2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 8379-1995
空気圧用消音器
Pneumatic circuit−Silencers
1. 適用範囲 この規格は,空気圧回路に使用する方向制御弁など(以下,弁という。)の排気ポートに取
り付けて,その排気音を減衰させることを目的とする空気圧用消音器(以下,消音器という。)について規
定する。
備考1. 消音器とは,次の条件で用いられるものをいう。
(1) 使用圧力範囲 0〜1MPa(以下,圧力はゲージ圧力を指す。)
(2) 使用空気温度及び周囲温度 5〜60℃
2. この規格の引用規格を,付表1に示す。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 0142及びJIS Z 8106によるほか,次による。
(1) 騒音レベル JIS C 1502に規定されたもの,又はこれと同等以上の測定器で測定したA特性で重みづ
けられた音圧レベル。単位dB。
(2) バンド音圧レベル 連続スペクトルをもった音のある周波数を中心とした幅1オクターブ又は31オク
ターブの周波数帯域内に含まれる成分の音圧レベル。
(3) 測定値 読取値に暗騒音の補正を行った値。
3. 種類及び表示記号 消音器の種類は,口径の呼び及び特性(1)によって分け,表示記号は表1による。
注(1) A種及びB種とする。
表1
口径の呼び
表示記号
(参考)
ねじ継手の呼び
A種
B種
6
SA- 6A
SA- 6B
R1/8
8
SA- 8A
SA- 8B
R1/4
10
SA-10A
SA-10B
R3/8
15
SA-15A
SA-15B
R1/2
20
SA-20A
SA-20B
R3/4
25
SA-25A
SA-25B
R1
備考1. ねじ継手のねじは,JIS B 0203に規定する管用テー
パおねじ又は管用テーパめねじとする。
2. 表示記号の文字SAは消音器を表す。
表示記号の第2項の数字は口径の呼び,末尾A
及びBは特性記号を表す。
4. 性能
2
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4.1
流量特性 消音器の流量特性は,有効断面積で表し,10.1の規定によって試験したときの値は表2
のとおりとする。
表2
単位mm2
口径の呼び
有効断面積
A種
B種
6
8以上
15以上
8
15以上
30以上
10
30以上
60以上
15
60以上
90以上
20
90以上
160以上
25
160以上
280以上
4.2
排気音減衰特性 消音器は,10.2の規定によって試験したとき,消音効果LDは20dB以上でなけれ
ばならない。
4.3
耐圧性 消音器は,10.3の規定によって試験したとき,破壊,き裂,その他有害な欠陥を生じては
ならない。
4.4
機械的強度 消音器は,10.4の規定によって試験したとき,破壊,き裂,その他有害な欠陥を生じ
てはならない。
4.5
耐久性 消音器は,10.5の規定によって試験したとき,4.2,4.3及び4.4の規定を満足しなければな
らない。
5. 構造
5.1
一般 消音器は,方向制御弁の排気ポートに取り付けできる構造とし,空気圧の加わる部分は,十
分な強さをもっていなければならない。
5.2
配管接続部の位置 消音器の配管接続部の位置は,一般に図1による。
図1
3
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単位mm
口径の呼び
A寸法
6
25以下
8
35以下
10
50以下
15
60以下
20
75以下
25
90以下
6. 寸法 消音器の寸法は,図1による。
7. 外観 消音器の外観は,次による。
(1) 外部には有害なきず,割れ,鋳巣,ばり,その他の欠陥がなく,鋳造品は,外面が滑らかでなければ
ならない。
(2) 外部表面には,塗装又はその他の方法によってさび止め処理を施す。
8. 材料 消音器に使用する材料は,その使用状態において4.及び5.に示す条件を満足するものでなけれ
ばならない。
また,さびが生じるおそれがある部分には,適当なさび止め処理を施さなければならない。
9. 試験条件
9.1
試験用空気 試験用空気は,JIS B 8371に規定する空気圧用フィルタ(ただし,ろ過度5μmのもの)
を通過した空気を用いる。
10. 試験方法
10.1 流量特性試験 圧力0.5MPaに充てんされた内容積(V)の容器に弁を直結し,その弁の出口に供試消
音器を直結する。弁を開き容器内空気を大気に放出し,容器内圧が0.2MPaに降下した瞬間に弁を閉じ空
気の放出時間(t)を測定する。その後容器内圧がほぼ一定になった時点で残存圧力を測定し,次の式によっ
て供試消音器の有効断面積(S)を算出する。ただし,容器の内容積は放出時間が数秒となるように選定する。
なお,弁は供試消音器の空気流量に対し十分大きい流量のものを選定する。
T
P
P
t
V
S
273
101
.0
101
.0
log
1
9.
12
0
10
+
+
=
ここに,
S: 有効断面積 (mm2)
V: 容器の内容積 (l)
P0: 容器の初期圧力 (MPa)
P: 容器の残存圧力 (MPa)
t: 空気の放出時間 (s)
T: 室温 (K)
10.2 排気音減衰特性試験
10.2.1 装置 測定器は,JIS C 1502に規定された普通騒音計又はこれと同等以上の精度の測定器(以下,
騒音計という。)を使用し,図2に示す回路によって試験を行う。音源として用いるオリフィス板は,図2
に示す孔径のJIS Z 8762に規定するオリフィス板を用い,試験圧力は0.5MPaとする。
4
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図2
単位mm
口径の呼び
オリフィス板の口径
A種
B種
6
2.8
3.9
8
3.9
5.5
10
5.5
7.5
15
7.5
9.5
20
9.5
13.0
25
13.0
16.5
備考1. 配管は,消音器のポートの口径に
相当するJIS G 3452の管を用い
る。
2. dは配管の内径を表す。
3. 圧力取出口の詳細を図3に示す。
図3
10.2.2 試験条件 試験条件は,次による。
(1) 音源となるオリフィス板及び供試消音器は,地面又は床面と平行に設置する。
(2) 騒音測定点は図4の1,2,3,4及び5とする。
5
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図4
騒音のピーク値の方向又は幾何中心軸をX軸とする。
(3) 音源とマイクロホンとの距離を1m及び1.4mとして測定を行い,1mにおける測定値に比較し,1.4m
での測定値が3dB以上減衰する場所で測定する。
備考1. 騒音計は,測定の前後に校正を行う。
2. 測定者の身体からの反射音の影響を極力少なくするため,マイクロホンだけを離すなどの配
慮をする。
10.2.3 測定方法 測定方法は,次による。
(1) 騒音計の周波数補正回路は,A特性とし,騒音レベルの読取値は指示値に最も近い整数値とし,消音
効果を次の式によって求める。
なお,騒音計の動特性は,速(Fast)を使用する。
LD=L0−Lm
ここに, LD: 消音効果 (dB)
L0: 供試消音器を取り付けない場合の測定点1,2,3及び4にお
ける測定値L1,L2,L3及びL4の代表値 (dB)
Lm: 供試消音器を取り付けた場合の測定点1,2,3及び4におけ
る測定値L1,L2,L3及びL4の代表値 (dB)
なお,L0及びLmは次の式によって求める。
(
)
4
log
10
10
10
10
10
log
10
10
10
/4
10
/3
10
/2
10
/1
10
0
−
+
+
+
=
L
L
L
L
m
L
L又は
(2) 図4の測定において,消音器を取り付けた場合の測定点5における測定値L5とLmとの差LDPを次の
式によって求め,消音効果LDの後に ( ) 表示する。
LDP=L5−Lm
ここに, LDP: 消音器を取り付けた場合の測定点5における測定値L5とLm
との差 (dB)
消音効果表示例 LD=30(15)dB
(3) 図4の測定において,測定点5点のうち,どれかに噴流の影響が生じる場合には図5のように風防ス
クリーンなどを設けて測定し,次の式によって補正する。
L'=Ls+C
6
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C=Li−Lis
ここに, L': 補正後の排気音の測定値 (dB)
Ls: 風防スクリーンなどを設置したときの測定値 (dB)
C: 補正値 (dB)
Li: 噴流の影響がない測定点における測定値 (dB)
Lis: Liにおける測定点に,Lsの測定に用いた風防スクリーンなど
を設置して測定したときの測定値 (dB)
図5
備考 風防スクリーンは,布など音を反射又は吸収することが少なく,噴流を遮断できるものを使用
する。
(4) ここに規定する以外の事項は,JIS Z 8731による。
備考1. 暗騒音の影響 各測定点での対象騒音の騒音レベルと暗騒音の騒音レベルとの差は6dB以上
あることが望ましいが,この差が6dB以下の場合には,表3によって補正する。
表3
単位dB
対象の音があるときとないときの差
4
5
6
補正値
−2
−1
2. 消音効果の周波数特性が必要な場合は,下記による。
供試消音器がない場合と,取り付けた場合の排気音のバンド音圧レベルの各周波数帯ごと
の差をもって,供試消音器の周波数特性とする測定方法は,スペクトル分析とし,測定器は,
1オクターブ又は31オクターブバンド分析器とする。
周波数帯域は1オクターブバンドの中心周波数で,125Hzから8kHzとする。
装置は10.2.1に,試験条件は10.2.2に準じる。ただし,測定点が2点以上の場合には,各
周波数帯域ごとの平均値をもって,消音器の周波数特性とし,結果は図6によって表示する。
参考 1オクターブバンド又は31オクターブバンド分析器には,JIS C 1513がある。
7
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図6
10.3 耐圧試験 消音器の内部に異物を入れて目詰まりさせ,最高使用圧力の1.25倍の圧力を1分間保持
し,有害な欠陥の有無を調べる。
10.4 曲げ強度試験 図7に示す試験装置によって,先端から全長101の部分に口径の呼びに対応する,図7
に示す曲げ荷重を加える。
図7
単位N
口径の呼び
曲げ試験荷重
6
40
8
100
10
250
15
250
20
250
25
250
10.5 耐久試験 図8に示す試験装置による。弁の入口に圧力0.5MPaを加え,弁の開閉ができる速度で
500万回作動を行う。
なお,弁の開閉時間比率は50%とし,試験中に供試消音器の各部について,ねじなどの再締付けを行っ
8
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てはならない。
図8
備考 弁及び直管は,供試消音器の口径の呼びと同一呼び
径とし,水平に配置する。
11. 検査
11.1 形式検査 形式検査は,新規設計のもの又は改造によって影響を及ぼすとみなされるものについて,
次の検査を行い,4.,5.,6.,7.及び8.の規定に合格しなければならない。
(1) 材料
(2) 構造
(3) 寸法
(4) 外観
(5) 流量特性
(6) 排気音減衰特性
(7) 耐圧性
(8) 耐久性
(9) 機械的強度
11.2 受渡検査 受渡検査は,形式検査に合格し,性能の確認された消音器と同種類のものについて,次
の検査を行い,5.,6.,7.,12.及び14.の規定に合格しなければならない。
(1) 構造
(2) 外観
(3) 寸法
(4) 包装
(5) 表示
なお,検査を行う場合の抜取方式は,受渡当事者間の協定による。
12. 包装 消音器の包装には容易にちり,ほこりなどの異物が入らないようにする。
13. 製品の呼び方 消音器の呼び方は,規格番号又は規格の名称及び表示記号による。
例 JIS B 8379 SA-8A又は空気圧用消音器 SA-8A
14. 表示 消音器には,見やすいところに,銘板その他によって,次の事項を明りょうに表示しなければ
ならない。
(1) 製造業者名又は登録商標
(2) 表示記号
9
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(3) 最高使用圧力 (MPa)
付表1 引用規格
JIS B 0142 油圧及び空気圧用語
JIS B 0203 管用テーパねじ
JIS B 8371 空気圧用フィルタ
JIS C 1502 普通騒音計
JIS G 3452 配管用炭素鋼鋼管
JIS Z 8106 音響用語(一般)
JIS Z 8731 騒音レベル測定方法
JIS Z 8762 絞り機構による流量測定方法
関連規格 JIS B 8373 空気圧用2ポート電磁弁
JIS B 8374 空気圧用3ポート電磁弁
JIS B 8375 空気圧用4ポート・5ポート電磁弁
JIS C 1513 オクターブ及び31オクターブバンド分析器
氏名
所属
(委員長)
辻 茂
高度技術開発センター
(幹事)
○ 佐 藤 光 男
SMC株式会社開発部
岡 野 晴 夫
株式会社荏原製作所風水力事業部
○ 香 川 利 春
東京工業大学
安 達 俊 夫
通商産業省機械情報産業局
竹田原 昇 司
工業技術院標準部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会技術部
○ 坂 本 忠 臣
株式会社ブリヂストン生産システム開発部
岡 部 義 雄
株式会社電元社
伴 龍 一
日産ディーゼル工業株式会社
山 下 博
三井精機工業株式会社
○ 久々湊 哲 夫
SMC株式会社技術部
○ 川 端 実
黒田精工株式会社
○ 常 川 隆 史
甲南電機株式会社
(事務局)
三 浦 吉 成
社団法人日本油空圧工業会
新 免 雅 彦
社団法人日本油空圧工業会
備考 ○が付いている委員は,分科会委員を兼ねる。