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C 2143-4-2:2014   

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 構造上の要求事項 ············································································································· 3 

4.1 一般的事項 ··················································································································· 3 

4.2 機械的要求事項 ············································································································· 3 

4.3 温度調節及び表示系統 ···································································································· 4 

5 性能要求事項 ··················································································································· 4 

5.0A 一般的要求事項 ··········································································································· 4 

5.1 温度 ···························································································································· 5 

5.2 最大温度差 ··················································································································· 5 

5.3 最大温度変動 ················································································································ 5 

5.4 最大温度偏差 ················································································································ 5 

5.5 換気の様式及び速度 ······································································································· 5 

5.6 暴露容積 ······················································································································ 5 

6 試験方法及び手順 ············································································································· 5 

6.0A 一般的事項 ················································································································· 5 

6.1 温度及び関連パラメータ ································································································· 5 

6.2 換気率 ························································································································· 6 

7 報告······························································································································· 7 

8 使用条件及び使用者による稼働中の管理に関する指針 ····························································· 7 

8.1 使用条件 ······················································································································ 7 

8.2 手順 ···························································································································· 7 

8.3 稼働中の監視 ················································································································ 7 

附属書A(参考)換気率を測定するための試験方法 ···································································· 9 

附属書B(参考)温度偏差の計算例 ························································································ 11 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 12 

C 2143-4-2:2014   

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電気学会(IEEJ)及び一般財団

法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本

工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS C 2143の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 2143-1 第1部:劣化処理手順及び試験結果の評価 

JIS C 2143-2 第2部:熱的耐久性の測定−評価指標の選択 

JIS C 2143-3 第3部:熱的耐久性の計算の手引き 

JIS C 2143-4-1 第4-1部:劣化処理オーブン−シングルチャンバオーブン 

JIS C 2143-4-2 第4-2部:劣化処理オーブン−300 ℃以下の精密オーブン 

JIS C 2143-4-3 第4-3部:劣化処理オーブン−マルチチャンバオーブン 

JIS C 2143-5 第5部:相対熱的耐久性指数(RTE)の求め方 

JIS C 2143-6 第6部:固定時間枠法を用いる絶縁材料の熱的耐久性指数(温度指数及び相対熱的耐久

性指数)の求め方 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 2143-4-2:2014 

電気絶縁材料−熱的耐久性− 

第4-2部:劣化処理オーブン− 

300 ℃以下の精密オーブン 

Electrical insulating materials-Thermal endurance properties- 

Part 4-2: Ageing ovens-Precision ovens for use up to 300 ℃ 

序文 

この規格は,2000年に第1版として発行されたIEC 60216-4-2を基とし,構成を変更して作成した日本

工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,電気絶縁材料の熱的耐久性評価及びその他の適切な用途のための,電気加熱式で,かつ,

換気式の精密オーブンの最低限度の要求事項について規定する。 

この規格は,周囲温度より20 K高い温度から300 ℃までの全ての温度範囲,又はその一部の温度範囲

で使用するように設計されたオーブンについて規定する。 

この要求性能を達成するために,次の二つの可能な方法がある。 

a) 単純なシングルチャンバオーブン内を精密に温度制御することによって,要求性能を達成する方法。

すなわち,JIS C 2143-4-1に適合するオーブンの改良品の場合。 

b) 単純なシングルチャンバオーブン内に別のチャンバ(アイソボックス)を設けることによって,要求

性能を達成する方法。二重のチャンバとする目的は,空気の循環及び換気を要求水準に保ちながら,

温度変化の幅を抑制することである。 

注記1 経験的には,アイソボックスを用いることは,精密オーブンの要求に合う経済的で実際的

な手段である。 

注記2 要求される半減温度幅が20 000時間〜10 000時間において10 K未満の場合,測定する温

度指数及び半減温度幅の精度を妥当な水準に上げるために,JIS C 2143-4-1に適合するシ

ングルチャンバオーブンよりも,この規格に規定する精密オーブンの使用が望ましい。 

注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 60216-4-2:2000,Electrical insulating materials−Thermal endurance properties−Part 4-2: 

Ageing ovens−Precision ovens for use up to 300 ℃(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正してい

る”ことを示す。 

C 2143-4-2:2014  

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引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 2143-4-1 電気絶縁材料−熱的耐久性−第4-1部:劣化処理オーブン−シングルチャンバオーブ

ン 

注記 対応国際規格:IEC 60216-4-1:2006,Electrical insulating materials−Thermal endurance properties

−Part 4-1: Ageing ovens−Single-chamber ovens(MOD) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

換気率,N(rate of ventilation) 

室温で,暴露用チャンバ内の空気が1時間当たり入れ替わる回数。 

3.2 

暴露容積(exposure volume) 

温度変動及び温度差が規定の限度を超えることがないオーブン暴露用チャンバの空間部分(アイソボッ

クスを用いる場合は,その中の空間部分)。 

3.3 

温度変動,δT1(temperature fluctuation) 

3時間にわたり暴露容積中の1点で測定した温度の最大変化。 

3.4 

温度差,δT2(temperature difference) 

ある時点における暴露容積中の任意の2点間の温度の差の最大値。 

3.5 

全体平均温度(global average temperature) 

暴露容積中に配置した9個のセンサを用い,おおよそ3時間にわたる温度測定結果から計算で求めた平

均温度。 

注記 試験片と同じ空間に温度センサを設置した場合,全体平均温度は実際の全体暴露温度と考えら

れる。 

3.6 

全体暴露温度(global exposure temperature) 

試験片の温度の影響の測定に当たって,劣化処理試験片のデータを得るために選んだ温度。 

注記 “全体暴露温度”の用語は,“暴露温度”と省略することがある。 

3.7 

標準オーブン(standard oven) 

(この規格に使われていないので,削除した。) 

3.8  

精密オーブン(precision oven) 

電気加熱式で,かつ,換気式の暴露用チャンバをもち,暴露容積中の温度をこの規格に規定する限度内

に維持できるオーブン。 

C 2143-4-2:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 この規格に規定する暴露体積中の温度差及び温度変動の幅は,JIS C 2143-4-1の規定より狭い。 

3.9 

オーブンチャンバ(oven chamber) 

試験片の暴露又はアイソボックスを収容するための,シングルチャンバオーブンの内部空間。 

3.9A 

暴露用チャンバ(exposure chamber) 

オーブンチャンバの内壁又はアイソボックスを使用する場合には,その内壁に囲まれた空間。 

注記 暴露容積は暴露用チャンバの内側に形成される。 

3.10 

アイソボックス(iso-box) 

オーブンチャンバの中に設置し,専ら暴露用チャンバとして使用する扉を備えた金属箱。 

3.11 

換気(ventilation) 

予熱気体が暴露用チャンバを連続的に通過すること。 

3.12 

温度偏差,δTd(temperature deviation) 

温度測定中の温度差,温度変動及び測定誤差の組合せによって生じる,設定した暴露温度からの偏差。 

3.13 

半減温度幅(halving interval) 

試験で,材料の特性変化の特定合意水準に到達するのに必要な熱劣化処理期間の半減を起こす2点の暴

露温度の差(JIS C 2143-1参照)。 

3.13A 

暴露温度(exposure temperature) 

温度の影響を求めるデータを得るための劣化処理試験片に選定する温度。 

3.13B 

温度変量,δTv(temperature variation) 

ある時間にわたり暴露容積中で測定した最高温度と最低温度との差。 

構造上の要求事項 

4.1 

一般的事項 

オーブンは,許容する温度範囲全域にわたって連続運転できるよう,適切な材料で堅ろうに組み立てる。 

電気的附属装置及び他の補助的附属装置は,維持管理のために容易に入手できなければならない。 

4.2 

機械的要求事項 

4.2.1 

オーブン 

オーブンチャンバ及び内部構造を構成する材料には,試験片の特性に影響を与えないものを選ぶ。 

注記1 アルミニウム合金及びステンレス鋼は,多くの場合に適切と認められている。 

オーブンチャンバの扉は,有効な気密性を備え,また,そのパッキング材料は試験片の特性に影響を与

えないことが望ましい。 

暴露用チャンバには,その内部全体に乱流を生じるように,予熱した空気を供給する。 

注記2 可能な場合は,常に,給気を連続的にろ(濾)過,計量及び監視することが望ましい。 

C 2143-4-2:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記3 換気率を調整できるような構造のダンパーを吸気口及び排気口に取り付けることによって,

一般に満足できる結果が得られる。 

4.2.2 

アイソボックス 

アイソボックスの構造は,いかなるオーブン内に設置したときにも,アイソボックスの50 %を超える内

部空間が,温度変動及び温度差の要求事項に適合しなければならない。また,換気率は,要求事項に適合

しなければならない。 

注記 アルミニウム合金の板で造った箱は,要求事項に適合するとみなされている。 

アイソボックスは,パッキングなしでしっかり閉めることのできる扉を備えなければならない。 

換気のためオーブンに入る全ての空気は,乱流状態でアイソボックスを通り抜けなければならない。 

4.3 

温度調節及び表示系統 

オーブンチャンバ(又は,使用する場合はアイソボックス)には, 2個以上の温度センサを取り付ける。

それらのうちの2個に番号を付け,それぞれ温度センサ1及び温度センサ2とする。温度センサ1及び温

度センサ2は,設置する前に,適切な標準器(以下,温度センサ3という。)と照合することによって,測

定の不確かさが±0.5 K以下になるように校正する。二つの温度センサの間の読みの差は,温度の関数とし

て記録する。 

温度センサ3の不確かさは,±0.1 K以下とする。 

温度センサ1は,適切な方法で取り付け,表示装置に接続して,チャンバの温度を連続的に表示するた

めに用いる。 

注記1 温度を読み取ることによって,システムのいかなる不具合も,早期に見つけることができる。 

温度センサ2は,試験片を配置する場所に可能な限り近接して取り付ける。その場所は,明確に位置決

めして容易に再現できるようにする。温度センサ2は測定の後,取り外してもよい。 

独立の温度センサを,温度制御に用いてもよい。その場合,温度センサの配置は,製造業者が自由に選

択できる。制御系統のドリフトは,1年で1 K未満とする。 

注記2 温度センサは,要求事項に適合すれば,いかなる形式でもよい(例えば,液体温度計,抵抗

温度計)。 

注記3 熱電対は,液体温度計及び抵抗温度計より精度が低いため,温度の測定に用いるのは望まし

くない。ただし,温度の差の測定には使用して差し支えない。 

液体温度計を使用する場合,使用時には校正時に用いたものと同じ浸せきの深さを守るように注意しな

ければならない。 

オーブンには,主要な温度制御システムから独立した,温度過昇防止装置を装備する。この装置は,実

際の温度が設定温度に対してあらかじめ定めた値を超えた場合,電気ヒータの電源を遮断しなければなら

ない。また,温度過昇防止装置が作動した場合に警告灯又は他の警報装置の電源が入り,オーブンの温度

が設定値より低下したときに,電気ヒータに再び自動的に電源が入ることなく,警告灯を手動で切断した

後に,再起動を手動で行うものでなければならない。 

性能要求事項 

5.0A 

一般的要求事項 

試験実施時に,試験片及び保持具の全体積が暴露容積の25 %を超えて占有することが予想される場合,

オーブンの製造業者及び供給者は,性能を評価するときにダミーの負荷を用いるかどうかについて,使用

者と合意を図ることが望ましい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.1 

温度 

製造業者が指定する全温度領域で,暴露容積の温度は温度差及び温度変動の限度内で制御できなければ

ならない。 

5.2 

最大温度差 

暴露容積内では,温度差は±0.5 Kとする。 

5.3 

最大温度変動 

暴露容積内では,温度変動は±0.5 Kとする。 

5.4 

最大温度偏差 

暴露容積内では,温度偏差は±2 Kとする。 

5.5 

換気の様式及び速度 

時間当たりの換気率は5〜20回の範囲とし,換気は暴露用チャンバ内に乱流を生じるように有効に行わ

なければならない。 

流入する空気は,劣化現象への影響を最小にするために,適切な清浄を保つように考慮する。 

購入契約に指定がある場合は,空気以外の換気用気体を適用できるように準備する。 

5.6 

暴露容積 

暴露容積は,試験片を収容するのに十分でなければならない。暴露容積は,オーブンチャンバの容積(又

は,使用する場合はアイソボックスの容積)の50 %以上とする。 

注記 暴露容積は,通常,35〜70 Lが実用上適切である。 

試験方法及び手順 

6.0A 

一般的事項 

暴露容積の寸法及び形状は,温度差及び温度変量の一連の試験の結果から決定し,使用する予定の換気

率で,三水準の温度について,一連の温度センサの配置を調節して行う。これらの三水準の温度は,オー

ブンの運転のために設計された最低温度,最高温度及びこれらのおおよそ中間の温度(例えば,50 ℃,175 ℃

及び300 ℃)とする。 

試験の実施中,周囲温度及びオーブンへの供給電圧は,オーブンが正確に動作するために製造業者が指

定する範囲内に制御する。 

6.1 

温度及び関連パラメータ 

6.1.1 

実施事項 

オーブンチャンバの温度,すなわち,暴露容積の温度は,温度センサ2を用いて測定する。 

温度差及び温度変動を測定するために,調査対象のオーブンチャンバ中に,一連の温度センサ(最大径

5 mm)を次のとおり設置する。 

− 一つの温度センサは,チャンバ中央から25 mm以内に置く。 

− その他の温度センサは,チャンバの8か所の隅に,壁から50 mm±10 mm離して置く。 

オーブンの内側ではリード線を十分に長くし,外側ではリード線を断熱し,完全に気密を保つことによ

って,温度センサからの熱伝導をできるだけ小さくする。 

注記 温度差及び温度変動の値を求めるときに,校正した温度センサが入手できない場合は,同じ熱

電対素線の巻枠から同じ方法で作製した幾つかの熱電対を,最高運転温度の試験用チャンバ中

に互いに隣接して配置したときに,温度の指示値の差が0.2 K以下のものを選んで用いてもよ

い。 

C 2143-4-2:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

換気のレベルを,製造業者が指定する範囲内の最低値に設定する。 

チャンバの温度が安定していることを確認する。 

3時間以上の長時間にわたって,個々のセンサの温度を0.1 Kの桁まで繰り返し測定し,何らかの周期的

な温度変化の有無,その測定時間内における最高,最低及び平均の温度を測定する。 

6.1.2 

計算 

6.1.2.1 

温度変動(δT1) 

9個の温度センサの各々について,3時間にわたり記録したデータを調査するとともに,温度の差の最大

値を確定し,“1日目の日間の温度変動”として記録する。 

6.1.2.2 

温度差(δT2) 

データを調査し,3時間の間のいずれかの時点での暴露用チャンバ中に生じる温度差の最大値を計算す

る。これを“1日目の間の温度差”として記録する。 

6.1.3 

結果 

試験結果が,温度差及び温度変量に関する要求事項に適合する場合は,5日間にわたり毎日測定を繰り

返す。 

残りのデータについて計算を繰り返し,2日目,3日目,4日目及び5日目の日間の温度変動を記録する。

これらの中から最大の日内の温度変動を選び,オーブンの温度変動δT1として記録する。 

残りのデータについて計算を繰り返し,2日目,3日目,4日目及び5日目の日間の温度差を記録する。

これらの中から最大の日間の温度差を選び,オーブンの温度差δT2として記録する。 

測定したオーブンの温度変動及び温度差が要求事項の範囲に収まる場合,そのオーブンは特定のチャン

バの温度及び換気レベルにおいて,要求事項に適合するとみなす。暴露容積は,8か所の隅に置いた温度

センサの内側の空間である。 

結果が要求事項に適合しない場合は,温度センサを壁から更に25 mm以上遠ざけて再配置し,試験及び

計算を繰り返す(6.1.1参照)。 

再測定したオーブンの温度変動及び温度差が要求事項の範囲に収まる場合,そのオーブンは特定のチャ

ンバの温度及び換気レベルにおいて,要求事項に適合するとみなす。暴露容積は,8か所の隅に再配置し

た温度センサの内側の空間である。 

他の二水準の温度での暴露容積を確定するために,適切な換気率を用いて,上記と異なる2点のチャン

バ温度を追加して測定を繰り返す(6.0A参照)。 

温度偏差δTdは,温度差及び温度変動の計算値,最初の校正から決まる温度センサ1と温度センサ2と

の間の読みの差,並びに長期間の劣化処理試験の間に温度センサ1から得た暴露温度を照合することによ

って,附属書Bを参考にして計算する。 

6.2 

換気率 

給気量を測定しない場合には,適切な方法を用いて換気率を測定してもよい。 

換気口を閉じたときにオーブンチャンバの温度を維持するために必要な消費電力に対して,換気口を開

放してオーブンチャンバを同じ温度に維持するために必要な消費電力の増加量の測定に基づく換気率測定

の一つの手順を,附属書Aに示す。 

給気系及び排気系は測定した換気率が要求事項に合うまで,調整する。 

注記 換気調節用ダンパーの設置によって,これらの調整を容易に行うことができる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

報告 

供給者は,次の情報を提供する。 

− 型式及び名称 

− オーブンがこの規格に適合するための供給電圧の範囲 

− 最大消費電力 

− オーブンがこの規格に適合するための周囲温度の範囲 

− オーブンの総質量(空の状態)及び外形寸法 

− 温度差及び温度変動が,この規格の要求事項を満たすことができる暴露容積の温度範囲 

− 有効な換気率の範囲 

− 箇条6に規定する試験結果 

使用条件及び使用者による稼働中の管理に関する指針 

8.1 

使用条件 

使用条件は,次による。 

a) 使用中は,オーブンの性能を維持するために,周囲温度及び供給電圧を製造業者が指定した範囲内に

保つように管理する。 

b) 特に規定がない場合,換気する空気の品質は,試験結果に顕著な影響を与えてはならない。換気する

媒体が含む不純物,例えば,水蒸気によって,試験結果が影響を受ける場合には,それを管理すると

ともに報告する。 

c) 幾つかの劣化処理オーブンが狭い場所で用いられている場合,あるオーブンからの排気が,他のオー

ブンに侵入して試験片と接触するなどの揮発生成物の相互汚染を防ぐ注意をしなければならない。 

注記 各オーブンからの排気は,直接屋外に出すことが望ましい。 

d) 劣化処理過程で発生する揮発生成物が,健康又は周囲の環境に悪影響を与えないよう,予防措置を講

じる。 

e) 劣化処理過程で,顕著な揮発生成物及び/又は分解生成物が放出される場合は,最も適切な換気率を

製品規格中に規定する。 

f) 

温度暴露の間,試験片は暴露容積からはみ出すことなく配置し,また,試験片が接触するのは保持具

だけとし,互いに接触してはならない。 

8.2 

手順 

長時間の劣化処理試験に先立ち,試験片にできるだけ近接して設置した温度センサ2によって,オーブ

ン室内(又は,アイソボックス内)の温度を規定の暴露温度に調整する。温度センサ2は,明確に位置決

めして容易に再現できるようにする。 

液体温度計を用いる場合は,使用時の挿入深さを校正時と同じになるように注意する。 

8.3 

稼働中の監視 

それぞれの劣化処理試験の直前に,試験片を収めたオーブンに対して次の試験を行う。 

注記 これらの試験は,劣化処理試験の開始時に,試験片を収めた状態のオーブンがこの規格の要求

事項に適合していることを確認するために行う。これらの試験では,全体暴露温度及び温度変

量を測定する。 

6.1に規定する概略の手順に従い,次のとおり実施する。 

a) 8個一組の温度センサを,評価する暴露容積の中に収めた試験片の近傍に置く。 

C 2143-4-2:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) オーブンの温度を規定の温度に上げて安定させる。 

c) 3時間以上にわたる全体平均温度(これを暴露温度の初期値とする。)及び温度変量を,8個の温度セ

ンサ及び温度センサ2からのデータを用いて測定する。 

測定の結果が要求事項に適合しない場合は,劣化処理計画を取りやめ,要求事項に適合することが確認

できるまで,試験片の配列の再配置又は装置のその他の調整を繰り返す。 

上記の試験で測定した値よりも精密に暴露温度を測定したい場合は,温度センサ2を用いてより長期の

温度を測定し,その平均値を計算することが望ましい。 

C 2143-4-2:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

換気率を測定するための試験方法 

精度が同等であれば,他の方法を用いてもよい。 

A.0A 

一般的な要求事項 

試験の間,A.1の手順に関する平均周囲温度は,A.2に関するものと同じとする。 

A.1 密閉したオーブン 

オーブンは,通気口,扉,温度センサ,及び技術的に可能な場合には,送風機の回転軸又は送風機全体

を完全に密閉する。精度±1 Whの電力量計を給電設備とオーブンとの間に接続する。適切な調節温度を選

び設定する。 

オーブンの温度が安定した後,次の測定を行う。 

− いかなる熱源からも2 m離れ,いかなる固形物からも1 m以上の距離を置き,かつ,オーブンの換気

口とほぼ同じ高さでの室温。 

− 1 時間以上の適切な時間に消費される電気エネルギーE1。時間の測定での許容範囲は±3 秒,電力量

の許容範囲は±2 Whとする。 

A.2 換気したオーブン 

全ての密閉処理を除いた後,給気口の調節弁を必要な換気速度になるように調節する。オーブンの温度

が安定した後,再びA.1と同じ時間長さで消費される電気エネルギーE2を測定する。 

A.3 計算 

換気率Nは,次の式によって計算する。 

(

)

(

)

a

0

a

1

2

10

T

T

V

T

P

P

N

=

ここに, 

N: 換気率 

P1: 密閉したオーブンの平均消費電力(W)。電力量計によ

る消費エネルギーE1(Wh)の読みを試験期間中の時間
で除して求める。 

P2: 換気したオーブンの平均消費電力(W)。電力量計によ

る消費エネルギーE2(Wh)の読みを試験期間中の時間
で除して求める。 

V0: 暴露用チャンバの容積(L) 

Ta: 周囲の平均温度(K) 

T: 暴露温度(K) 

注記 この計算は,次の前提に基づいている。 

周囲温度におけるガスの密度dTa(kg/L)は,次の式によって計算する。 

a

20

20

Ta

T

T

d

d =

ここに, 

T20: 293 K 

10 

C 2143-4-2:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

密度d20(kg/L)は,次の値である。 

d20=1.204 5×10−3 

計算には,180 ℃におけるガスの比熱容量(J/kg K)の平均値cpとして次の値を用いる。 

000

1

022

.1

p

×

=

c

試験期間中のガス流の全質量M(kg)は,次の式によって計算する。 

(

)

(

)

a

p

1

2

600

3

T

T

c

E

E

M

=

ガス流がTaからTまで加熱され,消費エネルギーE1(A.1参照)及びE2(A.2参照)の電力

量(Wh)を電力量計の読みから求めたとき,試験期間中のガス流の全容積V(L)は,次の式

によって計算する。 

(

)

(

)Ta

a

p

1

2

Ta

600

3

d

T

T

c

E

E

d

M

V

=

=

1時間当たりのガス流の容積Vh(L/h)は,次の式によって計算する。 

(

)

(

)Ta

a

p

1

2

h

600

3

d

T

T

c

P

P

V

=

換気率Nは,次の式によって計算する。 

(

)

(

)

(

)

(

)

0

20

20

a

p

a

1

2

0

Ta

a

p

1

2

0

h

600

3

600

3

V

T

d

T

T

c

T

P

P

V

d

T

T

c

P

P

V

V

N

=

=

=

(

)

(

)0

a

a

1

2

205

.1

022

.1

293

600

3

V

T

T

T

P

P

N

×

×

=

(

)

(

)

a

0

a

1

2

0.

10

T

T

V

T

P

P

N

11 

C 2143-4-2:2014  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

温度偏差の計算例 

測定時の誤差 

測定時の最大の誤差は,次の要素から成る。 

− 温度センサ1の校正時及び読取時の二度にわたり生じるランダム誤差u1(±0.5 K) 

− 温度センサ2の校正時及び読取時の二度にわたり生じるランダム誤差u2(±0.5 K) 

− 温度センサ3の系統誤差u3(±0.1 K) 

誤差の最大値は,誤差u1,u2及びu3が全て同じ向きとなり,δT1=2u1+2 u2+u3となる場合である。た

だし,このように誤差が全て加算的となることは非常にまれであり,結局,最大の誤差の推定値は,それ

ぞれの最大誤差の二乗和の平方根として求められる。したがって,最も真の偏差らしい値は,最大の測定

された変量δTvの平方と最もありそうな最大誤差との合計の平方根として求められる(最大の温度変量δTv

は,3 時間の間の最大温度変動と最大温度差との和に等しい。)。 

例えば,δT1=1,かつ,δT2=1(温度範囲<180 ℃)のとき,温度変量の最大値は,次のとおりとなる。 

2

1

1

max

2

max

1

max

v

=

+

=

+

=

T

T

T

δ

δ

δ

これらの前提に立って,暴露温度の温度偏差δTd(K)は,次の式によって計算できる。 

2

v

2

3

2

2

2

1

d

2

2

2

T

u

u

u

T

δ

δ

+

+

+

±

=

2

v

d

01

.1

T

T

δ

δ

+

±

=

可能性が最も大きい温度偏差(K)は,上記の式から次のとおりとなる。 

4

01

.1

d

+

±

=

T

δ

2.2

d

±

T

δ

その他の温度範囲についての,最大の温度偏差は同様な方法で計算できる。 

background image

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS C 2143-4-2:2014 電気絶縁材料−熱的耐久性−第4-2部:劣化処理オーブン−
300 ℃以下の精密オーブン 

IEC 60216-4-2:2000 Electrical insulating materials−Thermal endurance properties
−Part 4-2: Ageing ovens−Precision ovens for use up to 300 ℃ 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

3 用語及
び定義 

“3.7 標準オーブン”

は使用していない
ので,定義文を削除 

“3.7 standard oven” 

削除 

本体で使用していない用語“標
準オーブン”を削除したもので
あり,技術的差異はない。 

IECへ提案する。 

“3.9A 暴露用チャン

バ”,“3.13A 暴露温
度”及び“3.13B 温
度変量”の3項目を
追加し,16項目を規
定 

13項目を規定 

追加 

本体で用いている用語及び定
義を追加して規定したもので
あり,技術的差異はない。 

IECへ提案する。 

5.0A 

箇条番号を追加 

− 

− 

追加 

箇条番号を追加したものであ
り,技術的差異はない。 

IECへ提案する。 

6.0A 

箇条番号を追加 

− 

− 

追加 

箇条番号を追加したものであ
り,技術的差異はない。 

IECへ提案する。 

6.1.3 

(6.0A参照)を追加 

6.1.3 

追加 

参照先を明確にしたものであ
り,技術的差異はない。 

IECへ提案する。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60216-4-2:2000,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

2

C

 2

1

4

3

-4

-2

2

0

1

4

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。