B 9916:2010
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 測定原理························································································································· 2
5 基本構成························································································································· 2
6 性能······························································································································· 2
6.1 粒径区分のしきい値設定方法 ··························································································· 2
6.2 粒径区分のしきい値の誤差 ······························································································ 2
6.3 計数効率 ······················································································································ 3
6.4 粒径分解能 ··················································································································· 3
6.5 最大粒子個数濃度 ·········································································································· 3
6.6 試料流量 ······················································································································ 3
6.7 測定時間 ······················································································································ 3
6.8 試料容量 ······················································································································ 3
6.9 校正周期 ······················································································································ 3
6.10 試験報告書 ·················································································································· 3
7 試験方法························································································································· 3
7.1 粒径区分のしきい値設定方法 ··························································································· 3
7.2 粒径区分のしきい値の誤差 ······························································································ 5
7.3 計数効率 ······················································································································ 5
7.4 粒径分解能 ··················································································································· 6
7.5 同時通過損失 ················································································································ 6
7.6 試料流量 ······················································································································ 7
7.7 測定時間 ······················································································································ 7
7.8 試料容量 ······················································································································ 7
7.9 校正 ···························································································································· 7
附属書A(参考)粒径分解能 ·································································································· 8
附属書JA(参考)性能試験結果の不確かさ評価方法 ··································································· 9
附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 13
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本空気清浄協会(JACA)及び財
団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日
本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
日本産業規格
JIS
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光遮へい式液中粒子計数器−校正方法及び検証方法
Light extinction liquid-borne particle counter
序文
この規格は,2007年に第1版として発行されたISO 21501-3を基とし,技術的内容を理解しやすく,か
つ,使いやすくするために技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。
1
適用範囲
この規格は,液体中に浮遊する粒子の粒径,及び個数又は粒子個数濃度を測定する,光遮へい(蔽)式
液中粒子計数器(以下,粒子計数器という。)の校正方法及び検証方法について規定する。この規格におけ
る粒子計数器の一般的な測定粒径範囲は,1〜100 µmである。
なお,この粒子計数器は,油圧装置などに用いる作動油の測定には適用しない。
注記1 この装置は,主に医薬関係(注射剤,注射用水,輸液など)の清浄度の評価及びそのほか様々
な液体中の粒径,及び個数又は粒子個数濃度の測定に用いられる。
注記2 粒子計数器で測定する粒径は,純水中に浮遊している校正用粒子の光遮へい相当径であり,
実際の粒径を表しているわけではない。
なお,粒径は,粒子の直径であり粒子径ともいう。
注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 21501-3:2007,Determination of particle size distribution−Single particle light interaction
methods−Part 3: Light extinction liquid-borne particle counter(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 9925 光散乱式液中粒子計数器−校正方法及び検証方法
JIS Z 8103 計測用語
JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語
2
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3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 9925,JIS Z 8103及びJIS Z 8122によるほか,次による。
3.1
計数参照標準溶液
粒径が既知である校正用粒子が純水に懸濁され,粒子個数濃度が検証された溶液。
注記 ここでいう純水とは,試験に影響を与えない程度に異物が除去された水をいう。
4
測定原理
粒子の大きさ及び個数の測定は,粒子に光を照射すると光の一部は散乱されるために,この散乱によっ
て失われた光量(光遮へい光量)から粒子の大きさを,また,粒子が光束を通過するときに発生する光遮
へいのパルスの数から粒子の個数を計数する。具体的には,試料液体を粒子計数器の試料導入口から一定
流量でフローセルに導入し,光による照射領域を通過させる。個々の粒子の散乱によって減少した光量を,
光電変換素子によってパルス状電気信号に変換し,得られたパルス状信号の数を計数することによって,
通過した粒子個数を求める。パルス状信号の波高値と粒径との間には一定の関係があるため,パルス波高
値の分析によって特定の粒径より大きな粒子の通過個数を粒径区分ごとに求めることができる。
5
基本構成
粒子計数器は,図1に示すように,光源,照射用光学系,液体導入系,フローセル,受光用光学系,光
電変換部,波高分析部,表示部などからなる。ただし,液体導入系及び/又は表示部は,粒子計数器には
含まれない場合もある。
なお,校正用粒子に対する波高値分布を作成できる情報を取り出せなければならない。
注記 液体導入系には,空気圧などによる加圧及びシリンジなどによって吸液する吸引式のほか,配
管中の液体を,管内圧力を利用して導入する自流式がある。
図1−構成例
6
性能
6.1
粒径区分のしきい値設定方法
粒径区分のしきい値設定方法は,7.1に従うことが望ましい。
6.2
粒径区分のしきい値の誤差
表示される粒径と選別される粒径との相対誤差は,7.2の方法で試験し,±10 %の範囲内でなければな
らない。
3
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6.3
計数効率
計数効率は,7.3の方法で試験し,(100±20)%でなければならない。
6.4
粒径分解能
粒径分解能は,7.4の方法で試験し,10 %以下でなければならない。
6.5
最大粒子個数濃度
最大粒子個数濃度における同時通過損失は,7.5の式 (4) によって計算し,10 %以下でなければならない。
注記 試料の粒子個数濃度が最大粒子個数濃度よりも高い場合は,粒子検出領域に同時に複数個の粒
子が存在する確率が高くなること,及び電子回路の処理時間によって確率的に粒子を少なく計
数する。
6.6
試料流量
使用者は,測定に先立って試料流量が仕様書などに規定する範囲内であることを確認することが望まし
い。
試料流量は,7.6の方法で試験し,規定流量からのずれが仕様の範囲内でなければならない。
6.7
測定時間
測定時間の設定誤差は,7.7の方法で試験し,設定された値に対して±1 %の範囲内でなければならない。
粒子計数器がサンプリング容量機能をもっている場合は,6.8を適用する。
6.8
試料容量
試料容量の設定誤差は,7.8の方法で試験し,±5 %の範囲内でなければならない。
6.9
校正周期
粒子計数器の校正周期は,1年以内がよい。
6.10 試験報告書
試験報告書には,少なくとも次の項目を記載しなければならない。
a) 試験を実施した日
b) 校正に用いた粒子(粒径,製造業者,形式など)
c) 粒径区分のしきい値の誤差
d) 流量
e) 粒径分解能(試験に用いた粒子)
f)
計数効率
g) 粒径区分のしきい値電圧又は内蔵している波高分析器(以下,PHAという。)のチャンネル
7
試験方法
7.1
粒径区分のしきい値設定方法
校正用粒子の個数平均粒径は,国際単位系(SI)にトレーサビリティがあり1),粒径の値付けの標準不
確かさは,2.5 %以下である。また,粒子の屈折率は,波長589 nm(ナトリウムD線)において1.59付近
である。粒子計数器を校正用粒子で校正する場合は,校正用粒子を純水中に浮遊させた試料を測定したと
きの粒子計数器からのパルス信号分布を分析する。このとき,メジアン電圧がその粒径に対する応答値で
ある(図2参照)。メジアン電圧は,粒子計数器に内蔵しているPHA又は外部のPHAを用いて決める。又
は,しきい値電圧が可変できる粒子計数器の設定電圧を用いて決める。メジアン電圧は,VlとVuとの間の
累積度数を二分する電圧である。内蔵しているPHA又は粒子計数器のしきい値電圧を可変してメジアン電
圧を求める方法は,外部のPHAなどを用いる方法よりも誤差要因が少ない。
4
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注記1 内蔵しているPHAを用いる場合は,応答値などは電圧ではなくPHAのチャンネルのまま扱
うことが望ましい。
注記2 外部のPHAを用いてメジアン電圧を求める場合は,PHAの電圧誤差及び粒子計数器の電圧
の誤差が粒子計数器の粒径区分のしきい値電圧の誤差に含まれる(附属書JA参照)。
注1) 粒径は長さの単位であり,その定義は国際単位系(SI)の基本単位において定義されている。
X
パルス波高値(電圧)
Y
パルス数の頻度
1
校正用粒子のパルス波高値分布
Vl 累積範囲の下限電圧
Vm メジアン電圧
Vu 累積範囲の上限電圧
図2−PSL粒子信号の波高値分布
波高値分布に,微小な粒子に相当するノイズが現れる場合は,これを“偽粒子”として除いてからメジ
アンを求める[図3 a)参照]。偽粒子を除外してもよいのは,校正用粒子によるピークが,ノイズと校正用
粒子信号による境界部分の谷の高さの2倍以上の場合である[図3 b)参照]。この場合には,Vl及びVuは,
校正用粒子による信号のピーク波高値の1/2の値に対する電圧としてメジアン電圧を求める。
a)
b)
X パルス波高値(電圧)
Y パルス数の頻度
1
校正用粒子のパルス波高値分布
2
ノイズ(偽計数,微小粒子,光学的,電気的ノイズ)
Vl 累積範囲の下限電圧
Vm メジアン電圧
Vu 累積範囲の上限電圧
図3−ノイズが含まれる場合のPSL粒子の波高値分布
粒径区分に対応したしきい値電圧は,製造業者から提供される応答曲線によって求める(図4参照)。
5
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注記3 応答曲線が製造業者から提供されない場合は,センサの光学条件からMieの理論式(参考文
献[1]参照)を用いて求めることもできる。
X 粒径
Y 校正用粒子に対するメジアン電圧
1 応答曲線
Vm,1 粒径Xm,1に対するメジアン電圧
Vm,2 粒径Xm,2に対するメジアン電圧
Vm,3 粒径Xm,3に対するメジアン電圧
図4−応答曲線
7.2
粒径区分のしきい値の誤差
粒子計数器の粒径区分のしきい値の誤差の測定には,計数参照標準溶液を用いる。
粒子計数器を累積モードにし,計数参照標準溶液に含まれる粒径の半分の値における計数値及びこの計
数値が50 %になる粒径xsを求める。粒径区分のしきい値の誤差は,式 (1) によって求める。
r
r
s
x
x
x
ε
−
=
··············································································· (1)
ここに,
ε: 粒径区分のしきい値の誤差
xr: 計数参照標準溶液に含まれる粒子の粒径(µm)
xs: 計数参照標準溶液で求めた粒径(µm)
注記 計数参照標準溶液は,PSL粒子のような単分散粒子を純水に懸濁したものであり,粒子個数濃
度が検証されたものである。
7.3
計数効率
粒子計数器の計数効率試験には,計数参照標準溶液を用いる。
粒子計数器を累積モードに設定し,粒径設定を計数参照標準溶液に含まれる粒径の約半分の値にして計
数する。
計数効率は,式 (2) によって求める。
R
L
C
C
η=
··················································································· (2)
ここに,
η: 計数効率
CL: 粒子計数器によって得られた粒子個数濃度(個/cm3)
CR: 計数参照標準溶液の粒子個数濃度(個/cm3)
6
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7.4
粒径分解能
この試験には,計数参照標準溶液を用いる。これに懸濁されている粒子の標準偏差σPは,既知である。
図5に示すようにメジアン電圧Vmを決める。下側電圧Vl及び上側電圧Vuは,頻度が最大値に対して61 %
になるところの電圧である(附属書A参照)。応答曲線を用いてVl及びVuに対応する粒径を決定する。計
数参照標準溶液に懸濁されている粒子の粒径とVl及びVuに対応する粒径との差の絶対値を計算する。こ
れらのうち大きい方を標準偏差σとする。粒径分解能Rは,式 (3) によって求める。
P
2
P
2
x
σ
σ
R
−
=
··········································································· (3)
ここに,
R: 粒径分解能
σ: 粒子計数器で測定した計数参照標準溶液に含まれる粒子の
標準偏差(µm)
σP: 計数参照標準溶液に含まれる粒子の標準偏差(µm)
xP: 計数参照標準溶液に含まれる粒子の粒径(µm)
σPは,校正用粒子の製造業者が提供する標準偏差であるが,実際の粒子の標準偏差は,この値よりも小
さい場合があり,粒子計数器の分解能が高いときは,σ2<σP2となることがある。この場合は,σ2=σP2とし
て,R=0とする。
X
パルス波高値(電圧)
Y
パルス数の頻度
1
計数参照標準溶液に含まれる粒子の波高値分布
2
下側分解能
3
上側分解能
Vl 頻度が61 %に相当する下側電圧
Vm メジアン電圧
Vu 頻度が61 %に相当する上側電圧
図5−粒径分解能
7.5
同時通過損失
同時通過損失は,試料流量と粒子が粒子検出領域を通過する時間及び電気的な信号処理時間によって決
まる。この値は,粒子計数器の設計によって決まるものである。同時通過損失は,式 (4) によって求める。
L=1−exp(−q×t×C ) ································································ (4)
ここに,
L: 同時通過損失
q: 流量(cm3/s)
t: 粒子検出領域の通過時間(s)+電気的処理時間(s)
C: 試料の粒子個数濃度(個/cm3)
7
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7.6
試料流量
試料流量は,試料容量(7.8)及び測定時間(7.7)から求めることが望ましい。又は,校正した流量計に
よって求める。
7.7
測定時間
測定時間は,粒子計数器が計数を開始してから停止するまでの時間である。測定時間の設定誤差は,式
(5) によって求める。測定時間の測定には,校正された測定器を用いる。
0
0
t
t
t−
=
τ
················································································· (5)
ここに,
τ: 測定時間の設定誤差
t: 実際の測定時間(s)
t0: 設定した測定時間(s)
7.8
試料容量
試料容量は,純水の質量を天びんによって量り,換算する。又は,校正したメスシリンダを用いる。
7.9
校正
校正周期(6.9)ごとの校正には,少なくとも粒径区分のしきい値,粒径分解能,計数効率及び試料容量
の誤差を含む。
8
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附属書A
(参考)
粒径分解能
粒径分解能は,単分散の校正用粒子を測定したときの標準偏差で定義し,校正用粒子の平均粒径との比
で表す。校正用粒子の粒径分布がガウス分布の場合は,
−
−
=
2
2
1
exp
π
2
1
)
(
σ
μ
x
σ
x
f
·················································· (A.1)
ここに,
f(x): ガウス関数
x: 粒径
µ: 平均粒径
σ: 標準偏差
(x−µ)=±σのとき,最大値(x=µ)との比は,exp (1/2)〜〜0.61。これがパルス数頻度61 %のところで粒
径分解能を決める根拠である。
9
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附属書JA
(参考)
性能試験結果の不確かさ評価方法
この附属書では,計数効率及び粒径区分の正確さの各試験方法を適用して得られる試験結果に対して,
その不確かさを評価する方法を示す。
JA.1 基本的事項
この附属書では,本体に規定された性能試験の結果に対する不確かさを評価するために必要な手順を記
載している。この手順中で考慮する不確かさ成分には,現実の粒子を対象とする粒径分布測定で生じ得る
不確かさの主要な成分が含まれるが,そのすべての成分を網羅するものではない。この附属書で考慮しな
い主要な成分としては,現実の粒子と粒径校正用標準粒子との光学的特性が異なることに起因する不確か
さ,及び理論的応答曲線を決定するときの不確かさがある。
不確かさの評価は,ISO/IEC Guide 98-3に規定された手順に従って行う。この手順の概要は,次のとお
りである。
手順1) 測定結果yと入力量1)に対する推定値xi(i=1,2,…,N)との間の関数関係
y=f (x1,x2,…,xN ) ······························································ (JA.1)
を表す測定の数学的モデルを設定する2)。
手順2) xiの標準不確かさu (xi)をAタイプ評価3),又はBタイプ評価4) によって求める。
手順3) 測定結果の合成標準不確かさuc (y)を,次の不確かさの伝ぱ(播)則[式 (JA.2) ]に従って求
める5),6)。
2
1
2
c
)
(
)
(
∑
=
∂∂
=
N
i
i
i
x
u
x
f
y
u
··························································· (JA.2)
手順4) 必要に応じて,拡張不確かさUを式 (JA.3) によって求める。
U=k×uc(y) ·········································································· (JA.3)
kは,包含係数である。この規格では,単純化のため一貫してk=2とする7)。
注1) 入力量とは,測定結果を導く際に用いる量,及び測定結果に影響を及ぼし得るそのほかの量を
意味する。
2) GUMでは,測定量Yとその推定値としての測定結果y,及び入力量Xiとその推定値xiを別の記
号を用いて表しているが,ここでは混乱のない範囲で同一の記号y,xiを用いる。
3) 一連の測定データqk(k=1,2,…,n)の平均値 ¯q を用いてxi=¯qとする場合には,xiの標準
不確かさは,式 (JA.4) によって求める。
n
s
x
u
i=
)
(
··········································································· (JA.4)
ここに,sは,qkの実験標準偏差
)1
(
)
(
1
2
−
−
∑
=
n
q
q
n
k
k
,又は別途実験を行って評価したqk
の標準偏差の推定値である。このような,一連の測定データの統計的解析による標準不確かさ
の評価は,Aタイプ評価と呼ばれる。
10
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注4) 統計的解析によらない標準不確かさの評価は,Bタイプ評価と呼ばれる。Bタイプ評価では,
測定器の校正証明書及び仕様書,物理定数を記載したデータ集,過去のデータ,発表された文
献などが利用される。
5) 式 (JA.2) は,入力量間に相関がない場合に適用される。相関がある場合には,右辺に入力量間
の相関係数を含む項が付け加わる。この規格では,入力量間の相関がない場合だけを扱う。
6) 式 (JA.1) が特に
N
p
N
p
p
x
x
x
C
y=
2
1
2
1
···························································· (JA.5)
ここに,C,p1,p2,…,pNは,定数の形で表されるとき,式 (JA.2) は,次の相対不確かさの
伝ぱ(播)則と等価である。
∑
=
=
N
i
i
i
ix
x
u
p
y
y
u
1
2
2
c
)
(
)
(
························································ (JA.6)
7) k=2とするとき,y及びuc (y)で特徴付けられる分布が正規分布の場合は,y±U は,分布のお
よそ95 %を含む区間を与える。
JA.2 計数効率
7.3に記載された方法に従って得られる計数効率試験結果ηの標準不確かさu (η)は,式 (2) 及び式 (JA.6)
から導かれる式 (JA.7) によって求める8)。
+
=
2
R
R
2
L
L
)
(
)
(
)
(
C
C
u
C
C
u
η
η
u
··············································· (JA.7)
ここに,右辺に現れる標準不確かさは,次のように求める。
u(CL):実際の計数効率試験において採用される測定時間(設定した値)をt0とする。粒子個数濃度の認証
値がCRの計数参照標準溶液を試料として,時間t0の測定をn回繰り返したときに得られる濃度値を
CLi (i=1, 2, …, n)とする。ただし,nは5以上とする。CLiの実験標準偏差sCを式 (JA.8) によって求める。
1
)
(
1
2
L
L
C
−
−
=∑
=
n
C
C
s
n
i
i
······························································ (JA.8)
ここに,¯CLは,CLiの平均値である。これからu (CL)を式 (JA.9) によって求める9)。
u(CL)=sC ············································································· (JA.9)
ここに,
u(CR): 計数参照標準溶液の校正証明書による。
注8) 試験用試料は,気泡及び不純物粒子の混入がないように注意した上で,粒子数濃度が均一にな
るように十分にかくはん(攪拌)されているものとし,粒子数濃度の空間的不均一性に起因す
る不確かさは,ここでは考慮しない。
9) 式 (JA.9) のu (CL)は,測定時間をt0とする1回の測定で求められる濃度値CLの不確かさである。
CLを,測定時間をt0とするm回の測定の平均値で求める場合は,
m
s
C
u
C
L)
(
=
となる。
11
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JA.3 粒径区分のしきい値の誤差
ここでは,粒径区分のしきい値の誤差に対する試験結果ε[式 (1) 参照]の不確かさを評価する手順を
示す。この規格の図4に示された応答曲線を,Y =f (X )で表す(図JA.1参照)。
図JA.1−応答曲線
εの合成標準不確かさuc(ε)は,式 (1) 及び式 (JA.2) に基づき,近似的に式 (JA.10)によって評価する。
+
+
=
2
p
2
r
2
p
2
2
r
2
c
)
(
)
(
)
(
1
)
(
b
y
u
y
u
x
u
x
uε
········································ (JA.10)
ここに,
b: 応答曲線f(x)の傾きdX
dfのX=xrにおける値
u(xp): 校正用粒子の粒径xpの不確かさ。校正用粒子の校正証明
書による。
u(yr): 粒径区分のしきい値に対する電圧設定値yrの不確かさ。
yrを求めるための電圧計の電圧目盛の不確かさ(電圧計
の校正証明書による。)をut (yr)とし,yrを繰返しnt回の
測定(実験標準偏差st)から求めるものとして10),式
(JA.11) による。
t
2
t
r
2
t
r
2
)
(
)
(
n
s
y
u
y
u
+
=
··························· (JA.11)
u(yp): 応答曲線の決定において,xr近傍での校正用粒子の粒径
xpに対するメジアン電圧ypをPHAで求める際の不確か
さ。波高分析器の電圧目盛の不確かさ(PHAの仕様書な
どによる。)をuPHA (yp),ypを繰返しnPHA回の測定(実験
標準偏差sPHA)から求めるものとして10),式 (JA.12) に
よる。
PHA
2
PHA
p
2
PHA
p
2
)
(
)
(
n
s
y
u
y
u
+
=
····················· (JA.12)
注10) 測定日の違いによるばらつきが,短時間の繰返し測定によるばらつきよりも大きいと考えられ
るときには,測定日を変えた実験によって実験標準偏差を評価することが望ましい。
12
B 9916:2010
参考文献 JIS B 9920:2002 クリーンルームの空気清浄度の評価方法
JIS Z 8819-1 粒子径測定結果の表現−第1部:図示方法
注記 対応国際規格:ISO 9276-1,Representation of results of particle size analysis−Part 1:
Graphical representation(IDT)
ISO/IEC Guide 98-3, Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in
measurement (GUM:1995)
第十五改正日本薬局方
ASTM F50-92(2001)e1,Standard Practice for Continuous Sizing and Counting of Airborne Particles in
Dust-Controlled Areas and Clean Rooms Using Instruments Capable of Detecting Single
Sub-Micrometre and Larger Particles
ASTM F328-98 (2003),Standard Practice for Calibration of an Airborne Particle Counter Using
Monodisperse Spherical Particles
ASTM F649-01,Standard Practice for Secondary Calibration of Airborne Particle Counter Using
Comparison Procedures
日本薬局方技術情報 JPTI
United States Pharmacopeia, Physical Test and Determination, <788> Particulate matter in injections
[1] 高橋幹二著,“エアロゾル学の基礎”,日本エアロゾル学会編,森北出版,pp.147-164
13
B 9916:2010
附属書JB
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS B 9916: 2010 光遮へい式液中粒子計数器−校正方法及び検証方法
ISO 21501-3:2007,Determination of particle size distribution−Single particle light
interaction methods−Part 3: Light extinction liquid-borne particle counter
(I)JISの規定
(II)
国際規
格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号及
び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
1
注記1
変更
ISOでは,本文であったが注記
に変更した。
技術的差異はない。
注記2
追加
物理的粒径の測定ではないこと
の説明
測定の内容を明確に説明するため。
技術的差異はない。
The following are within
the scope of this part of ISO
21501
削除
目次にある項目であり,技術的差異
はない。
2引用規格
3用語及び
定義
2
Terms and definitions
3.1
計数参照標準溶液
−
−
追加
重要な用語であるため。
技術的差異はない。
2.3
Particle counter
削除
適用範囲で説明しているため。
4 測定原理
−
追加
理解しやすく,かつ,現行JIS
にあるため。
技術的差異はない。
5基本構成
−
追加
理解しやすく,かつ,現行JIS
にあるため。
技術的差異はない。
6性能
3
Requirements
一致
7 試験方法
4
Test method
7.1
追加
SI単位系にトレーサビリティが
あることと粒径の値付けの不確
かさを追記した。
また,注記を追加した。
不確かさの評価を明確にするため。
今後ISOへ提案していく。
2
B
9
9
1
6
:
2
0
1
0
14
B 9916:2010
(I)JISの規定
(II)
国際規
格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号及
び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 試験方法
(続き)
7.5
同時通過損失
4.5
Maximum particle number
concentration
変更
表題を変更
規定内容に合うように表題を変更
附属書A
Annex B
Size resolution
変更
Annex Aを附属書JAとしたことに
よって記号がずれた。
附属書JA
Annex A
Uncertainty of particle size
caliblation
変更
JISでは,内容を最新の知識に
よって変更して“性能試験結果
の不確かさ評価方法”として附
属書JAとした。
個別の要素を説明した後,不確
かさの解説をしたほうが流れが
よいとのことで場所を移動し
た。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 21501-3:2007,MOD
関連する法規
第十五改正日本薬局方
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致……………… 技術的差異がない。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
2
B
9
9
1
6
:
2
0
1
0