損なわないために,高温場所,高湿場所及び直射日光の当たる所には長期

保管しないように注意する。 

参考 取扱い上の注意 巻線を使用するとき,又は巻線の試験をするときに扱うはく離剤,溶剤及び

圧力容器などの取扱い上の注意事項は参考表に示す。 

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C3053-1988  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考表 

項目 

種類 

規格・番号及び名称 

注意事項 

はく離剤 

各種 

− 

直接皮膚及び体に付けないように注意
し,付いた場合は直ちに洗浄する。 

また,使用時は,排気に注意する。 

溶剤 

キシレン 

JIS K 8271 
[キシレン(試薬)] 

火気のある場所での保存,使用は避け
る。 

また,使用時は排気に注意する。 

圧力容器 

フレオン
ガス用圧
力容器 

JIS B 8243 
[圧力容器の構造] 

高温場所及び直射日光の当たる所には
保存しないように注意する。 

はんだ 

はんだ 

JIS Z 3282 
[はんだ] 

使用時は排気に注意する。 
はんだを扱った手で食品,たばこなど
を直接つかまない。 

C3053-1988  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

電気部会 巻線専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

田 畑 稔 雄 

東洋大学工学部 

河 面 慶四郎 

通商産業省基礎産業局 

横 江 信 義 

通商産業省機械情報産業局 

平 野 隆 之 

工業技術院標準部 

加 納 二 郎 

株式会社東芝総合研究所 

武 藤 祐 輔 

富士通株式会社生産技術管理部 

権 野   明 

沖電気工業株式会社電子通信事業部 

中 沢   寛 

株式会社タムラ製作所技術本部 

中 村 裕 之 

株式会社明電舎太田工場 

宮 内 正 夫 

社団法人日本電機工業会 

湊   隆 男 

通信機械工業会 

山 崎 克 之 

古河電気工業株式会社平塚電線製造所 

中 林 洋 彦 

住友電気工業株式会社機器電線事業部 

千 葉 公 夫 

三菱電線工業株式会社電機事業部 

伊 藤 吉左右 

藤倉電線株式会社巻線技術部 

木 下   隆 

日立電線株式会社豊浦工場 

鈴 木 益 夫 

第一電工株式会社技術部 

溝 口 真 澄 

昭和電線電纜株式会社巻線部 

長   孝 夫 

社団法人日本電線工業会 

(事務局) 

佐 野 則 雄 

工業技術院標準部電気・情報規格課 

(山 村 修 蔵 

工業技術院標準部電気・情報規格課)