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C 2135:2011  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 試験装置························································································································· 3 

4.1 電気回路 ······················································································································ 3 

4.2 電極及び電極の配置 ······································································································· 4 

4.3 試験容器 ······················································································································ 5 

4.4 調整 ···························································································································· 5 

5 試験片···························································································································· 5 

6 試験片の状態調節 ············································································································· 6 

7 試験手順························································································································· 6 

7.1 試験片の取付け ············································································································· 6 

7.2 試験の実施 ··················································································································· 6 

7.3 過酷度の増大及び試験の停止 ··························································································· 6 

8 試験結果························································································································· 7 

8.1 試験結果の表記 ············································································································· 7 

8.2 破損の形態 ··················································································································· 7 

9 報告······························································································································· 7 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 11 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人電気学会

(IEEJ)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの

申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによ

って,JIS C 2135:2004は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

      JIS 

C 2135:2011 

乾燥固体電気絶縁材料− 

高電圧小電流耐アーク性試験方法 

Dry,solid insulating materials- 

Resistance test to high-voltage low-current arc discharges 

序文 

この規格は,1997年に第1版として発行されたIEC 61621を基とし,技術的内容を変更して作成した日

本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,電気絶縁材料(以下,材料という。)の高電圧小電流アーク放電による破損,特に,材料表

面近傍で発生する損傷の耐久性を概略的に把握するための試験方法について規定する。 

アーク放電は,材料に対して局所的な熱又は化学反応による分解及び浸食を発生させ,材料の表面層に

導電路を形成する。試験条件は,段階的に過酷となるように設定している。試験の前段では,小電流アー

クを断続し,その頻度を変えることによって過酷度を変え,また,後段では,連続アークの電流を段階的

に増大することによって過酷度を変える。 

この試験方法は,簡便であり,かつ,試験時間が短いことから,材料の配合の違いによる特性変化を検

出する場合,材料の品質管理用試験の場合など,材料の第一次選択に適している。 

この試験では,以前から,熱硬化性樹脂の場合,許容できる程度の再現性をもつ結果が得られている。

一方,熱可塑性樹脂に関しては,複数の試験機関から,データに許容範囲を超える大きなばらつきが発生

することが報告され,この試験方法を熱可塑性樹脂に適用することは避けることが望ましいと指摘されて

いる。 

注記1 熱可塑性樹脂に対するデータのばらつきを減らすために,電極が材料から採取した試験片に

及ぼす力及び電極が試験片内に沈み込む深さを制御する手段が,種々試みられている。この

ような電極の制御手段がない場合,この試験方法では,多くの熱可塑性樹脂については有効

な結果が得られない。 

通常,この規格に規定する状態のアーク,すなわち,高電圧小電流アークと異なる状態のアーク放電に

対して,各種材料の耐アーク性の序列を判定する場合には,この試験方法による結果を適用することはで

きない。 

各種材料の耐アーク性の序列は,湿潤状態における耐トラッキング性試験(例えば,JIS C 2134,JIS C 

2136及びJIS C 2137)の結果による序列及び実使用状態における性能による序列とは異なる場合がある。

その理由は,これらの耐トラッキング性試験におけるアーク放電の強さ及び頻度,並びに暴露時間がこの

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験方法とは著しく異なるためである。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61621:1997,Dry, solid insulating materials−Resistance test to high-voltage, low-current arc 

discharges(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 2134 固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法 

注記 対応国際規格:IEC 60112:1979,Method for determining the comparative and the proof tracking 

indices of solid insulating materials under moist conditions(IDT) 

JIS C 2136 過酷な環境条件下における電気絶縁材料の耐トラッキング性及び耐侵食性試験方法 

注記 対応国際規格:IEC 60587:1984,Test method for evaluating resistance to tracking and erosion of 

electrical insulating materials used under severe ambient conditions(MOD) 

JIS C 2137 電気絶縁材料の耐トラッキング性試験方法−回転円板浸せき試験 

注記 対応国際規格:IEC 61302:1995,Electrical insulating materials−Method to evaluate the resistance 

to tracking and erosion−Rotating wheel dip test(IDT) 

JIS C 2142 固体電気絶縁材料−試験前及び試験時における標準状態 

注記 対応国際規格:IEC 60212:1971,Standard conditions for use prior to and during the testing of solid 

electrical insulating materials(MOD) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

破損(failure) 

電気絶縁材料中に導電路が形成されたとみなされるときの状態。アークによって材料が燃焼し,更にア

ーク休止時にも燃焼が維持されるときには,破損が生じたとみなす。 

注記1 アークが材料中に貫入して見えなくなる場合には,通常,電流値も変化し,アークによって

発生する音にも変化が認められる。 

注記2 試験中は電極間で円弧状のアークが発生し,明確な放電音が認められるが,材料が破損する

と同時に,アークによる放電音は消滅する。放電音の消滅は,明確,かつ,容易に確認でき

る。 

注記3 電極間に生じたアークが完全に消滅するまでの間に,ある種の材料では数分間にわたって不

規則な又は不安定な状態が続くものがあり,その場合は,アークの完全な消滅をもって,破

損とみなす。 

注記4 ある種の材料では,アークが消滅した後にも,電極近傍に長時間にわたってシンチレーショ

ンが観察される場合がある。このシンチレーションをアークの一部とはみなさない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記5 アークに伴う材料の燃焼については,断続点弧の段階(表1に規定する過酷度の段階 1/8〜

1/2)では,アークの休止期間に燃焼が継続する場合を破損とみなす。アークの休止期間に燃

焼も同時に休止する場合には,導電路が形成されるまで試験を継続する。 

注記6 アークの完全な消滅が初めて観察された後,後続のアークで材料の回復が見られる場合,最

初のアークの消滅をもって,破損とみなす。 

注記7 連続点弧の段階(表1に規定する過酷度の段階10〜40)では,燃焼の確認をもって,破損と

みなす。 

3.2 

耐アーク性(arc resistance) 

電気絶縁材料の表面近傍でのアーク放電によって発生する破損に対する耐久性。試験の開始から材料の

破損までの時間で表し,単位は秒(s)とする。 

試験装置 

4.1 

電気回路 

試験装置の主要な電気回路の構成の例を,図1に示す。 

注記 二次回路配線の漂遊容量は,40 pF以下が望ましい。漂遊容量が大きい場合には,アークの形

状が乱れて試験結果に影響を与えることがある。 

4.1.1 

変圧器 変圧器(図1のTV)は,定格二次電圧15 kV(無負荷時)及び定格二次電流60 mA(短絡

時)とし,電源の周波数は48 Hz〜62 Hzとする。 

4.1.2 

可変自動変圧器 可変自動変圧器(図1のTC)は,電源電圧に対応し,定格容量1 kVAとする。 

注記 一次電源の電圧変動は,±2 %とすることが望ましい。 

4.1.3 

電圧計 電圧計(図1のVL)は,測定電圧の−20 %〜+10 %の範囲を±2.5 %の精度で測定できる

ものとする。 

4.1.4 

電流計 電流計(図1のA)は,電流10 mA〜40 mAの範囲の実効値を±0.5 %の精度で測定でき

る可動鉄片形とする。この電流計は,試験条件設定時又は試験回路に変更を加えたときだけに用いるもの

であり,用いないときはバイパススイッチ(図1のSB)で短絡する。 

注記1 アーク電流に重畳する高周波成分を抑制する対策をあらかじめ施している場合でも,初めて

試験装置を組み立てたときには,高周波成分の有無を確認することが望ましい。その場合に

は,電流計と直列に適切な熱電形高周波電流計を一時的に挿入して,確認作業を行うことが

望ましい。 

注記2 整流形の電流計は,アーク電流に重畳する高周波成分によって電流の測定値が高くなるため,

使用できない。 

4.1.5 

電流調整抵抗器 変圧器の一次側と直列に接続する4個の抵抗器(図1のR10,R20,R30及びR40)

が必要である。調整時の電流を正確に設定するために,これらの抵抗値はある程度の範囲で可変でなけれ

ばならない。抵抗器R10は試験時には常時回路に接続し,10 mAの電流を供給する。 

4.1.6 

電流抑制抵抗器 電流抑制抵抗器(図1のR3)は,定格15 kΩ±1.5 kΩ及び24 W以上のものとす

る。この抵抗器は,空芯インダクタ(4.1.7参照)とともに,アーク回路に寄生する高周波電流成分を抑制

する役目をもつ。 

4.1.7 

空芯インダクタ 空芯インダクタ(図1のXS)は,インダクタンス1.2 H〜1.5 Hのコイルとする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 このインダクタには,単一コイルのものは不適切である。インダクタは,直径12.7 mmで,有

効長15.9 mmの絶縁ボビンに電線を3 000回〜5 000回巻いたコイルを8個直列に接続して構成

することが望ましい。 

4.1.8 

断続開閉器 断続開閉器(図1のB)は,モータ駆動形又は電子制御形のものとし,表1に規定す

る過酷度の初期の3段階の周期で,一次回路の断続条件が設定できる開閉器とする。点弧時間の精度は,

±0.008秒とする。 

4.1.9 

計時装置 計時装置(図1のTT)は,精度が±1秒のストップウォッチ又は電子式タイマとする。 

4.1.10 開閉器 開閉器(図1のCS)は,電極装置を収納する試験容器の扉を閉じたときには,通常は開

放する。扉を閉じた状態で開閉器は閉じて変圧器TVを回路に接続し,電極に高電圧を印加する。試験容器

の扉が開いたときには,開閉器が常に開になり変圧器の二次側の電圧を遮断し,試験者の安全を確保する。 

4.1.11 高電圧スイッチ及びバイパススイッチ 高電圧スイッチ(図1のSL)は,4.4.1に規定する開放作

動電圧を調整するときには,開いて変圧器の二次側回路を開放する。また,バイパススイッチ(図1のSB)

は,4.4.2に規定する二次電流を調整するときには開き,試験を行うときには閉じて電流計Aをバイパスす

る。 

警告 これらのスイッチは,試験電圧(二次側開放電圧)15 kVに耐えられるもので,適切な長さの

絶縁性のハンドルを用いるなどによって操作し,試験者の安全を確保する。 

4.2 

電極及び電極の配置 

4.2.1 

電極 

電極は,直径2.4 mm±0.05 mmの棒状のタングステン製とし,亀裂及び表面の不整があってはならない。

電極の長さは,20 mm以上とする。電極は,先端を研磨した後に,電極の先端が規定する向きとなるよう

に,適切な柄に取り付けることが望ましい。電極の先端は,研削及び研磨によって,軸に対して30°±1°

の角度をなすだ(楕)円形の平面となるように加工する。このとき,だ円形の長径は4.8 mm±0.1 mmと

なる。適切な柄に固定した電極の一例を,図2に示す。 

注記1 電極の素材として,タングステン溶接棒が適切であることが経験的に知られている。 

注記2 電極の先端を規定の寸法及び形状に仕上げるためには,研磨工程において電極を固定するた

めの鋼製のジグが有用である。 

4.2.2 

電極の配置 

規定の形状に加工した電極を用い,電極と試験片とを適切な角度に保持し,アークを試験片の上面に点

弧させる。試験ごとに,試験片の上面が同じ高さになるように配置する。各電極をそれぞれ調整し,試験

片に対して個々に0.5 N±0.05 Nの力で圧着する。試験片には空気の流れが当たらないようにし,試験中に

煙又はガスが発生する場合には,燃焼生成物が排出できるようにする。 

2本の電極は,図3に示すように,試験片の上に置き,その中心軸が同一垂直平面内にあって,共に水

平面に対して35゜±1゜の角度をなすように配置する(したがって,2本の電極の中心軸がなす角度は110゜

±2゜となる。)。先端部平面のだ円の短軸を水平に保ちながら,電極の先端の間隔を6.35 mm±0.1 mmに

調整する。 

試験片の上面よりもやや高い位置から,アークが明瞭に観察できるようにする。 

4.2.3 

電極のクリーニング及び研磨 

4.2.3.1 

クリーニング 

クリーニングは,次による。 

a) 電極は,各試験終了後にアセトン,エタノールなどの溶剤を染み込ませた実験室用無じんティッシュ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ペーパで拭いて,汚れなどを取り除く。クリーニングの仕上げとして,電極を脱イオン水に浸した後,

乾いた実験室用無じんティッシュペーパで拭いて乾燥させる。 

b) 上記のクリーニングを行った後にも,電極に余分な燃焼生成物が固着又は残留していることがあるの

で,アーク電流40 mAで約1分間連続の空放電(試験片なし)を行うと効果的である。 

注記 空放電を行ったときには,試験を行う前に電極を十分に放冷することが望ましい。 

4.2.3.2 

研削・研磨 

電極の先端部は,初期のだ円平面の形状に維持する。規定するだ円面を維持していることを確認するた

め,15倍に拡大して観察し,表面が平滑で縁端部にぎざぎざなどがないことを確認する。また,だ円の長

径方向を測定して,4.5 mm以下の場合には再研磨を行い,電極の先端を規定の寸法及び形状に加工する。 

上記の事項に適合しない場合には,電極を研削・研磨する必要がある。 

4.3 

試験容器 

試験時の気流の影響を避けるために,試験容器は強制換気を行わない。試験容器の寸法は,300 mm×  

150 mm×100 mm以上とする。 

4.4 

調整 

4.4.1 

開放作動電圧 

電圧(二次側)は,回路を開放状態とし,12.5 kVとなるように調整する。その電圧は,電圧計VLで測

定し,開放状態における変圧器の一次側と二次側との電圧比を用いて換算する。 

4.4.2 

二次電流の調整 

間隔を正確に調整した二つの電極を,セラミック板の上に設置する。試験容器の扉を閉じる。装置に電

源を投入してアークを点弧させ,可変抵抗R10,R20,R30及びR40をそれぞれ調整し,電流を表1に規定す

る値に合わせる。 

注記 アーク電流30 mA以上(表1に規定する過酷度の段階30 及び過酷度の段階40)において調整

を行うときに,セラミック板が割れることがある。そのような場合には,空中放電によって調

整することが望ましい。 

試験片 

5.1 

材料の標準的な比較のためには,各材料の試験片について,5回以上試験する。 

5.2 

試験片の厚さは,3.0 mm以上,3.4 mm以下とする。これと異なる厚さの試験片を用いる場合には,

報告書に記載する。 

5.3 

各試験片は,次の要件を満たすような大きさとする。試験は平たんな面上で行い,電極の位置は試

験片の縁端から6 mm以上,かつ,先に行った試験箇所から12 mm以上離れた箇所とする。薄い材料を試

験する場合には,必要枚数を重ね合わせ可能な限り規定値に近い厚さとし,確実に締め付けて固定する。 

5.4 

成形又は注型した部品を試験する場合には,最もアークにさらされる可能性のある部位を選択して

試験する。部品の比較試験は,同様の部位で行う。 

注記 成形時の流れによって生じた異方性をもつ試験片又は部品では,その向きによって異なった試

験結果を生じることがある。ただし,流れの向きを知ることは多くの場合困難なため,5.1に規

定する“5回以上の試験” を行う場合にそれぞれ異なる向きで試験を行い,耐アーク性の最も

低い値を試験結果とすることが望ましい。 

5.5 

ほこり,湿気,指紋などは,適切な方法によって試験前に取り除く。 

注記 クリーニングの方法によっては,材料に影響を与える場合があるので注意が必要である。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験片の状態調節 

特に指定がない場合,試験片は23 ℃±2 ℃及び相対湿度(50±5)%の標準雰囲気(JIS C 2142に規定

する標準雰囲気Bに適合)の大気中で, 24時間以上保持する。 

試験手順 

7.1 

試験片の取付け 

試験片を電極装置に取り付け,電極の間隔を6.35 mm±0.10 mmに調整する。 

注記 試験片を設置したとき,試験箇所の裏側が試験片台に密着する場合,熱の放散が妨げられて試

験結果に影響を与えるおそれがある。これを避けるために,試験片台の中央付近に適切な大き

さの放熱孔を設けることが望ましい。 

7.2 

試験の実施 

試験装置を起動し,アークの発生,トラック(炭化導電路)の形成及び進行並びに試験中の試験片の状

態を監視する。過酷度の段階切替え直後に破損が生じる場合が多いので,特にその時点では慎重な監視が

必要である。 

警告 アークを監視する場合,試験者は,紫外線防護用眼鏡を着用,又は紫外線遮蔽用器具を用いる

ことが望ましい。 

アークの発生を監視して,アークが平たんで試験片表面に近接していることを確認する。アークの弧状

の上端と試験片表面との距離が約2 mmを超えている場合,アークが電極の先端にとどまらずに電極に沿

って上昇するとき又は不規則に揺動するときには,試験装置の回路定数が適正でないか,又は試験片から

ガス状の生成物が過剰に放出されている兆候と考えられるので,報告書に記載する。 

注記1 アークの高さが約2 mmを超えていないことを確認するには,セラミック板などの上に電極

を配置し,電極の手前に厚さ約2 mmの絶縁材料の板を置く。表1に規定する過酷度の段階 

1/8でアークを発生させて,絶縁板の手前の水平方向から観察して,アークの弧状の先端が絶

縁板上に見えないことを確認することが望ましい。 

注記2 漂遊容量が非常に大きい場合,アークの形状が乱れて試験片表面に接近するので,注意が必

要である。 

7.3 

過酷度の増大及び試験の停止 

3.1で定義する破損が起こるまで,表1に規定する各過酷度の1分間の試験時間が終了するごとに,アー

クの過酷度を逐次増大する。破損を確認したときには,直ちにアーク電流を遮断し,計時装置も停止させ

る。5回の各試験について,破損発生までの時間を秒単位で記録する。 

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表1−試験の段階(過酷度の序列) 

過酷度の段階 

電流 

mA 

時間周期a) 

通算時間 

秒 

1/8 

10 

断続点弧(1/4秒 点弧,7/4秒 消弧) 

60 

1/4 

10 

断続点弧(1/4秒 点弧,3/4秒 消弧) 

120 

1/2 

10 

断続点弧(1/4秒 点弧,1/4秒 消弧) 

180 

10 

10 

連続点弧 

240 

20 

20 

連続点弧 

300 

30 

30 

連続点弧 

360 

40 

40 

連続点弧 

420 

注a) 試験初期の3段階では,後続の4段階よりも穏やかな条件とするために断続アークを規定し

ている。アーク電流が小さくなるとアークが不安定となり,揺動する傾向があるため,10 mA
未満の電流は使用しない。 

試験結果 

8.1 

試験結果の表記 

この試験の結果は,破損に至るまでの時間とし,秒単位で表す。 

注記 過酷度が次の段階に移った後,数秒以内で材料が破損することが多い。材料の耐アーク性を比

較する場合,同じ時間差(秒数)のときには,同一過酷度の段階内で破損に至る時間よりも,2

段階にわたる時間の方をより重視することが望ましい。例えば,同じ4秒差であっても,同じ

過酷度の段階に属する174秒と178秒との差よりも,過酷度の段階の異なる178秒と182秒と

の差の方が大きいと判定する。 

8.2 

破損の形態 

破損には,次の5種類の一般的な形態がある。 

a) 多くの無機絶縁体は白熱し,同時に導電性を帯びる。ただし,冷却すると元の絶縁状態に戻る。 

b) ある種の有機化合物は,その材質内に目に見えるような導電路を形成することなく,炎を発して燃焼

する。 

c) ある種の有機化合物は,いわゆる“トラッキング”によって破損が目視できるものがある。すなわち,

アークが消滅したときには,電極間に細い筋状の導電路が形成されている。 

d) ある種の材料は,表面の炭化が進行して電流通過に十分な導電路が形成され,破損に至る。 

e) ある種の材料は,トラッキングを起こさずに,溶融によって孔があく。この場合も破損とみなす。 

報告 

報告は,次の項目について記載する。 

a) 試験した材料の仕様並びに試験片の形状及び試験時の厚さ 

b) 試験片のクリーニング及び状態調節の条件の詳細 

c) 耐アーク性の中央値,最大値及び最小値 

d) 特別な観察事項,例えば,燃焼及び軟化の状態 

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図1−電気回路(概念図)の例 

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C 2135:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

図2−柄に固定した電極の例 

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10 

C 2135:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

図3−電極装置の例 

参考文献 ASTM D495-99 (2004),Standard Test Method for High-Voltage, Low-Current, Dry Arc Resistance of 

Solid Electrical Insulation 

JEC-6149-1995 固体絶縁材料の乾燥時における高電圧小電流耐アーク性試験方法通則 

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附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS C 2135:2011 乾燥固体電気絶縁材料−高電圧小電流耐アーク性試験方法 

IEC 61621:1997 Dry, solid insulating materials−Resistance test to high-voltage, 
low-current arc discharges 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規
格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番
号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

4 試験装
置 

4.1.3 電圧計 
測定精度±2.5 %と規定。 

4.1.3 
 
 

 
測定精度±0.5 %と規
定。 

 
変更 
 

 
電圧計の測定精度を下げ
た。JEC規格と同様な精度
とした。 

 
試験結果に影響が小さいため,測定精
度を下げた。 

4.1.4 電流計 
測定精度±0.5 %と規定。 
可動鉄片形を規定 

4.1.4 

 
測定精度±5 %と規
定。 
 
形式の規定はない。 

 
変更 
 
 
追加 

 
電流計の測定精度を上げ
た。JEC規格と同様な精度
とした。 
可動鉄片形を規定。 

 
試験結果に影響が大きいため,測定精
度を上げた。 
 
整流形の電流計では,誤差が大きくな
る場合があるため。 
適切な時期にIECに改正提案を行う。 

4.1.11 高電圧スイッチ及
びバイパススイッチ 
高電圧スイッチ及びバイ
パススイッチを規定。 

− 

高電圧スイッチ及び
バイパススイッチの
規定がない。 

追加 

高電圧スイッチ及びバイパ
ススイッチを規定。 

内容を明確にするため。 
適切な時期にIECに改正提案を行う。 

4.2.3.2 研削・研磨 
電極のだ円の長さを  
4.5 mm超と規定。 

4.2.3.2 

 
電極のだ円の長さの
規定はない。 

 
追加 

 
電極のだ円の長さを4.5 mm
超と規定。 

 
電極損耗の影響を避けるため。 
適切な時期にIECに改正提案を行う。 

 
 
 
 

2

C

 2

1

3

5

2

0

11




























2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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(I)JISの規定 

(II) 
国際規
格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番
号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

8 試験結
果 
 

8.2 破損の形態 
破損の形態を1種類追加,
合計5種類規定 

8.2 

 
破損の形態を4種類
規定 

 
追加 

 
トラッキングを起こさずに
孔があく場合を規定した。 

 
実際に起こる場合がある破損の形態を
記載。 
適切な時期にIECに改正提案を行う。 

表1 

過酷度の段階1/8 
点弧・消弧の時間を1/4・
7/4と規定 
 

表1 

過酷度の段階1/8 
点弧・消弧の時間を
1/8秒点弧・7/8秒消弧
と規定 
 

変更 

点弧・消弧の時間が異なる 

我が国では,点弧時間1/8秒,消弧時間
7/8秒は用いられていない。国際規格の
元となっているASTM D495-99(2004)
は,1/4秒点弧・7/4秒消弧となってい
る。 

図1 

電圧計VLを変圧器TVの一
次側に接続。 

図1 

電圧計VLが可変自動
変圧器TCの出力側に
接続されている。 

変更 

電圧測定の箇所を変圧器の
一次側とした。 

電圧計の接続箇所が本体の規定(4.4.1)
と異なっている。 

図2 

電極のだ円の長径を記載。  

図2 

電極のだ円の長径の
記載はない。 

追加 

実際のだ円の長径を記載し
たものであり,技術的差異
はない。 

電極損耗の影響を避けるため。 
適切な時期にIECに改正提案を行う。 

図3 

電極装置を例示。 
平面図に試験片台及び試
験片を追記 

図3 

平面図に試験片台及
び試験片の記載がな
い 

追加 

側面図に合わせて平面図に
試験片台及び試験片を追記
した。 
技術的差異はない。 

電極損耗の影響を避けるため。 
適切な時期にIECに改正提案を行う。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 61621:1997,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

 
 

2

C

 2

1

3

5

2

0

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。