2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 2523-1990
電気抵抗用銅ニッケル酸化皮膜線
Oxidized Copper−Nickel Alloy Wires for Electrical Resistance Use
1. 適用範囲 この規格は,JIS C 2521(電気抵抗用銅ニッケル線,帯,条及び板)に規定する電気抵抗
用銅ニッケル線に酸化皮膜処理を施した抵抗線(以下,線という。)について規定する。
備考 この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,国際単位系 (SI) によるものであっ
て,参考として併記したものである。
なお,この規格の中で従来単位及び数値と,その後に { } を付けてSIによる単位及びそれ
に基づく換算値が示してある部分は,平成3年1月1日以降,附属書に規定する単位及び数値
に切り換える。
引用規格:
JIS C 1202 回路計
JIS C 2521 電気抵抗用銅ニッケル線,帯,条及び板
JIS C 2525 金属抵抗材料の導体抵抗及び体積抵抗率試験方法
JIS C 2526 金属抵抗材料の電気抵抗−温度特性試験方法
JIS H 0321 非鉄金属材料の検査通則
JIS K 6912 熱硬化性樹脂積層板
JIS Z 2201 金属材料引張試験片
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) 平均温度係数 電気導体の温度による電気抵抗変化率を所定の温度区間における温度差で除した値を
いい,αで表す。
(2) 導体抵抗 均一な断面をもつ電気導体の長さ方向における所定の長さ当たりの電気抵抗 (Ω)。
一般に,1m当たりの電気抵抗 (Ω/m),又は1km当たりの電気抵抗 (Ω/km)。
3. 名称及び記号 名称及び記号は,表1のとおりとする。
表1 名称及び記号
名称
記号
参考
特性
電気抵抗用銅ニッケル酸化皮膜線
OCNW
中抵抗の絶縁抵抗線で,耐食性があり,JIS C 2521
で規定する電気抵抗用銅ニッケル線B級以上の平均
温度係数をもち,機械的特性はやや劣る。
2
C 2523-1990
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4. 品質
4.1
外観 線は,表面が滑らかで,使用上有害なきず,ねじれ,割れ,付着物,その他の欠陥があって
はならない。
4.2
平均温度係数 線は,7.2.1によって試験を行い,表2の規定に適合しなければならない。
表2 平均温度係数
測定2点の温度
平均温度係数
℃
α (×10−6/K)
23±2, 53±2
−40〜+40
4.3
機械的性質 線は,7.2.2によって試験を行い,表3の規定に合格しなければならない。ただし,直
径0.20mm未満の線については適用しない。
表3 機械的性質
(平成2年12月31日まで適用)
引張強さ
伸び
kgf/mm2 {MPa}
%
42〜55 {412〜539}
20以上
4.4
導体抵抗及び導体抵抗許容差 線は,7.2.3によって試験を行い,線の寸法に対する導体抵抗及びそ
の許容差は,付表の規定に適合しなければならない。
4.5
線の絶縁抵抗
4.5.1
絶縁破壊特性 直径0.63mm以下の線の酸化皮膜の絶縁破壊特性は,表4の規定に適合しなければ
ならない。
表4 酸化皮膜の絶縁破壊電圧
線の直径
絶縁破壊電圧
mm
V
0.04以上 0.63以下
10以上
4.5.2
絶縁抵抗 直径0.63mmを超える線の酸化皮膜の絶縁抵抗は,7.2.4によって試験を行って,10kΩ
以上でなければならない。
5. 寸法及びその許容差 線の直径は,付表の規定に適合しなければならない。
6. 酸化皮膜処理方法 線は,JIS C 2521に規定する電気抵抗用銅ニッケル線の硬質線を用い,その表面
に,酸化雰囲気中での加熱処理によって,絶縁性をもつ一様な酸化皮膜を生成させる。
7. 試験
7.1
試験場所の標準状態 7.2.2〜7.2.6の試験は,JIS Z 8703(試験場所の標準状態)に規定する常温で
行う。
7.2
試験方法
7.2.1
平均温度係数試験 平均温度係数試験は,JIS C 2526(金属抵抗材料の電気抵抗−温度特性試験方
法)によって行い,表2に定める測定点の温度間の平均温度係数を求める。
7.2.2
引張試験 引張試験は,JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)によって,JIS Z 2201(金属材料引
張試験片)に規定する9A号試験片を用いて行う。
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7.2.3
導体抵抗試験 導体抵抗試験は,JIS C 2525(金属抵抗材料の導体抵抗及び体積抵抗率試験方法)
によって行う。ただし,標準状態の温度は,23℃とする。
7.2.4
絶縁破壊電圧試験 絶縁破壊電圧試験は,よく磨いたニッケル丸棒又は黄銅丸棒(以下,ともに棒
という。)に線を伸長させない程度の張力で注意しながら密着して巻き付け,線の両端を図に示すように取
り付けた後,棒と線との間に直流電圧を0Vから約2秒間に1Vの割合で皮膜が破壊するまで上昇させ,そ
のときの破壊電圧を測定する。
なお,絶縁板は,フェノール樹脂積層板[JIS K 6912(熱硬化性樹脂積層板)]又はこれと同等以上の絶
縁抵抗をもつものとする。
図 絶縁破壊電圧試験
ここに,
B:電源
M:ニッケル丸棒又は黄銅丸棒
V:電圧計
S:試料
A:電流計
P:試料押さえ
R1 R2:抵抗器
T:端子
F:絶縁板
l:絶縁板間距離 (=20mm)
表5
線の直径
棒の直径 絶縁板の寸法 巻付回数 試料の長さ
mm
mm
Dmmψ
回
mm
0.45以下
8
30以上
4
約200
0.45を超え 0.63以下
18
50以上
2
約250
7.2.5
絶縁抵抗試験 絶縁抵抗試験は,JIS C 1202(回路計)に規定するB級又はそれ以上の精度をもつ
回路計を使用する。ただし,試験電圧は3V以下とする。
線の一端の皮膜を適当な方法で除去し,これを回路の電極の端子に接続し,負極の端子に接続した測定
用接触子が線の上から皮膜を傷つけない程度の圧力を加えて任意の5か所について抵抗を測定する。
7.2.6
寸法測定 線の寸法は,長さ方向に直角な同一断面の最大及び最小の直径を測定し,その平均値で
表す。
また,直径の測定は,最小000
11mmまで測定できる測定器を用いて行う。
8. 検査 検査は,次によって行う。
(1) 線は,外観及び寸法を検査するとともに,7.によって試験を行い,4.及び5.の規定に適合しなければな
らない。ただし,酸化皮膜の絶縁破壊電圧検査の試料の本数は,1巻から3本採取し,2本以上が適合
しなければならない。
(2) その他の一般事項は,JIS H 0321(非鉄金属材料の検査通則)による。
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9. 包装 線は,運搬中損傷を受けないように適当な方法によって包装する。ただし,線は,コイル又は
ボビン巻きとする。
10. 製品の呼び方 製品の呼び方は,名称又は記号並びに直径による。
例 電気抵抗用銅ニッケル酸化皮膜線0.4mm又はOCNW0.4mm
11. 表示 線には,コイル又はボビン巻きの外部の見やすいところに,証紙又は荷札によって,次の事項
を表示しなければならない。
(1) 名称又は記号
(2) 直径
(3) 導体抵抗
(4) 正味質量
(5) 製造番号
(6) 製造年月又はその略号
(7) 製造業者名又はその略号
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付表 線の直径及びその許容差並びに導体抵抗及びその許容差
直径
直径の許容差
導体抵抗
導体抵抗許容差
mm
mm
Ω/m
%
0.040
±0.003
433
±12
0.050
±0.004
274
±11
0.063
±0.004
171
±11
0.071
±0.005
135
±10
0.080
±0.005
106
±10
0.090
±0.005
83.0
±10
0.100
±0.006
67.2
± 9
0.112
±0.006
53.5
± 9
0.125
±0.006
42.7
± 9
0.140
±0.008
33.9
± 8
0.160
±0.008
25.9
± 8
0.180
±0.008
20.4
± 8
0.200
±0.010
16.5
± 8
0.224
±0.010
13.1
± 8
0.250
±0.010
10.5
± 8
0.280
±0.013
8.35
± 7
0.315
±0.013
6.58
± 7
0.355
±0.013
5.18
± 7
0.40
±0.016
4.06
± 7
0.45
±0.016
3.19
± 7
0.50
±0.016
2.58
± 7
0.56
±0.016
2.06
± 7
0.63
±0.020
1.62
± 6
0.71
±0.020
1.27
± 6
0.80
±0.020
1.00
± 6
0.90
±0.025
0.789
± 6
1.00
±0.025
0.639
± 6
1.12
±0.025
0.508
± 6
1.25
±0.032
0.407
± 5
1.40
±0.032
0.323
± 5
1.60
±0.032
0.248
± 5
1.80
±0.040
0.196
± 5
2.00
±0.040
0.158
± 5
2.24
±0.040
0.126
± 5
2.50
±0.040
0.101
± 5
2.80
±0.050
0.080 5
± 5
3.15
±0.050
0.063 5
± 5
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C 2523-1990
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書
規格本体の4.3に規定の従来単位による引張強さの規格値は,平成3年1月1日以降は,ここに記載す
るSI単位による規格値を適用するものとする。
附属書表 機械的性質
(平成3年1月1日から適用)
引張強さ
伸び
MPa
%
410〜540
20以上
非鉄金属部会 電気材料用合金専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
椙 山 正 孝
東京大学
平 山 宏 之
東京都立科学技術大学
佐 藤 充 典
科学技術庁金属材料技術研究所
平 林 正 之
工業技術院電子技術総合研究所
光 川 寛
通商産業省基礎産業局
池 田 要
工業技術院標準部
三 谷 進
日本電信電話株式会社技術協力センター
久保田 節
東京特殊電線株式会社技術部
中 西 昭 男
住友特殊金属株式会社山崎製作所第一商品開発部
佐々木 幸 司
古河特殊金属工業株式会社研究開発部
島 田 次 雄
シルバー鋼機株式会社生産管理部
加 藤 仲 司
日本電気抵抗合金工業会
有 井 満
株式会社東芝原子力事業本部
山 崎 悟
三菱電機株式会社福山製作所製造管理部
加 藤 敏 男
日本電気計測器工業会
増 田 義 典
社団法人日本電子機械工業会技術部
榎 本 喬一郎
社団法人日本電機工業会
浅 川 喜 文
通信機械工業会
清 田 泰 輔
日本金属工業株式会社鋼線事業部
(事務局)
近 藤 弘
工業技術院標準部材料規格課
斉 藤 和 則
工業技術院標準部材料規格課