サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

B 8828-1:2013  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 逸走防止装置などの備付け ································································································· 4 

4.1 逸走防止装置 ················································································································ 4 

4.2 転倒防止装置 ················································································································ 4 

5 設計上の要求事項 ············································································································· 4 

5.1 一般 ···························································································································· 4 

5.2 逸走防止装置 ················································································································ 4 

5.3 転倒防止装置 ················································································································ 6 

6 情報の提供 ······················································································································ 7 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 8 

B 8828-1:2013  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

クレーン協会(JCA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を

改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が改正し

た日本工業規格である。 

これによって,JIS B 8828-1:2006は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS B 8828の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS B 8828-1 第1部:一般 

JIS B 8828-4 第4部:ジブクレーン 

JIS B 8828-5 第5部:天井走行クレーン及び橋形クレーン 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 8828-1:2013 

クレーン−逸走防止装置−第1部:一般 

Cranes-Anchoring devices for in-service and out-of-service conditions- 

Part 1: General 

序文 

この規格は,1998年に第1版として発行されたISO 12210-1を基とし,技術的内容を変更して作成した

日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

今回の改正は,逸走防止装置設計の要求事項を明確化し,統一化するために,改正した。 

適用範囲 

この規格は,作動時及び停止時のクレーン及びクレーン部品に関する逸走防止装置の一般事項について

規定する。 

注記1 この規格で用いる逸走防止装置とは,レールクランプ,アンカなどの固定装置をいう。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 12210-1:1998,Cranes−Anchoring devices for in-service and out-of-service conditions−Part 1: 

General(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0146-1 クレーン用語−第1部:一般 

JIS B 8830 クレーン−風荷重の評価 

注記 対応国際規格:ISO 4302:1981,Cranes−Wind load assessment(MOD) 

JIS B 8831 クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則 

注記 対応国際規格:ISO 8686-1:1989,Cranes−Design principles for loads and load combinations−Part 

1: General(MOD) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0146-1によるほか,次による。 

background image

B 8828-1:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.1 逸走防止装置 

3.1.1 

レールクランプ 

クレーン作動時の突風による逸走を防止するための装置。走行路の任意の位置で走行レールの頭部側面

を挟むか,又は,走行レールの頭部上面に押し付けてその摩擦力でクレーンの逸走を防止する(図1参照)。 

a) 手動式 

b) 電動式(レバー・ウェイト式) 

c) 電動式(くさび・ウェイト式) 

d) 電動式(コイルスプリング式) 

図1−レールクランプの例 

3.1.2 

アンカ 

クレーン停止時の暴風による逸走を防止するための装置。クレーンストッパとも呼ばれ,走行路の定め

られたけい(繋)留位置で地上の基礎に落し込まれた短冊状金具(アンカプレート)によってクレーンの

逸走を防止する(図2参照)。 

background image

B 8828-1:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 両側落し込み式 

b) 片側落し込み式 

図2−アンカの例 

3.2 

転倒防止装置 

クレーン停止時の暴風による転倒を防止するための装置。タイダウンとも呼ばれ,走行路の定められた

けい(繋)留位置でクレーンと地上の基礎とをリンクプレートなどによって連結し,クレーンの浮き上が

りを防止する。アンカと兼用される場合がある(図3参照)。 

a) 専用形・片側連結式 

b) 兼用形・両側連結式 

図3−転倒防止装置 

background image

B 8828-1:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.3 

安全率 

科学的に実証された数値を基にした厳密な安全の割合。逸走防止装置などの構造部の許容応力に対する

発生応力の割合を示す。 

3.4 

安定度 

厳密には実証できない数値を基にした安全の度合い。逸走防止装置の逸走防止力に対する風荷重による

逸走力の割合及びクレーンの転倒支点における安定モーメントに対する風荷重による転倒モーメントの割

合を示す。 

逸走防止装置などの備付け 

4.1 

逸走防止装置 

逸走防止装置は,次による。 

a) クレーンの作動時及び停止時に逸走を防止するための措置を講じるものとする。逸走を防止するため

の装置を備える場合は,次の装置とする。 

1) クレーン作動時の突風に対してはレールクランプ 

2) クレーン停止時の暴風に対してはアンカ 

b) 逸走防止装置(レールクランプ及びアンカ)を備え付けない場合は,逸走を防止するための別の措置

を講じなければならない。 

4.2 

転倒防止装置 

転倒防止装置の備付けは,次による。 

a) クレーンの停止時の風荷重によってクレーンの一方の車輪が浮き上がる場合には,転倒防止装置を備

え付けるものとする。 

b) クレーンの停止時の風荷重によってクレーンの一方の車輪が浮き上がる場合で転倒防止装置を備え付

けない場合は,転倒を防止するための別の措置を講じなければならない。 

設計上の要求事項 

5.1 

一般 

逸走防止装置は,風,その他の環境条件によってクレーンにもたらされる静荷重及び動荷重に耐えるも

のでなければならない。また,JIS B 8830,JIS B 8831及びクレーン構造規格の規定(厚生労働省告示第

399号)に従うものとする。 

5.2 

逸走防止装置 

逸走防止装置の設計に当たっては,次の要件を満たすものとする。 

a) レールクランプ 

1) 式(1)によって計算して得た値の風荷重に耐える性能をもつものとする。 

CA

h

W

4

35

392

=

 ·········································································· (1) 

ここに, 

W35: 風速35 m/sのときの風荷重(N) 

h: クレーンの風を受ける面の高さ(m) 

(高さが16 m未満の場合には,16) 

background image

B 8828-1:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C: 風力係数 

A: 受圧面積(m2) 

2) 逸走に対する安定度は,式(2)を満たすものとする。 

5.1

/)

(

35

r

f

W

T

P

S

+

=

 ································································· (2) 

ここに, 

S: 安定度 

Pf: レールクランプの摩擦力(N) 

Tr: 走行抵抗(N) 

注記 走行抵抗は車輪抵抗に車軸荷重を

乗じたものである。 

W35: 風速35 m/sのときの風荷重(N) 

3) レールとレールクランプシュー金物との間の摩擦係数μは,0.25を満たすものとする。 

4) レールクランプ構造部及びそれをクレーン本体と連結する構造部分は,式(3)から求められる外力

PSRによって強度計算を行うものとする。 

r

35

SR

T

W

P

=

············································································· (3) 

ここに, 

PSR: レールクランプ構造部分などに働く力(N) 

Tr: 走行抵抗(N) 

注記 走行抵抗は車輪抵抗に車軸荷重を 

乗じたものである。 

W35: 風速35 m/sのときの風荷重(N) 

5) レールクランプ構造部及びそれをクレーン本体と連結する構造部分の鋼材の安全率は,次の関係を

満たすものとする。 

F≧1.3(鋼材の降伏点又は耐力に対して)及び1.6(鋼材の引張強さに対して) 

ここに, 

F: 安全率 

6) アンカとは独立して風荷重に対抗できる。 

注記 クレーンの走行抵抗は考慮することができる。 

b) アンカ 

1) 式(4)によって計算して得た値の風荷重に耐える性能をもつものとする。 

CA

h

W

4

60

1180

=

 ········································································ (4) 

ここに, 

W60: 風速60 m/sのときの風荷重(N) 

h: クレーンの風を受ける面の高さ(m) 

(高さが16 m未満の場合には,16) 

C: 風力係数 

A: 受圧面積(m2) 

2) 上記の風荷重は,走行クレーンの逸走に関し最も不利となる状態で計算するものとする。 

3) アンカ構造部及びクレーン本体と連結する構造部分は,式(5)から求められる外力PSAによって強度

計算を行うものとする。 

r

60

SA

T

W

P

=

 ············································································ (5) 

ここに, 

PSA: アンカに働く力(N) 

W60: 風速60 m/sのときの風荷重(N) 

Tr: 走行抵抗(N) 

注記 走行抵抗は車輪抵抗に車軸荷重を

乗じたものである。 

background image

B 8828-1:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4) アンカ構造部及びクレーン本体と連結する構造部分の鋼材の安全率は,次の関係を満たすものとす

る。 

F≧1.15(鋼材の降伏点又は耐力に対して)及び1.4(鋼材の引張強さに対して) 

ここに, 

F: 安全率 

5) レールクランプとは独立して風荷重に対抗できる。 

注記1 クレーンの走行抵抗は考慮することができる。 

注記2 摩擦によらない逸走防止機構が対象である。 

5.3 

転倒防止装置 

転倒防止装置の設計に当たっては,次の要件を満たすものとする。 

a) 式(6)によって計算して得た値の風荷重に耐える性能をもつものとする。 

CA

h

W

4

55

980

=

 ·········································································· (6) 

ここに, 

W55: 風速55 m/sのときの風荷重(N) 

h: クレーンの風を受ける面の高さ(m) 

(高さが16 m未満の場合には,16) 

C: 風力係数 

A: 受圧面積(m2) 

b) 転倒に対する安定度は,式(7)を満たすものとする。 

0.1

/

W55

s

M

M

S=

 ···································································· (7) 

ここに, 

S: 安定度 

Ms: 転倒支点における安定モーメント(Nm) 

MW55: 転倒支点における風速55 m/sのときの 

風荷重による転倒モーメント(Nm) 

c) 転倒防止装置が必要な場合,その構造部及びクレーン本体と連結する構造部分は,式(8)から求められ

る外力Psvによって強度計算を行うものとする。 

L

M

M

P

/)

(

s

W55

sv

=

 ··································································· (8) 

ここに, 

Psv: 転倒防止装置に働く垂直方向の力(N) 

Ms: 転倒支点における安定モーメント(Nm) 

MW55: 転倒支点における風速55 m/sのときの 

風荷重による転倒モーメント(Nm) 

L: 転倒支点から転倒防止装置までの距離(m) 

また,アンカを兼用する場合は,式(9)から求められる外力Pshと上記のPsvとが同時に働くものとし

て強度計算を行うものとする。 

r

55

sh

T

W

P

=

 ············································································· (9) 

ここに, 

Psh: 転倒防止装置に働く水平方向の力(N) 

W55: 風速55 m/sのときの風荷重(N) 

Tr: 走行抵抗(N) 

注記 走行抵抗は車輪抵抗に車軸荷重を

乗じたものである。 

d) 転倒防止装置構造部及びクレーン本体と連結する構造部分の鋼材の安全率は,次の関係を満たすもの

とする。 

F≧1.15(鋼材の降伏点又は耐力に対して)及び1.4(鋼材の引張強さに対して) 

B 8828-1:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

F: 安全率 

e) アンカなどによって逸走を防止するための措置が講じられている状態にある。 

注記1 アンカと兼用することができる。 

注記2 摩擦によらない転倒防止機構が対象である。 

情報の提供 

逸走防止装置の操作,試験,保守及び修理に関する情報を,クレーンの設置・備付者に提供しなければ

ならない。 

background image

B 8828-1:2013  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS B 8828-1:2013 クレーン−逸走防止装置−第1部:一般 

ISO 12210-1:1998 Cranes−Anchoring devices for in-service and out-of-service 
conditions−Part 1: General 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

3 用語及
び定義 

次の用語を記載し
定義付けした。逸走
防止装置,レールク
ランプ,アンカ,転
倒防止装置,安全率
及び安定度。 

− 

追加 

JISは,国際規格の中で使われ
ている技術用語で主だったも
のを用語に採り上げて定義付
けした。技術的差異はない。 

JISは,規格利用者の理解徹底を
考慮した。ISOへの改訂提案はし
ない。 

4 逸走防
止装置な
どの備付
け 

逸走防止装置及び
転倒防止装置につ
いて規定。 

− 

追加 

JISは,逸走防止装置及び転倒
防止装置についての要求事項
を規定した。 

逸走防止装置などの技術的必要
条件を明確にした。国際規格の見
直しの際,提案を行う。 

5 設計上
の要求事
項 

逸走防止装置はJIS 
B 8830(ISO 4302),
JIS B 8831(ISO 
8686-1)及びクレー
ン構造規格の規定
(厚生労働省告示
第399号)に従う。 

逸走防止装置はISO 4302
及びISO 8686-1の規定に
従う。 

追加 

JISでは,設計上の必要条件は
JIS B 8830及びJIS B 8831の
規定並びにクレーン構造規格
の規定(厚生労働省告示第399
号)に従うものとした。 

我が国の実情に合わせ,強制法規
であるクレーン構造規格の規定
(厚生労働省告示第399号)に従
うことを追加した。ISOへの改訂
提案はしない。 

 
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 12210-1:1998,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

2

B

 8

8

2

8

-1

2

0

1

3

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。