2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 9808-1991
グリースガン
Grease guns
1. 適用範囲 この規格は,JIS B 1575によるニップルをとおして機械の潤滑部分に,グリースを注入す
るのに用いるグリースガンについて規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 0203 管用テーパねじ
JIS B 1575 グリースニップル
JIS B 7505 ブルドン管圧力計
JIS K 2220 グリース
2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 種類,記号及び容量
2.1
グリースガンの種類,記号及びグリースの呼び容量 グリースガンの種類,記号及びグリースの呼
び容量は,表1による。
表1 種類,記号及びグリースの呼び容量
種類
記号
グリースの呼び容量 (cm3)
プッシュ式
P
50, 100
レバー式手詰形
LH
100, 150, 200, 300, 400, 650, 1 000
レバー式チューブ形
LT
80,
200,
400
備考 グリースの呼び容量は,プッシュ式及びレバー式手詰形の場合,
収容容量を表し,単位はcm3であり,レバー式チューブ形の場
合は,カートリッジのグリースの許容質量を表し,単位はgで
ある。
2.2
注油口金の種類及び記号 注油口金の種類及び記号は,表2による
表2 種類及び記号
種類
記号
ストレート式
S
チャック式
C
ホース式
H
3. 各部の名称 グリースガンの各部の名称は,図1による。
2
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図1 グリースガン各部の名称
備考 この図は,主要部品の名称説明図であって,特定の構造を規定するものではない。
4. 性能
4.1
負荷排出量 負荷排出量は,次のとおりとする。
(1) プッシュ式については,グリースニップル内部に0.5MPa {5.1kgf/cm2} の圧力が加わった状態(以下,
3
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負荷圧力という。)で,グリースの排出量は0.3cm3以上でなければならない。
また,負荷圧力が3MPa {31kgf/cm2} の場合は,負荷圧力が0.5MPa {5.1kgf/cm2} のときの排出量の
80%以上でなければならない。
(2) レバー式については,負荷圧力が0.5MPa {5.1kgf/cm2} のときのグリース排出量は0.6cm3以上でなけ
ればならない。
また,負荷圧力が6MPa {61kgf/cm2} の場合は,負荷圧力が0.5MPa {5.1kgf/cm2} のときの排出量の
80%以上でなければならない。
4.2
排出圧力 グリースの最高排出圧力(排出口を密閉し,グリースガンを操作したとき内部に加わる
圧力)は,プッシュ式では6MPa {61kgf/cm2},レバー式ではチャック式注油口金を用い20MPa {204kgf/cm2}
を超えなければならない。
5. 構造 グリースガンの構造は,次による。
(1) グリースガンのグリース収容容量は,表1のグリース呼び容量の±10%以下でなければならない。
(2) グリースの充てん又は装てんが容易に行えるもの。
(3) 注油口金の種類は,ストレート式(1),チャック式(2),ホース式(3)とし,各部は十分な強度をもち,JIS
B 1575によるグリースニップルに適合する構造でなければならない。
注(1) JIS B 1575に適合するグリースニップル頭部に圧着して注油させる方式の注油口金(図2参照)。
図2 ストレート式注油口金の一例
(2) JIS B 1575に適合するグリースニップル頭部につめによってかみつく機能をもった方式の注油
口金(図3参照)。
図3 チャック式注油口金の例
(3) JIS B 1575に適合するグリースニップル頭部につめによってかみつく機能をもった方式の注油
口金をホースの端部に取り付けた形式の注油口金(図4参照)。
図4 ホース式注油口金の一例
備考 図2,図3及び図4は,注油口金の説明図であって,特定の構造を規定するものではない。
6. 形状,寸法,質量及び材料
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6.1
全長 全長は,次のとおりとする。
(1) プッシュ式グリースガンは,注油口金先端からハンドル後端まで400mm以下とする(図1参照)。
(2) レバー式グリースガンは,注油口金を外した状態の先端から後端まで450mm以下とする(図1参照)。
6.2
幅 レバー式グリースガンの幅は,レバーを閉じたときの状態で250mm以下とする。
6.3
注油口金の外径 グリースガンの注油口金の外径は,表3のとおりとする。
表3 注油口金の外径
単位mm
種類
外径
ストレート式
10〜13
チャック式
ホース式
14〜18
6.4
注油口金取付部ねじ グリースガンの注油口金のシリンダ取付部ねじは,JIS B 0203のRc1/8とする。
6.5
レバー式チューブ形グリースガンのチューブ取付ねじ チューブ取付ねじの寸法は,次のとおりと
する。
6.6
カートリッジ レバー式チューブ形グリースガンのグリースカートリッジは,次のとおりとする。
(1) 形状 カートリッジの形状は,図5のとおりとする。
図5 カートリッジ
(2) 種類及び寸法 カートリッジの種類及び各部の寸法は,表4による。
表4 種類及び寸法
単位mm
種類
全長
外径
ねじ長さ
グリースの許容質量 (g)
80
146±5
3410
−
10±0.5
80
200
116±5
5510
−
10±0.5
200
400
232±5
5510
−
10±0.5
400
(3) 取付ねじ カートリッジの取り付けねじは,チューブ形グリースガンに取り付けた場合に,カートリ
ッジ接続口との接続部分が完全に結合し,空気の吸込み,グリースの漏れがないものであること。
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6.7
質量 グリースガンの質量は,グリース及び注油口金を除いた状態で,4kg以下とする。
6.8
材料 材料は,次のとおりとする。
(1) グリースガン接液部の材料 グリースガンの接液部の材料は,JIS K 2220のグリースに侵されにくい
ものであること。
(2) カートリッジの材料 カートリッジの材料は,JIS K 2220のグリースに侵されにくいものであり,ま
たグリースガンの使用時の衝撃に十分耐え得るものでなくてはならない。
7. 機能 グリースガンは,各部が正常に作動し,グリース注入が円滑・確実に行えるものでなければな
らない。
また,本体などからの漏れがあってはならない。
8. 検査 グリースガンの検査は,次による。
(1) 性能検査 負荷排出量及び排出圧力について次によって検査し,4.の規定を満足しなければならない。
この場合,検査に使用するグリースは,JIS K 2220の自動車用シャシグリース1種2号又はこれと品
質が同等のものを使用すること。
(a) 負荷排出量 図6に示すような負荷排出量測定装置にJIS B 1575によるグリースニップルを取り付
け,負荷をかけた状態(4)で連続5回以上人力で操作注入し,その平均排出量は,4.1のとおりでなけ
ればならない。
注(4) グリースニップルの内部に圧力のかかっている状態。
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図6 負荷排出量測定装置
備考1. プランジャ③を最下点まで降ろしたときの測定装置内の空間容積は,10±1cm3と
し,プランジャとシリンダ底部との間にすきまがあるようにする。
2. 測定装置は,操作上,シリンダ,パッキン,その他からグリースの漏れがなく,各
部の作動は,円滑・確実なものとする。
3. 検査を始める前に,測定装置内の空間容積をグリースで満たす。
(b) 排出圧力 図7で示すような排出圧力測定装置にJIS B 1575によるグリースニップルを取り付け,
人力によってグリースガンを操作した場合,5回以内の作動で,4.2を超える負荷に達しなければな
らない。
図7 排出圧力測定装置
備考1. 圧力計は,JIS B 7505による圧力計を取り付ける。
2. 測定装置には,漏れがないようにする。
3. 測定装置は,測定を始める前にグリースで満たす。
4. 測定装置内の空間容積は,10±1cm3とする。
(2) 構造検査 構造は,5.の規定を満足しなければならない。
(3) 形状,寸法,質量及び材料検査 形状,質量及び材料は,6.の規定を満足しなければならない。
(4) 機能検査 機能は,7.の規定を満足しなければならない。
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9. 製品の呼び方 グリースガンの呼び方は,規格番号又は規格名称,種類の記号,グリースの呼び容量
及び注油口金の種類の記号による。
例1. JIS B 9808 P 100 S
例2. グリースガン LH 200 H
10. 表示 グリースガンの本体には,見やすいところに,容易に消えない方法で,次の事項を表示する。
(1) グリースの呼び容量
(2) 製造業者名又はその略号
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JIS B 9808改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
藤 本 茂 夫
神奈川工科大学
喜 田 勝次郎
通商産業省機械情報産業局
桐 山 和 臣
工業技術院標準部
佐 藤 浩 輔
京都機械工具株式会社
山 田 豊 雄
株式会社ヤマダコーポレーション
今 井 邦 義
社団法人日本自動車機械器具工業会
亀 川 利 満
亀川工業株式会社
吉 田 多佳志
大東プレス工業株式会社
井 上 功
ダイヤ精工株式会社
橋 本 秀 夫
社団法人日本自動車整備振興会連合会
岡 田 親 司
社団法人日本印刷産業機械工業会
内 野 真 也
社団法人日本造船工業会
大 橋 秀 夫
社団法人日本建設機械化協会
滝 澤 幸 利
株式会社小松製作所
木 下 文 雄
社団法人日本自動車工業会
村 岡 良 三
社団法人日本自動車部品工業会