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B 9908-4:2019  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 記号及び略語 ··················································································································· 2 

5 除電処理試験要件 ············································································································· 3 

5.1 一般 ···························································································································· 3 

5.2 エアフィルタユニット試験体要件······················································································ 3 

5.3 エアフィルタユニット試験体の選定··················································································· 3 

5.4 処理キャビネット要件 ···································································································· 3 

6 処理剤···························································································································· 3 

7 処理キャビネット ············································································································· 4 

7.1 一般 ···························································································································· 4 

7.2 処理キャビネット寸法及び材質 ························································································ 4 

7.3 環境,温度及び相対湿度 ································································································· 5 

8 安全性···························································································································· 6 

9 試験方法························································································································· 6 

9.1 一般 ···························································································································· 6 

9.2 除電処理手順 ················································································································ 6 

10 適格性確認 ···················································································································· 7 

11 試験結果の報告 ·············································································································· 7 

附属書A(参考)IPA使用における健康及び安全に関する情報 ······················································ 9 

参考文献 ···························································································································· 11 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 12 

B 9908-4:2019  

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本空気清浄協会(JACA)及

び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

これによって,JIS B 9908:2011は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS B 9908の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS B 9908-1 第1部:粒子状物質捕集率に基づく仕様,要件及び分類 

JIS B 9908-2 第2部:粒径別捕集率及び圧力損失の測定方法 

JIS B 9908-3 第3部:試験粉じん負荷に対する質量法捕集率及び圧力損失の試験 

JIS B 9908-4 第4部:換気用エアフィルタユニットの除電処理の試験方法 

JIS B 9908-5 第5部:換気用電気集じん器の性能試験方法 

JIS B 9908-6 第6部:超高性能フィルタユニットの性能試験方法 

この規格群は,ビルディング,工場,事務所などにおいて,空気中に浮遊する粉じんを除去するために

用いるエアフィルタのうち,ろ材を用いて粉じんを除去する換気用エアフィルタユニット(以下,フィル

タユニットという。)及び換気用電気集じん器(以下,電気集じん器という。)の性能試験方法について規

定する。この規格群は,2016年12月に発行されたISO 16890-1〜ISO 16890-4の4部とこの国際規格で規

定されていないJIS B 9908-5及びJIS B 9908-6の2部との計6部構成である。 

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日本工業規格          JIS 

B 9908-4:2019 

換気用エアフィルタユニット・ 

換気用電気集じん器の性能試験方法− 

第4部:換気用エアフィルタユニットの除電処理の

試験方法 

Test method of air filter units for ventilation and electric air cleaners for 

ventilation-Part 4: Conditioning method to determine the minimum 

fractional test efficiency 

序文 

この規格は,2016年に第1版として発行されたISO 16890-4を基とし,JIS B 9908:2011及びISO 16890

規格群に混在する測定方法の差異部分を整合させるために,技術的内容を変更して作成した日本工業規格

である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,JIS B 9908-1,JIS B 9908-2及びJIS B 9908-3を合わせて使用することを前提としており,

一般的な換気用エアフィルタユニットの試験体及び除電処理キャビネット並びに処理手順に関する試験の

要件について規定する。 

この規格で示す除電処理の試験方法は,定格の開口面積610 mm×610 mmのフィルタユニットの試験体

に適用する。 

記号J-ePMxは,0.3 μm〜X μmの光学直径をもつ粒子に対するフィルタユニットの捕集率を表す(JIS B 

9908-1の表1参照)。 

この規格,並びにJIS B 9908-1,JIS B 9908-2及びJIS B 9908-3は,規格で定められた手順で試験した場

合に,J-ePM1が99 %以下でJ-ePM10が20 %を超える一般換気用フィルタユニットに適用する。この試験の

適用上限を超えるフィルタユニットは,JIS B 9908-6によって評価する。 

注記1 試験手順の適用下限をJ-ePM10で20 %とした理由は,このレベル以下のフィルタユニットで

は,この規格に示す手順で統計的妥当性のある結果を得ることが難しいためである。 

室内空気清浄機で使われるフィルタユニットは,この規格の適用範囲から除外する。 

この規格群に従って得られた性能結果は,それ自体から実用時の捕集率又は寿命を定量的に推定するこ

とはできない。 

この規格の結果は,静電除去メカニズムが考慮すべき重要な因子である場合に0.3 μmから10 μmまでの

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粒径別捕集率を定めたり分類するために,ほかの規格で流用しても差し支えない。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 16890-4:2016,Air filters for general ventilation−Part 4: Conditioning method to determine the 

minimum fractional test efficiency(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 9908-1 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法−第1部:粒子状物

質捕集率に基づく仕様,要件及び分類 

注記 対応国際規格:ISO 16890-1:2016,Air filters for general ventilation−Part 1: Technical 

specifications, requirements and classification system based upon particulate matter efficiency (ePM) 

JIS B 9908-2 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法−第2部:粒径別捕

集率及び圧力損失の測定方法 

注記 対応国際規格:ISO 16890-2:2016,Air filters for general ventilation−Part 2: Measurement of 

fractional efficiency and air flow resistance 

JIS B 9908-3 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法−第3部:試験粉じ

ん負荷に対する質量法捕集率及び圧力損失の試験 

注記 対応国際規格:ISO 16890-3:2016,Air filters for general ventilation−Part 3: Determination of the 

gravimetric efficiency and the air flow resistance versus the mass of test dust captured 

JIS B 9908-6 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法−第6部:超高性能

フィルタユニットの性能試験方法 

JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 9908-1,JIS B 9908-2,JIS B 9908-3及びJIS Z 8122によ

るほか,次による。 

3.1 

最小粒径別捕集率(Minimum fractional test efficiency) 

この規格で定める除電処理を施した後にJIS B 9908-2に従って測定したフィルタユニットの粒径別捕集

率。 

記号及び略語 

IPA 

イソプロピルアルコール(イソプロパノール) 

SDS 

安全データシート(Safety Data Sheet) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

除電処理試験要件 

5.1 

一般 

この試験は,最小捕集率を決定し,フィルタユニットの粒径別捕集率が静電除去メカニズムに依存して

いるかどうかを調べることを目的としている。試験は,未処理及び除電処理後のフィルタユニットの捕集

率を測定することによって行う。 

エアフィルタユニットの多くは,程度の差はあるが繊維に付与された電荷による効果がもたらされてお

り,特に使用の初期段階において低圧力損失で高い捕集率を得ている。燃焼粒子,微粒子,オイルミスト

などのある種の粒子の負荷は電荷作用に影響を及ぼし,使用の初期段階で捕集率が大きく低下することが

ある。この捕集率の低下は,ろ材の粒子捕集による機械的捕集率の僅かな増加によって緩和される。捕集

率の低下及び増加は,フィルタタイプ,使用場所又は大気の状況によって異なる。 

ここで規定する試験によって,間接的であるが定量的にエアフィルタユニットの初期性能に占める電荷

効果の程度を示すことができる。この試験によって得られる捕集率は,電荷効果が除去されて機械的捕集

率の増加がない場合に得られる値である。測定した除電処理後の捕集率は,実使用における挙動を表すも

のではない。この規格で規定するエアフィルタユニットの除電処理は,繊維マトリックスの構造に影響を

及ぼしたり,化学的に繊維に影響を及ぼしたり,更には完全にろ材を破壊する可能性がある。したがって,

この処理手順は,全てのエアフィルタユニットに適用できるとは限らない。目視による劣化,物理的変化,

又は10 %を超える若しくは10 Paを超える圧力損失の変化が認められた場合,この規格は適用できず,そ

のフィルタユニットはJIS B 9908-1に従って分類することはできない。 

5.2 

エアフィルタユニット試験体要件 

エアフィルタユニットの試験体は,誤った装着を防ぐように設計するか,又はマークを付けなければな

らない。エアフィルタユニット試験体は,通常の使用及び実際に負荷される温度,湿度及び環境に耐えら

れる適切な材料で作製しなければならない。 

5.3 

エアフィルタユニット試験体の選定 

フィルタユニット試験体は製造業者の推奨に従って準備し,標準の雰囲気条件で安定化した後にグラム

単位までひょう量する。除電処理を開始する前に初期の圧力損失及び粒径別捕集率をJIS B 9908-2で規定

する測定手順に従って測定する。 

試験体は,610 mm×610 mmの定格サイズで最大厚さが760 mmのフルサイズのフィルタユニットであ

る。何らかの理由によって規定のサイズで処理ができない場合は,漏れがないようにすれば同じタイプ又

はモデルの小さな試験体を2台以上組み合わせて用いることができる。これより厚さの大きいフィルタユ

ニットについては,箇条7で規定される処理キャビネットのサイズをそれに応じて調整してもよい。その

ような附属設備類の使用状況については記録しておかなければならない。 

5.4 

処理キャビネット要件 

性能要求を満たす処理キャビネットの作製に資することを目的に,処理キャビネットの主要な寸法及び

構成を図1に示す。 

規定しない器材(保持フレーム,IPAトレイなど)の設計は任意であるが,器材には箇条8で規定する

性能及び安全衛生の要求を満たす十分な能力がなければならない。 

処理剤 

ろ材を除電し,ろ材の繊維上の表面電荷を中和するのに用いる処理剤は,イソプロピルアルコール(IPA)

である。液体のIPAは処理キャビネットの内部に置き,IPA蒸気が平衡状態に達するまで蒸発させ,ろ材

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は液体のIPAと接触させない。 

この規格は,安全衛生に関して考えられる全ての問題を考慮したものではない。この方法を適用する前

に作業者の安全衛生のために適切な処置をとることは,この規格の使用者の義務である。加えて,使用責

任者は,法律及び規制の遵守に注意を払わなければならない。 

IPA分子式 

C3H8O 

IPA物性 

密度 

0.785 5 kg/m3 

分子量 

60.09 g/mol 

融点 

185 K 

沸点 

355 K 

引火点 

285 K 

発火点 

698 K 

蒸気圧 

0.059 7 bar (298 K) / 0.043 2 bar (293 K) / 0.081 4 bar (303 K) 

IPAの蒸気圧は次の式で計算される。 

()

C

T

B

A

P

+

=

10

log

ここに, 

P: 蒸気圧(bar) 

T: 温度(K) 

A: 4.577 95 

B: 1 221.423 

C: −87.474 

注記 1 bar=100 kPa 

爆発限界(空気中) 

下限濃度2 vol%,上限濃度12 vol%(いずれも293 Kにおいて) 

CAS番号 

67-63-0 

除電処理試験においてIPAは最低99.5 %の純度が必要である。 

処理キャビネット 

7.1 

一般 

処理キャビネットは,フィルタユニット保持チャンバ及びIPAトレイ保持チャンバで構成する。それぞ

れのチャンバには作業のための扉を別々に設けてもよい。フィルタユニット保持チャンバは,フィルタユ

ニットを処理キャビネットの壁に接触させず,IPA蒸気が拡散によって自由に通過できるようにフルサイ

ズのエアフィルタユニット試験体の装着が可能としなければならない。処理キャビネット全体の空気と

IPA蒸気との混合状態を均一安定化するために,IPAトレイ保持チャンバとフィルタユニット保持チャン

バとの間は広く開口していなければならない。バグフィルタのような自立構造で剛性のない試験体を装着

した場合に,ろ材全体をIPA蒸気にさらすようにするため,フィルタユニット保持フレームは水平にし,

試験体は垂直に取り付ける。 

7.2 

処理キャビネット寸法及び材質 

処理キャビネットは,ステンレス又は亜鉛めっき鋼板で作製する。IPA蒸気は空気より密度が高く,チ

ャンバの下の方に滞留し,フィルタユニットの全ての領域がIPA飽和蒸気の暴露を受けないおそれがある。

そのため,キャビネットのIPA保持チャンバ内部のIPAトレイの位置はフィルタユニット保持チャンバに

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隣接して,キャビネット内のIPA蒸気の均一な分布を素早く得られるようにする。 

処理キャビネットは,開口寸法が610 mm×610 mmのフルサイズフィルタユニットを装着できるように

する。エアフィルタユニット試験体の最大長さ/厚さは760 mmである。空気が拡散によって試験体の周

りを自由に通ることができるようにする。図1に,推奨される処理キャビネットの概略図を示す。 

単位 mm 

図1−除電処理キャビネット概略図 

除電処理キャビネットの内側の空気を迅速にIPAで飽和するために,処理を開始する前に,少なくとも

合計1 dm3の液体IPAをトレイに注入しておく。トレイは,少なくとも1.0 m2のIPA蒸発面積がなければ

ならない。各々のトレイは液体のIPAを注入し,処理を始めるまではカバーをしておく。処理キャビネッ

トの中のIPA蒸気は,外気と交わらないようにする。 

IPAを入れた容器は,蒸気の特性を大きく変質させるおそれのある日光,放射熱などの直射がないよう

にしなければならない。これを厳守し適正な範囲内に温度及び湿度を管理する場合,チャンバ内の空気は

IPA蒸気でほぼ飽和するので,試験体の周囲のIPA蒸気濃度を測定器で確認する必要はない。 

液体IPAの入ったトレイはカバーを外し,キャビネットの内側に置く。キャビネットを密閉した後30

分間放置し,その後,フィルタユニット試験体をキャビネットに置き密閉する。処理終了時間に達したと

き,素早くキャビネットからフィルタユニット試験体を取り出す。最後に,IPAトレイをキャビネットか

ら取り出し,それらにカバーをし,排気フードの中に保管する。 

7.3 

環境,温度及び相対湿度 

処理キャビネットを設置する室内空気は,23±5 ℃で相対湿度を(50±15)%に管理しなければならな

い。特に,室内温度は処理キャビネット内での蒸発及び拡散プロセスに敏感に影響するので,連続的又は

少なくとも1時間ごとに記録しなければならない。温度計測器は,±1 ℃の精度がなければならない。相

対湿度測定器は±2 %の精度がなければならない。温度及び相対湿度の測定器は校正を毎年行わなければ

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ならない。季節によって相対湿度が大きく変化する場所では,より頻繁な校正が必要である。 

室内空気でのフィルタユニット試験体の安定化のための標準的な雰囲気条件は,23±5 ℃で相対湿度(50

±15)%でなければならない。 

安全性 

この処理試験は,健康上有害な試薬(IPA)の使用が必要である。この規格は,安全衛生に関して可能

性のある問題全てを考慮したものではない。この方法を適用する前に作業者の安全衛生保護のために適切

な処置をとることは,この規格の使用者の義務である。加えて,使用責任者は法律及び規制の遵守に注意

を払わなければならない。 

幾つかの有益な情報を附属書Aに示す。 

試験方法 

9.1 

一般 

規定する手順は,フルサイズフィルタユニットの粒径別捕集率に対する静電気的な影響を評価するため

にIPAを用いて標準化した処理に基づいている。 

試験では,初めに未処理のエアフィルタユニット試験体の粒径別捕集率を測定する。次に,試験体はIPA

蒸気で除電処理する。IPAを再利用する場合には,IPA純度は99.5 %よりも高くなければならない。エア

フィルタユニット試験体はIPA蒸気に暴露した後,少なくとも30分間は標準的な雰囲気条件下で静置す

る。その後,処理前に行った粒径別捕集率試験と同様の方法及び試験エアロゾルを用いてJIS B 9908-2に

従って粒径別捕集率測定を行う。その試験体にIPAの残存がないことを確認するために,試験体は23±5 ℃

で相対湿度が(50±15)%の清浄空気で10分間パージを行い,更に粒径別捕集率試験を再度行う。 

IPA蒸気暴露処理は,箇条7で規定する処理キャビネットを使用する。このキャビネットは,液体IPA

を入れる幾つかのトレイを備えている。フィルタユニット試験体は幾つかの更なる試験を行わなければな

らず,全試験の期間中はフィルタユニットに損傷又は汚染を与えないように保管しなければならない。 

IPA蒸気暴露処理は,次のように行う。 

a) 少なくとも30分間,標準雰囲気条件下でエアフィルタユニット試験体を安定化する。試験体をグラム

単位までひょう量し,JIS B 9908-2に従って新品の未処理の試験体の初期の粒径別捕集率及び圧力損

失を測定する。 

b) 規定された手順に従ってフィルタユニット試験体を23±5 ℃の飽和IPA蒸気に24時間暴露する。 

c) 少なくとも30分間,標準雰囲気条件下で試験体を安定化し,ひょう量し,粒径別捕集率及び圧力損失

を測定する。清浄乾燥空気で10分間パージした後,粒径別捕集率試験を再度実施する。 

次のことがあった場合,二つ目の新品の試験体で除電処理を含む試験を行う。 

a) ±1 %又は±20 gを超える質量変化 

b) ±10 %又は±10 Paを超える圧力損失の変化 

c) 0.4 μmの捕集率が,パージ前後で±5 %ポイントを超える変化 

上記のa),b) 又はc) の変化を満たさない場合は,試験を中止し,ろ材又はフィルタユニット構造物が

IPA蒸気に影響を受けるかどうか,又は試験機器類若しくは試験手順に不備がないかを確かめる。 

9.2 

除電処理手順 

エアフィルタユニット試験体の除電処理は,次のように行う。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 標準雰囲気下で少なくとも30分間,試験体を安定化する。その後,試験体をグラム単位までひょう量

し,JIS B 9908-2に従って新品の未処理の試験体の初期の粒径別捕集率及び圧力損失を測定する。 

b) 箇条7の要求事項を遵守してトレイにIPAを注入し,それぞれのトレイをグラム単位までひょう量す

る。 

c) 処理キャビネットのIPAトレイ保持チャンバの中にIPAトレイを順々に置き,カバーを取り外した後,

処理キャビネットを密閉して30分間放置する。 

d) フィルタユニット保持チャンバの扉を開け,迅速に規定の場所に試験フィルタユニットを装着する。

拡散による処理キャビネット内のIPA濃度の均一化が容易にできるようにフィルタユニットが装着さ

れていることを確認し,処理キャビネットを密閉する。 

e) 23±5 ℃の飽和IPA蒸気のフィルタユニット試験体への暴露を24時間行う。気圧を含む部屋の雰囲気

条件は記録しておく。 

f) 

処理終了時間に達した時点で,フィルタユニット保持チャンバの扉を開け迅速に試験フィルタユニッ

トを取り出し,扉を閉める。 

g) 少なくとも30分間,標準雰囲気条件で試験体を安定化する。 

h) IPAトレイを処理キャビネットから取り出し,カバーをして排気フードの中に置く。IPAの蒸発量を

確かめるために,グラム単位まで各々のトレイをひょう量する。 

i) 

グラム単位までフィルタユニットをひょう量し,JIS B 9908-2に従って粒径別捕集率及び圧力損失を

測定する。10分間パージした後,粒径別捕集率試験をもう一度,繰り返す。 

10 

適格性確認 

温度測定器及び相対湿度センサーは,最低でも年に一度は点検し校正しなければならない。使用するそ

の他の器具は,メーカの推奨に従って校正し保守することが望ましい。 

処理キャビネットの気密性は,JIS B 9908-2で規定するリーク試験と同等のリーク試験で定期的に確認

しなければならない。IPA蒸気の不要な漏出を避け,爆発の危険性及び人へのIPA蒸気暴露を下げるため

に,キャビネットは200 Paに加圧した後に1分間に30 Paを超える圧力低下が生じない気密性を確保しな

ければならない。これによって,24時間の処理サイクルの間のIPA損失を最大30 gに抑えることができ

る。 

除電処理に従事する要員に必要な力量を明確にし,処理キャビネットの管理者及び作業者は,必要な力

量をもつことを認定した者でなければならない。 

11 

試験結果の報告 

試験結果は,フィルタ製造業者,フィルタモデル及び説明に関する情報とともに粒径別捕集率及び圧力

損失をJIS B 9908-2の試験報告フォーマットで報告する。さらに,次に示す処理の間の状況及び試験デー

タに関する補足情報を報告する。 

a) 規定の範囲内に保持されていたことを示す処理時間中の室内空気温度,相対湿度及び気圧 

b) IPA液の純度(最低99.5 %) 

c) 暴露/処理時間 

d) 箇条7の最小限の要求事項を満たしている,キャビネットの主要部の寸法及び容積を加えた写真,図

面,IPAトレイの総数,蒸発面積(トレイの数及びサイズ),トレイに注入したIPA量などの情報を含

む処理キャビネットの説明 

B 9908-4:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 除電処理前後のフィルタユニット試験体の質量及びIPAの蒸発量を確認するために測定した処理前後

のIPAトレイの質量 

f) 

除電処理前後の定格風量における試験体の圧力損失 

g) 除電処理前後の定格風量における粒径別捕集率曲線 

h) 注記 

B 9908-4:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

IPA使用における健康及び安全に関する情報 

A.1 一般 

この処理試験は,健康に有害な試薬(IPA)の使用を必要とする。この規格は,安全衛生に関して可能

性のある問題全てを考慮したものではない。 

この方法を適用する前に作業者の安全衛生保護のために適切な処置をとることは,この規格の使用者の

義務である。加えて,使用責任者は,法律及び規制の遵守に注意を払わなければならない。 

A.2 IPAの健康及び安全に対する危険性に対処するための処置 

空気とIPA蒸気との混合ガスは,IPA蒸気及び空気の飽和空気に対する比がIPAの爆発限界内で爆発の

危険を形成する(箇条6参照)。 

処理キャビネット周辺で空気とIPAとの混合ガスが爆発する危険性があるため防爆ゾーンを定め,あら

ゆる種類の着火源を避け,キャビネットその他を接地するなどの爆発防止の措置をとることを推奨する。 

爆発の危険があるために,処理キャビネットの全ての部品は導電性材質とし,表面帯電防止のために接

地するのがよい。 

処理キャビネット自体は,特別な換気フードの下に設置するか,処理の間,特にキャビネットの扉を開

けるときにIPA蒸気を排気するために同様な措置をとることを推奨する。 

液体IPAの取扱いの際,手袋及び蒸気の吸入を防止するための保護マスクを着用することを推奨する。

これは全操作において励行するのがよい。SDSは,遵守し処理キャビネットに備えておくのが望ましい。

さらに,これらの試験を行うとき,安全衛生の問題を避けるために,作業環境許容濃度などの安全衛生に

関わる法律及び条例を遵守すべきである。 

たとえこの規格の指示と矛盾しているとしても,国及び地方公共団体の安全規則が特別な装置の製作及

び使用を義務付けている場合は,従うべきである。いずれにおいても,安全衛生に関わる国及び地方公共

団体の規則には全て適合すべきである。 

いかなる場合でも,国及び地方公共団体の爆発安全規則に従って安全対策をとるべきである。例えば,

防爆機器類(ポンプ,弁など)の使用,機器の部品の全ての接地,地域のガイドラインに従って接地不可

能面をなくしたり減らすことなどである。 

外部へのIPA−空気混合ガスの排出が国及び地方公共団体によって許容されるかどうかを確認すべきで

ある。安全衛生の専門家に意見を聞くことを推奨する。 

トレイへのIPAの注入は,排気フードの下で行うことを推奨する。 

A.3 代替処理キャビネット 

使用者が,この規格で定められるキャビネットと同じ結果が得られることを証明すれば,代わりの設計

の処理キャビネットを適用できる(箇条7参照)。 

ここで示すのは,作業者の安全衛生確保のために検討した結果の一例である。このキャビネットは,図

A.1に示すA,B及びCのように三つのセクションからなる。 

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B 9908-4:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 A 液滴散布・除去部 

B フィルタユニット保持チャンバ 
C 循環空気吸引部 
1 ラスキンノズル 
2 フィルタパッド(J-ePM10が少なくとも50 %) 
3 フィルタユニット試験体 
4 コンプレッサ(防爆,風量25 dm3/min) 
 

図A.1−代替除電処理キャビネット 

この処理キャビネットの中のIPA蒸気雰囲気は,液体IPAの入ったラスキンノズルを用いて三つのセク

ションに空気を循環することによって作る。ラスキンノズルから出た空気は,IPA蒸気を飽和し,さらに

IPAエアロゾルを含んでいる。IPAエアロゾルは,上のA部のフィルタパッドで捕捉され,その後蒸発す

る。キャビネットの空気は,キャビネットの換気率に応じてIPA蒸気で飽和になる。24時間の暴露時間の

後,キャビネット内の空気は循環ポンプを使って排出するが,それは1時間当たりにチャンバ体積の3.5

倍よりも大きな換気率が得られる風量をもつものとする。新鮮な空気を再循環させた30分後には,キャビ

ネット及び試験サンプルのIPAは十分に低下するので,爆発又は健康障害の危険性なくキャビネットを開

けることができ,試験サンプルを滞りなく測ることができる。 

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B 9908-4:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] ISO 29461,Air intake filter systems for rotary machinery−Test methods−Part 1: Static filter elements 

[2] ISO 29463 (all parts),High-efficiency filters and filter media for removing particles in air 

[3] ANSI/ASHRAE 52.2-2007,Method of testing general ventilation air-cleaning devices for removal efficiency 

by particle size 

[4] EN 779,Particulate air filters for general ventilation−Determination of the filtration performance 

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B 9908-4:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS B 9908-4:2019 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試
験方法−第4部:換気用エアフィルタユニットの除電処理の試験方法 

ISO 16890-4:2016,Air filters for general ventilation−Part 4: Conditioning method to 
determine the minimum fractional test efficiency 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規 
格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 1 適用範囲 

JISとほぼ同じ 

追加 

J-ePMxの定義を追加した。 

この規格で用いている記号J-ePMx
の説明を加えたもので,実質的な
差異はない。 

変更 

ISO規格はISO 16890を引用してい
るが,これに代えてJIS B 9908-6を
引用した。 

JIS B 9908-6が,この規格の適用
範囲の上限を超えるフィルタユニ
ットの試験方法を規定するJISで
あるため。 

2 引用規格 2 引用規格 

JISとほぼ同じ 

追加 

JIS B 9908-6を追加した。 

箇条1で,JIS B 9908-6を引用し
たため。 

変更 

ISO規格はISO 29464を引用してい
るが,これに代えてJIS Z 8122を引
用した。 

JIS Z 8122が,ISO 29464に相応
するJISであるため。 

4 記号及び
略語 

4 記号及び略語 

JISとほぼ同じ 

変更 

ISO規格で用いている“MSDS 
(Material Safety Data Sheet)”を“SDS 
安全データシート(Safety Data 
Sheet)”に変更した。 

我が国で用いられている呼称に適
合させるため。 

5 除電処理
試験要件 

5.4 処理キャビネッ
ト要件 

5.4 

JISとほぼ同じ 

削除 

ISO規格から次の規定を削除した。 
“図1に示す全ての寸法は,特に明
記しない限り必須要件である。示す
単位は,特に明記しない限りmmで
ある” 

処理キャビネットの寸法を厳密に
規定する必要性がないため。除電
に影響するのは,処理キャビネッ
トの体積であるので,次回のISO
規格の見直しの際,修正を提案す
る。 

2

B

 9

9

0

8

-4

2

0

1

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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B 9908-4:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規 
格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

7 処理キャ
ビネット 

7.2 処理キャビネッ
ト寸法及び材質 

7.2 

JISとほぼ同じ 

削除 

ISO規格から次の規定を削除した。 
“フィルタ保持チャンバの外寸は,
750 mm×750 mm×850 mmでなけ
ればならない” 

フィルタユニット保持チャンバの
外寸を厳密に規定する必要性がな
いため。次回のISO規格の見直し
の際,削除を提案する。 

7.3 環境,温度及び
相対湿度 

7.3 

JISとほぼ同じ 

変更 

“処理キャビネットを設置する室
内空気は,23±5 ℃で相対湿度を
(50±15)%に管理しなければなら
ない”とした。 
ISO規格では,“25±5 ℃で相対湿
度を(40±20)%に管理しなければ
ならない”としている。 
“フィルタユニット試験体の安定
化のための標準的な雰囲気条件は,
23±5 ℃で相対湿度(50±15)%で
なければならない”とした。 
ISO規格では,“25±5 ℃で相対湿
度を(45±10)%”としている。 

我が国の気候下でも容易に管理で
きる条件にした。 

9 試験方法 9.1 一般 

9.1 

JISとほぼ同じ 

変更 

パージを行う空気を,“23±5 ℃で
相対湿度を(50±15)%”とした。 
ISO規格では,“25±5 ℃で相対湿
度を(45±10)%”としている。 

我が国の気候下でも容易に管理で
きる条件にした。 

9.2 除電処理手順 

9.2 

JISとほぼ同じ 

削除 

ISO規格で規定している,除電処理
後に行う定格の50 %風量での捕集
率試験の項目を削除した。 

定格風量と定格の50 %風量とで
0.4 μm捕集率の差が5 %ポイント
未満であることが除電の確認とな
る科学的根拠が不明確であり,か
えって混乱を招くおそれがあるた
め。次回のISO規格の見直しの際,
削除を提案する。 

 
 
 

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B

 9

9

0

8

-4

2

0

1

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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B 9908-4:2019  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規 
格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

10 適格性
確認 

10 適格性確認 

10 

JISとほぼ同じ 

変更 

“使用するその他の器具は,メーカ
の推奨に従って校正し保守するこ
とが望ましい”とした。 
ISO規格では,“使用するその他全
ての器具は,メーカの推奨に従って
校正し保守しなければならない”と
している。 

使用する全ての器具の校正及び保
守を義務付ける必要性がないた
め。 

11 試験結
果の報告 

11 試験結果の報告 

11 

JISとほぼ同じ 

変更 

“g) 除電処理前後の定格風量にお
ける粒径別捕集率曲線”とした。 
ISO規格では,“g) 除電処理前後
の定格風量及び除電処理後の定格
の50 %風量における粒径別捕集率
曲線”としている。 

9.2で,除電処理後に行う定格の
50 %風量での捕集率試験の項目
を削除したため。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 16890-4:2016,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

B

 9

9

0

8

-4

2

0

1

9

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。