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日本工業規格

JIS

 B

8374

-1993

空気圧用 3 ポート電磁弁

Pneumatic system

−3-Port solenoid operated valves

1.

適用範囲  この規格は,機械設備に用いる空気圧システムの中で使用される,空気圧用 3 ポートの電

磁弁(以下,弁という。

)について規定する。

なお,弁の使用条件を次に示す。

(1)

最高使用圧力  0.7MPa {7.14kgf/cm

2

}

以下

(2)

周囲温度及び使用空気温度  −5∼50℃

(ただし,弁の内部は氷結しないもの。

(3)

振動・衝撃  弁には,一般に有害な振動・衝撃が加わらない。

(4)

作動頻度  最大作動頻度は 1 秒に 1 回とし,最小作動頻度は 30 日に 1 回とする。

(5)

空気の質  弁に供給される空気の質は弁の使用目的,機能・性能及び周囲環境に適合させるとともに,

弁の信頼性,耐久性及び安全性を高めるために空気の質の管理を施す。

備考1.  この規格の中で用いる圧力は,ゲージ圧を示す。

2.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 0142

  油圧及び空気圧用器

JIS B 0203

  管用テーパねじ

JIS B 8370

  空気圧システム通則

JIS C 0704

  制御機器の絶縁距離・絶縁抵抗及び耐電圧

JIS C 1302

  絶縁抵抗計(電池式)

JIS C 4003

  電気機器絶縁の種類

3.

この規格の中で  {  }  を付けて示してある単位,数値及び数式は従来単位によるものであっ

て,参考として併記したものである。

4.

空気の質に関しては JIS B 8370 の 7.(エネルギー伝達及び清浄化機器)による。

2.

用語の定義  この規格で用いる用語の定義は,JIS B 0142 による。

3.

弁の種類及び表示記号

3.1

弁の種類  弁の種類は,弁の形式記号,ポートの口径の呼び,弁流路の状態,使用圧力,定格電圧,

定格周波数及び特性によって次のように分ける。

(1)

弁の形式記号及びポートの口径の呼び  弁の形式記号,ポートの口径の呼び及びねじ継手の呼びは,

表 による。


2

B 8374-1993

表 1  弁の形式記号,ポートの口径の呼び及びねじ継手の呼び

弁の形式記号

ポートの口径の呼び

ねじ継手の呼び

DV3 6 Rc 1/8

 8

Rc 1/4

 10 Rc 3/8

 15 Rc 1/2

 20 Rc 3/4

 25 Rc 1

PV3 6 Rc 1/8

 8

Rc 1/4

 10 Rc 3/8

 15 Rc 1/2

 20 Rc 3/4

 25 Rc 1

備考1.  形式記号 DV3は直動形3ポートのもの,PV3はパイロ

ット形3ポートのものを示す。

2.

ねじ継手のねじは,一般に JIS B 0203 に規定する管
用テーパめねじとする。 

(2)

弁流路の状態  弁流路の状態は,ソレノイドに電圧を加えない状態で,空気が弁の入口から弁の出口

へ流れないものを常時閉,流れるものを常時開とする。その記号は常時閉を NC,常時開を NO,両者

兼用のものを CO とし,ポートの接続状態は,

表 による。

表 2  弁流路の状態

表示記号 NC

NO

CO

流路記号

備考  ポート P は入口,ポート A は出口,ポート R は排気口を表す。 

(3)

使用圧力  弁の使用圧力は,直動形では 0MPa {0kgf/cm

2

}

∼0.7 MPa {7.14kgf/cm

2

}

とし,パイロット

形では,0.2MPa {2.04kgf/cm

2

}

∼0.7MPa {7.14kgf/cm

2

}

とする。

(4)

定格電圧及び周波数  ソレノイドの定格電圧は,交流 100V 又は 200V とし,直流は 12V 又は 24V と

する。交流の定格周波数は 50Hz, 60Hz 又は 50/60Hz 共用とする。

なお,使用時の電圧変動は定格電圧の 90%から 110%の範囲とする。

(5)

特性  流量特性(有効断面積),空気の漏れ量,耐久性(作動回数)及び応答時間は,表 による。


3

B 8374-1993

表 3  弁の特性

特性

有効断面積  mm

2

空気の漏れ量  cm

2

/min (ANR)

特性記号

ポートの口径の呼び

A B

C

D

作動回数

万回

応答時間

s

6 1.2

以上 10 以上

10

以下 500 以下 500

0.04

以下

8 3

以上 20 以上

10

以下 500 以下

0.04

以下

10

− 40 以上

25

以下 1

000

以下

0.04

以下

15

− 60 以上

25

以下 1

000

以下

0.06

以下

20

− 100 以上

50

以下 1

500

以下

0.1

以下

25

− 190 以上

50

以下 1

500

以下

0.1

以下

なお,C はシール機構に合成ゴムなどを用いたもの,D はシール機構に金属を用いたものを主として

対象とする。

3.2

表示記号  弁の表示記号の表し方は,次による。

1. DV3-06-CO-AC

2. PV3-25-NC-BD

4.

性能

4.1

作動  10.1 の規定によって試験したとき,切換作動が円滑で,異常音があってはならない。

4.2

流量特性  流量特性は有効断面積で表し,10.2 の規定によって試験したときの値は表 のとおりと

する。

4.3

動的性能  動的性能は 10.3 の規定によって試験したときの応答時間で表し,その値は表 のとおり

とする。

4.4

温度上昇  10.4 の規定によって試験したときの温度上昇値に周囲温度を加算したソレノイドの最高

温度は,JIS C 4003 の規定による許容最高温度を超えないものとする。

4.5

絶縁抵抗  10.5 の規定によって試験したときの絶縁抵抗の値は,5 M

Ω以上でなければならない。

4.6

耐電圧  10.6 の規定によって試験したとき,これに耐えなければならない。

4.7

空気漏れ  10.7 の規定によって試験したとき,空気の漏れ量の値は,表 のとおりとする。

4.8

耐圧性  10.8 の規定によって試験したとき,破壊,き裂,外部漏れなどの欠陥があってはならない。

4.9

耐久性  10.9 の規定によって試験し,表 に示す作動回数に達したとき,4.14.8 に適合しなければ

ならない。

5.

主要部品の名称  主要部品の名称は,付図 1による。

6.

構造


4

B 8374-1993

6.1

一般  弁は,ソレノイドの作動によって確実に弁口が開閉できる構造とし,空気圧の加わる部分は,

十分な強さをもつものとする。

6.2

ソレノイド  ソレノイドは,うなりが少なく円滑に弁の切換操作ができるものとし,コイルは本体,

ハウジングなどと十分絶縁された構造とする。

なお,コイルのリード線には,緑色を使用してはならない。

6.3

手動操作  弁は試動又は点検のために通電することなく,外部から手動で弁の切換動作が行える構

造とする。

なお,手動部は誤って人体などが接触しても作動しない構造が望ましい。

7.

寸法  弁の主要寸法を,参考図に示す。

8.

外観  弁の外観は,次による。

(1)

弁の仕上がりは良好で,有害なきず,割れ,鋳巣,ばりなどの欠陥があってはならない。

(2)

外部表面には,塗装又はその他の方法によって,さび止め処理を施す。ただし,耐食材料の部分はそ

の必要がない。

9.

材料  弁に使用する材料は,その使用状態において,4.及び 6.に示す条件を満足するものでなければ

ならない。

10.

試験

10.1

作動試験  ポート A を閉鎖した状態で直動形ではポート P に最高使用圧力,パイロット形では最高

使用圧力及び 0.2MPa {2.04kgf/cm

2

}

の圧力を加え,

定格電圧の 90%の電圧で 5 回以上弁の切換作動を行う。

10.2

流量特性試験  圧力 0.5MPa {5.1kgf/cm

2

}

に充てんされた内容積 の容器に弁を直結した状態で弁を

開いて空気を大気に放出し,容器の圧力が 0.2MPa {2.04kgf/cm

2

}

に降下した瞬間に弁を閉じて空気の放出

を止める。そのときの空気放出時間 及び容器の残存圧力 を測定し,次の式によって弁の有効断面積 S

を算出する。ただし,容器の内容積 は,時間 が数秒になるように選定するものとし,容器の初期圧力

及び残存圧力はその圧力計の指示が一定となる定常状態になるのを待って測定する。

なお,試験は,ポート P,A 間及びポート A,R 間について行う。

ïþ

ý

ü

ïî

í

ì

+

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

+

=

+

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

+

=

273

273

03

.

1

03

.

1

log

1

9

.

12

273

273

101

.

0

101

.

0

log

1

9

.

12

0

10

0

10

T

P

P

t

V

S

T

P

P

t

V

S

ここに,

S

有効断面積

 (mm

2

)

V

 

容器の内容積

  (l)

P

o

容器の初期圧力

 (MPa) {kgf/cm

2

}

P

容器の残存圧力

 (MPa) {kgf/cm

2

}

t

空気の放出時間

 (s)

T

室温

  (

)

10.3

動的性能試験  ポート

P

に圧力

0.5MPa {5.1kgf/cm

2

}

を加え,ポート

A

に圧力検出装置を取り付け,

ソレノイドに定格電圧を加え,又は切ってから圧力検出装置で圧力が検出されるまでの時間を読む。

なお,圧力検出装置は,供試弁の応答時間を十分に測定できる性能をもつものとする。


5

B 8374-1993

10.4

温度上昇試験  ソレノイドに定格電圧を連続通電し,温度上昇がほぼ安定したとき,抵抗法によっ

て温度上昇値を測定する。

なお,周囲温度の上限は

40

℃とする。

10.5

絶縁抵抗試験  JIS C 1302 に規定された

500V

の絶縁抵抗計を使用し,コイル端子と露出した非充電

金属部との間の絶縁抵抗を測定する。

10.6

耐電圧試験  コイル端子と露出した非充電金属部間に,表 による

50Hz

又は

60Hz

の正弦波に近い

試験電圧を

1

分間加える。ただし,多量生産の場合には,試験電圧の

120%

の電圧を

1

秒間加えてこれに

代えることができる。

表 4  試験電圧

定格電圧

試験電圧(交流実効値)

DC

DC

24V

12V

1 000V

AC

AC

100V

200V

1 500V

備考  耐電圧試験は JIS C 0704 の 6.2

(制

御回路の耐電圧値)による。 

10.7

空気漏れ試験  弁の各作動位置において,互いに遮断されているポート間について,一方のポート

から圧力

0.5MPa {5.1kgf/cm

2

}

を加えて他のポートからの漏れを測定する。

10.8

耐圧試験  ポート

A

にプラグを施し,弁を開いた状態でポート

P

に最高使用圧力の

1.5

倍の圧力を

加え,

1

分間保持する。

10.9

耐久試験  ポート

P

に圧力

0.5MPa {5.1kgf/cm

2

}

を加え,定格電圧で,

1

秒につき

1

回の割合で弁の

切換作動を行う。ただし,試験中,弁の各部を調整しないで連続して作動を行う。

なお,ポート

A

には適当な負荷を接続するか又は閉鎖した状態で試験をしてもよい。

11.

検査

11.1

形式検査  形式検査は新規設計のもの,又は改造によって性能に影響を及ぼすとみなされるものに

ついて,次の検査を行い,4.6.8.及び 9.の規定に適合しなければならない。

(1)

材料

(2)

構造

(3)

外観

(4)

作動

(5)

流量特性

(6)

動的性能

(7)

温度上昇

(8)

絶縁抵抗

(9)

耐電圧

(10)

空気漏れ

(11)

耐圧性

(12)

耐久性


6

B 8374-1993

11.2

受渡検査  受渡検査は,形式検査に合格し,性能の確認された弁と同種類のものについて次の検査

を行い,4.6.及び 8.の規定に適合しなければならない。ただし,検査項目は,受渡当事者間の協定でその

一部を省略することができる。

(1)

構造

(2)

外観

(3)

作動

(4)

絶縁抵抗

(5)

耐電圧

(6)

空気漏れ

(7)

耐圧性

(8)

包装

(9)

表示

なお,ロット検査を行う場合の抜取り方式は,受渡当事者間の協定による。

12.

包装  弁の包装は,管接続口に防じん用ふた,その他の方法によって,ちり,ほこりなどの異物が入

らないようにする。

13.

製品の呼び方  弁の呼び方は,規格番号又は規格の名称及び表示記号による。

1.

JIS B 8374

DV3-06-CO-AC

2.

空気圧用

3

ポート電磁弁

PV3-25-NC-BD

14.

表示  弁には見やすいところに,銘板その他によって,次の事項を明りょうに表示しなければならな

い。

(1)

表示記号

(2)

最高使用圧力

 (MPa) {kgf/cm

2

(3)

定格電圧

 (V)

及び定格周波数

 (Hz)

(4)

ポートを表す文字(

表 の流路記号の文字)

(5)

製造業者名又はその略号


7

B 8374-1993

付図 1  弁の主要部品名称図(直動形スプール式)

番号

部品名称

1

本体

2

スリーブ

3

スプール

4

弁ばね

5

カバー

6

ベース

7

プランジャ

8

コイル

9

ハウジング

備考  この図は,主要部品の名称説明図であ

って,構造を規制するものではない。


8

B 8374-1993

付図 2  弁の主要部品名称図(直動形ポペット式)

番号

部品名称

1

本体

2

プランジャ

3

プランジャばね

4

鉄心

5

コイル

6

ハウジング

備考  この図は,主要部品の名称説明図であ

って,構造を規制するものではない。


9

B 8374-1993

付図 3  弁の主要部品名称図(パイロット形スプール式)

番号

部品名称

1

本体

2

スリーブ

3

スプール

4

弁ばね

5

カバー

6

ベース

7

プランジャ

8

プランジャばね

9

鉄心

10

コイル

11

ハウジング

備考  この図は,主要部品の名称説明図であ

って,構造を規制するものではない。


10

B 8374-1993

付図 4  弁の主要部品名称図(パイロット形ポペット式)

番号

部品名称

1

本体

2

弁体

3

弁ばね

4

カバー

5

プランジャ

6

プランジャばね

7

鉄心

8

コイル

9

ハウジング

備考  この図は,主要部品の名称説明図であ

って,構造を規制するものではない。


11

B 8374-1993

参考図 1

単位

mm

A

(選択寸法)

ポートの口径の呼び

25 32 40 50 63 80 100

125

6

8

10

15

 

20

 

25

 

関連規格  JIS B 8373  空気圧用

2

ポート電磁弁

JIS B 8375

  空気圧用

4

ポート・

5

ポート電磁弁

JIS B 8377

  空気圧用複動シリンダ


12

B 8374-1993

JIS B 8374

  改正原案作成委員会

構成表

氏名

所属

(委員長)

辻          茂

高度技能開発センター

島  田  公  雄

中央大学理工学部

荒  木  獻  次

埼玉大学工学部

香  川  利  春

東京工業大学工学部

河  野  博  文

通商産業省機械情報産業局産業機械課

桐  山  和  臣

通商産業省工業技術院標準部機械規格課

黒  木  勝  也

財団法人日本規格協会技術部

坂  本  忠  臣

ブリヂストン株式会社

岡  部  義  雄

株式会社電元社製作所

渡  並      直

トヨタ自動車株式会社メカトロシステム部

伴      龍  一

日産ディーゼル工業株式会社第二技術部

石  川  康  宏

三井精機工業株式会社

深  町  孝  一

 SMC

株式会社技術部

(主査)

常  川  隆  史

甲南電機株式会社開発部

(幹事)

森      信  夫

シーケーディ株式会社空圧事業部第二技術部

仲  田  好  宏

黒田精工株式会社

三  浦  宏  之

太陽鉄工株式会社技術部

永  井      高

 TACO

株式会社品質管理部

大  竹  惟  雄

 NOK

株式会社技術本部

(事務局)

佐  藤  安  雄

社団法人日本油空圧工業会

備考  ○印は分科会委員