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B 8329-2:2015  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 記号の定義及び単位 ·········································································································· 2 

5 試験方法························································································································· 3 

5.1 排気速度の測定方法 ······································································································· 3 

5.2 試験到達圧力の測定方法 ································································································· 4 

5.3 許容水蒸気圧の測定方法 ································································································· 4 

5.4 消費電力の測定方法 ······································································································· 4 

5.5 最低起動温度 ················································································································ 5 

5.6 測定の不確かさ ············································································································· 5 

附属書A(参考)許容水蒸気圧の測定 ······················································································ 6 

附属書B(参考)許容水蒸気圧の計算······················································································ 13 

附属書C(参考)水の飽和蒸気圧表 ························································································ 14 

附属書D(参考)参考文献 ···································································································· 15 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 16 

B 8329-2:2015  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本真空学会(VSJ)及び一般

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

これによって,JIS B 8316-1:1999及びJIS B 8316-2:1999は廃止され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS B 8329の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS B 8329-1 第1部:共通試験方法 

JIS B 8329-2 第2部:容積移送式真空ポンプの試験方法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 8329-2:2015 

真空技術−真空ポンプの性能試験方法− 

第2部:容積移送式真空ポンプの試験方法 

Vacuum technology-Standard methods for measuring vacuum-pump 

performance-Part 2: Positive displacement vacuum pumps 

序文 

この規格は,2012年に第1版として発行されたISO 21360-2を基とし,日本国内の現状に合わせるため,

技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,容積移送式真空ポンプの排気速度,試験到達圧力,許容水蒸気圧,消費電力及び最低起動

温度の試験方法について規定する。対象とするポンプは,大気圧下に気体を排気して,試験到達圧力が10 

kPa未満に達するものとする。 

この規格は,JIS B 8329-1の排気速度及び試験到達圧力の試験方法を用いる。 

この規格は,大気圧下に気体を排気する容積移送式真空ポンプ以外の真空ポンプ(例えば,ドラッグポ

ンプなど)の性能試験にも適用できる。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 21360-2:2012,Vacuum technology−Standard methods for measuring vacuum-pump performance

−Part 2: Positive displacement vacuum pumps(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 8329-1 真空技術−真空ポンプの性能試験方法−第1部:共通試験方法 

注記 対応国際規格:ISO 21360-1,Vacuum technology−Standard methods for measuring vacuum-pump 

performance−Part 1: General description(MOD) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 8329-1によるほか,次による。 

background image

B 8329-2:2015  

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3.1 

ガスバラスト(gas ballast) 

ポンプ内部の圧縮過程で凝縮性気体が凝縮しないように凝縮性気体の分圧を下げるための,ポンプの行

程容積への気体又は空気の導入。 

3.2 

許容水蒸気圧(water vapour tolerance) 

ポンプ内で凝縮することなく,ポンプで移送することができる最大蒸気圧。 

注記 例えば,油水分離装置が設置されているなど,水蒸気の凝縮が問題なければ,最大水蒸気圧は

考慮しなくてよい。 

3.3 

水蒸気容量(water vapour capacity) 

ポンプ内で凝縮することなく,ポンプで移送することができる単位時間当たりの水の質量。 

3.4 

行程容積(swept volume) 

ポンプの1圧縮サイクルで除去される吸入体積。 

3.5 

飽和蒸気圧(saturation vapour pressure) 

閉じた系で凝縮相(液体,固体又は両方)と平衡状態にある純粋な化学物質の蒸気による圧力。 

注記 各物質の飽和蒸気圧は,温度だけの関数である。 

3.6 

水蒸気飽和温度(water vapour saturation temperature) 

水蒸気飽和圧力に対応する温度。 

3.7 

圧縮仕事(compression energy) 

気体の体積圧縮に必要な仕事。 

記号の定義及び単位 

この規格で用いる記号の定義及び単位は,表1による。 

表1−記号の定義及び単位 

記号 

定義 

単位 

α 

排気弁が開く圧力に補正する係数 

φH2O 

空気の相対湿度 

κ 

断熱指数 

モル蒸発熱 

J/mol 

P0 

製造業者が指定する回転速度で試験到達圧力の消費電力 

P0B 

製造業者が指定する回転速度でガスバラスト使用時の到達圧
力での消費電力 

Pmax 

製造業者が指定する回転速度での最大消費電力 

p0 

標準気圧 101 325 Pa 

Pa 

p1 

吸気口圧力 

Pa 

p2 

排気気体中の空気分圧 

Pa 

background image

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表1−記号の定義及び単位(続き) 

記号 

定義 

単位 

pa 

大気中の水蒸気分圧 

Pa 

pB 

大気中の空気分圧 

Pa 

pH2O 

許容水蒸気圧 

Pa 

ps 

飽和水蒸気圧 

Pa 

pT0 

温度T0における飽和水蒸気圧 

Pa 

qV 

排気速度 

m3/s 
(=3 600 m3/h, 
=6×104 L/min) 

qVB 

ガスバラスト配管の体積流量 

m3/s 

気体定数 

8.314 J/(mol・K) 

T0 

pT0に対応する温度 

T1 

環境温度 

℃ 

T2 

排気口の気体温度 

T20 

吸気気体流量のない状態での排気口の気体温度 

T2cr 

水蒸気に対して補正した排気口の気体温度 

T2s 

p1での排気飽和温度 

V2 

排気容積 

m3 

VB 

ガスバラストの行程容積 

m3 

VSW 

行程容積 

m3 

Wad 

断熱圧縮仕事 

Wad,H2O 

水蒸気の断熱圧縮仕事 

Wada 

空気の断熱圧縮仕事 

Wcr 

排気口の気体温度の補正係数 

試験方法 

5.1 

排気速度の測定方法 

5.1.1 

測定方法 

排気速度の測定方法は,JIS B 8329-1の5.1(流量計を用いる排気速度の測定方法)及び5.3(排気時間

を用いる排気速度の測定方法)で規定する。排気速度の測定方法は,流量計を用いる排気速度の測定方法

又は排気時間を用いる排気速度の測定方法を使用する。この規格に示していない説明又は試験装置は,JIS 

B 8329-1による。 

5.1.2 

流量計を用いる排気速度の測定方法 

標準的な方法は,流量計を用いる排気速度の測定方法である。これは,JIS B 8329-1の5.1を適用できる

全てのポンプに用いることができる。 

テストドームの容積は,揺動ピストン形油回転ポンプ及びカム形油回転ポンプの場合に行程容積の2倍

以上とする。その他の真空ポンプのテストドームの容積は,行程容積の5倍以上とする。テストドームの

形状は,JIS B 8329-1による。吸気口フランジ径DNが容積移送式真空ポンプ用テストドーム内径Dより

小さい場合は,JIS B 8329-1の図1(流量計を用いる排気速度測定方法のテストドーム)で示すようにポン

プの吸気口フランジへ45°テーパ管を接続する。 

5.1.3 

排気時間を用いる排気速度の測定方法 

排気時間を用いる排気速度の測定方法は,大きなテストドームが必要なため,小さなポンプ(例えば,

排気速度が0.01 m3/s以下)に適している。テストドームの容積は,予想する真空ポンプの最大排気速度

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(m3/s)に120秒間を乗じた体積より大きくなければならない。 

5.1.4 

運転条件 

ポンプは,JIS B 8329-1の試験装置に接続し運転する。測定に入る前に,ポンプを製造業者が指定した

温度まで運転する。公称回転速度から±3 %とする。 

試験ポンプにガスバラストが付いている場合の排気速度測定は,最初にガスバラストを用いないで測定

し,次にガスバラストを用いて測定する。 

環境条件は,JIS B 8329-1による。 

5.2 

試験到達圧力の測定方法 

試験到達圧力の測定は,JIS B 8329-1による。JIS B 8329-1の箇条5(試験方法)に規定する試験装置を

用いる。測定は,先にガスバラストを用いないで測定し,次にガスバラストを用いて測定する。試験到達

圧力の測定にガスバラストの影響がない場合は,順不同で行うことができる。 

5.3 

許容水蒸気圧の測定方法 

許容水蒸気圧の測定方法の一例を,附属書Aに示す。 

許容水蒸気圧と水蒸気容量との値を変換する一例は,参考文献[1]の331ページを参照。さらには,参考

文献[1]の329ページ〜333ページも参照。 

5.4 

消費電力の測定方法 

5.4.1 

一般 

ポンプの消費電力は,吸気口圧力で変化し,ガスバラストの有無によっても変化する。消費電力の測定

では,次の測定をしなければならない。 

a) ガスバラストを用いないときの試験到達圧力の消費電力 

b) ガスバラストを用いたときの試験到達圧力の消費電力 

c) 最大消費電力及びそのときの圧力 

最大消費電力は,ポンプが必要な最大電力で運転しているときの値である。 

注記 最大消費電力で連続運転ができないポンプがある。 

5.4.2 

測定条件 

ポンプの回転速度は,製造業者が指定した範囲内になければならない。範囲が指定されていない場合は,

製造業者が指定した回転速度から±3 %とする。 

5.4.3 

測定方法 

主電源とポンプ又は供給電源との間に電力計を備え付ける。この装置で実際の消費電力を測定する。ポ

ンプに電源装置が付いている場合は,電源フィルタを入れてもよい。 

最初に,製造業者が指定した潤滑油を充塡したポンプの吸気口とガスバラストバルブとを閉じて,ポン

プを温度平衡に達するまで運転する(例えば,1時間運転する。)。消費電力の測定は,15分間の間に3回

実施する。試験到達圧力の消費電力P0は,3回測定した値の平均値とする。 

ガスバラストを用いて運転し,ポンプが温度平衡に達した後,試験到達圧力の消費電力を測定する。消

費電力の測定は,15分間の間に3回測定する。ガスバラストバルブを開けた試験到達圧力の消費電力P0B

は,3回測定した値の平均値とする。 

その後,ポンプを製造業者が指定した時間で運転する。最大消費電力を求めるため回転速度とモードと

を変えて測定する。消費電力の測定は,15分間の間に3回測定する。最大消費電力Pmaxは,3回の測定し

た値の最大値である。製造業者が運転範囲を指定する場合は,指定範囲内でPmaxを測定する。 

電流値の測定は,消費電力と同じ方法で測定しなければならない。 

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5.5 

最低起動温度 

最低起動温度は,指定のモータを用いて吸気口を開放した状態で,ポンプが起動可能となる温度である。

製造業者が指定した潤滑油を満たし,製造業者が指定した最低起動温度になるまでポンプを冷やす。最低

起動温度が製造業者の指定にない場合は,ポンプを12 ℃まで冷やす。試験する前に,ポンプの温度を測

定する。電子機器がポンプに取り付けられている場合は,これらが結露しないことを確認する。 

その後に,ポンプの運転を開始する。10分間以内に公称回転速度の80 %に達することが望ましい。 

吸気口が真空下で起動することを製造業者が指定したポンプの場合,起動温度は18 ℃以下が望ましい。 

5.6 

測定の不確かさ 

測定の不確かさは,JIS B 8329-1による。 

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附属書A 

(参考) 

許容水蒸気圧の測定 

A.1 一般 

蒸気(特に,水蒸気)は,真空ポンプで排気するとき,排気弁が大気圧に対して開く前に,ポンプ内で

凝縮する場合がある。凝縮した液体は,ポンプ油と混ざり,ポンプの吸気過程で再び蒸発する。そのため,

試験到達圧力が上昇して,ポンプ内部が腐食する場合がある。凝縮を防ぐため,空気又はその他の非凝縮

性ガスを,ガスバラスト配管からポンプへ導入する。 

水蒸気を排気する場合は,ポンプ構造にもよるが,消費電力と温度とが上昇するため,飽和水蒸気圧が

上昇し,許容水蒸気圧も上昇する。 

水蒸気を用いて測定すると,内部で思わぬ凝縮が発生する可能性がある。そのため,この附属書では水

蒸気の代わりに乾燥空気を用いて測定する。同じ流量の空気を流して生じるポンプの温度上昇から,水蒸

気の飽和温度を決める。排気口の気体温度は,吸気口圧力p1に依存した値として測定する。3原子の水と

2原子の空気分子とでは圧縮動力が異なることから,空気による温度上昇を補正する必要がある。 

A.2 測定装置の構成 

試験装置を図A.1及び図A.2に示す。 

background image

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 1 

テストドーム[JIS B 8329-1の5.1.2(テストドーム)参照] 

流量計(ガスバラスト流量測定用) 

試験ポンプ 

気体導入弁 

湿度計(空気の相対湿度φH2O測定用) 

真空計(吸気口圧力p1測定用) 

排気口の気体温度測定用温度計 

排気圧力測定用圧力計 

大気圧測定用圧力計 

図A.1−許容水蒸気圧の試験装置 

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 1 

温度T2測定位置 

排気圧力測定用圧力計 

D 配管内径 

0〜0.5D 

図A.2−ポンプ温度及び排気圧力測定用エルボ配管(参考) 

A.3 許容水蒸気圧 

許容水蒸気圧を,次の式(A.1)に示す。 

(

)

[

](

)

s

0

a

B

0

B

a

s

B

B

O

2

H

1

p

p

p

p

p

p

p

p

q

p

q

p

V

V

+

=

α

α

 ····································· (A.1) 

測定条件の要素1+(pa/pB) 及びαp0/pBを1とすると,一般に用いる式(A.2)になる。 

s

0

a

s

B

B

O

2

H

p

p

p

p

q

p

q

p

V

V

=

α

 ····························································· (A.2) 

次の計算では,より正確な式(A.1)を用いる。 

値qVB,qV,α,p0,pB及びpaは直接測定できるが,飽和水蒸気圧psは直接測定することができない。そ

の理由は,水蒸気の代わりに空気を用いており,排気温度T2は,吸気口圧力p1の条件によって測定する

からである。ポンプ内における圧縮は,外部との熱交換は行われない。これは,断熱圧縮を意味する。 

空気と水蒸気とは,断熱指数κが異なるため,圧縮動力が異なる。圧縮仕事は,式(A.3)で表すことがで

きる(参考文献[1]の249ページ参照)。 

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=

1

1

1

1

0

sw

1

ad

κ

κ

α

κ

κ

p

p

V

p

W

 ···················································· (A.3) 

ポンプの温度上昇は,消費する圧縮動力に比例し,空気と水蒸気とで異なる。結果として,測定したポ

ンプ温度T2は,Wad,H2O / Wadaの比率で修正する。 

飽和水蒸気圧psと関連する温度T2sとの関係は,蒸気圧の式(A.4)によって表すことができる。 

=

0

s2

s

1

1

ln

0

T

T

R

L

p

p

T

 ······························································ (A.4) 

ここに, 

L: モル蒸発熱 

R: 気体定数 

T0,pT0は,水蒸気圧の式から求める(附属書C参照)。

(例 T0=323 K及びpT0=12.24 kPa) 

T0の値は,ポンプの温度範囲に近い値を選択する必要がある。 

式(A.1)において,pH2Oは,吸気口圧力p1に置き換えることができる。 

(

)

[

](

)

s

0

a

B

0

B

a

s

B

B

1

1

p

p

p

p

p

p

p

p

q

p

q

p

V

V

+

=

α

α

 ········································· (A.5) 

式(A.5)のpsは,式(A.6)から求めることができる。 

(

)(

)1

B

a

B

B

1

0

0

s

+

+

=

p

p

q

p

q

p

p

p

p

V

V

α

α

 ············································ (A.6) 

式(A.4)のT2sは,式(A.7)から求めることができる。 

=

0

s

0

s2

ln

1

1

Tp

p

L

R

T

T

 ····························································· (A.7) 

式(A.7)は,吸気口圧力p1と排気飽和温度T2sとの関係を示している。このように,計算によって求めた

排気飽和温度の曲線は,吸気口圧力の関数として表すことができる。 

注記 式(A.7)は,使用する温度範囲で蒸発熱が一定でなければならない。 

この段階で[式(A.7)が得られた段階で],ポンプ温度曲線T2(p1)と計算から求めた排気飽和温度曲線T2s(p1)

とを同一グラフ上にプロットすることができる(図A.3参照)。 

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10 

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320

330

340

350

360

103

104

飽和水蒸気圧

PH2O

1

2

3

 1 

排気口の気体温度T2 

補正した排気口の気体温度T2cr 

排気飽和温度T2s 

pH2O 許容水蒸気圧 

図A.3−吸気口圧力に対する排気温度及び水蒸気飽和温度(例) 

A.4 測定手順 

ポンプは,それぞれの空気流量で,ポンプの温度が安定するまで,ガスバラストバルブを開いて一定時

間運転する。吸気口圧力が高い場合は,ポンプの温度がより上昇する。吸気口圧力が予想する許容水蒸気

圧pH2Oの範囲に入るように,気体流量を選択する。 

試験装置を,図A.1に示す。初めに,ポンプは,気体導入弁を閉じ,ガスバラストバルブを開いて,温

度上昇が15分間で0.5 K未満に安定するまで運転し,排気温度T20及びガスバラスト配管の体積流量qVB

を測定する。次に,最初の吸気口圧力p1になるように乾燥空気を流す気体導入弁を調整して,排気口気体

温度T2,排気温度T20及びガスバラスト配管の体積流量qVBを測定する。四つ以上の異なる吸気口圧力で,

この手順を行う。少なくとも一つの吸気口圧力は,予想する許容水蒸気圧よりも高くする。 

次に,環境温度T1(JIS B 8329-1で規定する範囲内),標準気圧p0,環境雰囲気の相対湿度φH2O(%表記)

を測定する。 

ポンプの排気速度qVは,あらかじめ測定しておく必要がある(箇条5参照)。測定の開始は,標準気圧

p0が107 kPa未満の場合に限る。排気圧力p2と標準気圧との圧力差は,1 kPa未満でなければならない。 

K

(Pa)

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11 

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A.5 測定値の評価 

式(A.3)で求めた圧縮仕事が異なるため,測定した温度T2は,補正しなければならない。T2は,水蒸気(Wad,

H2O, κ=1.333 3)と空気(Wada, κ=1.4)の断熱圧縮仕事との比によって換算しなければならない。 

補正係数Wcrは,式(A.8)から求めることができる。 

ada

H2O

ad,

cr

W

W

W=

 ·········································································· (A.8) 

Wcrの値を,表A.1に示す。 

表A.1−Wcrの値 

p0 / p1 

Wcr=Wad,H2O / Wada 

1 000 

0.849 7 

200 

0.887 5 

100 

0.903 4 

50 

0.918 9 

20 

0.938 9 

10 

0.953 5 

吸気口圧力p1におけるT2の値からT20を引く。その差T2−T20にWcrを乗じる。補正後の温度差を,T2

に加える。 

(

)

20

20

2

cr

cr

2

T

T

T

W

T

+

=

 ······························································ (A.9) 

T2crは,水蒸気用に補正したポンプ排気温度であり,図A.3のようにp1に対してプロットする。 

排気飽和温度曲線T2s(p1)を得るためには,式(A.6)にp1,qVB,また,p0の測定値を代入し,飽和水蒸気圧

psを求める。 

水蒸気分圧paは,標準気圧から求めることができる。 

a

B

0

p

p

p

+

=

飽和水蒸気圧の割合として相対湿度φH2Oを測定する。水蒸気分圧は,次のとおりである。 

()

1

s

O

2

H

100

T

p

pa

ϕ

=

表C.1は,ps(T1)の値を示す。ここで,pB=p0−paである。係数αは,約1.1に設定することができる。

psの値は,全ての吸気口圧力p1に対して式(A.6)から求めなければならない。 

排気飽和温度T2sは,式(A.6)による飽和水蒸気圧psを用いて,式(A.7)によって求める。T0を323 Kとす

ると,対応する飽和水蒸気圧pT0は12.34 kPaである。重要な温度範囲50 ℃〜100 ℃では,モル蒸発熱L

は42 kJ/molで,気体定数Rは8.314 J/(mol・K)である。 

図A.3のように,吸気口圧力p1に対して求めた排気飽和温度をグラフ上にプロットする。これら二つの

曲線の交点の横軸の値が,許容水蒸気圧pH2Oである。 

A.6 測定の不確かさ 

許容水蒸気圧pH2Oの精度に影響を及ぼす可能性のある値は,次のとおりである。 

a) 環境温度(T1) 

b) 標準気圧(p0) 

c) 排気弁が開く圧力に補正する係数(α) 

12 

B 8329-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) モル蒸発熱(L) 

e) テストドームに導入する空気の含水量 

f) 

排気口の気体温度(T2) 

g) 補正後の排気口の気体温度(T2cr) 

さらに,これまでの式で使用された全ての値が該当する。 

13 

B 8329-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

許容水蒸気圧の計算 

ポンプの吸気口から入る1圧縮サイクルの純水蒸気量は,理想気体の法則から近似値を得る。 

2

2

0

2

SW

O

2

H

2

B

a

2

B

B

T

V

p

T

V

p

T

V

p

T

V

p

α

=

+

+

 ················································· (B.1) 

ガスバラストの空気は,ボイル−マリオットの法則から 

2

2

B

B

V

p

V

p

=

 ··········································································· (B.2) 

変形して 

2

B

B

2

p

V

p

V=

 ············································································· (B.3) 

排気弁が開く圧力は 

()

2

s

2

0

T

p

p

p

+

=

α

 ····································································· (B.4) 

p2とV2とを式(B.1)に代入して 

()

()

=

=

+

+

0

2

s

B

B

2

s

0

B

B

0

SW

O

2

H

B

a

B

B

1

p

T

p

V

p

T

p

p

V

p

p

V

p

V

p

V

p

α

α

α

 ················· (B.5) 

変形して 

(

)

=

a

B

0

s

B

SW

B

O

2

H

1

p

p

p

p

p

V

V

p

α

 ·············································· (B.6) 

又は 

(

)

[

](

)

{

}

s

0

B

a

0

B

a

s

B

SW

B

O

2

H

1

p

p

p

p

p

p

p

p

p

V

V

p

+

=

α

α

 ··································· (B.7) 

許容水蒸気圧の公式は 

(

)

s

0

a

s

B

SW

B

O

2

H

p

p

p

p

p

V

V

p

=

α

 ···························································· (B.8) 

式(B.7)にある二つの項,1+(pa / pB)(約1)及びαp0/pB(1.1よりやや大きい)は,式(B.8)の公式に含ま

ない。しかし,更なる測定を要する値ではないので,含めた方が望ましい。 

background image

14 

B 8329-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

水の飽和蒸気圧表 

表C.1−水の飽和蒸気圧表 

T0 

pT0 

Pa 

T0 

pT0 

Pa 

273 

603.6 

313 

7 314.5 

274 

649.1 

314 

7 714.0 

275 

697.5 

315 

8 132.1 

276 

749.1 

316 

8 569.7 

277 

804.0 

317 

9 027.4 

278 

862.4 

318 

9 506.0 

279 

924.6 

319 

10 006.3 

280 

990.7 

320 

10 529.0 

281 

1 060.9 

321 

11 075.1 

282 

1 135.4 

322 

11 645.3 

283 

1 214.6 

323 

12 240.6 

284 

1 298.5 

324 

12 861.8 

285 

1 387.5 

325 

13 509.7 

286 

1 481.8 

326 

14 185.5 

287 

1 581.7 

327 

14 889.9 

288 

1 687.5 

328 

15 624.1 

289 

1 799.4 

329 

16 389.0 

290 

1 917.7 

330 

17 185.6 

291 

2 042.9 

331 

18 015.0 

292 

2 175.1 

332 

18 878.4 

293 

2 314.8 

333 

19 776.8 

294 

2 462.2 

334 

20 711.4 

295 

2 617.8 

335 

21 683.3 

296 

2 782.0 

336 

22 693.6 

297 

2 955.0 

337 

23 743.8 

298 

3 137.4 

338 

24 834.9 

299 

3 329.5 

339 

25 968.2 

300 

3 531.8 

340 

27 145.1 

301 

3 744.7 

341 

28 367.0 

302 

3 968.7 

342 

29 635.1 

303 

4 204.3 

343 

30 950.9 

304 

4 452.0 

344 

32 315.7 

305 

4 715.3 

345 

33 731.1 

306 

4 985.6 

346 

35 198.5 

307 

5 272.7 

347 

36 719.3 

308 

5 573.9 

348 

38 295.2 

309 

5 889.9 

349 

39 927.8 

310 

6 221.4 

350 

41 618.6 

311 

6 568.9 

351 

43 369.2 

312 

6 933.0 

352 

45 181.4 

15 

B 8329-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 
参考文献 

[1] JOUSTEN, K., editor. Handbook of vacuum technology, BENJAMIN NAKHOSTEEN, C., translator. 

Weinheim: Wiley-VCH, 2008. 1 002 p. 

background image

16 

B 8329-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS B 8329-2:2015 真空技術−真空ポンプの性能試験方法−第2部:容積移送式真
空ポンプの試験方法 

ISO 21360-2:2012,Vacuum technology−Standard methods for measuring 
vacuum-pump performance−Part 2: Positive displacement vacuum pumps 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

容積移送式真空ポ
ンプの試験方法に
ついて規定 

JISとほぼ一致 

追加 

説明を追加しただけであり,技
術的な差異はない。 
JISでは,容積移送式真空ポン
プ以外の真空ポンプにも適用
できるとした。 

説明を追加しただけであり,技術
的な差異はない。 
国際規格見直しの際,提案を行う。 

3 用語及
び定義 

3.1 ガスバラスト 

3.1 

JISとほぼ一致 

追加 

JISでは,説明を追加。 

説明を追加しただけであり,技術
的な差異はない。 
国際規格見直しの際,提案を行う。 

4 記号の
定義及び
単位 

記号の定義及び単
位を規定 

JISとほぼ一致 

追加 

排気速度の単位としてm3/s以
外も使用できるようにした。 

国際規格見直しの際,提案を行う。 
使用できる単位を追加しただけで
あり,技術的差異はない。 

JISとほぼ一致 

追加 

JISでは,吸気口圧力を追加し
た。 

JIS B 8329-1と同じ内容である。技
術的差異はない 

5 試験方
法 

5.3 許容水蒸気圧の
測定方法について
規定 

JISとほぼ一致 

削除 

ISO規格では,様々な測定方法
が参考文献によって引用され
ていたが,JISでは省いた。 

曖昧な表現を削除した。技術的差
異はない。 
 

2

B

 8

3

2

9

-2

2

0

1

5

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

17 

B 8329-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

附属書A 
(参考) 

モル蒸発熱の数値
を丸めて42 kJ/mol
とした。 
許容水蒸気圧の測
定の説明 

附属書A 
 
 
 
 
 
附属書A 

JISとほぼ一致 
 
 
 
 
 
8.314 3 J/(K・mol) 
JISとほぼ一致 

削除 
 
 
 
 
 
削除 

50 ℃から100 ℃の水のモル
蒸発熱は一定の値ではなく,
ISO規格で用いられている 
41 922 J/molの根拠が不明であ
る。JISでは,42 kJ/molに丸め
た。 
ISO規格では,気体定数の値を
8.314 3 J/(K・mol)としていた
が,JISでは気体定数の値を丸
めて8.314 J/(mol・K)とした。 

42 kJ/molに丸めても計算結果の差
は0.1 %以下であり,技術的差異は
ない。 
国際規格見直しの際,提案を行う。 
 
 
SI単位に基づく気体定数の科学技
術データ委員会(CODATA)が推
奨するアメリカ国立標準技術研究
所(NIST)によって公表されてい
る値は,8.314 462 1 J/(K・mol)であ
る。値を丸めても計算結果の差は
0.1 %以下であり,技術的差異はな
い。 
国際規格見直しの際,提案を行う。 

附属書D
(参考) 

参考文献について
記載 

参考文献 JISとほぼ同じ 

削除 

JISでは,1960年ドイツの論文
を入手困難のため削除した。 
削除した文献: 
NÄSER, K. H. Physikalische 
Chemie 

für 

Techniker 

und 

Ingenieure [Physical chemistry 
for technologists and enginieers], 
3rd 

edition. 

Leipzig: 

VEB 

Deutscher 

Verlag 

für 

Grundstoffindustrie, 1960. 428 p 

国際規格見直しの際,提案を行う。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 21360-2:2012,MOD 

2

B

 8

3

2

9

-2

2

0

1

5

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

18 

B 8329-2:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
  − 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

2

B

 8

3

2

9

-2

2

0

1

5

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。