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B 8619:2018  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 試験に用いる計器 ············································································································· 3 

5 性能試験方法 ··················································································································· 4 

5.1 定格容量試験 ················································································································ 4 

5.2 時定数試験 ··················································································································· 5 

5.3 膨張弁開度及びヒステリシス試験······················································································ 6 

5.4 質量流量試験 ················································································································ 7 

5.5 静止過熱度特性試験 ······································································································ 11 

5.6 耐久試験 ····················································································································· 12 

5.7 温度サイクル試験 ········································································································· 12 

5.8 気密試験 ····················································································································· 12 

6 試験報告書 ····················································································································· 12 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本

冷凍空調学会(JSRAE)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規

格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規

格である。 

これによって,JIS B 8619:1999は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 8619:2018 

冷媒用温度自動膨張弁−性能試験方法 

Thermostatic refrigerant expansion valves- 

Methods of testing for performance 

序文 

この規格は,1984年に制定され,その後2回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1999年に

行われたが,その後の地球温暖化防止の推進に伴う冷凍空調機器に充塡される冷媒種類の変更に対応する

ために改正した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,冷凍・空調装置において,蒸発温度10 ℃〜−40 ℃で使用し,蒸発温度5 ℃における公称

容量が40 kWを超えない容量の冷媒用温度自動膨張弁(以下,膨張弁という。)の性能試験方法について

規定する。 

なお,固定オリフィス並列形膨張弁には適用しない。 

注記1 固定オリフィス並列形膨張弁とは,通常の膨張弁の弁オリフィスのほかに,主弁内又は並列

の固定オリフィスに冷媒を流す構造の弁。固定オリフィスからの冷媒質量流量は,公称容量

における質量流量に対する百分率で表す。 

注記2 この規格の中で用いる圧力は,ゲージ圧力である。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7505-1 アネロイド型圧力計−第1部:ブルドン管圧力計 

JIS C 1602 熱電対 

JIS C 1604 測温抵抗体 

JIS C 1605 シース熱電対 

JIS C 60068-2-14 環境試験方法−電気・電子−第2-14部:温度変化試験方法(試験記号:N) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

膨張弁 

冷凍・空調装置の蒸発器に流入する冷媒の流量を蒸発圧力及び蒸発器出口の冷媒過熱蒸気温度の変化に

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よって調節し,冷媒液を絞り膨張するための弁。次の2種類がある。 

a) 内部均圧形 駆動部に作用する圧力が,膨張弁の内部通路によって弁出口圧力と均圧になる構造の弁。 

b) 外部均圧形 蒸発器出口圧力を均圧管で膨張弁に導入する方法によって,駆動部に蒸発器出口圧力を

伝える構造の弁。この機構は,蒸発器での圧力降下を補償している。 

3.2 

膨張弁の感温筒 

蒸発器出口の冷媒過熱蒸気温度を検知する部分。 

3.3 

膨張弁の圧力降下 

冷媒が膨張弁を通過し,絞り膨張するときの圧力降下で,膨張弁の出入口間の正味圧力差。 

3.4 

膨張弁の過熱度 

内部均圧形は膨張弁出口圧力,外部均圧形は均圧管圧力のそれぞれに対応する冷媒飽和温度と感温筒温

度との温度差。この温度差は冷媒の過熱度を表し,次のb) とc) との和である(5.4.2.5参照)。 

a) 膨張弁の開き始め 膨張弁の感温筒温度と質量流量との関係が正常となる弁開度が0.05 mm以下の膨

張弁の位置(図8及び図11参照)。 

b) 静止過熱度 膨張弁の開き始めの過熱度。 

c) 過熱度変化 膨張弁が開き始めの静止過熱度から定格点まで開くのに要する過熱度変化量。 

3.5 

膨張弁の標準定格条件 

単一水準の性能だけを生じるように設定した作動条件で,広範囲の作動条件にわたり,膨張弁の性能の

比較基準として規定された定格条件。表1に示すA〜Nをいう。 

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表1−標準定格条件 

単位 ℃ 

標準定格条件 

膨張弁入口飽和液温度 

膨張弁出口飽和蒸気温度 

38 

10 

−5 

−10 

−20 

−40 

50 

10 

−5 

−10 

−20 

−40 

標準定格条件以外の定格条件で使用する場合は,受渡当事者間の

協議による。 
注記1 標準定格条件A〜Gは,主として水冷凝縮器を用いる冷凍

装置,標準定格条件H〜Nは,主として空冷凝縮器を用い
る冷凍装置の標準定格容量を求める場合の試験条件。 

注記2 標準定格条件Bは,公称容量を求める場合の試験条件。 

3.6 

膨張弁の定格容量 

3.6.1 

標準定格容量 

表1の標準定格条件で行った試験に基づく,定格点における容量。 

3.6.2 

公称容量 

表1の標準定格条件のBで行った試験に基づく,定格点における容量。 

3.6.3 

定格点 

定格容量が得られる過熱度変化量となる作動点(図8及び図11参照)。 

3.6.4 

最大容量 

膨張弁の全開点における,定格容量以上に得られる最大の容量。 

試験に用いる計器 

試験に用いる計器の形式及び精度は,表2による。 

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表2−計器の形式及び精度 

区分 

形式 

精度 

温度 

ガラス製棒状温度計 

最小目盛間隔0.2 ℃以下 

熱電対温度計 

JIS C 1602の記号T,クラス1 
JIS C 1604のクラスB 

電気抵抗温度計 

JIS C 1605の種類ST,クラス1 

圧力 

水銀柱マノメータ 
圧力センサ 
その他の圧力計 

JIS B 7505-1の0.6級 
又は 
±1 %(フルスケール) 

膨張弁 
弁開度 

ダイヤルゲージ 
電気的変位計 

最小目盛間隔0.01 mm 

流量 

質量又は体積流量計 

±1 %(流量の読み) 

時定数 

自動記録器 

±2 %(経過時間) 

性能試験方法 

5.1 

定格容量試験 

5.1.1 

試験条件 

試験条件は,次による。 

a) 膨張弁に流入する液冷媒は,飽和温度から3 K〜6 Kの間に過冷却された状態とし,蒸気の混入があっ

てはならない。 

b) 試験に使用する冷媒中の油の濃度は,質量比で2 %を超えてはならない。 

c) 標準定格条件は,表1による。 

5.1.2 

試験方法 

定格点における定格容量を求めるために行う質量流量試験は,5.4による。 

5.1.3 

定格容量の算出方法 

膨張弁の定格点における定格容量は,次の式によって算出する。 

Φmr=qmr (h2−h1) K  ··································································  (1) 

ここに, 

Φmr: 膨張弁の定格容量(kW) 

qmr: 定格点における冷媒質量流量(kg/s)(図8及び図11参照) 

h2: 蒸発器を流れる冷媒に圧力降下がないものと仮定した場合

の,蒸発器出口における乾き飽和蒸気の比エンタルピー
(kJ/kg) 

h1: 膨張弁入口の飽和液冷媒の比エンタルピー(kJ/kg) 

K: 過冷却度及び過熱度変化を考慮した比エンタルピーの補正

係数 

5.1.4 

最大容量の算出方法 

膨張弁の最大容量は,次の式によって算出する。 

Φmax=qmax (h2−h1) K  ·······························································  (2) 

ここに, 

Φmax: 膨張弁の最大容量(kW) 

qmax: 最大弁開度(全開時)における冷媒質量流量(kg/s)(図7

及び図10参照) 

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5.2 

時定数試験 

5.2.1 

試験装置 

試験装置は,図1による。 

図1−時定数試験装置 

a) 膨張弁出口圧力P2を測定する圧力センサは,記録計に接続する。 

b) 恒温槽の液温度を測定する温度計は,記録計に接続する。 

c) 恒温槽は,次のように,それぞれを異なる一定温度に保持する。 

1) 感温筒温度下降時の時定数測定用恒温槽の液温度t1 

2) 感温筒温度上昇時の時定数測定用恒温槽の液温度t2 

3) 恒温槽の液温度のt1とt2との温度差は,10 K以上とし,t1<t2とする。ただし,膨張弁のチャージ

方式のうち,ガスチャージの膨張弁では,恒温槽の温度t2が感温筒内に充塡した媒体の飽和温度を

超える場合には,その温度を除いた範囲内で測定しなければならない。 

注記 膨張弁のチャージ方式 駆動部内に充塡された媒体の圧力が,蒸発器出口冷媒蒸気の温度変

化によって応答する方式。次の3種類がある。 

a) 液チャージ あらゆる作動条件において,充塡された媒体の一部が,感温筒内に液の状

態で存在する方式。 

b) ガスチャージ 規定の感温筒温度以上になると,充塡された媒体の液の全てが気化し,

それ以上に感温筒温度が上昇した場合でも,圧力がほとんど上昇しない方式。この場合

の媒体圧力を最高作動圧力(Maximum Operating Pressure,略してMOP)という。 

c) 吸着チャージ 充塡された媒体の圧力が,感温筒の温度変化によって吸着材のガス吸脱

着作用を伴って作動する方式。 

5.2.2 

試験方法 

時定数試験は,次による。 

a) 静止過熱度を設定した膨張弁を図1の試験装置に取り付け,液温度t1の恒温槽に感温筒を浸せきし,

膨張弁の入口圧力P1を,圧力調整弁によって冷媒液温度が,水冷凝縮器を使用の場合は38 ℃,空冷

凝縮器を使用の場合は50 ℃に対応する飽和圧力に圧力調整弁によって調整する。 

b) 感温筒を液温度t1の恒温槽から液温度t2の恒温槽へ速やかに移し,膨張弁出口圧力P2の応答が整定す

るまでを記録する。 

c) 次に,感温筒を液温度t2の恒温槽から液温度t1の恒温槽へ速やかに移し,膨張弁出口圧力P2の応答が

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整定するまでを記録する(図2参照)。 

d) 異なる液温度の恒温槽に移した後は,感温筒を恒温槽内の液中で動揺させたり,槽内の液をかくはん

したりしてはならない。 

e) 膨張弁出口圧力P2の応答の記録から,膨張弁出口圧力P2の総変化量ΔPの63.2 %に相当する応答が生

じるまでの時間を読み取り,これを時定数とする(図2参照)。 

図2−時定数 

5.2.3 

時定数の表し方 

時定数は,次のそれぞれの値で示す。 

a) 感温筒温度上昇時の時定数 Tu s 

b) 感温筒温度下降時の時定数 Td s 

5.3 

膨張弁開度及びヒステリシス試験 

5.3.1 

試験装置 

試験装置は,図3による。 

図3−膨張弁開度試験装置 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 膨張弁出口圧力Pを測定する圧力センサは,記録計に接続する。 

b) 電気的変位計は,記録計に接続する。 

c) 恒温槽の液温度を測定する温度計は,記録計に接続する。 

5.3.2 

試験方法 

静止過熱度を設定した膨張弁を,図3の試験装置に取り付け,次の方法によって試験を行う。この試験

を行う場合には,空気,窒素ガスなどが膨張弁の入口部及び弁開度測定部から漏れないようにする。 

a) 一定の液温度に保持されている恒温槽に,感温筒を浸せきする。 

b) 内部均圧形膨張弁は,膨張弁出口部から加圧する。 

c) 外部均圧形膨張弁は,外部均圧管接続部から加圧する。 

d) b) 又はc) の状態で,加圧圧力を0.01 MPa以下の間隔で上昇させて,膨張弁が閉じるまでの圧力及び

膨張弁開度を記録する。 

e) 次に,加圧圧力を0.01 MPa以下の間隔で下降させて,膨張弁が全開するまでの圧力及び膨張弁開度を

記録する(図4参照)。 

5.3.3 

膨張弁開度及びヒステリシスの表し方 

ヒステリシスは,膨張弁の公称容量に相当する膨張弁開度に対して,内部又は外部均圧圧力の上昇時と

下降時との間の圧力差で表す(図4参照)。 

図4−内部又は外部均圧圧力に対する膨張弁開度及びヒステリシス 

5.4 

質量流量試験 

5.4.1 

試験 

質量流量試験は,5.4.2による。ただし,冷媒によって試験を行う場合は,5.4.3による。 

5.4.2 

水質量流量試験 

5.4.2.1 

試験装置 

試験装置は,図5による。 

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図5−水質量流量試験装置 

a) 膨張弁の弁開度を任意に可変させ,かつ,弁開度を測定できる機構を取り付ける。 

b) 水はポンプによって加圧し,圧力調整弁及びバイパス止め弁によって圧力を調整する。 

c) 止め弁の大きさは,膨張弁の接続配管径以上とし,止め弁で過大な絞り作用が生じないようにする。 

5.4.2.2 

試験方法 

5.4.2.2.1 

感温筒温度の変化に対する膨張弁開度 

静止過熱度を設定した膨張弁を,図3の膨張弁開度試験装置に取り付け,次の方法によって試験を行う。

この試験を行う場合には,空気,窒素ガスなどが膨張弁の入口部及び弁開度測定部から漏れないようにす

る。 

a) 内部均圧形膨張弁は,膨張弁出口部を一定圧力に保持する。 

b) 外部均圧形膨張弁は,外部均圧管接続部を一定圧力に保持する。 

c) a) 又はb) の状態で,感温筒温度を1 K以下の間隔で上昇させて,膨張弁が全開するまでの温度及び

膨張弁開度を記録する(図6参照)。 


mm

感温筒温度 ℃

全開

図6−感温筒温度に対する膨張弁開度 

5.4.2.2.2 

膨張弁開度に対する水質量流量 

a) 膨張弁の入口及び出口の圧力を圧力調整弁,バイパス止め弁及び下流側の止め弁によってそれぞれ一

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定圧力に保持する。 

b) 膨張弁開度を0.1 mm以下の間隔で,かつ,最低10点以上の膨張弁開度における次の値をそれぞれ測

定する。 

1) 膨張弁入口圧力(MPa) 

2) 膨張弁出口圧力(MPa) 

3) 膨張弁入口水温(℃) 

4) 水質量流量(kg/s) 

5.4.2.3 

冷媒質量流量への換算方法 

膨張弁開度に対する水質量流量試験の結果から冷媒質量流量への換算は,次の式による。 

w

r

mw

mr

ρ

ρ

q

q=

 ·········································································· (3) 

ここに, 

qmr: 換算冷媒質量流量(kg/s) 

qmw: 水質量流量測定値(kg/s) 

ρr: 膨張弁入口液温度における冷媒液の密度(kg/m3) 

ρw: 水質量流量測定時の水温における水の密度(kg/m3) 

5.4.2.4 

換算冷媒質量流量の表し方 

換算冷媒質量流量の表し方は,次による。 

a) 膨張弁開度に対する換算冷媒質量流量 膨張弁開度に対して,式(3)によって換算した冷媒質量流量の

曲線を図7のように描く。 

b) 感温筒温度に対する換算冷媒質量流量 5.4.2.2.1によって測定した感温筒温度の変化に対する膨張弁

開度の曲線図6とa) の膨張弁開度に対する換算冷媒質量流量の曲線図7とから,感温筒温度に対す

る換算冷媒質量流量曲線を図8のように描く。 

kg/s

膨張弁開度 mm

全開

最大流量:qmax

全開点








kg/s

感温筒温度 ℃

A

B

定格点

膨張弁の開き始め

b

a

q

定格流量:mr








図7−膨張弁開度に対する換算冷媒質量流量 

図8−感温筒温度に対する換算冷媒質量流量 

5.4.2.5 

定格点における過熱度変化の決定方法 

図8の感温筒温度に対する換算冷媒質量流量曲線において,膨張弁の開き始めの位置における換算冷媒

質量流量で横軸に平行線を引き,換算冷媒質量流量曲線との交点から垂線を下ろし,感温筒温度目盛線上

に膨張弁の開き始めの点aを決める。次に,定格点における換算冷媒質量流量で横軸に平行線を引き,換

算冷媒質量流量曲線との交点から垂線を下ろし,感温筒温度目盛線上に点bを決める。これら点aと点b

との2点間の温度差が,膨張弁の開き始めから定格点までの過熱度変化量である。 

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10 

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5.4.3 

冷媒質量流量試験 

5.4.3.1 

試験装置 

試験装置は,図9による。 

図9−冷媒質量流量試験装置 

a) 膨張弁の弁開度を任意に可変させ,かつ,弁開度を測定できる機構を取り付ける。 

b) 膨張弁に流入する冷媒が完全に液化していることを確認するために,サイトグラスを取り付ける。 

サイトグラスの接続管径は,膨張弁接続管径以上とする。 

c) 止め弁の大きさは,膨張弁の接続配管径以上とし,止め弁で過大な絞り作用が生じないようにする。 

5.4.3.2 

試験方法 

a) 膨張弁開度に対する冷媒質量流量 

1) 膨張弁の入口及び出口の圧力を,圧力調整用の手動膨張弁などによって,一定圧力に保持する。 

2) 膨張弁開度を0.1 mm以下の間隔で,かつ,最低10点以上の膨張弁開度における冷媒質量流量を測

定し,膨張弁開度に対する冷媒質量流量曲線を図10のように描く。 

b) 感温筒温度に対する冷媒質量流量 5.4.2.2.1によって測定した感温筒温度の変化に対する膨張弁開度

の曲線図6と,a) の膨張弁開度に対する冷媒質量流量の曲線図10とから,感温筒温度に対する冷媒

質量流量曲線を図11のように描く。 

kg/s






膨張弁開度 mm

全開

最大流量:qmax

全開点

kg/s






感温筒温度 ℃

A

B

定格点

膨張弁の開き始め

b

a

q

定格流量:mr

図10−膨張弁開度に対する冷媒質量流量 

図11−感温筒温度に対する冷媒質量流量 

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11 

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5.4.3.3 

定格点における過熱度変化の決定方法 

図11の感温筒温度に対する冷媒質量流量曲線における,膨張弁の開き始めの点aから定格点までの過熱

度変化量は,5.4.2.5と同様にして求めることができる。 

5.5 

静止過熱度特性試験 

各種蒸発温度における膨張弁の静止過熱度の変化量を測定する方法は,次による。 

a) 試験装置 試験装置は,図12による。 

図12−静止過熱度特性試験装置 

b) 試験方法 試験は,次による。 

1) 静止過熱度を設定した膨張弁を図12の試験装置に取り付け,膨張弁が制御可能な蒸発温度に15 K

±5 Kを加えた液温度一定の恒温槽に感温筒を浸せきし,膨張弁入口圧力P1を,圧力調整弁によっ

て冷媒液温度が,水冷凝縮器を使用の場合は38 ℃,空冷凝縮器を使用の場合は50 ℃に対応する飽

和圧力に調整する。 

2) 感温筒温度を5 K以下の間隔で下降させ,そのときの膨張弁出口圧力P2を測定する。ただし,測定

する膨張弁出口の最低圧力は0.02 MPa以下とする。 

3) 冷凍・空調装置で使用する飽和状態の冷媒の温度−圧力曲線とともに,感温筒温度に対する膨張弁

出口圧力P2の静止過熱度特性曲線を図13のように描く。 

図13−静止過熱度特性曲線 

12 

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5.6 

耐久試験 

膨張弁に繰返しの圧力変動を加えた後の過熱度設定値の変化を,耐久試験によって求める方法は,次に

よる。 

a) 試験方法 規定された一定の液温度に保持した恒温槽に感温筒を浸せきした状態で,内部均圧形は膨

張弁出口部,外部均圧形は均圧管接続部から加圧及び減圧を繰り返す。 

b) 試験条件 膨張弁の仕様によって,次の1) 又は2) のいずれかの条件とする。 

1) 一般用膨張弁 

感温筒温度 

:12 ℃又は0 ℃のいずれかの一定温度を選定する。 

試験圧力 

:差圧0.15 MPaの範囲で,加圧及び減圧を繰り返す。ただし,加圧時の圧力の上

限は,冷媒蒸気温度が10 ℃に対応する飽和圧力とする。 

圧力繰返し数 :100 000回とする。ただし,毎分15回以下のサイクルとする。 

2) ヒートポンプ対応の膨張弁 

感温筒温度 

:30 ℃ 

試験圧力 

:冷媒液温度が0 ℃及び50 ℃に対応する飽和圧力の間の範囲で,加圧及び減圧を

繰り返す。 

圧力繰返し数 :20 000回とする。ただし,毎分15回以下のサイクルとする。 

c) 過熱度設定値変化の求め方 耐久試験の前後における過熱度設定値の変化は,5.5によって求める。 

5.7 

温度サイクル試験 

膨張弁が温度変化を繰返し受けた後の過熱度設定値の変化を,温度サイクル試験によって求める方法は,

次による。 

なお,この試験は膨張弁の使用温度範囲,チャージの方式などによって試験温度条件が異なるので,受

渡当事者間の協議によって試験条件を定める。 

a) 試験方法 室温放置−高温放置−室温放置を1サイクルとし,温度変化を繰り返し与える。 

b) 試験条件 試験条件は,次による。 

1) 高温放置温度の最低値は60 ℃とし,試験温度を明示する。 

なお,室温放置及び高温放置における最小温度差は40 Kとする。 

2) 放置温度の各保持時間は20分間以上とする。 

3) 繰返し回数は3サイクルとする。 

c) 過熱度設定値変化の求め方 温度サイクル試験の前後における過熱度設定値の変化は,5.5によって求

める。 

d) この試験は,JIS C 60068-2-14に基づいて行う。 

5.8 

気密試験 

膨張弁の気密性能の試験は,次による。 

a) 試験条件 気密試験圧力は,設計圧力以上の圧力とする。 

なお,一般用膨張弁は低圧部,ヒートポンプ対応の膨張弁は高圧部とみなす。 

b) 試験方法 膨張弁本体に,空気又は加害性のないガス(酸素,可燃性ガス及び毒性ガスを除く。)で気

密試験圧力まで加圧し,その圧力を1分間以上保持し,各部に漏れがないことを確認する。 

試験報告書 

試験報告書には,次の情報を含まなければならない。 

13 

B 8619:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 測定者,試験年月日,気温,相対湿度,大気圧など 

b) 計測器などの種類 

c) 試験条件 

d) 試験の結果 

e) 当該規格に基づいて実施した旨の記載(規格番号など) 

f) 

その他特記すべき事項