C 2300-3-1:2010
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 要求事項························································································································· 2
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 8
C 2300-3-1:2010
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,電気機能材料工業会(JEIA)及び財団法人
日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。これによってJIS C 2303:1999,
JIS C 2304:1999及びJIS C 2307:1999は廃止され,それらの一部を分割して制定したこの規格に置き換え
られた。
また,令和2年6月22日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準
化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
JIS C 2300の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 2300-1 第1部:定義及び一般要求事項
JIS C 2300-2 第2部:試験方法
JIS C 2300-3-1 第3-1部:個別製品規格−絶縁紙
日本産業規格
JIS
C 2300-3-1:2010
電気用セルロース紙−
第3-1部:個別製品規格−絶縁紙
Cellulosic papers for electrical purposes-
Part 3-1: Specifications for individual materials-Electrical insulating paper
序文
この規格は,1979年に第1版として発行されたIEC 60554-3-1を基に,技術的内容を変更することなく
作成した日本産業規格であるが,対応国際規格には規定されていない種類を日本産業規格として追加して
いる。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。変更の
一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,電気用セルロース紙の一般用途絶縁紙,電力ケーブル用絶縁紙,絶縁薄紙及びコイル絶縁
紙(以下,絶縁紙という。)について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60554-3-1:1979,Specification for cellulosic papers for electrical purposes−Part 3: Specifications
for individual materials−Sheet 1: General purpose electrical paper(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用する。
JIS C 2300-1:2010 電気用セルロース紙−第1部:定義及び一般要求事項
注記 対応国際規格:IEC 60554-1:1977,Specification for cellulosic papers for electrical purposes−Part
1: Definitions and general requirements及びAmendment 1:1983(MOD)
JIS C 2300-2:2010 電気用セルロース紙−第2部:試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60554-2:2001,Cellulosic papers for electrical purposes−Part 2: Methods of test
(MOD)
3
種類
絶縁紙の種類は,表1による。
2
C 2300-3-1:2010
4
要求事項
4.1
試料の採取は,JIS C 2300-2の箇条4による。
4.2
絶縁紙は,JIS C 2300-1に規定する箇条4(一般要求事項)から箇条6A(表示)までを満足し,か
つ,表2〜表6に規定する個別の種類ごとの要求事項を満足しなければならない。
4.3
絶縁紙の試験方法は,JIS C 2300-2に規定する方法で試験を行い,表2〜表6の要求事項を満足しな
ければならない。
表1−電気用セルロース紙の分類
名称
(1)
種類
クラフト絶縁紙の詳細な特徴
記号
(2)
種別
(3)
特徴
(4)
水浸液導電率
mS/m
透気度
µm/Pa・s
記号
(5)
特徴
(6)
記号
(7)
特徴
(8)
一般用途
絶縁紙
1.1
−
クラフト絶縁紙
密度0.75 g/cm3以下
1
4未満
L
0.05以下
M
0.05を超え
0.5以下
2
4以上
H
0.5を超え
1.2
−
クラフト絶縁紙
密度0.75 g/cm3を超え0.85 g/cm3以下
1
4未満
L
0.05以下
M
0.05を超え
0.5以下
2
4以上
H
0.5を超え
1.3
−
クラフト絶縁紙
密度0.85 g/cm3を超え0.95 g/cm3以下
1
4未満
L
0.05以下
M
0.05を超え
0.5以下
2
4以上
H
0.5を超え
1.4
−
クラフト絶縁紙
密度0.95 g/cm3を超え
1
4未満
L
0.05以下
M
0.05を超え
0.5以下
2
4以上
H
0.5を超え
1.5
−
耐油紙
記号1.1〜1.8の完全な表示は,例*に従
ってこの表の項目欄(2),(5)及び(7)の記
号を結合させて構成する。
水浸液導電率及び透気度は,記号1.1〜
1.4の種類だけに適用する。
1.6
−
ジャパニーズティッシュ紙
1.7
−
マニラ紙
1.8
−
マニラ・クラフト混抄紙
電力ケーブル
用絶縁紙
3100
−
クラフトパルプからなるもので,厚さに
よる区分
3125
−
3150
−
絶縁薄紙
PT1
1種
マニラ麻とクラフトパルプとの混合物
からなるもので,引張強さによる区分
PT2
2種
コイル絶縁紙
PI1
1種
マニラ麻を主成分とするクラフトパル
プとの混合物からなるもの
PI2
2種
クラフトパルプからなるもの
例*
1.2−2M:クラフト絶縁紙,密度0.75 g/cm3を超え0.85 g/cm3以下,水浸液導電率4 mS/m以上,透気度0.05
µm/Pa・sを超え,0.5 µm/Pa・s以下。
3
C 2300-3-1:2010
表2−特性規格値(一般用途の絶縁紙)
特性
試験方法
JIS C
2300-2
の箇条
種類の
記号
(2)
単位
要求事項1
要求事項2
厚さの
許容差
5.1
1.1〜1.5
µm
±10 %
1.6
±20 %
1.7〜1.8
±10 %
坪量の
許容差
6
1.1〜1.5
g/m2
坪量が45 g/m2以下の場合:±10 %
坪量が45 g/m2を超える場合:±5 %
1.6〜1.8
受渡当事者間で協議して決定する。
密度の
許容差
7.0A a)
1.1〜1.5
g/cm3
±0.05 g/cm3
記号1.1〜1.4の密度は,表1
の特徴による。
1.6〜1.8
受渡当事者間で協議して決定する。
引張
強さ
8
1.1〜1.4
N・m/g
透気度
の記号
比引張強さ
比引張強さ,引張強さ及び裂
断長の関係式は,次による。
L
Y
W
Y
S
×
=
×
=
81
.9
103,
ここに,S:引張強さ(kN/m)
Y:比引張強さ
(N・m/g)
W:坪量(g/m2)
L:裂断長(km)
縦方向
横方向
L
88以上
32以上
M
83以上
30以上
H
78以上
28以上
1.5
−
74以上
26以上
1.6
−
78以上
10以上
1.7
−
74以上
25以上
1.8
−
74以上
25以上
伸び
8
1.1〜1.8
%
縦方向:2以上
横方向:4以上
引裂
強さ
9
1.1〜1.4
mN・m2/g
坪量
(g/m2)
比引裂強さ
比引裂強さと引裂強さとの
関係式は,次による。
W
X
T=
ここに,X:引裂強さ(mN)
T:比引裂強さ
(mN・m2/g)
W:坪量(g/m2)
縦方向
横方向
40未満
検討中
検討中
40以上80以下
5以上
6以上
80を超え120以下 6以上
7以上
120を超えるもの 8以上
9以上
1.5
−
5以上
6以上
1.6
−
6.4以上 10.7以上
1.7
40以上80以下
8以上
10以上
80を超え120以下 9以上
11以上
120を超えるもの 10以上
12以上
1.8
40以上80以下
7以上
9以上
80を超え120以下 8以上
10以上
120を超えるもの 9以上
12以上
端部引裂
強さ
10
1.1〜1.8
N
検討中
耐折強さ
12
1.1〜1.8
回
検討中
注記 JIS P 8115では,常用
対数で表示している。
水分
13
1.1〜1.8
%
8以下
4
C 2300-3-1:2010
表2−特性規格値(一般用途の絶縁紙)(続き)
特性
試験方法
JIS C
2300-2
の箇条
種類の
記号
(2)
単位
要求事項1
要求事項2
灰分
14
1.1−1
1.2−1
1.3−1
1.4−1
%
0.5以下
1.1−2
1.2−2
1.3−2
1.4−2
1.00以下
1.5
1.7
1.8
1.00以下
1.6
2.00以下
水浸液
導電率
15.1
1.1−1
1.2−1
1.3−1
1.4−1
mS/m
4.0以下
1.1−2
1.2−2
1.3−2
1.4−2
4.0を超え10.0以下
1.5,1.8
10.0以下
1.7
12.0以下
1.6
適用外
水浸液
pH
16
1.1〜1.8
−
6.0〜8.0
塩素含
有量
17
mg/L
検討中
透気度
21.1
µm/(Pa・s) 透気度の値を購入者が指定するとき,そ
の値から±33 %以上外れてはならない。
1.1〜1.4
透気度の記号
L
M
H
0.05以下
0.05を超え
0.5以下
0.5を超え
1.5
0.03以下
1.6〜1.8
適用外
吸水度
22.1
1.1〜1.4
mm
透気度の記号
注記 JIS P 8141は,この特
性を毛管現象として
いる。記号1.1〜1.4以
外は,適用外である。
L
M
H
5以上
10以上
10以上
5
C 2300-3-1:2010
表2−特性規格値(一般用途の絶縁紙)(続き)
特性
試験方法
JIS C
2300-2
の箇条
種類の
記号
(2)
単位
要求事項1
要求事項2
絶縁破壊
の強さ
(交流)
24.1.1
1.1〜1.4
kV/mm
透気度の記号
絶縁破壊の強さは,105 ℃で
2時間乾燥した試料を使って
室温で測定してよいが,吸湿
が結果に影響を与えないよ
うに迅速に測定しなければ
ならない。疑義のある場合
は,90 ℃雰囲気での測定を
適用する。
L
M
H
7.0以上
6.5以上
8.0以上
7.5以上
7.0以上
8.5以上
8.0以上
7.0以上
9.0以上
8.0以上
1.5
9.0以上
1.6
10.0以上
1.7
6.0以上
1.8
6.0以上
未含浸紙
の誘電正
接
25.1
検討中
未含浸紙
の誘電率
25.1
検討中
含浸紙の
誘電正接
25.1
検討中
含浸紙の
誘電率
25.1
検討中
導電性
微粒子
26.1
26.2
1.1〜1.8
個/m2
−
随意試験であり,実施の要否
は,受渡当事者間で協議して
決定する。
熱安定性
27.2
1.1〜1.4
%
受渡当事者間で協議して決定する。
処理条件は,受渡当事者間の
協定によって次のいずれか
を適用する。
1) 120 ℃で168 h保持後の
破裂強さの保持前に対
する減少率。
2) 150 ℃で24 h保持後の
破裂強さの保持前に対
する減少率。
1.5
適用外
1.6
40未満
1.7
20未満
1.8
20未満
6
C 2300-3-1:2010
表3−特性規格値(電力ケーブル用絶縁紙)
特性
試験方法
JIS C 2300-2の箇条
単位
種類の記号
3100
3125
3150
厚さ
5.1.2
mm
0.100±0.010
0.125±0.013
0.150±0.015
密度
7.0A b)
g/cm3
0.75〜0.95
引張強さ
縦方向
8
MPa
65以上
65以上
60以上
横方向
25以上
25以上
25以上
伸び
縦方向
8
%
2.0以上
横方向
4.0以上
水分
13
%
8.0以下
灰分
14
%
0.8以下
水浸液導電率
15.2
mS/m
5以下
透気度
21.2
s(100 mL当たり)
300以上
絶縁破壊の強さ
24.1.2
kV/mm
実施の要否は,受渡当事者間で協議して決定する。
誘電正接
25.2
%
0.70以下
注記 試験は,受渡当事者間の協定によって,一部を省くことができる。
表4−特性規格値(絶縁薄紙)
特性
試験方法
JIS C 2300-2の箇条
単位
種類の記号
PT1
PT2
厚さa)
5.1.3
mm
0.020 0.022 0.025 0.030 0.035 0.040 0.050 0.060
厚さの許容差a)
5
%
±10
±8
密度
7.0A b)
g/cm3
0.55〜0.75
引張強さ
縦方向
8
MPa
90以上
70以上
横方向
9.0以上
7.0以上
伸び
縦方向
8
%
2.0以上
横方向
水分
13
%
8.0以下
灰分
14
%
1.5以下
絶縁破壊の強さ
(気中)
24.1.2
kV/mm
6.0以上
注記 試験は,受渡当事者間の協定によって,一部を省くことができる。
注a) 厚さの測定の折り重ね枚数は5枚,測定箇所は,5点とする。
7
C 2300-3-1:2010
表5−特性規格値[コイル絶縁紙(1種)]
特性
試験方法
JIS C 2300-2の箇条
単位
種類の記号
PI1
厚さa)
5.1.2
mm
0.050
0.080
0.100
0.130
0.150
0.180
0.250
厚さの許容差a)
5.1.2
%
±10
±8
密度
7.0A b)
g/cm3
0.63〜0.72
引張強さ
縦方向
8
MPa
60 以上
横方向
20 以上
伸び
縦方向
8
%
1.5以上
横方向
2.7以上
水分
13
%
8.0以下
灰分
14
%
1.5以下
加熱劣化率
27.4
%
5.0以下
絶縁破壊
の強さ
(気中)
平均値
24.1.2
kV/mm
5.5以上
最低値
4.0以上
注記 試験は,受渡当事者間の協定によって,一部を省くことができる。
注a) 厚さの測定箇所は,10点とする。
表6−特性規格値[コイル絶縁紙(2種)]
特性
試験方法
JIS C 2300-2の箇条
単位
種類の記号
PI2
厚さa)
5.1.2
mm
0.050 0.080 0.100 0.130 0.150 0.180 0.250 0.380
厚さの許容差a)
5.1.2
%
±10
±8
密度
7.0A b)
g/cm3
0.60〜0.85
引張強さ
縦方向
8
MPa
45 以上
横方向
15 以上
伸び
縦方向
8
%
1.5以上
横方向
2.7以上
水分
13
%
8.0以下
灰分
14
%
1.0以下
加熱劣化率
27.4
%
5.0以下
絶縁破壊
の強さ
(気中)
平均値
24.1.2
kV/mm
5.5以上
最低値
4.0以上
注記 試験は,受渡当事者間の協定によって,一部を省くことができる。
注a) 厚さの測定箇所は,10点とする。
参考文献 JIS P 8115 紙及び板紙−耐折強さ試験方法−MIT試験機法
JIS P 8141 紙及び板紙−吸水度試験方法−クレム法
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS C 2300-3-1:2010 電気用セルロース紙−第3-1部:個別製品規格−絶縁紙
IEC 60554-3-1:1979 Specification for cellulosic papers for electrical purposes−Part 3:
Specifications for individual materials−Sheet 1: General purpose electrical paper
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 要求事項
パート1の箇条4〜
6Aを引用
4
パート1の一般要求
事項を引用
追加
具体的な要求事項の箇条を追加し
た。
IECへ提案する。
表1 種類
Table I of IEC
publication
554-1
JISとほぼ同じ
追加
電力ケーブル用絶縁紙,絶縁薄紙,
及びコイル絶縁紙を追加。
IEC規格では,我が国で流通して
いる品種についての規定がない。
今後IECに提案する。
表2
Table I
JISとほぼ同じ
削除
有機抽出液の導電率の項を削除。 国内ではトリクロロエチレンの使
用が規制されている。
表3
−
−
追加
電力ケーブル用絶縁紙の要求事項
を追加
IEC規格では,我が国で流通して
いる品種についての規定がない。
今後IECに提案する。
表4
−
−
追加
絶縁薄紙の要求事項を追加
表5
−
−
追加
コイル絶縁紙(1種)の要求事項
を追加
表6
−
−
追加
コイル絶縁紙(2種)の要求事項
を追加
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60554-3-1:1979,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
C
2
3
0
0
-3
-1
:
2
0
1
0