C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準
原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大
臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 61346-2:2000,Industrial system,
installations and equipment and industrial products−Structuring principles and reference designations−Part2:
Classification of objects and codes for classesを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS C0452-2:2005には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考) オブジェクトのタイプを示す文字記号に関する基本事項
附属書B(参考) 一般的プロセスに関連したオブジェクトの分類(クラス)
附属書C(参考) 一般的インフラストラクチャにおけるオブジェクトの分類(クラス)
附属書D(参考) 実測値又は開始値の文字記号
附属書1(参考) 用語の補足
附属書2(参考) オブジェクト指向に関する補足
附属書3(参考) 用語索引
JIS C 0452の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 0452-1 第1部:基本原則
JIS C 0452-2 第2部:オブジェクトの分類(クラス)及び分類コード
なお,IEC 61346シリーズには,関連する規格として,他に,次の部編成がある。
IEC/TR 61346-3:2001,Industrial system,installations and equipment and industrial products−Structuring
principles and reference designations−Part 3: Appricationpplication guideline
IEC/TR 61346-4:1998,Industrial system,installations and equipment and industrial products−Structuring
principles and reference designations−Part 4: Discussion of concepts (Technical Report)
C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 2
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 分類原則 ························································································································ 2
5. 目的又はタスクに基づくオブジェクトの分類(クラス)及び文字記号 ······································· 2
6. インフラストラクチャオブジェクトの分類(クラス)及び対応する文字記号 ····························· 12
7. 補助分類 ······················································································································· 15
附属書A(参考)オブジェクトのタイプを示す文字記号に関する基本事項 ······································ 17
附属書B(参考)一般的プロセスに関連したオブジェクトの分類(クラス) ··································· 20
附属書C(参考)一般的インフラストラクチャにおけるオブジェクトの分類(クラス) ···················· 22
附属書D(参考)実測値又は開始値の文字記号 ········································································· 23
附属書1(参考)用語の補足 ·································································································· 25
附属書2(参考)オブジェクト指向に関する補足 ······································································· 27
用語索引 ···························································································································· 32
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 0452-2:2005
(IEC 61346-2:2000)
電気及び関連分野−工業用システム,
設備及び装置,並びに工業製品−
構造化原理及び参照指定−第2部:
オブジェクトの分類(クラス)及び分類コード
Industrial system, installations and equipment and industrial
products-Structuring principles and reference designations-Part2:
Classification of objects and codes for classes
序文 この規格は,2000年に第1版として発行されたIEC 61346-2:2000,Industrial system, installations and
equipment and industrial products−Structuring principles and reference designations−Part2: Classification of
objects and codes for classesを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業
規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
この規格の目的は,国際規格の電気及び電気関連分野の技術文書を規定する規格群のうち,文書内に記
述する製品などのオブジェクト及びオブジェクト間の構造化を参照指定によって実現するに当たり,あら
ゆる技術分野を通じて適用できるオブジェクトの分類体系及び対応する文字記号を確立することにある。
参照指定に関する基本原則を規定するJIS C 0452-1では,旧IEC 60750で用いていた文字記号を附属書E
として収録し,この基本原則に抵触しない限り維持してきた。文字記号に関する規定はこの規定によって
置き換えられるが,旧規格からの変更を最小限に抑える努力が払われてきている。
参考 IEC 61346-1では,第1部として構造化原理及び参照指定に関する基本原則が規定されており,
附属書Eとして旧IEC 60750に規定する文字記号を引用している。しかしながら,旧IEC 60750
は,この規格の原国際規格であるIEC 61346-2の発行によって置き換えられ無効となっている。
IEC 61346-2制定に当たっては旧IEC 60750の内容を包括するよう検討された経緯がある。
1. 適用範囲 この規格は,参照指定で使用するオブジェクトの分類体系及び対応する文字記号について
規定する。
この分類体系は,あらゆる技術分野のオブジェクトに適用可能であり,JIS C 0452-1に基づいて作成す
るツリー構造に適用してもよい。
備考1. 位置の観点だけに注目したオブジェクトの分類は,この規格では考慮していない。
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
2
C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
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IEC 61346-2:2000,Industrial system, installations and equipment and industrial products−Structuring
principles and reference designations−Part2: Classification of objects and codes for classes (IDT)
参考 参照指定参考の観点として製品,機能及び位置の3種がある(附属書1参照)。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 0452-1 電気及び関連分野−工業システム,設備及び装置,並びに工業製品−構造化原理及び参
照指定−第1部:基本原則
備考 IEC 61346-1:1996 Industrial system,installations and equipment and industrial products−
Structuring principles and reference designations−Part 1:Basic ruleが,この規格と一致している。
ISO 14617-6 Graphical symbols for diagrams−Part 6: Measurement and control functions
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS C 0452-1による。
参考 JIS C 0452-1における用語の補足を,附属書1に示す。IEC規格原文及び附属書1で用いてい
る用語は従来のJISにない新しい用語が多く,抽象的な意味をもっており,また,相互に関連
して使用されているため,翻訳した日本語だけを掲載することは技術上のあいまいさを生み出
すおそれがある。このため,理解を容易にする趣旨で附属書3にIEC規格原文の英文とこの規
格における日本語訳とを出現順に掲載した。
4. 分類原則 オブジェクトの分類原則は,各々のオブジェクトを一つの入力及び一つの出力をもつプロ
セスの一部として見なすことに基づいている(図1参照)。
図 1 基本プロセスの概念
プロセスの一部である各々のオブジェクトは,その入力及び出力に関する目的又はタスクによって特徴
付けることができる。
これは,オブジェクトが内部でどのような構成になっているかは重要でないことを意味している。
この規格における分類体系を確立するうえで,目的及びタスクは,主要な特徴となる(附属書B参照)。
5. 目的又はタスクに基づくオブジェクトの分類(クラス)及び文字記号 オブジェクトがツリー構造に
おいてどの位置にあるかにかかわらず,あるフロー(例えば,電気エネルギー,情報,材料)と作用しあ
う,又は作用することが意図されている場合,オブジェクトには,表1に示す目的又はタスクに対応した
分類体系及び文字記号を使用する。
入力
オブジェクト
出力
プロセス
3
C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
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参考 この規格において“フロー”とは,エネルギー,流体などの流れだけではなく,オブジェクト
の入力側に関係する対象を示している。また,“目的”は原国際規格では“purpose”,“タスク”
は,“task”が該当する。
通常,いかなるオブジェクトも,表1に従って分類することが可能である。できるだけこの表を使用す
ることが望ましい。
附属書B図1は,一般的なプロセスモデルに基づく表1の分類(クラス)を示したものである。
表1に示す分類体系に基づくオブジェクトの分類(クラス)では,次の原則を適用する。
− 関係するオブジェクトが,フローに対してどのように作用するかという観点から見るものとし,それ
がどのように実現されるかは考慮しない。
例1. あるオブジェクトの本来の目的が“加熱”である場合。表1に従えば,そのオブジェクトは明
らかに分類Eに属している。設計プロセスの初期段階では,この必要とされる目的の実現方法
は重要でないか,又は単に明確になっていない。この目的は,ガスバーナ若しくは石油バーナ,
又は電気ヒータによって実現できる。電気ヒータの場合は,電気抵抗によって熱を発生する。
抵抗は,分類Rによって“流れを制限する”という目的に分類することができる。しかし,こ
のプロセスにおけるオブジェクトの目的は,熱を発生することである。したがって,分類Rで
はなく,分類Eを用いなければならない。
− 目的又はタスクが二つ以上認められる場合もある。この場合には,主要目的又はタスクを考慮する。
例2. 流量記録計は,後の使用に備え,計測値を保存するが,同時に視覚的な形で出力を提供する。
保存が主要な目的とみなされる場合は,そのオブジェクトは表1の分類Cに該当する。測定値
を表示することが主要な目的とみなされる場合は,分類Pに該当する。
− 主要な目的又はタスクが特定できない場合もある。この場合にだけ,分類Aを用いる。
例3. 銀行の現金自動支払機のタッチスクリーンは,情報の手入力の手段を提供すると同時に,情報
表示装置として役立っている。いずれの目的も同等に有効とみなすことができるため,分類A
に分類してもよい。
図2は,計測回路において,分類(クラス)及び対応する文字記号を各オブジェクトに割り付ける原則
を具体的に示したものである。左側には,使用した製品を示している。右側は,入力及び出力をもつオブ
ジェクトとして,製品がどのように見られるかを具体的に示したものである。
4
C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
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図 2 計測回路におけるオブジェクトの分類(クラス)及び対応する文字記号
d) 複数の目的が組み合わされている一つの製品
二つの出力,一つの特性が特に重要であると考えられる。
c) 複数の目的が組み合わされている一つの製品
b) 独立した構成部品から成る計測回路
a) 直接的な計測及び表示
5
C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
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表 1 目的又はタスクに基づくオブジェクトの分類(クラス)及び文字記号
参考 分類(クラス)の主要な判断基準となるため用語の例には,原規格の用語を付記する。
文字
記号
オブジェクトの目的又はタスク オブジェクトの目的
又はタスク及び機能
を説明する用語の例
典型的な機械/流体製
品の例
典型的な電気製品の
例
A
二つ又はそれ以上の目的又はタ
スクをもつ
備考 この分類(クラス)
は,主要な目的又は
タスクが特定できな
いオブジェクトだけ
を対象としている。
−
−
タッチスクリーン
B
ある入力される変数[物理特性,
状態又は事象]を,次の処理が
可能な信号に変換する。
検出(Detecting)
計測(値の検出)
(Measuring)
監視(Monitoring)
感知(Sensing)
計量(値の検出)
(Weighing)
オリフィス板(計測用)
センサ
ブッフホルツ継電器
検出器
火災検知器
ガス検知器
測定要素
計測継電器
計器用変流器
計器用変圧器
マイクロフォン
変位検出器
光電セル
パイロットスイッチ
位置スイッチ
近接スイッチ
近接センサ
保護継電器
センサ
煙センサ
タコジェネ
温度センサ
熱動過負荷継電器
ビデオカメラ
C
材料,エネルギー又は情報の保
存
記録(Recording)
貯蔵又は保存
(Storing)
たる(樽)
バッファ
地下貯水タンク
コンテナ
温水蓄熱器
紙リール立て
蓄圧器
蒸気アキュムレータ
タンク
容器
バッファ
バッファバッテリ
コンデンサ
イベントレコーダ(主
に保存用の場合)
ハードディスク
メモリ
RAM
蓄電池
テープレコーダ(主に
保存用の場合)
ビデオレコーダ(主に
保存用の場合)
電圧記録装置(主に保
存用の場合)
6
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表 1 目的又はタスクに基づくオブジェクトの分類(クラス)及び文字記号(続き)
文字
記号
オブジェクトの目的又はタスク オブジェクトの目的又
はタスク及び機能を説
明する用語の例
典型的な機械/流体製品
の例
典型的な電気製品
の例
D
<将来の標準化用>
−
−
−
E
放射エネルギー又は熱エネルギ
ーの供給
冷却(Cooling)
加熱(Heating)
照明(Lighting)
放射(Radiating)
ボイラ
冷凍装置
ヒータ
ガスランプ
熱交換器
原子炉
パラフィンランプ
ラジエータ
冷蔵装置
ボイラ
蛍光灯
ヒータ
ランプ
電球
レーザ
照明器具
メーザ
放熱器
F
危険又は望ましくない状態から
エネルギーの流れ,信号,人,
装置などを直接的に保護する
(自己作動)もの
保護を目的とするシステム及び
装置を含む。
吸収(Absorbing)
保護(Guarding)
防止(Preventing)
防護(Protecting)
安全(Securing)
遮へい(Shielding)
エアバッグ
緩衝器
フェンス
ガード
パイプ破損防止弁
破裂板
安全ベルト
安全バルブ
シールド
真空破壊弁
電気防食の電極
ファラデー箱
ヒューズ
ミニチュア回路遮
断器
サージダイバータ
熱動型過負荷引
き外し装置
G
エネルギー又は材料の流れの発
生
情報伝達物又は参照元として使
用する信号の発生
新たな種類のエネルギー,材料
又は製品の発生
組立(Assembling)
破砕(Crushing)
解体(Disassembling)
発生(Generating)
分別(Fractionating)
素材除去
(Material removing)
粉砕(Milling)
混合(Mixing)
生産(Producing)
微粉状粉砕
(Pulverizing)
送風機
部品挿入装置
コンベア(駆動される部
分)
粉砕機
ファン
混合機
ポンプ
真空ポンプ
換気装置
乾電池
ダイナモ
燃料電池
発生器
発電機
回転式発電機
信号発信器
太陽電池
波形発生器
H
<将来の標準化用>
−
−
−
I
<不使用>
−
−
−
J
<将来の標準化用>
−
−
−
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 1 目的又はタスクに基づくオブジェクトの分類(クラス)及び文字記号(続き)
文字記
号
オブジェクトの目的又は
タスク
オブジェクトの目的又
はタスク及び機能を説
明する用語の例
典型的な機械/流体製
品の例
典型的な電気製品の
例
K
信号又は情報の処理(受信,
処理,出力)(防護目的のオ
ブジェクトを除く。分類F参
照)
閉路(制御回路)
(Closing)
連続制御
(Continuous
controlling)
遅れ(Delaying)
開放(制御回路)
(Opening)
後処理(Postponing)
切替え(制御回路)
(Switching)
同期(Synchronizing)
流体フィードバック
制御装置
パイロットバルブ
バルブポジショナ
オールオアナッシン
グリレー
アナログ集積回路
自動並列装置
デジタル集積回路
接触器継電器
CPU
遅延素子
遅延線
導波管
電子管
フィードバック制御
装置
フィルタ
誘導形混合器
マイクロプロセッサ
プロセスコンピュー
タ
プログラマブルコン
トローラ
同期装置
タイマ
トランジスタ
L
<将来の標準化用>
−
−
−
M
駆動を目的とした力学的エ
ネルギー(回転又は直線機械
運動)の供給
作動(Actuating)
駆動(Driving)
燃焼機関
液体作動装置
液体シリンダ
液体モータ
熱機関
機械的作動装置
スプリングアクチュエ
ータ
タービン
水力タービン
風力タービン
アクチュエータ
作動コイル
電気モータ
リニアモータ
N
<将来の標準化用>
−
−
−
O
<不使用>
−
−
−
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 1 目的又はタスクに基づくオブジェクトの分類(クラス)及び文字記号(続き)
文字
記号
オブジェクトの目的又は
タスク
オブジェクトの目的又
はタスク及び機能を説
明する用語の例
典型的な機械/流体製
品の例
典型的な電気製品の
例
P
情報の提示
警報(Alarming)
コミュニケーション
(Communicating)
表示(Displaying)
指示(Indicating)
通知(Informing)
計測(量の提示)
(Measuring)
提示(Presenting)
印刷(Printing)
警告(Warning)
音響信号装置
はかり(計量用)
ベル
時計
ディスプレー装置
流量計
ガス計量器
ガスゲージ
マノメータ
機械的表示装置
プリンタ
のぞき窓
温度計
水量計
音響信号装置
電流計
ベル
クロック
連続式記録装置
ディスプレイ装置
電気機械式表示装置
イベントカウンタ
ガイガーカウンタ
LED
スピーカ
光学的信号装置
プリンタ
記録式電圧計
信号ランプ
信号振動子
オシロスコープ
電圧計
電力計
積算電力計
Q
制御に従ったエネルギー,信
号又は材料の流れの切り替
え,又は変更
(制御回路における信号の
場合は,クラスK及びSを参
照)
開(エネルギー,信号及
び材料の流れ)
(Opening)
閉(エネルギー,信号及
び材料の流れ)
(Closing)
切替え(エネルギー,信
号及び材料の流れ)
(Switching)
クラッチ(Clutching)
ブレーキ
制御弁
クラッチ
ドア
フラップ
ゲート
遮断弁
シャッタ
水門
かぎ
回路遮断器
接触器(電力用)
断路器
ヒューズスイッチ
ヒューズスイッチ付
断路器
モータスタータ
パワートランジスタ
スリップリング短絡
装置
スイッチ(電力用)
サイリスタ
(主な目的が保護
の場合は分類F参
照)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 1 目的又はタスクに基づくオブジェクトの分類(クラス)及び文字記号(続き)
文字
記号
オブジェクトの目的又はタ
スク
オブジェクトの目的又は
タスク及び機能を説明す
る用語の例
典型的な機械/流体製
品の例
典型的な電気製品の
例
R
エネルギー,信号又は材料
の動き,又は流れの限定,
又は安定化
阻止(Blocking)
減衰(Damping)
限定(Restricting)
制限(Limiting)
安定(Stabilizing)
阻止装置
逆止弁
減衰装置
戻り止め
連動装置
掛け金装置
オリフィス板(流れを制
限する)
圧力制御弁
絞り弁
緩衝装置
消音器
トリップフリー機構
ダイオード
インダクタ
リミッタ
抵抗器
S
手動操作から次処理のため
の信号への変換
影響(作動)
(Influencing)
手動制御(Manually
controlling)
選択(Selecting)
プッシュボタンバルブ
切換えスイッチ
制御スイッチ
非常スイッチ
キーボード
ライトペン
マウス
押しボタンスイッチ
切換えスイッチ
設定値調節器
T
その種のエネルギーを維持
するためのエネルギー変換
情報内容を保持した信号の
変換
材料の形態又は形状の変換
増幅(Amplifying)
変調(Modulating)
変換(Transforming)
鋳造(Casting)
圧縮(Compressing)
変換(Converting)
切断(Cutting)
材料の変形(Material
deforming)
膨張(Expanding)
鍛造(Forging)
研磨(Grinding)
圧延(Rolling)
寸法の拡大(Size
enlargement)
寸法の縮小(Size reduction)
反転(Turning)
流体増幅器
ギヤボックス
測定トランスデューサ
測定トランスミッタ
圧力変換器
トルクコンバータ
鋳造機
落し鍛造
グラインダ(サイズ縮
小)
旋盤
のこぎり
AC/DCコンバータ
増幅器
アンテナ
復調器
周波数変換器
計測用トランスデュ
ーサ
計測用トランスミッ
タ
変調器
電源変圧器
整流器
整流器ステーション
信号変換器
信号変成器
電話機
トランスデューサ
10
C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 1 目的又はタスクに基づくオブジェクトの分類(クラス)及び文字記号(続き)
文字
記号
オブジェクトの目的又はタ
スク
オブジェクトの目的又
はタスク及び機能を説
明する用語の例
典型的な機械/流体製
品の例
典型的な電気製品の
例
U
オブジェクトの規定位置へ
の維持
保持(Bearing)
(Holding)
支持(Carrying)
(Supporting)
はり
ベアリング
ブロック
ケーブルラダ
ケーブルトレイ
きょう(筐)体
受材
取付具
基礎
つり(吊)手
インシュレータ
取付板
取付ラック
鉄塔
ころ軸受
がいし
V
材料又は製品の加工(処理)
(準備及び事後処理を含む)
コーティング(Coating)
洗浄(Cleaning)
脱水(Dehydrating)
さび取り(Derusting)
乾燥(Drying)
ろ(濾)過(Filtering)
熱処理(Heat treatment)
こん包(Packing)
前処理(Preconditioning)
修復(Recovering)
再仕上げ(Re-finishing)
密封(Sealing)
分離(Separating)
分類(Sorting)
かくはん(Stirring)
表面処理(Surface
treatment)
包装(Wrapping)
遠心分離器
脱脂装置
脱水装置
フィルタ
グラインダ(表面処理)
こん包機
すくい加工機
分離器
ふるい
自動ワニス掛け装置
真空掃除機
洗濯機
加湿器
フィルタ
11
C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 1 目的又はタスクに基づくオブジェクトの分類(クラス)及び文字記号(続き)
文字
記号
オブジェクトの目的又はタ
スク
オブジェクトの目的又
はタスク及び機能を説
明する用語の例
典型的な機械/流体製
品の例
典型的な電気製品の
例
W
エネルギー,信号,材料又は
製品をある場所から別の場
所に案内又は輸送する
誘導(Conducting)
分配(Distributing)
案内(Guiding)
導く(Leading)
位置決め(Positioning)
輸送(Transporting)
コンベヤ(駆動されない
もの)
ダクト
ホース
はしご
連動装置(機械)
鏡
ローラテーブル(駆動さ
れないもの)
パイプ
シャフト
シャトル
母線
ケーブル
電線
情報バス
光ファイバ
貫通用ブッシング
導波管
X
接続用オブジェクト
接続(Connecting)
連結(Coupling)
継手(Joining)
フランジ
フック
ホース取付具
配管取付具
クイックリリースカッ
プリング
軸継手
端子ブロック
コネクタ
プラグコネクタ
端子
端子ブロック
端子板
Y
<将来の標準化用>
−
−
−
Z
<将来の標準化用>
−
−
−
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6. インフラストラクチャオブジェクトの分類(クラス)及び対応する文字記号 ツリー構造を構成する
それぞれのオブジェクトは,表1に従って分類され,関連する文字記号によって記号化することができる。
しかし,様々な生産設備から構成されるコンビナート,又は様々な生産ライン及び関連補助施設からなる
工場のようなオブジェクトは,多くの場合,同じ目的又はタスクをもっており,したがって,属する分類
(クラス)の数は限定される。この規格では,このようなオブジェクトをインフラストラクチャオブジェ
クトと呼ぶ。
備考 インフラストラクチャは,工業施設の基本構成と考えなければならない。
多くの場合,異なる文字記号を使うことで,オブジェクトを区別することが望ましい。表2は,インフ
ラストラクチャオブジェクトに用いる分類体系及び関連する文字記号を設定するための枠組みを提供する
ものである(附属書C参照)。
施設の中には,共通の用途で利用するものがある。このような施設は,表2の分類A及び分類Vから分
類Zまでの文字記号を割り当てる。
記述すべきプロセスの主要施設の多くは分岐分類をもっている。このため,このような施設の分類には
必要に応じ分岐分類標準を用いる。表2の分類Bから分類Uは,分岐分類のために割り当てた部分である。
施設に対応した分岐分類標準がない場合には,分類Bから分類Uまで任意に分類(クラス)を選ぶことが
できるが,文書化して説明する。
参考 分岐分類とは,一つの施設の分類(クラス)から枝状に分かれた分類を意味している。表2の
インフラストラクチャの分類(クラス)に従い石油精製のプラントを分類した事例が,表3の
左列に示されている。このBからUはプロセスの主要施設の分類(クラス)であり分岐分類を
もっている。分類Sに関しては,表3の中間列に記載された電力配電所の分類(クラス)が分
岐分類に対応し,分類Wの食堂には表3の右列が分岐分類に対応している。
オブジェクトのツリー構造における位置に対応する分類体系の適用するときは,文書又は補助資料の中
で説明する。
分類Bから分類Uの分岐分類適用の例を,表3に示す。
備考 表3に示した文字記号は,将来の分岐規格化を意図するものではない。文字記号は,原則の具
体例を示しただけである。
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 2 インフラストラクチャオブジェクトの分類(クラス)
文字記号
オブジェクト分類(クラス)定義
例
共通的タスクのオブジェク
ト
A
分類Bから分類Zまでのインフラスト
ラクチャオブジェクトの複数分類(クラ
ス)に関連するオブジェクト
監視制御システム
主要プロセス施設のオブジ
ェクト
B
…
U
分岐分類対する定義用
備考 アルファベットのI及びOは
使用しない
例は表3を参照
主要プロセスに関連しない
オブジェクト
V
材料又は商品保管用のオブジェクト
完成品倉庫
淡水タンクプラント
ごみ倉庫
オイルタンクプラント
原材料倉庫
W
管理運営上又は社会生活上の目的又は
タスクに使用するオブジェクト
食堂
展示場
車庫
執務室
リクリエーションエリア
X
プロセスに直接関係しない補助的な目
的又はタスクを果たすためのオブジェ
クト(例えば,敷地,工場又は建物内に
あるもの)
空調設備
アラームシステム
クロックシステム
クレーンシステム
配電装置
防火システム
ガス供給
照明設備
保安システム
下水処理プラント
給水
Y
通信又は情報提供のタスクを果たすオ
ブジェクト
アンテナシステム
コンピュータネットワーク
スピーカシステム
ポケベルシステム
鉄道信号システム
人員配置システム
電話システム
テレビジョンシステム
交通信号システム
ビデオ監視システム
Z
技術的システム又は設備を収容又は囲
う特定の地域及び建物のようなオブジ
ェクト
建物
建設施設
工場用地
フェンス
鉄道線路
道路
壁
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
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表 3 表2の分類Bから分類Uに対応する分岐分類適用の例
石油精製
電力配電所
食堂
A
表2に従う
A
表2に従う
A
表2に従う
B
接触分解プラント
B
420 kVを超える施設
B
C
接触改質装置
C
380 kV以上420 kV以下の施設
C
ちゅう(厨)房
D
D
220 kV以上380 kV未満の施設
D
E
脱硫プラント
E
110 kV以上220 kV未満の施設
E
カウンタ
F
蒸留プラント
F
60 kV以上110 kV未満の施設
F
G
G
45 kV以上60 kV未満の施設
G
現金デスク
H
ガス分離プラント
H
30 kV以上45 kV未満の施設
H
J
潤滑油精製
J
20 kV以上30 kV未満の施設
J
食器洗浄施設
K
K
10 kV以上20 kV未満の施設
K
L
L
6 kV以上10 kV未満の施設
L
M
M
1 kV以上6 KV未満の施設
M
N
N
1 kV未満の施設
N
P
P
P
Q
Q
Q
R
発電所又は蒸気発生所
R
R
S
電力配電所
S
S
T
T
変電プラント
T
U
U
U
V
…
Z
表2に従う
V
…
Z
表2に従う
V
…
Z
表2に従う
参考 石油精製の分類(クラス)Sに該当する分岐分類が,中央の電力配電所の列に示されている。
また,石油精製の分類(クラス)Wに該当する分岐分類が,右側の食堂の列に示されている。
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
分岐分類には,様々な分類(クラス)を使用することができる。上記の例における考えられる組合せの
例(接頭辞を省略し,数字を任意に選択した)を,次に示す。
− 配電システムの場合:石油精製工場の第1号電力配電所における第1号110 kV給電線を,S1E1とい
う参照指定を用いて示してもよい。
− 食堂の場合:同じ石油精製工場の食堂にあるカウンター施設を,W1E1という参照指定を用いて示し
てもよい。
参考 この例は分岐分類の事例を示したものであり,参照指定に関してはJIS C 0452-1を確認する。
参照指定は,機能,製品,位置の3種の観点から,システム又はシステム内のオブジェクトに
関する情報の記述を行う。この場合,記述している観点のタイプに対し,次の接頭辞が割り当
てられている。
“=”オブジェクトの機能観点に関係している場合(半角のイコール記号・等号)
“-” オブジェクトの製品観点に関係している場合(半角のハイフン・マイナス記号)
“+” オブジェクトの位置観点に関係している場合(半角のプラス記号)
事例では製品観点から,ツリー構造の上位より分岐した対象オブジェクトを指定することと
なり,複数レベルの参照指定方法が適用される。この場合,対象オブジェクトに到る経路を,
単一レベルの参照指定の組合せによって記号化することとなり,参照指定表現としては
“-S1-E1”又は“-W1-E1”となる。ただし,前の単一レベルの参照指定が数字で終わり,かつ,
次の参照指定が文字記号である場合,記号表現上,接頭辞を省略可能なため,事例の参照指定
表現となっている。
7. 補助分類 表1又は表2に提示した分類(クラス)ごとに,オブジェクトのより詳細な特徴を示すた
めに補助分類を定義することができる。補助分類の文字記号は,この規格では,定義していない。定義は
利用者の責任によって行う。補助分類は,適用分野又は要求されている目的に応じて,幾つもの使い方が
可能である。ただし,補助分類を技術属性のコード化に使用しないほうがよい。なぜならば,技術属性に
関する情報は,通常,技術仕様,部品リストなどの文書の中に記されるからである。
備考 補助分類は,ツリー構造の新しい階層を定義するものではない。すなわち,それは,オブジェ
クトのより細かい構成要素への分解を記述するものではない。クラス及び補助分類は,同じオ
ブジェクトを参照する。
参考 技術属性とは詳細仕様,形式などの技術的詳細情報を意味している。詳細仕様は技術仕様書又
は部品リストに記載されるべきものであり,補助分類に詳細な技術属性を入れた場合,参照指
定の分類(クラス)が複雑化するため用いてはならない。また,詳細仕様,形式はオブジェク
トの細分化に関する情報であり,新しいレベルを定義する情報を含んでいる。補助分類はオブ
ジェクトの同一レベルにおける区分けの位置付けであり,この点からも技術属性を補助分類と
してはならない。
補助分類に対応した分岐分類標準が既存規格にある場合,使用者との合意によって定義された適切な補
助分類を適用することができる。例えば,表1の目的又はタスクに関連するオブジェクト分類B及び分類
Pについて(ただし,これだけには限定されない。)変数の実測値又は開始値を指定しなければならない場
合,ISO 14617-6の7.3.1に示した表による文字記号を適用することができる。この表からの抜粋を参考の
ため,附属書Dに示す。
例 参照指定の分類Bでは,十分に目的が表現できない場合,温度センサには分類BTという参照指
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
定を割り当ててもよい。
備考 なお,ISO 14617-6の文字記号は,計測及び制御機能の図記号に対応した記号として使用する
ことを意図している。これは,あまり厳格な意味での分類体系を表すものではないが,文字記
号の使用によって,多くの場合において単一レベルの参照指定に十分な区別を与えることがで
きる。
参考 附属書Dにセンサ関係の補助分類として適用可能なISO 14617-6の文字記号を示す。補助分類
はオブジェクトのより詳細な特徴を示すために用いるものであり,計測範囲,出力信号レベル
などの技術的な詳細仕様,又は検出部,電気信号変換部などの細分構成を示すものではない。
あくまで分類(クラス)は,広範囲に適用できるものでなければならない。
補助分類の使用は,文書又は補助資料の中で説明する。
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(参考)オブジェクトのタイプを示す文字記号に関する基本事項
この附属書(参考)は,本文の文字記号定義に関する基本事項について補足するものであり,規定の一
部ではない。
この規格は,作成段階で合意された次の基本事項に基づいている。
1) あるシステムに関する文字記号は,単一の分類体系に基づかなければならない。
2) 分類体系は,オブジェクトのタイプ定義の集合である[例えば,タイプに関する分類(クラス)構
成は,オブジェクトの様々なタイプに関する定義を包含している]。
参考 この規格の原国際規格であるIEC 61346規格群の作成に当たり,次の基本事項が合意され
ている。オブジェクト指向を元にした考え方であり従来の製品本位(具体的)の考え方か
ら,上位概念(抽象的)を重視した考え方に転換が図られている。この附属書Aの理解を
助けるため附属書2に,関係するオブジェクト指向のとらえ方の概要を補足する。オブジ
ェクト指向に関し,より深い知識を得たい場合は,各種専門書を参照する。
なお,この規格の原国際規格では,タイプ(type),分類[クラス(class)]が用語として使
用されているが,厳密な使い分けはなく,双方ともオブジェクト指向におけるクラスを意
味している。
3) 分類体系は,オブジェクトのタイプをサブクラス(子クラス)とスーパークラス(親クラス)とに
階層的に分けることを可能にする。
参考 サブクラスはより具体的なクラスを,スーパークラスはより抽象的なクラスを意味してい
る。
4) あるオブジェクトのタイプに対応する文字記号は,システムにおけるオブジェクトのタイプのイン
スタンス(具体的なもの)と独立でなければならない。
参考 オブジェクトのタイプに用いる文字記号は,システムにおける製品を特定するようなイン
スタンス(具体的なもの)を示すものではなく,共通的な分類・特性を示しシステム内で
広く適用できる共通的・抽象的な特徴を示すものでなければならない。
5) 分類体系の同一階層において,階層内を明確に分類する定義をしなければならない。
6) ある分類体系におけるある同一階層の分類(クラス)定義は,一貫した概念をもたなければならな
い。[例えば,ある同一階層において,色によってオブジェクトを分類する分類体系には,形による
オブジェクトの分類(クラス)を含めてはならない]。ただし,その一貫した概念は階層ごとに異な
ってもよい。
7) 文字記号は,オブジェクトのタイプを示すもので,この時点ではオブジェクトの観点を示さないほ
うがよい。
参考 文字記号は,クラス,タイプなどの抽象レベルの分類を示すものであり,参照指定が用い
られるオカレンスは次の段階である(附属書2参照)。したがって文字記号は,参照指定に
おける製品,機能及び位置の観点に制約されるものではない。
8) 分類体系は,将来の発展及びニーズに対応できるよう,拡張性をもっていなければならない。
9) 分類体系は,特定の分野だけに役立つのではなく,あらゆる技術分野で使用可能でなければならな
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
い。
10) すべての技術分野を通じて一貫した文字記号の使用が可能でなければならない。同じタイプのオブ
ジェクトは,使用される技術分野にかかわらず一つの文字記号を割り当てることが望ましい。
11) 必要な場合には,オブジェクトがどの技術分野から由来したものか,文字記号の中に取り込んで示
すことも可能である。
12) 分類体系は,実際に広く適用されている文字記号に即するのがよい。
13) 文字記号は,ニモニックにしないほうがよい。これは,分類体系の全体を通じて一貫して文字記号
を適用できなくなり,また,他の言語に対して適用ができなくなるからである。
参考 文字自体に意味をもつニモニックを使用した場合,適用可能な技術分野の限定,又は使用され
る言語による適用限界があるため,使用しないほうがよい。
14) 文字コードは,ラテン文字(アルファベットの大文字)を使って構成する。ただし,I及びOは,
数字の1(イチ)及び0(ゼロ)と混同するおそれがあるため除外する。
15) 同じオブジェクトのタイプに対して,異なる分類体系を許容し,適用できるようにしなければなら
ない。
16) オブジェクトは,機能,形状,色,材料などの種類によって分類できる。このことは,同じタイプ
のオブジェクトが,異なる分類体系によって異なる文字記号を割り当てられる可能性があることを
意味している。
17) あるオブジェクト群が,同じ観点を使っている別のオブジェクトの直接的構成要素となっている場
合,当該オブジェクト群には,同じ分類体系によって文字記号を割り当てなければならない(附属
書A図1参照)。
参考 観点には製品,位置及び機能の3種の観点がある。“あるオブジェクト群”とこれらが直接的構
成要素となる“別のオブジェクト”とが同じ観点に属する場合は,同じ分類体系によって文字
記号を割り当てる。異なった観点を使用したオブジェクトの識別によって観点の遷移があった
場合は,適用される各々の観点内の基本事項として理解する(JIS C 0452-1参照)。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
構成物1の直接の構成要素となる構成物2,3及び4には同じ分類体系に基づく文字記号を割り当てる。
構成物2の直接の構成要素となる構成物5及び6には同じ分類体系に基づく文字記号を割り当てる。
構成物4の直接の構成要素となる構成物7及び8には同じ分類体系に基づく文字記号を割り当てる。
構成物6の直接の構成要素となる構成物9,10,11及び12には同じ分類体系に基づく文字記号を割り当てる。
構成物8の直接の構成要素となる構成物13,14,15及び16には同じ分類体系に基づく文字記号を割り当てる。
附属書A図 1 オブジェクトの構成
18) 異なる製造元の製品を新しい製品に組み入れる場合,この製品の構成要素には,異なる分類体系に
基づく記号を割り当ててもよい。
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B(参考)一般的プロセスに関連したオブジェクトの分類(クラス)
この附属書(参考)は,本体の一般的プロセスにおけるオブジェクトの分類(クラス)を補足するもの
であり,規定の一部ではない。
附属書B図1は,あるプロセスに関連したオブジェクトを,本体の表1に基づいて分類したものである。
このプロセスには,次の二つのアクティビティが含まれる。
− フローを直接発生させる,又はフローに直接的に影響を及ぼすアクティビティ
− フローに間接的に影響を及ぼす,又はフローの状態を監視・表示するアクティビティ
この二つのアクティビティは,必す(須)のものであり,ときには静的に作用し,フローに影響を及ぼ
さないアクティビティ又はタスクに支えられている。静的に作用するアクティビティ又はタスクのオブジ
ェクトとしては,どのフローにも関係していないもの,例えば,ビルの柱のようなものが該当する。
附属書B図 1 一般的プロセスに関連したオブジェクトの分類(クラス)
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このモデルでは,同じ分類(クラス)のオブジェクトが,様々な場所に現われている。“実際の”オブジ
ェクトは,プロセス内のオブジェクトの位置を考慮せずにその分類(クラス)及び文字記号を割り当てる
ことができる。
このモデルは技術に依存していないため,あらゆる技術分野に適用することが可能である。このモデル
は,対象にしているオブジェクトの規模又は重要性に依存していないため,オブジェクトの規模にかかわ
らず分類(クラス)の手段として使用できる。このモデルは,ツリー構造のあらゆる階層で繰り返し使用
できる。
なお,このモデルは,オブジェクトを分類するための基礎であり,実在するプロセス及びプロセス環境
に対するモデルの確立を意図したものではない。
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附属書C(参考)一般的インフラストラクチャにおけるオブジェクトの分類
(クラス)
この附属書(参考)は,本体のインフラストラクチャオブジェクトの分類(クラス)を補足するもので
あり,規定の一部ではない。
附属書C図1は,あるプロセス環境に関連したオブジェクトを,本体の表2に基づいて分類したもので
ある。このプロセス環境には,主要プロセス施設を表すオブジェクト(分類Bから分類T)と,主要プロ
セスに加えて二次的タスクのオブジェクト(分類Uから分類Z)とが含まれている。主要プロセス施設は,
通常,設備の所有者によって定義されるか,分岐分類標準によって定義される。例えば,あるコンビナー
トの異なる生産プラントは,主要プロセス施設とみなすことができる。同じコンビナートでも発電プラン
トは,見方によって,主要プロセス施設に分類されたり,補助施設に分類されたりする。
主要プロセス施設の分類(クラス)の定義がケースごとに異なる場合があるが,補助施設の分類(クラ
ス)の定義は,ほとんどの用途の場合決まっている。空調,照明設備,給水,執務室,電話システム,建
物,道路などの施設はほとんどの設備に出てくる。これらの設備は,主要プロセスに直接影響を与えるも
のではないが,インフラストラクチャの重要な構成要素である。
分類Aは,BからZの複数の分類(クラス)に作用するオブジェクトのためにある。例として,空調シ
ステム及び他の設備と同様に,異なる生産プラントを制御する,中央コントロールパネルがある。
附属書C図 1 一般的インフラストラクチャにおけるオブジェクトの分類(クラス)
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附属書D(参考)実測値又は開始値の文字記号
この附属書(参考)は,本体のサブセットとして用いた文字記号を補足するもので,規定の一部ではな
い。
この附属書は,ISO 14617-6の7.3.1で示されている表からの抜粋を参考として示している。この規格で
示している文字は,計測及び制御機能のために図記号に加えて使用する。ISO原規格の表には,図記号の
番号が記入された列と,それぞれの“修飾子(Modifier)”と“機能(Function)”という列とが記されている。
これらの列は,参照指定において使用する場合には関係しないため,表1では省略する。
文字のI及びOは,数字の1(イチ)及び0(ゼロ)と混同するおそれがあるので,参照指定では使用
しない。
参考 上記におけるISO 14617-6の7.3.1は,次の構成になっている。
Symbol
Measured or initiating variable
Modifier
Function
7.3.1.1
1051
A
Alarming
7.3.1.2
1052
B
Displaying
discrete
state
7.3.1.3
1053
C
Controlling
7.3.1.4
1054
D
Density
Difference
7.3.1.5
1055
E
Electric variable
Sensing
・・・・
・・・
・・・
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D表 1 ISO 14617-6に示されている実測値又は開始値の文字記号
記号
実測値又は開始値
A
B
C
D
密度
E
電気変数
F
流量率
G
計器,位置,長さ
H
手操作
I
J
電力
K
時間
L
濃度
M
水分率,湿度
N
使用者指定欄
O
使用者指定欄
P
圧力,真空
Q
品質
R
放射線
S
速度,周波数
T
温度
U
多重変数
V
使用者指定欄
W
質量,力
X
使用者指定欄
Y
利用者の選択
Z
イベントの回数,その他の量
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附属書1(参考)用語の補足
この附属書(参考)は,本体の用語の定義を補足するものであり,規定の一部ではない。
本体において参照しているJIS C 0452-1(電気及び関連分野−工業システム,設備及び装置,並びに工
業製品−構造化原理及び参照指定−第1部:基本原則)の用語の定義を,次に示す。
1. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
1.1 オブジェクト(object) 設計,エンジニアリング,製作・建設,運転,保守及び廃棄のプロセスの中
で扱う“エンティティ(entity)”。
備考1. 物理的若しくは非物理的な“もの(thing)”,又はそれに附属する情報の集まりを実体(entity)と
いう言葉で表す。
2. エンティティ(entity)の目的によって,オブジェクトは,“観点(側面)”と呼ばれる色々な視点
でとらえられることがある。
1.2
システム(system) 相互に関係するオブジェクトの集合。
備考1. システムの例 駆動システム,給水システム,ステレオシステム,コンピュータシステムな
ど。
2. あるシステムが他のシステムの一部である場合,そのシステムは一つのオブジェクトとみな
してもよい。
1.3
観点 (aspect) システム又はシステム内のオブジェクトの情報の選択又は記述の仕方。
備考 その方法は,次に示すものがある。
− システム又はオブジェクトが何をするか[機能観点(機能視点)]
− システム又はオブジェクトがどのように構成されているか[製品観点(製品視点)]
− システム又はオブジェクトがどこに配置されるか[位置観点(位置視点)]
参考 原国際規格には,“aspect”と同じ意味で“view point”も使用されている。
1.4
機能 (function) オブジェクトに関係する目的。
1.5
製品 (product) 自然若しくは人工的プロセス又は労働を通して得た意図的な結果,又は達成した結
果。
備考1. 通常,製品は“部品番号”,“注文番号”,“タイプ指定(type designation)”及び/又は“名前”
をもつ。
2. 技術的なシステム又はプラントを製品とみなすことがある。
1.6
構造 (structure) あるシステムに含まれるオブジェクト間の構成関係(包含/部分)を有機的に記
述し表現したもの。
1.7
参照指定 (reference designation) 一つ又は複数の“観点(aspect)”を通してシステムの中から特定
のオブジェクトを識別する方法。
参考 用語“参照指定”のうちの“指定”(designation)は,旧JIS C 0401の中では,“品目指定 (item
designation) ”の中に現れていた。(JIS C 1082-1〜4:1999の発効によって旧JIS C 0401は1999
年に廃止された。)“参照指定”は,3.7にその目的が定義され,他の箇条では派生した用語が定
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
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義されているだけで,基本的な内容の説明・定義が不足している。ここでは,読者の理解のた
め簡単に内容を説明する。“参照指定”は,技術文書中の“もの”と“もの”との間の参照関係
又は接続関係を意図的に結び付けつける表現であり,文書中の“もの”は,その中で示す具体
的な“もの(対象)”自体又はその端子に表示することも含んでいる。ここでいう“参照”は一
般に使用されている“呼び合い”である。“指定”には,“意図的”という意味も含まれている。
1.8
単一レベルの参照指定 (single-level reference designation) そのオブジェクトに直属の構成要素であ
るオブジェクトに割り付ける参照指定。
1.9
複数レベルの参照指定 (multi-level reference designation) システム全体の中を一つの構造パス(経
路)でたどる参照指定。
1.10 参照指定のセット (reference designation set) その中の少なくとも一つの参照指定が対象のオブジ
ェクトを明確に識別することができる参照指定の組合せ・集合(セット)。
備考 参照指定のセットの中の他の参照指定は,対象のオブジェクトを識別できる必要はないが,そ
のオブジェクトが構成要素となっている他のオブジェクト(構造上上位に位置するオブジェク
ト)の識別に使われる。
1.11 参照指定のグループ (reference designation group) その中の構成オブジェクト単独では明確な識別
ができないが,全体のオブジェクトの組合せとしては参照指定で識別できるグループ。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2(参考)オブジェクト指向に関する補足
この附属書(参考)は,本体及び附属書Aの基礎となっているオブジェクト指向に関し補足するもので
あり,規定の一部ではない。
近年JIS制定されるこの規格の技術文書に関する規格群は,原国際規格においてIT(情報技術)システ
ム技術の“オブジェクト指向”の考え方を基盤としている。これは従来の具体的な図書又は製品主体の考
え方からの大きな変化である。規格理解のため“オブジェクト指向”に関する専門知識は必要ではないが,
最低限“オブジェクト指向”の概念及び基本的な用語に関する知識が必要である。このため附属書2では,
この規格の原規格であるIEC国際規格群に“オブジェクト指向”に関する補足説明はないが,この規格及
び他の技術文書規格群を理解するうえに必要な“オブジェクト指向”の考え方を次に補足説明する。ただ
し,技術文書に関する規格群を理解するうえで必要な“オブジェクト指向”のある側面だけを説明するた
め,それ以外の側面については説明を加えない。その他の側面については,ITシステムの専門書を参照い
ただきたい。
なお,IEC国際規格の技術文書規格群に対応する電子データ交換のISO規格である“STEP”(ISO 10303
規格群),“PLIB”[ISO 13584(Parts Library)規格群]では“オブジェクト指向”が基盤となっているが,こ
れらの規格に関しても“オブジェクト指向”に関する概念及び重要な用語の定義がなされているため,一
般のオブジェクト指向の技術専門書を参考にしている。ただし,技術文書規格群では規格によってオブジ
ェクトとエンティティ(1.1参照)との混用が存在するなど,原国際規格においても必ずしも用語の一本
化が徹底されている訳ではない。また,オブジェクト指向に関する用語は単純に翻訳した場合,本来のオ
ブジェクト指向技術分野における用語の意味を正確に把握することが困難であり,次の補足説明では丸括
弧に英語を記載する。
1. オブジェクト指向概念の基礎
1.1
オブジェクト指向の概念 オブジェクト指向の概念のもとは理解,処理の対象を物理的なものでは
なくエンティティ[意味的なかたまり(entity)]及びそれらのリレーション[関係(relation)]で表現する方
法であるER-モデル(entity-relation model)である。この方法ではエンティティに関し階層関係,概念の包含,
抽象―具体などの関係はすべてリレーションの一種として扱い,すべてのエンティティが同格の存在とし
て扱われる。その概念を附属書2図1に示す。
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
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附属書2図 1 ER-モデルの概念
このリレーションの中で,概念の包含関係,抽象−具体関係を別扱いしたものがオブジェクト指向であ
る。この基本概念を附属書2図2に示す。
附属書2図 2 オブジェクト指向の基本概念
附属書2図2において,オブジェクトとはクラスとインスタンスとを包含したものであり,抽象度の高
い概念をクラス,具体的な実体をインスタンスという。また,クラスは概念の包含関係によって,上位の
概念[スーパークラス(親クラス)]から下位の概念[サブクラス(子クラス)]にツリー状に展開するこ
とができる。オブジェクト,クラス及びインスタンスは,次のように理解するとよい。
− オブジェクト:抽象的な概念の“クラス”と具体的な実体である“インスタンス”とを包含するもの。
− クラス:共通の特徴[本体では“目的”又は“タスク”(役割)]で対象物を抽出した概念的なもの。
技術文書に関する規格群では,分類,種別,文書フォーマットなどが該当する。
− インスタンス:クラスを具体的な世界に射影(インスタンシエイト)した実体をもつ対象物。技術
文書に関する規格群では,現実に存在する設備,機器などの製品,文書などが該当する。
エンティティ
エンティティ
エンティティ
リレーション
リレーション
リレーション
クラス
インス
タンス
抽象−具体関係
抽象
具体
オブジェクト
スーパークラス
サブクラス
概念の包含関係
抽象度の高
い上位概念
をスーパー
クラスとい
う。
大分類
小分類
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参考 一般的な説明として,“クラスを鋳型と考え,これによって生成された実体である鋳物がインス
タンス”又は“クラスはインスタンスを生成するためのテンプレート”と表現する場合がある。
これらはインスタンス(実体)が,クラス(概念)から生成される関係を示している。
1.2
オブジェクト指向のモデリング 技術文書に関する規格群に関連するオブジェクト指向のモデリン
グについての概要を,次に示す。
a) 対象をクラス−インスタンスの二つの空間で表現する方法である。
b) クラスを概念の上位下位の関係で階層的に体系化する。
c) クラス間の関係をb)の関係だけでなく,その他の関係(全体−要素,機能−製品−位置,要素−要素
など)も抽象的に表現する。
d) クラスの射影(インスタンシエイト)として対象の実体(インスタンス)を記述する。
e) インスタンス間の関係(全体−要素,機能−製品−位置,要素−要素など)も具体的に記述する。
f)
スーパークラス(親クラス)の特徴はサブクラス(子クラス)が引き継ぐ(クラス継承)。
参考 以上のほかに,ソフトウェア開発分野特有の内容として“カプセル化”などがあるが,技術文書
に関する規格群では関係しないため補足説明を省略する。
2. 技術文書に関する規格群におけるオブジェクト指向
2.1
技術文書に関する規格群におけるオブジェクト指向の特徴 オブジェクト指向概念の基礎では,オ
ブジェクトを“抽象的な概念のクラスと具体的な実体であるインスタンスとを包含する”と説明した。こ
の規格に関連する参照指定規格群(JIS C 0452-1の本体及び附属書1)ではクラス,インスタンスの中間
レベルとしてオカレンス(occurrence)があり,3種のオブジェクト空間が存在している。オカレンスは,次
のようの理解願いたい。
− オカレンス:完全に具体化されていない中間的な状態(附属書2図3参照)。
プラント建設分野,電気製品分野を例に考えた場合,ソフトウェアの分野と異なり,クラスから
即時に完全なインスタンスが発生することは,ほぼ存在しない。すなわち,概念設計からある程度
具体化が進み設計の段階で,図面上に表現され必要な設備であるが,製品又は製品に対応した注文
番号など個別の実体を伴わない不完全なインスタンスがオカレンスに該当する。この部分がオカレ
ンスに該当する。この意味からオカレンスはプラント,システムのライフサイクルにおいて,主に
設計段階において扱う対象を記述する方法であり,参照指定が適用される。
参照指定に関する基本事項(JIS C 0452-1の本体及び附属書)によれば,3種のオブジェクト空間を附
属書2表 1のように表現している。
附属書2表 1 オブジェクト空間の表現
基本事項における表現
一般的表現
分類(クラス)・タイプ(types又はtype of object)
“クラス”
オカレンス(occurrence of types)
該当なし
個々の一般的識別(individuals)
“インスタンス”
2.2
注意点 技術文書に関する規格群では,同一の意味を示す内容でありながら異なる表現をとる事例
があり,次の用語関係を前提として理解する必要がある。
− 一般的な“クラス”を意味する表現:タイプ(type),オブジェクトのタイプ(type of object),分類(ク
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ラス)
− 一般的な“インスタンス”:個々の一般的識別(individuals),インスタンス(instance)
2.3
技術文書に関する規格群におけるオブジェクト指向 技術文書に関する規格群における参照指定の
概念を附属書2図3に示す。
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C 0452-2:2005 (IEC 61346-2:2000)
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附属書2図 3 技術文書に関する規格群における参照指定の概念
遮断器
-A1 MCC
-T1 変流器
-Q1 遮断器
-W1 主母線
-W2 垂直母線1
-W3 垂直母線2
具体的
オカレンス
インスタンス
(実体)
クラス
(概念)
抽象的
A1
T1
W3
Q1
JIS C 0452-1
W2
W1
MCC
母線
変流器
JIS C 0452-2
A ; エネルギーの変換・
供給,モータの保護
(二つ以上の目的を
もつ装置)
Q ;制御に従ったエネル
ギーの切替え
T ;エネルギーの変換
W ; エネルギーの伝達
MCC(A1)
B社製遮断器
型式; THM055
注文番号;
P2G012P077
A社製垂直母線
型式;B01V2
注文番号;
P2G001P022
A社製垂直母線
型式;B01V1
注文番号;
P2G001P021
A社製主母線
型式;B01M
注文番号;
P2G001P001
C社製変流器
型式; SY6123
注文番号;
P2G256P093
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用語索引
IEC規格原文で用いている用語は従来の日本工業規格にない新しい用語が多く,抽象的な意味を用いて
おり,また,相互に関連して使用されており,翻訳した日本語だけを掲載することは技術上のあいまいさ
を生み出すおそれがある。このため,理解を容易にする趣旨で参考として出現順に一括掲載する。また,
章及び頁は各用語が最初に使用される部分を示す。
附属書3表 1 用語
IEC原文の英語
この規格の用語
箇条番号
頁
Object classes
オブジェクトの分類(クラス)
1.
1
Letter code
文字記号
1.
1
Tree-like structure
ツリー構造
1.
1
Location aspect
位置の観点
1.
2
Flow
フロー又は流れ
5.
3
Purpose
目的
4.
2
Task
タスク
4.
2
Classification scheme
分類体系
1.
1
Classification
分類
1.
1
Class
分類(クラス)
5.
3
Infrastructure object
インフラストラクチャーオブジェクト
6.
12
Brunch-related
分岐分類
6.
12
Brunch-related standard
分岐分類標準
6.
12
Brunch-related standardization
分岐規格化
6.
12
Supporting documentation
補助資料
6.
12
Prefix signs
接頭辞
6.
15
Subdivision
より細かい構成要素への分解
7.
16
Technical attributes
技術属性
7.
16
Subclass
サブクラス又は補助分類
7.
16
Single level reference designation
単一レベルの参照指定
7.
16
Type
タイプ
附属書A
17
Subclass
サブクラス(子クラス)
附属書A
17
Superclass
スーパークラス(親クラス)
附属書A
17
Instance
インスタンス
附属書A
17
Level
階層
附属書A
17
Aspect
観点
附属書A
17
activity
アクティビティ
附属書B
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