2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 1512-1996
騒音レベル,振動レベル記録用
レベルレコーダ
Level recorders for recording sound level
and/or vibration level
1. 適用範囲 この規格は,騒音レベル及び振動レベル又はそれらのいずれかの記録(1)を行う指数応答形
のペン応答をもつレベルレコーダについて規定する。
また,附属装置,騒音計又は振動レベル計の直流出力(実効値出力)を用いて指数応答形の記録を行う
レベルレコーダ(以下,附属装置等付レベルレコーダという。)についてもこの規格を適用する。この規格
において,附属装置等付レベルレコーダの構成及び試験の要件については,附属書による。
なお,特に断らない限りこれらを総称して,以下,レベルレコーダという。
注(1) ここに述べる騒音レベル及び振動レベル又はそれらのいずれかの記録とは,JIS C 1502又はJIS
C 1510の交流出力信号を用いて騒音レベル又は振動レベルを記録紙上に記録することで,また,
普通騒音計又は振動レベル計の指示値と同等以上の精度をもつものをいう。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS C 1502 普通騒音計
JIS C 1510 振動レベル計
2. 用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,JIS C 1502及びJIS C 1510によるほか,次による。
(1) 記録値 入力信号の記録を,記録紙の目盛から読み取った値。ただし,記録された線の太さが無視で
きない場合は,線の中心を読み取る。
(2) 指数応答形 記録用ペンの応答が入力信号の実効値について一次遅れ系の動作をするもの(2)。
注(2) 騒音計又は振動レベル計と同じ指示応答をもつ。
(3) 立下り特性 定常入力信号を急に切断したときの記録値の応答。
3. 定格
3.1
使用周波数範囲 周波数範囲は,1〜8 000Hzを含む。ただし,騒音レベル記録用(以下,騒音レベ
ル用という。)は20〜8 000Hz,振動レベル記録用(以下,振動レベル用という。)は1〜80Hzを含む。
3.2
使用温度範囲 温度範囲は,0〜40℃を含む。
3.3
使用湿度範囲 湿度範囲は,相対湿度35〜85%を含む。
4. 性能
4.1
記録誤差 記録誤差は,±0.5dB以内とする。
2
C 1512-1996
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4.2
周波数レスポンス 周波数レスポンスは平たん特性とし,その許容差は±0.5dBとする。ただし,1Hz
での許容差は±1dBとする。
4.3
レベルレンジ切換器の切換誤差 レベルレンジ切換器を備えている場合,レベルレンジ切換器の切
換誤差は,±0.5dB以内とする。
4.4
自己雑音 自己雑音による誤差は,レベルレコーダの感度を最大にしたときでも1dB以下とする。
4.5
レベル記録特性
4.5.1
実効値記録特性 波高率3となる正弦波の繰返し断続信号による記録値の誤差は,±1dB以内とす
る。
4.5.2
動特性 動特性は,騒音計の速い動特性(F又はFAST)及び遅い動特性(S又はSLOW)並びに
振動レベル計の動特性について,次の(1)による立上り特性及び(2)による立下り特性とする。
(1) 立上り特性 付表1の番号2に示す周波数と付表1の番号3に示す継続時間の正弦波入力信号による
最大記録値は,その入力信号と周波数及び振幅が等しい定常正弦波入力信号による記録値に対して,
付表1の番号4に示す範囲内とする。
(2) 立下り特性 付表1の番号2に示す周波数の定常正弦波信号を切断後,記録値が10dB減少するのに
要する時間は,付表1の番号5に示す値以下とする。
4.6
紙送り速度の誤差 紙送り速度の誤差は,±2%以内とする。
4.7
記録値の安定性 電源投入時から1分後と10分後の記録値の変化は,交流式のものでは定格電圧に
対して±10%の電圧変動で,電池式のものでは定格電圧に対して許容電圧の下限値又は警報装置などが作
動する直前の電圧で,4.1〜4.2に規定の性能を満足することとする。
5. 構造
5.1
構造一般 レベルレコーダの構造一般は,次による。
(1) 取扱いが容易で,温度,湿度,振動,電磁界,じんあい(塵埃)などの影響が少ないこと。
(2) 動作時に発生する騒音及び振動は,当該測定に与える影響が少ないこと。
(3) 記録値が見やすいこと。
5.2
記録機構
5.2.1
動特性 騒音計の速い動特性及び遅い動特性並びに振動レベル計の動特性を備え,切り換えて使用
できることとする。ただし,騒音レベル用は,騒音計の速い動特性及び遅い動特性を備え,振動レベル用
は,振動レベル計の動特性を備える。
5.2.2
記録範囲 記録範囲は,原則として50dBとする。
5.2.3
紙送り速度 紙送り速度は,原則として1mm/s及び3mm/sを備える。
5.3
記録紙 記録紙の記録幅は,10dB当たり10mm又は20mmとする。最小目盛間隔は,10dB当たり
10mmの記録幅のときは2dB以下,10dB当たり20mmの記録幅のときは1dB以下とする。
また,時間目盛を付ける場合は,その間隔は5mmが望ましい。
5.4
レベル調整器 レベル調整器は,レベル調整が容易で,かつ,ものが触れた程度では,設定レベル
が変わらない構造とする。
5.5
その他 電池で動作する構造のものでは,使用電圧範囲を示す標識,電圧低下を示す警報器などを
備える。
6. 試験
3
C 1512-1996
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6.1
試験の状態
6.1.1
標準状態 試験場所の標準状態は,温度10〜30℃,相対湿度45〜85%とする。
6.1.2
基準状態 基準状態は,次による。
温度
20℃
相対湿度
65%
6.2
試験方法
6.2.1
入力信号 入力信号は,正弦波信号とする。
6.2.2
レベル調整器の設定 規定がない場合に限り,付表1の番号1に示す基準周波数の入力電圧が1V
のとき,記録値が最大目盛になるように,レベル調整器を設定する。
6.2.3
基準レベル 試験での基準レベルは,規定がない限り,最大記録範囲の60%を表す目盛位置とする。
例 記録範囲が50dBの場合は,30dBの目盛位置となる。
6.2.4
記録誤差 記録誤差の試験は,基準レベルの目盛を基準とし,付表1の番号6に示す周波数で行う。
6.2.5
周波数レスポンス 周波数レスポンスの試験は,付表1の番号1に示す基準周波数の記録値を基準
として,付表1の番号7に示す周波数で行う。
6.2.6
レベルレンジ切換器の切換誤差 レベルレンジ切換器の切換誤差の試験は,6.2.2に基づいて設定
したレベルレンジの位置を基準として,付表1の番号6に示す周波数で行う。
6.2.7
自己雑音 自己雑音の試験は,レベルレコーダの感度を最大にして,最低目盛に相当する入力信号
レベルで行う。
6.2.8
レベル記録特性
(1) 実効値記録特性の試験は,付表1の番号8に示す周波数及び継続時間と休止時間をもつ繰返しバース
ト信号を用いて行う。
なお,試験レベルは,最大目盛及び最大記録範囲の40%の目盛位置とする。
(2) 動特性の試験は,定常正弦波入力信号による記録値が最大記録範囲の80%及び40%の目盛位置で行う。
6.2.9
紙送り速度 紙送り速度の試験は,記録紙の長さ100mm以上又は記録時間1分間以上記録させて
行う。
6.2.10 記録値の安定性 記録値の安定性の試験は,付表1の番号1に示す基準周波数で行う。
7. 表示 レベルレコーダには,本体の見やすい箇所に,少なくとも次の事項を表示する。
(1) 名称
(2) 形名
(3) 製造業者名又はその略号
(4) 製造番号
(5) 製造年月
(6) 使用周波数範囲
(7) 電源の種類及び定格電圧
(8) 入力信号の種類
8. 取扱説明書 レベルレコーダには,次の事項を記載した取扱説明書を添付する。
(1) 製品の仕様
(2) 動作原理
4
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(3) 操作方法及び操作に必要な注意事項
(4) 使用者が取替え又は補充しなければならない部品及び消耗器材の仕様
(5) 製品の性能を維持するために必要な保守・点検の方法及び時期
(6) 接続方法に関する注意事項(附属装置等の形名など)
(7) その他使用上必要な事項
付表1
番号
項目
騒音計の速い
動特性
騒音計の遅い
動特性
振動レベル計
の動特性
1
基準周波数
Hz
1 000
1 000
6.3
2
動特性
試験周波数
Hz
1 000
1 000
31.5
3
信号の継続時間
s
0.2
0.5
1.0
4
最大記録値
dB −1 (+0.5,−1.0)
−4 (±2)
−1 (+0.5,−1.0)
5
減少するのに要する時間
s
0.5
3.0
2.0
6
記録誤差及びレベルレンジ切換器
の切換誤差の試験周波数
Hz
31.5
1 000
8 000
−
6.3
80
−
7
周波数レスポンス試験周波数
Hz
20
31.5
63
125
250
500
2 000
4 000
8 000
−
−
1
2
4
8
16
31.5
63
80
8
実効値
試験周波数
Hz
2 000
−
80
信号の継続時間
ms
5
−
25
信号の休止時間
ms
20
−
100
5
C 1512-1996
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附属書 附属装置等付レベルレコーダ
1. 適用範囲 この附属書は,附属装置等付レベルレコーダの構成及び試験の要件について規定する。
2. 構造
2.1
構成 附属装置等付レベルレコーダの構成例は,附属書図1による。
2.2
構造 附属装置等は,騒音計の速い動特性(F又はFAST)及び遅い動特性(S又はSLOW)並びに
振動レベル計の動特性を備え,切り換えて使用できるものとする。ただし,騒音レベル用は,騒音計の速
い動特性及び遅い動特性を備え,振動レベル用は,振動レベル計の動特性を備えることとする。
3. 試験 試験は,原則として本体6.による。ただし,騒音計又は振動レベル計の直流出力(実効値出力)
を用いるものでは,十分な精度の試験用実効値回路を用いて行う。
附属書図1 附属装置等付レベルレコーダの構成(例)
6
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JIS C 1512改正原案調査作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
三 浦 甫
静岡理工科大学
(幹事)
大 熊 恒 靖
社団法人日本騒音制御工学会(リオン株式会社)
白 石 賢 司
工業技術院計量研究所
藤 森 威
工業技術院電子技術総合研究所
南 川 秀 樹
環境庁大気保全局
池 谷 浩之輔
通商産業省機械情報産業局
杉 山 喬
財団法人日本品質保証機構
青 木 一 郎
東京環境科学研究所
堀 江 裕 一
神奈川県環境科学センター
森 藤 良 夫
財団法人鉄道総合研究所
横 田 明 則
財団法人小林理学研究所
中 野 有 朋
中野環境クリニック
池 田 覚
株式会社永田音響設計
平 野 興 彦
株式会社環境工学研究所
麦 倉 喬 次
鹿島建設株式会社技術研究所
石 川 正 臣
松下インターテクノ株式会社
高 澤 淳 之
株式会社小野測器
山 内 庸
株式会社長野計器製作所
吉 川 教 冶
リオン株式会社
古 市 正 敏
工業技術院標準部
(事務局)
今 泉 信 夫
社団法人日本騒音制御工学会
(オブザーバー)
瀧 浪 弘 章
リオン株式会社