B 8625 : 2002
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本冷凍
空調工業会 (JRAIA) /財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正す
べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
これによって,JIS B 8625 : 1993は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS B 8625には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定) 蓄熱容量試験方法
附属書2(規定) 熱源機単体の能力試験方法
附属書3(規定) 日量能力試験方法
附属書4(規定) 最大能力試験方法
附属書5(規定) 断熱能力試験方法
B 8625 : 2002
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 試験の種類 ····················································································································· 2
5. 試験 ······························································································································ 3
5.1 一般条件 ······················································································································ 3
5.2 試験方法 ······················································································································ 4
6. 試験の結果 ····················································································································· 5
附属書1(規定) 蓄熱容量試験方法 ······················································································· 7
附属書2(規定) 熱源機単体の能力試験方法 ·········································································· 12
附属書3(規定) 日量能力試験方法 ······················································································ 15
附属書4(規定) 最大能力試験方法 ······················································································ 20
附属書5(規定) 断熱能力試験方法 ······················································································ 25
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日本工業規格 JIS
B 8625 : 2002
空気調和用氷蓄熱ユニット−試験方法
Ice thermal storage units for air conditioning purpose−Test methods
1. 適用範囲 この規格は,空気調和用熱源及び蓄熱に用いるアイス・オン・コイル製氷方式の空冷式及
び水冷式氷蓄熱ユニット(以下,氷蓄熱ユニットという。)の試験方法について規定する。
備考1. 氷蓄熱ユニットを冷却専用に供する場合は,冷却時だけの試験でよい。
2. この規格の中で{ }を付けて示してあるkW・h及びkW・hを含む単位は,組立単位として
使用される場合があることから付記したものである。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 8613 ウォータチリングユニット
JIS B 8624 氷蓄熱システム用語
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 8624によるほか,次による。
a) 氷蓄熱ユニット(1) 熱源機,蓄熱槽その他の機器類を共通又は分割可能な架台上に設けた装置によっ
て,冷水及び温水を供給する空気調和用装置。
注(1) 性能試験の後に輸送などの理由で一度分割され,再び合体据付けがなされた場合にも,性能面
に影響が及ばないもの。
b) 蓄熱槽 蓄熱材を納める容器。
c) 蓄熱槽内水 蓄熱槽に入れられた蓄熱材としての水。
d) 補助冷却水 熱源機の冷却に用いる場合の蓄熱槽内の水。
e) 補助熱源水 ヒートポンプの熱源として用いる場合の蓄熱槽内の水。
f)
二次側 氷蓄熱ユニットが供給する冷水及び温水を利用する空気調和機,ファンコイルユニットなど
の空気調和用放熱系統。
g) 二次側冷(温)水 氷蓄熱ユニットが供給し,二次側を循環した後再び氷蓄熱ユニットに戻る冷却用
冷水,又は加熱用温水。
h) い(往)き温度 氷蓄熱ユニットが供給する二次側冷(温)水の温度。
i)
外気乾球温度 氷蓄熱ユニットの空気側熱交換器における取入れ空気の乾球温度。
j)
外気湿球温度 氷蓄熱ユニットの空気側熱交換器における取入れ空気の湿球温度。
k) 熱源機負荷 冷却又は加熱用熱量を供給する熱源機にかかる負荷。
l)
蓄熱容量 蓄熱槽内に蓄えることができる熱量。次の条件のもとに得られた値で,kJ {kWh} で表す。
1) 冷却時 表2に示す条件のもとに,熱源機を最大10時間運転して,蓄熱槽内水の平均温度を7℃か
ら0℃まで冷却する顕熱(2)と,蓄熱槽内の製氷量に対し,0℃の水から0℃の氷に相変化させる潜熱
2
B 8625 : 2002
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(3)として蓄えられる熱量との和で表示する。
それ以外の顕熱及び潜熱を含む場合は,併記する。補助冷却水として利用する顕熱は含めない。
注(2) 水の比熱は,4.186kJ/ (kg・K) とする。
(3) 氷の融解潜熱は,334kJ/kgとする。
2) 加熱時 表2に示す条件のもとに,熱源機を最大10時間運転して,蓄熱槽内水の平均温度を40℃
から45℃まで加熱したときに蓄熱槽内に蓄えられる顕熱量を表示する。
それ以外の顕熱を含む場合は,併記する。補助熱源水として利用する顕熱は含まない。
m) 熱源機単体の能力 熱源機単体で冷却又は加熱できる熱量。次の条件のもとに得られた値で,kWで
表す。
1) 冷却時 表2に示す条件のもとに,標準流量で熱源機に流入した二次側冷水を,熱源機によって7℃
に冷却する能力を熱源機冷却能力とする。二次側冷水を7℃と異なる温度に冷却する場合は,冷却
温度を併記する。
2) 加熱時 表2に示す条件のもとに,標準流量で熱源機に流入した二次側温水を,熱源機によって45℃
に加熱する能力を熱源機加熱能力とする。二次側温水を45℃と異なる温度に加熱する場合は,加熱
温度を併記する。
n) 日量能力 蓄熱槽内水を冷却又は加熱し蓄えた熱量と,熱源機の運転によって冷却又は加熱される熱
量とを合わせて,二次側に供給できる日積算熱量。次の条件のもとに得られた値でMJ {kW・h} で表
す。
1) 冷却時 表2に示す条件のもとに,蓄熱時に熱源機を最大10時間運転して,蓄熱槽内水を冷却して
蓄えた熱量と,冷却時に熱源機を最大10時間運転して冷却される熱量とを合わせ,冷却時の10時
間に標準流量で7℃の冷水として二次側に供給できる積算熱量で表示する。
2) 加熱時 表2に示す条件のもとに,蓄熱時に熱源機を最大10時間運転して,蓄熱槽内水を加熱して
蓄えた熱量と,加熱時に熱源機を最大10時間運転して加熱される熱量とを合わせ,加熱時の10時
間に標準流量で45℃の温水として二次側に供給できる積算熱量で表示する。
o) 最大能力 蓄熱槽内水を冷却又は加熱して蓄えた熱量と,熱源機の運転によって冷却又は加熱される
熱量とを合わせ,二次側へ送水できる1時間当たりの熱量,送水温度及び送水可能な時間数で,次の
条件のもとに得られた値。
1) 冷却時 表2に示す条件のもとに,蓄熱時に熱源機を最大10時間運転して,蓄熱槽内水を冷却して
蓄えた熱量と,冷却時に熱源機を運転して冷却される熱量とを合わせ,標準流量で7℃以下の冷水
として二次側に供給できる熱量 (kW),送水維持温度℃及び維持時間hを表示する。ただし,その
温度を維持する最小時間単位は1時間とする。
2) 加熱時 表2に示す条件のもとに,蓄熱時に熱源機を最大10時間運転して,蓄熱槽内水を加熱して
蓄えた熱量と,加熱時に熱源機を運転して加熱される熱量とを合わせ,標準流量で45℃以上の温水
として二次側に供給できる熱量 (kW),送水維持温度℃及び維持時間hを表示する。ただし,その
温度を維持する最小時間単位は1時間とする。
p) 断熱能力 表2に示す条件のもとに,24時間以上放置して得られた蓄熱槽の損失熱量を,24時間当た
りに換算した熱量で,MJ/d {kW・h/d} で表す。
4. 試験の種類 試験の種類は,次による。
a) 蓄熱容量試験(5.2.1参照)
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b) 熱源機単体の能力試験(5.2.2参照)
c) 日量能力試験(5.2.3参照)
d) 最大能力試験(5.2.4参照)
e) 断熱能力試験(5.2.5参照)
f)
最大電力試験(5.2.6参照)
g) 最大電流試験(5.2.7参照)
h) 消費電力量試験(5.2.8参照)
i)
圧力損失試験(5.2.9参照)
j)
騒音試験(5.2.10参照)
5. 試験
5.1
一般条件 試験は,ほかに特別な規定がない限り5.1.1に規定する計器を用い,5.1.2に規定する条件
のもとで行う。
5.1.1
計器の形式及び精度 試験に用いる計器の精度は,表1又はこれと同等以上のものを用いる。
表1 計器の精度
区分
精度
形式
温度計
空気乾球温度
±0.1℃
液体封入ガラス製棒状温度計
熱電対,抵抗温度計
温度差計
空気湿球温度
±0.1℃
冷温水温度
±0.1℃
ブライン温度
±0.1℃
冷媒温度
±1.0℃
流量計
±2%
記録式,指示式,演算式
水位計
±1%
静電容量式,圧力式,電極式
冷媒圧力計
±2%
ブルドン管,圧力変換器
電気計器
±0.5%
±1%
指示式
積算式
備考 %で示した精度は,フルスケールに対してである。
5.1.2
試験条件 試験条件は,5.2の規定によるほか次による。
a) 空気乾球温度,空気湿球温度及び水の温度は,表2の条件による。
b) 供試氷蓄熱ユニットの据付けは,不凍液充てん量など,製造業者の指定する方法によって行い,能力
に影響するような改造及び接続を行ってはならない。
c) 供試機は,定格周波数及び定格電圧(各々の定格の±2%の値)で運転する。
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表2 温度条件
単位 ℃
空冷
凝縮器
入口温度
水冷
凝縮器
入口温度
蒸発器 入口側
蓄熱槽(4)
平均水温
ユニット
出口冷水
又は温水
乾球温度
水温
乾球温度
湿球温度
開始時
終了時
冷
却
試
験
蓄熱容量試験
25±1
27±1
−
−
7±1
0±1
−
熱源機単体の
能力試験
35±1
32±1
−
−
−
−
7±1
日量能力試験
25±1
(蓄熱時)
35±1
(冷却時)
27±1
(蓄熱時)
32±1
(冷却時)
−
−
7±1
0±1
7±1
最大能力試験
35±1
32±1
−
−
0±1
−
7以下
加
熱
試
験
蓄熱容量試験
−
−
2±1
1±1
40±1
45±1
−
熱源機単体の
能力試験
−
−
7±1
6±1
−
−
45±1
日量能力試験
−
−
2±1
(蓄熱時)
7±1
(加熱時)
1±1
(蓄熱時)
6±1
(加熱時)
40±1
45±1
45±1
最大能力試験
−
−
7±1
6±1
45±1
−
45以上
断熱能力試験
静穏な室内空気の空気乾球温度
35±1(冷却試験)
又は
静穏な室内空気の空気乾球温度
2±1(加熱試験)
0±1(冷却試験)
又は
45±1(加熱試験)
注(4) 蓄熱槽水温は,各ユニットの仕様に合わせて変更可能とする。
5.2
試験方法
5.2.1
蓄熱容量試験 蓄熱容量は,表2の条件で附属書1に基づいて試験する。
5.2.2
熱源機単体の能力試験 熱源機単体の能力は,表2の条件で附属書2に基づいて試験する。
5.2.3
日量能力試験 日量能力は,表2の条件で附属書3に基づいて試験する。
5.2.4
最大能力試験 最大能力は,表2の条件で附属書4に基づいて試験する。
5.2.5
断熱能力試験 断熱能力は,表2の条件で附属書5に基づいて試験する。
5.2.6
最大電力試験方法 蓄熱容量試験,熱源機単体の能力試験,日量能力試験及び最大能力試験におい
て,供試氷蓄熱ユニットが試験期間中に消費する電力の最大値を測定する。
5.2.7 最大電流試験方法 最大電力試験において,供試氷蓄熱ユニットに流れる電流の最大値を測定する。
5.2.8
消費電力量試験方法 蓄熱容量試験,熱源機単体の能力試験,日量能力試験及び最大能力試験期間
中の供試氷蓄熱ユニットが消費する電力の積算値を,蓄熱時,冷却時又は加熱時にそれぞれ区分して測定
する。
5.2.9
圧力損失試験 製造業者が指定する標準流量に対し,氷蓄熱ユニットの圧力損失を,JIS B 8613の
附属書2(水圧損失試験)に準じて測定する。
5.2.10 騒音試験 製造業者が指定する据付方法で設置された氷蓄熱ユニットの騒音を,JIS B 8613の附属
書3(騒音試験)に準じて測定する。
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6. 試験の結果 試験結果は,試験成績表に記載し,その項目は,次による。
a) 製造業者名
b) 型式名
c) 製品番号
d) 注文者名
e) 試験年月日
f)
試験者名
g) 試験に用いた試験方法(附属書1〜5に記載してあるもの。)
h) その他,この規格によらない特殊な周囲状態,試験条件などを明記する。
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付表1 氷蓄熱ユニットシステム試験成績表
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附属書1(規定) 蓄熱容量試験方法
1. 適用範囲 この附属書は,アイス・オン・コイル製氷方式の空冷式及び水冷式氷蓄熱ユニットの蓄熱
容量を測定する方法について規定する。
2. 試験方法の種類 氷蓄熱ユニットの蓄熱容量の試験は,冷却試験及び加熱試験による。ただし,氷蓄
熱ユニットを冷却専用に供する場合は,冷却試験だけでよい。
a) 冷却試験
1) 直接法 蓄熱槽内に製氷された氷の量及び水温変化の幅から蓄熱容量を測定する方法。
2) 間接法 製氷用熱交換器のブラインに投入された熱量から蓄熱容量を測定する方法。
b) 加熱試験
1) 直接法 蓄熱槽内の水温変化の幅から蓄熱容量を測定する方法。
2) 間接法1 製氷用熱交換器のブラインに投入された熱量から蓄熱容量を測定する方法(製氷用熱交
換器を介して槽内水を加熱する方式の場合)。
3) 間接法2 蓄熱槽内に投入された熱量によって蓄熱容量を測定する方法(加熱用熱交換器を介して
槽内水を加熱する方式の場合)。
3. 試験方法
3.1
一般 本体5.(試験),5.1(一般条件)に示す条件で試験を行う。
冷却試験において,この附属書では生成した氷量を氷の生成に伴う水位の変化量から求めることとして
いる。この場合,水位の変化に対応する氷量の変化をあらかじめ測定しておく必要がある。
なお,同等の精度で測定できる他の方法によって,生成した氷量を測定してもよい。
3.2
冷却試験
a) 直接法(附属書1図1参照) 槽内水をかくはんし槽内の平均水温(初期状態の平均温度)及び凝縮
器入口側空気温度又は冷却水温度を本体表2の試験条件になるように整える。また,製氷用熱交換器
出入口のブライン温度を測定する。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ運転
する。熱源機を停止させた後,槽内水をかくはんし槽内の平均水温(蓄熱終了時の平均水温)及び製
氷用熱交換器出入口のブラインの温度を測定し,式(1)によって蓄熱容量を算出する。
Sc, d=(tw1, s−tw2, s) ・cw・ρw・Gw+Is・lhj
+ (tB1, s−tB2, s) ・cB・ρB・GB+|(tB2, s/2) ・cj・Is.| ··················· (1)
ここに,
Sc, d: 製氷量及び水温の変化幅から求めた冷却蓄熱容量 (kJ)
{kW・h}
Gw: 水張り量 (m3)
Is: 水位の変化から求めた製氷量 (kg)
GB: 製氷コイル内のブラインの量 (m3)
lhj: 氷の融解潜熱 (kJ/kg)
cB: tB1,sとtB2,s時の平均ブライン比熱 [(kJ/kg・K)]
cw: 水の比熱 (kJ/kg・K)
cj: 氷の比熱 (kJ/kg・K)
ρw: 水の密度 (kg/m3)
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ρB: tB1,sとtB2,s時の平均ブライン密度 (kg/m3)
tw1,s: 蓄熱槽内の初期状態の平均水温 (℃)
tw2,s: 蓄熱終了時の蓄熱槽内平均水温 (℃)
tB1,s: 初期状態のブラインの平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代表)
tB2,s: 蓄熱終了時のブラインの平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代表)
備考 式(1)の第3項に示すブラインの顕熱蓄熱量及び第4項に示す氷の顕熱蓄熱量については,省略
してもよい。その場合,ブラインの温度測定は不要となる。
なお,第4項は氷内部は直線的温度こう配をもち,水と氷の界面は0℃と簡易化した扱いで
ある。
附属書1図1 直接法冷却試験の機器類配置の例
b) 間接法(附属書1図2参照) 槽内水をかくはんし槽内の平均水温(初期状態の平均水温)及び凝縮
器入口側空気又は冷却水温度を本体表2の試験条件になるように整える。次に熱源機を製造業者が指
定する時間(最大で10時間)だけ運転する。蓄熱時間中は,製氷用熱交換器入口及び出口のブライン
温度を⊿j時間ごとに測定する。同時に製氷用熱交換器に流出入するブライン流量を測定し,式(2)に
よって蓄熱容量を算出する。
なお,測定時間間隔⊿jは,製氷用熱交換器に流出入するブライン流量が変化する場合には1分以内,
流量が変化しない場合には,10分以内を原則とする。
Sc, K=Σ (tB, o, j−tB,i, j) ・cB・ρB・RB・⊿j ·········································· (2)
ここに,
Sc,K: 製氷用熱交換器に流出入するブラインの温度差及び流
量から求めた冷却蓄熱容量 (kJ) {kW・h}
RB: ⊿j時間に製氷用熱交換器に流出入するブラインの流量
(m3/⊿j)
cB: ブラインの比熱 (kJ/kg・K)
ρB: tB,o,jとtB,i,j時のブライン平均密度 (kg/m3)
tB,o,j: j時刻の製氷用熱交換器出口のブラインの温度 (℃)
tB,i,j: j時刻の製氷用熱交換器入口のブラインの温度 (℃)
⊿j: 測定時間間隔 (h)
Σ: 製造業者の指定する蓄熱運転時間(最大で10時間)に
対する,⊿j時間ごとの測定値の累積和
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附属書1図2 間接法冷却試験の機器類配置の例
備考 直膨タイプの製氷方式における冷媒流量と,製氷用熱交換器入口及び出口のエンタルピー差か
ら間接的に蓄熱容量を求める方法は,冷媒流量測定の不鮮明さを避ける意味で扱わない。
3.3
加熱試験
a) 直接法(附属書1図3参照) 槽内水をかくはんし槽内の平均水温(初期状態の平均水温)及び蒸発
器入口側空気温度を本体表2の試験条件になるように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間
(最大で10時間)だけ運転する。熱源機を停止させた後,槽内水をかくはんし槽内の平均水温(蓄熱
終了時の平均水温)を測定し,式(3)によって蓄熱容量を算出する。
SH, d= (tw1,H−tw2,H) ・ (cw・ρw・Gw+cB・ρB・GB) ·························· (3)
ここに,
SH,d: 槽内水温の変化幅から求めた温水蓄熱容量 (kJ) {kW・h}
Gw: 水張り量 (m3)
GB: 製氷コイル内のブラインの量 (m3)
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
cB: tw1,Hとtw2,H時のブライン平均比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
ρB: tw1,Hとtw2,H時のブライン平均密度 (kg/m3)
tw1,H: 蓄熱運転直前の蓄熱槽内初期状態の平均水温 (℃)
tw2,H: 蓄熱運転終了時の蓄熱槽内平均水温 (℃)
附属書1図3 直接法加熱試験の機器類配置の例
b) 間接法1(製氷用熱交換器を介して槽内水を加熱する方法の場合,附属書1図4参照) 槽内水をか
くはんし槽内の平均水温(初期状態の平均水温)及び蒸発器入口側空気温度を本体表2の試験条件に
なるように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ運転する。蓄熱時間
中は,製氷用熱交換器入口及び出口のブライン温度を⊿j時間ごとに測定する。同時に製氷用熱交換
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器に流出入するブラインの流量を測定し,式(4)によって蓄熱容量を算出する。
なお,測定時間間隔⊿jは,製氷用熱交換器に流出入するブライン又は冷媒の流量が変化する場合に
は1分以内,流量が変化しない場合には10分以内を原則とする。
SH,K1=Σ (tB,o,j−tB,i,j) ・cB・ρB・RB・⊿j···································· (4)
ここに, SH,K1: 製氷用熱交換器に流出入するブラインの温度差及び流
量から求めた温水蓄熱容量 (KJ) {kW・h}
RB: ⊿j時間に製氷用熱交換器に流出入するブラインの流量
(m3/⊿j)
cB: tB,o,jとtB,i,j時のブライン平均比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρB: tB,o,jとtB,i,j時のブライン平均密度 (kg/m3)
tB,o,j: j時刻の製氷用熱交換器出口のブラインの温度 (℃)
tB,i,j: j時刻の製氷用熱交換器入口のブラインの温度 (℃)
⊿j: 測定時間間隔 (h)
Σ: 製造業者の指定する蓄熱運転時間(最大で10時間)に
対する,⊿j時間ごとの測定値の累積和
附属書1図4 間接法1の加熱試験の機器類配置の例
c) 間接法2(加熱用熱交換器を介して槽内水を加熱する方式の場合,附属書1図5参照) 槽内水をか
くはんし槽内の平均水温(初期状態の平均水温)及び蒸発器入口側空気温度を本体表2の試験条件に
なるように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ運転する。
蓄熱時間中は,蓄熱槽入口及び出口の温水温度を⊿j時間ごとに測定する。同時に蓄熱槽に流出入す
る温水の流量を測定し,式(5)によって蓄熱容量を算出する。
なお,測定時間間隔⊿jは,蓄熱槽に流出入する温水の流量が変化する場合には1分以内,流量が変
化しない場合には10分以内を原則とする。
SH,K2=Σ (tw,o,j−tw,i,j) ・cw・ρw・Rw・⊿j································ (5)
ここに,
SH,K2: 蓄熱槽に流出入するの温水の温度差及び流量から求め
た温水蓄熱容量 (kJ) {kW/h}
Rw: ⊿j時間に蓄熱槽に流出入する温水の流量(m3/⊿j)
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
tw,o,j: j時刻の蓄熱槽出口の水の温度 (℃)
tw,i,j: j時刻の蓄熱槽入口の水の温度 (℃)
⊿j: 測定時間間隔 (h)
Σ: 製造業者の指定する蓄熱運転時間(最大で10時間)に
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B 8625 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
対する,⊿j時間ごとの測定値の累積和
附属書1図5 間接法2の加熱試験の機器類配置の例
備考 加熱用熱交換器が単数で,蓄熱槽と加熱用熱交換器を等量の温水が通過する方式の場合は,蓄
熱槽出入口温水温度の代わりに,加熱用熱交換器出入口温水温度の測定でもよい。
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B 8625 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2(規定) 熱源機単体の能力試験方法
1. 適用範囲 この附属書は,アイス・オン・コイル製氷方式の空冷式及び水冷式氷蓄熱ユニット(以下,
氷蓄熱ユニットという。)の熱源機単体の能力を測定する方法について規定する。
2. 試験方法の種類 氷蓄熱ユニットの熱源機単体の能力試験は,冷却試験及び加熱試験による。ただし,
氷蓄熱ユニットを冷却専用に供する場合は,冷却だけの試験でよい。また,熱源機単体だけの運転で,二
次側冷(温)水を冷却又は加熱する機構をもたない氷蓄熱ユニットでは,この試験は不要である。
a) 冷却試験
1) 直接法 熱源機の二次側冷水冷却用熱交換器を通過する水量及び出入口水温変化の幅から熱源機冷
却能力を測定する方法。
2) 間接法 氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧縮機をもつウォータチリングユニット
単体のデータ並びに氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定することによって,熱源機冷却
能力を求める方法。
b) 加熱試験
1) 直接法 熱源機の二次側温水加熱用熱交換器を通過する水量及び出入口水温変化の幅から熱源機加
熱能力を測定する方法。
2) 間接法 氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧縮機をもつウォータチリングユニット
のデータ並びに氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定することによって,熱源機加熱能力
を求める方法。
3. 試験方法
3.1
一般 本体5.(試験),5.1(一般条件)及び5.2(試験方法)に示す条件で試験を行う。
3.2
冷却試験
a) 直接法(附属書2図1参照) 氷蓄熱ユニットを製造業者が指定する標準流量で運転し,二次側冷水
冷却用熱交換器の出口冷水及び凝縮器入口側空気温度又は冷却水温度を本体表2の試験条件になるよ
うに整える。定常運転状態の下で20分ごとに4回測定を行い,測定値の平均及び式(1)によって熱源
機単体の冷却能力を算出する。
XQc, d= (txi, c−txo, c) ・cw・ρw・XRw ············································· (1)
ここに, XQc,d: 二次側冷水冷却用熱交換器の出入口冷水温度の変化幅
から求めた熱源機単体の冷却能力 (kW)
XRw: 二次側冷水冷却用熱交換器を通過する標準流量 (m3/s)
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
txi,c: 二次側冷水冷却用熱交換器の入口冷水温度 (℃)
txo,c: 二次側冷水冷却用熱交換器の出口冷水温度 (℃)
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B 8625 : 2002
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附属書2図1 直接法冷却試験の機器類配置例
b) 間接法(附属書2図2参照) 氷蓄熱ユニットと同一冷却条件で運転する同一形式の圧縮機をもつウ
ォータチリングユニットのデータ並びに氷蓄熱ユニットの冷媒特性値及び電気入力を測定し,JIS B
8613の附属書1(冷却能力及びヒートポンプ加熱能力試験)の3.(試験方法),3.3.3(校正圧縮機法)
に準じて,熱源機単体の冷却能力を求める。
附属書2図2 間接法冷却試験の機器類配置例
3.3
加熱試験(附属書2図3参照)
a) 直接法 氷蓄熱ユニットを製造業者の指定する標準流量で運転し,二次側温水加熱用熱交換器の出口
温水及び蒸発器入口側空気温度又は冷水温度を本体表2の試験条件になるように整える。定常運転状
態の下で20分ごとに4回測定を行い,測定値の平均及び式(2)によって熱源機単体の加熱能力を算出
する。
XQH, d= (txi, H−txo,H) ・cw・ρw・XRw ··········································· (2)
ここに, XQH,d: 二次側温水加熱用熱交換器の出入口温水温度の変化幅
から求めた熱源機単体の加熱能力 (kW)
XRw: 二次側温水加熱用熱交換器を通過する標準流量 (m3/s)
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
txi,H: 二次側温水加熱用熱交換器の入口温水温度 (℃)
txo,H: 二次側温水加熱用熱交換器の出口温水温度 (℃)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2図3 直接法加熱試験の機器類配置例
b) 間接法(附属書2図4参照) 氷蓄熱ユニットと同一加熱条件で運転する同一形式の圧縮機をもつウ
ォータチリングユニットのデータ並びに氷蓄熱ユニットの圧縮機冷媒特性値及び電気入力を測定,JIS
B 8613の附属書1(冷却能力及びヒートポンプ加熱能力試験)の3.(試験方法),3.3.3(校正圧縮機法)
に準じて,熱源機単体の加熱能力を求める。
附属書2図4 間接法加熱試験の機器類配置例
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B 8625 : 2002
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附属書3(規定) 日量能力試験方法
1. 適用範囲 この附属書は,アイス・オン・コイル製氷方式の空冷式及び水冷式氷蓄熱ユニット(以下,
氷蓄熱ユニットという。)の日量能力を測定する方法について規定する。
2. 試験方法の種類 氷蓄熱ユニットの日量能力の試験は,冷却試験及び加熱試験による。ただし,氷蓄
熱ユニットを冷却専用に供する場合は,冷却だけの試験でよい。
a) 冷却試験
1) 直接法 氷蓄熱ユニットから供給される二次側冷水の水量及び出入口水温変化の幅から氷蓄熱ユニ
ットの日量冷却能力を測定する方法。
2) 間接法 蓄熱槽内で融解された氷量及び槽内水の水温変化の幅,更に氷蓄熱ユニットと同一条件で
運転する同一形式の圧縮機をもつウォータチリングユニットのデータ並びに氷蓄熱ユニットの冷媒
特性及び電気入力を測定することによって日量冷却能力を求める方法。
b) 加熱試験
1) 直接法 氷蓄熱ユニットから供給される二次側温水の水量及び出入口水温変化の幅から氷蓄熱ユニ
ットの日量加熱能力を測定する方法。
2) 間接法 蓄熱槽内の水温変化の幅,更に氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧縮機を
もつウォータチリングユニットのデータ並びに氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定する
ことによって日量加熱能力を求める方法。
3. 試験方法
3.1
一般
a) 本体5.(試験),5.1(一般条件)及び5.2(試験方法)に示す条件で試験を行う。
b) 冷却試験において,この附属書では融解した氷量を氷の融解に伴う水位の変化から求めることとして
いる。この場合,水位の変化に対応する氷量の変化をあらかじめ計量しておく必要がある。
なお,同等の精度で測定できる他の方法によって,融解した氷量を測定してもよい。
3.2
冷却試験
a) 直接法(附属書3図1参照) 槽内水をかくはんし槽内の平均水温及び凝縮器入口側空気温度を本体
表2の試験条件になるように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ蓄
熱運転する。その後,凝縮器入口側空気又は冷却水温度及び二次側冷水温度を本体表2の試験条件に
なるように変更して,氷蓄熱ユニットを製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ標準流量で冷
却運転を行う。冷却運転時間中は,二次側冷水のい(往)き及び戻り温度を⊿j時間ごとに測定する。
同時に氷蓄熱ユニットに流出入する二次側冷水の流量を測定し,式(1)によって日量冷却能力を算出す
る。
なお,日量能力試験における蓄熱運転を蓄熱容量試験で代用してもよい。その場合,蓄熱容量試験
を終えた後に速やかに冷却運転へと移行させる必要がある。
UQc, d=Σ (tu, i, j−tu, o, j) ・cw・ρw・URw・⊿j ···································· (1)
ここに, UQc,d: 氷蓄熱ユニットに流出入する二次側冷水の温度差及び
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
流量から求めた日量冷却能力 (kJ) {kW・h}
URw: ⊿j時間に氷蓄熱ユニットに流出入する二次側冷水の標
準流量 (m3/⊿j)
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
tu,i,j: j時刻の氷蓄熱ユニット入口の二次側冷水温度 (℃)
tu,o,j: j時刻の氷蓄熱ユニット出口の二次側冷水温度 (℃)
⊿j: 計測時間間隔 (h),⊿jは10分以内を原則とする。
Σ: 製造業者の指定する冷却運転時間(最大で10時間)に
対する⊿j時間ごとの計測値の累積和
附属書3図1 冷却試験・直接法の機器類配置例
b) 間接法 槽内水をかくはんし槽内の平均水温及び凝縮器入口側空気又は冷却水温度を本体表2の試験
条件になるように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ蓄熱運転する。
蓄熱運転終了後,速やかに槽内水をかくはんし槽内の平均水温(蓄熱終了時の平均水温)及び製氷用
熱交換器出入口のブライン温度並びに蓄熱槽内水位を測定する。その後,凝縮器入口側空気又は冷却
水温度及び二次側冷水温度を本体表2の試験条件になるように変更して,氷蓄熱ユニットを製造業者
が指定する時間(最大で10時間)だけ標準流量で冷却運転を行う。冷却運転時間中は,氷蓄熱ユニッ
トの圧縮機冷媒特性値及び電気入力を⊿j時間ごとに測定する。氷蓄熱ユニットを停止させた後,蓄
熱槽内水位を測定し,続いて槽内水をかくはんして槽内の平均水温(冷却運転終了時の平均水温)及
び製氷用熱交換器出入口のブライン温度を測定する。蓄熱槽から取り出し利用した熱量を式(2)から,
また,熱源機で製造された熱量を式(3)によって算出し,式(4)によって日量冷却能力を算出する。
なお,日量能力試験における蓄熱運転を蓄熱容量試験で代用してもよい。その場合,蓄熱容量試験
を終えた後に速やかに冷却運転へと移行させる必要がある。
UQc, kw= (tw1, u−tw2, u) ・cw・ρw・Gw+Im・lhj
+ (tB1, u−tB2, u) ・cB・ρB・GB+| (tB1, u/2) ・cj・Im| ·············· (2)
ここに, UQc,kw: 氷の融解量及び水温の変化幅から求めた蓄熱槽からの
取出し熱量 (kJ) {kW・h}
Gw: 水張り量 (m3)
Im: 水位の変化から求めた氷の融解量 (kg)
GB: 製氷コイル内のブラインの量 (m3)
lhj: 氷の融解潜熱 (kJ/kg)
cB: ブラインの比熱 [kJ/ (kg・K)]
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
cj: 氷の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
ρB: ブラインの密度 (kg/m3)
tw1,u: 蓄熱終了時の蓄熱槽内平均水温 (℃)
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B 8625 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
tw2,u: 冷却終了時の蓄熱槽内平均水温 (℃)
tB1,u: 蓄熱終了時のブラインの平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代表)
tB2,u: 冷却終了時のブラインの平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代表)
UQc, KE=Σφuc・⊿j······································································ (3)
ここに,
UQc,KE: 氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧縮
機をもつウォータチリングユニットのデータ並びに氷
蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定すること
によって求めた熱源機単体からの取出し熱量 (kJ)
{kW・h}
φuc: JIS B 8613の附属書1(冷却能力及びヒートポンプ加熱
能力試験)3.(試験方法),3.3.3(校正圧縮機法)に準
じて求めた,⊿j時間ごとの熱源機単体の冷却能力(kJ/
⊿j)
⊿j: 計測時間間隔 (h),⊿jは10分以内を原則とする。
Σ: 製造業者の指定する冷却運転時間(最大で10時間)に
対する⊿j時間ごとのφuc値の累積和
UQc, K=UQc, KW+UQc, KE ···························································· (4)
ここに,
UQc,K: 蓄熱槽内で融解された氷量及び槽内水の水温変化の
幅,更に氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形
式の圧縮機をもつウォータチリングユニットのデータ
並びに氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定
することによって求めた日量冷却能力 (kJ) {kW・h}
UQc,KW: 氷の融解量及び水温の変化幅から求めた,蓄熱槽から
二次側への取出し熱量 (kJ) {kW・h}
UQc,KE: 氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧縮
機をもつウォータチリングユニットのデータ並びに氷
蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定すること
によって求めた,熱源機単体から二次側への取出し熱
量 (kJ) {kW・h}
備考 式(2)の第3項に示すブラインの顕熱放熱量,及び第4項に示す氷の顕熱放熱量については省略
してもよい。その場合,ブラインの温度計測は不要となる。
なお,第4項は蓄熱終了時の氷内部は直線的温度こう配をもち,水と氷の界面は0℃と簡易
化した扱いである。また,直膨タイプの製氷方式における冷媒が保有する蓄熱量は無視した扱
いである。
なお,冷却試験時・間接法における機器類の配置例は,附属書1図1(ただし,蓄熱時とは
逆順のプロセスとなる。)及び附属書2図2の組合せに相当する。
3.3
加熱能力試験
a) 直接法(附属書3図2参照) 槽内水をかくはんし槽内の平均水温及び蒸発器入口側空気又は冷却水
温度を本体表2の試験条件になるように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10
時間)だけ蓄熱運転する。その後,蒸発器入口側空気又は冷却水温度及び二次側温水温度を本体表2
の試験条件になるように変更して,氷蓄熱ユニットを製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ
標準流量で加熱運転を行う。加熱運転時間中は,二次側温水のい(往)き及び戻り温度を⊿j時間ご
とに測定する。同時に氷蓄熱ユニットに流出入する二次側温水の流量を測定し,式(5)によって日量加
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B 8625 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
熱能力を算出する。
なお,日量能力試験における蓄熱運転を蓄熱容量試験で代用してもよい。その場合,蓄熱容量試験
を終えた後に速やかに加熱運転へと移行させる必要がある。
UQH, d=Σ (tu, i, j−tu, o, j) ・cw・ρw・URw・⊿j ···································· (5)
ここに, UQH,d: 氷蓄熱ユニットに流出入する二次側温水の温度差及び
流量から求めた日量加熱能力 (kJ) {kW・h}
URw: ⊿j時間に氷蓄熱ユニットに流出入する二次側温水の標
準流量 (m3/⊿j)
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K) ]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
tu,i,j: j時刻の氷蓄熱ユニット入口の二次側温水温度 (℃)
tu,o,j: j時刻の氷蓄熱ユニット出口の二次側温水温度 (℃)
⊿j: 計測時間間隔 (h),⊿jは10分以内を原則とする。
Σ: 製造業者の指定する暖房運転時間(最大で10時間)に
対する⊿j時間ごとの計測値の累積和
附属書3図2 加熱試験時・直接法の機器類配置例
b) 間接法 槽内水をかくはんし槽内の平均水温及び蒸発器入口側空気又は冷却水温度を本体表2の試験
条件になるように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ蓄熱運転する。
蓄熱運転終了後,速やかに槽内水をかくはんし槽内の平均水温(蓄熱終了時の平均水温)を測定する。
その後,蒸発器入口側空気又は冷却水温度及び二次側温水温度を本体表2の試験条件になるように変
更して,氷蓄熱ユニットを製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ標準流量で加熱運転を行う。
加熱運転時間中は,氷蓄熱ユニットの圧縮機冷媒特性値及び電気入力を⊿j時間ごとの測定する。氷
蓄熱ユニットを停止させた後,槽内水をかくはんして槽内の平均水温(加熱運転終了時の平均水温)
及び製氷用熱交換器出入口のブライン温度を測定する。蓄熱槽から取り出し利用した熱量を式(6)によ
って,また,熱源機器によって製造された熱量を式(7)によって算出し,式(8)によって日量加熱能力を
算出する。
なお,日量能力試験における蓄熱運転を蓄熱容量試験で代用してもよい。その場合,蓄熱容量試験
を終えた後に速やかに加熱運転へと移行させる必要がある。
UQH, Kw= (tw1, u−tw2, u) ・cw・ρw・Gw
+ (tB1, u−tB2, u) ・cB・ρB・GB ········································· (6)
ここに, UQH,Kw: 水温の変化幅から求めた蓄熱槽からの取出し熱量 (kJ)
{kW・h}
Gw: 水張り量 (m3)
GB: 製氷コイル内のブラインの量 (m3)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
cB: ブラインの比熱 [kJ/ (kg・K)]
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
ρB: ブラインの密度 (kg/m3)
tw1,u: 蓄熱終了時の蓄熱槽内平均水温 (℃)
tw2,u: 加熱終了時の蓄熱槽内平均水温 (℃)
tB1,u: 蓄熱終了時のブラインの平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代
表)
tB2,u: 加熱終了時のブラインの平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代
表)
UQH, KE=ΣφuH・⊿j ····································································· (7)
ここに,
UQH,KE: 氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧縮
機単体のデータ並びに氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び
電気入力を測定することによって求めた熱源機単体か
らの取出し熱量 (kJ) {kW・h}
φuH: JIS B 8613の附属書1(冷却能力及びヒートポンプ加
熱能力試験)3.(試験方法),3.3.3(校正圧縮機法)に
準じて求めた,⊿j時間ごとの熱源機単体の加熱能力
(kJ/⊿j)
⊿j: 計測時間間隔 (h),⊿jは10分以内を原則とする。
Σ: 製造業者の指定する加熱運転時間(最大で10時間)に
対する⊿j時間ごとのφuH値の累積和
UQH, K=UQH, KW+UQH, KE ··························································· (8)
ここに,
UQH,K: 蓄熱槽内の水温変化の幅,更に,氷蓄熱ユニットと同
一条件で運転する同一形式の圧縮機単体のデータ並
びに氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定
することによって求めた日量加熱能力 (kJ) {kW・h}
UQH,KW: 水温の変化幅から求めた,蓄熱槽から二次側への取出
し熱量 (kJ) {kW・h}
UQH,KE: 氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧
縮機単体のデータ並びに氷蓄熱ユニットの冷媒特性
及び電気入力を測定することによって求めた熱源機
単体から二次側への取出し熱量 (kJ) {kW・h}
備考 式(6)の第2項に示すブラインの顕熱放熱量については省略してもよい。その場合,ブラインの
温度計測は不要となる。
また,直凝縮タイプの加熱方式における冷媒が保有する蓄熱量は無視した扱いである。
なお,加熱試験時・間接法における機器類の配置例は,附属書1図3(ただし,蓄熱時とは
逆順のプロセス)及び附属書2図4の組合せに相当する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書4(規定) 最大能力試験方法
1. 適用範囲 この附属書は,アイス・オン・コイル製氷方式の空冷式及び水冷式氷蓄熱ユニット(以下,
氷蓄熱ユニットという。)の最大能力を測定する方法について規定する。
2. 試験方法の種類 氷蓄熱ユニットの最大能力の試験は,冷却試験及び加熱試験による。ただし,氷蓄
熱ユニットを冷却専用に供する場合は冷却だけの試験でよい。
a) 冷却試験
1) 直接法 氷蓄熱ユニットから供給される負荷側冷水の水量及び出入口水温変化の幅から氷蓄熱ユニ
ットの最大冷却能力を測定する方法。
2) 間接法 蓄熱槽内で融解された氷量及び槽内水の水温変化の幅,更に氷蓄熱ユニットと同一条件で
運転する同一形式の圧縮機をもつウォータチリングユニット単体のデータ並びに氷蓄熱ユニットの
冷媒特性及び電気入力を測定することによって,最大冷却能力を求める方法。
b) 加熱試験
1) 直接法 氷蓄熱ユニットから供給される負荷側温水の水量及び出入口水温変化の幅から氷蓄熱ユニ
ットの最大加熱能力を測定する方法。
2) 間接法 蓄熱槽内の水温変化の幅,更に氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧縮機を
もつウォータチリングユニットのデータ並びに氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定する
ことによって最大加熱能力を求める方法。
3. 試験方法
3.1
一般
a) 本体5.(試験),5.1(一般条件)及び5.2(試験方法)に示す条件で試験を行う。
b) 冷却試験において,この附属書では融解した氷量を,氷の融解に伴う水位の変化量から求めることと
している。この場合,水位の変化に対応する氷量の変化をあらかじめ測定しておく必要がある。
なお,同等の精度で測定できる他の方法によって,融解した氷量を測定してもよい。
3.2
冷却試験
a) 直接法 槽内水をかくはんし槽内の平均水温及び凝縮器入口側空気温度を本体表2の試験条件になる
ように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ蓄熱運転する。その後,
凝縮器入口側空気温度を本体表2の試験条件になるように変更して,氷蓄熱ユニットを製造業者の指
定する流量で,かつ,負荷側冷水温度を製造業者が指定する維持冷却温度(7℃以下)で冷却運転を行
う。冷却運転時間中は,負荷側冷水のい(往)き及び戻り温度を⊿j時間ごとに測定する。同時に氷
蓄熱ユニットに流出入する負荷側冷水の流量を測定し,式(1)によって最大冷却能力を算出する。その
際,製造業者が指定する維持冷却温度を維持できる時間(維持時間)を測定する。
なお,最大冷却能力試験における蓄熱運転を,蓄熱容量試験で代用してもよい。その場合,蓄熱容
量試験を終えた後に速やかに冷却運転へと移行させる必要がある。
UMQc, d= [Σ (tu, i, j−tu, o, j) ・cw・ρw・RGw・⊿j] /τc ·························· (1)
ここに, UMQc,d: 氷蓄熱ユニットに流出入する負荷側冷水の温度差及び
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B 8625 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
流量から求めた最大冷却能力 (kW)
RGw: ⊿j時間に氷蓄熱ユニットに流出入する負荷側冷水の
製造業者の指定する流量(m3/⊿j)
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
tu,i,j: j時刻の氷蓄熱ユニット入口の負荷側冷水温度 (℃)
tu,o,j: j時刻の氷蓄熱ユニット出口の負荷側冷水温度 (℃)
j: 計測時間間隔 (h),⊿jは10分以内を原則とする。
Σ: 製造業者の指定する維持冷却時間(最小で1時間単位)
に対する⊿j時間ごとの計測値の累積和
τc: 製造業者が指定する維持冷却温度を維持できる時間
(維持時間) (h)
備考 冷却試験時・直接法における機器類の配置例は,附属書3図1が相当する。
b) 間接法 槽内水をかくはんし槽内の平均水温及び凝縮器入口側空気温度を本体表2の試験条件になる
ように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ蓄熱運転する。蓄熱運転
終了後,速やかに槽内水をかくはんし槽内の平均水温(蓄熱終了時の平均水温)及び製氷用熱交換器
出入口のブライン温度,蓄熱槽内水位を測定する。その後,凝縮器入口側空気温度を本体表2の試験
条件になるように変更して,氷蓄熱ユニットを製造業者の指定する流量で,かつ,負荷側冷水温度を
製造業者が指定する維持冷却温度(7℃以下)で冷却運転を行う。冷却運転時間中は,氷蓄熱ユニット
の圧縮機冷媒特性値及び電気入力を⊿j時間ごとに測定する。その際,製造業者が指定する維持冷却
温度を維持できる時間(維持時間)だけ氷蓄熱ユニットを運転する。運転停止後,蓄熱槽内水位を測
定し,続いて槽内水をかくはんして槽内の平均水温(維持時間終了時の平均水温)及び製氷用熱交換
器出入口のブライン温度を測定する。蓄熱槽から取り出し利用した熱量を式(2)によって,また,熱源
機で製造された熱量を式(3)によって算出し,式(4)によって最大冷却能力を算出する。
なお,最大冷却能力試験における蓄熱運転を,蓄熱容量試験で代用してもよい。その場合,蓄熱容
量試験を終えた後に速やかに冷却運転へと移行させる必要がある。
UMQc, Kw= (tw1, u−tw2, u) ・cw・ρw・Gw+Im・lhj
+ (tB1, u−tB2, u) ・cB・ρB・GB+| (tB1, u/2) ・cj・Im| ··········· (2)
ここに, UMQc,Kw: 氷の融解量及び水温の変化幅から求めた,蓄熱槽から
の取出し熱量 (kJ) {kW・h}
Gw: 水張り量 (m3)
Im: 水位の変化から求めた氷の融解量 (kg)
GB: 製氷コイル内のブライン量 (m3)
lhj: 氷の融解潜熱 (kJ/kg)
cB: ブラインの比熱 [KJ/ (kg・K)]
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
cj: 氷の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
ρB: ブラインの密度 (kg/m3)
tw1,u: 蓄熱終了時の蓄熱槽内平均水温 (℃)
tw2,u: 維持時間終了時の蓄熱槽内平均水温 (℃)
tB1,u: 蓄熱終了時のブライン平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代
表)
tB2,u: 維持時間終了時のブライン平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代
表)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
UMQc, KE=Σφuc・⊿j ··································································· (3)
ここに,
UMQc,KE: 氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧
縮機をもつウォータチリングユニットのデータ並び
に氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定す
ることによって求めた熱源機単体からの取出し熱量
(kJ) {kW・h}
φuc: JIS B 8613の附属書1(冷却能力及びヒートポンプ加
熱能力試験)3.(試験方法),3.3.3(校正圧縮機法)
に準じて求めた,⊿j時間ごとの熱源機単体の冷却能
力 (kJ/⊿j)
⊿j: 計測時間間隔 (h),⊿jは10分以内を原則とする。
Σ: 製造業者の指定する維持時間(最小で1時間単位)
に対する⊿j時間ごとのφuc値の累積和
UMQc, K= (UMQc, KW+UMQc, KE) /τc ············································ (4)
ここに,
UMQc,K: 蓄熱槽内で融解された氷量及び槽内水の水温変化の
幅,更に,氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同
一形式の圧縮機をもつウォータチリングユニットの
データ並びに氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入
力を測定することによって求めたときの最大冷却能
力 (kW)
UMQc,KW: 氷の融解量及び水温の変化幅から求めた,蓄熱槽か
ら負荷側への取り出した熱量 (kJ)
UMQc,KE: 氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧
縮機をもつウォータチリングユニットのデータ並び
に氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定す
ることによって求めた,熱源機単体から負荷側への
取出し熱量 (kJ)
τc: 製造業者が指定する維持冷却温度を維持できる時間
(維持時間)(h)
備考 式(2)の第3項に示すブラインの顕熱放熱量,及び第4項に示す氷の顕熱放熱量については省略
してもよい。その場合,ブラインの温度計測は不要となる。
なお,第4項は蓄熱終了時の氷内部は直線的温度こう配をもち,水と氷の界面は0℃と簡易
化した扱いである。
また,直膨タイプの製氷方式における冷媒が保有する蓄熱量は,無視した扱いである。
熱源機の運転を伴わない場合は,式(4)の第2項に示す熱源機単体から負荷側への取出し熱量
を省略する。冷却試験時・間接法における機器類の配置例は,附属書1図1(ただし,蓄熱時
とは逆順のプロセス)及び附属書2図2の組合せに相当する。
3.3
加熱試験
a) 直接法 槽内水をかくはんし,槽内の平均水温及び蒸発器入口側空気温度を本体表2の試験条件にな
るように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ蓄熱運転する。その後,
蒸発器入口側空気温度を本体表2の試験条件になるように変更して,氷蓄熱ユニット製造業者の指定
する流量で,かつ,負荷側温水温度を製造業者が指定する維持加熱温度(45℃以上)で加熱運転を行
う。加熱運転時間中は,負荷側温水のい(往)き及び戻り温度を⊿j時間ごとに測定する。同時に氷
蓄熱ユニットに流出入する負荷側温水の流量を測定し,式(5)によって最大加熱能力を算出する。その
際,製造業者が指定する維持加熱温度を維持できる時間(維持時間)を測定する。
なお,最大加熱能力試験における蓄熱運転を,蓄熱容量試験で代用してもよい。その場合,蓄熱容
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量試験を終えた後に速やかに加熱運転へと移行させる必要がある。
UMQH, d=Σ (tu, i, j−tu, o, j) ・cw・ρw・RRw・⊿j] /τH ···························· (5)
ここに, UMQH,d: 氷蓄熱ユニットに流出入する負荷側温水の温度差及
び流量から求めた最大加熱能力 (kW)
RRw: ⊿j時間に氷蓄熱ユニットに流出入する負荷側温水の
製造業者指定する流量 (m3/⊿j)
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
tu,i,j: j時刻の氷蓄熱ユニット入口の負荷側温水温度 (℃)
tu,o,j: j時刻の氷蓄熱ユニット出口の負荷側温水温度 (℃)
⊿j: 計測時間間隔 (h),⊿jは10分以内を原則とする。
Σ: 製造業者の指定する維持時間(最小で1時間単位)に
対する⊿j時間ごとの測定値の累積和
τH: 製造業者が指定する維持加熱温度を維持できる時間
(維持時間) (h)
備考 加熱試験時・直接法における機器類の配置例は,附属書3図2に相当する。
b) 間接法 槽内水をかくはんし槽内の平均水温及び蒸発器入口側空気温度を本体表2の試験条件になる
ように整える。次に熱源機を製造業者が指定する時間(最大で10時間)だけ蓄熱運転する。蓄熱運転
終了後,速やかに槽内水をかくはんし槽内の平均水温(蓄熱終了時の平均水温)を測定する。その後,
蒸発器入口側空気温度を本体表2の試験条件になるように変更して,氷蓄熱ユニットを製造業者の指
定する流量で,かつ,負荷側温水温度を製造業者が指定する維持加熱温度(45℃以上)で加熱運転を
行う。加熱運転時間中は,氷蓄熱ユニットの圧縮機冷媒特性値及び電気入力を⊿j時間ごとに測定す
る。その際,製造業者が指定する維持加熱温度を維持できる時間(維持時間)だけ氷蓄熱ユニットを
運転する。運転停止後,槽内水をかくはんして槽内の平均水温(維持時間終了時の平均水温)及び製
氷用熱交換器出入口のブライン温度を測定する。蓄熱槽から取り出し利用した熱量を式(6)によって,
また,熱源機で製造された熱量を式(7)によって算出し,式(8)によって最大加熱能力を算出する。
なお,最大加熱能力試験における蓄熱運転を,蓄熱容量試験で代用してもよい。その場合,蓄熱容
量試験を終えた後に速やかに加熱運転へと移行させる必要がある。
UMQH, Kw= (tw1, u−tw2, u) ・cw・ρw・Gw
+ (tB1, u−tB2, u) ・cB・ρB・GB ········································ (6)
ここに, UMQH,Kw: 水温の変化幅から求めた蓄熱槽からの取出し熱量
(kJ) {kW・h}
Gw: 水張り量 (m3)
GB: 製氷コイル内のブライン量 (m3)
cB: ブラインの比熱 [kJ/ (kg・K)]
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
ρB: ブラインの密度 (kg/m3)
tw1,u: 蓄熱終了時の蓄熱槽内平均水温 (℃)
tw2,u: 維持時間終了時の蓄熱槽内平均水温 (℃)
tB1,u: 蓄熱終了時のブライン平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代
表)
tB2,u: 維持時間終了時のブライン平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代
表)
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UMQH, KE=ΣφuH・⊿j ··································································· (7)
ここに,
UMQH,KE: 氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧
縮機をもつウォータチリングユニットのデータ並び
に氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定す
ることによって求めた熱源機単体からの取出し熱量
(kJ) {kW・h}
φuH: JIS B 8613の附属書1(冷却能力及びヒートポンプ加
熱能力試験)3.(試験方法),3.3.3(校正圧縮機法)
に準じて求めた,⊿j時間ごとの熱源機単体の加熱能
力 (kJ/⊿j) {kW・h/⊿j}
⊿j: 計測時間間隔 (h),⊿jは10分以内を原則とする。
Σ: 製造業者の指定する維持時間(最小で1時間単位)
に対する⊿j時間ごとのφuH値の累積和
UMQH, K= (UMQH, KW+UMQH, KE) /τH ············································ (8)
ここに,
UMQH,K: 蓄熱槽内の水温変化の幅,更に,氷蓄熱ユニットと
同一条件で運転する同一形式の圧縮機をもつウォー
タチリングユニットのデータ並びに氷蓄熱ユニット
の冷媒特性及び電気入力を測定することによって求
めた最大加熱能力 (kW)
UMQH,KW: 水温の変化幅から求めた,蓄熱槽から負荷側への取
出し熱量 (KJ) {kW・h}
UMQH,KE: 氷蓄熱ユニットと同一条件で運転する同一形式の圧
縮機をもつウォータチリングユニットのデータ並び
に氷蓄熱ユニットの冷媒特性及び電気入力を測定す
ることによって求めた,熱源機単体から負荷側への
取出し熱量 (kJ) {kW・h}
τH: 製造業者が指定する維持加熱温度を維持できる時間
(維持時間) (h)
備考 式(6)の第2項に示すブラインの顕熱放熱量については省略してもよい。その場合,ブラインの
温度計測は不要となる。
また,直凝縮タイプの加熱方式における冷媒が保有する蓄熱量は無視した扱いである。
熱源機の運転を伴わない場合は,式(8)の第2項に示す熱源機単体から負荷側への取出し熱量
を省略する。
なお,加熱試験時・間接法における機器類の配置例は,附属書1図3(ただし,蓄熱時とは
逆順のプロセス)及び附属書2図4の組合せに相当する。
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附属書5(規定) 断熱能力試験方法
1. 適用範囲 この附属書は,アイス・オン・コイル製氷方式の空冷式及び水冷式氷蓄熱ユニット(以下,
氷蓄熱ユニットという。)の断熱能力を測定する方法について規定する。
2. 試験方法の種類 氷蓄熱ユニットの断熱能力の試験方法は,冷却試験及び加熱試験を原則とするが,
水位の変化等を精度良く読み取るに至る放置時間が長時間に及ぶ場合は,冷却試験を省略し加熱試験で代
用してもよい。氷蓄熱ユニットを冷房だけに供する場合においても,加熱試験で代用してもよい。
a) 冷却試験
1) 所定の時間放置した後にも,槽内に氷が存在する氷蓄熱ユニットの場合。
2) 所定の時間放置した後には,すべての槽内の氷が融解した状態にある氷蓄熱ユニットの場合。
b) 加熱試験 氷蓄熱ユニットを暖房にも用いる場合。
3. 試験方法
3.1
一般
a) 本体5.(試験),5.1(一般条件)及び5.2(試験方法)に示す条件で試験を行う。ただし,外気条件を
合致させることができない場合は,試験を行った実際の条件で測定したデータを温度差で換算してよ
い。
b) 冷却試験において,この附属書では融解した氷量を,氷の融解に伴う水位の変化量から求めることと
している。この場合,水位の変化に対応する氷量の変化をあらかじめ測定しておく必要がある。
なお,同等の精度で測定できる他の方法によって,融解した氷量を測定してもよい。
3.2
冷却試験
a) 所定の時間放置した後にも,槽内に氷が存在する氷蓄熱ユニットの場合(附属書5図1参照)。製造業
者が指定する蓄熱容量を充足させた状態から,本体表2の試験条件で24時間以上放置する。その間の
水位の変化から融解した氷量を求め,式(1)によって24時間当たりに換算した断熱能力を算定する。
UQc, j= (Im×lhj) 24/τz ······························································· (1)
ここに, LQc,j: 氷の融解量から求めた氷蓄熱ユニットの断熱能力
(kJ/d) {kW・h/d}
Im: 放置時間における氷の融解量 (kg)
lhj: 氷の融解潜熱 (kJ/kg)
τz: 放置時間 (h)
24: 24時間当たりへの換算係数 (h/d)
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附属書5図1 断熱試験・冷却(放置後も残氷)の機器類配置例
b) 所定の時間放置した後には,すべての槽内の氷が融解した状態にある氷蓄熱ユニットの場合(附属書
5図2参照)。
製造業者が指定する蓄熱容量を充足させた状態で,製氷用熱交換器の出入口ブライン温度を測定す
る。そのまま,本体表2の試験条件で24時間以上放置する。その間の水位の変化から氷の融解量を求
める。その後,槽内水をかくはんし槽内水温が一様な状況になった状態で槽内水の水温(放置後の平
均水温)を測定し,24時間当たりに換算した断熱能力を式(2)によって算定する。
LQc, jw= [(tw1, c−tw2, c) ・cw・ρw・Gw+ (tB1/2) ・cj・Im
+Im・lhj+ (tw2, c−tB1) ・cB・ρB・GB] ×24/τz ·························· (2)
ここに, LQc, jw: 氷の融解量及び放置後の平均水温から求めた氷蓄熱ユ
ニットの断熱能力 (kJ/d) {kW・h/d}
Gw: 水張り量 (m3)
Im: 水位の変化から求めた氷の融解量 (kg)
GB: 製氷コイル内のブラインの量 (m3)
lhj: 氷の融解潜熱 (kJ/kg)
cB: ブラインの比熱 [kJ/ (kj・K)]
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
cj: 氷の比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
ρB: ブラインの密度 (kg/m3)
tw1,c: 蓄熱容量を充足させた状態の蓄熱槽内の平均水温 (℃)
tB1: 蓄熱容量を充足させた状態のブラインの平均温度 (℃)
(製氷用熱交換器の入口及び出口温度の平均値で代表)
tw2,c: 放置後の蓄熱槽内平均水温 (℃)
τz: 放置時間 (h)
24: 24時間当たりへの換算係数 (h/d)
附属書5図2 断熱試験・冷却(放置後は融解)の機器類配置例
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3.3
加熱試験(附属書5図3参照) 製造業者が指定する蓄熱容量を充足させた状態で槽内をかくはん
し,槽内水温を一様な状況にして槽内水の水温(蓄熱容量を充足させた状態の平均水温)を測定する。そ
のまま,本体表2の試験条件で24時間以上放置する。その後,槽内水をかくはんし槽内水温が一様な状況
になった状態で槽内水の水温(放置後の平均水温)を測定し,24時間当たりに換算した断熱能力を式(3)
によって算出する。
LQH= [(tw1, H−tw2, H) ・ (cw・ρw・Gw+cB・ρB・GB)] ×24/τz ·················· (3)
ここに,
LQH: 槽内水の温度変化から求めた氷蓄熱ユニットの断熱能力
(kJ/d) {kW・h/d}
Gw: 水張り量 (m3)
GB: 製氷コイル内のブライン量 (m3)
cw: 水の比熱 [kJ/ (kg・K)]
cB: ブラインの比熱 [kJ/ (kg・K)]
ρw: 水の密度 (kg/m3)
ρB: ブラインの密度 (kg/m3)
tw1,H: 蓄熱容量を充足させた状態の蓄熱槽内の平均水温 (℃)
tw2,H: τz時間放置後の蓄熱槽内平均水温 (℃)
τz: 放置時間 (h)
24: 24時間当たりへの換算係数 (h/d)
附属書5図3 断熱試験・加熱の機器類配置例
備考 冷却試験で,24時間放置後に残氷がある場合は,ブラインには温度変化がないとした扱いで,
かつ,残氷がある間は槽内水は自然対流によるかくはんが促進され,槽内水の温度変化は小さ
く,かつ,融解した氷の顕熱変化分も小さいと仮定した簡易な扱いである。一方,24時間放置
後に残氷がない場合は,当初の氷内部は直線的温度分布をもち,氷と槽内水の界面は0℃一定
と仮定して,融解した氷の,またブラインの顕熱変化分も考慮した扱いである。
なお,製氷用熱交換器の熱容量及び直膨タイプの製氷方式における冷媒が保有する熱量は,
冷却試験及び加熱試験ともに省略して扱っている。また,冷却試験で残氷がない場合と加熱試
験では,24時間放置後のブライン温度は槽内水温度と等しいと簡略化している。
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日本工業標準調査会標準部会 産業機械技術専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
岡 村 弘 之
東京理科大学
(委員)
朝 田 泰 英
財団法人電力中央研究所
大 地 昭 生
日本内燃機関連合会
大 湯 孝 明
社団法人日本農業機械工業会
岡 崎 治 義
社団法人日本建設機械化協会
重 久 吉 弘
財団法人エンジニアリング振興協会
竹 原 敏 郎
農林水産省生産局
筒 井 康 賢
独立行政法人産業技術総合研究所
西 本 德 生
厚生労働省労働基準局
橋 元 和 男
国土交通省総合政策局
平 野 正 明
社団法人日本機械工業連合会
藤 咲 浩 二
社団法人日本産業機械工業会
松 山 新一郎
株式会社豊田自動織機
宮 川 嘉 朗
社団法人全国木工機械工業会