B 8621:2019
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 種類及び標準機器構成 ······································································································· 4
4.1 種類 ···························································································································· 4
4.2 標準機器構成 ················································································································ 5
4.3 電源 ···························································································································· 6
5 定格条件························································································································· 6
5.1 標準定格条件 ················································································································ 6
5.2 応用定格条件 ················································································································ 6
5.3 汚れ係数 ······················································································································ 6
5.4 部分負荷 ······················································································································ 6
6 試験方法························································································································· 9
7 合否判定························································································································ 10
7.1 一般 ··························································································································· 10
7.2 機能試験 ····················································································································· 10
7.3 性能試験 ····················································································································· 10
8 検査項目························································································································ 10
8.1 形式検査項目 ··············································································································· 10
8.2 受渡検査項目 ··············································································································· 11
9 表示及び受渡図書 ············································································································ 11
9.1 表示 ··························································································································· 11
9.2 受渡図書 ····················································································································· 11
附属書A(規定)冷凍機の試験,記録及び算定方法 ··································································· 12
附属書B(規定)圧力損失試験 ······························································································ 21
附属書C(規定)騒音試験 ···································································································· 23
附属書D(規定)期間成績係数の算定方法 ··············································································· 25
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
冷凍空調工業会(JRAIA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規
格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規
格である。
これによって,JIS B 8621:2011は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
B 8621:2019
遠心冷凍機
Centrifugal water chillers
1
適用範囲
この規格は,遠心圧縮機,圧縮機駆動用電動機,蒸発器,水冷凝縮器,附属冷媒配管,制御装置などに
よって冷凍サイクルを構成し,水の冷却又は加熱を行う遠心冷凍機(以下,冷凍機という。)で,この規格
の標準定格に従った冷凍能力又はヒートポンプ加熱能力が,150 kW以上の冷凍機について規定する。
なお,この規格は,温度35 ℃において飽和蒸気圧力が3 MPa以下の実用的な冷媒を使用する冷凍機に
適用し,水以外のブラインを用いて冷却及び加熱するもの,並びに飲用に供するものには適用しない。
注記 この規格で用いる圧力はゲージ圧力である。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 8240 冷凍用圧力容器の構造
JIS Z 8731 環境騒音の表示・測定方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
定格
あらかじめ定めた冷凍機の製作基準で作動させたときの特性。標準定格と応用定格とがある。
3.2
標準定格
この規格で定めた標準定格条件を冷凍機の製作基準としたときの定格。
3.3
応用定格
標準定格条件以外の条件を冷凍機の製作基準としたときの定格。
3.4
定格冷凍能力
冷凍機を標準定格条件又は応用定格条件で運転したとき,蒸発器を通過する冷水から除去する熱量。
ヒートポンプ加熱専用形の場合は熱源冷凍能力,熱回収形の場合は熱回収冷凍能力という。単位:kW。
2
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3.5
定格冷凍所要入力
冷凍機を定格で運転したとき,圧縮機駆動用電動機及び附属機器が消費する電力。単位:kW。
附属機器の消費電力には,運転中に作動する油ポンプ(附属する場合),インバータ装置(附属する場合)
及びそれぞれの制御回路の消費電力を含む。油加熱器,抽気装置及びその制御回路の消費電力は含まない。
3.6
冷凍機軸動力
冷凍機を運転したとき,圧縮機入力軸が消費する電力。単位:kW。
増速機を備えた場合は,増速機入力軸が消費する電力(カップリング損失を含む。)とする。
3.7
定格出力
圧縮機駆動用電動機の定格出力。単位:kW。
3.8
排熱量
凝縮器を通過する冷却水へ排熱する熱量。単位:kW。
3.9
ヒートポンプ加熱
熱源側の水から蒸発器の冷媒に吸熱し,凝縮器を通過する温水を加熱する方式。
3.10
ヒートポンプ加熱能力
冷凍機をヒートポンプ加熱条件で運転したとき,凝縮器を通過する温水を加熱する熱量。単位:kW。
3.11
ヒートポンプ所要入力
冷凍機をヒートポンプ加熱条件で運転したとき,圧縮機駆動用電動機及び附属機器が消費する電力。単
位:kW。
附属機器の消費電力には,運転中に作動する油ポンプ(附属する場合),インバータ装置(附属する場合)
及びそれぞれの制御回路の消費電力を含む。油加熱器,抽気装置及びその制御回路の消費電力は含まない。
3.12
ヒートポンプ軸動力
冷凍機をヒートポンプ加熱条件で運転したとき,圧縮機入力軸が消費する電力。単位:kW。
増速機を備えた場合は,増速機入力軸が消費する電力(カップリング損失を含む。)とする。
3.13
最小能力
容量制御機能によって制御できる最小の冷凍能力又はヒートポンプ加熱能力。単位:kW。定格能力比(%)
で表す場合もある。
3.14
定格流量
冷凍機を定格で運転したとき,冷凍機を通過する水流量。単位:L/s,L/min又はm3/h。
3
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3.15
冷却水
凝縮器を通過し,冷凍機から排熱するための水。
3.16
冷水
蒸発器を通過し,冷凍機で冷却される水。
3.17
温水
ヒートポンプ加熱運転時に凝縮器を通過し,冷凍機で加熱される水。
3.18
熱源水
ヒートポンプ加熱運転時に蒸発器を通過し,熱回収される水。
3.19
定格圧力損失
定格流量の水が蒸発器又は凝縮器を通過するとき,入口と出口との間で生じる圧力差。単位:kPa。
3.20
密閉形
圧縮機,電動機,増速機などが同一の冷媒雰囲気内で運転できるよう密閉した構造。
3.21
開放形
圧縮機又は増速機の可動部分をカップリング又は軸封装置を介して外部の電動機と接続する構造。
3.22
抽気装置
不凝縮ガス,水蒸気などを冷凍機内から除去する装置であって,運転中の機内圧力が大気圧以下となる
冷凍機に附属する装置。
3.23
汚れ係数
伝熱面の汚れ(水あか,スケール付着などによる。)によって生じる熱抵抗。単位:m2 K/kW。
3.24
形式検査
同一製造業者が生産する製品に対して,形式ごとに行う機能・性能に関わる検査。
3.25
受渡検査
個々の製作基準条件又は既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造に関わる製品の受渡し時に行う
検査。
3.26
成績係数
COP(Coefficient of Performance)ともいう。また,次のa)及びb)がある。
a) 冷凍専用形,ヒートポンプ加熱専用形及び冷凍・ヒートポンプ加熱切換形 冷凍能力又はヒートポン
プ加熱能力を,冷凍所要入力又はヒートポンプ所要入力で除した値。
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b) 熱回収形(冷凍・ヒートポンプ加熱同時形) 冷凍能力及びヒートポンプ加熱能力両者の合計能力を
ヒートポンプ所要入力で除した値。
3.27
仕様値
受渡当事者間の協定によって定めた値。一般的には仕様書に記載する値。
3.28
負荷率
利用側設備の冷凍負荷と冷凍機の定格冷凍能力との比率。
3.29
期間成績係数
冷凍機が冷凍運転期間を通じて冷凍する熱量の総和と同期間内に消費する総電力との比率。
冷却水条件及び重み係数を期間変動相当としたときの係数で,冷凍機の負荷率を100 %,75 %,50 %及
び25 %の4点として求める。
3.30
標準期間成績係数
標準定格による冷凍機の期間成績係数。IPLV(Integrated Part Load Value)ともいう。
3.31
応用期間成績係数
応用定格による冷凍機の期間成績係数。NPLV(Non-standard Part Load Value)ともいう。
3.32
ヒートバランス
冷凍能力と所要入力との和に対する排熱量(又は排熱量とヒートポンプ加熱能力との和)の比率(%で
表す。)。
4
種類及び標準機器構成
4.1
種類
冷凍機の種類は,次による。
a) 機能による種類
1) 冷凍専用形
2) 冷凍・ヒートポンプ加熱切換形 冷凍専用形又はヒートポンプ加熱専用形に切り換えて運転する冷
凍機。
3) 熱回収形(冷凍・ヒートポンプ加熱同時形) 冷凍と同時にヒートポンプ加熱を行い,冷凍専用に
切換え可能な冷凍機。
4) ヒートポンプ加熱専用形
b) 凝縮器の熱交換の方式 水冷式とする。
c) 圧縮機,熱交換器などの配置構成による種類
1) 一体形 共通架台又は熱交換器上に主要機器を一体組立した構造。
2) 分離形 圧縮機,熱交換器などをそれぞれ独立の基礎上に組み立て,配管接続した構造。
d) 圧縮機の駆動装置 電動機駆動とする。
e) 圧縮機の構造による種類
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1) 密閉形
2) 開放形
f)
圧縮機駆動用電動機の速度制御方式による種類
1) 定速形
2) 可変速形(インバータ制御方式など)
4.2
標準機器構成
冷凍機の標準機器構成は,次による。
a) 圧縮機 単段又は多段遠心形で部分負荷運転のための容量制御機能などを備える。
b) 駆動装置
1) 密閉形 電動機と,必要ならば増速機などとを圧縮機と一体化した駆動装置。
2) 開放形 電動機と,必要ならば増速機などとを圧縮機と個別にした駆動装置。
c) 給油装置 必要な場合,圧縮機,電動機などに給油装置を備える。
d) 凝縮器 冷媒と冷却水又は温水との熱交換器。冷却水側又は温水側の設計圧力は,通常0.7 MPaとす
る。
e) 蒸発器 冷媒と冷水との熱交換器。冷水側の設計圧力は,通常0.7 MPaとする。
f)
冷媒圧力逃し装置 安全弁,破裂板などの冷媒圧力逃し装置を備える。
g) 冷媒流量制御装置 膨張弁,オリフィスなどの冷媒流量制御装置を備える。
h) 制御機器 次の保安機能,運転制御機能などの制御機器を備える。
1) 保安機能
1.1) 冷媒高圧遮断機能
1.2) 冷水凍結防止機能(冷水低温遮断機能,冷媒低温遮断機能,冷媒低圧遮断機能など)
1.3) 冷水ポンプインターロック又は冷水断・減水遮断機能
1.4) 冷却水ポンプインターロック又は冷却水断・減水遮断機能
1.5) 油圧低下遮断機能(給油装置をもつ場合)
1.6) 主電動機異常遮断機能(始動装置及びインバータ制御装置の異常への対応機能を含む。)
2) 運転制御機能
2.1) 冷水又は温水温度調節機能
2.2) 主電動機電流制限機能
2.3) 主電動機再始動制限機能
2.4) 監視・制御機能(ランプ,リレー,スイッチ,タイマ,端子,必要な配線など)
2.5) 圧縮機速度制御機能(インバータ制御の場合)
3) 運転監視機能
3.1) 圧力指示機能(蒸発,凝縮,油圧など)
3.2) 温度指示機能(油温など)
3.3) 液面監視機能(液面計など)
i)
圧縮機駆動用電動機始動盤 始動盤の方式は,次の方式から受渡当事者間の協定によって選択できる。
また,必要な主接触器,始動制御機器,保護機能及び盤内配線を備える。
1) リアクトル始動
2) スターデルタ始動
3) コンドルファ(補償器)始動
6
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4) 直入始動
5) インバータ始動など
j)
抽気装置
k) 附属品 附属品は,次による。ただし,詳細は,受渡当事者間の協定による。
1) 防振装置及び耐震装置
2) 運転状態監視,通信装置など
3) 冷媒及び潤滑油(必要な初期封入量)
4) 銘板類
5) 受渡図書(納入仕様書,取扱説明書,各種要領書,検査成績書など)
4.3
電源
電源は,表1による。
表1−主電動機及び制御用電源の標準
単位 V
周波数
(Hz)
主電動機電源
制御用電源
高圧(交流三相)
低圧(交流三相)
6 000級
3 000級
400級
50
6 000,6 600
3 000,3 300
400,415
100,200
60
6 600
3 300
440
100,110,200,220
5
定格条件
5.1
標準定格条件
標準定格条件は,表2による。
表2−標準定格条件
単位 ℃
項目
利用側
排熱側又は熱源側
冷水・温水
冷却水・熱源水
入口水温
出口水温
入口水温
出口水温
冷凍能力
(12)a)
7
32
37
加熱能力
40
45
12
7
汚れ係数
0.086 m2 K/kW
0.086 m2 K/kW
注a) 表中の( )内の数値は,参考値。
5.2
応用定格条件
応用定格条件は,受渡当事者間の協定による。
5.3
汚れ係数
汚れ係数の標準定格条件は,表2による。
5.4
部分負荷
部分負荷条件の水側温度条件は,機能による種類によって図1〜図3による。最小能力は,製造業者又
は受渡当事者間の協定によって定める。
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
条件は,次による。
a) 冷水出口温度は7 ℃一定とする。
b) 冷水入口温度は,負荷率100 %時は12 ℃(参考値),負荷率0 %時は7 ℃とする。
c) 冷却水入口温度は,負荷率100 %時は32 ℃,負荷率25 %時は18.5 ℃,負荷率25 %時以下は
全て18.5 ℃とする。
d) 負荷率100 %時と負荷率25 %時との中間の入口温度は,比例して変化するとみなす。冷却水
出口温度は負荷率100 %時は37 ℃とし,部分負荷時は冷凍能力及び冷凍所要入力に応じた温
度とする。
注記 図中の0 %は,仮想点を示す。
注a) 図中の( )内の数値は,参考値。
図1−冷凍専用形部分負荷条件(冷凍専用形及び熱回収形の冷凍専用運転に適用)
a)
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
条件は,次による。
a) 熱源水入口温度は,12 ℃(参考値)一定とする。
b) 熱源水出口温度は,負荷率100 %時は7 ℃とする。
c) 温水出口温度は,45 ℃一定とする。温水入口温度は負荷率100 %時は40 ℃,負荷率0 %時は45 ℃
とする。
注記 図中の0 %は,仮想点を示す。
注a) 図中の( )内の数値は,参考値。
図2−ヒートポンプ加熱専用形部分負荷条件
a)
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
条件は,次による。
a) 冷水出口温度は,7 ℃一定とする。
b) 冷水入口温度は,負荷率100 %時は12 ℃(参考値),負荷率0 %時は7 ℃とする。
c) 温水出口温度は,利用設備側で45 ℃一定となるように制御する。
d) 温水入口温度は,負荷率100 %時は40 ℃,負荷率0 %時は45 ℃とする。
注記 図中の0 %は,仮想点を示す。
注a) 図中の( )内の数値は,参考値。
図3−熱回収形(冷凍・ヒートポンプ加熱同時形)部分負荷条件(熱回収形の熱回収運転に適用)
6
試験方法
冷凍機の試験,記録及び算定方法は,附属書A及び次による。
a) 耐圧及び気密性 A.2.1による。
b) 圧力損失 A.2.4による。
c) 絶縁抵抗 A.2.5による。
d) 耐電圧 A.2.6による。
e) 始動電流 A.2.7による。
f)
冷凍能力試験 A.3による。
g) 成績係数 A.6による。
h) ヒートポンプ加熱能力試験 A.3による。
i)
圧縮機ヒートポンプ成績係数 A.3による。
j)
部分負荷試験 A.3による。
a)
10
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7
合否判定
7.1
一般
合否判定は,次による。
7.2
機能試験
a) 耐圧試験及び気密試験 冷凍機の外観上異常な変形がなく,かつ,漏れがあってはならない。
b) 圧力損失試験 仕様値に対する定格圧力損失値の110 %以下とする。
c) 絶縁抵抗試験 試験結果は,次による。
1) 100 V,200 V,400 V級回路:1 MΩ以上
2) 3 000 V,6 000 V級回路
:5 MΩ以上
d) 耐電圧試験 規定電圧印加によって異常があってはならない。
e) 始動電流 仕様値に対する定格始動電流値の120 %以下とする。
7.3
性能試験
a) 冷凍能力試験 仕様値に対する冷凍能力試験の冷凍能力の許容誤差が,式(A.11)の範囲内である場合
に合格とする。
b) 成績係数 仕様値に対する成績係数の許容誤差が,式(A.11)の範囲内である場合に合格とする。
c) ヒートポンプ加熱能力試験 仕様値に対するヒートポンプ加熱能力試験の加熱能力の許容誤差が,式
(A.11)の範囲内である場合に合格とする。
d) 圧縮機ヒートポンプ成績係数 仕様値に対する圧縮機ヒートポンプ成績係数の許容誤差が,式(A.11)
の範囲内である場合に合格とする。
8
検査項目
8.1
形式検査項目
形式検査の主な検査項目は,次による。ただし,この規格に規定がない検査項目は,製造業者が定める
方法によって検査する。
a) 耐圧性及び気密性
b) 冷凍能力
c) 冷凍所要入力
d) ヒートポンプ加熱能力
e) ヒートポンプ所要入力
f)
圧力損失
g) 絶縁抵抗
h) 耐電圧
i)
始動電流
j)
騒音
k) 振動
l)
部分負荷特性
m) 排熱量
n) 成績係数
o) ヒートバランス
p) 保安機能動作
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8.2
受渡検査項目
受渡検査は,全数又は受渡当事者間の協定による抜取りによって行う。主な検査項目は,次による。
なお,立会検査は,受渡当事者間で検査項目をあらかじめ協定し,受渡当事者間の協定による抜取りに
よって行う。
a) 冷凍能力又はヒートポンプ加熱能力
b) 冷凍所要入力又はヒートポンプ所要入力
c) 圧力損失
d) 部分負荷試験
9
表示及び受渡図書
9.1
表示
9.1.1
冷凍機
冷凍機には,見やすい箇所に,容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。
なお,見やすい箇所とは,外郭表面,又は道具などを使用せずに容易に開閉できる蓋で覆われた内部の
表面をいう。
a) 形式
b) 名称
c) 定格冷凍能力又は定格ヒートポンプ加熱能力(kW)
d) 冷媒名及び冷媒充塡量
e) 製造業者名又はその略号
f)
製造番号及び製造年月
9.1.2
圧縮機駆動用電動機
圧縮機駆動用電動機仕様として,次の項目を表示する。
a) 定格電圧(V)
b) 相数
c) 定格周波数(Hz)
d) 定格出力(kW)
e) 定格電流(A)
9.2
受渡図書
冷凍機の正しい据付け,運転及び保守を行うことができるように,次の図書類を附属する。
a) 仕様書(完成図)
b) 取扱説明書
c) 要領書
d) 受渡検査成績書
12
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附属書A
(規定)
冷凍機の試験,記録及び算定方法
A.1 一般
この附属書は,冷凍機製造業者が行う冷凍機の試験,記録及び算定方法について規定する。
現地据付機での試験・算定には,安定した製作仕様条件及び計測上の条件設定が困難なため,この規格
は適用しない。
A.2 機能試験
A.2.1 耐圧試験及び気密試験
冷媒側の耐圧試験及び気密試験は,JIS B 8240の箇条11(圧力試験)による。関係法規がある場合は,
液圧試験又は気圧試験は,法規に従う。また,水側の耐圧試験は,JIS B 8240の11.2(耐圧試験)によっ
て試験し,冷凍機の外観上異常な変形がなく,かつ,漏れがないことを確認する。
A.2.2 総合気密試験
製造工場であらかじめ気密試験を実施し,これに合格した容器などを使用して組み立てた冷媒設備は,
組立てに関わる接続部及び配管に対して受渡当事者間の協定で決めた総合気密試験を行い,漏れがないこ
とを確認する。関係法規がある場合は,法規に従う。
A.2.3 真空試験
真空で使用する容器などを使用して組み立てた冷媒設備は,組立てに関わる接続部及び配管に対して受
渡当事者間の協定で決めた真空試験を行い,漏れがないことを確認する。
A.2.4 圧力損失試験
圧力損失試験は,安定した通水状態で附属書Bによって,蒸発器及び凝縮器のそれぞれについて圧力損
失を測定し,算定する。
A.2.5 絶縁抵抗試験
絶縁抵抗試験は,冷凍能力試験の前に行い,400 V級以下の回路では500 V絶縁抵抗計,3 000 V級以上
の回路では1 000 V絶縁抵抗計で,充電部と非充電金属部との間の絶縁抵抗を測定する。
A.2.6 耐電圧試験
耐電圧試験では,周波数50 Hz又は60 Hzの正弦波に近い電圧を充電部と非充電金属部との間に印加し,
表A.1に示す電圧まで徐々に昇圧し,規定電圧到達後1分間保持して行う。
制御回路のうち,直流回路には,耐電圧試験を省略することができる。
耐電圧試験は,表A.1に示す回路電圧ごとの試験電圧によって行う。
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B 8621:2019
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表A.1−交流回路の耐電圧試験
単位 V
対象部位
交流電圧種別
耐電圧試験電圧
制御回路
30以下
500
100級
1 000
1 kW未満の電動機
100級未満
2×E+500
一般低圧制御・動力
200級
1 500
10 000 kW未満の電動機
400級以上 6 000級以下
2×Ea)+1 000
冷凍機附属の電動機は,電動機製造工場又は冷凍機製造工場で行う新品電動機単体の巻線部につ
いて行う。
注a) E:定格電圧
A.2.7 始動電流測定
始動電流測定は,冷凍能力又はヒートポンプ加熱能力試験条件で運転した後,製造業者が指定した時間
休止させてから,定格周波数の下で製作条件に従った始動方式によって,定格電圧を加え始動電流を測定
する。
A.2.8 騒音測定
騒音測定は,冷凍能力又はヒートポンプ加熱能力定格条件で運転中に,附属書Cによって騒音を測定す
る。
A.2.9 振動測定
振動測定は,冷凍能力又はヒートポンプ加熱能力定格条件で運転中に,製造業者の指定部位について製
造業者が定めた方法で振動を測定する。
A.3 性能試験
A.3.1 一般
冷凍機の性能試験は,ほかに指定がない限り表A.2に記載する計器を用いる。
A.3.2 試験装置
試験装置は,次による(図A.1に例を示す。)。
a) 試験装置は,継続的に安定した流量及び水温が得られる装置でなければならない。
b) 計器は,公的機関が検定したもの,又はこれに準じたものとする。
c) 冷水又は冷却水を電動機の冷却に利用するなど,他の機能及び用途に使用する場合,温度測定は取出
し位置の上流及び戻り位置の下流で行う。流量測定は取出し位置の上流又は戻り位置の下流で行う。
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表A.2−計器の形式及び許容精度
区分
形式
許容精度
参考文献
温度計
ガラス製温度計
冷水・冷却水・温水・熱源水温度
±0.1 ℃
冷媒・油温度±1 ℃
JIS B 7414
熱電対
JIS C 1602
JIS C 1605
抵抗温度計
JIS C 1604
サーミスタ温度計
JIS C 1611
流量計a)
差圧式
±2 %(フルスケール)
JIS Z 8762-1〜-4
電磁式
JIS B 7554
容積式
JIS Z 8765
圧力計
ブルドン管
±2 %(フルスケール)
JIS B 7505-1
電子式
−
電子計器
絶縁抵抗計
−
JIS C 1302
指示計a)
±0.5 %(フルスケール)
JIS C 1102-1〜-9
積算計
±2 %(読み)
JIS C 1211-1
騒音計
騒音計
−
JIS C 1509-1
振動計
振動計
−
JIS B 0907
注a) 流量計及び指示計のフルスケールは,定格値の2倍程度とする。
図A.1−冷凍機の試験装置例
A.3.3 試験の準備
試験前に,次の準備を行う。
a) 被試験機には,運転に必要な附属装置を全て取り付けて据え付ける。ただし,特殊な改造又は接続を
行ってはならない。
b) 被試験機は,十分に抽気の上,取扱説明書で定めた冷媒及び必要に応じて潤滑油を充塡する。
c) 試験装置は,水配管内の空気を完全に排除し,水が充満していることを確認する。
A.3.4 試験の種類及び条件
A.3.4.1 標準定格性能試験
標準定格性能試験は,表A.3の温度条件で行う。
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表A.3−標準定格性能試験の温度条件
単位 ℃
項目
利用側
排熱側又は熱源側
冷水・温水
冷却水・熱源水
入口温度
出口温度
入口温度
出口温度
冷凍能力試験
(12)a)
7±0.3
32±0.3
(37)a)
ヒートポンプ
加熱能力試験
ヒートポンプ加熱専用形
(40)a)
45±0.3
12±0.3
(7)a)
熱回収形
(40)a)
45±0.3
(12)a)
7±0.3
注記 表中の許容差は,試験中の温度変動許容差。
注a) 表中の( )内の数値は,参考値。
A.3.4.2 部分負荷試験
標準定格条件又は応用定格条件による部分負荷試験は,表A.4又は表A.5の部分負荷試験条件で,A.3.5
に規定する測定方法及びA.6によって冷凍能力又はヒートポンプ加熱能力を算定する。また,冷凍能力又
はヒートポンプ加熱能力が安定したとき,圧縮機駆動用電動機及び附属機器[運転中に作動する油ポンプ
(附属する場合),インバータ装置(附属する場合),その制御回路など]が消費する電力消費量を測定す
る。
抽気装置,油加熱器及びその制御に要する電力は含まない。
表A.4−標準定格条件による部分負荷試験の温度条件
単位 ℃
項目
利用側
排熱側又は熱源側
冷水・温水
冷却水・熱源水
入口温度
出口温度
入口温度
出口温度
冷凍能力試験
−
7±0.3
100 %能力時32±0.3
25 %能力時18.5±0.3
中間は比例的に算定
25 %能力以下は18.5±0.3
一定
−
ヒートポンプ
加熱能力試験
ヒートポンプ
加熱専用形
−
45±0.3
12±0.3
−
熱回収形
−
45±0.3
−
7±0.3
注記 表中の許容差は,試験中の温度変動許容差。
A.3.4.3 応用定格性能試験
A.3.4.1及びA.3.4.2以外の応用定格条件における試験温度は,受渡当事者間であらかじめ協定がある場
合は,表A.5の温度条件によって行う。
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表A.5−応用定格性能試験及び応用定格条件による部分負荷試験の温度条件
単位 ℃
項目
利用側
排熱側又は熱源側
冷水・温水
冷却水・熱源水
入口温度
出口温度
入口温度
出口温度
冷凍能力試験
−
(仕様値)a)
±0.3
100 %能力時(仕様値)a)
±0.3
25 %能力時18.5±0.3
中間は比例的に算定
25 %能力以下は18.5±
0.3一定
−
ヒートポンプ
加熱能力試験
ヒートポンプ
加熱専用形
−
(仕様値)a)
±0.3
(仕様値)a)±0.3
−
熱回収形
−
(仕様値)a)
±0.3
−
(仕様値)a)
±0.3
注記 表中の許容差は,試験中の温度変動許容差。
注a) 仕様値は,受渡当事者間で取り決めた定格条件の値。
A.3.5 測定方法
測定方法は,次による。
a) 試験装置及び被試験機を始動し,A.3.4の試験条件に調整する。
b) 測定(A.4及びA.5のうち,測定時記録項目)は,定常状態1) に達した後に始める。
c) 試験条件を変えたときは,新しい条件の下で,定常状態に達した後,測定を始めなければならない。
d) 試験条件の変動による影響を最小限にするために,測定はできるだけ同時に行うことが望ましい。
e) 冷水流量,冷却水流量,温水流量及び熱源水流量は,定格流量とする。ただし,許容差は定格流量の
±5 %以内とする。
f)
部分負荷試験は,受渡当事者間の協定によるが,最小能力の運転点を1点含み,2点以上の負荷率で
の測定を行うことが望ましい。期間成績係数の算定を行う場合は,附属書Dによる。
注1) 定常状態とは,試験目的に対して重要な計器の指示を試験測定開始前に安定化するのに要す
る時間,又はこれを含めた試験時間を通じて,連続的に観察し,それらの値が表A.3,表A.4
又は表A.5の温度及びe)の流量が変動許容差内で安定している状態をいう。
A.3.6 試験方法
試験方法は,次による。
a) 冷凍能力試験 冷凍能力試験は,表A.3の温度条件で運転し,A.3.5に規定する測定方法及びA.6.2の
計算式によって冷凍能力を算定する。
b) 冷凍所要入力試験 冷凍所要入力試験は,表A.3の温度条件で冷凍能力測定値が安定したとき,圧縮
機駆動用電動機及び附属機器[運転中に作動する油ポンプ(附属する場合),インバータ装置(附属す
る場合),その制御回路など]が消費する電力を測定する。抽気装置,油加熱器及びその制御に要する
電力は含まない。
c) 排熱量測定 排熱量測定は,表A.3,表A.4又は表A.5の温度条件で冷凍能力測定値が安定したとき,
冷凍機の冷却水流量及び出入口温度差を測定し,A.6.3によって排熱量を算定する。
d) ヒートポンプ加熱能力試験 ヒートポンプ加熱能力試験は,表A.3のヒートポンプ加熱能力試験の温
度条件で運転し,A.3.5に規定する測定方法及びA.6.4によってヒートポンプ加熱能力を算定する。
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e) ヒートポンプ所要入力試験 ヒートポンプ所要入力試験は,表A.3のヒートポンプ加熱能力試験の温
度条件でヒートポンプ加熱能力測定値が安定したとき,圧縮機駆動用電動機及び附属機器[運転中に
作動する油ポンプ(附属する場合),インバータ装置(附属する場合),その制御回路など]が消費す
る電力を測定する。ただし,抽気装置,油加熱器及びその制御に要する電力は含まない。
f)
熱回収冷凍能力試験 熱回収冷凍能力試験は,表A.3,表A.4又は表A.5のヒートポンプ加熱能力試
験の温度条件でヒートポンプ加熱能力測定値が安定したとき,冷凍機の冷水流量及び冷水出入口温度
差を測定し,A.6.5によって冷凍能力を算定する。
A.4 試験記録
この試験で,冷凍能力,ヒートポンプ加熱能力,排熱量,成績係数及びヒートバランスを算定するため
に最低限必要な記録事項は,次による。
a) 蒸発器
1) 冷水入口温度又は熱源水入口温度(℃)
2) 冷水出口温度又は熱源水出口温度(℃)
3) 冷水流量(L/s,L/min又はm3/h)
b) 凝縮器
1) 冷却水入口温度(℃)
2) 冷却水出口温度(℃)
3) 冷却水流量(L/s,L/min又はm3/h)
c) ヒートポンプ加熱用凝縮器
1) 温水入口温度(℃)
2) 温水出口温度(℃)
3) 温水流量(L/s,L/min又はm3/h)
d) 電動機 電動機入力(kW)(可変速形でインバータ制御方式は,インバータ一次側の電力消費量によ
る。)
e) 附属機器 附属機器電力(kW)[運転中に作動する油ポンプ(附属する場合),インバータ装置(附属
する場合),その制御回路などの消費電力]
A.5 その他の記録事項
A.4に規定する記録事項のほかに,次の事項を記録する。
a) 形式及び冷媒名を含む銘板データ
b) 容量制御機構の開度(度又は%)
c) 蒸発圧力(kPa又はMPa)
d) 凝縮圧力(kPa又はMPa)
e) 圧力損失(kPa)
f)
主電動機試験電圧(V)及び電流値(A)
g) 電動機銘板データ
h) 潤滑油の給油圧力(kPa又はMPa)及び温度(℃)(給油装置をもつ場合)
i)
試験時の冷媒充塡量(kg)及び潤滑油充塡量(L)(給油装置をもつ場合)
j)
試験場所及び試験日
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k) 試験者の氏名
A.6 冷凍能力,排熱量,ヒートポンプ加熱能力,成績係数及びヒートバランスの算定方法
A.6.1 記号
A.6.2〜A.6.8で用いる記号の意味は,次による。
Qe: 冷凍能力,熱回収冷凍能力又は熱源冷凍能力(kW)
Hc: 排熱量又はヒートポンプ加熱能力(kW)
cpw: 水の比熱(kJ/kg・K)
γw: 水の密度(kg/L)
Wch: 冷水又は熱源水流量(L/s)
Wc: 冷却水流量(L/s)
Wh: 温水流量(L/s)
tch1: 冷水入口温度又は熱源水入口温度(℃)
tch2: 冷水出口温度又は熱源水出口温度(℃)
tc1: 冷却水入口温度(℃)
tc2: 冷却水出口温度(℃)
th1: 温水入口温度(℃)
th2: 温水出口温度(℃)
COP: 成績係数
Mi: 冷凍所要入力又はヒートポンプ所要入力(kW)
(運転中の附属機器消費電力を含む。)
SkW: 冷凍機軸動力又はヒートポンプ軸動力(kW)
(運転中の附属機器消費電力を含まない。)
Mie: 運転中の附属機器を含まない冷凍所要入力(kW)
Qbal: ヒートバランス
Tol: 許容誤差(%)
%FL: 運転負荷率(%)
ΔTfl: 定格点における冷水の出入口温度差(℃)
A.6.2 冷凍能力
冷凍能力は,式(A.1)によって算出する。
)
(
2
ch
1
ch
ch
w
pw
e
t
t
W
c
Q
−
=
γ
························································· (A.1)
A.6.3 排熱量
排熱量は,式(A.2)によって算出する。
)
(
1
c
2
c
c
w
pw
c
t
t
W
c
H
−
=
γ
···························································· (A.2)
A.6.4 ヒートポンプ加熱能力
ヒートポンプ加熱能力は,式(A.3)によって算出する。
)
(
1
h
2
h
h
w
pw
c
t
t
W
c
H
−
=
γ
··························································· (A.3)
A.6.5 熱回収冷凍能力(熱源冷凍能力)
熱回収冷凍能力は,式(A.4)によって算出する。
)
(
2
ch
1
ch
ch
w
pw
e
t
t
W
c
Q
−
=
γ
························································· (A.4)
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A.6.6 成績係数(COP)の算定方法
成績係数の算定方法は,次のa)〜c)に示す式(A.5)〜式(A.7)によって算定する。
所要入力には,運転中に作動する油ポンプ(附属する場合),インバータ装置(附属する場合),その制
御回路などの消費電力を含む。
a) 冷凍専用形
COP=
i
e
M
Q ············································································· (A.5)
b) ヒートポンプ加熱専用形
COP=
i
c
M
H ············································································ (A.6)
c) 熱回収形
COP=
i
e
c
)
(
M
Q
H+
····································································· (A.7)
A.6.7 ヒートバランスの算定方法
ヒートバランスの算定方法は,次のa)〜c)に示す式(A.8)〜式(A.10)によって算定する。ただし,インバ
ータ制御方式における所要入力は,インバータ損失(水冷の場合は除く),その附属機器,及びその制御回
路の消費電力を除いた値によって算定する。
算定式は密閉形の場合を示し,開放形の場合は運転中の附属機器を含まない冷凍所要入力(Mie)を軸動
力(SkW)に読み替える。
a) 冷凍専用形又は冷凍・ヒートポンプ加熱切換形の冷凍専用運転
Qbal=
100
)
(
c
ie
e
×
+
H
M
Q
······························································ (A.8)
b) ヒートポンプ加熱専用形
Qbal=
100
)
(
ie
e
×
+
c
H
M
Q
······························································ (A.9)
c) 熱回収形
Qbal=
100
)
(
c
ie
e
×
+
H
M
Q
·····························································(A.10)
凝縮器が二つある場合には,Hcは二つの凝縮器の合計熱量とする。
A.6.8 冷凍能力と成績係数の許容誤差
定格性能試験及び部分負荷試験の冷凍能力と成績係数の許容誤差は,式(A.11)の範囲内とする。
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B 8621:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Tol=
FL
T
FL
%
3.
833
)
%
07
.0(
5.
10
fl×
∆
+
×
−
········································· (A.11)
式(A.11)の例を図A.2に示す。
図A.2−冷凍能力と成績係数の許容誤差
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
許
容
誤
差
(
%)
負荷率(%)
定格温度差5℃
定格温度差10℃
定格温度差7℃
定格温度差10 ℃
定格温度差5 ℃
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附属書B
(規定)
圧力損失試験
B.1
一般
この附属書は,冷凍機の圧力損失試験について規定する。
B.2
試験方法
B.2.1 圧力損失測定装置
圧力損失測定装置は,冷凍機の水配管出入口に圧力差測定計器を接続し,冷水,冷却水又は温水の入口
と出口との差圧を次のいずれかの装置で測定する。
a) 電子応用計器による測定装置(図B.1)
図B.1−電子応用計器による測定事例
b) ブルドン管圧力計による測定装置(図B.2)
図B.2−ブルドン管圧力計による測定事例
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B 8621:2019
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c) 圧力取出し部 圧力取出し部は,図B.3に示すように管の内壁面に直角に設け,その位置における内
面は十分滑らかで,測定孔の内側にまくれがないようにする。測定孔の直径dは2〜6 mmとし,長さ
δは直径dの2倍以上とする。
図B.3−圧力取出し部
d) 圧力差測定計器 圧力差を測定するときの計器は,電子応用計器,ブルドン管圧力計,又は差圧計と
する。
ブルドン管圧力計は,表A.2に記載の精度等級1.6級の圧力計を使用し,圧力損失試験前に基準重
すい形圧力計又は基準液柱形圧力計と比較校正する。
なお,ブルドン管圧力計は,圧力損失測定時に指針の示度が最高目盛の1/3以上2/3以下になるよ
うな目盛板をもつものがよい。
B.2.2 圧力損失測定方法
A.3.5 e)で定めた流量における,冷凍機入口側と出口側との圧力差を測定する。このとき,計器及び計器
と圧力取出し部との連絡管内の空気を完全に排除し,清水を満たす。また,管路の引回しによる流路の揚
程差,及び測定部の揚程差による差圧補正が必要な場合には,測定値の補正を行う。
B.2.3 圧力損失の算定方法
ブルドン管圧力計の圧力損失の算定方法は,式(B.1)によって算出する。
Δp=pw1−pw2 ·········································································· (B.1)
ここに,
Δp: 圧力損失(kPa)
pw1: 冷凍機入口側圧力(kPa)
pw2: 冷凍機出口側圧力(kPa)
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附属書C
(規定)
騒音試験
C.1 一般
この附属書は,冷凍機の騒音試験方法について規定する。
C.2 試験方法
C.2.1 測定場所
測定場所は,できるだけ床面以外からの音の反射がない場所で,測定対象の音と暗騒音との差が10 dB
以上あることが望ましい。
C.2.2 測定器
騒音レベルの測定に使用する測定器は,表A.2に記載の騒音計,又はこれと同等以上の騒音計を使用す
ることが望ましい。
C.2.3 運転条件
冷凍機を基礎上に据え付け,定格条件で運転する。
C.2.4 測定位置
一体形冷凍機の測定位置は,次による。
図C.1に示すように,床面からの高さ1.5 mで冷凍機の最外側面から1 m離れた垂直面で,騒音レベル
が最大となる点を含む周囲4か所とする。圧縮機,熱交換器分離形及び駆動機が冷凍機製造業者以外から
供給される場合の測定位置は,受渡当事者間の協定による。
C.2.5 測定方法
C.2.3及びC.2.4に定めるそれぞれの条件及び位置で,JIS Z 8731によって騒音レベル(dB)を測定する。
C.3 試験記録
試験記録は,次による。
a) 測定位置
b) 暗騒音(dB)
c) 騒音レベルの読取値(dB)
d) 測定値(dB)(読取値に暗騒音の補正を行った値)
e) 測定器名称
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単位 m
図C.1−測定位置
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附属書D
(規定)
期間成績係数の算定方法
D.1 一般
この附属書は,冷凍機の期間成績係数の算定方法について規定する。
D.2 標準期間成績係数の算定方法
D.2.1 記号
D.2.2〜D.6で用いる記号の意味は,次による。
IPLV: 標準定格における標準期間成績係数
NPLV: 応用定格における応用期間成績係数
A: 負荷率100 %の成績係数
B: 負荷率75 %の成績係数
C: 負荷率50 %の成績係数
D: 負荷率25 %の成績係数
k: 負荷率100 %の重み係数
l: 負荷率75 %の重み係数
m: 負荷率50 %の重み係数
n: 負荷率25 %の重み係数
COPcd: 負荷率(75 %,50 %又は25 %)における成績係数(B,C又はDが直接求められない場合)
Q: 測定可能な最低負荷率での冷凍能力(kW)
P: 測定可能な最低負荷率での消費電力(kW)
Cd: 悪化係数
LF: ロードファクター
%Load: 負荷率(75 %,50 %又は25 %)(%)
Q100 %: 負荷率100 %時の冷凍能力(kW)
Qmin: 測定可能な最低負荷率運転状態での冷凍能力(kW)
Tol: 許容誤差(%)
ΔTfl: 定格点における冷水の出入口温度差(℃)
D.2.2 算定式
期間成績係数は,式(D.1)による。
IPLV又はNPLV=kA+lB+mC+nD ············································ (D.1)
D.2.3 算定条件
標準期間成績係数の算定条件は,表D.1による。冷水流量及び冷却水流量は,A.3.5 e)で定めた流量とす
る。
表D.1−標準期間成績係数の算定条件
冷凍負荷率(%)
冷水出口温度(℃)
冷却水入口温度(℃)
重み係数(−)
100
7±0.3
32±0.3
k:0.01
75
27.5±0.3
l:0.47
50
23±0.3
m:0.37
25
18.5±0.3
n:0.15
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
D.3 応用期間成績係数の算定方法
D.3.1 算定式
応用期間成績係数の算定は,式(D.1)による。
D.3.2 算定条件
応用期間成績係数の算定条件は,受渡当事者間で定める。
算定条件は,表D.2による。冷水流量及び冷却水流量は,定格流量一定とする。
表D.2−応用期間成績係数の算定条件
冷凍負荷率(%)
冷水出口温度(℃)
冷却水入口温度(℃)
重み係数(−)
100
(仕様値)a)±0.3
100 %能力時(仕様値)a)
±0.3
25 %能力時18.5±0.3
中間は比例的に算定
25 %能力以下は18.5±0.3
一定
k:0.01
75
l:0.47
50
m:0.37
25
n:0.15
注a) 表中の仕様値は,受渡当事者間で取り決めた定格条件の値。
D.3.3 地域性等を考慮した条件
我が国では,地域によって季節ごとに冷却水温度に差がある。そのため,評価を行う場合は,地域ごと
の平均気温を考慮し,冷却水温度条件を受渡当事者間で定める。
D.4 部分負荷における成績係数の許容誤差
冷凍能力試験の部分負荷における成績係数の許容誤差は,式(A.11)の範囲内とする。
D.5 部分負荷の測定点の補正
部分負荷の成績係数は,定格冷凍能力の±2 %以内の各測定点での成績係数とする。
制御装置の制約によって負荷率が定格冷凍能力の±2 %以内とすることが困難な場合は,測定可能な負
荷率で測定することができる。このときの冷却水入口温度試験条件は,表D.1又は表D.2の条件を直線補
間して算出する。
部分負荷の成績係数は,測定した成績係数を直線補間し決定する。ただし,データの外挿は行わない。
なお,測定可能な最低負荷率が25 %まで下げられない場合は,測定可能な最低負荷率の測定点における
25 %負荷率の成績係数を式(D.2)によって算出する[最低負荷率が50 %又は75 %まで下げられない場合も,
同様に式(D.2)によって算出する。]。
COPcd=
d
C
P
Q
·········································································· (D.2)
Cdは,式(D.3)によって算出する。
Cd=(−0.13×LF)+1.13····························································· (D.3)
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LFは,式(D.4)によって算出する。
LF=
min
%
100
Load
100
%
Q
Q
×
·································································· (D.4)
D.6 期間成績係数の許容誤差
期間成績係数の許容誤差は,式(D.5)の範囲とする。
Tol=
fl
4.
19
5.6
T
∆
+
······································································· (D.5)
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参考文献 JIS B 0907 回転機械及び往復動機械の振動−振動シビアリティ測定器に関する要求事項
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JIS C 1102-3 直動式指示電気計器 第3部:電力計及び無効電力計に対する要求事項
JIS C 1102-4 直動式指示電気計器 第4部:周波数計に対する要求事項
JIS C 1102-5 直動式指示電気計器 第5部:位相計,力率計及び同期検定器に対する要求事項
JIS C 1102-6 直動式指示電気計器 第6部:オーム計(インピーダンス計)及びコンダクタン
ス計に対する要求事項
JIS C 1102-7 直動式指示電気計器 第7部:多機能計器に対する要求事項
JIS C 1102-8 直動式指示電気計器 第8部:附属品に対する要求事項
JIS C 1102-9 直動式指示電気計器 第9部:試験方法
JIS C 1211-1 電力量計(単独機器)−第1部:一般仕様
JIS C 1302 絶縁抵抗計
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JIS C 1602 熱電対
JIS C 1604 測温抵抗体
JIS C 1605 シース熱電対
JIS C 1611 サーミスタ測温体
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JIS Z 8762-3 円形管路の絞り機構による流量測定方法−第3部:ノズル及びノズル形ベンチュ
リ管
JIS Z 8762-4 円形管路の絞り機構による流量測定方法−第4部:円すい形ベンチュリ管
JIS Z 8765 タービン流量計による流量測定方法