日本工業規格
JIS
C
1801
-1986
プロセス制御アナログ信号調節計の
試験方法
Method of Evaluating the Performance of Controllers with
Analogue Signals for Use in Industrial Process Control
1.
適用範囲 この規格は,少なくとも比例,積分,微分又はその組合せの制御動作をもち,その入力及
び出力が空気圧力又は連続的な直流の電気信号で,プロセス制御に用いられるアナログ信号調節計
(以下,
調節計という。
)の性能に対する試験方法を規定する。
引用規格:
JIS C 0911
小形電気機器の振動試験方法
JIS C 1302
絶縁抵抗計(電池式)
JIS Z 8103
計測用語
JIS Z 8116
自動制御用語(一般)
対応国際規格:
IEC-546
Method of Evaluating the Performance of Controllers with Analogue Signals for Use in
Industrial Process Control
2.
用語の意味 この規格で用いる用語の意味は,JIS Z 8103(計測用語)及び JIS Z 8116[自動制御用語
(一般)
]に規定するもののほか次による。
(1)
最大誤差 測定値の平均が示す特性の,理想特性からのずれのうちの最大の値。
(2)
正(逆)動作 制御偏差の変化に対応する出力信号の変化方向を表すもので,制御偏差が増大すると
き,出力信号が増大(減少)する場合を正(逆)動作という。
(3)
定常偏差 出力信号をその動作範囲内の任意の値に維持するために必要な制御偏差のうち,調整部だ
けに起因するもの。
(4)
ディジタル制御 調節計の演算機能がディジタル装置で行われる制御。
3.
試験条件 試験条件は,特に指定のない限り次による。
3.1
周囲条件
3.1.1
基準値 周囲温度は 23℃,大気圧力は 101.3kPa,相対湿度は 50%を基準とし,外部磁界は地磁界
を除いて 0 とする。
3.1.2
許容値 試験中の周囲温度の許容差はその基準値の±2℃とし,かつ,温度の変化速度は 1 時間当
たり±5℃以下とする。
試験中の大気圧力は 86.0∼106.0kPa.相対湿度は 40∼60%とする。
2
C 1801-1986
3.2
供給電源及び供給空気源
3.2.1
基準値 供給電源の電圧,周波数及び供給空気源の圧力の基準値は,製造業者の指定による。
3.2.2
許容値
(1)
供給電源の許容値 供給電源の電圧の許容値は,その基準値の±1%,周波数の許容値は,その基準値
の±1%,交流電源の波形ひずみ率は 5%以下,直流電源のリプル含有率は 0.1%以下とする。
(2)
供給空気源の許容値 供給空気源の圧力の許容値は,その基準値の±1%,その温度は,周囲温度の±
2
℃,その露点は,周囲温度より 10℃以上低いもので,油,ちりは除かれているものとする。
3.3
負荷インピーダンス 負荷インピーダンスの基準値は,製造業者の指定による。この場合,特に指
定のない場合は次による。
(1)
出力信号が直流電圧である場合は,製造業者から指定された負荷インピーダンスの範囲の最小値を基
準値とする。
(2)
出力信号が直流電流である場合は,製造業者から指定された負荷インピーダンスの範囲の最大値を基
準値とする。
(3)
出力信号が空気圧力である場合は,内径 4mm で長さ 8m の導管の先端に 20cm
3
の容量が接続されてい
るものとする。
3.4
入力信号 試験結果に影響を与えるような脈動は,制御量信号及び目標値信号に含まれていてはな
らない。
3.5
取付姿勢 調節計の取付姿勢は,製造業者の指定する姿勢とする。試験結果に影響を与えるような
機械的な外力があってはならない。
3.6
内部温度の状態 調節計の内部温度は,平衡に達した状態とする。
3.7
平衡状態 試験において,調節計を平衡状態にするには,次の操作による。ただし,判定に疑義が
なければ,調節計の出力を入力にフィードバックして閉ループの状態で調節計を平衡状態にしたのち,開
ループにしても差し支えない。
(1)
比例帯を指定の値に設定する。
(2)
微分時間を最小又は OFF にする。
(3)
積分時間を最小にする。
(4)
制御量信号(目標値信号)を指定の値に設定する。
(5)
目標値信号(制御量信号)を調整して,積分動作の効果によって,出力を指定された値の付近に平衡
させたとき,目標値と制御量の指示はほぼ等しい値になる。
(6)
積分時間を最大にする。
4.
試験方法
4.1
特性試験
4.1.1
目標値指標 本試験は,調節計内部の目標値信号を何らかの方法で測定できるものについて行う。
調節計は,閉ループにしておき,逆動作,比例帯 100%,積分時間最小,微分時間最小にしておく。
目標値指標を 0%,25%,50%,75%,100%と上げていき,各指標での内部目標値信号を測定し,誤差の
スパンに対する比率を%で表す。
次に,目標値指標を 100%,75%,50%,25%,0%と下げていき,同様に測定する。
4.1.2
定常偏差 以下の試験は,積分動作をもつ調節計だけに適用し,積分動作をもたない調節計につい
ては,
図 1(b)のバイアス信号発生器を適宜調整し,目標値信号との差を仮に定常偏差とみなすものとする。
3
C 1801-1986
(1)
試験準備 積分動作をもつ調節計は,図 1(a)の回路で試験を行う。
なお,積分動作をもたない調節計は,
図 1(b)の回路で,バイアス信号発生器を適宜調整し,目標値
と制御量との差を仮に定常偏差とみなし,以下定常偏差の変化量を測定する試験に適用するものとす
る。
図 1(a) 閉ループ試験回路
図 1(b)
(2)
試験方法
(a)
短時間試験 短時間試験は,比例帯を最小,積分時間を最小(発振を起こす場合は発振を起こさな
い限度に留める。
)
,微分時間を最小とし,目標値を 50%にし,目標値と制御量の差を定常偏差とし
て測定する。
次に,比例帯 100%の点及び最大の点について同様に定常偏差を測定する。
また,目標値 10%,90%についても同様に比例帯最小,100%,最大について定常偏差を測定する。
(b)
積分リーク試験 積分リーク試験は,目標値 50%,比例帯 100%,積分時間最大,微分時間最小に
して必要な時間連続運転した後,定常偏差を測定する。
本試験は,ディジタル制御を行う調節計には適用しない。
4.1.3
不感帯
(1)
試験準備 調節計を図 2 のように開ループに接続する。調節計を正動作にし,比例帯を 100%にする。
制御量信号 50%,出力信号 50%において 3.7 の平衡状態をつくる。
4
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図 2 開ループ試験回路
(2)
試験方法 制御量信号をゆっくりと増加させていき,出力信号が変化し始めるところで止める。この
ときの制御量信号を測定する。
次に,制御量信号をゆっくりと減少させていき,出力信号が変化し始めるところで止める。このと
きの制御量信号を測定する。
両者の差を不感帯とする。
4.1.4
比例動作
(1)
試験準備 4.1.3(1)と同様に行う。
(2)
試験方法 出力信号が約 20%変化するためのステップ状の制御量の変化分 (
β
%)
を与え,それに対応
した変化分 (
α
%)
を測定し,次式より求める(
図 3 参照)。
比例帯=
α
β
×100 (%)
次に,比例帯を最小目盛付近及び最大目盛付近にして,出力信号 50%付近において同様の試験をす
る。この場合,適当な出力変化分を与えるように試験する。
なお,出力信号 20%,80%付近でも同様の試験をするのが望ましい。
図 3 比例動作
4.1.5
積分動作
(1)
試験準備 4.1.3(1)と同様に行う。
(2)
試験方法 試験する積分時間目盛は適当な 3 点(例えば,最小付近,最大付近及び中間付近)とする。
制御量信号をステップ状に約 10%変え,それに対応する出力信号の変化から
図 4 の作図により積分
5
C 1801-1986
時間を求める。
なお,この試験は,ステップ状変化が偏差正の場合と負の場合について行う。
図 4 比例+線分動作
4.1.6
微分動作
(1)
試験準備 4.1.3(1)と同様に行う。ただし,制御量の信号発生器は適当な動作点を与えることができ,
更に時間とともに一定の割合で変化する(ランプ状)信号を発生できるものとする。
(2)
試験方法 試験する微分時間目盛は適当な 3 点(例えば,最小付近,最大付近及び中間付近)とする。
ただし,積分動作と相互干渉のない範囲で行う。
一定の割合で時間とともに変化する入力信号を与え,それに対応する出力信号の変化から
図 5 の作
図により微分時間を求める。
なお,この試験はランプ状入力が増加する方向と,減少する方向の二つの場合について行う。
図 5 比例+微分動作
4.1.7
操作出力の変化幅 定格負荷インピーダンスを接続し,手動位置で手動操作を行い,出力信号の最
大値及び最小値を測定する。次に自動位置にし,
図 2 の接続で信号発生器を操作し,出力信号の最大値及
び最小値を測定する。
6
C 1801-1986
4.2
外部条件の変動に対する試験 外部条件の変動に対する試験は,次により行う。外部条件の変動は,
特に指定のない限り,外部変動を与える前後の定常偏差の変化量で表す。
定常偏差は
図 1 の回路により調節計を逆動作とし,比例帯を 100%,積分時間及び微分時間を最小に設
定し,目標値及び出力 50%において測定する。
参考 外部条件の変動に対する試験は,4.2 に規定するもののほか,電子式調節計,特にディジタル制
御を行う調節計では,下記の項目に注意すべきである(これらについては解説を参照すること。
)
。
(1)
電磁波の影響
(2)
電源及び信号入力線へのスパイク性雑音
(3)
静電気の影響
4.2.1
供給電源及び供給空気圧力の変動
(1)
供給電源電圧の変動 本試験は,電子式調節計だけに適用する。供給電源電圧の変動は,特に製造業
者の指定のない限り,供給電源電圧を定格値の±10%変化させたときの定常偏差の変化量を求める。
(2)
供給空気圧力の変動 本試験は,空気式調節計だけに適用する。供給空気圧力の変動は,特に指定の
ない限り,供給空気圧力を定格値の±10%変化させたときの定常偏差の変化量を求める。
(3)
供給電源周波数の変動 本試験は,電子式調節計だけに適用する。供給電源周波数の変動は,特に指
定のない限り,供給電源周波数を 50Hz 又は 60Hz から±2Hz 変化させたときの定常偏差の変化量を測
定する。
(4)
供給電源の遮断 本試験は,電子式調節計だけに適用する。
(a)
長時間遮断 この試験は閉ループで行う。
調節計を電源断,入力断の状態で 24 時間以上放置する。
目標値を 50%とし,電源を投入,入力を加え,5 分後,1 時間後の定常偏差を測定する。
(b)
短時間遮断 この試験は,交流電源を使用するものだけについて行う。
この試験は,開ループで行う。比例帯を 100%,積分時間最大,微分時間最小とし,制御量信号
を調整して出力信号を約 50%に安定させる。電源を次の時間中断させ,出力信号の過渡変化の最大
値,定常に達したときの値の±1%以内に達する時間及び定常に達したときの出力信号の変化を測定
する。
5ms,
20ms, 100ms, 200ms, 500ms
備考 ディジタル制御を行う調節計の遮断試験 ディジタル制御を行う調節計においては,復電
時のスタート方法が調節計により異なる。したがって,(a),(b)と同じ試験条件で試験を行
い,復電時の調節モード,設定値などの動作状態を確認する。
4.2.2
過大入力 過大入力は図 6 の回路で SW
1
を b にしておき,定常偏差を測定する。次に SW
1
を a に
切り換え,信号発生器より入力スパンの 150%に相当する過大入力を 1 分間加える。SW
1
を b に切り換え,
5
分後に定常偏差を測定し,過大入力を加える前との変化量を求める。
なお,この試験は,可能ならば目標値についても同様に行う。
7
C 1801-1986
図 6 過大入力試験回路
4.2.3
外部磁界の影響 本試験は電子式調節計だけに適用する。外部磁界の影響は,調節計の供給電源と
同一周波数の交流及び直流による 400A/m(交流の場合は実効値)の外部磁界を影響が最も大きい位相及
び方向に加え,定常偏差の変化量を測定する。
4.2.4
周囲温度・湿度の変動
(1)
周囲温度の変動 周囲温度の変動は,調節計を温度槽に入れ,温度槽を 23℃から,製造業者の指定す
る動作最高温度±2℃及び最低温度±2℃に変化させ,調節計内の各点の温度が,その周囲温度に対し
て平衡状態に達したと認められたときの定常偏差の変化量を測定する。
(2)
相対湿度の変動 相対湿度の変動は,調節計を温湿度槽に入れ,温湿度槽を温度 40±2℃,相対湿度
50
±10%に保持し 24 時間置く。次に,相対湿度 90%以上にし 48 時間置き,更に相対湿度 50±10%と
し 48 時間置く。各湿度における定常偏差の変化量を測定する。
4.2.5
取付姿勢 取付姿勢は,特に指定のない限り,調節計を正規の姿勢から±10 度傾けたときの定常
偏差の変化量を測定する。各直角となる四方向のすべてに対し測定する。
4.2.6
衝撃 調節計を正常な姿勢で,コンクリート製又は鉄製の,平滑で堅く,頑丈な試験平面上に置く。
底面の一つの辺を軸として調節計を傾け,反対側の辺と試験平面の間隔を 25mm,50mm,100mm のいず
れか(値は製造業者の指定による。
)になるようにするか,又は調節計底面と試験平面のなす角が 30 度に
なるよう傾けるか,いずれか厳しくない方の条件にする。この状態から試験平面に調節計を自由落下させ
る。
試験は底面の四辺それぞれにつき,1 回の落下試験を行うこと。試験後,目視により内部の損傷の有無
を調べ,定常偏差の変化量を測定する。
4.2.7
振動 振動は,調節計を正規の姿勢で,振動台に振動を損失なく伝達するのに十分な剛性をもった
取付板金具などを用いて取り付け,JIS C 0911(小形電気機器の振動試験方法)に規定する方法により,
特に指定がない限り,振動周波数範囲 10∼55Hz,全振幅 0.1mm の振動を,垂直を含む互いに直角な 3 方
向に加える。この場合,共振点が認められたときは(1)の,共振点が認められないときは(2)の加速度になる
振動を,
垂直を含む互いに直角な 3 方向に 1 時間ずつ加え,
加振中及び加振後定常偏差の変化量を測定し,
加振後目視により各部の損傷の有無を調べる。
(1)
加速度 5m/s
2
(2)
振動周波数 55Hz,全振幅 0.1mm(振幅 0.05mm)
4.2.8
接地 本試験は,電子式調節計だけに適用する。接地は,入出力回路が接地端子と絶縁されている
調節計について,入力,出力端子を個別に接地したときと,接地しないときの定常偏差の変化量を測定す
る。接地端子をもつものは,接地した状態で試験を行う。
8
C 1801-1986
4.2.9
コモンモード雑音の影響 本試験は,電子式調節計だけに適用する。調節計は図 2 のように開ルー
プに接続する。調節計は正動作にし,比例帯を 100%,制御量信号 50%,出力信号 50%において,3.7 の平
衡状態をつくる。接地端子をもつものは,接地した状態で試験を行う。コモンモード雑音の影響は,入出
力回路と接地端子間が絶縁されている調節計について,入力端子又は出力端子と接地端子間に主電源と同
一周波数同一実効値の交流,及び 50V 又は入力スパンの 1 000 倍の電圧のうちいずれか小さい値の直流を
それぞれ個別に加え,出力信号の変化量を測定する。ただし,製造業者より指定された電圧が上記の値以
外のときは,その値を採用する。
4.2.10
シリーズモード雑音の影響 本試験は,電子式調節計だけに適用する。
調節計は
図 2 のように開ループに接続する。調節計は正動作にし,比例帯を 100%,制御量信号 50%,
出力信号 50%において,3.7 の平衡状態をつくる。接地端子をもつものは,接地した状態で試験を行う。
シリーズモード雑音の影響は,制御量信号と直列に主電源と同一周波数の交流電圧を加える。加える電圧
源は変圧器により絶縁し,入力の共通端子は接地して出力信号の変化量を測定する。加える電圧は,製造
業者の指定する値とする。
4.2.11
負荷インピーダンスの影響 負荷インピーダンスの影響は,開ループにし比例帯を 100%,積分時
間最大,微分時間最小とし,制御量信号を調整して出力信号を約 50%に安定させる。
次に,製造業者から指定された負荷インピーダンスの範囲の最小値から最大値まで変化させ,定常に達
したときの出力信号の変化量を測定する。
4.3
出力信号のリプル含有率 本試験は,電子式調節計だけに適用する。出力信号のリプル含有率は,
制御量信号を操作し,出力信号約 10%,50%,90%出力させ,そのときの最大リプルのピークピーク値を
オシロスコープで測定し,次式から算出する。
s
rpp
y
y
×100 (%)
ここに,
y
s
:
出力信号の作動範囲に対応する電流(又は電圧)幅
y
rpp
:
最大リプル電流(又は電圧)のピークピーク値
上記リプル含有率と同時にその周波数の概略値を測定し,記録するものとする。
4.4
電気的強度試験
4.4.1
絶縁抵抗 本試験は,電子式調節計だけに適用する。絶縁抵抗は,入出力端子と接地端子間,電源
端子と接地端子間を JIS C 1302[絶縁抵抗計(電池式)
]に規定された絶縁抵抗計又はこれと同等以上の性
能の絶縁抵抗計を用い,直流電圧 500V で測定する。入力,出力,電源各端子は,それぞれ一括接続する
こと。ただし,入出力回路,電源回路の一部がコンデンサ等の接地要素を介して接地されている場合は,
製造業者指定の電圧により試験をしてもよい。
4.4.2
耐電圧 本試験は,電子式調節計だけに適用する。耐電圧は,電源端子と接地端子間に周波数 50Hz
又は 60Hz の正弦波に近い交流電圧を
表の区分により加え,1 分間これに耐えるかどうかを調べる。このと
き,残りの端子は一括して接地すること。ただし,電源回路の一部がコンデンサ等の接地要素を介して接
地されている場合は,製造業者指定の電圧により試験をしてもよい。
表
定格電源電圧
DC
又は AC
rms
V
電源端子と接地端子
試験電圧 V
60
以下 500
60
を超え 130 以下 1
000
130
を超えるもの 1
500
9
C 1801-1986
4.5
手動
自動切換動作試験 手動
自動切換動作試験は,調節計を
図 2 に示すように接続し,比例
帯を 100%,積分時間を最大,微分時間を最小に設定して,次により行う。
(1)
バランスレス形手動
自動切換動作 バランスレス形手動
自動切換動作は,特に指定のない限
り,次の方法による。
なお,手動
自動切換,又は自動
手動切換のいずれか一方だけがバランスレス動作である
ような調節計の場合には,次のいずれか一方を省略することができる。
(a)
バランスレス形手動
自動切換 目標値に等しい制御量信号を与えておき,切換操作以前におい
て調節計の出力が十分に安定していることを確認する。次に手動位置から自動位置に切り換え,こ
のときの出力の変化を過渡状態から定常状態まで記録する。
また,制御偏差が 10%となるような制御量信号を与え,以上の操作を全く同様に繰り返す。
(b)
バランスレス形自動
手動切換 目標値に等しい制御量を入力信号に与え,切換操作以前におい
て調節計の出力が十分に安定していることを確認する。
次に自動位置から手動位置に切り換え,このときの出力の変化を過渡状態から定常状態まで記録
する。
(2)
バランス形手動
自動切換動作試験 バランス形手動
自動切換動作試験は,バランス位置にお
いて 1 分当たりの出力の変動率を求める。
4.6
空気供給量・空気排気量の試験 本試験は,空気式調節計だけに適用する。
空気供給量試験は調節計を
図 7 に示すように,空気排気量試験は図 8 に示すように接続し,出力信号を
50%
(初期値)で安定させ,調節計の機構上必要とされる場合には,手動位置,自動位置でそれぞれ別途
に次により行う。
図 7 空気供給量試験回路
図 8 空気排気量試験回路
(1)
空気供給量 空気供給量は,調節計負荷における空気消費量が 0 の状態から徐々に増大させ,次の測
定を行う。
(a)
空気供給量 出力が初期値より約 10%低下したときの出力空気流量
10
C 1801-1986
(b)
最大空気供給量 出力が 0%になったときの出力空気流量
(2)
空気排気量 空気排気量は,調節計から一定の圧力レベルで負荷に出力を供給させ,負荷側から調節
計に向かって逆に空気を流し出力信号を変化させ,次の測定を行う。
(a)
空気排気量 出力か初期値より約 10%上昇したときの,負荷側から調節計を通過する空気流量。
(b)
最大空気排気量 出力が 100%になったときの,負荷側から調節計を通過する空気流量。
4.7
空気消費量又は消費電力 空気消費量又は消費電力は,製造業者から指定された全範囲の負荷条件
及び出力レベルにおいて調節計の供給源の定常消費量を測定し,その最大値で表す。ただし,空気式の場
合には,負荷における空気消費は行わないものとする。必要な場合には,以上の試験は手動位置及び自動
位置のそれぞれについて行う。
4.8
周波数応答試験
4.8.1
試験準備 周波数応答を求める場合,特に指定のない限り,次の条件で行う。
(1)
調節計の接続は
図 2 に示すように行い,目標値を 50%に設定し,出力を 50%に安定させる。
(2)
制御量信号を 50±10%の振幅で正弦波状に変化させる。
(3)
周波数範囲は,対象とする調節計に加えられると予想される信号の周波数範囲をすべて含むものとす
る。
(4)
電子式の場合には,製造業者から指定された負荷を,空気式の場合には,内径 4mm,長さ 8m の導管
の後に容量 20cm
3
の負荷を接続する。
高調波を含むような出力正弦波信号が発生した場合には,
100cm
3
の容量を接続して試験しても差し支えない。出力信号は,調節計出力孔のすぐ後で検出できるものと
する。
備考 高調波を含むような出力正弦波信号が得られる場合には,その基本波によって応答を求めるも
のとする。
4.8.2
試験方法 周波数応答を求める場合の比例,積分及び微分の各動作の目盛設定値については,原則
として次のとおりとする。
(1)
比例+積分動作 比例帯を 100%,積分時間を 2min にそれぞれ設定し,微分時間については,その動
作が無視できるような値に設定する。4.8.1 の周波数範囲にわたって得られたゲインを
図 9 のように作
図する。
図 9 において,積分ゲイン G
I
−G
P
,積分時間 T
I
(
=1/
wI
)
,及び高周波域での折点周波数を求める。
図 9 比例+積分動作周波数応答
(2)
比例+微分動作 比例帯を 100%,微分時間を 0.5min に設定し,積分時間については,その動作が無
視できるような値に設定する。4.8.1 の周波数範囲にわたって得られたゲインを
図 10 のように作図す
る。
図 10 において,微分ゲイン G
D
−G
P
,微分時間 T
D
(
=1/
WD
)
を求める。
11
C 1801-1986
図 10 比例+微分動作周波数応答
参考 試験の種類と試験項目 性能評価を目的に行う試験は,設計段階で示されたすべての特性を調
べる形式試験と,取引の際に個々の機器の品質を確認するために行う受渡試験とに分けられる。
本規格は,前者の形式試験方法を規定するものであって,受渡試験に対しては,
参考表による。
参考表 試験の種類と試験項目
試験の種類
試験項目
形式試験
受渡試験
備考
目標値指標
4.1.1
4.1.1
ただし,0%,50%,
100%
目標値信号
測定可能な
もの
定常偏差
4.1.2
4.1.2
ただし,目標値:50%,
10%
,90% 比例帯:100%
積分動作を
もつもの
不感帯
4.1.3
比例動作
4.1.4
4.1.4
ただし,目標帯:100%
出力信号:50%付近
積分動作
4.1.5
4.1.5
ただし,積分時間:1min
又は 1min に近い目盛
制御量信号
は一方向だ
け
*
微分動作
4.1.6
4.1.6
**
ただし,微分時間:1min
又は 1min に近い目盛
制御量信号
は一方向だ
け
*
操作出力の変化幅
4.1.7
4.1.7
自動
手動
切換動作
4.5
4.5
ただし,出力 50%付近
の出力変化量
絶縁抵抗
4.4.1
4.4.1
基準性能試験
耐電圧
4.4.2
4.4.2
電源電圧
4.2.1(1)
供給空気圧
4.2.1(2)
電源周波数
4.2.1(3)
電源長時間遮断
4.2.1(4)(a)
電源短時間遮断
4.2.1(4)(b)
過大入力
4.2.2
外部磁界
4.2.3
温度・湿度
4.2.4
姿勢
4.2.5
衝撃
4.2.6
振動
4.2.7
接地
4.2.8
影響変動試験
コモンモード雑音
4.2.9
12
C 1801-1986
試験の種類
試験項目
形式試験
受渡試験
備考
シ リ ー ズ モ ー ド 雑
音
4.2.10
負 荷 イ ン ピ ー ダ ン
ス
4.2.11
出力リプル
4.3
空気供給量
4.6(1)(a)
最大空気供給量
4.6(1)(b)
空気排気量
4.6(2)(a)
最大空気排気量
4.6(2)(b)
消費電力
4.7
空気消費量
4.7
影響変動試験
周波数応答
4.8
注
*
受渡試験にだけ適用する。
**
過度応答法により試験をしてもよい。
13
C 1801-1986
委員会構成表
氏名
所属
(委員長)
土 屋 喜 一
早稲田大学
(副委員長)
衣 笠 晨 策
群馬大学
赤 松 一 誠
工業技術院計量研究所
兵 頭 洋
通商産業省機械情報産業局
太 田 健一郎
工業技術院標準部
菅 原 淳 夫
財団法人日本規格協会
(幹事)
本 宮 丈 彦
大倉電気株式会社
内 田 義 久
株式会社島津製作所
春 原 節 昭
株式会社千野製作所
若 原 正 年
株式会社東芝
末 広 哲 雄
株式会社日立製作所
沖 本 一 機
富士電機株式会社
伊 藤 洋一郎
山武ハネウエル株式会社
酒 井 芳 克
横河北辰電機株式会社
松 井 潤 吉
千代田化工建設株式会社
森 山 峻
電気化学工業株式会社
近 藤 久 男
日本触媒化学工業株式会社
藤 井 國 一
新日本製鐡株式会社
大 高 晋一郎
日本鋼管株式会社
本 間 忠 一
本州製紙株式会社
須 賀 康 二
小野田セメント株式会社
(事務局)
植 田 忠 義
社団法人日本電気計測器工業会