B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 上肢及び下肢による接近を防止するための安全距離Sr ····························································· 2
4.1 一般要求事項 ················································································································ 2
4.2 上肢による接近を防止するための安全距離Sr ······································································ 3
4.3 下肢による接近を防止するための安全距離Sr ····································································· 11
附属書A(参考)表1及び表2を使用した中間値の処理 ····························································· 14
附属書B(参考)下肢による自由な接近を防止するための距離 ····················································· 19
附属書JA(参考)日本人の保護構造物越え到達距離 ·································································· 20
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本機械工業連合会(JMF)か
ら工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,
厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS B 9707:2002及びJIS B 9708:2002は廃止され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の
特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格
JIS
B 9718:2013
(ISO 13857:2008)
機械類の安全性−危険区域に上肢及び下肢が
到達することを防止するための安全距離
Safety of machinery-Safety distances to prevent hazard zone being
reached by upper and lower limbs
序文
この規格は,2008年に第1版として発行されたISO 13857を基に,技術的内容及び対応国際規格の構成
を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項及び附属書JAは,対応国際規格にはない事項であ
る。
この規格は,JIS B 9700のまえがきで示されるタイプB規格である。
この規格の規定は,タイプC規格によって追補又は変更されることがある。
タイプC規格の適用範囲にある機械,及びタイプC規格に従って設計及び組み立てられた機械に対して
は,タイプC規格の規定がこの規格の規定に優先される。
機械類によって生じるリスクを除去又は低減するための一つの方法は,危険区域に上肢及び下肢が到達
することを防止するための安全距離Srを利用することである。
安全距離Srを特定する場合,幾つかの面を考慮しなければならない。例えば,
− 機械類を使用しているときに起こり得る種々の到達状況
− 民族の多様性を考慮した信頼できる人体寸法データの測定調査
− バイオメカニカルな要因。例えば,身体の一部の圧縮及び伸展,並びに関節の可動限界。
− 技術的及び実際的な側面
− 特定の集団(例えば,身体に障害のある人)のための追加方策,つまり指定の人体寸法から逸脱する
ことによって必要となる方策。
この規格は,JIS B 9707:2002及びJIS B 9708:2002に技術的な修正を加え,それらを置き換えるもので
ある。中間値の場合に表1及び表2を使用する方法に関する指針を示す附属書Aを追加し,かつ,JIS B
9708:2002の附属書Aを附属書Bとしている。
1
適用範囲
この規格は,産業用及び非産業用双方の環境において,上肢及び下肢が機械類の危険区域に到達するこ
とを防止するために,保護構造物と危険区域との間に設ける適切な安全距離Srの値を定める。また,下肢
による自由な接近を防止するための距離(4.3参照)に関する情報も示す。
この規格は,14歳以上の人を対象としている(14歳の人の身長の5パーセンタイル値は,およそ1 400 mm
である。)。ただし,上肢が開口部を通過して到達する距離については,3歳以上の子供(3歳の人の身長の
5パーセンタイル値は,およそ900 mmである。)に関する情報も提供している。
2
B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
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注記1 子供の下肢の接近を防止するためのデータは,考慮していない。
適切な安全性が距離だけによって達成できる場合,この規格で規定する距離を適用する。安全距離Srは
体格に依存するので,この規格の要求事項に適合した場合でも危険区域に到達できる極端な寸法の人も存
在する可能性がある。
注記2 この規格で示す安全距離Srは幾つかの危険源,例えば,放射線及び物質の放出に対しては十
分な保護を提供しない。このような危険源に対しては,追加又は他の方策を採用する必要が
ある。
リスクアセスメントによって上肢による接近が予見されない場合に,下肢に対する箇条を適用する。
安全距離Srは,指定の条件下(4.1.1参照)で無理に危険区域に到達しようとする人を保護することを意
図している。
注記3 この規格は,よじ登りによって危険区域に到達することに対する方策を提供することは意図
していない。
注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 13857:2008,Safety of machinery−Safety distances to prevent hazard zones being reached by
upper and lower limbs(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 9700 機械類の安全性−設計のための一般原則−リスクアセスメント及びリスク低減
注記 対応国際規格:ISO 12100,Safety of machinery−General principles for design−Risk assessment
and risk reduction(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 9700によるほか,次による。
3.1
保護構造物(protective structure)
危険区域に到達することを防止するために人体又はその一部の動きを制限する安全防護物(例えば,ガー
ド,阻止装置)又は他の物理的障害物(例えば,機械の一部)。
3.2
安全距離,安全な隔離距離,Sr(safety distance, safe separation distance, Sr)
保護構造物を危険区域から離して設置するときに必要な最小距離。
4
上肢及び下肢による接近を防止するための安全距離Sr
4.1
一般要求事項
4.1.1
仮定
この規格における安全距離Srは,次の仮定の下で得られている。
− 保護構造物及びその開口部は,その形状及び位置を維持する。
3
B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
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− 安全距離Srは,人体又は関連する人体の一部の到達を制限している保護構造物の表面から測定する。
− 人は,危険区域に到達しようとして保護構造部越しに,又は開口部を通して,無理に危険区域に到達
しようとする。
− 基準面は,人が通常立つ面であるが,必ずしも床とは限らない(例えば,作業プラットフォームが基
準面であることもある。)。
− 人は,靴を履いた状態で基準面と接触し続けている(靴底の厚い靴の使用,よじ登り及び跳躍は含ま
ない。)。
− 椅子又ははしごのような基準面を変更する補助器具は使用しない。
− 上肢が届く範囲を延長する棒又は工具のような補助器具は使用しない。
4.1.2
リスクアセスメント
人が危険区域に到達することを防止するための安全距離Srを決定する前に,高リスク又は低リスクのい
ずれの値を使用するか決定する必要がある。つまり,リスクアセスメント(JIS B 9700参照)を実施しな
ければならない。リスクアセスメントは,傷害の発生確率及び予見可能な傷害のひどさに基づいて実施し
なければならない。リスクアセスメントを左右する技術的及び人的要素の分析は,この規格のデータを適
切に選択するために必須である。リスクアセスメントでは,全ての接近を考慮しなければならない。幾つ
かの表を使用する場合,最も制限の厳しい値を採用しなければならない(附属書Aの例参照)。
注記1 傷害のリスクを決定する際には,接近頻度,暴露期間,エネルギ,速度,及び接触表面の形
の状態を考慮する必要がある(JIS B 9700参照)。
リスクが低い場合,少なくとも表1で示される値を使用しなければならない(4.2.2.1.1参照)。
リスクが高い場合,表2で示される値を使用しなければならない(4.2.2.1.2参照)。
注記2 危険源から生じるリスクは,回復不可能な又は回復に長期を要する傷害に至ることが予見さ
れない場合(例えば,その結果がこすれ又はすりむきとしかならない場合)だけ,低リスク
とみなせる。
表7で示される安全距離Srは,危険区域に到達しようと試みる際に下肢を使用して開口部を通過する人
に適用する。
この規格の要求事項に適合できない場合,他の保護方策を使用しなければならない。
4.2
上肢による接近を防止するための安全距離Sr
4.2.1
上方への到達
4.2.1.1
図1は,上方への到達に対する安全距離Srを示す。
4.2.1.2
危険区域のリスクが低い場合,危険区域までの高さhは,2 500 mm以上でなければならない。
4.2.1.3
危険区域のリスクが高い場合(4.1.2参照),危険区域の高さhは,2 700 mm以上でなければなら
ない。
4
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記号の説明
1
危険区域
2
基準面
h
危険区域までの高さ
図1−上方への到達
4.2.2
保護構造物を越えての到達
図2は,保護構造物越えの到達に対する安全距離Srを示す。
記号の説明
a
危険区域の高さ
b
保護構造物の高さ
c
危険区域までの水平安全距離
1
危険区域(最も近い点)
2
基準面
3
保護構造物
図2−保護構造物を越えての到達
4.2.2.1
値
4.2.2.1.1
表1で示される値は,危険区域の高さ,保護構造物の高さ及び危険区域までの水平安全距離に
対応した寸法を決定するために使用しなければならない。危険区域のリスクが低い場合(4.1.2参照),表
1で示される値を最小値として使用しなければならない。
表1で示される値を補間してはならない。したがって,a,b又はcの既知の値が,表1で示される二つ
の値の間にある場合,より長い安全距離又はより高い保護構造物若しくはより安全な危険区域の高さ(高
くとる場合と低くとる場合がある。)を使用しなければならない。
5
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附属書Aは,表1及び表2の使用例である。
表1−保護構造物越えの到達−低リスク
単位 mm
危険区域
の高さb)
a
保護構造物の高さa)
b
1 000
1 200
1 400
1 600
1 800
2 000
2 200
2 400
2 500
危険区域までの水平安全距離c
2 500
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2 400
100
100
100
100
100
100
100
100
0
2 200
600
600
500
500
400
350
250
0
0
2 000
1 100
900
700
600c)
500
350
0
0
0
1 800
1 100
1 000
900
900
600
0
0
0
0
1 600
1 300
1 000
900
900
500
0
0
0
0
1 400
1 300
1 000
900
800
100
0
0
0
0
1 200
1 400
1 000
900
500c)
0
0
0
0
0
1 000
1 400
1 000
900
300
0
0
0
0
0
800
1 300
900
600
0
0
0
0
0
0
600
1 200
500c)
0
0
0
0
0
0
0
400
1 200
300
0
0
0
0
0
0
0
200
1 100
200
0
0
0
0
0
0
0
0
1 100
200
0
0
0
0
0
0
0
注a) 高さ1 000 mm未満の保護構造物は,人体の動きを制限するのに十分でないため含まない。
b) 2 500 mmを超える危険区域に対しては,4.2.1参照。
c) 日本人を対象にした到達距離95パーセンタイル値がこの値より大きくなる箇所(詳細は,附属書JA参照)。
4.2.2.1.2
表2で示される値は,危険区域の高さ,保護構造物の高さ及び危険区域までの水平安全距離に
対応した寸法を決定するために使用しなければならない。危険区域のリスクが高い場合(4.1.2参照),表
2で示される値を使用しなければならない。
表2で示される値を補間してはならない。したがって,a,b又はcの既知の値が,表2で示される二つ
の値の間にある場合,より長い安全距離又はより高い保護構造物若しくはより安全な危険区域の高さ(高
くとる場合と低くとる場合がある)を使用しなければならない。
附属書Aは,表1及び表2の使用例である。
6
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表2−保護構造物越えの到達−高リスク
単位 mm
危険区域
の高さc)
a
保護構造物の高さa),b)
b
1 000
1 200
1 400
1 600
1 800
2 000
2 200
2 400
2 500
2 700
危険区域までの水平安全距離c
2 700
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2 600
900
800
700
600
600
500
400
300
100
0
2 400
1 100
1 000
900
800
700
600
400
300
100
0
2 200
1 300
1 200
1 000
900
800
600
400
300
0
0
2 000
1 400
1 300
1 100
900
800
600
400
0
0
0
1 800
1 500
1 400
1 100
900
800
600
0
0
0
0
1 600
1 500
1 400
1 100
900
800
500
0
0
0
0
1 400
1 500
1 400
1 100
900
800
0
0
0
0
0
1 200
1 500
1 400
1 100
900
700
0
0
0
0
0
1 000
1 500
1 400
1 000
800
0
0
0
0
0
0
800
1 500
1 300
900
600
0
0
0
0
0
0
600
1 400
1 300
800
0
0
0
0
0
0
0
400
1 400
1 200
400
0
0
0
0
0
0
0
200
1 200
900
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1 100
500
0
0
0
0
0
0
0
0
注a) 高さ1 000 mm未満の保護構造物は,人体の動きを制限するのに十分でないため含まない。
b) 他の保護方策を追加しない限り,1 400 mm以下の保護構造物は使用しないほうがよい。
c) 2 700 mmを超える危険区域に対しては,4.2.1参照。
4.2.3
周囲への到達
表3は,14歳以上(身長がおよそ1 400 mm以上)の人の基本的な動きの例を示す(4.2.5も参照)。850 mm
未満(表4参照)の安全距離Srは,動きを制限する障害物の長さが300 mm以上ある場合に使用してよい。
7
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表3−動きを制限した状態での周囲への到達
単位 mm
上肢の動き
の制限
安全距離Sr
図示
肩及び脇の下だ
けの制限
≧850
肩から肘までの
制限
≧550
肩から手首まで
の制限
≧230
肩から手のひら
(指節点)まで
の制限
≧130
A
腕の動きの範囲
Sr 円弧状の安全距離
注a) これは円形開口部の直径,長方形開口部の短辺,又は正方形開口部の一辺の大きさのいずれかとなる。
a
)
a
)
a
)
a
)
8
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4.2.4
開口部を通過しての到達
4.2.4.1
定形開口部通過の到達−14歳以上の人
表4は,定形開口部の寸法に対する14歳以上の人の安全距離Srを示す。
開口部eの寸法は,正方形開口部の一辺,円形開口部の直径,及び長方形開口部の短辺の寸法に対応す
る。
開口部が120 mm超の場合,4.2.2に従った安全距離Srを使用しなければならない。
表4−定形開口部を通過しての到達−14歳以上の人
単位 mm
人体部位
図示
開口部
安全距離Sr
長方形
正方形
円形
指先
e≦4
≧2
≧2
≧2
4<e≦6
≧10
≧5
≧5
指(指先から指の
付け根まで)
6<e≦8
≧20
≧15
≧5
8<e≦10
≧80
≧25
≧20
手
10<e≦12
≧100
≧80
≧80
12<e≦20
≧120
≧120
≧120
20<e≦30
≧850 a)
≧120
≧120
腕(指先から肩の
付け根まで)
30<e≦40
≧850
≧200
≧120
40<e≦120
≧850
≧850
≧850
表中の太線は,開口部の寸法によって制限される人体部位を表す。
注a) 長方形開口部の長辺が65 mm以下の場合,親指がストッパとして働くので,安全距離Srは200 mmまで低減で
きる。
4.2.4.2
3歳以上の人の定形開口部
表5は,3歳以上の人(3歳児の身長の5パーセンタイル値はおよそ900 mm)における上肢のより小さ
い厚径寸法及び挙動について配慮してある。
開口部eの寸法は,正方形開口部の一辺,円形開口部の直径,及び長方形開口部の短辺の寸法に対応す
る。
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
開口部が100 mm超の場合,4.2.2に従った安全距離Srを使用しなければならない。
注記 首が絞まる可能性に対する子供の保護の方法は,この規格では規定しない。
表5−定形開口部通過の到達−3歳以上の人
単位 mm
人体部位
図示
開口部
安全距離Sr
長方形
正方形
円形
指先
e≦4
≧2
≧2
≧2
4<e≦6
≧20
≧10
≧10
指(指先から指の
付け根まで)
6<e≦8
≧40
≧30
≧20
8<e≦10
≧80
≧60
≧60
手
10<e≦12
≧100
≧80
≧80
12<e≦20
≧900 a)
≧120
≧120
腕(指先から肩の
付け根まで)
20<e≦30
≧900
≧550
≧120
30<e≦100
≧900
≧900
≧900
表中の太線は,開口部の寸法によって制限される人体部位を表す。
注a) 長方形開口部の長辺が40 mm以下の場合,親指がストッパとして働くので,安全距離Srは120 mmまで低減で
きる。
4.2.4.3
不定形開口部
不定形開口部の場合,次のステップを順に実行しなければならない。
a) 不定形開口部が完全に入る次の寸法を決定する[図3 a)及び図3 b)参照]。
− 最も小さい円形開口部の直径
− 最も小さい正方形開口部の辺
− 最も小さい長方形開口部の幅
b) 表4又は表5のいずれかに従って,該当する三つの安全距離Srを選択する。
c) b)で選択した三つの値のうち最も短い安全距離Srを使用してよい。
10
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a)
b)
記号の説明
1
辺
2
幅
3
直径
図3−不定形開口部
4.2.5
安全距離Srに関する追加保護構造物の効果
表1〜表5においては,保護構造物は同一平面上に置かれている。追加保護構造物又は追加保護構造面
が,腕,手又は指の自由な運動を制限し, 危険であることが容認される区域を広げるよう機能することに
留意するのが望ましい。このことがいかにして達成されるかの例は,表3及び表6に示される。
腕を乗せることができる保護構造物及び保護構造面は,どのような角度にしてもよい。
11
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表6−追加保護構造物を設置した周囲到達
単位 mm
動作の制限
安全距離Sr
図示
肩及び脇の下における動作
の制限:独立した二つの保護
構造物によって,一つは手首
から先の動きを許容し,もう
一方は,肘から先の動きを許
容する。
sr1≧230
sr2≧550
sr3≧850
肩及び脇の下における動作
の制限:一つの離れた保護構
造物であり,指の付け根から
先の動きを許容する。
sr3≧850
sr4≧130
Sr 円弧状の安全距離
4.3
下肢による接近を防止するための安全距離Sr
一般に,安全距離Srは上肢に対しては表1〜表6を使用して決定するのが望ましい。上肢の開口部への
接近が予見されない場合,下肢に対する安全距離Srを決定する際に表7に与えられる値を使用することが
できる。
開口部の寸法eは,正方形開口部の一辺,円形開口部の直径,及び長方形開口部の短辺の寸法に対応す
る。
12
B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表7に示される値は,衣服又は靴を身につけているかどうかとは関係なく,14歳以上の人に適用可能で
ある。
不定形開口部通過の到達に対しては,4.2.4.3参照。
表7−下肢による定形開口部を通過しての到達
単位 mm
下肢の部位
図示
開口部
安全距離Sr
長方形
正方形又は円形
つま先
e≦5
0
0
足の指
5<e≦15
≧10
0
15<e≦35
≧80a)
≧25
足
35<e≦60
≧180
≧80
60<e≦80
≧650b)
≧180
脚(つま先から膝
まで)
80<e≦95
≧1 100c)
≧650b)
脚(つま先から股
まで)
95<e≦180
≧1 100c)
≧1 100c)
180<e≦240
許容不可
≧1 100c)
注記 e>180 mmの長方形開口部及びe>240 mmの正方形又は円形開口部は全身の接近を許すおそれがある(箇条1
も参照)。
注a) 長方形開口部の長さが75 mm以下の場合,距離は50 mmまで低減できる。
b) 値は脚(つま先から膝まで)に一致する。
c) 値は脚(つま先から股まで)に一致する。
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B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
幾つかの場合(例えば,不整地面上を移動できるように設計された農業機械),この規格で規定する安全
距離Srを適用することはできない。このような場合,少なくとも下肢の自由な動きを制限するための保護
構造物を使用するのが望ましい。この方法に対しては,附属書Bに示す距離を使用することができる。
14
B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
表1及び表2を使用した中間値の処理
表1及び表2に示された値以外の値を使用する場合にこれら二つの表を利用する方法について,次に表
2を例に説明する。
例1 a及びcの値が既知の場合の保護構造物bの決定
危険区域の高さaが1 500 mmで保護構造物からの水平距離cが800 mmの場合,表2を利用して,保護
構造物の高さbを次のように決定できる。
1 500 mmに最も近い値として,a=1 400 mmの場合よりも長い(より安全な)安全距離をもつように,
a=1 600 mm(図A.1の①参照)を選択する。つまり値cとして800 mmが選択される(図A.1の②参照)。
したがって,保護構造物の高さbに対応する値は1 800 mmである(図A.1の③参照)。
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B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
危険区域
の高さc)
a
保護構造物の高さa), b)
b
1 000
1 200
1 400
1 600
1 800 ③
2 000
2 200
2 400
2 500
2 700
危険区域への水平安全距離c
2 700
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2 600
900
800
700
600
600
500
400
300
100
0
2 400
1 100
1 000
900
800
700
600
400
300
100
0
2 200
1 300
1 200
1 000
900
800
600
400
300
0
0
2 000
1 400
1 300
1 100
900
800
600
400
0
0
0
1 800
1 500
1 400
1 100
900
800
600
0
0
0
0
1 600 ① 1 500
1 400
1 100
900
800 ②
500
0
0
0
0
1 400
1 500
1 400
1 100
900
800
0
0
0
0
0
1 200
1 500
1 400
1 100
900
700
0
0
0
0
0
1 000
1 500
1 400
1 000
800
0
0
800
1 500
1 300
900
600
0
0
600
1 400
1 300
800
0
0
0
400
1 400
1 200
400
0
0
0
200
1 200
900
0
0
0
0
0
1 100
500
0
0
0
0
注a) 高さ1 000 mm未満の保護構造物については,人体の動きを制限するのに十分ではないため含まない。
b) 他の保護方策を追加しない限り,1 400 mm以下の保護構造物は使用しないほうがよい。
c) 2 700 mmを超える危険区域に対しては,4.2.1参照。
図A.1−例1−表2
例2 a及びbの値が既知の場合の水平安全距離cの決定
保護構造物の高さbが1 300 mmで危険区域の高さaが2 300 mmの場合,表2を使用すると危険区域へ
の水平安全距離cは,次のように決定できる。
まず,1 300 mmに最も近い値として,b=1 400 mmの場合よりも長い(より安全な)安全距離をもつよ
うに,b=1 200 mm(図A.2の①参照)を選択する。次に,2 300 mmに最も近い値として,a=2 400 mm
の場合よりも長い(より安全な)安全距離をもつように,a=2 200 mm(図A.2の②参照)を選択する。
このときcの値は1 200 mmである(図A.2の③参照)。
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B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
危険区域
の高さc)
a
保護構造物の高さa), b)
b
1 000
1 200 ①
1 400
1 600
1 800
2 000
2 200
2 400
2 500
2 700
危険区域への水平安全距離c
2 700
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2 600
900
800
700
600
600
500
400
300
100
0
2 400
1 100
1 000
900
800
700
600
400
300
100
0
2 200 ②
1 300
1 200 ③
1 000
900
800
600
400
300
0
0
2 000
1 400
1 300
1 100
900
800
600
400
0
0
0
1 800
1 500
1 400
1 100
900
800
600
0
0
0
0
1 600
1 500
1 400
1 100
900
800
500
0
0
0
0
1 400
1 500
1 400
1 100
900
800
0
0
0
0
0
1 200
1 500
1 400
1 100
900
700
0
0
0
0
0
1 000
1 500
1 400
1 000
800
0
0
800
1 500
1 300
900
600
0
0
600
1 400
1 300
800
0
0
0
400
1 400
1 200
400
0
0
0
200
1 200
900
0
0
0
0
0
1 100
500
0
0
0
0
注a) 高さ1 000 mm未満の保護構造物については,人体の動きを制限するのに十分でないため含まない。
b) 他の保護方策を追加しない限り,1 400 mm以下の保護構造物は使用しないほうがよい。
c) 2 700 mmを超える危険区域に対しては,4.2.1参照。
図A.2−例2−表2
例3 b及びcの値が既知の場合の危険区域の高さaの決定
保護構造物の高さbが1 700 mmで危険区域からの水平安全距離cが850 mmの場合,表2を使用すると
危険区域の高さaは,次のように決定できる。
まず,1 700 mmに最も近い値として,b=1 800 mmの場合よりも長い(より安全な)安全距離をもつよ
うに,b=1 600 mm(図A.3の①参照)を選択する。次に,850 mmよりも大きい値を除外する(図A.3の
②参照)。よってaの値は2 400 mm以上,又は1 000 mm以下となる(図A.3の③参照)。
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B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
危険区域の高さが1 000 mm超,2 400 mm未満の場合は,この例における保護構造物の位置では保護さ
れない。
単位 mm
危険区域
の高さc)
a
保護構造物の高さa), b)
b
1 000
1 200
1 400
1 600 ①
1 800
2 000
2 200
2 400
2 500
2 700
危険区域への水平安全距離c
2 700 ③
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2 600 ③
900
800
700
600
600
500
400
300
100
0
2 400 ③ 1 100
1 000
900
800
700
600
400
300
100
0
2 200
1 300
1 200
1 000
900 ②
800
600
400
300
0
0
2 000
1 400
1 300
1 100
900 ②
800
600
400
0
0
0
1 800
1 500
1 400
1 100
900 ②
800
600
0
0
0
0
1 600
1 500
1 400
1 100
900 ②
800
500
0
0
0
0
1 400
1 500
1 400
1 100
900 ②
800
0
0
0
0
0
1 200
1 500
1 400
1 100
900 ②
700
0
0
0
0
0
1 000 ③ 1 500
1 400
1 000
800
0
0
800 ③ 1 500
1 300
900
600
0
0
600 ③ 1 400
1 300
800
0
0
0
400 ③ 1 400
1 200
400
0
0
0
200 ③ 1 200
900
0
0
0
0
0 ③ 1 100
500
0
0
0
0
注a) 高さ1 000 mm未満の保護構造物については,人体の動きを制限するのに十分ではないため含まない。
b) 他の保護方策を追加しない限り,1 400 mm以下の保護構造物は使用しないほうがよい。
c) 2 700 mmを超える危険区域に対しては,4.2.1参照。
d) 可
e) 不可
図A.3−例3−表2
d)
e)
d)
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B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
例4 保護構造物が格子状である場合
表2によれば,危険区域の高さaが1 800 mmであり,かつ,高さbが2 000 mmであるとき,安全距離
cは600 mmである。ただし,保護構造物が格子状であって,格子が正方形開口部(50 mm×50 mm)であ
るとすれば,表4に従うと安全距離はSr=850 mmとなる。このような場合には,より大きい値を採用す
るのが望ましい。
19
B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(参考)
下肢による自由な接近を防止するための距離
既設の保護構造物下で下肢の自由な動きを制限するために,追加の保護構造物を使用することができる。
この方法に対して,この附属書に示される距離は,地上面又は基準面から保護構造物までの高さに関係す
るものである。この方法は,限定的な保護を提供するものであり,多くの場合,他の方策を採用すること
がより適切である。
注記 これらの距離は,安全距離Srではない。接近を制限するためには追加の方策を必要とする場合
がある。
ケース1
ケース2
ケース3
記号の説明
1
基準面
2
股関節
h
保護構造物までの高さ
l
防止のための距離
3
保護構造物
図B.1−保護構造物下での自由な接近の防止
表B.1は,人が補助なしに立っている状態で,下肢の接近を防止する距離を示す(図B.1参照)。
滑り又は故意の挿入のおそれがある場合,表B.1に示される値を適用することは不適切である。
この表の値を補間して使用するのは好ましくない。保護構造物までの高さhが二つの値の間にあるなら,
そのときは,より高い値hに対する距離を使用するのが望ましい。
表B.1−下肢の接近が制限される場合の距離
単位 mm
保護構造物までの高さ
h
距離
l
ケース1
ケース2
ケース3
h≦200
≧340
≧665
≧290
200<h≦400
≧550
≧765
≧615
400<h≦600
≧850
≧950
≧800
600<h≦800
≧950
≧950
≧900
800<h≦1 000
≧1 125
≧1 195
≧1 015
注記 e>180 mmの長方形開口部及びe>240 mmの正方形又は円形開口部は,全身の接近を許すおそれがある。
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B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
日本人の保護構造物越え到達距離
JA.1 附属書JAの目的
この規格の基となったISO 13857:2008で規定されている上方への到達を防止する安全距離及び保護構造
物越えの到達に対する安全距離は,欧州各国で測定された人体寸法を反映して策定されたとされる。この
ため,ISO 13857:2008を基にその技術的内容を変更することなく日本工業規格を作成するに当たり,ISO
13857:2008の規定値が欧州人と明らかに体格が異なる日本人(参考文献[4])にとって妥当であるか検証し
ておく必要があった。
ただし,各種到達距離の計測方法及び被験者に関して,規格には明言されておらず,参考となる文献も
知られていなかった。そこで,計測方法の整備も並行しつつ,規格に示された条件で日本人を対象に各種
到達距離を測定する調査を実施してきた(参考文献[5],[6],[7])。
このうち,この附属書では,その妥当性が疑われた保護構造物越え到達距離(4.2.2)に関して,計測方
法,被験者の身体特性及び測定結果を示す。
JA.2 計測及び算出の方法
JA.2.1 計測方法
保護構造物越え到達距離は,図JA.1に示す50 mm間隔で高さを設定できる仮想的な保護構造物を用い,
被験者の右手先第三指先端(爪の中心部分)に直径25 mmの標点を貼付し,この標点の中心の軌跡を 3
次元動作計測装置(参考文献[5])によって60 Hzのサンプリング周波数で測定した。測定の際,被験者に
は,右手先をできるだけ高く,かつ,遠くに伸ばしながら,上方から前方,そして下方に弧を描いて動か
すよう指示した。また,仮想保護構造物の高さの範囲は,被験者の体格に応じて,構造物に体重を預けて
到達動作を行ったとしても構造物の反対側に転がり落ちることはない最も低い高さを下限として,また,
上方に手を伸ばして構造物の上端に第三指の指先が触れる最も高い高さを上限として設定した。この範囲
で仮想保護構造物の高さを50 mmごとに変え,各々の高さにおいて10回の測定を行った。
被験者は,健常な13名の成人男性とした。表JA.1に被験者の身体特性を示す。身長,体重ともISO/TR
7250-2:2010[4]に掲載されている日本人の値との間に有意な差のないことを確認している。
表JA.1−計測に参加した13名の成人男性被験者の身体特性
計測項目
平均値
標準偏差
最大値
最小値
年齢[歳]
23.5
1.3
25.0
21.0
身体質量[kg]
67.1
7.4
82.3
51.9
身長[mm]
1 708.9
71.0
1 828.0
1 586.0
座高[mm]
928.3
30.8
982.0
877.0
座位膝蓋骨上縁高[mm]
502.9
23.6
536.0
458.0
21
B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号の説明
a
2 600 mm(保護構造物の高さ)
b
940 mm [保護構造物の(左右)幅]
c
50 mm (高さ設定の最小間隔)
図JA.1−計測で用いた保護構造物及び到達動作
JA.2.2 算出方法
図JA.2に示すように,まず,表1及び表2に規定されている保護構造物の高さにおいて記録した指先標
点の軌跡から,表1及び表2に規定されている危険区域の高さが保護構造物の反対側で指先標点軌跡に接
する点の位置を求め,この点と保護構造物との間の水平距離(図JA.2中c)を水平到達距離として算出し
た。次に, 10回の測定で得た個々の軌跡についてこの操作を行い,それらの水平到達距離の平均値をもっ
て各被験者の代表値とした。最後に,表1及び表2に規定されている保護構造物の高さごと及び危険区域
の高さごとに13名の被験者の代表値から平均値M及び標準偏差SDを導出し,次の式(JA.1)によって表1
及び表2に対応する保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値D95pを求めた。
D95p=M+1.645 SD ································································· (JA.1)
a
b
c
22
B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号の説明
a
危険区域の高さ
b
保護構造物の高さ
c
危険区域までの水平到達距離
1
指先標点の軌跡
2
保護構造物
3
基準面(床)
4
危険区域(指先標点の軌跡に接する点)
図JA.2−危険区域までの水平到達距離
JA.3 測定結果及び考察
保護構造物の高さごと,危険源の高さごとに保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値を表JA.2
に示す。表1との比較から,表JA.3に示す三つの箇所(A,B,C)において,表1に規定される水平安
全距離の値よりも保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値が大きくなることが分かった。
a
b
c
4
3
2
1
23
B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表JA.2−13名の被験者から求めた危険区域までの保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値
単位 mm
危険区域の高さ
(表1及び表2の
a)
保護構造物の高さ(表1及び表2のb)
1 000
1 200
1 400
1 600
1 800
2 000
2 200
2 400
保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値
2 500
0
0
0
0
0
0
0
0
2 400
0
0
0
0
0
0
0
0
2 200
498
508
430
461
351
241
124
0
2 000
828
719
632
673a)
469
225
0
0
1 800
1 092
901
758
722
480
0
0
0
1 600
1 133
944
806
735
334
0
0
0
1 400
1 178
968
811
693
0
0
0
0
1 200
1 199
950
767
552a)
0
0
0
0
1 000
1 192
885
679
0
0
0
0
0
800
1 155
767
432
0
0
0
0
0
600
1 093
537a)
0
0
0
0
0
0
400
1 009
0
0
0
0
0
0
0
200
782
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
注a) 保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値が,表1の値より大きい箇所
表JA.3−保護構造物越え到達距離95パーセンタイル値が表1の値より
大きくなる箇所における到達距離の比較
項目
A
B
C
危険区域の高さ
2 000 mm
1 200 mm
600 mm
保護構造物の高さ
1 600 mm
1 600 mm
1 200 mm
表1の水平安全距離
600 mm
500 mm
500 mm
表JA.2の保護構造物越え到達距離
673 mm
552 mm
537 mm
注記 表1において上記A〜Cに該当する箇所は,表1中に注c)を付して示してある。
したがって,これらに該当する危険区域及び保護構造物の高さにおいて水平安全距離を表1に従って設
定する場合には,欧州人より身長が低い日本人であっても上肢が危険源に到達する可能性があるため,こ
れに対する配慮が必要である。
他方,表2については,ISO 13857:2008で規定されている水平安全距離の値を超える結果は,この測定
では得られなかった。
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B 9718:2013 (ISO 13857:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献 [1] JIS B 9715 機械類の安全性−人体部位の接近速度に基づく安全防護物の位置決め
注記 対応国際規格:ISO 13855,Safety of machinery−Positioning of protective equipment
with respect to the approach speeds of parts of the human body(IDT)
[2] ISO 14738,Safety of machinery−Anthropometric requirements for the design of workstations at
machinery
[3] EN 547-3,Safety of machinery−Human body measurements−Part 3: Anthropometric data
[4] ISO/TR 7250-2:2010,Basic human body measurements for technological design−Part 2:
Statistical summaries of body measurements from individual ISO populations
[5] 横井孝志,大塚光弘,齋藤剛,池田博康,宮崎浩一,山崎浩:上肢による上方到達高およ
び柵越到達距離の計測,人間工学,Vol.46,No.52,pp.317-324(2010)
[6] 日本機械工業連合会,「平成17年度 機械の安全なヒューマンインターフェイス分野の国
際標準共同開発調査研究成果報告書」(2006)
[7] 齋藤剛:ISO 13857の概要と日本人への適用の妥当性,安全工学,Vol.48,No.6,pp.385-390
(2009)