2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 2528-1991
電気抵抗用繊維巻線
Silk and polyester fiber covered wires
for electrical resistance use
1. 適用範囲 この規格は,JIS C 2521,JIS C 2522及びJIS C 2532に規定する電気抵抗用銅ニッケル線,
電気抵抗用銅マンガン線,一般電気抵抗用銅ニッケル49種線,一般電気抵抗用銅ニッケル30種線及び一
般電気抵抗用銅マンガン44種線に,絹巻,絹・ポリエステル繊維巻又はポリエステル繊維巻を施した線(以
下,線という。)について規定する。
備考 この規格の引用規格を,付表1に示す。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
(1) 体積抵抗率 単位断面積,単位長さの電気抵抗 (μΩm)。単に抵抗率と呼ぶこともある。
(2) 導体抵抗 均一な断面積をもつ電気導体の長さ方向における所定長さ当たりの電気抵抗 (Ω)。
一般に,1m当たりの電気抵抗 (Ω/m),又は1km当たりの電気抵抗 (Ω/km)。
(3) 一次温度係数及び二次温度係数 電気導体の温度による電気抵抗変化率を温度の二次関数として求め
る場合,温度の一次項の係数を一次温度係数,二次項の係数を二次温度係数とする。
一般に温度係数に用いる記号は,次による。
(a)
一次温度係数:α
(b)
二次温度係数:β
(c)
t℃における一次温度係数:αt
(4) 平均湿度係数 電気導体の温度による電気抵抗変化率を所定の温度区間における温度差で除した値。
一般に温度係数に用いる記号は,次による。
(a)
平均温度係数:α
(b)
ta℃とtb℃ (ta<tb) の平均温度係数:αa, b
(5) 対銅平均熱起電力 線とJIS C 2527の4.2(標準白金線又は標準銅線)に規定する標準銅線で熱電対
を構成し,基準温度を0℃,高温接点をt℃とする場合に生じる熱起電力のt1 (μV/K)。
(6) 電気抵抗安定度 十分に焼きなましたものであるか否かを検出するための所定の熱処理前後における
電気抵抗の変化率 (%)。
3. 種類及び記号 種類及び記号は,被覆の種類及び導体の種類によって,表1のとおり分類する。
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C 2528-1991
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表1 種類及び記号
種類
記号(1)
被覆
導体
二重絹巻き
電気抵抗用銅ニッケル線AA級
DSCNWAA
電気抵抗用銅ニッケル線A級
DSCNWA
電気抵抗用銅ニッケル線B級
DSCNWB
電気抵抗用銅マンガン線AA級
DSCMWAA
電気抵抗用銅マンガン線A級
DSCMWA
電気抵抗用銅マンガン線B級
DSCMWB
一般電気抵抗用銅ニッケル49種線
DSGCN49W
一般電気抵抗用銅ニッケル30種線
DSGCN30W
一般電気抵抗用銅マンガン44種線
DSGCM44W
絹・ポリエステル繊維巻
電気抵抗用銅ニッケル線AA級
DSTCNWAA
電気抵抗用銅ニッケル線A級
DSTCNWA
電気抵抗用銅ニッケル線B級
DSTCNWB
電気抵抗用銅マンガン線AA級
DSTCMWAA
電気抵抗用銅マンガン線A級
DSTCMWA
電気抵抗用銅マンガン線B級
DSTCMWB
一般電気抵抗用銅ニッケル49種線
DSTGCN49W
一般電気抵抗用銅ニッケル30種線
DSTGCN30W
一般電気抵抗用銅マンガン44種線
DSTGCM44W
二重ポリエステル繊維巻
電気抵抗用銅ニッケル線AA級
DTCNWAA
電気抵抗用銅ニッケル線A級
DTCNWA
電気抵抗用銅ニッケル線B級
DTCNWB
電気抵抗用銅マンガン線AA級
DTCMWAA
電気抵抗用銅マンガン線A級
DTCMWA
電気抵抗用銅マンガン線B級
DTCMWB
一般電気抵抗用銅ニッケル49種線
DTGCN49W
一般電気抵抗用銅ニッケル30種線
DTGCN30W
一般電気抵抗用銅マンガン44種線
DTGCM44W
注(1) 記号の意味は,次のとおりである。
DS……二重絹巻線
DST……絹・ポリエステル繊維巻
DT……二重ポリエステル繊維巻
DS,DST及びDTの次のCNW……電気抵抗用銅ニッケル線
DS,DST及びDTの次のCMW……電気抵抗用銅マンガン線
DS,DST及びDTの次のGCN49W……一般電気抵抗用銅ニッケル49種線
DS,DST及びDTの次のGCN30W……一般電気抵抗用銅ニッケル30種線
DS,DST及びDTの次のGCM44W……一般電気抵抗用銅マンガン44種線
末尾の文字AA,A及びB……等級(JIS C 2521及びJIS C 2522参照)
4. 品質
4.1
化学成分 線に用いる導体の化学成分は,電気抵抗用銅ニッケル線にあってはJIS C 2521,電気抵
抗用銅マンガン線にあってはJIS C 2522,一般電気抵抗用銅ニッケル49種線,30種線及び一般電気抵抗
用銅マンガン44種線にあってはJIS C 2532の規定に適合しなければならない。
4.2
体積抵抗率 線に用いる導体の体積抵抗率は,6.2.2によって試験を行い,JIS C 2521,JIS C 2522
及びJIS C 2532の規定に適合しなければならない。ただし,導体の直径0.355mm未満の線については適用
しない。
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4.3
一次温度係数及び二次温度係数 線の一次温度係数及び二次温度係数は,6.2.3によって試験を行い,
JIS C 2521及びJIS C 2522の規定に適合しなければならない。
4.4
平均温度係数 線の平均温度係数は,6.2.4によって試験を行い,JIS C 2521の規定に適合しなけれ
ばならない。
4.5
電気抵抗安定度 線の電気抵抗安定度は,6.2.5によって試験を行い,JIS C 2522の規定に適合しな
ければならない。
4.6
対銅平均熱起電力 線の対銅平均熱起電力は,6.2.6によって試験を行い,JIS C 2522の規定に適合
しなければならない。
4.7
機械的性質 線の導体の引張強さと伸びは,6.2.7によって試験を行い,JIS C 2521,JIS C 2522及
びJIS C 2532の規定に適合しなければならない。ただし,導体の直径0.20mm未満の線については適用し
ない。
4.8
導体抵抗及び導体抵抗許容差
4.8.1
導体抵抗 線の導体抵抗は,6.2.8によって試験を行い,JIS C 2521,JIS C 2522及びJIS C 2532
の規定に適合しなければならない。
なお,規定寸法にない寸法の導体抵抗は,当分の間受渡当事者間の協定による寸法を用いて6.2.8に示し
た計算式によって求めた値に適合しなければならない。
4.8.2
導体抵抗許容差 線の導体抵抗許容差は,表2による。
なお,規定寸法にない寸法の線の導体抵抗許容差は,表4による。
4.9
横巻繊維のほつれ 横巻繊維のほつれは,切り口から5mm以下でなければならない。
5. 寸法及び寸法許容差
5.1
線の寸法及び寸法許容差 線の寸法及び寸法許容差は,6.2.9によって試験を行い,表2の規定に適
合しなければならない。ただし,規定寸法にない線の直径については,当分の間受渡当事者間の協定によ
ることができる。この場合,寸法許容差は,表3による。
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表2 導体直径,直径許容差,導体抵抗許容差,横巻繊維厚さ及び最大仕上外径
導体
導体抵抗
許容差
%
二重絹巻
絹・ポリエステル繊維巻
二重ポリエステル繊維巻
直径
mm
許容差
mm
最小巻厚さ
mm
最大仕上外径
mm
最小巻厚さ
mm
最大仕上外径
mm
0.025
±0.002
±13
0.020
0.110
−
−
0.032
±0.003
±12
0.020
0.117
−
−
0.040
±0.003
±12
0.025
0.125
0.035
0.140
0.050
±0.004
±11
0.025
0.135
0.035
0.150
0.063
±0.004
±11
0.025
0.148
0.035
0.163
0.071
±0.005
±10
0.025
0.156
0.035
0.171
0.080
±0.005
±10
0.030
0.170
0.035
0.180
0.090
±0.005
±10
0.030
0.180
0.035
0.190
0.100
±0.006
± 9
0.030
0.190
0.035
0.200
0.112
±0.006
± 9
0.030
0.202
0.035
0.212
0.125
±0.006
± 9
0.030
0.215
0.035
0.225
0.140
±0.008
± 8
0.030
0.230
0.035
0.240
0.160
±0.008
± 8
0.030
0.250
0.035
0.260
0.180
±0.008
± 8
0.030
0.270
0.035
0.280
0.200
±0.010
± 8
0.030
0.290
0.035
0.300
0.224
±0.010
± 8
0.035
0.324
0.035
0.324
0.250
±0.010
± 8
0.035
0.350
0.035
0.350
0.280
±0.013
± 7
0.035
0.380
0.035
0.380
0.315
±0.013
± 7
0.035
0.415
0.035
0.415
0.355
±0.013
± 7
0.035
0.455
0.035
0.455
0.400
±0.016
± 7
0.035
0.500
0.035
0.500
0.450
±0.016
± 7
0.040
0.570
0.040
0.570
0.500
±0.016
± 7
0.040
0.620
0.040
0.620
0.560
±0.016
± 7
0.040
0.680
0.040
0.680
0.630
±0.020
± 6
0.045
0.770
0.045
0.770
0.710
±0.020
± 6
0.045
0.850
0.045
0.850
0.800
±0.020
± 6
0.045
0.940
0.045
0.940
0.900
±0.025
± 6
0.045
1.040
0.045
1.040
1.000
±0.025
± 6
0.050
1.160
0.050
1.160
表3 規定寸法以外の線の寸法許容差
単位mm
導体直径
二重絹巻,絹・ポリエステル繊維巻
二重ポリエステル繊維巻
最小巻厚さ
最大仕上外径
最小巻厚さ
最大仕上外径
0.025 以上 0.035 5未満
0.020
導体直径+0.085
−
−
0.035 5以上 0.080 未満
0.025
導体直径+0.085
0.035
導体直径+0.100
0.080 以上 0.225 未満
0.030
導体直径+0.090
0.035
導体直径+0.100
0.225 以上 0.425 未満
0.035
導体直径+0.100
0.035
導体直径+0.100
0.425 以上 0.630 未満
0.040
導体直径+0.120
0.040
導体直径+0.120
0.630 以上 0.950 未満
0.045
導体直径+0.140
0.045
導体直径+0.140
0.950 以上 1.000 以下
0.050
導体直径+0.160
0.050
導体直径+0.160
5.2
導体の直径及び直径許容差 線に用いる導体の直径及び直径許容差は,6.2.9によって試験を行い,
表2の規定に適合しなければならない。ただし,規定寸法にない導体の直径については,当分の間受渡当
事者間の協定によることができる。この場合,寸法許容差は,表4による。
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表4 規定寸法以外の線の導体直径許容差及び導体抵抗許容差
直径
mm
導体直径許容差
mm
導体抵抗許容差
%
0.025 以上 0.028 未満
±0.002
±13
0.028 以上 0.047 5未満
±0.003
±12
0.047 5以上 0.067 未満
±0.004
±11
0.067 以上 0.095 未満
±0.005
±10
0.095 以上 0.140 未満
±0.006
± 9
0.140 以上 0.200 未満
±0.008
± 8
0.200 以上 0.280 未満
±0.010
± 8
0.280 以上 0.400 未満
±0.013
± 7
0.400 以上 0.600 未満
±0.016
± 7
0.600 以上 0.850 未満
±0.020
± 6
0.850 以上 1.000 以下
±0.025
± 6
6. 試験
6.1
試験条件 6.2.2,6.2.7,6.2.8及び6.2.9の試験は,JIS Z 8703に規定する常温・常湿[温度20±15℃,
湿度 (65±20) %]で行う。
6.2
試験方法
6.2.1
導体の化学分析試験 導体の化学分析試験は,JIS H 1413又はJIS H 1414に規定する方法によっ
て行う。
6.2.2
体積抵抗率試験 体積抵抗率試験は,JIS C 2525に規定する方法によって行う。ただし,標準状態
の温度は,23℃とする。
6.2.3
一次温度係数及び二次温度係数試験 一次温度係数及び二次温度係数試験は,JIS C 2526に規定す
る方法によって行う。
6.2.4
平均温度係数試験 平均温度係数試験は,JIS C 2526に規定する方法によって行う。
6.2.5
電気抵抗安定度試験 電気抵抗安定度試験は,JIS C 2522の7.2.4(電気抵抗安定度試験)によっ
て行う。
6.2.6
対銅平均熱起電力試験 対銅平均熱起電力試験は,JIS C 2522の7.2.5(対銅平均熱起電力試験)
によって行う。
6.2.7
引張試験 引張試験は,JIS Z 2241によって,JIS Z 2201に規定する9A号試験片を用いて行い,
引張強さ及び伸びを求める。
6.2.8
導体抵抗試験 導体抵抗試験は,JIS C 2525によって行う。ただし,標準状態の温度は,23℃とす
る。
なお,規定寸法にない寸法の導体抵抗は,次の式によって算出し,JIS Z 8401によって,有効数字3け
たに丸める。
A
Rc
ρ
=
ここに, Rc: 導体抵抗 (Ω/m)
ρ: 体積抵抗率で,JIS C 2521,JIS C 2522及びJIS C 2532に規
定する該当種類の体積抵抗率 (μΩm)。
A: 断面積で,受渡当事者間の協定による寸法から算出し,JIS Z
8401によって有効数字4けたに丸める (mm2)。
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6.2.9
寸法試験 寸法試験は,最小目盛
000
11mmまで測定できる測定器を用い,次によって行う。
(1) 線の寸法試験 線の寸法(線の仕上外径)試験は,長さ方向に垂直な同一平面内でほぼ等しい角度を
なす2か所以上を測定し,その平均値を求める。
(2) 導体の寸法試験 線に用いる導体は,横巻繊維を除いた後,導体の長さ方向に垂直な平面の最大及び
最小の直径を測定し,その平均値で表す。最大値及び最小値は許容差内でなければならない。
(3) 横巻繊維の厚さの求め方 線の横巻繊維の厚さは,線の外径と導体直径との差を求め,その差の21と
する。
なお,この測定は,長さ方向について2か所以上で行う。
6.2.10 横巻繊維のほつれ 横巻繊維のほつれは,長さ約20cmの試料を採り,線の長さ方向に垂直に鋭利
なはさみで切断し,3分間経過後,切口のほつれの長さ(図1)を調べる。
図1 横巻繊維のほつれ
7. 検査
7.1
線は,6.によって試験を行い,4.及び5.の規定に適合しなければならない。
7.2
その他の一般事項は,JIS H 0321による。
8. 包袋 線は,ボビン(枠巻き)又はコイル(輪巻き)とし,運搬中損傷を受けないように適切な方法
によって包装する。
9. 製品の呼び方 製品の呼び方は,種類及び等級又は記号並びに導体の直径による。
例 二重絹巻電気抵抗用銅マンガン線AA級0.5mm又はDSCMWAA 0.5mm
10. 表示 線には,適切な方法によって,次の事項を表示しなければならない。
(1) 種類及び等級又は記号
(2) 導体直径
(3) 導体抵抗
(4) 一次温度係数又は平均温度係数(規定がある場合)
(5) 正味質量
(6) 製造番号
(7) 製造年月又はその略号
(8) 製造業者名又はその略号
7
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付表1 引用規格
JIS C 2521 電気抵抗用銅ニッケル線,帯,条及び板
JIS C 2522 電気抵抗用銅マンガン線,棒及び板
JIS C 2525 金属抵抗材料の導体抵抗及び体積抵抗率試験方法
JIS C 2526 金属抵抗材料の電気抵抗−温度特性試験方法
JIS C 2527 金属抵抗材料の熱起電力試験方法
JIS C 2532 一般電気抵抗用線,条及び板
JIS H 0321 非鉄金属材料の検査通則
JIS H 1413 銅ニッケル抵抗材分析方法
JIS H 1414 マンガニン分析方法
JIS Z 2201 金属材料引張試験片
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
電気部会 電気抵抗材料専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
平 山 宏 之
東京都立科学技術大学電子システム工学科
中 島 一 郎
通商産業省基礎産業局
吹 訳 正 憲
通商産業省機械情報産業局
稲 葉 裕 俊
工業技術院標準部
小 泉 邦 正
富士通株式会社
加 藤 敏 男
横河電機株式会社
三 谷 進
日本電信電話株式会社
赤 嶺 淳 一
社団法人日本電機工業会
山 崎 悟
三菱電機株式会社福山製作所
清 田 泰 輔
日本金属工業株式会社
加 藤 仲 司
日本電気抵抗合金工業会
久保田 節
東京特殊電線株式会社依田川工場
吉 成 丹
古河特殊金属工業株式会社
鈴 木 益 夫
第一電工株式会社
桑 原 清 彦
株式会社東京ワイヤー製作所
(事務局)
角 田 悦 啓
工業技術院標準部電気規格課