B 8353-1:2006 (ISO 16902-1:2003)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本フルードパワー工業会(JFPA)
/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日
本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 16902-1:2003,Hydraulic fluid power
−Test code for the determination of sound power levels of pumps using sound intensity techniques: Engineering
method−Part 1: Pumpsを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
B 8353-1:2006 (ISO 16902-1:2003)
(2)
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 音響パワーレベルの算出 ··································································································· 2
5. 装置及び据付け条件 ········································································································· 2
5.1 一般事項 ······················································································································ 2
5.2 ポンプの取付け ············································································································· 2
5.3 駆動用軸継手 ················································································································ 2
5.4 油圧回路 ······················································································································ 2
6. 測定面 ··························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 配管 ···························································································································· 3
6.3 ポンプの取付け ············································································································· 9
6.4 反射面 ························································································································· 9
6.5 電動機及び駆動用軸継手 ································································································· 9
7. 運転条件 ························································································································ 9
8. 測定の不確かさ ··············································································································· 9
9. 記録事項 ························································································································ 9
9.1 一般事項 ····················································································································· 10
9.2 供試ポンプ ·················································································································· 10
10. 試験報告書 ·················································································································· 10
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日本工業規格 JIS
B 8353-1:2006
(ISO 16902-1:2003)
油圧-音響インテンシティ法による音響パワーレベ
ルの測定方法-実用測定方法-第1部:ポンプ
Hydraulic fluid power-Test code for the determination of sound power levels
of pumps using sound intensity techniques: Engineering method-
Part 1: Pumps
序文 この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 16902-1,Hydraulic fluid power−Test code for the
determination of sound power levels of pumps using sound intensity techniques: Engineering method−Part 1:
Pumpsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
1. 適用範囲 この規格は,JIS Z 8736-1及びJIS Z 8736-2に準拠し,所定の取付け条件及び運転条件に
おける油圧ポンプの音響パワーレベルを測定する方法について規定する。音響パワーレベルには,測定面
内の配管からの放射される音響パワーも含まれる。この規格は,回転機械動力を油圧動力に変換するのに
通常用いられる各種の油圧ポンプの騒音レベルを,組み込まれたバルブ,ソレノイド,駆動ギヤ,継手,
又は通常装備の補助装置を含めた条件下で比較するための基礎データを得ることに適している。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 16902-1:2003,Hydraulic fluid power−Test code for the determination of sound power levels of
pumps using sound intensity techniques: Engineering method−Part 1: Pumps (IDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0142 油圧及び空気圧用語
備考 ISO 5598,Fluid power systems and components−Vocabularyからの引用事項は,この規格の該
当事項と同等である。
JIS K 2001 工業用潤滑油−ISO粘度分類
備考 ISO 3448,Industrial liquid lubricants−ISO viscosity classificationからの引用事項は,この規格
の該当事項と同等である。
JIS Z 8733 音響−音圧法による騒音源の音響パワーレベルの測定方法−反射面上の準自由音場にお
ける実用測定方法
備考 ISO 3744:1994,Acoustics−Determination of sound power levels of noise source using sound
pressure−Engineering method in an essentially free field over a reflecting planeからの引用事項は,
2
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この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 8736-1 音響−音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法−第1部:離散
点による測定
備考 ISO 9614-1:1993,Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using sound
intensity−Part 1: Measurement at discrete pointsが,この規格と一致している。
JIS Z 8736-2 音響−音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法−第2部:スキ
ャンニングによる測定
備考 ISO 9614-2:1996,Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using sound
intensity−Part 2: Measurement by scanningが,この規格と一致している。
ISO 6743-4 Lubricants,industrial oils and related products (class L)−Classification−Part 4: Family H
(Hydraulic systems)
ISO 9614-3 Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using sound intensity−Part 3:
Precision method for measurement by scanning
IEC 61043 Electroacoustics−Instruments for the measurement of sound intensity−Measurements with pairs
of pressure sensing microphones
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS B 0142によるほか,次による。
3.1
基本ポンピング周波数(pumping frequency) 基本ポンピング周波数は,次による。
60
z
n×
ここに, n: ポンプ回転速度 (min-1)
z: 1回転当たりのポンピング数
4. 音響パワーレベルの算出 音響パワーレベルは,JIS Z 8736-1,JIS Z 8736-2,又はISO 9614-3によっ
て算出する。
これらの規格では,まず,1オクターブ及び1/3オクターブバンドの音響インテンシティレベルを測定
し,それらを基にして1オクターブ及び1/3オクターブバンドの音響パワーレベルを算出する。
ポンプから発生する騒音は,基本ポンピング周波数の高調波成分を顕著に含んでいるので,狭(周波数)
帯域での測定は有用であり,この規格ではこの測定も認める。
5. 装置及び据付け条件
5.1
一般事項 ポンプが2個以上連結されている場合は,1個のポンプとして取り扱う。各々のポンプの
運転条件は報告書に記載する。
5.2
ポンプの取付け ポンプは,取付部から放射される騒音を最小限に抑えるような方法で取り付ける
ことが望ましい。しかし,取付け部材に,減衰性の高いものを用いる。
5.3
駆動用軸継手 駆動用軸継手は,ポンプ製造業者の推奨するものを使用しなければならない。
5.4
油圧回路
5.4.1
油圧回路は,ポンプの運転条件に合致させるように,必要に応じてオイルフィルタ,オイルクーラ,
タンク及び絞り弁を使用する。
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5.4.2
試験で使用する作動油,その油温及び清浄度は,ポンプ製造業者の推奨に合致していなければなら
ない。
5.4.3
入口ライン及び出口ラインは,ポンプ製造業者の推奨する配管径を用いる。回路中に空気が混入し
ないよう,入口ラインを組み付けるときには十分に注意しなければならない。
5.4.4
入口側の圧力計は,ポンプ入口と同じ高さにするか,高さの違いに応じた補正を行わなければなら
ない。
5.4.5
負荷用バルブは,ポンプの騒音レベルに影響を与えない位置に設置しなければならない。
5.4.6
負荷用バルブは,安定性のよいものを用いる。
備考 出口ラインの負荷用バルブの安定性が悪いと騒音が発生し,これが作動油及び配管を介して伝
達され,ポンプの騒音となる可能性がある。
5.4.7
配管は,すべて取扱説明書に記載されているように行う(遮音材及び吸音材を巻いたりしないこ
と。)。
6. 測定面
6.1
一般事項 取付けの配置に関する選択肢を,図1〜5に示す。
測定面は,JIS Z 8736-1,JIS Z 8736-2又はISO 9614-3に準拠することが望ましい。
6.2
配管 測定面の形状を単純化するために,可能ならば測定面を貫通させないように配管する。反射
面を用いる場合には,反射面を貫通するように配管する。
配管を測定面に貫通させる以外に選択肢がない場合には,配管の中心線上で分割された配管要素を含む
ように測定面を面要素に分割する(図5参照)。
測定面の外にある配管は遮へいしてもよい。ただし,この遮へい部は,測定面の面積の10 %以上を占
めないようにする。
4
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番号
1 配管
2 供試ポンプ
3 測定面
4 軟質ゴムシール
5 電動機
6 反射面
図 1 ポンプ取付面が反射面になる例
(電動機の取付台が音響的に剛であり,反射面を貫通する配管を備えた場合)
5
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番号
1 配管
2 供試ポンプ
3 測定面
4 軟質ゴムシール
5 電動機
6 反射面
図 2 ポンプ取付面と床面とが反射面になる例
(電動機の取付台が音響的に剛であり,反射面を貫通する配管を備えた場合)
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
1 配管
2 供試ポンプ
3 測定面
4 軟質ゴムシール
5 電動機
6 反射面
7 取付台のフレームから音響的に絶縁した反射面との空げき
図 3 ポンプ取付面と床面とが反射面になる例
(電動機の取付台が音響的に剛でなく,反射面を貫通する配管を備えた場合)
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
1 配管
2 供試ポンプ
3 測定面
4 軟質ゴムシール
5 電動機
6 反射面
7 取付台のフレームから音響的に絶縁した反射面との空げき
図 4 ポンプ取付面が反射面になる例
(電動機の取付台が音響的に剛でなく,反射面を貫通する配管を備えた場合)
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B 8353-1:2006 (ISO 16902-1:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
1 配管
2 供試ポンプ
3 測定面
4 軟質ゴムシール
5 電動機
6 反射面
図 5 測定面を面要素に分割して測定する例
(配管が測定面を貫通する場合)
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6.3
ポンプの取付け
6.3.1
ポンプフランジで取り付ける場合,測定面のうちの一つは取付面と平行な面でなければならない。
6.3.2
ポンプフランジをベルハウジング又はブラケットに取り付ける場合,この取付面上ではポンプから
電動機に向かって放射する騒音を測定できないので,この取付面を反射面として用いてもよい。
6.3.3
ポンプをフートで取り付ける場合,床を反射面として用いてもよい。
6.4
反射面
6.4.1
反射面の寸法に関する指針については,JIS Z 8733附属書Aを参照する。
6.4.2
大きな反射性の面(例えば,タンク,検査室壁及び床)は,測定面内の反射面として使用しない限
り,測定面から少なくても2 m以上離すことが望ましい。
JIS Z 8736-1及びJIS Z 8736-2の規定によって音場指標を計算し,測定面近傍の反射性の面が近すぎる
ために測定精度を低下させていないか判定する。測定精度の低下が認められた場合,これらの反射性の面
を吸音処理するか,可能であれば移動させる。
6.4.3
反射面には,ポンプ,電動機及び配管に機械的に(直接に)接触しないように空げきをあけ,この
空げきを音の漏えい(洩)を防ぐために軟質ゴムで充てん(填)する。反射面は,それ自身が騒音の発生
源にならないように,音響的に十分に剛性の高いものであることが望ましい。コンクリート又はれんがの
ような材料が適切である。
6.5
電動機及び駆動用軸継手 電動機及び駆動用軸継手は測定面の外に設置することが望ましい。
7. 運転条件
7.1
製造業者の推奨を考慮して,運転条件の所定の組合せに対してポンプの音響パワーレベルを測定す
る。
7.2
7.1の試験条件は,表1に示す許容差内に常時維持しなければならない。
表 1 試験パラメータの平均値の許容差
試験パラメータ
許容差
流量
±2 %
圧力
±2 %
回転速度
±2 %
油温
±2 ℃
7.3
標準装備の補助ポンプ及びバルブからの騒音の寄与も供試ポンプの騒音レベルに含めるため,これ
らの機器を装着した“引き渡されたまま(通常使用のまま)”の条件でポンプを試験しなければならない。
8. 測定の不確かさ 測定の不確かさは,JIS Z8736-1,JIS Z8736-2又はISO 9614-3が規定している音場
指標によって算出する。
備考 精密測定は,この規格に規定された方法では実現できないことがある。この規格では,エンジ
ニアリンググレード又は調査グレードの測定が可能であると理解することが望ましい。高精度
グレードの測定については,ISO 9614-3で規定する。
9. 記録事項
10
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9.1
一般事項 次の項目を,記録する。
a) ポンプの製造業者名,所在地及び必要があれば使用者
b) ポンプの識別番号
c) ポンプの試験者又は責任団体の名称及び所在地
d) 試験を実施した年月日及び場所
9.2
供試ポンプ
9.2.1
ポンプに関する項目 次の項目を,記録する。
a) 補助装置も含めたポンプの形式(例えば,歯車又はピストン)
b) 押しのけ容積の形式(例えば,定容量又は可変容量)
c) ポンプ全体の外観寸法(必要に応じて,略図を添える。)
d) ポンプの最大押しのけ容積
e) 押しのけ容積の制御方式及び設定値
9.2.2
試験音場の環境 次の項目を,記録する。
a) ポンプ及び反射板に対する測定面の関係位置を示す寸法の入った略図
b) 測定面を構成しない壁,天井,遮へい物及びほかの機械などに対するポンプの関係位置
9.2.3
ポンプの取付け及び設置条件 次の項目を,記録する。
a) ポンプの取付条件の記述
b) 測定面内に含まれる配管,管路の形式の詳細(例えば,ホース又は鋼管)及び継手を,寸法の入った
略図を用いて明示
c) 油圧回路の説明
d) ポンプの音響測定に影響を及ぼす可能性のあるそのほかの機器の種類及びその特性
9.2.4
測定装置 次の項目を,記録する。
a) ポンプの運転状況の監視に用いた測定装置について形式,製造業者及び製造番号を含む詳細
b) 音響測定に用いた装置の名称,形式,製造番号及び製造業者を含む詳細
c) 周波数分析器のバンド幅
d) 測定システムのIEC 61043への適合性を確認した(又は校正した)方法,日付,及び測定システムの
周波数特性
e) マイクロホンの校正方法及び校正年月日並びに場所
9.2.5
ポンプの運転条件 次の項目を,記録する。
a) ISO 6743-4による分類を含めた作動油の全情報
b) JIS K 2001による動粘度 (mm2/s)
c) ポンプの回転速度 (min-1)
d) 入口圧力 (Pa)
e) 出口圧力 (MPa)
f)
ポンプ吐出し量 (L/min)
g) ポンプ入口における油温(℃)
9.2.6
音響データ JIS Z 8736-1,JIS Z 8736-2及びISO 9614-3に規定しているすべての項目。
10. 試験報告書 試験報告書には,9.2.5のポンプの運転条件を含めた次の項目を,記録しなければならな
い。
11
B 8353-1:2006 (ISO 16902-1:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 周波数分析器から得られる測定対象の全周波数域にわたっての,A特性音響パワーレベルのオーバオ
ール値及び1オクターブバンド,1/3オクターブバンド又は狭帯域のスペクトル
b) 音響パワーレベルの測定がこの規格の手順に準拠している旨の記述
c) 測定精度等級
備考 この情報は,カタログ又は営業資料のような出版物にも用いることができる。
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B 8353-1:2006 (ISO 16902-1:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] JIS B 8350-1 油圧−騒音レベル測定方法−第1部:ポンプ
備考 ISO 4412-1:1991,Hydraulic fluid power−Test code for determination of airborne noise levels−Part 1:
Pumpsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。