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B9929:2006  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本空気清浄協会(JACA)/財団法

人日本規格協会(JSA)から団体規格(JACA No.39)を元に作成した工業標準原案を具して日本工業規格を制

定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格であ

る。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。 

JIS B9929には,次に示す附属書がある。 

附属書1(参考)空気中イオン密度測定器 

附属書2(参考)帯電プレートモニタによるイオナイザの除電効果評価方法  

附属書3(参考)空気中イオンの発生方法  

附属書4(参考)イオンの寿命とエアロゾル濃度との関係  

附属書5(参考)設計時のコンデンサ内の層流試験法  

B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 空気中イオンの測定方法の種類及びクラス区分 ····································································· 2 

4.1 空気中イオン密度の測定方法及びクラス区分 ······································································· 2 

4.2 イオン発生器の発生量評価に係わる測定方法及びクラス区分 ·················································· 2 

5. 空気中イオンの測定方法 ··································································································· 2 

5.1 空気中イオン密度の測定方法 ··························································································· 2 

5.2 イオン発生器の発生量評価にかかわる測定方法 ···································································· 4 

6. 報告書の作成 ·················································································································· 6 

附属書1(参考)空気中イオン密度測定器 ················································································· 9 

附属書2(参考)帯電プレートモニタによるイオナイザの除電効果評価方法 ··································· 14 

附属書3(参考)空気中イオンの発生方法 ················································································ 16 

附属書4(参考)イオンの寿命とエアロゾル濃度との関係 ··························································· 18 

附属書5(参考)設計時のコンデンサ内の層流試験法 ································································· 20 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 9929:2006 

空気中のイオン密度測定方法 

Standard for measuring methods of airborne ion density  

1. 適用範囲 この規格は,空気中におけるイオン密度の測定方法及びイオン発生器によって生成される

イオン発生量の測定方法について規定する。 

なお,空気中イオン密度測定器については,附属書1(参考)に記載する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 9920 クリーンルームの空気清浄度の評価方法 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) 同軸二重円筒式イオン密度測定器 同軸二重円筒式空気コンデンサの両端を開放し,試料空気を通気

させることができるように設計された装置で,円筒の内筒部分又は外筒部分のいずれか一極に電圧を

印加し,他極に集電極をもつもの。ゲルディエン式コンデンサ形イオン密度測定器ともいう。 

b) 平行平板式イオン密度測定器 平行平板式空気コンデンサの両端を開放し,試料空気を通気させるこ

とができるように設計された装置で,一極が電圧を印加できるようになっており,他極に集電極をも

つもの。 

c) 層流 時間的,空間的に不規則な変動を含まない流れ。層流では流体の各部分が管軸又は平板に平行

に動き,ポアズイユの流れが実現する。 

d) 一様環境条件 温度,相対湿度,気圧,エアロゾル濃度などの環境を規定する各要因が不規則な変動

を含まない環境状態。これ以外を非一様環境という。 

e) 吹き出し流量 使用するイオン発生量評価試験装置の測定部から外部環境に吹き出す空気の流量。こ

の流量はイオン発生量評価試験装置の送風部の能力に依存する。 

f) 

空気中イオン密度 測定対象とする限界移動度以上の正・負のイオンの数密度。単位記号は(/m3)で表

す。 

g) イオン発生器 空気中に持続的にイオンを発生させる装置。発生方法には放電又は放射線を利用する

ものなど各種のものがある(附属書3参照)。 

イオンの移動度 単位電界中のイオンの移動速度。量記号はk。単位記号は[m2/(V・s)]で表す。電界を

E(V/m),その中でのイオンの平均移動速度をv (m/s)とするとき,移動度は

E

/

ν

k=

で与えられる。 

h) 限界移動度 イオン密度測定器で測定できる最小の移動度。通常は,一方の入り口表面から流入した

イオンが,他方の集電極の後端へ到達するときの移動度をいう。 

background image

B9929:2006 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 空気中イオンの測定方法の種類及びクラス区分  

4.1 

空気中イオン密度の測定方法及びクラス区分 この方法は,測定対象空間の空気中イオン密度の測

定によって,その空間のイオン密度の実証・評価に用いる。測定対象空間に適正数の測定点を選び,それ

ぞれの測定点におけるイオン密度の平均値で測定対象環境空間の空気中イオン密度を評価する方法である。 

なお,空気中イオン密度の評価方法は,5.1の空気中イオン密度の測定方法で測定したときのイオン密度

によって,次のクラスに区分する。 

イオン密度クラス1 

101×106 / m3以上,102×106 / m3未満 

イオン密度クラス2 

102×106 / m3以上,103×106 / m3未満 

イオン密度クラス3 

103×106 / m3以上,104×106 / m3未満 

イオン密度クラス4 

104×106 / m3以上,105×106 / m3未満 

イオン密度クラス5 

105×106 / m3以上,106×106 / m3未満 

イオン密度クラス6 

106×106 / m3以上 

4.2 

イオン発生器の発生量評価に係わる測定方法及びクラス区分 この方法は,イオン発生器によって

生成される正・負イオンの総量を求め,発生量を実証・評価する方法である。 

なお,イオン発生量の評価方法は,5.2のイオン発生器の発生量評価にかかわる測定方法で測定したとき

のイオン密度によって,次のクラスに区分する。 

イオン発生量クラス1 

101×106 / (m3・s) 以上,102×106 / (m3・s)未満 

イオン発生量クラス2 

102×106 / (m3・s) 以上,103×106 / (m3・s)未満 

イオン発生量クラス3 

103×106 / (m3・s) 以上,104×106 / (m3・s)未満 

イオン発生量クラス4 

104×106 / (m3・s) 以上,105×106 / (m3・s)未満 

イオン発生量クラス5 

105×106 / (m3・s) 以上,106×106 / (m3・s)未満 

イオン発生量クラス6 

106×106 / (m3・s) 以上 

ただし,上記の単位で発生器を評価した場合には,いずれの場合も評価時の測定部の吹き出し流量(m3/s)

を記載する。 

5. 空気中イオンの測定方法  

5.1 

空気中イオン密度の測定方法 

5.1.1 

測定位置及び高さの設定 測定位置及び高さの設定は,次による。 

a) 測定位置の設定 測定位置は,一様環境下でも非一様環境下でも同一とする。限られた空間での測定

位置(試料空気吸入口)は,式(1)によって測定点数の最小値を求め,測定点数によって区画された床

面の中央で測定する。 

A

MP=

 ················································································ (1) 

ここに, MP: 測定点数の最小値。ただし,端数は省略する。 
 

A: 測定対象空間の総床面積(m2)(1) 

注(1) 間仕切りがない状態をいう。間仕切りがある場合には,別途に新たな測定対象空間として扱う。 

ただし,測定点数が20を超える場合は,適宜,測定点数を割愛してもよい。 

備考 イオン発生器が測定対象空間の側壁に取り付けられ,かつ,一定風速によって生成したイオン

が輸送される場合には,風向に垂直な断面積を総床面積Aに置き換える。 

B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 測定の高さ 測定位置(試料空気吸入口)の高さは,測定対象環境空間の床面より0.6〜1.5mの範囲

の作業面の高さとする。 

5.1.2 

測定準備(接地の確認,限界移動度の設定等) 測定準備は,次による。 

a) 接地の確認 同軸二重円筒式,又は平行平板式イオン密度測定器の集電極部に外部電場の変動によっ

て誘導電流が発生しないように,測定開始前にイオン密度測定器の接地を確認する。 

b) イオンの飽和密度曲線と限界移動度の設定 イオンの飽和密度曲線から限界移動度を設定する。 

(イオンの飽和密度曲線から限界移動を設定する方法については,附属書1参照)。 

c) 層流の確認 設定された試料採取流量は,同軸二重円筒式,又は平行平板式コンデンサ内部の試料空

気の流量が,設計時に確認された層流の範囲内であることをレイノルズ数の計算によるか又は測定(附

属書5参照)によって確認する。 

5.1.3 測定 測定は,空気中イオン密度測定器を用いて測定する(空気中イオン密度測定器については,

附属書1参照)。 

a) 一様環境条件 一様環境条件下で,空気中イオン密度の時間変動が小さい場合には,測定器の予熱時

間経過後直ちに測定してよい。 

b) 非一様環境条件 非一様環境条件下では,時間的・空間的代表性を配慮した測定を実施する。 

c) 試料採取流量及び測定回数 設定された測定点における測定は,試料採取流量が総量で0.5

3

m以上,

測定回数(試料採取回数)5回以上が望ましい。 

d) 空気中イオン密度の測定 正・負イオン密度N (/m3)は,電位降下法によって電流を測定して,式(2)

で求める。 

Φ

I

.

N

×

=

−19

10

6

1

1

,ただし

R

V

I=

 ················································· (2) 

ここに, 

I: イオン捕集用コンデンサから高抵抗を通して電位計に

流入した電流値 (A) 

V: 電位計指示電圧 (V) 

R: 入力高抵抗値 (Ω) 

Φ: 試料採取流量 (m3/s) 

 素電荷量: 

19

10

6.1

×

 (C) 

電荷蓄積法による電圧測定から,流入電流値を求める場合は,式(3)による。 

Φ

I

.

N

×

=

−19

10

6

1

1

,ただし

t

CV

I=

 ············································· (3) 

ここに, C: 電位計固有の静電容量 (F) 
 

t: 測定時間間隔 (s) 

e) 全測定点における平均イオン密度の計算 測定点iにおける平均の正・負イオン密度

i

N

)

m

(/

3は,式

(4)で求める。 

=

=

=

n

j

j

j,i

i

N

n

N

1

1

 ·········································································· (4) 

ここに, Ni,j: 測定点iにおけるj回目の測定のイオン密度 (/m3) 
 

n: 測定点iにおける測定回数 

測定対象全空間における平均の正・負イオン密度N(/m3)は,式(5)で求める。 

=

=

=

Z

i

i

i

N

Z

N

1

1

 ············································································ (5) 

ここに, Z: 測定対象空間の測定点数 

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B9929:2006 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.1.4 

空気中イオン密度の評価 空気中イオン密度の平均的な評価は,全平均イオン密度値によって空気

中イオン密度区分を用いて行う。空気中イオン密度の時間的・空間的状態の評価は,全平均密度値,最大

密度値,最小密度値の項目によって行う。 

5.1.5 

空気中イオン密度測定結果の表示方法 空気中イオン密度測定結果による報告書の作成は,6.によ

る。 

5.2 

イオン発生器の発生量評価にかかわる測定方法  

5.2.1 

評価測定装置の構成 測定装置の構成は,図1に示すように,送風部,エアフィルタ部,イオン発

生器設置部,縮流混合部及び測定部で構成する。 

①送風部,②エアフィルタ部,③イオン発生器設置部,④縮流混合部,⑤測定部,⑥気密扉付開口 

図 1 イオン発生量評価測定装置の構成例 

5.2.2 

測定装置の構造 測定装置の構造は,次による。 

a) 構造一般 試験装置の内面は,平滑であって,帯電しにくく,接地可能な表面抵抗の小さい,イオン

を自己発生しない材料であり,イオンの測定に影響を与えない構造にする。 

b) 送風部 送風部は測定部での吹き出し流量が試料採取流量を十分上回る流量を供給可能な送風構造と

し,かつ,5.2.3 e)の流量調整が可能な構造とする。 

c) エアフィルタ部 エアフィルタ部は,イオン発生器設置部に供給する空気を清浄にする部分で,設置

するフィルタは,HEPA又はULPAを用いる。測定部の空気の清浄度は,フィルタ上流側の空気質に

かかわらず,少なくともJIS B 9920に規定する清浄度クラス5の清浄度を維持する。 

d) イオン発生器設置部 イオン発生器設置部の寸法は,イオン発生器が実際に使用されるときと同一の

状態で運転できる大きさとする。また,イオン発生器を装置内に設置するための気密扉を設ける。 

e) 縮流混合部 イオン発生器から発生する正・負イオンが清浄空気と十分混合し,測定部における空気

中の正・負イオン密度が一様になる構造とする。 

f) 

測定部 イオン密度及び吹き出し流量を測定する場所で,かつ,5.2.4の測定が適正に行える寸法とす

る。測定部は外部に対して開放状態にする。 

5.2.3 

測定準備 測定準備は,次による。 

a) 試験装置内の試験環境条件 試験装置内の試験環境条件は,表1に示すように,イオン発生器稼動前

の清浄度が少なくともクラス5以上の清浄度を満足していることを確認する。また,温度・湿度の試

験環境条件は,イオン発生器,イオン密度測定器のそれぞれの製造業者が指定する範囲内であること

を確認する。 

③ 

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B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 1 試験環境条件 

項目 

試験環境条件 

温度 

5〜35 ℃(又は製造業者が指定する範囲) 

相対湿度 

40〜80 %(又は製造業者が指定する範囲) 

気圧 

1 013.25 hPa±5 % 

空気の清浄度 

少なくともJIS B 9920クラス5 

電源電圧 

定格電圧±10 % (V) 

b) 吹き出し流量の測定及び設定 試験装置の測定部の吹き出し流量は,通常,測定部の中央で測定した

平均流速が,同軸二重円筒式,又は平行平板式イオン密度測定器に流入する平均流速と同じになるよ

うに調整する(等速吸引)。測定部は外部に対して開放状態にし,試験装置が供給する流量は,試料採

取流量を十分上回り,試験装置の外部環境からの影響を遮断できるように調整する。 

c) 接地の確認 発生した正・負イオンが試験条件下で電場などの影響を受けないように,試験の開始前

に試験装置,及びイオン密度測定器の接地を確認する。 

d) イオンの飽和密度曲線及び限界移動度の設定 イオンの飽和密度曲線から限界移動度を設定する方

法は,5.1.2 b)と同様の方法による。(イオンの飽和密度曲線から限界移動を設定する方法については,

附属書1参照)。 

e) 試料採取流量の確認 試料採取流量を変更する場合は,試験装置の吹き出し流量も同時に調整し,等速

吸引されていることを確認する。ただし,等速吸引が難しい場合は±20 %の範囲で調整する。(試料

採取流量の確認は,附属書1参照)。 

5.2.4 

測定 測定は,空気中イオン密度測定器を用い,次によって測定する。(空気中イオン密度測定器

については,附属書1参照)。 

a) 試験装置内バックグランドイオン密度の測定 電位降下法によって電流を測定して,平均正・負バッ

クグランドイオン密度

0

N(/m3)を求める場合は,5.1.3 d)と同様の測定を行い,式(6)で求める。 

=

=

×

=

n

j

j

j,

Φ

I

n

.

N

1

0

19

0

1

10

6

1

1

,ただし

R

V

I

j

j

,0

,0=

 ································ (6) 

ここに, 

I0,j: イオン捕集用コンデンサから高抵抗を通して電位計

に流入したj回目の電流値 (A) 

n: 全測定回数(回) 

V0,j: 電位計指示電圧 (V) 

R: 入力高抵抗値 (Ω) 

Φ: 試料採取流量 (m3/s) 

素電荷量: 1.6 × 10-19 (C) 

電荷蓄積法による電圧測定から,流入電流値を求める場合は,式(7)による。 

=

=

×

=

n

j

j

j,

Φ

I

n

.

N

1

0

19

0

1

10

6

1

1

,ただし

j

j

j

t

CV

I

,

0

,0

,0=

 ······························ (7) 

ここに, 

C: 電位計固有の静電容量 (F) 

t0,j: 測定時間間隔 (s) 

b) 測定回数 イオン発生器の発生量評価にかかわる試験の測定回数は,正・負イオンそれぞれ5回以上

とし,測定結果の平均値からイオン発生量を算出する。 

B9929:2006 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 試料空気中イオン密度の測定 電位降下法によって電流を測定して,平均正・負イオン密度N′(/m3)

を求める場合は,5.1.3 d)と同様の測定を行い,式(8)で求める。 

=

=

×

=

n

j

j

j

Φ

I

n

.

N

1

19

1

10

6

1

1

,ただしI'j=R

Vj' ···································· (8) 

ここに, 

I'j: イオン捕集用コンデンサから高抵抗を通して電位計に流

入したj回目の電流値 (A) 

n: 全測定回数 (回) 

V'j: 電位計指示電圧 (V) 

R: 入力高抵抗値 (Ω) 

Φ: 試料採取流量 (m3/s) 

素電荷量: 1.6 × 10-19 (C) 

電荷蓄積法による電圧測定から,流入電流値を求める場合は,式(9)による。 

=

=

×

=

n

j

j

j

Φ

I

n

.

N

1

19

1

10

6

1

1

,ただし

j

j

j

t

V

C

I

=

 ······································· (9) 

ここに, C: 電位計固有の静電容量 (F) 
 

t'j: 測定時間間隔 (s) 

d) イオン発生量の計算 イオン発生器による正・負イオンの発生量Q[/(m3・s)]の計算は,吹き出し流量

を最初の流量に対し1.3〜1.5倍程度変化させて測定し,それぞれの平均バックグランドイオン密度値,

及び平均空気中イオン密度値から,式(10)で求める。 

)

N

N

(

)

N

N

(

)

N

N

(

)

N

N

(

)

L

L

(

Q

,

,

,

,

2

0

2

1

0

1

2

0

2

1

0

1

1

2

=

 ·············································· (10) 

ただし,

m

M

Ψ

L

=

1

1

m

M

Ψ

L

=

2

2

ここに, 

L1: 1回目の換気率 (/s) 

L2: 2回目の換気率 (/s) 

Ψ1: 1回目の測定部の吹き出し全流量 (m3/s) 

Ψ2: 2回目の測定部の吹き出し全流量 (m3/s) 

M: 評価試験装置の内容積 (m3) 

m: 被試験体(イオン発生器)の外容積 (m3) 

1,

0

N: 1回目のバックグランドイオン密度測定値 (/m3) 

1

N′: 1回目の空気中イオン密度測定値 (/m3) 

2

,0

N: 2回目のバックグランドイオン密度測定値 (/m3) 

2

N′: 2回目の空気中イオン密度測定値 (/m3) 

5.2.5 イオン発生器の評価 イオン発生量試験結果の記載事項は平均値,最大値及び最小値の3項目とし,

イオン発生器のイオン発生量区分は平均値で表示する。 

5.2.6 イオン発生器試験結果の表示方法 イオン発生器によるイオン発生量試験結果による報告書の作

成は,6.による。 

6. 報告書の作成 報告書の記載内容は,次のとおりとする。 

a) 測定の種類 空気中イオン密度の測定,イオン発生量測定の別。 

b) 測定場所 測定場所,測定点数,測定面積,測定高さ等を入れる。 

c) 測定環境条件 温度,相対湿度,気圧,天候,換気率及びエアロゾル濃度,又は空気の清浄度。 

B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 測定時に設定した限界移動度 イオンの飽和密度曲線から求めた限界移動度の値(附属書1参照)。 

e) 測定結果 平均値,最大値及び最小値の3項目をa)の区分によって正・負イオン別に集計。 

f) 

評価区分の表示 測定結果に基づく区分の表示。 

g) イオン密度測定器の状況 使用した測定器の校正年月日。必要に応じてトレーサビリティにかかわる

事項。 

h) 測定年月日  

i) 

測定者  

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B9929:2006 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

測定結果報告書(例) 

                  試験年月日:     年    月    日 

      試験実施者: 所 属  

             氏 名 

 
1.測定の種類 

 
イオン密度測定      イオン発生量測定 

2.測定場所 

屋外測定:(            ) 

屋内測定:(       )室 

広さ(   )m2,測定点(    )点 

測定高さ 床上(     )m 

3.測定環境条件 

天候(      ) 

温度(   )℃,相対湿度(   )%,換気率(   )回/時 

気圧(    )hPa,空気清浄度(     ) 

4.測定器 

1.型式(          ),メーカー名(           ) 

2.校正年月日(    年   月   日 )  

3.センサー構造  同軸二重円筒型センサー  平板形センサー 

4.吸引流量(    )m3/s 

5.限界移動度(    )×10−4 m2/(V・s) 

5.測定結果 

正イオン 平均値(     ) 

最大値(     ) 

最小値(     ) 

評価区分 クラス(     ) 

負イオン 平均値(     ) 

最大値(     ) 

最小値(     ) 

評価区分 クラス(     ) 

[記載事項]① 1.測定の種類については,いずれか一方を〇で囲んで下さい。 

② 4.測定器 3.センサー構造については,いずれか一方を〇で囲んで下さい。 

B9929:2066 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(参考)空気中イオン密度測定器 

1. 適用範囲 この附属書は,空気中のイオン密度測定に使用するコンデンサ形イオン密度測定器につい

て記載したもので,規定の一部ではない。 

2. 測定原理 イオンを含む一定流量の試料空気を吸引口からイオン密度測定器内に層流状態を維持して

導入する。イオン密度測定器の一方の極に一定の電圧を加え,形成された電場の影響によって,集電極部

に捕集されるイオン電流を高抵抗の抵抗体を通して電位計で測定する。イオン密度測定器内を通過した試

料空気中のイオン密度は,抵抗体の抵抗値及び電位計指示値から計算される電流値,及び試料空気流量か

ら求める。 

イオン密度測定器の集電極部で捕集されるイオンの限界移動度は,イオン密度測定器内の試料空気の平

均流量及び電場の強さによって決定される。このため,試料空気の平均流量と印加電圧とを一定に保持し,

限界移動度以上の移動度をもったイオンを集電極部に捕集して,その電流値から,試料空気中のイオンの

数密度(/m3)を求めることができる。 

空気中イオン密度測定器には,同軸二重円筒式と平行平板式の二様式があり,それぞれの限界移動度の

計算式は,試料空気の流線形状,印加される電圧によって異なる。 

a) 同軸二重円筒式イオン密度測定器の限界移動度 同軸二重円筒式イオン密度測定器の限界移動度Kμ 

[m2/(V・s)]は,式(1.1)で与えられ,限界移動度以上の移動度をもったすべてのイオンが測定される。 

=

1

2

μ

ln

2

r

r

LV

Φ

K

π

 ·································································· (1.1) 

ここに, 

r1: 同軸二重円筒の内円筒の外径 (m) 

r2: 同軸二重円筒の外円筒の内径 (m) 

V: 印加電圧 (V) 

L: 同軸二重円筒の集電極部の長さ (m) 

Φ: 試料採取流量 (m3/s) 

b) 平行平板式イオン密度測定器の限界移動度 平行平板式イオン密度測定器の限界移動度Kμ[m2/(V・s)]

は,式(1.2)で与えられ,限界移動度以上の移動度をもったすべてのイオンが測定される。 

V

BL

ΦA

K

0

μ=

 ············································································· (1.2) 

ここに, 

A: 平行平板間の距離 (m) 

B: 平行平板の見開き幅 (m) 

L0: 平行平板の長さ (m) 

V: 印加電圧 (V) 

Φ: 試料採取流量 (m3/s) 

3. 測定器の構成 空気中イオン密度測定器は,限界移動度以上のイオンを捕集するコンデンサ部,試料

空気吸引部,印加電圧系,測定用電位計,記録計及び表示器等データ処理部からなる。測定器の基本構成

を附属書図1.1に示す。 

background image

10 

B9929:2006  

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附属書図 1.1 空気中イオン密度測定器の基本構成 

4. 性能及び仕様  

4.1 

仕様  

4.1.1 

測定範囲 空気中イオン密度測定器は,測定対象イオンの移動度の範囲,及びイオン密度の範囲を

明示する。 

4.1.2 

測定環境条件 空気中イオン密度測定器は,附属書表1.1に示す環境条件で測定可能なものとする。 

附属書表 1.1 試験環境条件 

項目 

試験環境条件 

温度 

5〜35 ℃(又は製造業者が指定する範囲) 

相対湿度 

40〜80 %(又は製造業者が指定する範囲) 

気圧 

1013.25 hPa±5 % 

電源電圧 

定格電圧±10 % (V) 

4.1.3 

測定量の表示方法 測定電流値,イオン密度の両方又はいずれか一方が表示可能とする。 

備考 報告書には,この附属書の5.2に示す方法で校正した高抵抗値及び校正に使用したコンデンサ

の容量値を記載する。  

4.2 

性能  

4.2.1 

試料空気の流量 この附属書の5.4.1の試験方法で試験した流量の経時変化は,1時間に±5 %以

内とし,流量の平均値は,試料採取設定流量の±7 %以内とする。 

4.2.2 

試料空気の平均流速(又は流量) 試料空気のコンデンサ内部の平均流速(又は流量)は,レイノ

ルズ(Reynolds)数が2 300以下になるように設定し,物理的な層流を維持する。物理的層流条件は,コンデ

ンサ設計時に,附属書5の方法又はそれに準じる方法で確認し,レイノルズ数の範囲を機器の性能として

明示する。 

4.2.3 

印加電圧の安定性 限界移動度を決定する同軸二重円筒式又は平行平板式イオン密度測定器に印

加する電圧の安定性は,電源電圧が定格電圧の±10 %変動しても,設定電圧の変動幅が±1 %以内に保た

れるものとする。 

4.2.4 

電位計のゼロドリフト イオン密度の測定に使用する電位計のゼロドリフトは,電源電圧が定格電

圧の±10 %変動しても,最低電圧測定レンジのフルスケールの±2 %以内の安定性をもつものとする。 

イオン捕集用コン

デンサ部

試料空気吸引部 

印加電圧系 

測定用電位計

表示部及び記録等 

データ処理部

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4.2.5 

電位計の指示値の精度 電源電圧が定格電圧の±10 %変動しても,最低電圧測定レンジのフルス

ケールの±2 %以内とする。 

4.2.6 

入力高抵抗値の正確さ この附属書の5.2の試験方法で試験した入力抵抗値は,不確かさ(標準不

確かさ)が5 %以内とする。 

4.2.7 

限界移動度の設定 この附属書の5.3の設定方法で求められた限界移動度は,設定値に対し±0.1

×10-4 m2/(V

s)の範囲内とする。 

5. 試験  

5.1 

試験条件 空気中イオン密度測定器の試験は,製造業者が指定する予熱時間を経た後,附属書表1.1

の温度,湿度,気圧,電源電圧の条件で行う。ただし,製造業者が特に指定する場合は,この限りではな

い。 

5.2 

電位計の入力用高抵抗の抵抗値校正方法 空気中イオン密度測定に使用する電位計に付帯する高抵

抗の抵抗値は,湿度などの環境の変化に大きく左右されるため,半年ごとに次の方法で求めるのが望まし

い。 

a) 負帰還増幅器による反転増幅器として動作する電位計に静電容量が既知のコンデンサを組み込んだ回

路は附属書図1.2を参照。 

b) 初めにCとRとを切り離し,電流Iを入力し,電荷蓄積法によって測定時間間隔1tにおける出力電圧1V

を読みとる。

1

1,

,V

t

I

は,次の関係式となる。 

1

1

0

t

V

C

I=

 ················································································ (1.3) 

c) 次いで,コンデンサCを接続し,同様の方法で電流を測定し,時間間隔2tにおける出力電圧

2

Vを読

みとる。

2

2,

,V

t

I

は,次の関係式となる。 

(

)

2

2

0

t

V

C

C

I

+

=

 ······································································ (1.4) 

d) 最後にコンデンサCを切り離し,Rを投入し,電位降下法によって出力電圧3

Vを読みとる。

3

V

,I,

R

は,

次の関係式となる。 

IR

V=

3

 ·················································································· (1.5) 

e) これらの測定結果から,次の式を用いてRを求める。 

=

1

1

2

2

3

V

t

V

t

C

V

R

 ······································································ (1.6) 

f) 

測定は5回以上とし,上記Rの平均値を求め,不確かさ(標準不確かさ)が5 %以内であることを確

認する。 

background image

12 

B9929:2006  

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(電位計回路) 

R:入力用高抵抗,C:校正済み既知コンデンサ,I:電位計入力電流,

0

C:電位計固有の電気容量 

附属書図 1.2 入力用高抵抗の抵抗値校正図 

5.3 

限界移動度の設定方法 空気中イオン密度の測定では,イオンの移動度が,温度,湿度,エアロゾ

ル濃度などの測定環境条件に左右されるため,測定時にあらかじめイオンの限界移動度を設定して行う。

設定する限界移動度は,次の方法で求める。 

a) 物理的層流が維持される試料空気流量を確認する。 

b) この附属書の2.に規定した測定原理に従い,限界移動度を

(

)s

V

/

m

10

2.2

~

4.0

2

4

×

の範囲で5区間以上

に等分割する。 

c) 分割した各限界移動度のうち,大きい移動度から順にイオン密度を測定し,附属書図1.3のイオンの

飽和密度曲線を作成する。 

d) イオン密度が飽和に達したときの移動度ikを求める。これを3回以上繰り返し,その平均移動度

j

,

ik

( =

3

~

1

j

)を計算し,この附属書の4.2.7に記載した範囲の移動度をイオン密度を測定するとき

の限界移動度として設定する。 

備考 移動度分割 例:2.2,2.0,1.8,1.6,1.4,1.2,1.0,0.8,0.6,0.4[

(

)s

V

/

m

10

2

4

×

附属書図 1.3 イオンの飽和密度曲線図 

− 

1

ik

i

k

1

+

i

k

k

N

1

1

+

i

i

i

k

k

k

0

C

+ 

− 

GND 

OUT 

13 

B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.4 

構成機器の性能試験  

5.4.1 

試料空気の流量 試験用の流量計をイオン密度測定器に接続し,イオン密度測定器を作動させた状

態で試料採取流量を測定する。測定は予熱時間経過後30分間隔で3回行い,流量の経時変化を求めるのが

望ましい。必要な場合は流量計の温度,圧力補正し,この附属書の4.2.1に記載した範囲を満足することを

確認する。 

5.4.2 

電源変動に対する印加電圧の安定性 電源電圧が定格電圧の±10 %変化したとき,この附属書の

4.2.3に記載した範囲を満足することを確認する。 

5.4.3 

電位計のゼロドリフト 電源電圧が定格電圧の±10 %変化したとき,この附属書の4.2.4に記載し

た安定性を満足することを確認する。 

5.4.4 

電位計の指示値の精度 電源電圧が定格電圧の±10 %変化したとき,この附属書の4.2.5に記載し

た精度を満足することを確認する。 

6. 校正 イオン密度測定器は,この附属書の5.4に記載した各種性能試験について少くとも年1回の頻

度で校正することが望ましい。 

7. 表示 空気中イオン密度測定器には,次の事項を表示しなければならない。 

a) イオン密度測定器の型式及び器物番号 

b) 製造業者名 

c) 電源の種類,使用電圧,所要電力 

8. 取扱説明書など イオン密度測定器には,性能,特徴及び取扱い上の注意のほか,少なくとも次の事

項を記載した取扱説明書及び試験成績書を付けなければならない。また,必要に応じて機器のトレーサビ

リティ体系図及び高抵抗校正用コンデンサを添付できるようにしなければならない。 

a) 予熱時間 

b) 設定流量(レイノルズ数を含む) 

c) 使用環境条件 

d) 使用可能移動度範囲 

備考1. 発生したイオン数は,正・負イオン同士の再結合,空気中のエアロゾルへの付着などによっ

て減少する。イオンの再結合及びエアロゾルへの付着には一定の関係が成立する。これらの

関係については,附属書4に記載する。 

2. イオン密度の測定装置としては,帯電プレートモニタがある。帯電プレートモニタはプレー

トに1 000 Vの電圧を帯電させ,帯電電圧が100 Vに減衰する時間を測定し,この時間の長

短によってイオン密度の高低を判断するものであり,イオンの数は測定できない。主として,

イオナイザが発生したイオンの時間的,空間的な正・負のバランスを評価するのに使用され

る。帯電プレートモニタについては,附属書2に記述する。 

background image

14 

B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2(参考)帯電プレートモニタによるイオナイザの除電効果評価方法 

序文 この附属書は,静電気による放電破壊等から製品を保護する目的で用いられている,イオナイザと

呼ばれるイオン発生器(除電装置),並びに,イオンが卓越した環境における製品に対する除電効果を間接

的に推定できる測定器(帯電プレートモニタ“Charged Plate Monitor”:以下CPMという)が広く利用され

ていることを踏まえ,CPMの測定原理及びCPMによるイオナイザの除電効果評価方法について記載した

もので,規定の一部ではない。 

1. 適用範囲 あらかじめコンデンサを形成しているプレートに一定の電圧を印加して,空間電場を形成

し,空気中イオンをプレートに流入する。CPMは,これを利用して,プレート電圧の時間変化を測定する

ことなどによって,相対的にイオナイザの除電効果を調べる測定器である。ここではCPMの測定原理及

びイオナイザの除電効果評価方法について説明する。 

2. 測定原理 CPMの基本構成は,附属書図2.1に示すように,印加電圧を帯電プレート(Charged Plate)

に与える平行平板式空気コンデンサ,電場計,及び印加電圧供給装置から構成される。 

空気中にイオナイザから放出されたイオンが卓越しているときに,帯電プレートに電圧を印加すると,

プレートの電圧によって形成される電場の影響を受け,正・負イオンのうち一方のイオンがプレートに流

入し,印加された他方の極性をもつ電荷を中和する。 

附属書図2.1 帯電プレートモニタの構成略図 

空気中イオンによるプレート電圧の相対的な中和時間は,次の計算によって測定することができる。 

CPM利用時の初期印加電圧を

0Vとすると,プレート電圧Vの時間変化は

(

)

Kt

V

V

=

exp

0

で与えられるの

で,

1Vに電圧が減衰したときの時間1tを測定して,イオナイザの除電効果を評価する。 

備考 CPMの仕様に関しては,IEC 61340-5-1に“帯電プレート部の最少静電容量は15 pF,試験器の

全静電容量が20 pF±2 pFであること”,また,“自己放電率は5分以内に試験印加電圧の10 %

以上放電しないこと”と仕様制限の記載がある。 

3. イオナイザの除電効果評価方法 イオナイザの除電効果評価は,次の二つの方法によって行う。 

a) 帯電プレートの電圧減衰時間(一般的に±1 000 Vから±100 Vに電圧が減衰するまでの時間)を測定

帯電プレート 

絶縁体 

電場計 

プレート間隔 

印加電圧 

供給装置 

15 

B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

することによって,イオナイザが発生する正・負の空気イオンによる除電効果を評価する。この評価

方法では,より短時間で電圧が減衰したほうが,除電効果がよいとみなし,性能は時間で表示する。 

b) 帯電プレートの電圧をゼロにした後,空気イオンを発生するイオナイザ下部にCPMを設置し,帯電

プレートに生じる電圧変化をモニタすることによって,空気中イオンの正・負のバランスを測定し,

その性能を評価する。この方法は,イオナイザが発生したイオンの時間的,空間的な正・負のバラン

スを評価するもので,帯電プレート電圧が時間とともに正及び/又は負に変動する状況を変動電圧幅

によって表示する。 

16 

B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書3(参考)空気中イオンの発生方法 

序文 この附属書は,現在使用されている空気中イオンの人為的発生方法の事例を記載したもので,規定

の一部ではない。 

1. コロナ放電による方法 コロナ放電は,先のとが(尖)った針状電極又は細線電極に高電圧を印加す

ると不平等電界集中が形成され,その電界が局部的に絶縁破壊電界強度を超えることによって起こる放電

である。針に負の電圧を印加した場合,集中電界内では,空気成分分子(酸素,窒素など)から電子が離

脱し,その結果これらは正イオンとなる。離脱した電子は自由な状態で存在するか又は,別の空気成分分

子に捕獲され負イオンを形成する。正イオンは針に引き寄せられ元の空気成分分子に戻り,負イオンは反

発されて放出される。極性を逆にすれば同様に正イオンが生じる。また,コロナ放電でイオンが生成する

とき,針先での高電圧印加によってオゾン,窒素酸化物などが発生する。最近では針先近傍の曲率を調整

してコロナ放電電圧を下げ,印加電圧をパルス状に制御するなど,オゾンの発生を抑制する方法も考案さ

れている。 

2. 熱電離による方法 熱陰極(フィラメント),陽極(カソード),グリッド及びプレートで構成され,

真空管又は真空計に応用される方法である。グリッドに200〜250 Vの電圧をかけて陽極の働きをさせ,プ

レートに10〜40 Vをかけて集イオン極とする。熱陰極と陽極に電圧を加えると電子電流が流れ熱電子を放

出する。熱電子はグリッドをとおり抜けて集イオン極と熱陰極との間を往復し,気体分子をイオン化(電

離)する。 

3. 放射線による方法 放射線は気体を通過するときに空気分子をイオン化する。紫外線,X線など短い

波長をもつ電磁波の光子が空気分子に衝突すると空気分子から電子が飛び出し,空気分子は正イオンにな

り,飛び出した電子は別の空気分子に付着して負イオンを形成する。放射性物質の崩壊過程などで放出さ

れるα線,β線,γ線も空気分子をイオン化する。α線はヘリウム原子の原子核で,気体と衝突すると空

気分子の外殻電子をはじき飛ばし,空気分子は正イオンとなる。β線はマイナス電荷をもった電子線であ

るが,速度が非常に大きくイオン化作用は小さい。γ線は波長の短い電磁波でありX線と同様の空気分子

イオン化作用をもつ。 

4. 光電効果による方法 金属に電磁波を照射したとき,金属内部から電子が放出される現象は,光電効

果と呼ばれている。光電効果はある金属に対して特定の波長以下の電磁波を照射することによって電子が

飛び出すが,これは光が粒子としての性質をもつ光量子仮説から説明できる。光電効果によって放出され

た電子は,外部の空気分子をイオン化する。 

参考 レナード効果:滝などで水が激しく分裂するとき,空気が負に水が正に帯電する現象を発見者

の名にちなんでレナード効果と呼んでいる。水と空気の界面では,水分子の双極子が負を外側

に正を内側に向けて配列する。液面付近には配向双極子の正電荷に水中で電離しているOH−が

引きつけられ界面付近に束縛され電気二重層を形成している。水が分裂すると小さい液滴には

負イオンが過剰となって負に帯電して空気中に浮遊し,大きい液滴は正イオンが過剰となり正

17 

B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

に帯電して重力によって沈降して大地表面から接地される。正イオンの構成分子については

H3O+・(H2O)nが有力であり,負イオンについてはO2−・(H2O)n,CO3−・(H2O)n,OH−・(H2O)n

など諸説あるが現在のところ明確になっていない。 

レナード効果で生成する負イオンについてはその分子的構造が明らかになっておらず,また,

イオンカウンターで計測される移動度も小イオンから大,中イオン領域まで観測され前述の電

気的方法で作り出された空気中イオンと比較して異なる領域に分布が見られる。また,帯電荷

数も不明であるため,そのサイズについても明らかにされていない。 

<参考資料> 静電気ハンドブック 静電気学会編 オーム社(1998) 

18 

B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書4(参考)イオンの寿命とエアロゾル濃度との関係 

序文 この附属書は,通常の環境空気中では,時間的,空間的に変動の大きい空中イオン密度の測定にお

いて,特に留意すべき事項として,イオン密度に大きな影響を与える空気中のエアロゾルとイオンとの付

着係数,及び正・負イオン同士の再結合係数について記載したもので,規定の一部ではない。 

1. 適用範囲 空気中のイオンは,移動度及び粒子径の大きさから,小イオン,中イオン及び大イオンの

三つに区分される。それぞれの移動度,粒子径の大きさは,小イオンでは移動度が

4

10

0

1

×

.

(

)s

V

m2

上,粒子径が0.002 μm以下,中イオン及び大イオンでは移動度が

4

10

0

1

×

.

(

)s

V

m2

以下,粒子径が0.002 

μm以上のオーダーであるとされている。この附属書では,正・負の小イオン同士の再結合,小イオンの

エアロゾル粒子(0.002 μm以上)への拡散付着によるイオンの寿命とエアロゾル濃度との関係を説明する。 

2. 定義 この附属書で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) 再結合係数 空気中で生成された正・負の小イオン同士が再結合して電荷を失うとき,正又は負の小

イオンが生成されてから消滅するまでの平均時間の逆数で与えられる係数。量記号はα。単位記号は

(m3/s)で表す。 

b) 付着係数 空気中で生成された小イオンが,熱拡散又は電場の影響を受けて,混在するエアロゾル粒

子に付着するとき,小イオンが生成されてからエアロゾルに付着して消滅するまでの平均時間の逆数

で与えられる係数。量記号はβ。単位記号は(m3/s)で表す。 

c) イオン対生成率 空気中で生成される正・負イオンの単位容積,単位時間当たりの生成量。量記号はq。

単位記号は(/m3・s)で表す。 

3. イオンの再結合及びイオンのエアロゾル粒子への付着 空気中の正・負のイオン対生成量と小イオン

密度とエアロゾル粒子濃度との間には,巨視的に見れば,正・負のイオン同士による再結合,及びイオン

がエアロゾル粒子に付着して生じる帯電エアロゾル粒子の形成過程において,次の関係式が成立する。 

Z

n

n

n

q

dt

dn

±

±

±

=

β

α

μ

 ···························································· (4.1) 

ここに, 

n±: 正又は負イオン密度 (/m3) 

q : イオン対生成率 (/m3

s) 

Z : 環境中のエアロゾル濃度 (/m3) 

α : 正・負イオンの再結合係数 (m3/s) 

β : イオンのエアロゾルに対する付着係数 (m3/s) 

4. 小イオンの寿命 空気中で生成された小イオンは,上述のような物理的過程を経て消滅していく。通

s

m

10

6.1

3

12

×

=

α

(

)

12

10

0.

15

~

0.2

×

=

β

 m3/s程度であると考えられている。クリーンルームのような

清浄空間では,エアロゾル濃度が低いため,再結合係数と付着係数とのオーダーに大きな差異はないが,

一般環境中では,約1けたの差異が生じてくる場合もある。このような場合,初期イオン密度

±0

nが与えら

れた小イオン密度の減衰曲線は,式(4.1)から,式(4.2)で与えられる。 

19 

B9929:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

+

=

±

±

t

Z

n

exp

n

n

β

αμ

0

 ··················································· (4.2) 

ここに, 

±0

n: 正又は負の初期イオン密度 (/m3) 

小イオン寿命(τ)は,初期密度がe

1に減衰するのに要する時間で定義され,式(4.2)から,

(

)

Z

n

β

α

τ

+

=

μ

1

で与えられる。 

エアロゾロル濃度が高い大気環境中(

)

Z

n

β

α<

μ

では,小イオン密度の項を無視して,近似的に

Z

β

τ1

=

与えられ,100〜700秒程度となる。一方,クリーンルームのようなエアロゾル濃度の低い環境(

)

Z

n

β

α>

μ

は,近似的に

μ

n

α

τ1

=

で与えられる。したがって,このような環境中では,正・負の小イオンの密度が高

ければ高いほど,その寿命は短くなる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書5(参考)設計時のコンデンサ内の層流試験法 

序文 この附属書は,コンデンサ形イオン密度測定器の設計時にコンデンサ内部の物理的層流を確認する

方法を記載したのもので,規定の一部ではない。 

1. 試験装置の構成 試験装置の構成は,附属書図5.1に示すように,試験用粒子発生器,試験用粒子供

給部,清浄空気供給部,試験用コンデンサ,粒子捕集用フィルタ,空気流量測定部,空気吸引部からなる。 

a) 試験用粒子発生器 試験用粒子発生器は,ネブライザ又はアトマイザを利用し,乾燥空気を用いて試

験用粒子を発生し,粒子を供給するものとする。試験用粒子には,フィルタで捕集したときに,目視

で確認しやすいメチレンブルーなどの染料を用いる。 

b) 試験用粒子供給部 試験用粒子供給部は,物理的層流を確認しやすくするため,スリット状にする。 

c) 清浄空気供給部 清浄空気供給部は,物理的層流を確認しやすくするため,染料粒子などの混入を排

除する。 

d) 試験用コンデンサ イオン密度測定用コンデンサは,イオン密度測定器として設計されるコンデンサ

と同等の寸法でなければならない。 

e) 粒子捕集用フィルタ 粒子捕集用フィルタは,できるだけ圧力損失の少ないものを使用する。 

f) 

空気流量測定部 空気流量測定部は,試験用コンデンサの寸法からあらかじめレイノルズ数を試算し

たときに,その値がおおむね1 000〜2 300の範囲内で流量の測定が可能なものとする。また,フィル

タによって生じる圧力損失に対して,流量補正が可能なものとする。 

g) 空気吸引部 空気吸引部は,試験用コンデンサの寸法からあらかじめレイノルズ数を試算したときに,

その値がおおむね1 000〜2 300の範囲内で流量が可変なものとする。 

2. 試験方法  

2.1 

準備  

試験用

コンデンサ

試験用粒子

供給部

清浄空気

供給部













附属書図 5.1 試験装置の構成図 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(清浄空気IN) 

(染料粒子IN) 

(空気OUT) 

(染料粒子OUT) 

粒子捕集用フィルタ 

染料粒子供給用Box 

染料粒子発生器 

(ネブライザ又は 

アトマイザ) 

粒子乾燥機 

清浄空気供給装置 

インシュレータ 

2.1.1 

設計時のコンデンサと同一寸法のコンデンサを準備し,附属書図5.2に示すように,コンデンサの

空気吸引部に染料粒子供給用BOXを取り付け,中央部の清浄空気導入部との間に適切なスリットを設け

る。 

2.1.2 

コンデンサ内の層流を確認するフィルタを,コンデンサの下流部に設置し,附属書図5.1に示した

試験装置を組み立てる。 

附属書図5.2 層流試験方法構成図 

2.2 

試験手順  

2.2.1 

層流試験用の粒子を生成するために,可溶性の染料を純水に溶解し,ネブライザ,又はアトマイザ

に注入する。 

2.2.2 

ネブライザ,アトマイザに乾燥清浄空気を送り,発生した液滴状の粒子を乾燥させ,試験用粒子供

給部に染料粒子を導入する。 

2.2.3 

試料空気流量をレイノルズ数1 000〜2 300に範囲で数段階に調整し,空気吸引部を作動させ,各試

験流量ごとに染料粒子を粒子捕集用フィルタに付着させる。 

2.2.4 

各試験流量ごとにフィルタを取り外して,染料粒子の付着状況を確認する。 

2.3 

試験結果の確認及び記録  

2.3.1 

管内層流の確認 管内層流の確認は,取り外したフィルタ上に付着した染料粒子の目視確認によっ

て行う。管内が層流であれば,フィルタは附属書図5.3 に示した文様が作り出される。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(同軸二重円筒式コンデンサ)                 (平行平板式コンデンサ) 

附属書図 5.3 層流が実現しているときのフィルタへの染料粒子付着状況 

2.3.2 

管内乱流の確認 管内乱流の確認は,取り外したフィルタ上に付着した染料粒子の目視確認によっ

て行う。管内が乱流であれば,フィルタは附属書図5.4に示した文様が作り出される。 

(同軸二重円筒式コンデンサ)                 (平行平板式コンデンサ) 

附属書図 5.4 乱流が実現しているときのフィルタへの染料粒子付着状況 

2.3.3 試験結果の記録 試験結果の記録は,物理的層流状態が保持されている最大試料空気流量を記録し,

同時に,その値を用いて計算したレイノルズ数を記録する。 

関連規格 JIS A 1431 空気調和・換気設備の風量測定方法 

JIS B 8330 送風機の試験及び検査方法 

JIS B 9908 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法 

JIS B 9922 クリーンベンチ 

JIS B 9927 クリーンルーム用エアフィルタ−性能試験方法 

JIS T 8202 一般用風速計 

JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語 

ISO/IEC Guide : 1995,Guide to the expression of Uncertainty in measurement 

IEC 61340-5-1 Electrostatics−Part 5-1: Protection of electronic devices from electrostatics phenomena 

−General requirements