B 9908-5:2019
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験······························································································································· 2
4.1 粒子捕集率試験 ············································································································· 2
4.2 圧力損失試験 ················································································································ 4
4.3 オゾン発生量試験 ·········································································································· 4
4.4 結果の報告 ··················································································································· 5
B 9908-5:2019
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本空気清浄協会(JACA)及
び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が
あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS B 9908:2011は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS B 9908の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 9908-1 第1部:粒子状物質捕集率に基づく仕様,要件及び分類
JIS B 9908-2 第2部:粒径別捕集率及び圧力損失の測定方法
JIS B 9908-3 第3部:試験粉じん負荷に対する質量法捕集率及び圧力損失の試験
JIS B 9908-4 第4部:換気用エアフィルタユニットの除電処理の試験方法
JIS B 9908-5 第5部:換気用電気集じん器の性能試験方法
JIS B 9908-6 第6部:超高性能フィルタユニットの性能試験方法
この規格群は,ビルディング,工場,事務所などにおいて,空気中に浮遊する粉じんを除去するために
用いるエアフィルタのうち,ろ材を用いて粉じんを除去する換気用エアフィルタユニット(以下,フィル
タユニットという。)及び換気用電気集じん器(以下,電気集じん器という。)の性能試験方法について規
定する。この規格群は,2016年12月に発行されたISO 16890-1〜ISO 16890-4の4部とこの国際規格で規
定されていないJIS B 9908-5及びJIS B 9908-6の2部との計6部構成である。
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日本工業規格 JIS
B 9908-5:2019
換気用エアフィルタユニット・
換気用電気集じん器の性能試験方法−
第5部:換気用電気集じん器の性能試験方法
Test method of air filter units for ventilation and electric air cleaners for
ventilation-Part 5: Test method of electric air cleaners for ventilation
序文
この規格は,JIS B 9908:2011に記載されていた試験方法形式4(換気用電気集じん器)の内容を修正し
たものである。この措置は,換気用電気集じん器の性能試験方法がISO 16890-1〜ISO 16890-4を対応国際
規格とするこの規格群の第1部〜第4部に盛り込まれていないためである。
1
適用範囲
この規格は,ビルディング,工場,事務所などにおいて,空気中に浮遊する粉じんを除去するために用
いる一般的な換気用エアフィルタユニットのうち,換気用電気集じん器(以下,電気集じん器という。)の
性能試験方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7957 大気中のオゾン及びオキシダントの自動計測器
JIS B 8330 送風機の試験及び検査方法
JIS B 9908-1 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法−第1部:粒子状物
質捕集率に基づく仕様,要件及び分類
JIS B 9908-2 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法−第2部:粒径別捕
集率及び圧力損失の測定方法
JIS B 9908-3 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法−第3部:試験粉じ
ん負荷に対する質量法捕集率及び圧力損失の試験
JIS B 9908-4 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法−第4部:換気用エ
アフィルタユニットの除電処理の試験方法
JIS B 9921 光散乱式気中粒子計数器−校正方法及び検証方法
JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語
JIS Z 8762-2 円形管路の絞り機構による流量測定方法−第2部:オリフィス板
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用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 9908-1,JIS B 9908-2,JIS B 9908-3,JIS B 9908-4及びJIS
Z 8122によるほか,次による。
3.1
電気集じん器
荷電部及び集じん部をもち,静電作用によって粒子を捕集する静電式空気清浄装置。
4
試験
4.1
粒子捕集率試験
4.1.1
試験ダクト装置
試験ダクトは,図1に示す構造とし,その各部は次による。
a) エアロゾル発生部 JIS B 9908-2の図1によるラスキンノズル1) などを用いたエアロゾル発生器によ
って,粒径0.5 μm〜1.0 μmのエアロゾルを含む多分散PAO 2) 又はこれと同等のエアロゾルを安定し
た状態で供給できるものを用いる。エアロゾル発生量は,光散乱式気中粒子計数器の上限可測濃度を
超えないようにし,かつ,各粒子径範囲において統計的に十分な濃度が得られるように調整する。そ
のために希釈器を用いてもよい。
注記 エアロゾル発生方法は,JIS B 9928参照。
注1) 加圧空気のバブリングによって微少液滴を発生させるエアロゾル発生用ノズル
2) ポリアルファオレフィンの略語で,CAS番号は68649-12-7[JIS Z 8901の8.1 a) 及び8.2 a) 参
照]
b) エアロゾル濃度測定部 光散乱式気中粒子計数器であって,0.5 μm〜1.0 μmの粒径区分をもつものを
用いる。光散乱式気中粒子計数器は,1年以内の定期的校正が必要である。その校正は,光散乱式気
中粒子計数器製造業者又は同等の資格をもつ団体によって,JIS B 9921に従い,球形の等方性の単分
散,屈折率1.59のポリスチレン粒子を用いて行う。光散乱式気中粒子計数器のサンプリング流量はJIS
B 9921に従い,定格の±5 %以内で校正しなければならない。
なお,光散乱式気中粒子計数器の過負荷試験については,次による。
光散乱式気中粒子計数器は,最大粒子個数濃度を超えた場合に,粒子濃度を過小評価する可能性が
ある。したがって,使用する光散乱式気中粒子計数器の最大粒子個数濃度を知ることが望ましい。ま
た,同時通過損失が5 %を超えないように,最大エアロゾル濃度は,最大粒子個数濃度より十分低く
することが望ましい。これは,光散乱式気中粒子計数器濃度限界を超えて運転することは,結果が本
来の性能より低くなる原因となるからである。
データが同時通過損失によって影響されるかどうかを,次の二つの方法のいずれかを用いて決定す
ることができる。方法2の方がより信頼できる方法であり,推奨する。
1) 方法1 照合フィルタの捕集率を,異なる濃度で測定する。光散乱式気中粒子計数器の最大粒子個
数濃度以上で捕集率は下がり始める。
2) 方法2 上流側粒子径分布を測定する。その後,濃度を均等に減少又は希釈し,粒子径分布測定を
繰り返す。低濃度になるに伴って粒径分布の傾きが急になる場合には,これは,元の濃度が光散乱
式気中粒子計数器の濃度限界であったという明確なあか(証)しになる。濃度減少は,フィルタの
流量増加,又はエアロゾル発生器の出力を下げることで可能である。
c) 風量測定部 JIS B 8330に規定するオリフィスによるか,又はJIS Z 8762-2に規定する絞り機構によ
3
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る。
なお,オリフィス流量計を使用する場合には,その設置によってエアロゾルの状態に影響を及ぼさ
ない位置に設ける。
d) 電気集じん器固定部 電気集じん器を流路内に固定するとき,その電気集じん器とガスケットとの間
から空気が下流側に漏れることがないようにする。
e) ダクト部 上流側及び下流側のエアロゾル濃度を均一かつ安定な状態に保つことができるものを用い
る。
f)
送風機 送風機は,その振動が試験ダクトに伝わることを極力防止するようにし,電気集じん器の圧
力損失をはじめ,全装置の圧力損失の僅かな増減によって風量が変化しないように,能力に余裕をも
ったものを用いる。
なお,送風時に脈動を生じないように調整を行う。
1 清浄用フィルタ
6 上流側採取管
11 上流側濃度測定位置
2 エアロゾル発生部
7 ユニット固定部
12 エアロゾル濃度測定部
3 エアロゾル導入部
8 ガスケット
13 下流側濃度測定範囲
4 ベルマウス
9 フィルタユニット
14 下流側採取管
5 整流格子
10 静圧測定位置
15 風量測定範囲
注記1 Dの寸法は,D部断面積とB部断面積との比率が1/7〜1/15になるようにする。
注記2 清浄用フィルタの捕集率は,粒径0.3 μmにおいて99.97 %以上とする。
図1−試験ダクト
4.1.2
試験方法
試験は,次によって行う。
a) 電気集じん器を,試験ダクトのユニット固定部に空気の漏れがないように保持する。
b) 送風機を作動させ,風量が定格風量になるようにする。
c) 清浄空気を供給し,規定された粒子捕集率を有効に測定するのに必要な十分小さなバックグランド値
を示すことを確認する。
d) 上流側のエアロゾル濃度は,光散乱式気中粒子計数器の同時通過損失が5 %を超えることなく,かつ,
下流側の計測値がバックグランド値に比べ十分多くなるような範囲で行い,上流側のエアロゾル濃度
が安定化したのを確認した後,上流側及び下流側のエアロゾル濃度を交互又は同時に測定する。
電気集じん器の粒子捕集率は,粒径範囲0.5 μm〜1.0 μmにおいて測定し,式(1)によって算出する。
4
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)
(
/)
(
1
)
(
1
2
d
C
d
C
d
E
−
=
································································ (1)
ここに,
E(d): 粒径dの粒子捕集率
C1(d): 0.5 μm〜1.0 μmのチャンネルにおける,電気集じん器上
流側の計数値
C2(d): 0.5 μm〜1.0 μmのチャンネルにおける,電気集じん器下
流側の計数値
e) ダクト中のエアロゾル濃度は,ダクト中央の1点から採取する単孔採取管,又は2点以上から採取す
る多孔採取管を用いて測定する。
f)
下流側の計測値C2(d)が100個以上となるように測定する。
4.2
圧力損失試験
4.2.1
試験ダクトは,4.1.1の粒子捕集率の試験ダクトと同一とし,静圧測定部は,図1に示す位置の上
流側及び下流側の管壁に垂直な静圧測定孔を設ける。測定孔の周りには,まくれなどがあってはならない。
なお,静圧測定点におけるダクト中の風速が10 %以上のばらつきをもつ場合には,静圧測定孔を4個以
上設ける。
4.2.2
ダクト断面風速の確認は,JIS B 9908-2の図11によってダクト断面を9分割以上のほぼ同面積に
分割し,測定風量は試験フィルタの定格風量の50 %及び125 %とし,各分割部分の中心で風速計によって
測定する。算術平均値を算出し,個々の値と比較を行う。
4.2.3
試験方法
試験方法は,次による。
a) 電気集じん器を,試験ダクトのユニット固定部に漏れがないように保持する。
b) 送風機を作動させ,規定の風量に調整する。
c) 静圧測定孔に接続した管を差圧計によって,フィルタユニットの上流側と下流側との静圧差を測定し,
圧力損失を求める。
d) 圧力損失は,試験体の定格風量並びにその50 %,75 %及び125 %の風量において測定する。
4.3
オゾン発生量試験
4.3.1
試験ダクト
試験ダクトは,4.1.1の粒子捕集率の試験ダクトとする。ただし,エアロゾル濃度測定部の代わりに,JIS
B 7957に規定する紫外線吸収方式によるオゾン自動計測器を用いる。
4.3.2
試験条件
試験条件は,次による。
a) 温度 20±5 ℃
b) 相対湿度 50±10 %
4.3.3
試験方法
試験方法は,次による。ただし,この試験は粒子捕集率試験を行う前に行う。
a) 電気集じん器を,試験ダクトのユニット固定部に漏れがないように保持する。
b) 送風機を作動させ,風量が定格風量になるように調整する。
c) 上流側及び下流側のオゾン濃度を交互に測定し,式(2)によってオゾン発生量を求める。
Q
C
C
q
)
(
1
2−
=
··········································································· (2)
ここに,
q: オゾン発生量(ml/min)
C1: 上流側のオゾン濃度(ml/m3)
C2: 下流側のオゾン濃度(ml/m3)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Q: 電気集じん器の風量(m3/min)
4.4
結果の報告
試験結果は,図2に示す様式に記載する。また,必要に応じて,オゾン発生量の結果を付して報告する。
1. 期日・場所・実施者
a) 試験日
b) 試験場所
c) 試験者
2. 試験対象電気集じん器
a) 名称
b) 型番
c) 定格風量
m3/min
d) 初期圧力損失
Pa
e) 有効ろ材面積
m2
f) 寸法(W×H×D) mm
g) 製造業者
3. 試験条件
a) 温度範囲
℃
b) 湿度範囲
%
c) 試験風量
d) エアロゾル種類
e) エアロゾル濃度
f) 自動粒子計数器の種類
g) 測定粒径区分
4. 試験結果
a) 初期圧力損失
Pa
b) 0.5〜1.0 μm粒子捕集率 %
図2−捕集率及び圧力損失試験記録様式
参考文献
[1] JIS B 9928 コンタミネーションコントロールに使用するエアロゾルの発生方法
[2] JIS Z 8901 試験用粉体及び試験用粒子