2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 9943 : 1987
浮上分離装置の試験方法
Testing Methods of Floatation Equipments
1. 適用範囲 この規格は,廃水中の懸濁物質(浮遊物質)を浮上させて除去するため,廃水処理の工程
から発生した水よりも密度の小さい懸濁物質を浮上させ,又は懸濁物質に微細気泡を付着させて水よりも
見掛け密度を小さくし,これを浮上させて連続的に分離除去するための浮上分離装置,すなわち油水分離
装置,加圧浮上装置,散気式浮上装置,電解式浮上装置などの使用状態における性能を把握するため必要
な試験項目及び試験方法について規定する。
備考 この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,参
考として併記したものである。
引用規格:
JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没)
JIS B 7505 ブルドン管圧力計
JIS B 7546 隔膜式圧力計
JIS B 8530 公害防止装置用語
JIS K 0094 工業用水・工場排水の試料採取方法
JIS K 0102 工場排水試験方法
JIS Z 8761 フロート形面積流量計による流量測定方法
JIS Z 8762 絞り機構による流量測定方法
JIS Z 8763 ベンチュリ管による流量測定方法
JIS Z 8764 電磁流量計による流量測定方法
JIS Z 8765 タービン流量計による流量測定方法
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS B 8530(公害防止装置用語)及びJIS K 0102
(工場排水試験方法)による。
3. 浮上分離装置の試験項目 浮上分離装置の試験に必要な項目は,次の中から選定する。
(1) 浮上分離装置の入口の廃水及び出口の処理水の温度
(2) 浮上分離装置の入口の廃水及び出口の処理水の流量
(3) 浮上分離装置の入口の廃水及び出口の処理水の水質
(4) 浮上分離装置の水面積負荷
(5) 浮上分離装置の廃水処理薬品の組成,濃度及び使用量
(6) 浮上分離装置の廃水の槽内平均速度
(7) 浮上分離装置の動力消費量
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(8) 浮上分離装置の発生汚泥量
(9) 加圧浮上装置の気固比
(10) 加圧浮上装置の加圧水の圧力及び水量
(11) 散気式浮上装置の送気量
(12) 電解式浮上装置の電極の形状
(13) 電解式浮上装置の電解電圧及び電流密度
4. 浮上分離装置の試験方法通則 3.に規定する各項目の試験は,原則として浮上分離装置及びその原廃
水の状態が安定したときを選んで行う。
また,これらに周期性があれば,少なくともその一周期より長い期間にわたって測定を行う。さらに試
験項目のうち3.(1)〜(3)のように,入口及び出口において測定するものは,それぞれ同時期に測定する。
5. 浮上分離装置の試験方法
5.1
廃水及び処理水の温度の測定方法 廃水及び処理水の温度は,主としてJIS B 7411[ガラス製棒状
温度計(全浸没)]の50度温度計を使用し,各測定点においてJIS K 0102の7.2水温の規定によって測定
する。
5.2
廃水及び処理水の流量の測定方法 廃水及び処理水の流量は,JIS Z 8761(フロート形面積流量計に
よる流量測定方法),JIS Z 8762(絞り機構による流量測定方法),JIS Z 8763(ベンチュリ管による流量測
定方法),JIS Z 8764(電磁流量計による流量測定方法)又はJIS Z 8765(タービン流量計による流量測定
方法)の規定によって測定する。
5.3
廃水及び処理水の水質の試験方法 浮上分離装置の入口の廃水及び出口の処理水の水質は,JIS K
0102の12.pH,7.温度,14.1懸濁物質,17.100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量 (CODMn),
24.ヘキサン抽出物質又は25.四塩化炭素抽出物質の規定によって,必要と認められる項目について試験す
る。
試料の採取については,廃水は流入点に近いところで,処理水は,各処理水の合流点以降の十分各処理
水が混合される位置で,また,廃水の水質に変動があるときには処理装置内の滞留時間なども考慮し,適
切な時期と間隔でJIS K 0094(工業用水・工場排水の試料採取方法)に従って行う。
5.4
水面積負荷の測定方法 水面積負荷は,流入水量と浮上分離装置の分離槽表面積との比から求める。
U1=Q/A
ここに, U1: 水面積負荷 [m3/ (m2・h) ]
Q: 流入水量 (m3/h)
A: 分離槽表面積 (m2)
備考 分離槽表面積は,実測又は図面から求める。
5.5
廃水処理薬品の組成,濃度及び使用量の試験方法 廃水処理薬品の組成は,薬品の容器に添付して
ある日本工業規格の表示によって確認する。廃水処理薬品の濃度は,その成分を定量分析して求める。廃
水処理薬品の使用量は,定量ポンプによる流量測定又は貯槽の側壁に取り付けた指示計によって測定する。
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5.6
廃水の槽内平均速度 廃水の槽内平均速度は,流入水量を槽と有効容積とから次式によって求める。
U2=Q1/Q2
ここに, U2: 槽内平均速度 (h-1)
Q1: 流入水量 (m3/h)
Q2: 槽の有効容積 (m3)
5.7
動力消費量 動力消費量は,全装置の電源の積算動力計によって測定する。
5.8
発生汚泥量 発生汚泥量は,貯槽における汚泥の体積を測定し,汚泥の含水率を測定して乾燥物換
算で求める。
5.9
加圧浮上装置の気固比 加圧浮上装置の気固比は,槽内に送入される気体の質量と槽内の懸濁物質
の質量を測定して次式によって求める。
R=VGPG/VSPS
ここに,
R: 気固比 (g/g)
VG: 気体の体積 (m3) 標準状態 (0℃) (101.3kPa) {760mmHg}
ρG: 気体の密度 (g/m3)
VS: 懸濁液の体積 (m3)
ρS: 懸濁液中の懸濁物質の密度 (g/m3)
5.10 加圧浮上装置の加圧水の圧力及び水量 加圧浮上装置の加圧水の圧力は,貯槽の圧力計をJIS B 7505
(ブルドン管圧力計)又はJIS B 7546(隔膜式圧力計)によって検定し,測定する。加圧水の水量は,貯
槽出口の流量計によって測定する。
5.11 散気式浮上装置の送気量 散気式浮上装置の送気量は,気体流量計によって測定する。
5.12 電解式浮上装置の電極の形状 電解式浮上装置の電極の形状の使用前後のものを目視又は撮影によ
って記録する。
5.13 電解式浮上装置の電解電圧及び電流密度 電解式浮上装置の電解電圧は,電圧計及び記録計によっ
て測定し,電流密度は電流計及び記録計によって測定した電流と電極の有効面積とから次式によって求め
る。
D=I/S
ここに, D: 電流密度 (A/m2)
I: 電解電流 (A)
S: 陽極の電流が通過する表面積 (m2)
6. 浮上分離装置の試験回数 各試験項目の試験回数は,同一運転条件において原則として連続3回とす
る。ただし,必要に応じて更に回数を増す。
なお,水質試験の場合には,JIS K 0094及びJIS K 0102によって適宜検水を採取する。
7. 試験結果の記録 この試験方法によって得た結果は,原則として次の項目にまとめて整理し,記録す
る。記録の様式例を表に示す。
(1) 試験の日時
(2) 気象条件
(3) 試験対象の条件
(a) 対象廃水の条件
(b) 浮上分離装置の形式及び主要寸法
(c) 浮上分離装置の使用状況
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(d) 測定位置及び測定点の数
(4) 入口の廃水及び出口の処理水の条件
(a) 廃水の水温
(b) 廃水の流量
(c) 廃水の水質
(d) 処理水の水温
(e) 処理水の流量
(f) 処理水の水質
(5) 廃水処理の条件
(a) 処理対象成分の除去率
(6) 廃水処理薬品の条件
(a) 組成
(b) 濃度
(c) 使用量
(7) 動力消費量
(8) 発生汚泥の条件
(a) 発生汚泥量
(9) その他
(a) 槽内平均速度
(b) 気固比
(c) 加圧水の圧力及び水量
(d) 送気量
(e) 電極の形状
(f) 電解電圧及び電流密度
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表 浮上分離装置の試験結果記緑の様式例