2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 1002-1975
電子測定器用語
Glossary of Terms used in Electronic Measuring Apparatus
1. 適用範囲 この規格は,電子測定器の性能,機能などを表す上に必要となる主な用語とその意味につ
いて規定する。
2. 分類 電子測定器用語を次の4部門に分け,また(4)部門は更に三つの小部門に分ける。
(1) 一般
(2) 性能に関する用語(一般)
(3) 状態に関する用語
(4) 機能及び性能に関する用語(機器別)
(4.1) ディジタル電圧計
(4.2) オシロスコープ
(4.3) 信号発生器
3. 電子測定器用語 主な用語について,次のように定める。
(1) 一般
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
1001 電子測定器
でんしそくていき
電子デバイスを利用し,電気に関する量
を測定,又は電気に関する量を測定のた
めに供給する機器。
備考
1. 電子デバイスとは,半導体中の
電子若しくはホールの伝導,ガス
中の電子若しくはイオンの伝導,
又は真空中の電子の伝導を利用
した部品若しくはその集合体を
いう。
2. 空胴周波数計及び定在波測定
器のような電子デバイスを含ま
ない測定器も電子測定器とみな
す。
3. 複数の電子測定器から成る装
置を,電子測定装置 (electronic
measuring equipment) という。
electronic measuring
apparatus
1002 プラグインユニット
機器の測定若しくは供給できる範囲,又
はその機能を変更するために,機器にプ
ラグとソケットで結合され,取り外しの
できる部分。
plug-in unit
2
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
1003 プローブ
機器の入力部として作られた別個の小
さいユニットで,測定される信号を適当
な方法で伝えるために,可とうケーブル
によって機器に接続されるもの。
probe
1004 目盛
めもり
ある線に沿って,量の大きさを示すため
に記された線又は点の集まりで,必要に
応じて,そのうちの幾つかに数字及び符
号を添えたもの。
scale
1005 目盛の長さ
めもりのながさ
1. 両端の目盛線の間を目盛に沿って
測った長さ。
備考 弧状目盛では,一番短い目盛
線の中央を通る弧の長さ。
2. 記録紙の場合は,両端の目盛線の間
の最短距離。
scale length
1006 目幅
めはば
相隣る目盛線の中心間隔。
scale spacing
1007 機械的零位
きかいてきれいい
機器を電源から切り離し,入力端子間に
入力を加えないとき,指示計の指針が止
まる目盛上の位置。
備考 機械的復帰トルクの無い指
示計では,機械的零位は不定
である。拡大目盛の指示計で
は,機械的零位を目盛範囲外
に移動したものがある。
mechanical zero
1008 電気的零位
でんきてきれいい
機器に電源を供給し,入力端子間には入
力を加えず,入力端子を外部電界から防
御し,製造業者が特に指定した場合に
は,その外部回路だけを接続したときの
指示値,又は表示値。
electrical zero
1009 測定用接地端子
そくていようせっ
ちたんし
測定回路,制御回路又はしゃへい導体に
直接接続されていて,測定を行うときに
は接地する端子。
measuring earth
terminal
1010 保護接地端子
ほごせっちたんし
安全を目的として設けられ,機器の導電
体部に接続された接地端子。
備考 この端子は,安全のために設
けられている外部の接地系
統に接続するためのもので
ある。
protective earth
terminal
1011 非対称入力
ひたいしょうにゅ
うりょく
二つつの入力端子の各々と,共通点端子
との間のインピーダンスの公称値が異
なっている3端子入力回路方式。
asymmetrical input
1012 対称入力
たいしょうにゅう
りょく
二つの入力端子の各々と,共通点端子と
の間のインピーダンスの公称値が等し
い3端子入力回路方式。
備考
1. 多くの入力回路方式は,共通点
に関して,本来互いに逆位相で,
等しい振幅を持つ信号を受けよ
うとするためのものである。
2. 平衡入力 (balanced input) とい
うこともある。
symmetrical input
3
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
1013 差動入力
さどうにゅうりょ
く
二つの入力端子の各々と,共通点との間
に加わっている電圧に関係なく,二つの
入力端子間の電気に関する量を測定で
きる2端子入力回路方式。
difference input
1014 接地入力
せっちにゅうりょ
く
二つの入力端子のうち,その一方が測定
用接地に直接接続されている入力方式。
備考
1. 多くの場合,測定用接地に直接
接続されている端子は共通点端
子である。
2. 不平衡入力 (unbalanced input)
ということもある。
grounded input
1015 フローチング入力
ふろーちんぐにゅ
うりょく
外箱,電源及びあらゆる出力回路端子か
ら絶縁されている入力回路方式。
floating input
1016 絶縁された共通点を持つ
入力
ぜつえんされたき
ょうつうてんをも
つにゅうりょく
入力端子の一つが,出力端子の一つと接
続されているが,外箱及び電源とは絶縁
されている入力回路方式。
input with isolated
common point
1017 ガード付入力
がーどつきにゅう
りょく
しゃへいを持つ入力回路方式で,そのし
ゃへいは,接地及び共通点端子から絶縁
され,しかも信号を伝達する導体の一つ
と同電位になるように構成された方式。
guarded input
1018 入力インピーダンス
にゅうりょくいん
ぴーだんす
動作状態で,機器の入力端子から機器側
を見たインピーダンス。
備考
1. 入力インピーダンスは,通常並
列接続された抵抗と容量の値で
等価的に示される。
2. ある種の測定機器では,測定
前,測定中及び測定終了時の入力
インピーダンスが異なることが
ある。
input impedance
1019 等価入力インピーダンス
とうかにゅうりょ
くいんぴーだんす
与えられた周波数及び電圧の状態にお
いて,機器の入力回路に流入する電流の
瞬時値が,入力電圧の瞬時値の非直線関
数であるとき,等価入力インピーダンス
は,機器の入力回路と同じ有効電力を吸
収し,機器の入力回路に流れる無効電流
の基本周波数成分に等しい無効電流を
流す抵抗と,リアクタンスを組み合わせ
たインピーダンスである。
equivalent input
impeedance
1020 入力インピーダンスの最
終値
にゅうりょくいん
ぴーだんすのさい
しゅうち
測定終了時に測定した測定機器の入力
インピーダンスの値。
備考 入力インピーダンスとして,
ただ一つの値が示されたと
きは,最終値を表している。
final value of the input
impedance
4
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
1021 出力インピーダンス
しゅつりょくいん
ぴーだんす
動作状態で,機器の出力端子から機器側
を見たインピーダンス。
備考 信号発生器では,出力インピ
ーダンスが信号源インピー
ダンス (4306) と異なること
がある。
output impedance
1022 ひずみ率
ひずみりつ
波形のひずみの程度を表すもので,一般
には高調波の実効値の,基本波の実効値
に対する比。
すなわち
基本波の実効値
高調波の実効値
備考
1. ひずみ波の中には高調波以外
に雑音なども含まれるので,通常
測定されるのは高調波含有率又
は全ひずみ率である。
2. ひずみ率は,通常百分率又は
dBで表される。
3. ひずみ率が10%以下のときは,
ひずみ率計で測定した値をひず
み率とみなしてよい。
distortion factor
1023 高調波含有率
こうちょうはがん
ゆうりつ
ひずみ波に含まれている指定された高
調波又は高調波群の実効値の,基本波の
実効値に対する比。
すなわち,
基本波の実効値
高調波群の実効値
指定された高調波又は
備考
1. この量は,通常各高調波を分離
して測定できるアナライザを用
いて測定される。
2. 一つの高調波を指定したとき
は,その高調波に応じ,第2(第
3)高調波含有率などという。
relative harmonic
content
1024 全ひずみ率
ぜんひずみりつ
基本波を取り除いたひずみ波の実効値
の,元のひずみ波の実効値に対する比。
すなわち,
ひずみ波の実効値
ひずみ波の実効値
基本波を取り除いた
備考 この量は,通常ひずみ率計を
用いて測定される。ひずみ率
計は基本波を除去し,高調
波,電源リプル及び非高調波
のようなすべての他の成分
を含めたものの実効値を示
す。
total distortion factor
5
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用語
読み方
意味
対応英語(参考)
1025 正弦波に近い波形
せいげんはにちか
いはけい
全ひずみ率が小さく,指定された値を超
えない波形。
備考 指定がない場合は,全ひずみ
率が5%を超えない波形とす
る。
substantially
sinusoidal
waveform
1026 コモンモード電圧
こもんもーどでん
あつ
二つの入力端子の各々と,第3の端子間
に加わっている二つの電圧の瞬時値の
代数的平均値。
第3の端子は,外箱か測定用接地端子で
ある。
common mode
voltage
1027 シリースモード電圧
しりーすもーどで
んあつ
測定電圧に重畳している望ましくない
入力電圧。
備考
1. シリースモード電圧の例には,
測定用リード線の熱起電力又は
誘導電圧などがある。
2. ノーマルモード電圧 (normal
mode voltage) ということもあ
る。
series mode voltage
1028 コモンモード干渉
こもんもーどかん
しょう
コモンモード電圧の存在によって起こ
る出力情報の変化。
common mode
interference
1029 シリースモード干渉
しりーすもーどか
んしょう
シリースモード電圧の存在によって起
こる出力情報の変化。
series mode
interference
1030 コモンモード除去比
こもんもーどじょ
きょひ
機器がコモンモード干渉を除去できる
度合を表すもので,規定された回路で結
ばれた二つの端子と共通点端子の間に
加えた信号のピーク値の,それと同じ出
力情報を発生させるのに必要な入力端
子間の信号のピーク値に対する比で示
す。
備考 コモンモード除去比は,dB
で表されることが多く,一般
にその値は,周波数によって
異なる。
common mode
rejection ratio
1031 シリースモード除去比
しりーすもーどじ
ょきょひ
機器がシリースモード干渉を除去でき
る度合を表すもので,干渉電圧のピーク
値の,それと同じ変化を出力情報に生じ
させるのに必要な入力信号のピーク値
の増加分に対する比で示す。
備考 シリースモード除去比は,dB
で表されることが多く,一般
にその値は,周波数によって
異なる。
series mode rejection
ratio
1032 伝導妨害
でんどうぼうがい
機器が動作中,その機器の内部から,電
源線又は制御線を通じて送り出される
望ましくない電流による妨害。
conducted interference
1033 放射妨害
ほうしゃぼうがい
しゃへいが不完全のため,動作中の機器
の内部から放射される望ましくない電
磁界による妨害。
radiated interference
1034 漏えい妨害
ろうえいぼうがい
伝導妨害及び放射妨害の総称。
leakage interference
6
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
1035 伝導妨害感受性
でんどうぼうがい
かんじゅせい
電源線又は制御線を通じて受ける望ま
しくない信号又は衝撃電圧などにより,
機器が妨害を受ける度合。
conducted
susceptibility
1036 放射妨害感受性
ほうしゃぼうがい
かんじゅせい
望ましくない電磁界により,機器が妨害
を受ける度合。
radiated susceptibility
1037 妨害感受性
ぼうがいかんじゅ
せい
機器が伝導妨害,放射妨害などの妨害を
受ける度合。
susceptibility
1038 許容入力電圧
きょようにゅうり
ょくでんあつ
入力端子間に加えても差し支えのない
電圧の最大値。
allowable input
voltage
1039 電源耐電圧
でんげんたいでん
あつ
短絡された電源短子と,保護接地端子又
は外箱との間に,安全に加え得る電圧の
値。
withstand voltage of
main
1040 電源絶縁抵抗
でんげんぜつえん
ていこう
短絡された電源端子と,保護接地端子又
は外箱との間に,規定された直流電圧を
加えて測定した絶縁抵抗。
insulation resistance
of main
1041 予熱時間
よねつじかん
機器に電源を入れてから,機器のすべて
の性能が示された規格を満足するまで
に必要な時間。
warm-up time
1042 予備調整
よびちょうせい
機器を使用する前に,製造業者の指示に
従い,その機器を分解することなく,ま
た添付品以外の機器を用いることなく,
機器が規定の確度で動作するように調
整部分を調整する操作。
preliminary
adjustment
1043 再調整
さいちょうせい
使用中の機器が規定の確度で動作しな
くなったとき,製造業者の指示に従い,
その機器を分解することなく,また添付
品以外の機器を用いることなく,機器が
再び規定の確度で動作するように調整
部分を調整する操作。
readjustment
1044 補正
ほせい
より真に近い値を求めるために読み取
った値,設定した値若しくは計算値にあ
る値を加えること,又はその値。
correction
1045 校正
こうせい
標準器などを用い,機器の指示値,表示
値又は設定値と,真の値との関係を求め
ること。
備考 予備調整又は再調整におい
て,内蔵の標準器などを用
い,機器の誤差が最も少なく
なるように校正用調整器を
調整することをいうことも
ある。
calibration
1046 形式検査
かたしきけんさ
ある機種を代表する数台のサンプルに
対し,規格に示されたすべての条項を満
足しているかどうかを判定するために
行う検査。
type test
1047 受渡検査
うけわたしけんさ
既に形式検査に合格したものと同じ設
計・製造に係る製品の受渡しに際し,必
要と認められる規格の条項を満足して
いるかどうかを判定するために行う検
査。
delivery test,
delivery inspection,
acceptance test,
acceptance inspection
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
1048 全数検査
ぜんすうけんさ
ある機種の生産,又は受渡ロットの全数
について行う検査。
100%test,
100% inspection
1049 抜取検査
ぬきとりけんさ
ある機種の生産,又は受渡ロットから抜
き取ったサンプルについて行う検査。
sampling test,
sampling inspection
(2) 性能に関する用語(一般)
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
2001 性能
せいのう
機器の意図された機能が果たされる
度合。
performance
2002 性能量
せいのうりょう
機器の性能を,値,許容差,範囲など
によって明らかにするために,その機
器に指定された測定量,供給量又は設
定量の一つ。
備考 次のような量も,測定量,
供給量又は設定量とみな
す。
(1) 交流電圧計の周波数。
(2) 電力計,無効電力計及び位
相計の電圧,電流,力率及
び周波数。
(3) 信号発生器の信号源インピ
ーダンス。
(4) 減衰器の入出力インピーダ
ンス,入力電力及び周波数。
performance
characteristic
2003 影響性能量
えいきょうせいの
うりょう
性能量のうち,その性能量の変化が,
他の性能量に影響を与えるもの。
influencing
characteristic
2004 定格値
ていかくち
測定,供給又は設定できる一つの量の
値で,製造業者がその機器について明
示したもの。
備考 一つの量についての定格値
が二つ以上あることもあ
る。例えば,測定範囲の切
替えのできるものは,その
範囲ごとに一つの定格値を
持ち,また使用する状態に
よって異なる定格値を持つ
ものもある。
rated value
2005 定格範囲
ていかくはんい
測定,供給又は設定できる一つの量の
値の範囲で,製造業者がその機器につ
いて明示したもの。
備考 定格範囲を,測定量の場合
は測定範囲 (measuring
range) ,供給量の場合は変
化範囲又は設定範囲
(setting range) などという。
rated range
8
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
2006 有効範囲
ゆうこうはんい
定格範囲のうち,示された確度で測定
又は量の供給ができる範囲。特記がな
ければ定格範囲に等しい。
備考 測定を行うことができる範
囲の場合は,有効測定範囲
(effective measuring range)
といってもよい。
effective range
2007 余裕
よゆう
変化範囲のうち,有効範囲以外の部
分。
additional coverage
2008 オーバレンジ
有効範囲の上限を超えて測定できる
範囲。
備考 オーバレンジの上限値は,
通常,有効範囲の上限値の
百分率で表される。
over range
2009 延長目盛
えんちょうめもり
アナログ測定機器で,有効範囲の上限
を超え,目盛の他の部分と区別して付
加された目盛。
2010 公称値
こうしょうち
機器の性能量のうち,凋整できない量
の値に対する名目上の値。
nominal value
2011 真の値
しんのあたい
ある量を誤差の伴わない方法で測定
した場合の値。
備考 実際には,測定によって真
の値を求めることができな
いので,できるだけ真の値
に近い協約値 (conventional
true value) が,真の値の代
わりに用いられる。協約値
としては,国家標準にトレ
ーサビリティを持つ値,又
は製造業者と使用者との間
で標準として取り決められ
た値が用いられる。
true value
2012 測定値
そくていち
測定によって求めた値。
measured value
2013 指示値
しじち
機器の指示した値。通常,目盛板と指
針又は指標を使用した機器の場合に
用いる。
indicated value
2014 表示値
ひょうじち
機器の表示した値。通常,ディジタル
機器,オシロスコープ,記録計等の場
合に用いる。
indicated value
2015 供給値
きょうきゅうち
機器が供給した量の値。
supplied value
2016 設定値
せっていち
ダイヤル,スイッチなどにより機器に
設定した値。
set value
2017 誤差
ごさ
測定値,設定値又は定格値と,測定又
は供給した量の真の値との違い。
備考 誤差の大きさは,絶対誤差,
誤差率又は百分率誤差で表
される。
error
9
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用語
読み方
意味
対応英語(参考)
2018 絶対誤差
ぜったいごさ
測定量又は供給量の単位を用いて,代
数的に表した誤差。
1. 測定量の場合は,測定値から真の
値を引いた値。
2. 供給量の場合は,供給値から設定
値又は定格値を引いた値。
備考 標準抵抗器,標準コンデン
サなどの値は,供給値とみ
なす。
absolute error
2019 誤差率
ごさりつ
絶対誤差の,真の値,設定値又は定格
値に対する比。
1. 測定量の場合は,絶対誤差の真の
値に対する比。
2. 供給量の場合は,絶対誤差の設定
値又は定格値に対する比。
relative error
2020 百分率誤差
ひゃくぶんりつご
さ
絶対誤差の基底値に対する比を百分
率で表したもの。用いた基底値を明示
しなければならない。
percentage error
2021 基底値
きていち
百分率誤差を規定するための基準の
値。例えば測定値,設定値,有効範囲
の上限又はその他の明示された値。
fiducial value
2022 固有誤差
こゆうごさ
標準状態において求めた誤差。
intrinsic error
2023 動作誤差
どうさごさ
定格動作状態において求めた誤差。
operating error
2024 影響誤差
えいきょうごさ
ある一つの外部影響量が,定格使用範
囲内の任意の値であるか,又はある一
つの影響性能量が,その有効範囲内の
任意の値であって,その他はすべて標
準状態のときに求めた誤差。
備考 全定格使用範囲にわたり,
誤差とそれを生じさせる原
因との間に,事実上の直線
関係がある場合には,便宜
上その関係を係数の形で表
してもよい。
influence error
10
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読み方
意味
対応英語(参考)
2025 外部影響量による変動
がいぶえいぎょう
りょうによるへん
どう
一つの外部影響量が相次いで二つの
規定された値を取り,他はすべて標準
状態にした場合,それぞれに対応する
測定値又は供給値との差。
備考
1. 間違えるおそれのない場合に
は,単に変動といってもよい。
2. 変動は外部影響量の二つの規
定された値のうち,一方の値に
対応する測定値,供給値に対す
る比又は百分率で表してもよ
い。
3. 変動とその原因との間に,事
実上の直線関係がある場合に
は,その関係を係数の形で表し
てもよい。
4. 変動を生じさせる原因に応
じ,温度による変動,電源電圧
による変動,負荷による変動な
どという。
また,変動の有様をその原因
に応じ,温度特性,電源電圧特
性,負荷特性などという。
variation
2026 偏差
へんさ
1. 測定値,供給値の期待された値又
はパターンからのずれ。
2. 測定値から母平均を引いた値。
deviation
2027 影響性能量による偏差
えいきょうせいの
うりょうによるへ
んさ
一つの影響性能量が基準値のときの
測定値又は供給値と,その影響性能量
が他の値のときの測定値又は供給値
との差。
備考
1. 間違えるおそれのない場合に
は,単に偏差といってもよい。
2. 影響性能量が基準値のときの
測定値又は供給値に対する比,
又は百分率で表してもよい。
deviation due to an
influencing
characteristic
2028 確度
かくど
規定された状態において動作する機
器の測定値又は供給値に対し,製造業
者が明示した誤差の限界値。
accuracy, limit of
error
2029 許容差
きょようさ
基準にとった値と,それに対して許容
される限界値との差。
備考 基準にとった値に対する
比,又は百分率で表しても
よい。
tolerance
11
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用語
読み方
意味
対応英語(参考)
2030 安定性
あんていせい
1. 規定された時間,機器がその指示
値,表示値又は供給値を維持する能
力。ただし,すべての状態を一定に
保つ。
2. 指定された一つの外部影響量の変
化に対して,機器がその指示値,表
示値又は供給値を維持する能力。た
だし,他の状態を標準状態に保つ。
備考
1. 数値をもって定量的に表すと
きは,安定度 (stability) という。
2. 意味1.による安定度は,ドリ
フト又はPARDの最大値などで
表される。
3. 意味2.は,外部影響量による
変動の小さい程度を表し,この
場合の安定度は,その外部影響
量に応じ,温度に対する安定度
などという。
stability
2031 ドリフト
規定された時間中の機器の指示値,表
示値又は供給値の,一般に緩やかで継
続的な,好ましくない変化。ただし,
すべての状態を一定に保つ。
drift
2032 PARD
機器の指示値,表示値若しくは供給値
の周期的若しくはランダムな,又はそ
の双方を含む好ましくない変化。
備考
1. PARDは各種の原因によって
生じるが,入力信号の有無に関
係なく存在し得る。
2. ハム及びリプルは周期的な変
化であり,雑音及び揺らぎは,
ランダムな変化である。
PARD (periodic
and/or random
deviation)
2033 ハム
指示値,表示値又は供給値の平均値付
近における,電源周波数に関連したほ
ぼ正弦波状の低周波の好ましくない
変化。
hum
2034 リプル
指示値,表示値又は供給値の平均値付
近における,周期的であるが非正弦波
状の好ましくない変化。
ripple
2035 雑音
ざつおん
1. 広い周波数範囲にわたり,ランダ
ムに生じる指示値,表示値又は供給
値の好ましくない変化。
2. 信号に重畳し,測定値又は供給値
をあいまいにする妨害。
noise
12
C 1002-1975
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
2036 内部雑音
ないぶざつおん
機器の内部で発生するすべての雑音。
備考 増幅器の内部雑音の値は,
入力に規定のインピーダン
スを接続し,無信号にして
最も利得を上げた場合の雑
音出力を,入力に換算した
値で表される。
internal noise
2037 揺らぎ
ゆらぎ
指示値,表示値又は供給値の平均値付
近にランダムに生じ,比較的ゆっくり
した好ましくない非周期的変化。ただ
し,すべての状態を一定に保つ。
fluctuation
2038 ジッタ
信号波形の振幅,周期,位相又はパル
ス幅などの好ましくない迅速で,しか
も断続的な変化。
jitter
2039 揺れ
ゆれ
電子電圧計などにおいて,入力信号の
周波数が,電源電圧の周波数又はその
倍数に極めて近いときに起こる指示
器の指針の振動。
swinging
2040 感度
かんど
機器が測定量の変化に感じる度合で,
指示値又は表示値の変化の,その変化
を生じさせた測定量の変化に対する
比で表す。
備考 振れ係数なども含めて感度
ということもある。
sensitivity
2041 振れ係数
ふれけいすう
感度の逆数,すなわち測定量の変化
の,その変化によって生じた指示値又
は表示値の変化に対する比。
備考 指示値又は表示値が光点の
移動によって示されるとき
は偏向係数 (de flection
coefficient) ,ディジタル測
定器では変換係数
(conversion coefficient) とい
う。
deflection
coefficient,
deflection factor
2042 分解能
ぶんかいのう
測定値を読み取ることができる測定
量の最小変化,又は設定できる供給量
の最小変化。
備考
1. 有効範囲に対する比又は百分
率で表してもよい。
2. ディジタル方式の場合は,有
効範囲内の単位の数で表しても
よい(例えば10ビット)。
resolution
2043 目盛の細かさ
めもりのこまかさ
最小目盛間隔に相当する性能量の値。 fineness of scale
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
2044 操り返し性
くりかえしせい
同一の方法で同一の測定対象を,同じ
条件で,比較的短い時間に繰り返し測
定した場合,個々の測定値が一致する
度合。
備考 定量的には,得られたいく
つかの測定値のうちの最大
値と最小値との差の21で表
す。
repeatability
2045 再設定性
さいせっていせい
供給量の設定において,同じ条件で,
比較的短い時間に,繰り返し同じ設定
値を与えた場合の,個々の供給値が一
致する度合。
備考 数値をもって定量的に表す
ときは再設定度
(resettability) といい,次の
ように表す。
(1) 連続可変の場合 ある値に
設定するのに,ある方向か
らと反対方向からと繰り返
して行ったとき,得られた
幾つかの供給値を各方向ご
とに平均し,そ平均値の差
の21。
(2) ステップ可変の場合 ある
値に繰り返して(必要なら
ば両方向から)設定したと
き,得られた幾つかの供給
値のうちの最大値と最小値
との差の21。
(3) 再設定度は,その設定値に
対する百分率で表してもよ
い。
resettability
2046 応答
おうとう
入力信号の関数として表された指示
値,表示値又は出力信号が,入力信号
の変化によって変化する有様。
response
2047 過渡応答
かとおうとう
入力信号が,ある定常状態から任意の
時間的変化を経て,ある定常状態にな
ったとき,指示値,表示値又は出力信
号が定常状態に達するまでの応答。
備考 任意の時間的変化として
は,インパルス,ステップ
などの変化が用いられる。
transient response
2048 インパルス応答
いんぱるすおうと
う
入力信号が衝撃的に変化したときの
応答。
impulse response
2049 ステップ応答
すてっぷおうとう
入力信号が,ある一定の値から他の一
定の値に突然変化したときの応答。
step response
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
2050 行過ぎ量
ゆきすぎりょう
ステップ応答において,指示値,表示
値又は出力信号が,過渡的に最終値を
超えたとき,その超えた値の最大値。
備考 最終値に対する比又は百分
率で表してもよい。
overshoot
2051 応答時間
おうとうじかん
ステップ応答において,指示値,表示
値又は出力信号が,最終値からの特定
範囲に納まるまでの時間。
response time
2052 周波数特性
しゅうはすうとく
せい
供給値,測定値などの性能量の値又は
応答が,周波数によって変化する有
様。
frequency
characteristic
2053 周波数応答
しゅうはすうおう
とう
応答が周波数によって変化する有様。
すなわち応答の周波数特性。
備考 増幅器などの入出力周波数
が等しい機器においては,
入力信号が正弦的に変化す
る定常な状態であるとき,
入力信号に対する出力信号
の振幅比及び位相ずれが,
周波数によって変化する有
様をいう。
frequency response
2054 周波数帯域幅
しゅうはすうたい
いきはば
周波数を変化したとき,利得又は損失
の値の基準周波数における値からの
偏差が,規定された限度内にある周波
数範囲。
備考
1. 通常3dB又は6dBを偏差の限
度とする。
2. 基準周波数は,指定された周
波数,又は利得若しくは損失の
最大となる周波数である。
frequency band
width
2055 遅れ
おくれ
入力信号の変化に対して,出力信号の
変化が直ちに伴わないこと,又はこれ
を特徴付ける時間。
time lag,
delay
2056 遅延回路
ちえんかいろ
信号に遅れを生じさせる目的で使用
する回路。
delay circuit
(3) 状態に関する用語
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
3001 外部影響量
がいぶえいきょう
りょう
一般に機器の外部にあって,機器の性
能に影響を与えるすべての量。
備考
1. 外部影響量には,環境,電源,
負荷などに関する量がある。
2. 外部影響量には,影響性能量
(2003) は含まれない。
influence quantity
3002 外部影響量の標準値
がいぶえいきょう
りょうのひょうじ
ゅんち
機器の固有誤差を決定するために,標
準として規定した一つの外部影響量の
単一の値。
reference value of an
influence quantity
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
3003 外部影響量の標準範囲
がいぶえいきょう
りょうのひょうじ
ゅんはんい
機器が固有誤差に関する条項を満足す
る外部影響量の値の範囲。
reference range of an
influence quantity
3004 定格使用範囲
ていかくしょうは
んい
機器が動作誤差に関する条項を満足す
る一つの外部影響量の値の範囲。
rated range of use
3005 定格使用状態
ていかくしょうじ
ょうたい
機器が動作誤差に関する条項を満足す
る各外部影響量の値の範囲全部。
備考 この状態において,一つの
外部影響量の取り得る値の
範囲が,その外部影響量の
定格使用範囲である。
rated conditions of
use
3006 定格電源電圧
ていかくでんげん
でんあつ
機器に指定した電源電圧。三相電源の
ときは,線間電圧を指す。
rated supply voltage
3007 定格電源周波数
ていかくでんげん
しゅうはすう
機器に指定した電源周波数。指定のな
いときは,50Hz及び60Hzとする。
rated supply
frequency
3008 影響性能量の基準値
えいきょうせいの
うりょうのきじゅ
んち
機器が固有誤差に関する条項を満足す
る一つの影響性能量の単一の値。特に
指定がなければ定格値に等しい。
reference value of an
influencing
characteristic
3009 影響性能量の基準範囲
えいきょうせいの
うりょうのきじゅ
んはんい
機器が固有誤差に関する条項を満足す
る一つの影響性能量の値の範囲。特に
指定がなければ定格範囲に等しい。
reference range of an
influencing
characteristic
3010 標準状態
ひょうじゅんじょ
うたい
各外部影響量が標準値又は標準範囲,
及びもし必要なら,影響性能量が基準
値又は基準範囲にある状態であって,
比較及び校正を行うために規定したも
の。
備考 標準値又は基準値は,通常
許容差と共に示される。
reference conditions
3011 定格動作状態
ていかくどうさじ
ょうたい
各性能量の有効範囲及び各外部影響量
の定格使用範囲の全部で,機器の動作
誤差は,その範囲内で規定される。
rated operating
conditions
3012 限界動作状態
げんかいどうさじ
ょうたい
定格使用範囲を超える外部影響量,及
び有効範囲を超える性能量の値の範囲
の全部で,機器をその範囲内で動作さ
せても損傷を受けることがなく,また
後で機器を定格動作状態で動作させた
とき,性能が劣化していない範囲の全
部。
limit conditions of
operation
3013 保管及び輸送状態
ほかんおよびゆそ
うじょうたい
温度,湿度,気圧,振動及び衝撃など
の状態で,その状態で機器を非動作状
態で保管又は輸送しても損傷を受ける
ことがなく,また後で機器を定格動作
状態で動作させたとき,性能の劣化が
ない範囲の全部。
conditions of storage
and transport
3014 短時間保管状態
たんじかんほかん
じょうたい
温度,湿度,気圧,振動及び衝撃など
の状態で,その状態で機器を非動作状
態でこん包せずに,一時放置しておい
ても損傷を受けることがなく,また後
で機器を定格動作状態で動作させたと
き,性能の劣化がない範囲の全部。
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(4) 機能及び性能に関する用語(機器別)
(4.1) ディジタル電圧計
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
4101 ディジタル電圧計
でぃじたるでんあ
つけい
アナログ−ディジタル変換器を持って
いて,測定電圧をディジタル表示する
機器。
備考 ディジタル電圧計の中には,
ディジタルの電気的出力を
持つものがある。
digital electronic
voltmeter
4102 転換点
てんかんてん
各量子化単位内の点であって,入力電
圧の値が変化したとき,表示している
値(出力信号)が,ある値からその次
の値に移る点。
備考 転換点の位置には次の二つ
の場合がある。
(1) 量子化した各部分のほぼ中
央にある場合(付図1a)
(2) 量子化した各部分の端にあ
る場合(付図1b)
commutation point
4103 変換命令
へんかんめいれい
変換を開始させる信号。
conversion command
4104 トリガ動作方式
とりがどうさほう
しき
変換命令が,外部から電気的に叉は手
動により与えられる方式。
triggered mode
ofoperation
4105 反復動作方式
はんぷくどうさほ
うしき
変換命令が,内部のクロックから反復
して与えられる方式。
repetitive (cyclic)
mode of operation
4106 トラッキング動作方式
とらっきんぐどう
さほうしき
入力電圧がある値以上変化したとき,
内部回路がその変化を検知して変換命
令を出す方式。
tracking mode of
operation
4107 瞬時値変換
しゅんじちへんか
ん
入力電圧の瞬時値をディジタル化する
変換。
備考
1. この値は,変換時間中に存在
する瞬時値である。
2. 瞬時値変換を行うものに,逐
次比較形,追随比較形,ランプ
形,階段波ランプ形などがある。
instantaneous value
conversion
4108 逐次比較形
ちくじひかくがた
ディジタル表示に対応する電圧を発生
する帰還電圧発生器を備え,それが発
生した電圧を入力電圧と比較し,この
両者が等しくなるように一定のプログ
ラムに従って上位のけたから逐次変換
を行い,最下位のけたに至って変換を
終了する形式。
successive
approximation type
4109 追従比較形
ついじゅうひかく
がた
数字表示器が結合されている帰還電圧
発生器の出力電圧を,サーボ機構によ
って,入力電圧と常時平衡させる変換
形式。
servo-balancing type
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C 1002-1975
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
4110 ランプ形
らんぷがた
時間と共に直線的に変化する電圧(ラ
ンプ電圧)が,入力電圧(又は零電圧)
に等しくなったときから,零電圧(又
は入力電圧)に等しくなるまでの間の
クロックパルス数を計数する変換形
式。
ramp type,
linear ramp type
4111 階段波ランプ形
かいだんはらんぷ
がた
1ステップの大きさの一定な階段状電
圧(階段波ランプ電圧)が,入力電圧
(又は零電圧)に等しくなったときか
ら,零電圧(又は入力電圧)に等しく
なるまでの間のステップ数を計数する
変換形式。
stepped ramp type
4112 積分変換
せきぶんへんかん
入力電圧の規定された時間中の積分値
をディジタル量にする変換。
備考 積分変換を行うものに,電圧
周波数変換形,デュアルスロ
ープ形等がある。
integrating
conversion
4113 電圧周波数変換形
でんあつしゅうは
すうへんかんがた
入力電圧の値に直接比例した周波数を
発生し,一定時間中に生ずる繰返し数
を計数する変換形式。
voltage to frequency
conversion type
4114 デュアルスロープ形
でゅあるすろーぷ
がた
入力電圧に比例した電流で一定時間中
コンデンサを充電し,次に規定された
電流で,このコンデンサが元の電圧に
なるまで放電する。このとき放電に要
する時間中のクロックパルス数を計数
する変換形式。
備考 コンデンサの電圧波形が正
負二つの傾斜を持つので,デ
ュアルスロープ形と呼ばれ
る。
dual slope type,
linear dual slope type
4115 変換速度
へんかんそくど
単位時間に得られる完全な変換の回数
(付図2参照)。
conversion rate
4116 全変換時間
ぜんへんかんじか
ん
1回の測定が完全に行われるのに必要
な時間。
備考 変換速度の逆数は,必ずしも
全変換時間と等しくない(付
図2参照)。
total conversion time
4117 測定時間
そくていじかん
変換命命が与えられたときから,完全
なディジタル情報が出てくるまでの時
間(付図2参照)。
measuring time
4118 サンプリング時間
さんぷりんぐじか
ん
変換回路が入力電圧を感知している時
間(付図2参照)。
sampling time
4119 サンプル及びホールド回
路
さんぷるおよびほ
ーるどかいろ
変換装置の入力に付加され,入力電圧
をサンプリングし,保持し,保持され
た電圧を変換装置が変換し終わるまで
維持する回路。
sample and hold
circuit
18
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(4.2) オシロスコープ
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
4201 オシロスコープ
陰極線管を使用し,一つ又は複数の電気
に関する量の瞬時値を,時間又は他の電
気に関する量の関数として表示する測
定又は観測装置。
cathode-ray
oscilloscope
4202 多現象オシロスコープ
たげんしょうおし
ろすこーぷ
一つの電子ビームを切り替えて,複数の
電気現象を別々の輝線で表示し,同時に
測定又は観測できるオシロスコープ。
備考 電子ビームの切替えには一つ
の掃引が終わるごとに切り替
える方法(オルタネート表示
alternate display)と1回の掃引
中に多数回の切替えを行う方
法(チョップ表示chopped
display)とがある。
multitrace oscilloscope
4203 多要素オシロスコープ
たようそおしろす
こーぷ
複数の電子ビームを発生する陰極線管
を使用し,複数の電気現象を別々の輝線
で同時に表示できるオシロスコープ。
備考 複数の電子ビームは,その掃
引を別々に制御できるものも
ある。
multibeam
oscilloscope
4204 サンプリングオシロスコー
プ
周期的信号をサンプリングし,得られた
一連のサンプルを用いて,元の波形に相
似な波形を組み立てて表示するオシロ
スコープ。
sampling oscilloscope
4205 ストレージオシロスコープ
ストレージ管と呼ばれる特殊な陰極線
管を使用し,りん光性残光とは異なる原
理で,輝線を長時間保持できるオシロス
コープ。
storage oscilloscope
4206 有効面
ゆうこうめん
規定された誤差以内で測定を行うこと
ができるけい光面上の部分。
measuring area
4207 周辺ひずみ
しゅうへんひずみ
有効面内の周辺において,図形の変形と
して現れるひずみ。
geometry distortion
4208 垂直(水平)偏向係数
すいちょく(すいへ
い)へんこうけいす
う
入力電圧の変化の,その電圧変化により
生じた垂直(水平)変位の長さに対する
比。
備考 例えば,5V/cm,5V/divなど
と表す。
vertical (horizontal)
deflection
coefficient
4209 信号遅延時間
しんごうちえんじ
かん
ステップ信号を加えた場合,管面上にお
ける掃引の開始時から輝点の垂直変位
が最終値の10%に達するまでの時間。
備考 入力に信号電圧を加えたとき
からの実際の遅延時間とは異
なる。
apparent signal delay
19
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
4210 タイムベース
時間の基準となる信号を発生する回路。
すなわち,輝点を規定された速度で移動
させるための電圧又は電流を発生する
回路。
備考 カウンタ(電子計数装置)で
は,周波数測定のためのゲー
ト時間を決定し,又は時間測
定のためのクロックパルスを
発生させる基準周波数発生
器。
time base
4211 掃引
そういん
タイムベースが発生する電圧又は電流
によって,輝点を規則的に移動させるこ
と。
sweep
4212 掃引時間
そういんじかん
有効面内において,掃引により輝点が単
位長さを移動する時間。
備考 例えば,2ms/cm,2ms/divな
どと表す。
time coefficient
4213 自励掃引
じれいそういん
入力信号及び外部同期信号に関係なく,
周期的に行われる掃引。
free running sweep
4214 同期掃引
どうきそういん
掃引周期を,入力信号の周期又はその整
数倍に等しく保つように同期して行わ
れる掃引。
synchronized sweep
4215 トリガ掃引
とりがそういん
トリガパルスが加えられるごとに開始
される掃引。
備考 輝点はトリガパルスが来るま
では待機位置(掃引の起点)
にある。
triggered sweep
4216 遅延掃引
ちえんそういん
トリガパルスが加えられた後,設定され
た時間だけ遅れて開始される掃引。
delayed sweep
4217 遅延準備掃引
ちえんじゅんびそ
ういん
二つのタイムベースがあり,トリガパル
スにより起動された第1のタイムベース
による掃引が,第2のタイムベースによ
る掃引の開始を,設定された時間だけ遅
らせるために使用されるとき,第1の掃
引をいう。
delaying sweep
4218 単掃引
たんそういん
入力信号又は外部同期信号により掃引
が1回だけ行われ,それ以後の掃引は外
部からリセットされるまで阻止される
掃引。
single sweep operation
4219 ホールドオフ回路
ほーるどおふかい
ろ
輝点が待機位置にもどり,次の掃引準備
が完了するまで,掃引の開始を阻止する
回路。
hold-off circuit
4220 同期
どうき
映像波形が静止するように掃引を制御
すること。
synchronization
4221 内部同期
ないぶどうき
入力信号を利用して行う同期。
internal
synchronization,
internal triggering
4222 外部同期
がいぶどうき
入力信号とは別の外部信号によって行
う同期。
external
synchronization,
external triggering
20
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
4223 同期周波数範囲
どうきしゅうはす
うはんい
内部又は外部同期において,安定に同期
できる周波数範囲。
synchronization
frequency range
4224 最小同期電圧
さいしょうどうき
でんあつ
安定な同期に必要な外部同期電圧の最
小値。
備考 必要な場合には,最小同期電
圧は,周波数範囲ごとに示さ
れる。
synchronization
minimum voltage
4225 最小同期振幅
さいしょうどうき
しんぶく
安定な内部同期に必要な有効面上の垂
直振幅の最小値。
備考 必要な場合には,最小同期振
幅は,周波数範囲ごとに示さ
れる。
synchronization
minimum amplitude
4226 アンブランキング
掃引している間だけ輝点が見えるよう
にすること。
備考 帰線及び待機の間は,輝点が
見えないようにすることをブ
ランキング (blanking) とい
う。
spot unblanking
(4.3) 信号発生器
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
4301 信号発生器
しんごうはっせいき 周波数,電圧及び変調を,定格範囲内で,
ある決まった値に設定できるしゃへい
された無線周波信号源。
signal generator
4302 有効周波数範囲
ゆうこうしゅうはす
うはんい
信号発生器の周波数の変化範囲のうち,
示されたすべての確度を満たすことが
できる範囲。
備考 周波数の変化範囲は,通常い
くつかの周波数バンドから成
る。
effective frequency
range
4303 インクリメンタル周波数範
囲
いんくりめんたるし
ゅうはすうはんい
周波数主調整器によって設定された周
波数の上下に,インクリメンタル周波数
調整器で連続的に変化できる周波数の
範囲。
incremental
tuning range
4304 周波数バンド
しゅうはすうばん
周波数範囲の一部で,周波数を連続的に
調整できる部分。
frequency band
4305 バンドの重なり
ばんどのかさなり
周波数範囲の一部で,相隣る二つの周波
数バンドに共通な部分。
備考 これは有効周波数範囲の連続
性を確保するためのものであ
る。
band overlap
21
C 1002-1975
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
4306 信号源インピーダンス
しんごうげんいんぴ
ーだんす
信号発生器の出力等価回路を,内部イン
ピーダダンスが零の電圧源と,直列イン
ピーダンスで表したときの直列インピ
ーダンス。
備考 信号源インピーダンスは,信
号発生器を信号源として動作
させているときに重要である
が,信号発生器を他の信号源
の負荷として動作させている
ときには,出力インピーダン
ス (1021) が重要な要素とな
る。
なお,この両者の値は異な
ることがある。
source impedance
4307 定格負荷インピーダンス
ていかくふかいんぴ
ーだんす
信号発生器の信号源インピーダンスの
定格値に等しい負荷インピーダンス。
rated load impedance
4308 信号源起電力
しんごうげんきでん
りょく
信号発生器の出力等価回路を,内部イン
ピーダンスが零の電圧源と,直列インピ
ーダンスで表したときの電圧源の起電
力。
備考 信号源起電力の値は,次のよ
うにして求める。
1. 信号発生器に信号源インピーダ
ンスに等しい負荷を接続した場合
は,指定出力端子における搬送波
電圧の実効値の2倍。
2. 信号発生器に開放とみなされる
負荷を接続した場合は,指定出力
端子における搬送波電圧の実効
値。
これを開放出力電圧ともいう。
source electromotive
force
(source e・m・f)
4309 整合出力電圧
せいごうしゅつりょ
くでんあつ
定格負荷インピーダンスに等しい負荷
を,信号発生器の指定出力端子に接続し
た場合,その端子における搬送波電圧の
実効値。
matched output voltage
4310 出力電力
しゅつりょくでんり
ょく
信号発生器の指定出力端子に接続され
た定格負荷インピーダンスに等しい負
荷に供給される電力。
output power
4311 スプリアス出力
すぷりあすしゅつり
ょく
信号発生器の無変調時における出力電
圧中に含まれるすべての不要出力電圧。
ただし,ハム,リプル,雑音及び残留変
調成分を除く。
備考 搬送波の高調波及び低調波も
除外したものだけを,スプリ
アス出力と呼ぶ場合がある
が,その場合は,その旨を明
記すること。
spurious output
4312 リニアディテクタ
振幅変調波の包絡線を,ひずみなく再現
する振幅検波器。
linear detector
22
C 1002-1975
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
4313 リニアディスクリミネータ
周波数変調波を,ひずみなく復調する周
波数弁別器。
linear discriminator
4314 振幅変調度(正弦波変調の) しんぷくへんちょう
ど(せいげんはへん
ちょうの)
正弦波振幅変調波において,最大振幅と
最小振幅の差の半分の,これら振幅の平
均値に対する比。
amplitude modulation
factor (for sinusoidal
modulation)
4315 実効振幅変調度
じっこうしんぷくへ
んちょうど
ひずみのある振幅変調波をリニアディ
テクタに加えたとき,その出力における
変調周波数の基本波成分のピーク値の,
直流出力成分に対する比。
備考 一般に“変調度”と記載した
場合は“実効変調度”を指す。
effective amplitude
modulation factor
4316 振幅変調ひずみ(正弦波変調
の)
しんぷくへんちょう
ひずみ(せいげんは
へんちょうの)
正弦波振幅変調波を得るために,正弦波
変調信号を信号発生器に加えたとき,そ
の出力端子に接続されたリニアディテ
クタの出力信号のひずみ。
amplitude modulation
distortion
(for sinusoidal
modulation)
4317 周波数偏移(絶対値−正弦波
変調の)
しゅうはすうへんい
ぜったいち−せいげ
んはへんちょうの)
正弦波周波数変調において,変調信号1
サイクル間における瞬時最高周波数と
瞬時最低周波数との差の21。
frequency deviation
(absolute, for
Sinusoidal
modulation)
4318 実効周波数偏移
じっこうしゅうはす
うへんい
ひずみのある周波数変調波をリニアデ
ィスクリミネータに加えたとき,その出
力における変調周波数の基本波成分と
等しい振幅を生じるような純正弦波変
調での周波数偏移。
備考 一般に“周波数偏移”と記載
した場合は“実効周波数偏移”
を指す。
effective frequency
deviation
4319 周波数変調ひずみ(正弦波変
調の)
しゅうはすうへんち
ょうひずみ(せいげ
んはへんちょうの)
正弦波周波数変調波を得るために,正弦
波変調信号を信号発生器に加えたとき,
その出力端子に接続されたリニアディ
スクリミネータの出力信号のひずみ。
frequency modulation
distortion
(for sinusoidal
modulation)
4320 残留変調
ざんりゅうへんちょ
う
信号発生器の無変調時における出力信
号の望ましくない振幅変調及び周波数
変調の総称。
unwanted modulation
(in an intentionally
unmodulated
condition),
residual modulation
4321 残留振幅変調度
ざんりゅうしんぷく
へんちょうど
信号発生器の無変調時における出力信
号の望ましくない振幅変調の変調度。
unwanted amplitude
modulation factor
(in an intentionally
unmodulated
condition) ,
residual amplitude
modulation factor
4322 残留周波数変調偏移
ざんりゅうしゅうは
すうへんちょうへん
い
信号発生器の無変調時における出力信
号の望ましくない周波数変調の周波数
偏移。
unwanted frequency
modulation deviation
(in an intentionally
unmodulated
condition) ,
residual frequency
modulation deviation
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C 1002-1975
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
4323 寄生変調
きせいへんちょう
信号発生器の変調に伴って生じる出力
信号の望ましくない変調の総称。
備考 これには変調による搬送周波
数のずれ,寄生周波数変調及
び寄生振幅変調が含まれる。
unwanted modulation
(in a modulated
con-dition) ,
incidental modulation
4324 寄生周波数変調偏移
きせいしゅうはすう
へんちょうへんい
信号発生器の振幅変調に伴って生じる
出力信号の望ましくない周波数変調の
周波数偏移。
unwanted frequency
modulation
devia-tion due to
ampli-tude
modulation,
incidental frequency
modulation
deviation
4325 寄生振幅変調度
きせいしんぷくへん
ちょうど
信号発生器の周波数変調に伴って生じ
る出力信号の望ましくない振幅変調の
変調度。
unwanted amplitude
modulation factor
due to frequency
modulation,
incidental amplitude
modulation factor
4326 変調波の平均周波数
へんちょうはのへい
きんしゅうはすう
変調波を対称形リニアディスクリミネ
ータに加えたときに得られる直流出力
電圧と同じ出力電圧になるように周波
数をずらした非変調搬送波の周波数。
備考 平均周波数と非変調搬送周波
数との差は,変調による搬送
周波数のずれという。
averge frequency of a
modulated signal
4327 変調による搬送周波数のず
れ
へんちょうによるは
んそうしゅうはすう
のずれ
h変調に伴って生じる変調波の平均周波
数の変化。
carrier frequency shift
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C 1002-1975
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図1 転換点
付図2
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C 1002-1975
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
電気部会 電子測定器用語専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
田 中 末 雄
早稲田大学理工学部
大 森 俊 一
東京理科大学工学部
西 川 甚 太
東海大学工学部
鈴 木 健
通商産業省機械情報産業局
常 沢 秀 夫
工業技術院標準部
菅 野 允
玉川大学
島 崎 辰 夫
日本電気計器検定所標準研究部
福 富 和 久
機械電子検査検定協会
内 山 友 和
日本電信電話公社技術局
白 石 武 文
警察庁通信局
前 田 篤 哉
松下通信工業株式会社技術部
槇 田 敏 夫
社団法人日本電気計測器工業会
木 戸 栄 治
沖電気工業株式会社
横 山 義 一
横河ヒューレットパッカード株式会社
阪 本 卓
安立電気株式会社
池 隆 清
日本無線株式会社開発部
副 島 鎮 夫
安藤電気株式会社
古 里 正 蔵
社団法人日本電子機械工業会
木 村 修
日本国有鉄道鉄道技術研究所
西 本 一 成
東京電力株式会社系統運用部
(関係者)
森 村 正 直
工業技術院計量研究所
(事務局)
村 田 照 夫
工業技術院標準部電気規格課
釜 土 祐 一
工業技術院標準部電気規格課
高 橋 和 敬
工業技術院標準部電気規格課