2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 8409-1994
油バーナ用圧力形電磁ポンプ
Pressure type solenoid pumps for oil burners
1. 適用範囲 この規格は,主に灯油(1)(以下,油という。)用バーナなどに使用する吐出し圧力700kPa
{7kgf/cm2} における吐出し量(2)25l/h以下の圧力形の燃料用往復動式電磁ポンプ(以下,電磁ポンプとい
う。)について規定する。
注(1) JIS K 2203に規定する1号灯油。
(2) 灯油がバーナノズル又はそれに相当する絞り機構から吐き出される量の最大値(8.1及び8.3.1
参照)。
備考1. この規格の引用規格を,付表1に示す。
2. この規格でいう圧力は,すべてゲージ圧である。
3. この規格の中で{ }を付けて示した単位及び数値は,従来単位によるものであって,参考
値である。
2. 種類及び記号 ポンプの種類及び記号は,吐出し量,定格電圧及び定格周波数によって,次のように
区分する。
(1) 吐出し量による区分 吐出し量による区分は,表1による。
表1 吐出し量による区分
単位 l/h
記号
吐出し量
K 10
1.0
K 16
1.6
K 20
2.0
K 25
2.5
K 32
3.2
K 36
3.6
K 40
4.0
K 45
4.5
K 50
5.0
K 63
6.3
K 90
9.0
K125
12.5
K180
18.0
K250
25.0
(2) 定格電圧による区分 定格電圧による区分は,表2による。
2
B 8409-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2 定格電圧による区分
記号
定格電圧による区分
100
交流100V
200
交流200V
(3) 定格周波数による区分 定格周波数による区分は,表3による。
表3 定格周波数による区分
記号
定格周波数による区分
50
50Hz専用形
60
60Hz専用形
50/60
50/60Hz共用形
50/60T
50/60Hz選択形
3. 性能 性能は,8.によって試験し,表4に適合しなければならない。
表4 性能
項目
性能
試験方法
吐出し量
表1の規定に適合すること。
8.3.1
吸込み性
1分間以内で液柱−0.3mの値が得られること。
8.3.2
耐圧
破損,変形,き裂,油漏れなどの異状がないこと。
8.3.3
騒音
次の値を超えないこと。
8.3.4
許容最高温度
次の値を超えないこと。
8.3.5
備考 絶縁の種類は,
JIS C 4003によ
る。
電圧変動特性
表1の値の±10%の範囲内であること。
8.3.6
絶縁抵抗
10MΩ以上であること。
8.3.7
耐電圧
耐えること。
8.3.8
低温
特性
始動性
始動すること。
8.3.9
吐出し量
表1の値の90%以上であること。
高温
特性
吐出し量
表1の値の90%以上であること。
8.3.10
吸込み性
1分以内で液柱−0.3mの値が得られること。
耐熱性
機能上支障がある膨れ,変形,その他の異状がないこと。
8.3.11
耐
湿
性
絶縁抵抗
3MΩ以上であること。
8.3.12
耐電圧
耐えること。
3
B 8409-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
項目
性能
試験方法
耐
久
性
吐出し量
表1の値の90%以上であること。
8.3.13
油漏れ
油漏れがないこと。
絶縁抵抗
10MΩ以上であること。
耐電圧
耐えること。
4. 構造
4.1
構造一般 ポンプは,付図1及び付図2に示すような構造のもので,外部への油漏れがなく,通常
工具を用いて容易に着脱できなければならない。
4.2
各部の構造 ポンプの各部の構造は,次による。
(1) 本体 使用上,十分な強度をもたなければならない。
(2) プランジャ,ピストン及びシリンダ 運転中,作動が円滑で固着,異音,その他異常を生じるおそれ
があってはならない。
(3) ばね 使用上十分な強度をもち,折損などのおそれがあってはならない。
(4) 電磁コイル 絶縁が十分で通常運転による発熱によって変形,割れなどが生じてはならない。
(5) 吸込み弁,吐出し弁 開閉作動が円滑でなければならない。
(6) 吸込み口,吐出し口 ねじ継手とし,ねじは,JIS B 0202又はJIS B 0203で,ねじの大きさは,8
1又
は4
1とする。
(7) ストレーナ ストレーナを内蔵するものは,吐出し量をろ過する能力をもち,ふるい目の開きは,JIS
Z 8801の300μm以下とする。
5. 取付部の寸法 ポンプの取付部の寸法は,付図3による。
6. 外観 ポンプの外壁は,各部の仕上げが良好で,割れ及び使用上有害なきず,鋳巣,ばりなどの欠陥
があってはならない。
7. 材料 ポンプの主要部に使用する材料は,通常の使用状態で,耐熱性,強度,耐食性,安全性及び耐
久性があるものでなければならない。
8. 試験方法
8.1
試験条件 特に規定する場合を除き次による。
(1) 試験油及び周囲温度は,5〜35℃とする。
(2) 電源は,定格電圧及び定格周波数とする。
(3) 吐出し圧力は,700kPa {7kgf/cm2} とする。
8.2
試験装置 試験装置は,次による。
(1) 試験装置,及び供試ポンプの配置は,付図4による。
(2) 油タンクの容量は,試験による油温の上昇が10℃を超えない程度の大きさとする。
(3) 温度計,JIS B 7411に規定するものを用いる。
(4) 吸込み管は,内径4〜6mm,長さ2m以下とする。
(5) マノメータは,JIS Z 8751に規定する開管油マノメータを用いる。
4
B 8409-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(6) 圧力計は,JIS B 7505に規定する最高目盛1.5MPa {15kgf/cm2},精度1.5級以上のオリフィス(穴径
0.4〜0.5mm,長さ5〜8mm)付きのものを用いる。
(7) メスシリンダは,JIS R 3505に規定するメスシリンダで測定体積が最高目盛の21以上になるような呼
び容量のものを用いる。
(8) 絞り機構は,ポンプの吐出し側の圧力を設定するもので,ノズル又は可変絞り弁を用いる。
8.3
試験方法
8.3.1
吐出し量 付図4に示すような装置によってH=0とし,吐出し側の絞り機構によって吐出し圧力
を700kPa {7kgf/cm2} に保って行い,供試ポンプから吐き出される試験油の体積を3回以上測定し,その
平均値を算出する。1回の測定は,1分間以上とし,容積は,100ml以上とする。
なお,測定に疑義を生じない場合は,校正された流量計などによってもよい。
8.3.2
吸込み性 付図4に示す装置によって,運転状態で吐出し圧力を700kPa {7kgf/cm2} に保持しなが
ら供試ポンプの吸込み側を絞った後,吸込み側の圧力が液柱−0.3mに到達する時間を測定する。
8.3.3
耐圧 供試ポンプに油を満たした状態で,吐出し側を閉じ,吸込み側から吐出し圧力の1.5倍の圧
力を3分間加えた後,異常の有無を調べる。
8.3.4
騒音 供試ポンプを床面から1mの高さで共鳴音が発生しないようにつり下げた状態で表1の吐出
し量で運転し,ポンプの表面から水平に1m離れた各点でJIS B 8350の方法によってA特性で測定する。
8.3.5
許容最高温度 8.1の条件で連続で運転し,温度がほぼ一定に達したとき,コイルの温度を抵抗法
で測定する。
8.3.6
電圧変動特性 供試ポンプを8.3.1の試験を運転した後,定格電圧の90%及び110%の電圧を加え,
それぞれの吐出し量を調べる。
8.3.7
絶縁抵抗 JIS C 1302に規定する500V絶縁抵抗計によって,充電部と非充電金属部との間の絶縁
抵抗を測定する。
8.3.8
耐電圧 充電部と非充電金属部との間に50Hz又は60Hzの正弦波に近い表5に示す試験電圧のい
ずれかを加え,耐えるかどうかを調べる。
表5 試験電圧
単位 V
定格電圧
試験電圧
1分間
1秒間
100
1 000
1 200
200
1 500
1 800
8.3.9
低温特性 供試ポンプに油を満たした状態で−20±2℃の低温槽内に5時間置いた後,そのままの
状態で次の試験を行う。
(1) 始動性 定格電圧の90%の電圧を通電し,始動するかどうかを調べる。
(2) 吐出し量 8.1(3)の条件で8.3.1の試験を行う。
なお,油タンクは槽内に,測定装置は,槽外に置いて行う。
8.3.10 高温特性 供試ポンプを60±2℃の恒温槽内で8.1(2),(3)の条件で,24時間作動させた後,そのま
まの状態で直ちに8.3.1及び8.3.2の試験を行う。
なお,油タンク及び測定装置は,槽外に置いて行う。
5
B 8409-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8.3.11 耐熱性 供試ポンプを70±2℃の恒温槽に24時間放置した後,槽から取り出し,供試ポンプを分
解し,熱的影響を受けるおそれがある部分に使用しているゴム,プラスチックなどについて目視によって
異常の有無を調べる。
なお,この試験は,供試ポンプに油を入れない状態で行う。
8.3.12 耐湿性 供試ポンプを周囲温度20±2℃,相対湿度90〜95%の槽内で48時間作動させた後,槽か
ら取り出し,水滴などが付着したときは,これを十分ふき取って8.3.7及び8.3.8の試験を行う。
8.3.13 耐久性 8.1の条件で供試ポンプを連続5 000時間運転,又は1分間運転,1分間停止を1サイクル
として100 000サイクル行った後,8.3.1,8.3.3,8.3.7及び8.3.8の試験を行う。
なお,試験用油は,状況に応じて取り換えなければならない。
9. 検査
9.1
形式検査 形式検査は,新規の設計又は改造によって,性能に影響を及ぼすとみなされるものにつ
いて,次の各項目の検査を行い,3.〜6.及び11.の規定に適合しなければならない。
(1) 構造
(2) 外観
(3) 取付部の寸法
(4) 吐出し量
(5) 吸込み性
(6) 耐圧
(7) 騒音
(8) 許容最高温度
(9) 電圧変動特性
(10) 絶縁抵抗
(11) 耐電圧
(12) 低温特性
(13) 高温特性
(14) 耐熱性
(15) 耐湿性
(16) 耐久性
(17) 表示
9.2
受渡検査 受渡検査は,形式検査に合格し,性能の確認されたポンプと同種類のものについて,次
の各項目の検査を行い,3.,6.及び11.の規定に適合しなければならない。ただし,検査項目は,受渡当事
者間の協定によって,その一部を省略することができる。
(1) 外観
(2) 吐出し量
(3) 絶縁抵抗
(4) 耐電圧
(5) 表示
6
B 8409-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
10. 製品の呼び方 ポンプの呼び方は,規格番号,定格電圧,定格周波数及び吐出し量の順で表す。
例
11. 表示
11.1 製品の表示 ポンプの見やすい箇所に次の事項を容易に消えない方法で表示する。
(1) 製造業者の型式名
(2) 定格電圧及び周波数
(3) 吐出し量
(4) 吸込み口,吐出し口のねじの種類又はその略号
(5) 製造業者名又はその略号
(6) 製造年月又はその略号
11.2 包装の表示 包装する場合は,次の事項を見やすい箇所に表示する。
(1) 製造業者の型式名
(2) 定格電圧及び周波数
(3) 吐出し量
(4) 製造業者名又はその略号
付表1 引用規格
JIS B 0202 管用平行ねじ
JIS B 0203 管用テーパねじ
JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没)
JIS B 7505 ブルドン管圧力計
JIS B 8350 油圧ポンプ及び油圧モータの騒音レベル測定方法
JIS C 1302 絶縁抵抗計(電池式)
JIS C 4003 電気機器絶縁の種類
JIS K 2203 灯油
JIS R 3505 ガラス製化学用体積計
JIS Z 8751 液柱差を使う真空計による真空度測定方法
JIS Z 8801 標準ふるい
7
B 8409-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図1 油バーナ用圧力形電磁ポンプ
備考 図の形状は,上吐出し方式の一例を示す。
8
B 8409-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図2 油バーナ用圧力形電磁ポンプ
備考 図の形状は,横吐出し方式の一例を示す。
9
B 8409-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図3 取付部の寸法
付図4 試験装置,測定装置及び供試ポンプの配置
10
B 8409-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS B 8409 改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
辻 茂
東京工業大学工学部
山 口 惇
横浜国立大学工学部
池 尾 茂
上智大学理工学部
○ 平 野 幸 夫
株式会社伊東設備設計事務所
河 野 博 文
通商産業省機械情報産業局産業機械課
○ 桐 山 和 臣
工業技術院標準部機械規格課
黒 木 勝 也
財団法人日本規格協会技術・検査部
御法川 義 雄
株式会社御法川工場
○ 糸 川 英 樹
日精オーバル株式会社取締役技術部
○ 安 西 敏 浩
三洋電機株式会社冷熱事業部技術部
○ 村 野 雄 大
ロケットボイラー工業株式会社技術部
○ 福 積 忠 男
株式会社長府製作所
○ 仁 司 信 夫
日本無煙工業株式会社第二営業部
○ 山 口 憲 一
株式会社ノーリツ開発部
○ 福 地 一 夫
松下電器産業株式会社東京本部技術部
○ 野 村 敦
日本コントロール工業株式会社
○ 最 首 幸 一
三輪精機株式会社ニシウミ研究所
○ 豊 島 常 佳
太産工業株式会社技術部
○ 新 井 敏 夫
ダンフォス株式会社自動制御営業技術部
○ 中 沢 宏 治
株式会社トロコイド
(事務局)
○ 鴨志田 隆 英
日本暖房機器工業会
備考 ○印で示した委員は,分科会 (WG) 委員も兼ねる。