日本工業規格
JIS
B
9218
-1986
自脱コンバインの仕様書様式
Standard Form of Specifications of Head-feeding Type Combines
1.
適用範囲 この規格は,自脱コンバイン(
1
)
(以下,コンバインという。
)の仕様書の様式及びその記入
要領について規定する。
注(
1
)
自脱型コンバイン,自脱形コンバインとも表すが,この規格では自脱コンバインとする。
備考 この規格で{ }を付けて示してある単位は,従来単位によるものであって,参考として併記
したものである。
引用規格:
JIS L 1069
繊維の引張試験方法
JIS L 1096
一般織物試験方法
JIS S 3015
スライドファスナ
JIS S 9021
はとめ及びアイレットリング
2.
仕様書の様式 仕様書の様式は,次による。
(1)
仕様書の様式は,
付表 1 及び付表 2 による。
(2)
付表 1 は,コンバインの諸元及び性能の概要を示し,付表 2 は,コンバインの使用,整備,その他の
技術的な目的のために細目を示すもので,
付表 1 と併用して用いる。
(3)
項目は目的に応じて適当に選ぶことができ,必要に応じて,各部の構造,材料,試験方法などを付記
し,全体図,運転席付近配置図などの図面を添付する。
(4)
全体図には,コンバインの外形,座席などの配置の概略と主要寸法を示す。
(5)
運転席付近配置図には,コンバインの運転,走行に必要なかじ取りレバー,各種ペダル,各種レバー,
計器,表示装置類の概略と主要関係寸法を示す。
3.
仕様書の記入要領 仕様書の記入要領は次による。
(1)
付表 1 付表 1 の記入要領は次による。
(1.1)
名称・型式 コンバインに付けた製造業者名略号及び型式記号を記入する。
(1.2)
通称名 製造業者の称する通称名を記入する。
(1.3)
製造業者名 コンバインの製造会社名又は製造工場名などを記入する。
(1.4)
種別 道路運送車両法による小型特殊自動車又は大型特殊自動車の別を記入する。
(1.5)
主要寸法 コンバインの標準装備状態における格納時の寸法を記入し,括弧内に標準作業時の寸法
を記入する。
(a)
全長 最大長を記入し,その部位を併記する。
(b)
全幅 最大幅を記入し,その部位を併記する。
2
B 9218-1986
(c)
全高 地面から最高部までの高さを記入し,その部位を併記する。
(d)
最低地上高 機体中心線付近の機体最低部の地上高を記入し,その部位を併記する。
(1.6)
総質量 標準装備状態で,燃料を満載し,潤滑油,作動油及び冷却水は規定量とし,規定の携行工
具,その他の附属品を装着した質量を記入する。
(1.7)
機関
(a)
名称・型式 機関に付けた製造業者名略称及び型式記号を記入する。
(b)
機関形式 シリンダ配置,冷却方式,気筒数,サイクル別,機関種類,その他,必要があれば燃焼
室形式,弁配置,過給機形式を記入する。
(c)
総行程容積 次の式で算出した値を記入する。
6
2
10
4
−
×
N
L
D
V
・
・
=
π
ここに,
V
:
総行程容積 (l)
D
:
シリンダ内径 (mm)
L
:
行程 (mm)
N
:
シリンダ数
π: 3.1416
なお,記入値は小数点以下第 4 位までを切り捨て,小数点以下第 3 位までとする。
(d)
機関出力 製造業者の指定する回転数・出力を記入する。
(e)
使用燃料 ガソリン,軽油などの種類を記入する。
(f)
燃料タンク容量 タンク容量を記入し,補助タンクを有する場合は付記する。
(g)
始動方式 セルモータ式,リコイル式などの方式を記入する。
(1.8)
走行部
(a)
履帯 履帯の幅,履帯中心距離及び平均接地圧を記入する。
なお,履帯中心距離は左右履帯の中心距離を,平均接地圧は,総質量に働く重力を履帯接地面積
で除した値を記入する。
(b)
変速方式 機械式,油圧式の別を記入し,必要に応じて変速形式,変速段数,ポンプ形式,作動油
の種類などを付記する。
(c)
走行速度 走行速度の最小値及び最大値を設計値で記入する。
(d)
作業速度 作業速度の最小値及び最大値を設計値で記入する。
(1.9)
刈取部
(a)
刈幅 デバイダの作用による最大刈幅を記入する。
(b)
刈取条数 植付条間 28∼33cm の稲の刈取りを保証する条数を記入し,条数が変更できるものはそ
の旨を付記する。
(c)
変速段数 刈取装置などの変速段数を記入する。
(d)
刃幅 刈刃の両外側の受刃先端の間隔を記入する。
(e)
刈高さ範囲 直立した作物の刈取りを保証できる範囲で最低値及び最高値を記入し,油圧・手動の
別を付記する。
(1.10)
脱穀選別部
(a)
脱穀方式 上こき(
2
)
,下こき,軸流式の別などを記入する。
注(
2
)
脱穀部の“こき”は“こぎ”ともいわれるが,本規格では“こき”で統一する。
3
B 9218-1986
(b)
こき胴 径×幅及び回転数を記入する。
なお,径には,こき歯を含めない。幅は,こき胴幅を記入し,稲麦で回転数が異なる場合は,そ
の旨を付記する。
(c)
処理胴 こき胴と同じに記入する。
(d)
選別方式 圧風・吸引・揺動の別などを記入する。
(1.11)
穀粒取出部
(a)
方式 グレンタンク式,ホッパ袋詰式,吐出口袋詰式などの別を記入し,袋詰式は吐出口数を付記
する。
なお,袋詰式に用いるもみ袋について記入する。また,
附属書による場合には,その旨を付記す
る。
(b)
容量 タンク,ホッパの容量を袋数・容積又は質量で記入する。
(1.12)
排わら処理部 ドロッパ・カッタ・結束機の別などを記入し,標準装備,オプションの別を付記す
る。
(1.13)
作業能率 10a 当たりの処理時間を次の式で算出し,その範囲を記入する。
W
V
H
×
23
=
ここに,
H
: 10a 当たりの処理時間 (min)
W
: 刃幅 (m)
V
: 刈取可能な最低速度,刈取可能な最高速度 (m/s)
なお,記入値は整数とし,小数点以下を切り上げる。
(1.14)
自動制御装置 自動制御装置のある場合には,その名称を記入する。
(1.15)
安全装置 特記すべき装置があれば記入する。
(1.16)
警報装置 特記すべき装置があれば記入する。
(1.17)
その他
(a)
型式認定番号又は新型届出番号 道路運送車両法による小型特殊自動車の型式認定番号又は大型特
殊自動車の新型届出番号を記入する。
(b)
型式検査合格番号 安全鑑定適合番号その他公的機関などの試験成績など,国が実施する型式検査
をはじめ,他の公的機関の試験結果があるものはその番号などを記入する。
(2)
付表 2 付表 2 の記入要領は,次による。
(2.1)
走行性能
(a)
走行速度の範囲 各速度段における走行速度を設計値で記入する。
(b)
作業速度の範囲 各速度段における作業速度を設計値で記入する。
(c)
最小旋回半径 左旋回,右旋回について機体最外側旋回半径を実測値で記入する。
(2.2)
機関
(2.2.1)
燃料系統
(a)
調速機 遠心式,空気式,オールスピード式などの別を記入する。また,必要に応じて製造業者の
付けた型式を付記する。
(b)
気化器 噴射ポンプ及びノズル 形式又は製造業者の付けた型式を記入する。
(2.2.2)
潤滑系統
(a)
潤滑方式 圧送式,はねかけ式などの別を記入する。
4
B 9218-1986
(b)
潤滑油容量 全容量を記入する。
(c)
ろ過方式 フルフロー式,バイパス式などの別を記入する。
(2.2.3)
冷却系統
(a)
冷却形式 冷却の形式を記入する。
(b)
冷却水容量 水ジャケット及び放熱器内のものを含めた全容量を記入する。補助タンク,暖房機な
どがある場合はその旨を付記する。
(2.2.4)
空気清浄器
形式 ろ過紙式,油槽式,遠心式などの別を記入する。
(2.2.5)
蓄電池 個数,電圧及び容量を記入する。
(2.3)
油圧装置
(a)
ポンプ形式 歯車ポンプ,ベーンポンプなどの別を記入し,必要に応じて使用する場所,油圧線図
などを添付する。
(b)
作動油 名称,記号などを記入し,冷却方式を付記する。
(c)
作動油容量 全容量を記入する。
(2.4)
クラッチ
(a)
走行クラッチ クラッチの形式などを記入する。
(b)
かじ取クラッチ クラッチの形式などを記入する。
(c)
刈取クラッチ クラッチの形式などを記入する。
(d)
脱穀クラッチ クラッチの形式などを記入する。
(e)
わら処理クラッチ クラッチの形式などを記入する。
(2.5)
変速装置
(2.5.1)
機械式
(a)
形式 歯車形式,変速形式及び操作形式を記入し,潤滑方式を付記する。
(b)
段数 変速段数を記入する。
(2.5.2)
油圧式
(a)
ポンプ形式 ギヤポンプ,ベーンポンプなどの別を記入し,必要に応じて使用する場所,油圧線図
などを添付する。
(b)
作動油 名称,記号などを記入し,冷却方式を付記する。
(c)
作動油容量 全容量を記入する。
(2.6)
ブレーキ装置
(a)
走行ブレーキ ペダル式,手動式などの別及び湿式,乾式の別を記入する。
(b)
かじ取ブレーキ ペダル式,手動式などの別及び湿式,乾式の別を記入する。
(c)
駐車ブレーキ ペダル式,手動式などの別及び湿式,乾式の別を記入する。
(2.7)
運転装置
(a)
座席 固定式,調節式などの別を記入する。
(b)
レバー及びペダル類 運転操作に使用されるレバー,ペダル類の名称を記入する。
(c)
計器類 名称を記入する。
なお,計器に代わる警報装置なども記入する。
(d)
照明装置 名称を記入する。
(e)
その他 その他運転に必要な警音器,後写鏡などの装置名称を記入する。
5
B 9218-1986
(2.8)
警報装置 警報装置の名称及び作用を記入し,自動制御装置と連動している場合はそれを付記する。
(2.9)
前処理部
(a)
デバイダ デバイダすべての数を記入し,デバイダの先端の間隔を右から順に記入する。取外し,
可変自在の場合は使用目的に従ってその旨を付記する。
(b)
刈刃の数 使用している刈刃の数を記入する。
(2.10)
刈わら搬送装置
(a)
形式と組合せ 形式と組合せを記入する。
(b)
こき深さ調節方式 手動,自動の別などを記入する。
(2.11)
脱穀部
(a)
こき歯先端の回転周速度 こき歯先端の回転周速度を記入する。
(b)
こき胴受網の寸法 面積及び目開きを記入する。
(c)
処理胴の形式・数 処理胴の方式,数などを記入する。
(d)
処理胴受網の寸法 面積及び目開きを記入する。
(2.12)
選別部 風力選別,揺動選別などの方式を記入する。
(2.12.1)
風力選別
(a)
形式 圧風ファン,吸引ファンの別を記入する。
(b)
羽根枚数 ファンの羽根枚数を記入する。
(c)
回転外径 ファンの外径寸法を記入する。
(d)
回転数 ファンの回転数を記入する。
(2.12.2)
揺動選別
(a)
形式 単板,複板などの形式を記入する。
(b)
大きさ 全長×幅を記入する。
(c)
振幅 上下,前後の振幅を記入する。
(d)
揺動数 揺動数を記入する。
(2.13)
穂切粒還元装置(二番還元装置)
(a)
形式 コンベア式,はね上げ式などの別を記入する。
(b)
コンベア式 横送り,縦送りについて,径×ピッチ×回転数を記入する。
(c)
はね上げ式 羽根外径×幅×回転数を記入する。
(2.14)
グレンタンク排出装置 排出時間,排出オーガの高さ,作動範囲などを記入する。
(2.15)
排わら処理装置
(a)
集束 束の大きさ及び大きさの調節法を記入する。
(b)
さい断 さい断の方法,ディスク,シリンダの別及び切断長を記入する。
(c)
結束 束の大きさ,調節段数を記入する。
(2.16)
その他 特記すべき事項があれば記入する。
6
B 9218-1986
付表 1 自脱コンバイン仕様書様式
7
B 9218-1986
付表 2 自脱コンバイン仕様書様式
8
B 9218-1986
附属書 もみ袋
1.
適用範囲 この附属書は,自脱コンバイン及び自動脱穀機に使用するポリプロピレン織布製のもみ袋
(以下,もみ袋という。
)について規定する。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある数値及び単位は従来単位によるものであって,参考
として併記したものである。
参考 この附属書には,意匠権に抵触する部分(はとめを付ける等)があるので,利用に当たっては
意匠権者と協議すること。
なお,意匠登録番号は,下記のとおりである。
意匠登録第 374395 号 登録年月日 昭和 48 年 10 月 12 日
意匠登録第 386853 号 登録年月日 昭和 49 年 7 月 17 日
2.
構造
2.1
スライドファスナ 印刷面から見て右方向に締まり,スライド部にストッパーをもち,引手長さは
25mm
以上とする。
2.2
縫い目 縫い目は端部に平行で粗密がなく,特にスライドファスナの縫い目のピッチは 100mm 当た
り 24 針以上とする。
2.3
底縫い 100mm 当たり 15 針以上とし,末端はほどけ止めを施し,縫い糸の末端は,30∼50mm の余
裕を残す。
3.
形状・寸法 もみ袋の形状・寸法及び許容差は,附属書図及び附属書表 1 による。また,規定しない
寸法・許容差は,受渡し当事者間で定める。
9
B 9218-1986
附属書図
附属書表 1
単位 mm
寸法記号
a
b
c
d
スライドファスナ
有効長
e
i
底縫延長部
長さ
g
h
j
寸法 800±10 580±10 490±5 350∼410 30 30∼50 100
160
150
備考 g,h,j は参考寸法とする。
4.
品質 もみ袋には,織りきず,縫い目の欠陥,ファスナの作動不円滑などの有害な欠陥があってはな
らない。
5.
材料
5.1
袋地は,ポリプロピレン糸を織布したもので,その規格,引張強さは
附属書表 2 による。
附属書表 2
繊度
1
×10
−
3
±5.56×10
−
6
kg/m {1 000
±50D}
打込本数 55 本×51 本/100mm
縦 961N
{98kgf}
以上
引張強さ
横 892N
{91kgf}
以上
製品質量 140g 以上
5.2
縫糸 ビニロン又はポリエステル縫糸で附属書表 3 による。
10
B 9218-1986
附属書表 3
品番×合糸数
引張強さ
本縫 20×3 117N
{12kgf}
以上
底縫 20×6 235N
{24kgf}
以上
5.3
アイレットリング JIS S 9021(はとめ及びアイレットリング)に規定する重布用アイレットリング
I
形平丸つばアイレット及び巻き込み座金の呼び寸法 15∼16.5 のアルミニウム製のものを使用する。
5.4
アイレットリング止め座 厚さ 0.4mm 以上の人工レザー又はこれと同等以上の品質を有するものと
する。
5.5
スライドファスナ JIS S 3015(スライドファスナ)に規定する L 級のもの,又はこれと同等以上の
強度をもつものとする。
6.
試験方法 袋地の引張強さの試験は,JIS L 1096(一般織物試験方法)の A 法(ラベルドストリップ
法)に基づいて行い,試験片の幅は 50mm,試験片の数は 3 枚以上で,試験機の形式は定速緊張形で行う。
また,縫糸の引張強さの試験方法は,JIS L 1069(繊維の引張試験方法)に基づいて行い,試験機の形
式は定速緊張形とする。
7.
表示 もみ袋には,外部の適当な箇所に次の事項を明示する。
製造業者名又はその略号。
新規原案調査作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
田 原 虎 次
日本大学農獣医学部
藍 房 和
東京農工大学農学部
黒 田 武 夫
通商産業省機械情報産業局
鈴 木 正 肚
農業機械化研究所検査部
戸 田 政 則
農林水産省農蚕園芸局
御 須 孝
工業技術院標準部
渡 辺 波 夫
社団法人日本農業機械化協会
田 治 政 光
日本特許商品開発協会
竹 村 勝 利
井関農機株式会社収穫技術部
谷 口 英 雄
久保田鉄工株式会社内燃機器研究本部技術第 4 部
辻 章
三菱農機株式会社開発本部開発管理部
松 木 清
大島農機株式会社研究部
安 田 国 昭
ヤンマー農機株式会社中央技術研究所
田 中 行 平
全国農業協同組合連合会
渡 辺 崇
全国農業機械商業協同組合連合会
(事務局)
中 島 元 夫
社団法人日本農業機械工業会