C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
4 基準環境条件 ··················································································································· 5
5 要求事項························································································································· 5
5.1 一般事項 ······················································································································ 5
5.2 アダプタ ······················································································································ 7
5.3 音圧レベル ··················································································································· 7
5.4 周波数 ························································································································· 8
5.5 静圧,周囲温度及び湿度の影響 ························································································ 9
5.6 全ひずみ及び雑音 ········································································································· 10
5.7 電源 ··························································································································· 10
5.8 マイクロホンの仕様及び校正 ·························································································· 10
5.9 電磁両立性 ·················································································································· 11
6 機器への表記及び添付文書 ································································································ 12
6.1 音響校正器への表記 ······································································································ 12
6.2 クラスLSの音響校正器の個別校正票 ··············································································· 13
6.3 取扱説明書 ·················································································································· 13
附属書A(規定)型式評価試験 ······························································································ 15
附属書B(規定)定期試験 ···································································································· 29
附属書C(規定)型式評価試験の報告書 ·················································································· 34
附属書D(参考)許容区間及び受容区間と測定の不確かさの最大許容値との関係 ····························· 36
附属書E(参考)この規格の仕様に対する適合性評価の例 ··························································· 37
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人
日本騒音制御工学会(INCE/J)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本
産業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
産業規格である。これによって,JIS C 1515:2004は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
C 1515:2020
(IEC 60942:2017)
電気音響−音響校正器
Electroacoustics-Sound calibrators
序文
この規格は,2017年に第4版として発行されたIEC 60942を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,音響校正器の三つのクラス,クラスLS(実験室用標準),クラス1及びクラス2の性能要
求事項について規定する。受容限度値は,クラスLSが最も小さく,クラス2が最も大きい。クラスLSは,
通常,実験室内でだけ使用する音響校正器に適用し,クラス1及びクラス2は,現場で使用する音響校正
器に適用する。クラス1の音響校正器は,JIS C 1509-1に規定するクラス1のサウンドレベルメータとと
もに用い,クラス2の音響校正器は,JIS C 1509-1に規定するクラス2のサウンドレベルメータとともに
用いる。
クラスLS,クラス1又はクラス2の音響校正器について,この規格への適合性を評価する場合には,次
のマイクロホンの使用を前提として,この規格の受容限度値を規定する。
− クラスLSの場合は,IEC 61094-1:2000に規定する標準マイクロホン
− クラス1又はクラス2の場合は,IEC 61094-4:1995に規定する計測用マイクロホン
音響校正器の試験の一貫性とその使いやすさを促進するために,この規格には,附属書A〜附属書Eを
含んでいる。
サウンドレベルメータ全体の感度を調整するために用いられることがある,等価自由音場音圧レベル又
は等価ランダム入射(拡散音場)音圧レベルについての要求事項は,この規格では規定しない。
音響校正器は,トーンバーストを発生させるような,他の機能を内蔵してもよい。このような他の機能
についての要求事項は,この規格では規定しない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60942:2017,Electroacoustics−Sound calibrators(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
2
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
JIS C 1509-1 電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)−第1部:仕様
注記 対応国際規格:IEC 61672-1,Electroacoustics−Sound level meters−Part 1: Specifications
JIS C 61000-4-2:2012 電磁両立性−第4-2部:試験及び測定技術−静電気放電イミュニティ試験
注記 対応国際規格:IEC 61000-4-2:2008,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-2: Testing and
measurement techniques−Electrostatic discharge immunity test
JIS C 61000-4-3:2012 電磁両立性−第4-3部:試験及び測定技術−放射無線周波電磁界イミュニティ
試験
注記 対応国際規格:IEC 61000-4-3:2006,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-3: Testing and
measurement techniques−Radiated, radio-frequency, electromagnetic field immunity test
JIS C 61000-4-20:2014 電磁両立性−第4-20部:試験及び測定技術−TEM(横方向電磁界)導波管の
エミッション及びイミュニティ試験
注記 対応国際規格:IEC 61000-4-20:2010,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-20: Testing
and measurement techniques−Emission and immunity testing in transverse electromagnetic (TEM)
waveguides
JIS C 61000-6-1:2008 電磁両立性−第6-1部:共通規格−住宅,商業及び軽工業環境におけるイミュ
ニティ
注記 対応国際規格:IEC 61000-6-1:2005,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 6-1: Generic
standards−Immunity for residential, commercial and light-industrial environments
JIS C 61000-6-2:2008 電磁両立性−第6-2部:共通規格−工業環境におけるイミュニティ
注記 対応国際規格:IEC 61000-6-2:2005,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 6-2: Generic
standards−Immunity for industrial environments
JIS Z 8106:2000 音響用語
注記 対応国際規格:IEC 60050-801:1994,International Electrotechnical Vocabulary−Chapter 801:
Acoustics and electroacoustics
IEC 61000-6-3:2006,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 6-3: Generic standards−Emission standard
for residential, commercial and light-industrial environments及びAmendment 1:2010
IEC 61094-1:2000,Measurement microphones−Part 1: Specifications for laboratory standard microphones
IEC 61094-4:1995,Measurement microphones−Part 4: Specifications for working standard microphones
IEC 61094-5,Electroacoustics−Measurement microphones−Part 5: Methods for pressure calibration of
working standard microphones by comparison
ISO 266:1997,Acoustics−Preferred frequencies
ISO/IEC Guide 98-3:2008,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in
measurement (GUM:1995)
ISO/IEC Guide 99,International vocabulary of metrology−Basic and general concepts and associated terms
(VIM)
CISPR 16-2-3:2016,Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods−Part
2-3: Methods of measurement of disturbances and immunity−Radiated disturbance measurements
CISPR 22:2008,Information technology equipment−Radio disturbance characteristics−Limits and methods
of measurement
3
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3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8106:2000及びISO/IEC Guide 99によるほか,次による。
3.1
音響校正器(sound calibrator)
形式及び構成を指定したマイクロホンに結合して用い,指定音圧レベル及び指定周波数の正弦波音圧を
発生する機器。
3.2
ピストンホン(pistonphone)
一つ又はそれ以上のピストンの運動によって,一定の空気室内に規定の体積速度を生成することで音圧
を発生する音響校正器。
3.3
指定音圧レベル(specified sound pressure level)
形式及び構成を指定したマイクロホンに用いたときの,個々の音響校正器(クラスLSの場合)又は同
一形式の全ての音響校正器(クラス1又はクラス2の場合)に有効な基準環境条件で音響校正器が発生す
る音圧レベル。
注記1 指定音圧レベルはデシベル(dB)で表す。
注記2 音圧の基準値は20 µPaである。
3.4
公称音圧レベル(nominal sound pressure level)
指定音圧レベルをデシベル単位で(表記のために)丸めた,同一形式の全ての音響校正器に有効な近似
値。
注記1 公称音圧レベルはデシベル(dB)で表す。
注記2 音圧の基準値は20 µPaである。
3.5
指定周波数(specified frequency)
クラスLSの場合の個々の音響校正器又はクラス1又はクラス2の場合の同一形式の全ての音響校正器
に有効な基準環境条件で音響校正器が発生する音の周波数。
注記 指定周波数はヘルツ(Hz)で表す。
3.6
公称周波数(nominal frequency)
表記のための指定周波数の近似値。通常は,ISO 266:1997に従って丸めた値である。
注記 公称周波数はヘルツ(Hz)で表す。
3.7
主音圧レベル(principal sound pressure level)
試験のために取扱説明書に指定する公称音圧レベル。
注記1 音響校正器が一つ又はそれ以上の音圧レベルを生成する場合には,製造業者は一つの公称音
圧レベルを主音圧レベルとして指定する。
注記2 主音圧レベルは,音響校正器のこの規格の要求事項への適合性を評価する場合に用いる。
注記3 主音圧レベルはデシベル(dB)で表す。
注記4 音圧の基準値は20 μPaである。
4
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
3.8
主周波数(principal frequency)
試験のために取扱説明書に指定する公称周波数。
注記1 音響校正器が一つ又はそれ以上の周波数を生成する場合には,製造業者は一つの公称周波数
を主周波数として指定する。
注記2 主周波数は,音響校正器のこの規格の要求事項への適合性を評価する場合に用いる。
注記3 主周波数はヘルツ(Hz)で表す。
3.9
反復(replication)
音響校正器とマイクロホンとを完全に分離した後,再びマイクロホンを音響校正器に結合することによ
る測定の繰返し。
3.10
全ひずみ及び雑音(total distortion + noise)
信号全体の実効値と,高調波(ハーモニクス)及び低調波(サブハーモニクス)を含む全てのひずみ成
分並びに雑音成分の実効値との比。
注記1 ひずみは,非線形現象に伴う信号と相関のある成分であり,雑音は,無相関な成分である。
注記2 全ひずみ及び雑音は百分率としてパーセント(%)で表す。
3.11
基準の向き(reference orientation)
音響校正器の空洞の開口部の主軸(空洞にマイクロホンを挿入する軸)を無線周波電磁界のアンテナの
主方向と一致するようにした音響校正器の向き。
3.12
基準面(reference plane)
マイクロホンと音響校正器との境界面。
3.13
マイクロホンによる実効負荷容積(effective load volume of a microphone)
基準環境条件での,基準面,振動膜,及び基準面でのマイクロホンの外側円筒の内面を境界とする容積
にマイクロホンの等価容積(IEC 61094-1:2000参照)を加えたものと等しい音響コンプライアンスをもつ
空気の容積。
注記 実効負荷容積は,一般に,立方ミリメートル(mm3)で表し,周波数によって変わることがあ
る。
3.14
包含確率(coverage probability)
指定した包含区間に含まれる測定変量のうちの真の値の確率(ISO/IEC Guide 98-4:2012の3.2.8参照)。
3.15
受容限度値(acceptance limit)
測定値の許容される上限又は下限の値。
注記 この規格の受容限度値は,JIS C 1515:2004の設計及び製造において利用できる限界値に類似す
る(ISO/IEC Guide 98-4:2012の3.3.8参照)。
5
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4
基準環境条件
音響校正器の性能を規定するための基準環境条件は,次による。
− 周囲温度
23 ℃
− 静圧
101.325 kPa
− 相対湿度
50 %
5
要求事項
5.1
一般事項
5.1.1
音響校正器は,この箇条に規定する性能を備えていなければならない。複数の形式のマイクロホン
に対応できるように,アダプタを備えてもよい。この規格では,このようなアダプタは,音響校正器の一
部分を構成するとみなす。
5.1.2
音響校正器は,利用可能な音圧レベルと周波数との一つ又はそれ以上の組合せについて,この規格
の要求事項に適合しなければならない。複数レベル及び複数周波数をもつ音響校正器は,取扱説明書がこ
の規格の要求事項に適合すると記載する全ての音圧レベルと周波数との組合せにおいて,同一クラスの要
求事項に適合しなければならない。この規格で受容限度値を規定していない音圧レベル及び周波数の設定
について,この規格の要求事項への適合性を宣言してはならない。
5.1.3
この規格では,特定のクラスの音響校正器について規定するが,特に規定しない限り,クラスにお
ける全ての表示を含む。
5.1.4
クラスLSの音響校正器は,6.2に規定する事項を記載した個別の校正票とともに提供されなけれ
ばならない。クラス1及びクラス2の音響校正器の取扱説明書には,指定音圧レベル及び指定周波数を記
載しなければならない。指定するレベルは,絶対レベルで定義する。
5.1.5
該当するクラスに適合させるために,静圧についての補正が必要であるクラスLS及びクラス1の
ピストンホンには,それぞれのクラス表示に“M”の文字を付さなければならない。音響校正器のクラス
及びクラス表示を表1に示す。クラスLS/M及びクラス1/Mに適合する音響校正器は,それぞれのクラ
スの要求事項を満たすために,他の環境条件に対して補正してはならない。クラスLS/M及びクラス1
/Mの音響校正器は,音響校正器がこの規格の要求事項に適合するために必要な静圧の補正値を,取扱説
明書に95 %の包含確率に対応する測定の不確かさとともに記載しなければならない。
5.1.6
クラスLS/Mの音響校正器は,この規格に規定するそれぞれのクラスの仕様を完全に満たしてい
る場合,クラス1/Mの要求事項への適合性を宣言してもよい。
5.1.7
クラスLS/M又はクラス1/M以外の音響校正器は,該当するクラスの要求事項に適合するため
に環境条件に対するいかなる補正も行ってはならない。
5.1.8
クラスLS/M及びクラス1/Mの音響校正器は,気圧計を附属品として提供するか,又は製造業
者は取扱説明書に使用する気圧計の仕様を記載しなければならない。取扱説明書には,クラスLS/M又
はクラス1/Mの音響校正器が関連するクラスの要求事項に適合する性能へ静圧が影響を与えないために
必要な,静圧の95 %の包含確率の測定の不確かさを記載する。
注記1 クラスLS/Mの音響校正器は,通常,静圧を測定する適切な測定器が利用できる実験室で
使用される。
注記2 気圧計には,基準静圧を基準として,音圧レベルを直接補正できるデータで補正量を与える
ものもある。
6
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
表1−音響校正器のクラス及びクラス表示
クラス
クラス表示
説明
LS
LS
環境条件の影響を補正せず,この規格のクラスLSの仕
様を満たすように設計された音響校正器
LS/M
静圧の影響の補正だけを適用し,この規格のクラスLS
の仕様を満たすように設計されたピストンホン
1
1
環境条件の影響を補正せず,この規格のクラス1の仕
様を満たすように設計された音響校正器
1/M
静圧の影響の補正だけを適用し,この規格のクラス1
の仕様を満たすように設計されたピストンホン
2
2
環境条件の影響を補正せず,この規格のクラス2の仕
様を満たすように設計された音響校正器
5.1.9
この規格に適合するために,音響校正器を特定の向きで使用する必要がある場合,その向きを音響
校正器本体で識別できるようにしなければならない。それが困難な場合,取扱説明書にその向きを記載し,
本体には,取扱説明書を参照するような表記をしなければならない。
注記 “向き”とは,音響校正器が本来の性能を発揮することが可能な“向き”であって,EMCに関
する試験のために3.11で定義する“向き”とは異なる。
5.1.10
性能に関する全ての要求事項は,マイクロホンと音響校正器とを結合させてから音圧レベル及び
周波数が安定化した後の音響校正器の動作に適用する。マイクロホンを結合した音響校正器の電源を投入
した後に安定化に要する時間を取扱説明書に記載する。この時間は,5.5に規定するどの環境条件において
も,30 sを超えてはならない。この安定時間が10 sを超える場合,音響校正器の出力が安定したことを示
す指示器を設ける。この指示器の動作についての情報を取扱説明書に記載する。安定時間を経た後,音圧
レベル及び周波数は,電源を入れている間,表2及び表4,又は適用可能な場合は,表5及び表6の受容
限度値以内で,70 s以上安定していなければならない。音響校正器及びマイクロホンは,結合する前に環
境条件に対し平衡状態になっていなければならない。
注記1 5.3.3に規定する短時間レベル変動の測定において,60 sを超える音響校正器の動作が必要と
なるため,70 s以上の安定性を要求している。
注記2 マイクロホンと音響校正器とを結合させてから安定するまでの時間は,使用する音響校正器
の形式とマイクロホンの形式との組合せによって異なることがある。
注記3 音響校正器内の静圧と音響校正器の外の静圧とが等しくなるように,音響校正器を設計する
ことが重要である。
5.1.11
附属書Aに規定する試験が,音響校正器に通常の動作時間より長時間の動作を要求する場合,製
造業者は,該当する試験を行うための方法を取扱説明書に記載しなければならない。
5.1.12
音響校正器の一部で使用者が調整してはならない箇所は,封印又は表記によって保護しなければ
ならない。
5.1.13
5.3〜5.9において,設計目標値からの測定偏差の許容値に対し受容限度値が設定されている。試
験機関に求められる,95 %の包含確率の測定の不確かさの最大許容値を,附属書Aに規定する。また,許
容区間及び対応する受容区間と測定の不確かさの最大許容値との関係を,附属書Dに記載する。
5.1.14
クラスLSの音響校正器に対する受容限度値は,クラスLS/Mの音響校正器にも適用する。クラ
ス1の音響校正器に対する受容限度値は,クラス1/Mの音響校正器にも適用する。
5.1.15
要求事項への適合性は,次の基準を満たした場合に実証したとみなす。
7
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
a) 設計目標値からの偏差が受容限度値を超えない。
b) 95 %の包含確率で,測定の不確かさが附属書Aによる測定の不確かさの最大許容値を超えない。
5.1.16
試験機関は,95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさが,附属書Aの測定の不確かさの
最大許容値を超える場合,この規格の要求への適合性を示すためにその測定値を用いてはならない。
5.1.17
この規格の仕様への適合性評価の例は,附属書Eに示す。
5.1.18
附属書Aに従って型式評価試験を行い,音響校正器の形式がこの規格の要求事項に適合している
ことが示され,かつ,附属書Bに従って定期試験を行い,個別の音響校正器がこの規格の要求事項に適合
していることが示されたときだけ,この規格への完全な適合性が示されたことになる。
5.2
アダプタ
音響校正器の取扱説明書には,音響校正器に用いることができるアダプタの設計情報を記載してもよい。
設計情報を記載する場合,指定されたクラスを維持するため,指定された音響校正器で用いることができ
るアダプタを作製するために必要な全ての情報を含める。その情報には,密封するためのマイクロホンの
挿入距離及び最小の直径も含む。
5.3
音圧レベル
5.3.1
一般事項
5.3.1.1
音響校正器が発生する全ての指定音圧レベルは,0.1 dB又はより細かい分解能であって,取扱説
明書に記載しなければならない。
5.3.1.2
この規格に規定する全ての要求事項及び受容限度値は,結合したマイクロホンの振動膜面上に発
生する音圧レベルに適用する。
5.3.1.3
音響校正器の主音圧レベルは,指定した形式及び構成のマイクロホンについて,20 μPaを基準と
して,90 dB以上でなければならない。
5.3.2
発生音の音圧レベル
測定した音圧レベルと該当の指定音圧レベルとの差の絶対値は,表2に示す音響校正器のクラスにおけ
る音圧レベルの受容限度値を超えてはならない。音響校正器のクラスLS/M又は1/Mの場合,箇条4
に規定する静圧値となるように音圧レベルの測定値を補正する。これらの受容限度値は,97 kPa〜105 kPa,
20 ℃〜26 ℃及び相対湿度が40 %〜65 %の環境条件の範囲で行った測定値に適用する。
5.3.3
短時間レベル変動
音圧レベルの変動は,JIS C 1509-1で公称時定数125 msと規定する時間重み付け特性Fで測定し,60 s
にわたる音響校正器の動作中において,30回以上のサンプリングによって,平均値,最大値及び最小値を
測定する。その最大値と平均値との差,及び最小値と平均値との差の絶対値は,それぞれ表2に示す音響
校正器のクラスにおける短時間レベル変動の受容限度値を超えてはならない。音響校正器が60 sを超える
時間動作する場合,例えば,サウンドレベルメータなどの機器の性能を測定する場合は,より長い時間に
おけるレベル変動を確証することが必要である。
なお,より長い動作時間はこの規格では規定しない。
注記1 対応国際規格の注記は,本文に記載すべき規定事項であるため,本文の最後へ移動した。
注記2 より低い周波数においては,信号が安定していても,規定する測定方法では短時間のレベル
変動が指示されることになる。これは瞬時音圧の変動と,時間重み付け特性Fによる平均化
時間とに起因する。短時間レベル変動の受容限度値は,この現象を認めてより低い周波数に
おいて増加している。
8
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
表2−基準環境条件近傍における音圧レベル及び短時間レベル変動の受容限度値
公称周波数範囲
Hz
音圧レベルの受容限度値
dB
短時間レベル変動の受容限度値
dB
クラスLS
クラス1
クラス2
クラスLS
クラス1
クラス2
31.5〜63
−
0.30
−
−
0.20
−
63を超え160未満
−
0.30
−
−
0.10
−
160〜1 250
0.10
0.25
0.40
0.03
0.07
0.15
1 250を超え4 000以下
−
0.35
−
−
0.07
−
4 000を超え8 000以下
−
0.45
−
−
0.07
−
8 000を超え16 000以下
−
0.50
−
−
0.07
−
音圧レベルの受容限度値は,音響校正器が発生する音圧レベルと指定音圧レベルの差の絶対値とする。
クラスLS又はクラス2の音響校正器について,表の公称周波数範囲の“−”印は,この規格では受容限度値を規
定していないことを示す。
5.3.4
電源供給電圧範囲内の音圧レベル
取扱説明書に記載する供給電圧の範囲にわたって,5.3.2で規定する音響校正器が発生する音圧レベルと,
基準環境条件において公称供給電圧で測定した音圧レベルとの差の絶対値は,表3に示す音響校正器のク
ラスに対する受容限度値を超えてはならない。また,この範囲内の全ての供給電圧で,測定音圧レベルの
指定音圧レベルに対する差の絶対値は,表2の受容限度値を超えてはならない。
表3−基準環境条件における音圧レベルに対する供給電圧の影響による受容限度値
単位 dB
受容限度値
クラスLS
クラス1
クラス2
0.02
0.06
0.16
受容限度値は,動作電源電圧範囲における音響校正器にて発生する音圧レベルと,公称供給電圧にお
いて測定される音圧レベルとの差の絶対値に適用する。
5.4
周波数
5.4.1
一般事項
5.4.1.1
音響校正器が発生する音の主周波数は,160 Hz〜1 250 Hzの範囲内になければならない。指定周
波数は,ISO 266:1997の3.1に規定する厳密周波数を求める式によって計算するか,又は計算された周波
数を示すISO 266:1997の表1による。
5.4.1.2
主音圧レベルの周波数は,主周波数にて発生しなければならない。
5.4.2
音響校正器で発生する音の周波数
音響校正器が発生する音の周波数及び指定周波数の百分率で表した差の絶対値は,表4に規定する受容
限度値を超えてはならない。これらの受容限度値は,5.3.2で規定する音響校正器が発生する音圧レベルと
環境条件の範囲で行った測定値に適用する。
9
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
表4−基準環境条件近傍での周波数の受容限度値
単位 %
受容限度値
クラスLS
クラス1
クラス2
0.7
0.7
1.7
受容限度値は,音響校正器が発生する音の周波数と規定周波数との百分率で表した差の絶対値に適用
する。
受容限度値は規定周波数に対する百分率で表す。
5.5
静圧,周囲温度及び湿度の影響
5.3.2で用いる環境条件の範囲外において,音響校正器は,次に規定する環境条件の範囲の組合せで,基
準環境条件での測定値に対して表5及び表6の受容限度値内で動作しなければならず,表7の受容限度値
を超えてはならない。
− クラスLS
・ 静圧:
65 kPa〜108 kPa
・ 周囲温度: +16 ℃〜+30 ℃
・ 相対湿度: 25 %〜90 %
− クラス1
・ 静圧:
65 kPa〜108 kPa
・ 周囲温度: −10 ℃〜+50 ℃
・ 相対湿度: 25 %〜90 %
ただし,+39 ℃以上で,露点を超える周囲温度と相対湿度との組合せは,適合性評価試験から除く。
− クラス2
・ 静圧:
65 kPa〜108 kPa
・ 周囲温度: 0 ℃〜+40 ℃
・ 相対湿度: 25 %〜90 %
注記 クラス1及びクラス2の音響校正器における環境条件の範囲は,JIS C 1509-1に規定するクラ
ス1及びクラス2のサウンドレベルメータにおける範囲と同じである。
表5−規定する環境条件での音圧レベルの受容限度値
公称周波数範囲
Hz
受容限度値
dB
クラスLS
クラス1
クラス2
31.5以上160未満
−
0.25
−
160〜1 250
0.10
0.25
0.40
1 250を超え4 000以下
−
0.30
−
4 000を超え8 000以下
−
0.45
−
8 000を超え16 000以下
−
0.60
−
受容限度値は,規定する環境条件(表2の環境条件を除く。)にわたって音響校正器が発生する音圧レベルと,
基準環境条件で測定した音圧レベルとの差の絶対値に適用する。
クラスLS又はクラス2の音響校正器について,表の公称周波数範囲の“−”印は,この規格で受容限度値を
規定していないことを示す。
10
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
表6−規定する環境条件での周波数の受容限度値
単位 %
受容限度値
クラスLS
クラス1
クラス2
0.7
0.7
1.7
受容限度値は,規定する環境条件(表4の環境条件を除く。)にわたって音響校正器が発生する音の周波数と,
基準環境条件で測定した周波数との百分率で表した差の絶対値に適用する。
受容限度値は,指定周波数に対する百分率で表す。
5.6
全ひずみ及び雑音
公称周波数が22.4 Hz〜22.4 kHzの周波数範囲の成分を対象として,測定された全ひずみ及び雑音は,5.5
に規定する環境条件の該当する範囲で,表7の受容限度値を超えてはならない。
注記1 ひずみ計は,信号の基本波成分の大きさに対する,高調波及び低調波を含む,不要な成分の
大きさの比を指示することがある。この規格で規定する最大の全ひずみ及び雑音の限度値に
対して,信号全体の実効値に対する全ひずみ及び雑音の実効値の比として測定されたひずみ
と,基本波の実効値に対する全ひずみ及び雑音の実効値の比として測定されたひずみとの差
は測定の不確かさに比べて無視できるほど小さい。全高調波ひずみだけを測定する機器を用
いることは適切ではない。
注記2 この細分箇条の目的は規定する周波数範囲における全ての雑音の寄与を確実にすることであ
る。
表7−全ひずみ及び雑音の受容限度値
公称周波数範囲
Hz
全ひずみ及び雑音の受容限度値
%
クラスLS
クラス1
クラス2
31.5以上160未満
−
3.0
−
160〜1 250
2.0
2.5
3.0
1 250を超え16 000以下
−
3.0
−
受容限度値は,音響校正器が発生する音の全ひずみ及び雑音の最大値に適用する。
クラスLS又はクラス2の音響校正器について,表の公称周波数範囲の“−”印は,この規格で受容限度値を
規定していないことを示す。
5.7
電源
電源の供給電圧がこの規格に従って音響校正器を動作させるために十分な値であることを確認する手段
を備えている場合,又は電源の供給電圧がこの規格に従って音響校正器を動作させるために必要な値以下
となった場合,音を停止しなければならない。
5.8
マイクロホンの仕様及び校正
5.8.1
マイクロホンの形式及びアダプタ
5.8.1.1
音響校正器の取扱説明書には,この規格に適合して音響校正器が動作するように設計されたマイ
クロホンの形状をIEC 61094-1:2000又はIEC 61094-4:1995の表示方法によって記載するか,可能な場合に
はさらに,製造業者の名称,形式及び構成(例えば,保護グリッドの有無)を記載する。必要なアダプタ
がある場合には,取扱説明書に記載する。この情報は製造業者のウェブページに掲載してもよい。
11
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
5.8.1.2
クラスLSの音響校正器については,指定する形式及び構成のマイクロホンのうち,一つ又はそ
れ以上は,IEC 61094-1:2000に規定する標準マイクロホンとする。
5.8.1.3
クラス1及びクラス2の音響校正器については,指定する形式及び構成のマイクロホンのうち,
一つ又はそれ以上は,IEC 61094-4:1995に規定する計測用マイクロホンとする。
注記 IEC 61094-1:2000に規定する標準マイクロホンの要求事項に適合するマイクロホンは,IEC
61094-4:1995に規定する計測用マイクロホンの要求事項にも適合する。
5.8.1.4
音響校正器の校正には,電気音響特性がIEC 61094-1:2000又はIEC 61094-4:1995に規定する形式
“P”のマイクロホンを用いなければならない。
5.8.2
マイクロホンの感度レベル
指定する形式のマイクロホンについては,次のいずれかの方法によって,マイクロホンの音圧感度レベ
ルを校正できなければならない。
a) IEC 61094-2に規定する方法
b) IEC 61094-5に規定する方法又はこれと同等の比較方法
5.9
電磁両立性
5.9.1
一般事項
音響校正器は,無線周波エミッション,静電気放電,電源周波数磁界及び無線周波電磁界に対するイミ
ュニティに関するこの規格の要求事項に適合しなければならない。
5.9.2
無線周波エミッション
5.9.2.1
音響校正器からの無線周波エミッションの電界強度の上限値は,30 MHz〜230 MHzの周波数範囲
について,距離が10 mで準せん頭値が30 dB(基準は1 μV/m),230 MHz〜1 GHzの周波数範囲について
距離10 mで準せん頭値が37 dB(基準は1 μV/m)とする。
注記1 電磁両立性についての多くの規格の中で異なる上限値が規定されている。この規格では,IEC
61000-6-3:2006及びAmendment 1:2010の表1の限度値を音響校正器の基礎的な要求事項とし
て採用している。
注記2 準せん頭値測定用受信機の特性については,CISPR 16-1-1で規定している。
5.9.2.2
取扱説明書には,無線周波エミッションが最大となる音響校正器の動作モードを記載しなければ
ならない。
5.9.3
静電気放電に対するイミュニティ
5.9.3.1
音響校正器は,JIS C 61000-6-1:2008の表1で分類する1.5に規定されるように,接地電位に対し
正及び負の電圧で,4 kVまでの接触放電及び8 kVまでの気中放電に耐えなければならない。
5.9.3.2
JIS C 61000-6-1:2008に規定する性能判定基準Bを静電気放電の試験中及び試験後に適用する。
5.9.3.3
音響校正器は,静電気放電試験を終了した後も完全に動作し,かつ,試験開始以前と同一の状態
を保たなければならない。
5.9.4
電源周波数磁界及び無線周波電磁界に対するイミュニティ
5.9.4.1
音響校正器は,最低限,次の範囲の電源周波数磁界及び無線周波電磁界の強度についてイミュニ
ティを示さなければならない。
− 26 MHz〜1 GHzの周波数範囲で,900 Hzの正弦波によって80 %の振幅変調をした実効値10 V/m(無
変調時)までの電界強度
− 1.4 GHz〜2 GHz の周波数範囲で,900 Hzの正弦波によって80 %の振幅変調をした実効値3 V/m(無
変調時)までの電界強度
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
− 2 GHz〜2.7 GHzの周波数範囲で,900 Hzの正弦波によって80 %の振幅変調をした実効値1 V/m(無
変調時)までの電界強度
− 周波数が50 Hz及び60 Hzで,実効値80 A/mの一様な交流磁界強度
この要求事項は,JIS C 61000-6-1:2008の表1の1.1及びJIS C 61000-6-2:2008の表1の1.2〜1.4の要求
事項に次の変更を加えたものである。
− 無線周波電磁界の範囲を26 MHz〜1 GHzの範囲に拡張
− 変調周波数を1 kHzから900 Hzに変更
− 電源周波数磁界強度を80 A/mに増大
− JIS C 61000-6-2:2008の表1の注c) の電界強度を減少させた要求事項を除外
音響校正器が無変調時の実効値10 V/mよりも高い電界強度において,この規格の仕様に適合する場合
には,周波数範囲ごとにその電界強度を取扱説明書に記載することが望ましい。
5.9.4.2
電源周波数磁界又は無線周波電磁界中に置いた場合,音響校正器の動作状態に変化があってはな
らない。このとき,音響校正器の基準の向きを磁界発生装置の方向に合わせ,マイクロホンを挿入する音
響校正器の開口部は,磁界発生装置の反対側に向ける。電源周波数磁界又は無線周波電磁界のあるときの
音響校正器が発生する音圧レベルの測定値の,磁界又は電磁界のないときの音圧レベルの測定値からの偏
差は,クラスLSの音響校正器で0.10 dB,クラス1の音響校正器で0.25 dB及びクラス2の音響校正器で
0.45 dBを超えてはならない。複数の音圧レベル及び/又は周波数を備える音響校正器については,取扱説
明書で指定するそれぞれの周波数と音圧レベルとの組合せについて,この要求事項を適用しなければなら
ない。
5.9.4.3
無線周波電磁界に対するイミュニティの試験は,JIS C 61000-4-3:2012の箇条8の規定に従って離
散周波数で行う。変調信号の搬送波の周波数は,500 MHzより低い周波数では4 %以下の増分で変化させ
る。500 MHz以上の周波数では,周波数の増分は2 %以下とする。周波数の増分は1 %としてもよい。各
周波数の照射時間は適切でなければならない。指定された全ての周波数で5.9.4.1及び5.9.4.2の要求事項
に適合する必要がある。
5.9.4.4
無線周波電磁界に対するイミュニティの試験は,JIS C 61000-4-3:2012に規定するように実施,又
はTEM導波管を用いる試験方法を実施する。TEM導波管の要求事項は,JIS C 61000-4-20:2014に規定し
ており,試験の方法は,JIS C 61000-4-20:2014の附属書Bに規定している。試験する機器の性能要求事項
は,試験する周波数範囲及び増分を含めて変更しない。
5.9.4.5
取扱説明書には,電源周波数磁界及び無線周波電磁界に対して最も弱いイミュニティ(影響を最
も受けやすくなる)となる動作モード及び必要な場合,接続機器の状態を記載する。
6
機器への表記及び添付文書
6.1
音響校正器への表記
この規格に適合する音響校正器には,本体に表記のための部分を確保し,次の最低限の事項を記載しな
ければならない。a)〜d) は,音響校正器本体に表記しなければならない。e)〜k) は,音響校正器本体に表
記するか,又は動作中に表示できなければならない。
a) 製造業者若しくは供給者の名称又は登録商標
b) 形式及び製造番号
c) この規格の規格番号及び発効年
d) 機器のクラス。該当する場合には“M”の表示。“M”の表示は静圧補正の必要性があることを示す。
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
e) クラスの要求事項に適合する音圧レベルと周波数との全ての組合せ
f)
公称音圧レベル
g) 公称周波数
h) マイクロホンを装着するために指定する向きがあり本体に表示が可能な場合,その向き
i)
電池駆動である場合,推奨する電池の種類
j)
アダプタを附属している場合は,形式をアダプタ上に表記
k) 必要に応じて,ファームウェア及びソフトウェアのバージョン
6.2
クラスLSの音響校正器の個別校正票
クラスLSの音響校正器には,個々の校正票を製造業者又は供給者が提供する。校正票には,マイクロ
ホンの形式及び構成に対する指定音圧レベル及び指定周波数を記載しなければならない。
6.3
取扱説明書
音響校正器の取扱説明書には,箇条5及び6.1で要求する事項を記載しなければならない。取扱説明書
には,次の事項も記載する。
a) IEC 61094-1:2000又はIEC 61094-4:1995で規定されたマイクロホン構成の識別,又は必要な場合,製
造業者又は供給者の名称,形式の指定及び構成(例えば,マイクロホングリッドの装着,未装着など)
並びに必要なアダプタの形式。また,それらを使用したときに音響校正器を適切に機能させるための
詳細も含む。
b) 形式及び構成を指定したマイクロホンを音響校正器に結合した場合,クラスLSの音響校正器は,ク
ラスの要求事項に適合する公称音圧レベル及び公称周波数,クラス1及びクラス2の音響校正器は,
クラスの要求事項に適合する指定音圧レベル及び指定周波数
c) 該当する場合,関連するファームウェア及びソフトウェアのバージョン
d) 特定の向きで音響校正器を用いなければならない場合は,その向き
e) 全ての指定音圧レベル及び指定周波数の組合せについて,マイクロホンを結合して電源を投入した後,
音圧レベル及び周波数が安定するまでの時間。また,操作の詳細,必要な場合,表示,及びマイクロ
ホンと音響校正器との組合せについて,それらを結合した後,安定に必要な時間
f)
附属書Aに規定する型式評価試験で,音響校正器が通常の安定時間より長い時間を要求する場合は,
これを達成するための情報
g) 主音圧レベル。利用できる音圧レベルが一つの場合,それを主音圧レベルとする。
h) 主周波数。利用できる周波数が一つの場合,それを主周波数とする。
i)
音響校正器が動作するように設計された静圧の範囲,及び適用する場合,5.5に規定する補正値。補正
値には,包含確率を95 %で算出した測定の不確かさも含む。
j)
音圧レベルと周波数との組合せ
k) 挿入されたマイクロホンによる実効負荷容積の変化に伴う,音響校正器によって発生する音圧レベル
の代表的な変化
l)
該当する場合,使用可能な電池の種類,公称動作時間,公称,最大及び最小供給電圧。また,電池状
態表示器の説明及び使い方,並びに該当する場合,外部電源の接続方法
m) “M”が表記されている音響校正器では,関連するクラスの要求事項に適合する性能へ静圧が影響を
与えないために必要な,静圧の95 %の包含確率の測定の不確かさ。気圧計が附属品として提供されて
いる場合には,その気圧計を用いて測定した静圧の包含確率95 %で算出した測定の不確かさ。
n) 気圧計が附属品として提供されていない場合であって,“M”が表記されている音響校正器で,気圧補
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
正が必要な場合,静圧を測定するために必要な気圧計の詳細
o) 通常の動作形態
p) 該当する場合,5.9に規定する電磁両立性の要求事項に適合して,音響校正器とともに用いることが可
能なケーブル及び附属品
q) 無線周波電磁界の影響を試験するための,基準の向き
r) 無変調時の実効値よりも高い電界強度でこの規格に適合する場合には,その値
s)
無線周波エミッションが最大となる状態,音圧レベル及び周波数の設定
t)
電源周波数磁界及び無線周波電磁界に対するイミュニティが最小(影響が最大)となる動作状態,並
びに該当する場合,接続機器の状態
u) アダプタの設計データが含まれている場合は,密閉されるマイクロホンの挿入距離及び直径
v) クラスの要求事項に適合しない音圧レベル及び周波数の組合せがある場合,その組合せにおけるそれ
らの音響特性及び設計目標に対して適用可能な受容限度値
音響校正器がこの規格に規定していない付加的機能を備える場合には,その付加的機能についての用途,
設計目標値及び適用可能な受容限度値を包含確率が95 %で算出した測定の不確かさの最大許容値ととも
に記載することが望ましい。
注記 適用可能な受容限度値は,製造業者が指定するものとしてここでは用いる。
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
附属書A
(規定)
型式評価試験
A.1 一般事項
A.1.1 この附属書は,音響校正器について,この規格に規定する全ての要求事項への適合性を評価するた
めの試験について規定する。これらの試験は,クラスLS,クラス1及びクラス2の音響校正器のいずれに
も適用し,全ての試験機関において同一の方法によって確実に試験が行われることを目的とする。試験に
提出された音響校正器に対して,適用可能な限りこの附属書に規定する全ての試験を実施する。
A.1.2 要求事項への適合性は,次の基準を満たした場合に実証できる。
a) 設計目標値からの偏差が,受容限度値を超えない。
b) 95 %の包含確率で,測定の不確かさがこの規格に規定された測定の不確かさの最大許容値を超えな
い。
A.1.3 型式評価試験を行う機関は,ISO/IEC Guide 98-3:2008の指針に従い,全ての測定について測定の
不確かさを求めなければならない。実際の測定の不確かさは,95 %の包含確率で計算する。試験機関が1
回だけ測定を行う場合,その試験機関は,総合的な測定の不確かさへの偶然性による寄与を推定すること
になる。推定は,同種の音響校正器に対して過去に行われた複数回の測定に基づいて求めてもよい。
A.1.4 この附属書による95 %の包含確率の測定の不確かさは,この規格への適合性を,この附属書に従
って評価するときの最大許容値である。試験機関で,95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさが
この最大許容値を超える場合には,この規格への適合性の評価に,その測定結果を用いてはならない。
A.1.5 この附属書では,95 %の包含確率で算出した測定の不確かさの最大許容値を次の表に示す。
− 表A.1には,基準環境条件での音響校正器が発生する音圧レベル及び短時間レベル変動の測定の不確
かさの最大許容値
− 表A.2には,周波数の測定の不確かさの最大許容値
− 表A.3には,規定する範囲にわたる環境条件での音響校正器が発生する音の全ひずみ及び雑音の測定
の不確かさの最大許容値
− 表A.4には,規定する範囲にわたる環境条件での音響校正器が発生する音圧レベルの測定の不確かさ
の最大許容値
− 表A.5には,音の発生周波数の測定の不確かさの最大許容値
A.1.6 試験機関は,該当するパラメータについて最新の校正を行った機器を用いて測定する。必要な場合,
その校正は,国家標準へのトレーサビリティがなければならない。
A.2 試験のための供試品
A.2.1 型式評価試験のために同一形式の5台の音響校正器を供試品として試験機関に提供する。試験機関
は,試験のために,2台又はそれ以上を供試品として選択する。選択した供試品のうち,1台又はそれ以上
について,この附属書の手順に従って全ての試験を行う。試験機関は,型式評価のために,2台目の供試
品についても全ての試験が必要か,又は限定した試験だけで十分かを判断する。
A.2.2 該当する全ての附属品(アダプタ,気圧計など)とともに取扱説明書の写しを試験のために提供す
る。クラスLSの音響校正器には,個々の校正票を適用する。
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
A.3 指定値
A.3.1 主音圧レベルが,5.3.1.3に適合していることを確認する。
A.3.2 主周波数が,5.4.1.1に適合していることを確認する。
A.4 音響校正器への表記及び添付文書
音響校正器本体上の表記及び取扱説明書には,6.1及び6.3に規定する全ての事項を記載していなければ
ならない。クラスLSの音響校正器については,校正票が個々に提供され,6.2に規定する全ての事項を記
載していなければならない。
A.5 基準環境条件近傍での性能試験
A.5.1 一般事項
A.5.1.1 この箇条の全ての試験は,5.3.2に規定する環境条件の範囲内で行う。
A.5.1.2 クラスLS/M及びクラス1/Mの音響校正器では,測定値が基準静圧での値となるよう,静圧
について取扱説明書に記載する補正値を適用する。気圧計が音響校正器の附属品として提供される場合に
は,気圧計によって静圧を測定した後,測定値が基準環境条件での値となるよう,静圧について取扱説明
書に記載する補正値を適用する。
A.5.1.3 A.5.5.6,A.5.5.7,A.5.5.8,A.5.7.2,A.5.7.4及びA.5.8.2の試験を除き,全ての試験は,公称動作
電圧からの偏差が20 %以内で,指定する最大電圧及び最小電圧を逸脱しない範囲の動作電圧で行う。
A.5.1.4 ピストンホンがクラスLS/M及びクラス1/Mの両方の仕様に適合すると製造業者が宣言する
場合,各クラスで要求する全ての試験を実施する。
A.5.2 向き
取扱説明書に音響校正器を特定の向きで用いるように指定している場合,試験は,指定の向きで行う。
特定の向きが指定されていない場合は,A.5.5.3に規定する音圧レベルの測定は,三つ以上の異なる向きで
行う。
A.5.3 周囲の騒音
周囲の騒音が測定に影響を及ぼすのを避けるため,マイクロホンを音響校正器に挿入後,電源を入れる
前に,マイクロホンで測定した音圧レベルが指定されたレベルより40 dB以上低い場合だけ試験を行う。
A.5.4 マイクロホン仕様
クラスLS,クラス1及びクラス2の音響校正器の試験に用いるマイクロホンは,5.8.1に規定するマイ
クロホンを使用する。
A.5.5 音圧レベル
A.5.5.1 取扱説明書で指定する各周波数において,取扱説明書で指定する主音圧レベルについて,音響校
正器が発生する音圧レベルを20 s〜25 s間,平均して測定する。
A.5.5.2 音圧レベルの測定値は,挿入電圧法(IEC 61094-2:2009の5.3参照)又はマイクロホンの開放回
路電圧を測定するのと等価な方法によって求めることが望ましい。
A.5.5.3 音圧レベルの測定は,3回以上行う。測定ごとに,測定開始前にマイクロホンを音響校正器に取
り付け,測定終了後に取り外す。マイクロホンの軸方向の回転角度が全測定において均等になるよう取付
けごとにマイクロホンを回転する。測定値の算術平均値と対応する指定音圧レベルとの差の絶対値は,表
2に規定する受容限度値を超えてはならない。包含確率を95 %とした実際の測定の不確かさは,表A.1に
規定する測定の不確かさの最大許容値を超えてはならない。
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
A.5.5.4 取扱説明書で指定する各周波数で,一つ又はそれ以上の同一形式の別の標準マイクロホン又は計
測用マイクロホンを用いて,A.5.5.3に従い音圧レベルの測定を繰り返す。
A.5.5.5 複数の音圧レベルを発生できる音響校正器については,取扱説明書で指定する各周波数の各音圧
レベルで,一つのマイクロホンを用いてA.5.5.3に従い音響校正器が発生する音圧レベルを測定する。
A.5.5.6 音圧レベルの測定は,内蔵電源又は外部電源の電圧を,音響校正器が備える電池状態表示器又は
発生音停止機能が働く最小動作電圧に対して偏差を5 %以内に設定し,マイクロホンを結合したまま(反
復をせずに),一つのマイクロホンを用いて測定を繰り返す。また,取扱説明書で指定する音圧レベルと周
波数との次の組合せについて測定する。
− 主音圧レベルと主周波数との組合せ
− 最大音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最小音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最低周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
− 最高周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
A.5.5.7 基準環境条件において,公称電源電圧で音響校正器を動作させたマイクロホンの出力電圧のレベ
ルに対する動作電圧を減じて,音響校正器を動作させたマイクロホンの出力電圧のレベル変化を測定する。
各組合せについて,動作電圧を減じたときの音圧レベルの基準環境条件の公称電源電圧での音圧レベルか
らの偏差の絶対値は,表3に規定する受容限度値を超えてはならない。この偏差の,95 %の包含確率で算
出した実際の測定の不確かさは,クラスLSの音響校正器では0.02 dB,クラス1及びクラス2の音響校正
器では0.04 dBを超えてはならない。また,測定した音圧レベルの指定音圧レベルからの偏差の絶対値は,
表2に規定する受容限度値を超えてはならない。
注記 A.5.5.7に規定する不確かさは,表A.1に規定する測定の不確かさの最大許容値に含まれている。
A.5.5.8 音響校正器が外部電源に接続できるように設計されている場合には,音圧レベルの測定は,最大
許容供給電圧について,主音圧レベル及び主周波数でマイクロホンを結合したまま(反復をせずに)繰り
返す。基準条件において,最大許容供給電圧で音響校正器を動作させたマイクロホンの出力電圧のレベル
変化を測定する。最大許容供給電圧で測定した音圧レベルの公称電源電圧での音圧レベルからの偏差の絶
対値は,表3に規定する受容限度値を超えてはならない。この偏差の95 %の包含確率で算出した実際の測
定の不確かさは,クラスLSの音響校正器では0.02 dB,クラス1及びクラス2の音響校正器では0.04 dB
を超えてはならない。また,測定した音圧レベルの指定音圧レベルからの偏差の絶対値は,表2に規定す
る受容限度値を超えてはならない。
注記 A.5.5.8に規定する不確かさは,表A.1に規定する測定の不確かさの最大許容値に含まれている。
A.5.5.9 同一クラスで取扱説明書で指定するマイクロホンの形式又はマイクロホンの構成がA.5.4で用い
た以外にもある場合には,それらのマイクロホンの形式又は構成について,A.5.5に規定する測定を繰り返
す。試験機関は,マイクロホンの多様な形式の等価性について,信頼性,有効性が十分である,又は補正
が可能であると判断した場合には,これらの等価な形式の一つの代表的な形式及び構成のマイクロホンで
試験を行うか,又は指定する全ての形式及び全ての構成での試験を行うか決めてよい。
A.5.6 音圧レベルの安定性−短時間レベル変動
A.5.6.1 音響校正器の空洞内の音圧レベルの短時間レベル変動は,A.5.4で用いたマイクロホンによって,
主音圧レベル及び主周波数で測定する。音圧レベルの変動は,JIS C 1509-1に規定する公称時定数が125 ms
の時間重み付け特性Fで測定し,60 sにおける音響校正器の動作中において30回以上のランダムなサンプ
リングによって,平均値,最大値及び最小値を測定する。その最大値と平均値との差,及び最小値と平均
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
値との差の絶対値は,それぞれ表2に規定する音響校正器のクラスにおける短時間レベル変動の受容限度
値を超えてはならない。95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさは,表A.1に規定する最大許容
値を超えてはならない。
注記 0.01 dB以上の分解能をもつサウンドレベルメータがこれらの測定の要求事項を満たす。
A.5.6.2 短時間レベル変動は,一つのマイクロホンで測定する。
A.5.6.3 複数の音圧レベルを発生できる音響校正器は,取扱説明書で指定する主周波数の最小音圧レベル
及び最小周波数の主音圧レベルで,A.5.6.1及びA.5.6.2に従って短時間レベル変動の測定を繰り返す。
表A.1−基準環境条件近傍での音圧レベル及び短時間レベル変動の
95 %の包含確率で算出した測定の不確かさの最大許容値
公称周波数範囲
Hz
音圧レベルの測定の不確かさ
dB
短時間レベル変動の測定の不確かさ
dB
クラスLS
クラス1
クラス2
クラスLS
クラス1
クラス2
31.5〜63
−
0.20
−
−
0.15
−
63を超え160未満
−
0.20
−
−
0.10
−
160〜1 250
0.10
0.15
0.35
0.02
0.03
0.05
1 250を超え4 000以下
−
0.25
−
−
0.03
−
4 000を超え8 000以下
−
0.35
−
−
0.03
−
8 000を超え16 000以下
−
0.50
−
−
0.03
−
クラスLS又はクラス2の音響校正器について,表の公称周波数範囲の“−”印は,この規格で受容限度値を
規定していないことを示す。
A.5.7 周波数
A.5.7.1 音響校正器が発生する音の周波数は,A.5.4で用いたマイクロホンによって,取扱説明書で指定
する各周波数について主音圧レベルで20 s〜25 s間の平均値を測定する。各周波数の測定値の対応する指
定周波数からの百分率で表した偏差の絶対値は,表4に規定する受容限度値を超えてはならない。95 %の
包含確率で算出した実際の測定の不確かさは,表A.2に規定する最大許容値を超えてはならない。
A.5.7.2 周波数の測定は,内蔵又は外部の電源電圧を,音響校正器が備える電池状態表示器又は発生音停
止機能が働く最小動作電圧に対して偏差を5 %以内に設定し,マイクロホンを結合したまま繰り返す。ま
た,取扱説明書に指定する音圧レベルと周波数との次の組合せについて,測定する。
− 主音圧レベルと主周波数との組合せ
− 最大音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最小音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最低周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
− 最高周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
A.5.7.3 各周波数の測定値の対応する指定周波数からの百分率で表した偏差の絶対値は,表4に規定する
受容限度値を超えてはならない。95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさは,表A.2に規定する
最大許容値を超えてはならない。
A.5.7.4 音響校正器が外部電源に接続するように設計されている場合には,周波数の測定は,最大許容供
給電圧について,主音圧レベル及び主周波数で繰り返す。各測定周波数の対応する指定周波数からの百分
率で表した偏差の絶対値は,表4に規定する対応するクラスの受容限度値を超えてはならない。95 %の包
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
含確率で算出した実際の測定の不確かさは,音響校正器のクラスについて表A.2に規定する最大許容値を
超えてはならない。
表A.2−基準環境条件近傍での周波数の95 %の包含確率で
算出した測定の不確かさの最大許容値
単位 %
周波数の測定の不確かさの最大許容値
クラスLS
クラス1
クラス2
0.2
0.2
0.2
測定の不確かさは,指定周波数からの百分率で表した偏差に適用する。
A.5.8 全ひずみ及び雑音
A.5.8.1 音響校正器が発生する音圧の全ひずみ及び雑音は,取扱説明書で指定する最大及び最小音圧レベ
ルの各周波数で,A.5.4で用いたマイクロホンによって,公称周波数が22.4 Hz〜22.4 kHzの帯域で測定し,
20 s〜25 s間の平均値を測定する。全ひずみ及び雑音は,バンドエリミネーションフィルタをもつひずみ
率計又は適切なFFTアナライザを用いて測定することができ,用いた測定方法を記録する。全ひずみ及び
雑音の測定値は,表7に規定する受容限度値を超えてはならない。95 %の包含確率で算出した実際の測定
の不確かさは,音響校正器の表A.3に規定する最大許容値を超えてはならない。全高調波ひずみを測定す
る機器は使用してはならない。
注記 10のべき(冪)のオクターブ及び1/3オクターブフィルタでは,22.4 Hzは,31.5 Hzのオクタ
ーブ又は25 Hzの1/3オクターブフィルタの帯域下端周波数である。また,22.4 kHzは,16 kHz
のオクターブ又は20 kHzの1/3オクターブフィルタの帯域上端周波数である。
A.5.8.2 全ひずみ及び雑音の測定は,内蔵又は外部の電源電圧を,音響校正器が備える電池状態表示器又
は発生音停止機能が働く最小動作電圧に対して偏差を5 %以内に設定し,繰り返す。また,取扱説明書で
指定する音圧レベルと周波数との次の組合せについて,測定する。
− 最大音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最小音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最低周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
− 最高周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
A.5.8.3 全ひずみ及び雑音の測定値は,表7に規定する受容限度値を超えてはならない。95 %の包含確率
で算出した実際の測定の不確かさは,表A.3に規定する最大許容値を超えてはならない。
表A.3−基準環境条件近傍での全ひずみ及び雑音の95 %の包含確率で
算出した測定の不確かさの最大許容値
公称周波数範囲
Hz
全ひずみ及び雑音の測定の不確かさの最大許容値
%
クラスLS
クラス1
クラス2
31.5以上160未満
−
1.0
−
160〜1 250
0.5
0.5
1.0
1 250を超え16 000以下
−
1.0
−
上記の測定の不確かさは,ひずみの百分率で表している。
クラスLS又はクラス2の音響校正器について,表の公称周波数範囲の“−”印は,この規格で受容限度値を
規定していないことを示す。
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A.6 環境試験
A.6.1 一般事項
A.6.1.1 取扱説明書に,電池の特定の形式及び種類が指定されている場合には,環境試験は,その電池を
用いて行う。
A.6.1.2 音響校正器が発生する音圧レベルに対する周囲温度及び相対湿度の影響を試験する時間を短縮
するために,A.6.4では,A.6.5〜A.6.7に規定する試験を簡略化した方法を適用する。この短縮試験では,
音響校正器が発生する音圧について,周囲温度及び相対湿度を組合せた環境条件で測定する。短縮試験に
よるこの規格への適合性は,試験結果が,表5及び表6よりも小さくした受容限度値内にあることで実証
できる。音響校正器が短縮試験の全ての項目で小さくした受容限度値(A.6.4.7参照)に適合する場合には,
この規格に適合するものとみなし,A.6.5〜A.6.7に規定する試験は必要としない。音響校正器がA.6.4の短
縮試験のいずれかの項目で,小さくした受容限度値に適合しない場合には,表5及び表6の受容限度値内
で適合するかどうかを実証するために,A.6.5〜A.6.7の全ての試験を行う。
A.6.1.3 クラスLS/M及びクラス1/Mの音響校正器では,測定値が基準環境条件における値となるよ
うに,静圧について取扱説明書に記載する補正値を適用する。気圧計が音響校正器の附属品として提供さ
れている場合には,それによって静圧を測定する。
注記 一部の気圧計には,測定値を補正するための補正値を直接表示するものもある。
A.6.2 静圧の影響
A.6.2.1 音響校正器が発生する音圧レベルを,主周波数及び取扱説明書で指定する主周波数より高い全て
の周波数における主音圧レベルで,適用される静圧の範囲において測定する。測定は,必要とする範囲に
おいて静圧及び温度係数が既知の,指定する形式及び構成の一つのマイクロホンを用いて行う。測定中の
周囲温度は,基準周囲温度の±2 ℃が望ましく,可能な限り一定に保つ。基準静圧での相対湿度は,基準
相対湿度に対して相対湿度の値で±20 %とする。
注記 ある容積内の湿潤空気について,ある量の湿潤空気を除去して静圧を減少させた場合,又はあ
る量の湿潤空気を追加して静圧を増加させた場合,水蒸気の量が容積内に占める割合は,減少
又は増加する。このため,相対湿度は,最初の状態に対し,減少又は増加する。実用的な理由
から,静圧の影響の試験では,静圧を変化させるために空気の量を除去又は追加することによ
って生じる相対湿度の変化は,補償しない。
A.6.2.2 音圧レベルの測定は,五つ以上の静圧で行い,静圧を変化させたときのマイクロホンの出力電圧
レベルの,基準環境条件でのマイクロホンの出力電圧レベルに対する偏差を求める。五つの静圧には,基
準静圧並びに最高静圧及び最低静圧を含む。音響校正器を順応させるために,測定の前に各静圧で10分間
以上放置する。静圧は,95 %の包含確率で算出した実際の不確かさが0.2 kPaを超えない測定が可能で,
国家標準へのトレーサビリティのある校正を行った測定器を用いて測定する。
A.6.2.3 クラスLS/M及びクラス1/Mの音響校正器に対しては,必要に応じて,A.6.1.3に規定する方
法で測定した音圧レベルを基準静圧での値となるように補正する。該当する場合,静圧,周囲温度及び相
対湿度の変化による影響を考慮してマイクロホンの感度レベルを補正する。
A.6.2.4 異なる静圧での音圧レベルの測定値(クラスLS/M又はクラス1/Mに分類される音響校正器
で該当する場合は静圧に対する補正をした値)と,基準環境条件における測定値との差の絶対値が,表2
及び表5に規定する受容限度値内となる静圧の範囲は,少なくとも取扱説明書に記載する範囲でなければ
ならない。その範囲は,音響校正器のクラスについて,5.5に規定する範囲を含んでいなければならない。
95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさは,音響校正器のクラスについて,表A.4に規定する最
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
大許容値を超えてはならない。
A.6.2.5 音響校正器が発生する音圧の全ひずみ及び雑音は,A.5.8.1に従って最低静圧で,取扱説明書に指
定する主周波数及び最大音圧レベルに対して測定する。
表A.4−規定する環境条件における音圧レベルに対する
95 %の包含確率の測定の不確かさの最大許容値
公称周波数範囲
Hz
音圧レベルの測定の不確かさの最大許容値
dB
クラスLS
クラス1
クラス2
31.5以上160未満
−
0.25
−
160〜1 250
0.10
0.15
0.20
1 250を超え4 000以下
−
0.30
−
4 000を超え8 000以下
−
0.35
−
8 000を超え16 000以下
−
0.40
−
これらの測定の不確かさは,規定する環境条件で測定した音圧レベルと基準環境条件で測定した音圧レベル
との差に対する不確かさである。
この測定の不確かさには,該当する場合,製造業者が提供する補正値の不確かさも含む。
この測定の不確かさには,表A.1に規定する基準環境条件での測定の不確かさを含まない。
クラスLS又はクラス2の音響校正器について,表の公称周波数範囲の“−”印は,この規格で受容限度値を
規定していないことを示す。
A.6.3 温湿度の変化による影響の試験における順応
A.6.3.1 音響校正器が発生する音圧レベル,周波数及び全ひずみ及び雑音について,周囲温度及び相対湿
度の変化による影響を試験するために,音響校正器及び計測用マイクロホンを,環境試験器内に置く。
A.6.3.2 周囲温度及び相対湿度の変化による影響の試験では,周囲の環境条件に順応させる間,測定用の
マイクロホンを音響校正器に結合させず,音響校正器の電源スイッチは切っておく。
A.6.3.3 測定に先立ち,音響校正器は電源を切り,基準環境条件近傍で安定させるために12時間放置す
る。
A.6.3.4 安定後,周囲温度及び相対湿度を組合せた影響の試験及び相対湿度だけの影響の試験について
は,測定に先立ち,各測定条件に順応させるために,音響校正器及びマイクロホンを更に7時間以上放置
する。周囲温度だけの影響の試験については,この付加的な順応時間は,3時間以上とする。
A.6.3.5 相対湿度に影響を与えることなくマイクロホンと音響校正器とを結合させる装置を試験機関が
備えている場合は,マイクロホンと音響校正器とを結合することによる圧力平衡に必要な時間を経過した
後,測定を行うことができる。このような装置がない場合には,測定を開始する前に,更に3時間の順応
時間が必要となる。
A.6.4 周囲温度の影響及び相対湿度の影響の組合せによる短縮試験
A.6.4.1 主音圧レベル及び主周波数で音響校正器が発生する音圧レベル及び周波数を,各クラスについ
て,次の周囲温度と相対湿度との組合せで測定する。
a) クラスLS
− 基準環境条件に規定する周囲温度と相対湿度との組合せ
− 周囲温度16 ℃と相対湿度25 %との組合せ
− 周囲温度30 ℃と相対湿度90 %との組合せ
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b) クラス1
− 基準環境条件
− 周囲温度−10 ℃と着氷がない状態との組合せ
− 周囲温度5 ℃と着氷がない状態との組合せ
− 周囲温度40 ℃と相対湿度90 %との組合せ
− 周囲温度50 ℃と相対湿度50 %との組合せ
c) クラス2
− 基準環境条件に規定する周囲温度と相対湿度との組合せ
− 周囲温度0 ℃と着氷がない状態との組合せ
− 周囲温度40 ℃と相対湿度90 %との組合せ
測定中,静圧は基準静圧の−4.0 kPa〜+2.0 kPaで可能な限り一定に保つ。規定する環境条件での温度及
び湿度の許容限度値は,±2.5 ℃及び相対湿度の値で±10 %とする。音圧レベルと周波数の測定は,必要
な範囲において静圧,周囲温度及び相対湿度係数が既知の指定する形式及び構成のマイクロホンの一つを
用いて行う。周囲温度及び相対湿度は,国家標準へのトレーサビリティのある校正をした温度計及び湿度
計を用いて測定する。これらは,適合性の評価に影響を与えないよう,十分な性能でその環境条件を測定
できるものでなければならない。95 %の包含確率とした実際の測定の不確かさは,0.5 ℃及び相対湿度の
値で5 %を超えてはならない。最初に基準環境条件で音圧レベル及び周波数を測定し,それに続き,規定
の最高周囲温度で開始し,規定する温度を下げていく順序で測定を行う。その後,再び,基準環境条件で
測定を行う。
注記 上記の周囲温度と相対湿度との組合せは,利用できる環境試験器で起こり得る露点を考慮して
(露点に達し,結露しないように)選択したものである。また,この組合せは,クラスLS,ク
ラス1及びクラス2の音響校正器の一般的な適用範囲となる環境条件範囲を反映させたもので
もある。
A.6.4.2 音響校正器が発生する音圧レベル及び周波数の測定は,周囲温度及び相対湿度を変化させたとき
のマイクロホンの出力信号の電圧のレベル及び周波数の,最初に行った基準環境条件での周囲温度及び相
対湿度におけるマイクロホンの出力信号の電圧のレベル及び周波数に対する偏差を求めて行う。
A.6.4.3 クラスLS/M又はクラス1/Mの音響校正器について,測定した音圧レベルは,音響校正器の
クラスに該当する場合,A.6.1.3に規定する方法によって,基準環境条件での値となるように補正する。該
当する場合,静圧,周囲温度及び相対湿度の変化による影響を考慮してマイクロホンの感度レベルを補正
する。
A.6.4.4 複数の音圧レベル及び/又は複数の周波数を発生可能な音響校正器では,規定の周囲温度及び相
対湿度について,取扱説明書に指定する音圧レベルと周波数との次の組合せについて,測定を繰り返す。
− 最大音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最小音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最低周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
− 最高周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
A.6.4.5 複数の音圧レベル及び/又は複数の周波数を発生可能な音響校正器では,さらに,該当するクラ
スのA.6.4.1に規定する最高及び最低の周囲温度とそれに対応する相対湿度の組合せで,取扱説明書に指定
する音圧レベルと周波数との次の組合せについて,測定を繰り返す。
− 主音圧レベルと主周波数との組合せ
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− 最大音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最小音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最低周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
− 最高周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
A.6.4.6 音響校正器が発生する音圧レベル及び周波数の測定は,周囲温度及び相対湿度を変化させたとき
のマイクロホンの出力信号の電圧のレベル及び周波数の,基準周囲温度及び基準相対湿度でのマイクロホ
ンの出力信号の電圧のレベル及び周波数からの偏差を求めて行う。
A.6.4.7 測定した音圧レベル(クラスLS/M又はクラス1/M表示の音響校正器における適用可能な静
圧補正されたもの)と,基準の温度及び相対湿度の適用可能な音圧レベル及び周波数における該当する音
圧レベルの最初の測定値との差の絶対値は,表5に規定する受容限度値からクラスLS及びクラス1の音
響校正器においては0.05 dBを減じた値,クラス2の音響校正器においては0.10 dB減じた値を超えてはな
らない。周波数の測定値と,基準環境条件での最初の測定値に対する百分率との偏差は,クラスLS,クラ
ス1及びクラス2の音響校正器について,表6に規定する受容限度値より小さくした,0.5 %,0.5 %及び
1.3 %を超えてはならない。95 %の包含確率で示された測定の実際の不確かさは,音響校正器のクラスに応
じて,表A.4及び表A.5による。
表A.5−環境条件の指定範囲における包含確率が95 %による周波数の測定の不確かさの最大許容値
単位 %
周波数の測定の不確かさの最大許容値
クラスLS
クラス1
クラス2
0.2
0.2
0.2
測定の不確かさは,指定周波数に対する百分率で表す。
A.6.5 周囲温度の影響
A.6.5.1 A.6.4に規定する試験の結果によって必要である場合には,主音圧レベル及び主周波数で,該当
する周囲温度の範囲において,音響校正器が発生する音圧レベル及び周波数を測定する。音響校正器が複
数の音圧レベル及び/又は複数の周波数を発生可能な場合は,取扱説明書に指定する音圧レベルと周波数
との次の組合せについて,測定を繰り返す。
− 最大音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最小音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数及び最高周波数との組合せ
− 最低周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
− 最高周波数とその周波数で利用できる最小音圧レベル及び最大音圧レベルとの組合せ
音圧レベル及び周波数は,必要な範囲において静圧,周囲温度及び相対湿度の係数が既知の指定するマ
イクロホンの形式及び構成の一つを用いて測定する。測定中,静圧は基準静圧の+2.0 kPa〜−4.0 kPa,相
対湿度は基準相対湿度に対して相対湿度の値で±20 %で可能な限り一定に保つ。周囲温度を変化させるた
びに,A.6.5.1に規定する許容範囲内に相対湿度が維持されているかどうかを監視することが重要である。
環境試験器内温度の急激な変化は避けることが望ましい。機器の温度が急激に変化することによって結露
が生じないように注意を払うことが望ましい。試験機関は,3時間の順応時間が不十分であると判断する
場合には,この時間を延長してもよい。
A.6.5.2 音響校正器が発生する音圧レベル及び周波数の測定は,周囲温度を変化させたときのマイクロホ
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
ンの出力信号の電圧のレベル及び周波数の,基準環境条件でのマイクロホンの出力信号の電圧のレベル及
び周波数からの偏差を求めて行う。測定は,五つ以上の周囲温度で行う。これらの周囲温度には,基準周
囲温度,各クラスにおける最低周囲温度及び最高周囲温度,並びに20 ℃〜26 ℃の範囲外にある他の二つ
の周囲温度を含む。周囲温度は,国家標準へのトレーサビリティのある校正をした温度計を用いて測定す
る。その温度計は,適合性の評価に影響を与えないよう,十分な性能で周囲温度を測定できるものでなけ
ればならない。95 %の包含確率とした実際の測定の不確かさは,0.5 ℃を超えてはならない。
A.6.5.3 クラスLS/M又は1/Mの音響校正器に対して,測定した音圧レベルは,該当する場合,A.6.1.3
に規定する方法によって,基準環境条件での値となるように補正する。該当する場合,静圧,周囲温度及
び相対湿度の変化による影響を考慮して,音圧レベルを測定するマイクロホンの感度レベルを補正する。
A.6.5.4 適用する周囲温度の範囲は,音響校正器の各クラスに対して5.5で規定する範囲を含み,取扱説
明書に規定する範囲とする。受容限度値は,次による。
− 音圧レベルの測定値(クラスLS/M又は1/Mの音響校正器については,静圧に対して補正した値)
の,基準環境条件での音圧レベルの測定値からの偏差の絶対値は,表5に規定する受容限度値を超え
てはならない。
− 周波数の測定値の,基準環境条件での周波数の測定値からの百分率で表した偏差の絶対値は,表6に
規定する受容限度値を超えてはならない。
95 %の包含確率として算出した実際の測定の不確かさは音響校正器のそれぞれのクラスに対して,表
A.4及び表A.5に規定する最大許容値を超えてはならない。
A.6.6 相対湿度の影響
A.6.6.1 A.6.4に規定する試験の結果によって必要である場合には,主音圧レベル及び主周波数で,該当
する相対湿度の範囲において,音響校正器が発生する音圧レベルを測定する。複数の音圧レベル及び/又
は周波数を発生可能な音響校正器では,取扱説明書に指定する音圧レベルと周波数との次の組合せについ
て測定を繰り返す。
− 最大音圧レベルとその音圧レベルで利用できる最低周波数,主周波数及び最高周波数との組合せ
− 最低周波数とその周波数で利用できる最大音圧レベルとの組合せ
− 最高周波数とその周波数で利用できる最大音圧レベルとの組合せ
音圧レベル及び周波数は,必要な範囲において静圧,周囲温度及び相対湿度の係数が既知の,指定する
マイクロホンの形式及び構成の一つを用いて測定を行う。測定中,静圧は基準静圧の+2.0 kPa〜−4.0 kPa,
周囲温度は基準周囲温度の±2 ℃で可能な限り一定に保つ。
A.6.6.2 音響校正器が発生する音圧レベル及び周波数の測定は,相対湿度を変化させたときのマイクロホ
ンの出力信号の電圧のレベル及び周波数の,基準環境条件でのマイクロホンの出力信号の電圧のレベル及
び周波数からの偏差を求めて行う。測定は,五つ以上の相対湿度で行う。これらには,基準相対湿度,5.5
に規定する最低相対湿度並びに最高相対湿度,及び相対湿度で40 %〜65 %の範囲外にある他の二つの相対
湿度を含む。相対湿度は,国家標準へのトレーサビリティのある校正をした湿度計を用いて測定する。そ
の湿度計は,適合性の評価に影響を与えないよう,十分な性能で相対湿度を測定できるものでなければな
らない。95 %の包含確率とした実際の測定の不確かさは,相対湿度が5 %を超えてはならない。
A.6.6.3 クラスLS/M及び1/Mの音響校正器に対して,測定した音圧レベルは,A.6.1.3に規定する方
法によって,基準静圧での値となるよう適切に補正する。該当する場合,静圧,周囲温度及び相対湿度の
変化による影響を考慮してマイクロホンの感度レベルを補正する。
A.6.6.4 適用する湿度の範囲は,音響校正器の各クラスに対して5.5で規定する範囲を含み,取扱説明書
25
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
に規定する範囲とする。受容限度値は,次による。
− 音圧レベルの測定値(クラスLS/M又は1/Mの音響校正器については,静圧に対して補正した値)
の,基準環境条件での音圧レベルの測定値からの偏差の絶対値は,表5に規定する受容限度値を超え
てはならない。
− 周波数の測定値の,基準環境条件での周波数の測定値からの百分率で表した偏差は,表6に規定する
受容限度値を超えてはならない。
95 %の包含確率として算出した実際の測定の不確かさは音響校正器のそれぞれのクラスに対して,表
A.4及び表A.5に規定する最大許容値を超えてはならない。
A.6.7 組み合わせた周囲温度及び相対湿度の影響
A.6.7.1 A.6.4に規定する試験の結果によって必要である場合には,主音圧レベル,主周波数で音響校正
器が発生する音圧レベル及び周波数を,各クラスについて,次の周囲温度及び相対湿度の組合せで測定す
る。
a) クラスLS
− 基準環境条件に規定する周囲温度と相対湿度との組合せ
− 周囲温度16 ℃,相対湿度25 %との組合せ
− 周囲温度30 ℃,相対湿度90 %との組合せ
b) クラス1
− 基準環境条件に規定する周囲温度と相対湿度との組合せ
− 周囲温度−10 ℃,着氷がないこととの組合せ
− 周囲温度40 ℃,相対湿度90 %との組合せ
c) クラス2
− 基準環境条件に規定する周囲温度と相対湿度との組合せ
− 周囲温度0 ℃,着氷がないこととの組合せ
− 周囲温度40 ℃,相対湿度90 %との組合せ
公称周囲温度及び公称相対湿度の受容限度値は,それぞれ,±2.5 ℃及び相対湿度の値で±10 %とする。
A.6.7.2 測定は,必要な範囲において静圧,周囲温度及び相対湿度の係数が既知の,指定するマイクロホ
ンの形式及び構成の一つを用いて行う。測定中,静圧は基準静圧の−4.0 kPa〜+2.0 kPaの範囲で可能な限
り一定に保つ。温度及び相対湿度を計測する機器の測定の不確かさは,95 %の包含確率として,0.5 ℃及
び相対湿度が5 %を超えてはならない。
A.6.7.3 音響校正器が発生する音圧レベル及び周波数の測定は,周囲温度及び相対湿度を変化させたとき
のマイクロホンの出力信号の電圧のレベル及び周波数の,基準環境条件でのマイクロホンの出力信号の電
圧のレベル及び周波数からの偏差を求めて行う。周囲温度及び相対湿度は,国家標準へのトレーサビリテ
ィのある校正をした温度計及び湿度計を用いて測定する。これらは,適合性の評価に影響を与えないよう
に,十分な性能で試験環境条件を測定できるものでなければならない。
A.6.7.4 クラスLS/M及びクラス1/Mの音響校正器に対して,測定した音圧レベルは,該当する場合,
A.6.1.3に規定する方法によって,基準静圧での値となるように補正する。該当する場合,静圧,周囲温度
及び相対湿度の変化による影響を考慮してマイクロホンの感度レベルを補正する。
A.6.7.5 音圧レベルの測定値(クラスLS/M又はクラス1/Mの音響校正器については,静圧に対して
補正した値)の,基準環境条件での音圧レベルの測定値からの偏差の絶対値は,表5に規定する受容限度
値を超えてはならない。周波数の測定値の,基準環境条件での周波数の測定値からの百分率で表した偏差
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
の絶対値は,表6に規定する受容限度値を超えてはならない。95 %の包含確率として算出した実際の測定
の不確かさは,表A.4及び表A.5に規定する受容限度値を超えてはならない。
A.7 電磁両立性
A.7.1 一般事項
A.7.1.1 音響校正器の個々の構成にとって可能な場合,この箇条に規定する試験を行う。この箇条に規定
する試験が不可能な場合には,等価な別の試験で代用する。
A.7.1.2 試験中,音響校正器は,行われる試験に対して適切であると取扱説明書で指定する動作モードに
設定する。取扱説明書において,推奨する電源を用いて,音響校正器を動作させる。
A.7.1.3 試験を行うために必要な装置及び試験方法の詳細については,ほとんどが他の規格に規定されて
おり,この箇条では付加的な要求事項を規定する。関連する全ての試験については,箇条2に示す規格を
引用する。
A.7.1.4 電磁場及び静電場のパラメータの測定の不確かさは,該当する規格に規定される。音響校正器を
試験する機関の,95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさは,この箇条で規定する最大許容値を
超えてはならない。
A.7.2 無線周波エミッション
A.7.2.1 音響校正器は,試験する周波数範囲で無線周波エミッションが最大になるとして取扱説明書に指
定する構成及び設定とする。
A.7.2.2 1 μV/mを基準とするデシベルで表した無線周波エミッションレベルは,CISPR 16-2-3:2016に規
定する方法で測定する。準せん頭値検出器は,この規格で規定している周波数範囲でCISPR 16-1-1に適合
していなければならない。
A.7.2.3 測定用受信機,アンテナ及び試験手順は,CISPR 22:2008の箇条6(放射妨害波の許容値)及び
箇条10(放射妨害波の測定法)による。エミッションの全ての測定値は,IEC 61000-6-3:2006及びAmendment
1:2010の表1のエンクロージャポートについての要求事項に適合しなければならない。
A.7.2.4 音響校正器は,まず,取扱説明書に指定する基準の向きで試験する。取扱説明書に指定する一つ
の形式のマイクロホンを,音響校正器に結合しておく。
A.7.2.5 A.7.2.1及びA.7.2.4に規定する構成を維持したままで,音響校正器を少なくとも他の一つの向き
にして無線周波エミッションを測定する。その向きは,使用する無線周波電磁界測定システムで利用でき
る位置の制約の中で,基準の向きに対して互いに直交する向きとする。
A.7.2.6 音響校正器の位置を固定するための器具など(該当する場合,マイクロホン及びケーブルを含
む。)は,音響校正器からの無線周波エミッションの測定に著しい影響を与えるものであってはならない。
A.7.2.7 音響校正器がケーブルを接続するコネクタを備えている場合には,無線周波エミッションの全て
の試験は,接続可能な全てのケーブルを接続して行う。音響校正器の製造業者がそのケーブルで音響校正
器に接続する機器を提供していない場合,全てのケーブルは終端せずに放置し,CISPR 22:2008の8.2に
従って配置する。音響校正器の製造業者が音響校正器に接続する機器を提供している場合には,その全て
の機器をケーブルで互いに接続して試験する。
A.7.2.8 無線周波エミッションの試験は,5.9.2.1に規定する要求事項に適合しなければならない。
A.7.3 静電気放電に対するイミュニティ
A.7.3.1 静電気放電についての試験に必要な装置及び方法は,JIS C 61000-4-2:2012に規定する。
A.7.3.2 音響校正器に機器を接続できるコネクタがあるが通常の動作モードでは接続する必要がない場
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
合,静電気放電試験中,ケーブルは接続しない。コネクタの表面又は音響校正器のきょう(筐)体の表面
より奥にあるピンに対して,放電は行わない。
A.7.3.3 試験中に音響校正器の位置を固定するための器具などは,静電気放電試験で必要な音響校正器の
部分を隠してはならない。また,音響校正器の試験に影響を与えるものであってはならない。指定する一
つの形式のマイクロホンを音響校正器に結合する。音響校正器を,主音圧レベルの主周波数での通常使用
状態となるように取扱説明書に従って設定する。
A.7.3.4 音響校正器の該当する部分に対して,要求される全ての極性の最大電圧の接触放電及び気中放電
を,それぞれ10回ずつ印加する。放電を繰り返す前に,行われた試験の影響を除去するために,音響校正
器は完全に除電されていることを確認することが望ましい。
A.7.3.5 放電後,音響校正器は,放電前と同じ動作状態に復帰していなければならない。試験を通して,
性能の非量的変化は許容する。
A.7.3.6 取扱説明書に放電試験後の性能の劣化又は機能の損失を記載したとしても,この性能の劣化又は
機能の損失には,恒久的な動作の制約を含んではならない。
A.7.4 電源周波数磁界及び無線周波電磁界に対するイミュニティ
A.7.4.1 無線周波電磁界に対するイミュニティの試験は,JIS C 61000-4-3:2012に規定する方法,又はTEM
導波管を用いる方法で実施する。TEM導波管の要求事項は,JIS C 61000-4-20:2014に規定しており,試験
の実施方法は,JIS C 61000-4-20:2014の附属書Bに規定している。試験する機器の性能要求事項は,試験
する周波数範囲と増分を含めて変更しない。
A.7.4.2 最初に,マイクロホン又はリモートマイクロホンのアダプタを音響校正器に結合して,取扱説明
書に指定する基準の向きで試験を行う。音響校正器は,主音圧レベル及び主周波数で動作するように設定
する。電磁界が存在しないときに発生する音圧レベルを記録する。マイクロホンへの電磁界の影響を可能
な限り除去するために,非金属性の管を含むリモートマイクロホンのアダプタを,対象とする音響校正器
の置かれた場所よりも電界強度が小さい場所に設置したマイクロホンと音響校正器との間に挿入してもよ
い。
A.7.4.3 無線周波電磁界に対するイミュニティの試験は,JIS C 61000-4-3:2012の箇条8の規定に従って離
散周波数で行う。変調信号の搬送波の周波数は,500 MHz未満の周波数の場合,4 %以下の増分で変化さ
せる。それ以外の周波数の場合,周波数の増分はJIS C 61000-4-3:2012で規定している1 %を2 %と置き換
えてよい。各周波数での照射時間は,試験対象音響校正器に対して適切でなければならない。限られた数
の離散周波数での試験は,音響校正器が規定範囲内の全ての周波数でこの規格に適合していることを十分
に証明するものではない。
注記 JIS C 61000-4-3:2012に規定する1 %の離散周波数の増分は,他の規格の要求事項に対する適合
性を評価する場合に必要なことがある。
A.7.4.4 音響校正器がケーブルを接続するコネクタを備えている場合には,無線周波電磁界に対するイミ
ュニティの全ての試験は,接続可能な全てのケーブルを接続して行う。音響校正器の製造業者がそのケー
ブルで音響校正器に接続する機器を提供していない場合,全てのケーブルは終端せずに放置し,JIS C
61000-4-3:2012の7.3(配線の処理)に従って配置する。音響校正器の製造業者が音響校正器に接続する機
器を提供している場合には,その全ての機器をケーブルで互いに接続して試験する。
A.7.4.5 マイクロホンが電源周波数磁界の影響を受けないような方法でマイクロホンを音響校正器に結
合して,5.9.4.1の規定に従い,電源周波数磁界の試験を行う。取扱説明書に指定する形式の一つのマイク
ロホンを用いる。
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
A.7.4.6 A.7.4.2及びA.7.4.4に規定する構成を維持したままで,音響校正器を少なくとも他の一つの向き
にして試験する。その向きは,使用する無線周波電磁界放射システムで利用できる位置の制約の中で,基
準の向きに対して互いに直交する向きとする。
A.7.4.7 試験中,音響校正器は,完全に動作を維持し,試験開始前と同一状態を維持しなければならない。
A.7.4.8 電源周波数磁界又は無線周波電磁界のあるときの音響校正器が発生する音圧レベルの測定値の,
磁界又は電磁界のないときとの音圧レベルの測定値からの偏差の絶対値は,5.9.4.2に規定する要求事項を
満たさなければならない。95 %の包含確率として算出した実際の測定の不確かさは,全てのクラスについ
て,0.05 dBを超えてはならない。この不確かさには,電源周波数磁界又は無線周波電磁界の測定による寄
与は含まない。
A.7.4.9 主音圧レベル及び主周波数以外の音圧レベル及び/又は周波数で,この規格の要求事項に適合し
ている場合には,電源周波数磁界及び無線周波電磁界に対するイミュニティの試験は,次に従って繰り返
す。
− 単一周波数で複数の音圧レベルを発生可能な音響校正器については,取扱説明書で指定する全ての音
圧レベルで試験する。
− 単一音圧レベルで複数の周波数を発生可能な音響校正器については,取扱説明書で指定する全ての周
波数で試験する。
− 複数の周波数で複数の音圧レベルを発生可能な音響校正器については,取扱説明書で指定する最小音
圧レベルを,取扱説明書で指定する全ての周波数で試験する。
− 複数の周波数で複数の音圧レベルを発生可能な音響校正器については,取扱説明書で指定する全ての
音圧レベルを主周波数で試験する。
A.7.4.10 それぞれの場合について,電源周波数磁界又は無線周波電磁界のあるときの音響校正器が発生す
る音圧レベルの測定値の,磁界又は電磁界のないときとの音圧レベルの測定値からの偏差は,5.9.4.2に規
定する要求事項を満たさなければならない。95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさは,全ての
クラスについて,0.05 dBを超えてはならない。この不確かさには,電源周波数磁界又は無線周波電磁界の
測定による寄与は含まない。
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附属書B
(規定)
定期試験
B.1
一般事項
B.1.1 この附属書は,定期試験で行われる試験について規定し,クラスLS,クラス1及びクラス2の音
響校正器のいずれにも適用する。全ての試験機関で一貫した方法で試験を実施されることを目的とする。
適用可能な限り,この附属書に規定する全ての試験を実施する。
B.1.2 複数の音圧レベル及び複数の周波数をもつ音響校正器の場合,依頼者から申出があれば,限定した
音圧レベル及び周波数の設定で試験してもよい。ただし,これらの組合せは主周波数における主音圧レベ
ルを含む。限定した設定で試験する場合,その旨を音響校正器に表記する。この規格に従う全ての試験を
実施していないことを示すため,証明書にその旨を記載する。この規格への適合性について一般的な記述
をすること又は結論を出すことはできない。
B.1.3 要求事項への適合性は,次の基準を満たした場合に実証することができる。
a) 設計目標値からの偏差が,受容限度値を超えない。
b) 95 %の包含確率で,測定の不確かさがこの規格に規定された測定の不確かさの最大許容値を超えな
い。
定期試験を行う機関は,ISO/IEC Guide 98-3の指針に従い,全ての測定について測定の不確かさを求め
なければならない。実際の測定の不確かさは,95 %の包含確率で計算する。
試験機関が1回だけ測定を行う場合,その試験機関は,総合的な測定の不確かさへの偶然性による寄与
を推定することになる。推定は,同種の音響校正器に対して過去に行われた複数回の測定に基づいて求め
てもよい。
B.1.4 この附属書に規定する試験によって適合性を評価するときの95 %の包含確率の測定の不確かさの
最大許容値は,附属書Aと同じである。試験機関が95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさが
測定の最大許容値を超える場合,この附属書の適合性の評価に,その測定結果を用いてはならない。
B.1.5 法定計量の目的で行う定期試験は,この附属書に規定する試験に相当する。これらの試験は,初期
検査及びそれに続く検査の両方に適用する。この附属書の試験に合格した後,試験機関が音響校正器に合
格の表記を行ってもよい。
B.1.6 ピストンホンがクラスLS/M及びクラス1/Mの両方の仕様に適合すると製造業者が宣言する場
合,依頼者からの申出がない限り,各クラスでの全ての試験を実施する。限定したクラスで性能評価した
場合,その旨を音響校正器に表記する。この規格に従ったクラスLS/M及びクラス1/Mの全ての試験を
実施していないことを示すため,証明書にその旨を付記する。また,この規格への適合性について一般的
な記述をすること又は結論を出すことはできない。
B.1.7 試験機関は,該当するパラメータについて最新の校正を行った機器を用いて測定する。必要であれ
ば,その校正は,国家標準へのトレーサビリティがなければならない。
B.2
試験のための供試品
音響校正器は,試験機関が必要とする場合には,附属品(アダプタ,気圧計など)とともに取扱説明書
の写しを添えて試験のために提供する。クラスLSの音響校正器には,個々の校正票を提供する。クラス
30
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
LSの音響校正器が修理を必要とする場合,修理後の再校正は新たに指定したレベルとする。
B.3
事前検査
測定に先立ち,音響校正器及び全ての附属品を目視検査し,正常に動作することを確認する。取扱説明
書に規定する方法によって,音響校正器の電源電圧が取扱説明書に規定する動作範囲内であることを確か
める。
B.4
性能試験
B.4.1 向き
取扱説明書が音響校正器を特定の向きで用いるよう指定する場合,試験はその向きで行う。
B.4.2 周囲の騒音
周囲の騒音が測定に影響を及ぼすのを避けるため,マイクロホンを音響校正器に挿入後,電源を入れる
前にマイクロホンで測定した音圧レベルが指定されたレベルより30 dB以上低い場合だけ試験する。
B.4.3 環境条件
B.4.3.1 この箇条の全ての試験は,次の環境条件の範囲内で行う。
− 静圧:80 kPa〜105 kPa
− 温度:20 ℃〜26 ℃
− 相対湿度:25 %〜90 %
試験室の場所の静圧が規定の範囲でない限り,静圧が規定の範囲となるよう圧力チャンバを用いる。表
2の仕様は,音圧レベルの測定に適用する。
B.4.3.2 クラスLS/M及びクラス1/Mの音響校正器では,測定値を基準静圧での値となるよう,静圧
について取扱説明書に記載する補正値を用いる。気圧計が音響校正器の附属品として提供される場合には,
その気圧計によって静圧を測定する。
注記 気圧計は,基準静圧を基準として,音圧レベルを直接補正できるデータで補正量を与えてもよ
い。
B.4.4 附属品
音響校正器に気圧計が附属品として提供される場合には,音響校正器が発生する音圧レベルの測定に先
立ち,指示値を校正された精密気圧計と比較して気圧計の検査を行い読値を記録する。音響校正器の取扱
説明書に静圧測定に関する受容限度値が記載されている場合には,静圧の読値は,取扱説明書の受容限度
値内でなければならない。静圧の指示値が取扱説明書に記述された受容限度値に入らない場合は,音響校
正器の定期試験は実施してはならない。受容限度値の記述が取扱説明書にない場合,正しい補正値が用い
られなければ,正しい定期試験は実施できない。
注記 気圧計の一つの静圧だけでの検査は,その他の静圧での性能について情報を得ることができな
い。提供される気圧計の指示値を,校正された精密気圧計と該当する静圧範囲にわたって比較
するのがよい。OIML国際勧告R97に適切な試験手順が記載されている。
B.4.5 マイクロホンの仕様
クラスLS,クラス1及びクラス2の音響校正器の試験に用いるマイクロホンは,5.8.1に規定するマイ
クロホンを用いる。
B.4.6 音圧レベル
B.4.6.1 一般事項
31
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
音響校正器にマイクロホンを結合し,マイクロホン及び音響校正器が安定化するよう取扱説明書に指定
する時間をおく。主音圧レベルと主周波数において,20 s〜25 sの時間において平均し,音響校正器が発
生する音圧レベルを測定する。
B.4.6.2 音圧レベルの測定方法
B.4.6.2.1 マイクロホン法
B.4.6.2.1.1 試験対象音響校正器が発生する音圧レベルを,校正されたマイクロホン又はマイクロホンシ
ステムを用いて測定する。挿入電圧法(IEC 61094-2参照)又はマイクロホンの開放回路電圧を測定する
等価な方法を用いてもよい。
B.4.6.2.1.2 試験機関は,国家標準への二つの独立したトレーサビリティ体系を維持することが望ましい。
一つは,マイクロホン又はマイクロホンシステムによるものであって,もう一つは,音響校正器のような
試験機関独自の校正された装置によるものである。この附属書に従う試験の前後に,校正されたマイクロ
ホン又はマイクロホンシステムの性能を,試験機関独自の装置を用いて検証することが望ましい。校正さ
れた装置を選択する際には,この規格に定める不確かさを考慮する。
B.4.6.2.2 音響校正器による比較法
B.4.6.2.2.1 試験対象となる音響校正器が発生する音圧レベルを,校正された音響校正器が発生する音圧
レベルと比較して測定する。
B.4.6.2.2.2 校正された音響校正器が,試験対象の音響校正器と同じ音圧レベル及び周波数ではない場合,
試験機関は試験対象の全ての周波数でレベル直線性を確立する必要がある。
B.4.6.2.2.3 試験機関は,国家標準への二つの独立したトレーサビリティ体系を維持することが望ましい。
一つは,校正された音響校正器によるものであって,もう一つは,別の音響校正器若しくはマイクロホン
又はマイクロホンシステムのような試験機関独自の装置によるものである。この附属書に従う試験の前後
に,校正された音響校正器の性能を,試験機関独自の装置を用いて検証することが望ましい。校正された
機器を選択する場合にはこの規格に定める不確かさを考慮する。
B.4.6.3 測定
B.4.6.3.1 B.4.6.2.1又はB.4.6.2.2に規定するいずれかの方法によって,主周波数の主音圧レベルは,3回
以上測定する。マイクロホンは各測定の前に音響校正器に結合し,各測定後に取り外す。マイクロホンの
回転方向の角度が各測定に渡って均等に分配されるよう,各結合でマイクロホンを軸周りに回転させる。
測定値の算術平均値と対応する指定音圧レベルとの差の絶対値は,表2に規定する受容限度値を超えては
ならない。包含確率を95 %とした実際の測定の不確かさは,表A.1に規定する測定の不確かさの最大許容
値を超えてはならない。
B.4.6.3.2 複数の周波数の音を発生する音響校正器では,依頼者が要求しない限り(B.1.2による。),
B.4.6.3.1の主音圧レベルの測定は,取扱説明書で指定する最高周波数及び最低周波数で繰り返す。
B.4.6.3.3 取扱説明書に記載する全ての音圧レベル及び周波数の組合せ,又は依頼者が要求する組合せに
ついて,音圧レベルの測定を,マイクロホンを結合したまま(反復をせずに),繰り返す(B.1.2参照)。測
定値と対応する指定音圧レベルとの差の絶対値は,表2に規定する受容限度値を超えてはならない。包含
確率を95 %とした実際の測定の不確かさは,表A.1に規定する測定の不確かさの最大許容値を超えてはな
らない。試験は,通常,一つの形式のマイクロホンだけで行う。
B.4.7 周波数
音響校正器が発生する音の周波数は,B.4.6で用いたマイクロホンによって,取扱説明書に記載する主周
波数,又は依頼者が指定する音圧レベルと周波数との組合せについて,主音圧レベルで20 s〜25 s間の平
32
C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
均値を測定する。各測定周波数と指定周波数との差の絶対値は,表4に規定する受容限度値を超えてはな
らない。95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさは,表A.2に規定する最大許容値を超えてはな
らない。
B.4.8 全ひずみ及び雑音
音響校正器が発生する音圧の全ひずみ及び雑音は,取扱説明書に記載する最大音圧レベル及び最小音圧
レベルの各周波数の組合せ,又は主音圧レベル及び主周波数の組合せ,並びに依頼者が指定する他の音圧
レベル及び周波数の組合せで,B.4.6で用いたマイクロホンによって,公称周波数が22.4 Hz〜22.4 kHzの
帯域において20 s〜25 s間の平均値を測定する。全ひずみ及び雑音は,バンドエリミネーションフィルタ
を用いたひずみ率計又は適切なFFTアナライザを用いて測定し,測定方法を報告する。測定した全ひずみ
及び雑音は,表7に規定する音響校正器のクラスの受容限度値を超えてはならない。包含確率を95 %とし
た実際の測定の不確かさは,表A.3に規定する測定の不確かさの最大許容値を超えてはならない。高調波
ひずみだけを測定する機器は,適切ではない。
B.5
指定の形式以外のマイクロホンによる音響校正器の校正
B.4では,特定の形式のマイクロホンを用いて,定期試験において,音響校正器のこの附属書への適合
性を評価するのに必要な全ての試験を規定している。規格への適合性の評価に加えて,依頼者が要求する
他の形式のマイクロホンに対する音響校正器の校正が可能である。これらの追加の試験に対し,測定した
音圧レベル,周波数並びに全ひずみ及び雑音は,試験報告書に記載する。この場合,その形式のマイクロ
ホンを用いて,B.4に規定する方法で測定する。音響校正器の校正に追加されたマイクロホンの形式は,
特定の形式の音響校正器に対して用いることを意図したものでなければならない。用いた測定方法,得ら
れた測定値及び対応する95 %の包含確率で求めた実際の測定の不確かさを試験報告書に記載する。
B.6
作成文書
適用可能な場合,試験報告書にはa),b),c),f),i),j),k),l),p) 及びq) を記載しなければならない。
また,d),e),g),h),m),n),o) 及びr) は推奨事項である。試験機関の発行する試験報告書の内容は,
国内の状況などに依存して様々である。ただし,音響校正器の試験の後,試験機関は,少なくとも次の事
項を記載した試験報告書を発行することが望ましい。
a) 試験を実施した機関の名称及び所在地
b) 音響校正器の製造業者又は供給者の名称及び音響校正器の形式
c) 音響校正器の製造番号と使用したアダプタ
d) 使用したマイクロホンの製造業者又は供給者の名称,並びにマイクロホンの形式及び構成
e) 定期試験に提出された音響校正器の形式が,附属書Aに規定する型式評価試験に合格していることを
示す,型式評価に責を負う試験機関による公の文書の提示の有無
f)
音響校正器が,附属書Bの規定に従って試験されたという記載
g) 音響校正器の形式が,この規格の附属書Aに規定する型式評価試験に合格している文書が公に示され
ており,附属書Bに規定する試験に合格した場合,次のように記載する。“型式評価試験の証明に責
を負う試験機関が,この音響校正器の形式がJIS C 1515:2020の附属書Aに規定する型式評価試験に
合格していることを公に示しており,試験に供された音響校正器は,JIS C 1515:2020のクラスXの全
ての要求事項に適合しているとみなす。”この結論を得る根拠となる,公示された文書を明示すること
が望ましい。
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
h) 音響校正器の形式が,この規格の附属書Aに規定する型式評価試験に合格している文書が示されてい
ないが,附属書Bに規定する試験に合格した場合,次のように記載する。“試験に供された音響校正
器は,試験を実施した環境条件において,音圧レベル及び周波数についての定期試験を規定したJIS C
1515:2020の附属書Bに規定するクラスXの要求事項への適合性を示した。しかし,型式評価試験の
証明に責を負う試験機関が,この音響校正器の形式がJIS C 1515:2020の附属書Aに規定する型式評
価試験に合格していることを公に示していることが確認できないため,この音響校正器のJIS C
1515:2020の要求事項への適合性について一般的な結論を出すことはできない。”
i)
定期試験を行った年月日
j)
全ひずみ及び雑音の測定を含む,測定に用いた方法の記述
k) 95 %の包含確率で算出した不確かさを添えた音圧レベルの測定値。“M”の文字表示が付加された音響
校正器では,基準静圧での値に補正した値。補正した場合には,静圧の補正に用いた補正値の根拠(取
扱説明書又は,例えば,気圧計というような機器)
l)
95 %の包含確率で算出した測定の不確かさを添えた周波数,及び全ひずみ及び雑音の測定値
m) 試験時の環境条件
n) 音響校正器又は提供される気圧計に調整を加えた場合には,調整を加える前に観測された指示値又は
音圧レベルの測定値
o) 試験を行った条件で,該当するクラスについて音響校正器が附属書Bの要求事項に適合しなかった場
合には,不適合であったことを示す記述
p) 複数レベル及び複数周波数の音響校正器に対して,依頼者が限定した数の音圧レベル及び周波数の設
定での試験を指定するか,又は同意する場合,次のような記述を試験報告書に含める。“JIS C 1515:2020
に適合すると取扱説明書に記載した音圧レベル及び周波数の範囲に対し,JIS C 1515:2020の附属書B
に規定する全ての定期試験を依頼者が要求しなかったため,この音響校正器のJIS C 1515:2020の要求
事項への適合性について一般的な結論を出すことはできない。”試験報告書には試験した音圧レベル及
び周波数を全て記載しなければならない。
q) 製造業者がクラスLS/M及びクラス1/Mの両方の仕様に適合する旨を宣言するピストンホンに対し
て,依頼者の合意によってクラスLS/M又はクラス1/Mのいずれかの仕様に対してだけ試験を行っ
た場合,次のような記述を試験報告書に含める。“依頼者がJIS C 1515:2020の附属書Bに規定するク
ラスXの仕様に対し音響校正器の試験を要求した。製造業者は,その音響校正器がクラスLS/M及
びクラス1/Mの両方の仕様に適合すると宣言している。この音響校正器のJIS C 1515:2020のクラス
Xに対する要求事項への適合性について一般的な結論を出すことはできない。”
注記 “クラスX”は,“クラスLS/M1”又は“クラス1/M”のいずれかの適切なクラスに置き
換える。
r) 該当する場合,B.5に従い追加した,特定の形式以外のマイクロホンに対する,95 %の包含確率で算
出した測定の不確かさを添えた音圧レベル,周波数,及び全ひずみ及び雑音の値
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
附属書C
(規定)
型式評価試験の報告書
C.1 一般事項
C.1.1 法定計量制度の下で試験に提出された音響校正器は,この規格の要求事項に適合しなければならな
い。
C.1.2 法定計量の目的で行う型式評価試験の最大許容誤差は,この規格に規定する受容限度値に相当す
る。
C.1.3 型式評価試験報告書には,型式評価のために提出された音響校正器の全ての試験の詳細及び試験結
果を記載する。型式評価試験は,附属書Aに規定しており,該当する全ての試験を行わなければならない。
C.1.4 試験機関は,型式評価試験に適合した音響校正器の形式を公に示すことが望ましい。
C.2 表記
附属書Aに規定する試験に合格した後,国内法規などに基づき,6.1に規定する表記に加え,音響校正
器に型式証明の表記を行ってもよい。
C.3 試験のための提出物
C.3.1 型式評価試験に提出する同一形式の音響校正器の台数は,A.2.1による。
C.3.2 音響校正器は,取扱説明書に記載する全ての附属品(アダプタ,気圧計など)とともに提出する。
C.3.3 クラスLSの音響校正器には,6.2に規定する全ての事項を記載した個別の校正票を提供する。
C.3.4 音響校正器には,取扱説明書を提供する。
C.4 型式評価試験の報告内容
C.4.1 音響校正器の一つの形式に対して,附属書Aに規定する要求事項に対する試験の報告のために型
式評価試験報告書を作成する。型式評価試験報告書は二つの部からなる。第1部は,報告の概要及び適合
性に関する記述からなっており,この規格に規定する事項が全て明示されているかも検証する。第2部に
は,試験結果の詳細を記載する。報告書のこれら二つの部は,異なる機関によって作成されてもよい。ま
た,第2部の全ての試験を一つの機関で行うことができない場合,複数の機関が分担して行うことも可能
である。いずれの場合であっても,試験を行った機関は,行った部分の型式評価試験報告書について責を
負う。試験を行ったそれぞれの機関の正式名称及び所在地を明記する。第2部については,型式評価試験
報告書の中で,それぞれの試験を行った機関を明確にする。型式評価試験報告書は,電子形式で提供して
も良い。
C.4.2 型式評価試験報告書の各ページの上部余白部分に次の情報を記載する。
− JIS C 1515:2020(IEC 60942:2017)附属書Cの引用
− 報告書としてのページ番号
− 測定者名又はそれを示す略記号
− 試験を行った年月日
− 報告書の識別番号
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
それぞれの表に,試験に用いた音響校正器の製造番号,アダプタ及び試験に使用したマイクロホンの情
報を明記する。
C.4.3 該当する場合には,試験対象音響校正器の供試品ごとにページを分けて記載する。
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
附属書D
(参考)
許容区間及び受容区間と測定の不確かさの最大許容値との関係
IEC/TC29が定めた他の規格と同様に,機器の仕様適合性の基礎として,この規格は,ISO/IEC Guide
98-4:2012の指針に従う。
ISO/IEC Guide 98-4:2012には,許容区間及び受容区間と測定の不確かさの最大許容値との関係を考慮し
た合格範囲が記載されている。
使用者及び試験機関に対して明らかにするため,設計目標値からの許容限度値をこの規格では明示的に
は規定していないが,必要な場合,設計目標値からの許される偏差である受容限度値及び対応した測定の
不確かさの最大許容値から,図D.1を用いてその許容限度値を求めることができるとの方針をIEC/TC 29
は採用した。
記号
AI
受容区間
TI
許容区間
Umax 95 %の包含区間をもつ測定の不確かさの最大許容値の保護帯域
AL
受容限度値の下限
AU
受容限度値の上限
TL
許容限度値の下限
TU
許容限度値の上限
図D.1−許容区間及び受容区間と測定の不確かさの最大許容値との関係
受容区間の上下限は測定の不確かさの最大許容値の保護帯域には関係がない。したがって,試験機関に
おける測定の不確かさが定められた不確かさの最大許容値を超えない場合,受容区間の限度値に等しい偏
差は,仕様に適合する。
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
附属書E
(参考)
この規格の仕様に対する適合性評価の例
E.1
一般事項
E.1.1 この附属書の目的は,音響校正器の型式評価試験又は定期試験において,この規格の仕様に対する
適合性評価のための測定結果及び測定の不確かさの使用方法を明確にすることである。
E.1.2 この附属書では,幾つかの一般的な実例を用いて適合性評価を示す。
E.2
適合基準
E.2.1 この規格の要求によって,設計目標値からの偏差が受容限度値を超えず,かつ,測定の不確かさが
包含確率95 %の測定の不確かさの最大許容値を超えない場合,仕様に適合しているとみなす。
E.2.2 E.2.1の二つの基準から,次の四つの判定基準がある。
a) 偏差が受容限度値を超えず,かつ,実際の測定の不確かさが測定の不確かさの最大許容値を超えない
場合,仕様に適合とみなす。
b) 偏差が受容限度値を超えず,かつ,実際の測定の不確かさが測定の不確かさの最大許容値を超える場
合,測定の不確かさが不確かさの最大許容値を超えているため,不適合とみなす。
c) 偏差が受容限度値を超え,かつ,実際の測定の不確かさが測定の不確かさの最大許容値を超えない場
合,偏差が受容限度値を超えているため,不適合とみなす。
d) 偏差が受容限度値を超え,かつ,実際の測定の不確かさが測定の不確かさの最大許容値を超える場合,
いずれの基準も満たしていないため,不適合とみなす。
注記 試験機関は,測定の不確かさを事前に求めることが可能である。事前に求めた測定の不確かさ
が測定の不確かさの最大許容値を超える場合,その試験機関は,試験を実施することができな
い。
E.3
試験結果の例
E.3.1 表E.1は,この規格の仕様への適合又は不適合の決定方法を説明するための試験結果例である。受
容限度値及び測定の不確かさの最大許容値が規定されるあらゆる試験にこの方法を適用する。
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
表E.1−適合性評価の例
単位 dB
例番号 設計目標値
からの偏差
受容限度値
実際の測定
の不確かさ
測定の不確
かさの最大
許容値
仕様への適合
適合又は不適合
適合又は不適合理由
1
0.40
0.25
0.12
0.15
不適合
偏差が受容限度値を超えている
[E.2.2 c)]。
2
0.35
0.25
0.12
0.15
不適合
偏差が受容限度値を超えている
[E.2.2 c)]。
3
0.20
0.25
0.13
0.15
適合
偏差が受容限度値以内,かつ,
実際の測定の不確かさが測定の
不確かさの最大許容値以内
[E.2.2 a)]
4
0.00
0.25
0.14
0.15
適合
偏差が受容限度値以内,かつ,
実際の測定の不確かさが測定の
不確かさの最大許容値以内
[E.2.2 a)]
5
0.00
0.25
0.17
0.15
不適合
偏差が受容限度値以内であるが
実際の測定の不確かさが測定の
不確かさの最大許容値を超えて
いる[E.2.2 b)]。
6
0.25
0.25
0.10
0.15
適合
偏差が受容限度値以内,かつ,
実際の測定の不確かさが測定の
不確かさの最大許容値以内
[E.2.2 a)]
7
0.25
0.25
0.15
0.15
適合
偏差が受容限度値以内,かつ,
実際の測定の不確かさが測定の
不確かさの最大許容値以内
[E.2.2 a)]
8
0.40
0.25
0.50
0.20
不適合
偏差が受容限度値を超え,かつ,
実際の測定の不確かさが測定の
不確かさの最大許容値を超えて
いる[E.2.2 d)]。
E.3.2 図E.1に,表E.1に掲げた適合性評価の8例を示す。
E.3.3 適合性評価のために表E.1及び図E.1に示した例は,型式評価試験及び定期試験に適用する。
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C 1515:2020 (IEC 60942:2017)
記号
a:受容限度値の上限
b:受容限度値の下限
図E.1内の太い横線は,受容限度値の下限及び上限を示す。
設計目標値からの偏差を“◆”又は“×”で示す。
“◆”は仕様への適合を示し,“×”は不適合を示す。
垂直の太線(エラーバー)は,実測した測定の不確かさを示しており,垂直な灰色の枠は測定の不確かさの最大許
容値を示している。
図E.1−適合性評価の例
参考文献 JIS C 1515:2004 電気音響−音響校正器
IEC 61094-2:2009,Electroacoustics Measurement microphones−Part 2: Primary method for pressure
calibration of laboratory standard microphones by the reciprocity technique
ISO/IEC Guide 98-4:2012,Uncertainty of measurement−Part 4: Role of measurement uncertainty in
conformity assessment
CISPR 16-1-1,Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods−
Part 1-1: Radio disturbance and immunity measuring apparatus−Measuring apparatus
OIML International Recommendation R 97:1990,Barometers
‒0.4
‒0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
設
計
目
標
か
ら
の
偏
差
(
d
B
)
表E.1の例番号
1
2
3
4
5
6
7
8
a
b