2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 9940-1987
pH調節装置の試験方法
Testing Methods of pH Controlling Equipments
1. 遵用範囲 この規格は,酸性又はアルカリ性廃水を最終放流するため適正なpH(pHの中性範囲)に
調節する中和装置及び廃水中に含まれる溶存物質を析出する,又は後続する装置の前処理として任意のpH
に調節するpH調節装置の使用状態における性能を把握するために必要な試験項目及び試験方法について
規定する。
備考 この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,参
考として併記したものである。
引用規格:
JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没)
JIS B 8530 公害防止装置用語
JIS K 0094 工業用水・工場排水の試料採取方法
JIS K 0102 工場排水試験方法
JIS K 3211 界面活性剤用語
JIS Z 8761 フロート形面積流量計による流量測定方法
JIS Z 8762 絞り機構による流量測定方法
JIS Z 8763 ベンチュリ管による流量測定方法
JIS Z 8764 電磁流量計による流量測定方法
JIS Z 8765 タービン流量計による流量測定方法
JIS Z 8802 pH測定方法
JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS Z 8802(pH測定方法),JIS Z 8805(pH測定
用ガラス電極),JIS B 8530(公害防止装置用語),JIS K 0102(工場排水試験方法)及びJIS K 3211(界面
活性剤用語)によるほか次による。
(1) 中和剤 酸性又はアルカリ性廃水を中和するために用いられる薬剤。
(2) pH調節装置 廃水のpHを調節する装置。中和装置を含む。
3. pH調節装置の試験項目 pH調節装置の試験に必要な項目は,次の中から選定する。
(1) pH調節装置の入口の廃水及び出口の処理水の温度
(2) pH調節装置の入口の廃水及び出口の処理水の流量
(3) pH調節装置の入口の廃水及び出口の処理水のpH
(4) pH調節装置の入口の廃水及び出口の処理水の電気伝導率(導電率)
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(5) pH調節装置の入口の廃水及び出口の処理水の水質
(6) pH調節計の作動状況
(7) 混和機器の作動状況
(8) 中和剤の調製濃度
4. pH調節装置の試験方法通則 3.に規定する各項目の試験は,原則としてpH調節装置及び廃水の状態
が安定したときを選んで行う。
またこれらに周期性があれば少なくとも,これらの一周期より長い期間にわたって試験を行う。
なお,各試験項目の試験は,原則としてそれぞれ同時刻ごとに行う。
5. pH調節装置の試験方法
5.1
廃水及び処理水の温度の測定方法 廃水及び処理水の温度は,各測定点においてJIS B 7411[ガラ
ス製棒状温度計(全浸没)]によるガラス製棒状温度計を用い,JIS K 0102の7.2水温の規定によって測定
する。
5.2
廃水及び処理水の流量の測定方法 廃水及ひ処理水の流量は,各測定点においてJIS K 0094(工業
用水・工場排水の試料採取方法)の8.流量の測定,JIS Z 8761(フロート形面積流量計による流量測定方
法),JIS Z 8762(絞り機構による流量測定方法),JIS Z 8763(ベンチュリ管による流量測定方法),JIS Z
8764(電磁流量計による流量測定方法),又はJIS Z 8765(タービン流量計による流量測定方法)の規定に
よって測定する。
5.3
廃水及び処理水のpHの測定方法 廃水及び処理水のpHは,各測定点においてpH計を用いてJIS K
0102の12.pH又はJIS Z 8802の規定によって測定する。
5.4
廃水及び処理水の電気伝導率(導電率)の測定方法 廃水及び処理水の電気伝導率は,各測定点に
おいて電気伝導度計を用いてJIS K 0102の13.電気伝導率の規定によって測定する。
5.5
廃水及び処理水の水質の試験方法 廃水及び処理水の水質は,各測定点においてJIS K 0094に従っ
て試料を採取し,JIS K 0102の規定によって必要と認められた項目について試験する。
5.6
pH調節計の作動状況の試験方法 pH調節計は,JIS Z 8802の7.2測定方法の規定によって調整し,
制御点の設定に対して中和槽の出口における処理水のpHと照合しながら作動の状態が適正か否かを試験
する。
5.7
混合機器の作動状況の試験方法 混合機器は,中和槽及び混合機の設計規模・機種を図面によって
確認し,pH計を用いて中和槽の出口における処理水のpHと照合しながら,混合の状態が適正か否かを試
験する。
5.8
中和剤の調製濃度の測定方法 調製濃度の測定は,廃水をJIS K 0094に従い試料を採取し,JIS K
0102の15.酸消費量又は16.アルカリ消費量の規定に準じて中和剤を添加しpHを調節し,中和剤の添加量
を横軸に,廃水のpHを縦軸に取り,中和剤の適正濃度を測定,記録する。
6. pH調節装置の試験回数 各試験項目の試験回数は,1日の操業時間中適当な時間間隔で,少なくとも
3回試験する。変動がある場合は,変動の内容実態が確実に把握できるよう適宜回数を増加する。
7. 試験結果の記録 この試験方法によって求めた結果は原則として,次の項目にまとめて整理し記録す
る。記録の様式例を表に示す。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(1) 試験の日時
(2) 気象条件
(3) 試験対象の条件
(a) 対象廃水の条件
(b) pH調節装置の形状及び主要寸法
(c) pH調節装置の使用状況
(d) 測定位置及び測定点の数
(4) 入口の廃水及び出口の処理水の条件
(a) 廃水量
(b) 廃水のpH,電気伝導率及び外観
(c) 処理水のpH,電気伝導率及び外観
(d) 廃水及び処理水の水質
(5) pH調節計の作動状況
(6) 混合機器の作動状況
(7) 中和剤の種類と調製濃度
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表 pH調節装置の試験結果記録の様式例