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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 9809-1991 

スプレーガン 

Spray guns 

1. 適用範囲 この規格は,圧縮空気によって塗料を霧化し,被塗物に付着させて塗装する一般塗装用ス

プレーガン(以下,スプレーガンという。)について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を次に示す。 

JIS B 0202 管用平行ねじ 

JIS K 5402 塗料用フォードカップ 

JIS K 5531 ニトロセルロースラッカー 

JIS P 3101 印刷用紙 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

(1) パターン 平面に対して直角に,瞬間的に吹き付けたときにできる塗り跡の形状。円形のものを丸パ

ターン,だ円形のものをだ円パターンという。 

(2) パターン開き パターンの大きさ。丸パターンでは円形の直径,だ円パターンではだ円形の長径で表

す。 

(3) 丸吹き,平吹き 丸吹きとは丸パターンが,平吹きとはだ円パターンが得られる噴霧方式。 

(4) 本体 スプレーガンの主体となる部分。これに各部分品を取り付ける。 

(5) 空気キャップ 空気を噴出して塗料を霧化し,パターンを整える部品。 

(6) 塗料ノズル 塗料を噴出する部品。 

(7) 塗料ノズル口径 塗料ノズル先端の噴出口の内径。 

(8) ニードル弁 塗料ノズルの噴出口の開閉を行う部品。 

(9) 空気弁 空気通路の開閉を行う部品。 

(10) 引金 指によって操作し,ニードル弁と空気弁とを作動させる部品。 

(11) 塗料噴出量調節装置 ニードル弁の動きを加減し,塗料噴出量を調節する装置。 

(12) 空気量調節装置 スプレーガンが使用する空気量を調節する装置。 

(13) パターン開き調節装置 空気キャップのつの部小穴に送る空気量を加減し,パターン開きを調節する

装置。 

(14) 吹付空気圧力 引金を引いたときの空気ニップル部の静圧。 

(15) 空気使用量 スプレーガンが使用する単位時間当たりの空気量。 

(16) 塗料噴出量 吹付けによって塗料ノズルから噴出する単位時間当たりの塗料の容量。 

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3. 種類 スプレーガンの種類は,塗料供給方式,被塗物による区分,噴霧方式及び塗料ノズル口径によ

って分類し,表1のとおりとする。 

表1 スプレーガンの種類 

単位 mm 

塗料供給 
方式 

被塗物に 
よる区分 

噴霧方式 

塗料ノズル口径 

重力式(1) 

丸吹き 

0.5 0.6 0.8 1.0 − − − − − − − − − − 

吸上式(2) 
重力式 

平吹き 

− − 0.8 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.8 − − − 

平吹き 

− − − − − − 1.3 1.4 1.5 1.6 1.8 2.0 2.5 3.0 

圧送式(3) 

平吹き 

− − 0.8 1.0 1.1 1.2 − − − − − − − − 

平吹き 

− − − 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.8 2.0 − − 

注(1) 塗料容器を,スプレーガンの上部に取り付け,塗料が重力によって塗料ノズルに送られ

る方式。 

(2) 塗料容器を,スプレーガンの下部に取り付け,塗料がスプレーガンから噴出する空気に

よって生じる負圧によって吸い上げられる方式。 

(3) 塗料が加圧されて,塗料ノズルに送られる方式。 

備考1. 被塗物による区分のSは,空気使用量,塗料噴出量が比較的少なく,一般に小形被塗

物に使用するものを示し,Lは,空気使用量,塗料噴出量が比較的多く,一般に大形
被塗物に使用するものを示す。 

2. 丸吹きスプレーガンとは,丸吹きだけができるものをいい,平吹きスプレーガンとは,

平吹きを主とするものをいう。 

4. 主要部品名称 スプレーガンの主要部品名称は,図1による。 

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図1 主要部品名称 

備考 この図は,部品名称の説明図であり,構造を規定するものではない。 

5. 性能 

5.1 

空気使用量,塗料噴出量及びパターン開き スプレーガンの空気使用量,塗料噴出量及びパターン

開きは,8.によって試験を行い,表2のとおりとする。 

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表2 空気使用量,塗料噴出量及びパターン開き 

塗料供給 
方式 

被塗物に 
よる区分 

噴霧方式 塗料ノズル口径 

mm 

空気使用量 

l/min 

塗料噴出量 

ml/min 

パターン開き 

mm 

重力式 

丸吹き 

0.5 

 40以下 

 10以上 

 15以上 

0.6 

 45以下 

 15以上 

 15以上 

0.8 

 60以下 

 30以上 

 25以上 

1.0 

 70以下 

 50以上 

 30以上 

吸上式 
重力式 

平吹き 

0.8 

160以下 

 45以上 

 60以上 

1.0 

170以下 

 50以上 

 80以上 

1.1 

185以下 

 60以上 

 90以上 

1.2 

200以下 

 80以上 

100以上 

1.3 

220以下 

 90以上 

110以上 

1.4 

240以下 

 95以上 

120以上 

1.5 

260以下 

100以上 

130以上 

1.6 

280以下 

120以上 

140以上 

1.8 

300以下 

130以上 

150以上 

平吹き 

1.3 

280以下 

120以上 

150以上 

1.4 

310以下 

130以上 

155以上 

1.5 

330以下 

140以上 

160以上 

1.6 

350以下 

160以上 

170以上 

1.8 

400以下 

180以上 

180以上 

2.0 

450以下 

200以上 

200以上 

2.5 

480以下 

230以上 

230以上 

3.0 

560以下 

270以上 

260以上 

圧送式 

平吹き 

0.8 

270以下 

150以上 

150以上 

1.0 

300以下 

200以上 

170以上 

1.1 

320以下 

220以上 

175以上 

1.2 

340以下 

240以上 

180以上 

平吹き 

1.0 

500以下 

250以上 

200以上 

1.1 

560以下 

300以上 

220以上 

1.2 

620以下 

350以上 

240以上 

1.3 

650以下 

400以上 

260以上 

1.4 

660以下 

460以上 

280以上 

1.5 

670以下 

520以上 

300以上 

1.6 

700以下 

600以上 

320以上 

1.8 

710以下 

650以上 

330以上 

2.0 

720以下 

700以上 

340以上 

5.2 

パターン及び塗膜厚さの分布 パターン及び塗膜厚さの分布は,8.によって試験を行い,次による。 

(1) パターンは,片寄り,中くびれなどの変形がなく,空気キャップを任意の位置から180°回した後も

同じパターンが得られること。 

(2) 塗膜厚さの分布は正常であり,塗膜の仕上がりに有害な影響を及ぼすような,粗い塗料の噴霧粒子が

あってはならない。 

(3) 吹始め及び吹終わりに,塗料の粗い噴霧粒子が噴出したり,吹付け中に息切れなどがあってはならな

い。 

6. 構造及び寸法 スプレーガンの構造及び寸法は,次による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 引金を引くと空気が噴出し,次に塗料が噴出するものとする。 

(2) 塗料噴出量調節装置及びパターン開き調節装置を備えること。ただし,パターン開き調節装置は,丸

吹き−平吹き切換装置を用いてもよい。 

また,重力式丸吹きスプレーガンには,パターン開き調節装置を備えなくてもよい。 

(3) 各部から塗料の漏れがなく,性能に影響を及ぼすような空気漏れがないこと。 

(4) 空気ニップル及び塗料ニップルの寸法は,表3による。 

なお,ねじは,JIS B 0202によって,等級は,B級とする。 

表3 空気ニップル及び塗料ニップルの寸法 

単位 mm 

ニップル 

ねじの呼び 

α(度) 

空気ニップル 

G1/4 

 8.5 

11以上 

30 

塗料ニップル 

G1/4 

 8.5 

11以上 

30 

G3/8 

11.5 

12以上 

60 

備考 塗料ニップルのねじは、被塗物による区分SにはG1/4、Lに

はG3/8を用いるのがよい。 

7. 材料 各部に使用する材料は,その使用状態において,機械的に十分使用できるものであって,5.の

規定を満足するものでなければならない。 

参考 5.の規定を満足する材料の例を,参考表1に示す。 

8. 試験方法 

8.1 

試験項目 スプレーガンの試験項目は,次による。 

(1) 空気使用量 

(2) 塗料噴出量 

(3) パターン,パターン開き,塗膜厚さの分布及び塗料の噴霧粒子 

(4) 塗料漏れ 

8.2 

試験条件 スプレーガンの試験条件は,表4による。 

なお,塗料噴出量調節装置,パターン開き調節装置及び空気量調節装置は全開とする。 

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表4 試験条件 

塗料供給方式 被塗物による区分 

試験条件 

塗料 

吹付空気圧力 

kPa {kgf/cm2} 

吹付距離 

mm 

移動速度 

m/s 

吸上式 

290 {3. 0} 

200 

0.05以上 JIS K 5531のラッカ

ーエナメル茶色と
し,コンシステンシ
ーは,JIS K 5402に
よるフォードカップ
形の器を用いて測定
したとき,22±1秒
とする。 

重力式 

吸上式 

340 {3.5} 

250 

0.1以上 

重力式 

圧送式 

340 {3.5} 

200 

0.1以上 

圧送式 

340 {3.5} 

250 

0.15以上 

8.3 

空気使用量 空気使用量の測定は,フロート形面積流量計(4)(以下,流量計という。)を用い,試験

装置は,図2による。 

図2 試験装置 

注(4) JIS Z 8761参照。 

流量計は,最大目盛の±2%の正確度をもつものを使用し,振動が少ない場所を選び,テーパ

管の中心軸が鉛直になるように取り付ける。 

なお,図2に示すPGは,吹付空気圧力を示す。 

空気使用量の測定値は,次の式によって温度及び圧力の補正を行う。 

)

03

.1()

20

273

(

)

03

.1()

273

(

)

101

()

20

273

(

)

101

()

273

(

0

1

0

1

P

P

t

Q

Q

P

P

t

Q

Q

ここに, 

Q: 大気圧,t℃における空気使用量 (l/min) 

Q1: 流量計の指示値 (l/min) 

t: 温度計の指示値 (℃) 

P: 圧力計の指示値 (kPa) {kgf/cm2} 

P0: 設計条件における圧力 (kPa) {kgf/cm2} 

なお,流量計の設計基準は20℃,空気の密度γは1.20kg/m3の場合とする。 

8.4 

塗料噴出量 塗料噴出量の測定は,次の方法による。 

なお,測定時間は,30秒以上とし,3回以上繰り返した平均値とする。 

(1) 重力式では,一定容量の塗料を塗料容器に入れ,噴出を始めてから塗料容器中の塗料がなくなるまで

(息切れの発生時点)の時間を測定し,算出する。 

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(2)  吸上式では,メスシリンダに塗料を入れ,吸上管を挿入し,塗料を噴出させた後,減容量を測定し,

算出する。 

(3) 圧送式では,塗料ニップル入口部の塗料圧力を,5.の規定を満足する状態に調整した圧力で,塗料を

霧化させないで噴出させ,排出した塗料容量を測定し,算出する。 

なお,このときのスプレーガンの接続ホースは,耐溶剤性ホースを用いる。 

8.5 

パターン,パターン開き,塗膜厚さの分布及び塗料の噴霧粒子 パターン,パターン開き,塗膜厚

さの分布及び塗料の噴霧粒子の試験は,次による。 

(1) パターンの試験は,平面に対し直角に,瞬間的に吹き付けたとき,パターンが正常であるかどうかを

調べる。 

(2) パターン開きの測定は,JIS P 3101によるひょう量62〜67g/m2の上質紙を垂直に保ち,スプレーガン

を紙面に平行に200mm以上等速移動を行って吹き付けたときの連続した塗り跡の幅を,100mm以上

の間隔で3点測定し,その平均値を求める。 

(3) 塗膜厚さの分布状態及び塗膜の仕上がりに有害な塗料の噴霧粒子の有無は,(1)及び(2)で採取した塗り

跡を用い,これを目視によって調べる。 

8.6 

塗料漏れ 塗料漏れ試験は,重力式では使用状態,圧送式では200kPa {2kgf/cm2} の圧力を加え,そ

れぞれ噴霧を行った後引金を放し,1分間以上放置し,塗料漏れを調べる。 

9. 検査 スプレーガンの検査は,性能,構造及び寸法について行い,5.及び6.の規定を満足しなければ

ならない。 

10. 製品の呼び方 スプレーガンの呼び方は,規格番号又は規格の名称,塗料供給方式,被塗物による区

分,噴霧方式,塗料ノズル口径による。 

例1. 

JIS B 9809 

重力式S 

丸吹き1.0 

例2. 

スプレーガン 

圧送式L 

平吹き1.5 

11. 表示 スプレーガンには,見やすいところに,容易に消えない方法で,次の事項を表示する。ただし,

(4)及び(5)については,取扱説明書に示してもよい。 

(1) 製造業者名又はその登録商標 

(2) 被塗物による区分 

(3) 塗料ノズル口径 

(4) 空気使用量 

(5) 塗料噴出量 

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参考表1 材料 

部品名 

材料 

本体 

JIS H 5202のAC3A, JIS H 5101のYBsC3, JIS H 5301のZDC1, JIS H 5302の
ADC12又はJIS H 5111のBC3 

空気キャップ  JIS H 5101のYBsC3, JIS H 5111のBC3, JIS H 3250のC3771BE又はJIS H 5301

のZDC1 

塗料ノズル 

JIS G 3123のSGD400−D, JIS G 4303のSUS410又はJIS H 3250のC3604BD 

ニードル弁 

JIS G 4309のSUS410, JIS G 4401のSK2又は耐溶剤性合成樹脂 

空気弁 

JIS H 3250のC3604BD, JIS G 4303のSUS410,耐溶剤性合成樹脂又は合成ゴム 

引金 

JIS G 3141のSPCC, JIS G 4305のSUS430, JIS H 5301のZDC1, JIS H 5302の
ADC12又はJIS H 5111のBC2 

握り 

本体の握りが別構造のものについては,耐溶剤性合成樹脂成形品を用いてもよい。 

関連規格 JIS G 3123 みがき棒鋼 

JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯 

JIS G 4303 ステンレス鋼棒 

JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板 

JIS G 4309 ステンレス鋼線 

JIS G 4401 炭素工具鋼鋼材 

JIS H 3250 銅及び銅合金棒 

JIS H 5101 黄銅鋳物 

JIS H 5111 青銅鋳物 

JIS H 5202 アルミニウム合金鋳物 

JIS H 5301 亜鉛合金ダイカスト 

JIS H 5302 アルミニウム合金ダイカスト 

JIS B 9809 改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

吉 岡   豊 

株式会社明治機械製作所 

林   信 之 

旭大隈産業株式会社 

剣 持 雄 治 

岩田塗装機工業株式会社 

橘   雄 治 

株式会社近畿製作所 

稲 垣   誠 

昭和塗装機器工業所 

立 野 保 英 

株式会社タテノ 

石 川 八州夫 

日本グレイ株式会社 

西 本   弘 

株式会社富士コンプレッサー製作所 

笠 岡 一 正 

株式会社明治機械製作所 

金 子 以 伸 

ランズバーク・インダストリー株式会社 

副 島 啓 治 

社団法人日本塗装工業会 

岩 村 兵 二 

日本工業塗装協同組合 

喜 田 勝治郎 

通商産業省機械情報産業局 

桐 山 和 臣 

工業技術院標準部 

(事務局) 

井 本 道 親 

日本塗装機械工業会