2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 8805-1992
ゴムベルトコンベヤの計算式
Rubber belt conveyors with carrying idlers−
Calculation of operating power and tensile forces
1. 適用範囲 この規格は,主としてばら物を運搬するために用いるJIS B 8803,JIS B 8814に規定する
ベルトコンベヤ用ローラ及びベルトコンベヤ用プーリを用いた定置式ゴムベルトコンベヤ(以下,コンベ
ヤという。)の全抵抗力,複合摩擦係数,所要動力,ベルト張力,運搬量及び運搬物の積載断面積の各計算
式について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 0140 コンベヤ用語(その1 コンベヤの種類)
JIS B 0141 コンベヤ用語(その2 コンベヤの部品及び附属機器)
JIS B 8803 ベルトコンベヤ用ローラ
JIS B 8814 ベルトコンベヤ用プーリ
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 5048-1989 Continuous mechanical handling equipment−Belt conveyors with carrying idlers−
Calculation of operating power and tensile forces
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 0140及びJIS B 0141コンベヤ用語によるほ
か,次による。
(1) ばら物 包装をしていない塊,粒及び粉状の物体(例えば,鉱石,石炭,土砂,穀類など)。
(2) 安息角 粉体を少し高い所から水平面に規則的に落としてできる円すい(錐)のたい(堆)積物と水
平面とが形成する角度。
(3) 側角 ベルト上で運ばれているときの運搬物安息角。普通は静止安息角よりも小さい値をとる(付図
1参照)。
(4) トラフ角度 両端ローラと水平面とのなす角度(付図1参照)。
(5) 見掛け比重 運搬物間の空間を含んだ単位体積当たりの質量。kg/m3の単位で表す。運搬物自体の真
比重とは異なる。
3. 記号及び単位 ベルトコンベヤに関する計算式に用いる記号及び単位は,表1による。
2
B 8805-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1 記号及び単位の一覧表
記号
内容
単位
ao
キャリヤローラ取付間隔
m
au
リターンローラ取付間隔
m
A
ベルトとクリーナの接触面積
m2
b
ベルトの有効幅
m
b1
スカート幅
m
B
ベルト幅
m
C
FN算出係数
−
Cε
トラフ角度係数
−
d
ベルト厚さ
m
do
軸受径
m
D
プーリ外径
m
e
自然対数の底
−
f
複合摩擦係数
−
F
プーリ上のベルト平均作用力
N
F1
駆動プーリの張り側張力(図1参照)
N
F2
駆動プーリの緩み側張力(図1参照)
N
F3
リターン側ベルト張力
N
FH
主抵抗力
N
Fmax
最大ベルト張力
N
Fmin
最小ベルト張力
N
FN
2次抵抗力
N
FS1
特殊主抵抗力
N
FS2
特殊2次抵抗力
N
FST
傾斜抵抗力
N
FbA
運搬物の加速抵抗力
N
Ff
加速部の運搬物とスカートの抵抗力
N
Fl
ベルトとプーリの巻付抵抗力
N
Ft
プーリの軸受抵抗力
N
Fε
ローラが前傾したときの抵抗力
N
FgL
加速区域外での運搬物とスカート間の摩擦抵抗力
N
Fr
ベルトクリーナによる摩擦抵抗力
N
Fa
取卸しスクレーパの摩擦抵抗力
N
FT
プーリ上の合成作用力
N
FU
全抵抗力
N
g
重力の加速度
m/s2
h
ベルトのたるみ量
m
(h/a)
ローラ間の許容たるみ率
−
H
コンベヤの揚程
m
IV
運搬量
m3/s
k
ベルトコンベヤの傾斜部で積載される場合の傾斜係数
−
k1
積過ぎのときの減少係数
−
ka
かき取り係数
N/m
l
スカート長さ
m
l3
3本ローラの中央ローラの長さ
m
lb
加速区域長さ
m
L
コンベヤ機長(軸間距離)
m
Lε
前傾形アイドラ部のコンベヤ長さ
m
3
B 8805-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
内容
単位
P
クリーナとベルト間の押圧
N/m2
PA
所要動力
kW
PM
電動機動力
kW
qB
ベルトの質量
kg/m
qG
運搬物の質量
kg/m
qRO
キャリヤ側ローラの回転部質量
kg/m
qRU
リターン側ローラの回転部質量
kg/m
S
運搬物の積載断面積
m2
S1
側角による盛上り断面積
m2
S2
有効ベルトのトラフ水切断面積
m2
v
ベルト速度
m/s
vO
運搬物の初速度
m/s
α
安息角
・
δ
コンベヤの傾斜角度
・
ε
前傾角度(ベルト平面での角度)
・
η1
伝動装置の機械効率。正の負荷の場合
−
η2
伝動装置の機械効率。負の負荷の場合
−
θ
運搬物の側角
・
λ
トラフ角度
・
μ
駆動プーリとベルト間の摩擦係数
−
μ0
ローラとベルト間の摩擦係数
−
μ1
運搬物とベルト間の摩擦係数
−
μ2
ベルトとスカート間の摩擦係数
−
μ3
ベルトとクリーナ間の摩擦係数
−
ρ
運搬物の見掛け比重
kg/m3
ϕ
ベルト巻付角
rad
4. ベルトコンベヤの全抵抗力
4.1
一般計算式 ベルトコンベヤの全抵抗力 (FU) は,式(1)又は式(2)によって算出する。
FU=FH+FN+FS1+FS2+FST ·························································· (1)
FU=C・FH+FS1+FS2+HST ···························································· (2)
ここに,
FU: 全抵抗力 (N)
FH: 主抵抗力 (N)
FN: 2次抵抗力 (N)
FS1: 特殊主抵抗力 (N)
FS2: 特殊2次抵抗力 (N)
FST: 傾斜抵抗力 (N)
C: FN算出係数
備考 式(2)は,機長80m以上のコンベヤに適用できる。
式(1)又は式(2)の各抵抗力は,次によって算出する。
4.2
主抵抗力 (FH) 主抵抗力 (FH) は,すべてのコンベヤで発生する抵抗力で,式(3)によって算出する。
FH=f・L・g [qRO+qRU+ (2qB+qG) cosδ] ······································· (3)
ここに,
FH: 主抵抗力 (N)
f: 複合摩擦係数(表3)
L: コンベヤ機長(軸間距離) (m)
g: 重力の加速度 (m/s2)
qRO: キャリヤ側ローラの回転部質量 (kg/m)
4
B 8805-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
qRU: リターン側ローラの回転部質量 (kg/m)
qB: ベルトの質量 (kg/m)
qG: 運搬物の質量 (kg/m)
δ: コンベヤの傾斜角度 (°)
ただし,18°以下はcosδ=1とする。
4.3
2次抵抗力 (FN) 2次抵抗力 (FN) は,すべてのコンベヤで発生する抵抗力で,式(4)〜(7)によって求
めた各種2次抵抗力を合計することによって算出する。
(1) 加速区域での運搬物の加速抵抗力 (FbA)
FbA=IV・ρ (v−vo) ····································································· (4)
ここに, FbA: 運搬物の加速抵抗力 (N)
IV: 運搬量 (m3/s)
ρ: 運搬物の見掛け比重 (kg/m3)
v: ベルト速度 (m/s)
vo: 運搬物の初速度 (m/s)
(2) 加速区域での運搬物とスカートの抵抗力 (Ff)
2
1
2
0
2
2
2
b
v
v
l
g
I
F
b
V
f
+
=
ρ
μ
································································· (5)
ただし,
1
2
2
min
2
μ
g
v
v
l
o
b
−
=
ここに,
Ff: 加速部の運搬物とスカートの抵抗力 (N)
μ2: ベルトとスカート間の摩擦係数 0.5〜0.7
μ1: 運搬物とベルト間の摩擦係数0.5〜0.7
g: 重力の加速度 (m/s2)
lb: 加速区域長さ (m)
b1: スカート幅 (m)
(3) ベルトとプーリの巻付抵抗力 (Fl)
布層コンベヤゴムベルトのとき
D
d
B
F
B
Fl
01
.0
140
9
+
=
··························································· (6a)
スチルコードコンベヤゴムベルトのとき
D
d
B
F
B
Fi
01
.0
200
12
+
=
························································· (6b)
ここに, Fi: ベルトとプーリの巻付抵抗力 (N)
F: プーリ上のベルト平均作用力 (N)
B: ベルト幅 (m)
d: ベルト厚さ (m)
D: プーリ外径 (m)
(4) プーリの軸受抵抗力 (Ft) (ただし,駆動プーリは除く。)
T
o
t
F
D
d
F
×
005
.0
=
····································································· (7)
ここに, Ft: プーリの軸受抵抗力 (N)
do: 軸受径 (m)
Fr: プーリ上の合成作用力 (N)
5
B 8805-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.4
2次抵抗力 (FN) の簡易計算 コンベヤ機長80m以上のコンベヤにおける2次抵抗力 (FN) は,係数
C値によって算出してもよい。すなわち,全抵抗力 (FU) の式(2)によって算出する。
FN算出係数は
H
N
H
F
F
F
C
+
=
であり,これは表2を採用してもよい。
表2 係数C値
L (m)
80
100
150
200
300
400
500
600
700
800
900 1 000 1 500 ≧2 000
C
1.92 1.78 1.58 1.45 1.31 1.25
1.2
1.17 1.14 1.12 1.10 1.09
1.06
1.05
4.5
特殊主抵抗力 (FS1) 特殊主抵抗力 (FS1) は,設備の特殊性によって発生する抵抗力で,式(8a)〜(11)
によって求めた各種抵抗力を合計することによって算出する。
(1) ローラが前傾したときの抵抗力 (Fε)
3本ローラの場合
Fε=Cε・μo・Lε (qB+qG) g・cosδ・sinε ················································· (8a)
2本ローラの場合
Fε=μo・Lε・qB・g・cosλ・cosδ・sinε ···················································· (8b)
ここに,
Fε: ローラが前傾したときの抵抗力 (N)
Cε: トラフ角度係数 トラフ角度30°では,0.4
トラフ角度45°では,0.5
μo: ローラとベルト間の摩擦係数 0.3〜0.4
Lε: 前傾形アイドラ部のコンベヤ長さ (m)
qB: ベルトの質量 (kg/m)
qG: 運搬物の質量 (kg/m)
δ: コンベヤの傾斜角度 (°)
ε: 前傾角度(ベルト平面での角度) (°)
g: 重力の加速度 (m/s2)
λ: トラフ角度 (°)
(2) 加速区域外での運搬物とスカート間の摩擦抵抗力 (FgL)
2
1
2
2
1
b
v
l
g
Iv
FgL
ρ
μ
=
·································································· (9)
ここに, FgL: 加速区域外での運搬物とスカート間の摩擦抵抗力 (N)
μ1: 運搬物とスカート間の摩擦係数0.5〜0.7
IV: 運搬量 (m3/s)
ρ: 運搬物の見掛け比重 (kg/m3)
l: スカート長さ (m)
v: ベルト速度 (m/s)
b1: スカート幅 (m)
(3) ベルトクリーナによる摩擦抵抗力 (Fr)
Fr=A・P・μ3 ············································································· (10)
ここに,
Fr: ベルトクリーナによる摩擦抵抗力 (N)
A: ベルトとクリーナの接触面積 (m2)
P: クリーナとベルト間の押圧 (3〜10) ×104 (N/m2)
μ3: ベルトとクリーナ間の摩擦係数
(4) 取卸しスクレーパの摩擦抵抗力 (Fa)
Fa=B・ka ················································································ (11)
6
B 8805-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに, Fa: 取卸しスクレーパの摩擦抵抗力 (N)
B: ベルト幅 (m)
ka: かき取り係数 通常1 500 (N/m)
4.6
特殊2次抵抗力 (FS2) 特殊2次抵抗力 (FS2) は,設備の特殊性によって発生する抵抗力で,特殊
主抵抗力 (FS1) に考慮しなかった抵抗力をいう。ベルト反転抵抗力,トリッパによる抵抗力などが,例と
して挙げられる。
4.7
傾斜抵抗力 (FST) 傾斜抵抗力 (FST) は,傾斜したコンベヤにおいて,運搬物を持ち上げたり降ろ
すための抵抗力で,式(12)によって算出する。
FST=±qG・H・g ········································································ (12)
ここに, FST: 傾斜抵抗力 (N)
qG: 運搬物の質量 (kg/m)
H: コンベヤの揚程(1) (m)
g: 重力の加速度 (m/s2)
注(1) コンベヤの揚程Hは,上りこう配は正とし,下りこう配は負とする。
5. 複合摩擦係数 (f) 複合摩擦係数 (f) は,ローラの回転抵抗とベルトの走行抵抗から成り立ち,表3
による。
表3 複合摩擦係数f値
f
装置の構造特性
0.02<f≦0.03
(a)〜(h)の条件より良好でないとき。
f=0.02
(a) 運搬物の内部摩擦係数が適切なとき。
(b) トラフ角度30°で3本ローラのとき。
(c) ベルト速度が5m/s以下のとき。
(d) ローラ径が89.1〜165.2mmのとき。
(e) 常用の運搬量の約70〜110%運転のとき。
(f) 軽く回転するラビリンスシール式ローラのとき。
(g) 固定型アイドラのとき。
(h) ローラ取付間隔がキャリア側で1.0〜1.5m,リタ
ーン側で約3.0mのとき。
0.02>f≧0.016 (a)〜(h)の条件より良好のとき。
f=0.012
下りコンベヤの制動力を算出するとき。
6. ベルトコンベヤの所要動力 (PA) ベルトコンベヤの所要動力 (PA) は,コンベヤの全抵抗力 (FU) か
ら式(13)によって算出する。
1000
v
F
P
U
A
=
············································································· (13)
電動機の出力 (PM) は,伝導装置の効率を考慮して,式(14a) 又は (14b) によって算出する。
正の負荷の場合は,
1
η
A
M
P
P=
···················································· (14a)
負の負荷の場合は,
2
η
A
M
P
P=
···················································· (14b)
ここに,
FU: 全抵抗力 (N)
v: ベルト速度 (m/s)
PA: 所要動力 (kW)
PM: 電動機動力 (kW)
7
B 8805-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
η1: 伝動装置の機械効率。正の負荷の場合 0.85〜0.95
η2: 伝動装置の機械効率。負の負荷の場合 1.0〜0.95
7. ベルト張力
7.1
一般 ベルト張力を算出する場合,次の項目を考慮する。
(1) 駆動プーリでベルトがスリップしない。
(2) 走行時のベルトの抵抗を少なくするため,キャリヤ及びリターンローラのローラ間のベルトのたるみ
を制限する。
(3) コンベヤが傾斜している場合は,リターン側ベルト張力を無視しない。
7.2
駆動プーリの緩み側張力 (F2) 図1における緩み側張力 (F2) は,全抵抗力に相当する摩擦力を駆
動プーリに発生させるのに必要な張力で,式(15)によって算出する。
図1 ベルト巻付角と張力との関係
1
1
2
−
=
μϕ
e
F
F
U×
······································································ (15)
ここに, FU: 全抵抗力 (N)
e: 自然対数の底
ϕ: ベルト巻付角 (rad)
μ: 駆動プーリとベルト間の摩擦係数(表4による)
F1: 駆動プーリの張り側張力 (N)
F2: 駆動プーリの緩み側張力 (N)
表4 駆動プーリとベルト間の摩擦係数μ値
使用状態
プーリ形式
裸の鋼製プーリ
溝付ゴムラギン
グのプーリ
溝付ポリウレタン
ラギングのプーリ
溝付セラミックラ
ギングのプーリ
乾燥状態
0.35〜0.4
0.4〜0.45
0.35〜0.4
0.4〜0.45
汚れのない湿った状態
0.1
0.35
0.35
0.35〜0.4
湿りと汚れた状態
0.05〜0.1
0.25〜0.3
0.2
0.35
7.3
最小ベル搬力 (Fmin) 最小ベルト張力 (Fmin) はベルトのたるみhとローラ取付間隔aの比
ahを決
め,式(16a)及び(16b)によって算出し,その大きい方を用いる。
キャリヤ側
a
h
g
q
q
a
F
G
B
8
)
(
0
min
+
>
················································· (16a)
リターン側
a
h
g
q
a
F
B
U
8
min>
······················································ (16b)
ここに,
Fmin: 最小ベルト張力 (N)
qB: ベルトの質量 (kg/m)
qG: 運搬物の質量 (kg/m)
8
B 8805-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
g: 重力の加速度 (m/s2)
ao: キャリヤローラ取付間隔 (m)
au: リターンローラ取付間隔 (m)
a
h: ローラ間の許容たるみ率 0.005〜0.02
7.4
リターン側ベルト張力 (F3) リターン側ベルト張力 (F3) は,ベルトの質量による分力(傾斜して
いるとき),ベルトの質量及びリターンローラの回転部質量によって頭部プーリに生じる張力で,式(17)に
よって算出する。
F3=L [qBsinδ−f (qRU+qBcosδ)] g ··················································· (17)
ここに,
F3: リターン側ベルト張力 (N)
L: コンベヤ機長(軸間距離) (m)
qB: ベルトの質量 (kg/m)
qRU: リターン側ローラの回転部質量 (kg/m)
δ: コンベヤの傾斜角度 (°)
g: 重力の加速度 (m/s2)
f: 複合摩擦係数
7.5
最大ベルト張力 (Fmax) 最大ベルト張力 (Fmax) は,ベルト張り側に発生する張力で式(18a),(18b)
及び(18c)によって算出し,その大きい方を用いる。
最大ベルト張力 Fmax=FU+F2 (N) ··········································· (18a)
Fmax=FU+Fmin (N) ································································· (18b)
Fmax=FU+Fmin+F3 (N) ··························································· (18c)
8. 運搬量及び運搬物の積載断面積 運搬量IVは,運搬物の積載断面積にベルト速度及び傾斜係数を乗じ
たもので表し,式(19)によって算出する。
IV=S・k・v ··············································································· (19)
ここに,
S: 運搬物の積載断面積 (m2)
v: ベルト速度 (m/s)
k: ベルトコンベヤの傾斜部で積載される場合の傾斜係数[式(22)
参照]
IV: 運搬量 (m3/s)
なお,運搬物の積載断面積Sは,ベルト幅から両端の余裕幅を除いた部分,いわゆる有効ベルトのトラ
フ水切断面積(付図1のS2の部分)に側角による盛上り断面積(付図1のS1の部分)を加えたものとし,
式(20a),式(20b)及び式(20c)によって算出する。
[
]
6
tan
cos
)
(
2
3
3
1
θ
λ×
l
b
l
S
−
+
=
···················································· (20a)
×
2
sin
)
(
2
cos
)
(
3
3
3
2
λ
λ
l
b
l
b
l
S
−
−
+
=
······································· (20b)
S=S1+S2 ·············································································· (20c)
ここに,
S1: 側角による盛上り断面積 (m2)
S2: 有効ベルトのトラフ水切断面積 (m2)
S: 運搬物の積載断面積 (m2)
b: ベルトの有効幅 (m)
l3: 3本ローラの中央ローラの長さ (m)
ただし,1本ローラ,2本ローラの場合はl3=0とする。
λ: トラフ角度 (°)
θ: 運搬物の側角 (°)
9
B 8805-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
α: 安息角 (°)
ただし,概略の場合はθ=0.75αとする。
ベルトの有効幅bは,式(21a)及び(21b)によって算出する。
ベルト幅 B≦2.0mのとき
b=0.9B−0.05 ········································································ (21a)
ベルト幅 B>2.0mのとき
b=B−0.25 ············································································ (21b)
傾斜係数kは,式(22)によって算出する。
)
1(
1
1
1
k
S
S
k
−
−
=
×
···································································· (22)
k1は,積過ぎのときの減少係数で,式(23)によって算出する。
θ
θ
δ
2
2
2
1
cos
1
cos
cos
−
−
=
k
································································ (23)
ここに,
δ: コンベヤの傾斜角度 (°)
θ: 運搬物の側角 (°)
10
B 8805-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図1 トラフ断面
関連規格 JIS K 6322 布層コンベヤゴムベルト
JIS K 6369 スチールコードコンベヤゴムベルト
11
B 8805-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS B 8805 改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(本委員会)
(委員長)
○ 鈴 木 震
物流技術研究所
(委員)
喜 田 勝治郎
通商産業省機械情報産業局
伊 東 厚
工業技術院標準部運輸航空規格室
梅 井 勲
労働省労働基準局
林 悠
社団法人港湾荷役機械化協会
小 柳 邦 彦
日本セメント株式会社エンジニアリング事業部
城 戸 仁
宇部興産株式会社機械事業部営業本部
青 葉 秀 樹
日本鋼管株式会社生産設備部
中 上 雄 吾
川崎重工業株式会社土木技術部
今 里 省 三
三菱重工株式会社広島製作所
設 楽 元
株式会社日立製作所機電事業本部
○ 金 子 一 男
三機工業株式会社産業設備本部
○ 佐々木 明 夫
日本コンベヤ株式会社コンベヤ事業部
○ 山 口 幸 弘
株式会社三井三池製作所技術部
○ 寺 本 勝 成
石川島輸送機株式会社コンベヤ設計部
○ 古谷野 春 紀
古河機械金属株式会社機械設計課
○ 志 水 勇
住友重機械工業株式会社搬送物流システム事業部
(事務局)
○ 加 藤 宏
社団法人日本産業機械工業会
(上記以外の分科会委員)
○ 石 黒 高 行
三機工業株式会社産業設備本部業務部
○ 鶴 戸 哲 夫
富士コンベヤ株式会社技術部
備考 ○印は,分科会委員