B 8325:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本産業
機械工業会(JSIM)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS B 8325:1993は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS B 8325には,次に示す附属書がある。
附属書(規定)設備排水用水中誘導電動機
B 8325:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 大きさ及び種類 ··············································································································· 2
5. 性能 ······························································································································ 3
5.1 規定吐出し量 ················································································································ 3
5.2 全揚程 ························································································································· 3
5.3 運転条件 ······················································································································ 3
5.4 回転速度 ······················································································································ 3
5.5 ポンプ効率 ··················································································································· 3
5.6 性能の許容幅 ················································································································ 3
6. 構造 ······························································································································ 3
6.1 一般 ···························································································································· 3
6.2 ポンプ本体 ··················································································································· 3
6.3 羽根車 ························································································································· 4
6.4 軸方向スラストの大きさ ································································································· 4
6.5 軸継手 ························································································································· 4
6.6 電動機 ························································································································· 5
6.7 その他の部分 ················································································································ 5
7. 寸法及びはめあい ············································································································ 5
7.1 ポンプ本体 ··················································································································· 5
7.2 羽根車 ························································································································· 6
7.3 ポンプ軸 ······················································································································ 6
7.4 各部のはめあい ············································································································· 6
7.5 羽根車とライナリングとのすき間······················································································ 6
7.6 キーの寸法 ··················································································································· 6
8. 外観 ······························································································································ 6
9. 材料 ······························································································································ 7
10. 附属品 ························································································································· 7
11. 試験方法······················································································································· 7
12. 製品の呼び方 ················································································································ 8
13. 表示 ···························································································································· 8
14. 提出書類 ······················································································································ 8
附属書(規定)設備排水用水中誘導電動機 ··············································································· 15
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日本工業規格 JIS
B 8325:2003
設備排水用水中モータポンプ
Submersible motor pumps for sump
1. 適用範囲 この規格は,建築物その他の設備から生じる水温0〜40 ℃,pH5〜9,含まれる固形物(1)
の大きさ20 mm(2)以下の汚水・雑排水を取り扱うポンプ口径(3)が32〜150 mmの片吸込単段遠心形の設備
排水用水中モータポンプ(以下,ポンプという。)で,貯留槽内につり下げ又は据置きされ,50 Hz又は60
Hzの,2極又は4極水中誘導電動機を,共通軸又は軸継手によって直結したものについて規定する。
注(1) 変形自在の軟弱物をいう。
(2) ポンプの口径が40 mm以下の場合は,固形物の大きさを10 mm以下とする。
(3) ポンプ本体の吐出し口の呼び径。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0131 ターボポンプ用語
JIS B 0203 管用テーパねじ
JIS B 0401-2 寸法公差及びはめあいの方式−第2部:穴及び軸の公差等級並びに寸法許容差の表
JIS B 0903 円筒軸端
JIS B 0905 回転機械−剛性ロータの釣合い良さ
JIS B 1301 キー及びキー溝
JIS B 2238 鋼製管フランジ通則
JIS B 2239 鋳鉄製管フランジ通則
JIS B 8301 遠心ポンプ,斜流ポンプ及び軸流ポンプ−試験方法
JIS C 3312 600 Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル
JIS C 3327 600 Vゴムキャブタイヤケーブル
JIS C 4034-1 回転電気機械−第1部:定格及び特性
JIS C 4210 一般用低圧三相かご形誘導電動機
JIS C 8201-4-1 低圧開閉装置及び制御装置−第4部:接触器及びモータスタータ−第1節:電気機械
式接触器及びモータスタータ
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 3131 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯
JIS G 3444 一般構造用炭素鋼管
JIS G 3445 機械構造用炭素鋼鋼管
JIS G 3452 配管用炭素鋼鋼管
2
B 8325:2003
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JIS G 3454 圧力配管用炭素鋼鋼管
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 4303 ステンレス鋼棒
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS G 5121 ステンレス鋼鋳鋼品
JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品
JIS H 3250 銅及び銅合金棒
JIS H 5120 銅及び銅合金鋳物
JIS K 5582 塩化ビニル樹脂エナメル
JIS K 5639 塩化ゴム系塗料
JIS K 5664 タールエポキシ樹脂塗料
3. 定義 この規格で用いるポンプの主な用語の定義は,JIS B 0131による。
4. 大きさ及び種類 大きさは,ポンプの呼び径及び電動機の定格出力で表す。
種類は,大きさのほかに電動機の形,式,極数,定格周波数及び吐出し方式で区分し,表1による。
表 1 種類
ポンプの
呼び径
mm
電動機
吐出し方式
定格出力 kW
形(記号)
式(記号)
極数
定格周波数 Hz
三相
単相(記号)
(記号)
(記号)
32
40
50
65
80
100
125
150
0.4
0.75
1.5
2.2
3.7
5.5
7.5
11
15
18.5
22
0.4(0.4S) (4)
下軸形(D)
上軸形(U)
乾式(D)
油封式(L)
キャンド式(C)
水封式(W)
2
4
50(5)
60(6)
外装形(G) (5)
内装形(N) (6)
注(4) 記号Sは,単相の場合に付ける。
(5) 外装形とは,電動機の外周が露出しているものをいう(図1参照)。
(6) 内装形とは,電動機の外周が吸込ケーシングなどで囲まれて揚液が通るようになっているものをいう(図
2参照)。
例1. 80−3.7UW45−G 例2. 32−0.4SDD26−G
外装形 外装形
呼び径80 mm 50 Hz 呼び径32 mm 60 Hz
4極 2極
水封式 乾式
上軸形 下軸形
3.7 kW(三相) 0.4 kW(単相)
3
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5. 性能
5.1
規定吐出し量 (7) 規定吐出し量は,ポンプの呼び径に対し,表2の範囲内とする。
注(7) 一般には、受渡当事者間の契約値とするが,この規格では,13. c)の表示値とする。
表 2 吐出し量範囲
単位 m3/min
呼び径(mm)
32
40
50
65
80
100
125
150
吐出し
量範囲
50 Hz
0.12以下
0.10〜
0.20
0.16〜
0.32
0.25〜
0.50
0.40〜
0.80
0.63〜
1.25
1.00〜
2.00
1.60〜
3.15
60 Hz
0.14以下
0.11〜
0.22
0.18〜
0.36
0.28〜
0.56
0.45〜
0.90
0.71〜
1.40
1.12〜
2.24
1.80〜
3.55
5.2
全揚程 規定吐出し量に対する全揚程の標準範囲は,付図1及び付図2による。
備考 この規格で用いる全揚程及びヘッドは,単位質量当たりの流体エネルギーすなわち比エネルギ
ーを,重力加速度9.80 m/s2で除した量で示してある。
5.3
運転条件 運転条件は,次による。
a) 始動可能の最低水深は,ポンプストレーナの吸込上端(上軸電動機の場合は吸込ケーシング)から上
方,ポンプの呼び径の2倍とする。
b) 運転可能の最低水深は,ポンプストレーナの吸込上端から上方,ポンプの呼び径の1倍とする。
参考 上記のポンプの呼び径の1倍の場合には,水面から一部空気を吸い込むこともある。
c) 電動機が水面上に露出するポンプでは,運転中,電動機が大気中に露出し始めてから30分間は支障が
なく運転できるものとする。ただし,停止させてから再運転されるまでの停止時間は,露出し始めて
から停止するまでの運転時間よりも長いものとする。
5.4
回転速度 回転速度は,これを駆動する電動機の正常な電源状態(8)における毎分回転数とする。
注(8) 規定周波数に対して±1 %,規定電圧に対して±5 %の範囲内の電源状態。
5.5
ポンプ効率 ポンプ効率の最高値は,その吐出し量における付図3のA効率以上とする。また,規
定吐出し量におけるポンプ効率は,付図3のB効率以上とする。
最高効率における吐出し量は、表2の範囲内にあることが望ましい。
5.6
性能の許容幅 性能の許容幅は,JIS B 8301の6.3(性能の許容幅)による。
6. 構造
6.1
一般 ポンプは,付図4〜6に示すような構造であって,ポンプ本体,羽根車,電動機などで構成す
る。
備考 付図4〜6は部品名称の説明図であって,ポンプの構造を規定するものではない。
6.2
ポンプ本体 ポンプ本体は,次による。
a) ポンプ本体の構造は,ポンプに連結する電動機の形によって次による。
1) 下軸外装形の場合,吸込カバー,ケーシング,アダプタなどからなり,アダプタの上方にいんろう
によって電動機を取り付ける(図1参照)。
2) 上軸内装形の場合,吸込ケーシング,ケーシングなどからなり,吸込ケーシング内側に電動機を取
り付ける(図2参照)。
4
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図 1 下軸外装形
b) ポンプ吐出し口は,フランジ継手とするが,吐出し口径65 mm以下のものは,ねじ込み継手としても
よい。
c) ライナリングは,打込み又はねじ止めとし,運転中に回ってはならない。ケーシング及び吸込カバー
の材料が銅合金の場合には,ライナリングを設けなくてもよい。
d) ポンプの吸込口には,容易に腐食変形などしないようなストレーナを設ける。ストレーナの構造は,
据置き又は外力がかかる場合,それに応じて補強するか又は厚さを増して,特に堅ろうなものとする。
e) 軸封装置は,電動機の軸貫通部の内部に揚液が浸入しないように,メカニカルシール又はオイルシー
ルを設ける。電動機が乾式の場合には,ポンプ側と電動機側に二重のメカニカルシールを設け,中間
に潤滑油を封入する。ポンプ側メカニカルシールのしょう(摺)動面は,超硬合金又はそれと同等以
上の硬さをもつ材料とする。
f)
ポンプの水中軸受は,水潤滑又はグリース潤滑とし,内部に固形物が入らないように防護する。
水中軸受がグリース潤滑の場合には,グリースが流出しないものとする。
6.3
羽根車 羽根車は,次による。
a) 羽根車は,揚液中の固形物が詰まらないような構造とする。
b) 羽根車(試験用軸を含む。)の釣合い良さは,JIS B 0905の“釣合い良さG6.3”とする。ただし,羽
根車(試験用軸を含む。)の質量が2 kg以下の場合には,“釣合い良さG16”でもよい。
c) 羽根車の外径,滑り部,ハブの軸穴及びハブの両端面には機械加工を施すことが望ましい。
6.4
軸方向スラストの大きさ 軸方向スラストの大きさは,次による。
a) 軸方向スラストは,下方向とし,その大きさは表3の値以下とする。これを超える場合には,バラン
スホールその他の方法で表3に示す値以下に抑える。
表 3 最大スラスト
単位 kN
電動機定格出力(kW)
0.4,0.75
1.5,2.2
3.7,5.5,7.5
11,15
18.5,22
最大スラスト
0.4
0.5
0.63
0.8
1.0
b) a)と反対方向のスラストが生じても,その大きさは表3の40 %を超えないものとする。
c) 軸方向スラストは,電動機側のスラスト軸受で受けるものとする。
6.5
軸継手 軸継手があるものは,次による。
a) 軸継手は,筒形とし,動力伝達に対し,十分な強度をもたなければならない。
b) 軸継手は,ポンプと電動機の軸を固定し,その両軸の軸中心は一致し,同一直線上になければならな
電動機
アダプタ
ケーシング
ストレーナ
吸込ケーシング
ストレーナ
ケーシング
電動機
図 2 上軸内装形
5
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い。
c) 軸と軸継手の回転方向に対する取付けは,キーなどによって急激な回転又は逆回転に対して緩んだり
破損しないものとする。
6.6
電動機 電動機は,附属書による。
なお,この電動機を使用する場合には,次の過電流保護装置又は温度検出による焼損保護装置を設けな
ければならない。
a) 乾式及び油封式の場合 JIS C 8201-4-1に規定する過負荷リレー。
b) キャンド式及び水封式の場合 電動機の定格電流の5倍の電流を通じて5秒以内に動作する2Eリレ
ー,3Eリレーなどの保護装置。
6.7
その他の部分 その他の部分は,次による。
a) ポンプの回転方向は,一般に上から見て,時計回りとする。
b) ポンプ軸に用いるナット類には,軸がいずれかの方向に回転しても緩まないように,座金その他の方
法で回り止めを施す。羽根車止め輪は,運転中に動いたり,抜けたりしないようにする。
c) ポンプには,据付け用のボルト穴を開けてはならない。
d) ポンプには,つり下げ用の座を設けるか又は金具を取り付ける。
e) ポンプは,垂直に対し,最大5度傾斜しても運転に差し支えないものとする。
f)
ポンプには,適当な位置に接地端子を取り付けられるようにする。
7. 寸法及びはめあい
7.1
ポンプ本体 ポンプ本体は,次による。
a) ポンプ呼び径と実口径は,表4による。
表 4 実口径
単位 mm
呼び径
32
40
50
65
80
100
125
150
実口径
32
±3
40
±3
50
±3
65
±4
80
±4
100
±4
125
±4
150
±5
b) ポンプ吐出し口は,次による。
1) フランジ継手の場合には,JIS B 2238及びJIS B 2239の呼び圧力10Kによる。
2) ねじ込み継手の場合には,JIS B 0203による。
c) ポンプ本体の耐圧部及び吸込ケーシングの最小厚さは,その材料が鋳鉄の場合,5 mm以上,銅合金
の場合,4 mm以上あればよい。
d) ストレーナの厚さは,表5による。
表 5 ストレーナの最小厚さ
単位 mm
材料
FC150
SS400(防食処理)
SUS304
最小厚さ
5
1.6
0.6
e) ストレーナの穴の大きさは,羽根車に20(9) mmの固形物が詰まらない程度になるべく大きくし,穴の
全有効面積は,ポンプ吐出し口の断面積の3倍以上とする。
注(9) 呼び径40 mm以下の場合には,10 mmとする。
f)
水中軸受の有効長さは,ポンプ軸径(10)の1倍以上とする。
6
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注(10) 軸にスリーブがある場合でも,ポンプ軸径とする。
7.2
羽根車 羽根車の厚さは,表6による。ただし,羽根入口,出口先端の厚さは任意とする。合成樹
脂の場合には,強度上問題がない厚さとする。
表 6 羽根車の最小厚さ
単位 mm
羽根車の外径
最小厚さ
鋳鉄
ステンレス鋼板
200以下
3
0.8
200を超えるもの
4
−
7.3
ポンプ軸 ポンプ軸の直径は,次の式で算出した値以上とする。
3nP
k
d=
ここに, d(11):ポンプ軸の直径 (mm)
P:軸動力 (kW)
n:回転速度 (min-1)
k:材料による係数で,次の式による。
3
116
σ
σSUS403
=
k
ここに, σSUS403: SUS403の引張強さ(590 MPa)
σ: その材料の引張強さ(MPa)
例 JIS G 4303のSUS403の場合 k = 116
JIS G 4303のSUS420J2の場合 k = 108
JIS G 4303のSUS304の場合 k = 121
注(11) 動力伝達に関係がある部分の直径で,動力伝達に関係がない部分は,これより細くてもよい。
7.4
各部のはめあい 各部のはめあいは,表7又はこれに準じる等級とする。
表 7 各部のはめあい
はめあい箇所
はめあい
はめあい箇所
はめあい
羽根車とポンプ軸
H7/g6
ポンプ本体のいんろう部
H7/h7
スリーブとポンプ軸
H7/g6
ポンプ本体とモータ部分のいんろう部
H7/h7
水中軸受とポンプ軸
H7/d8
ポンプ本体と水中軸受
H7/js7又は
H7/h7(12)
軸継手とポンプ軸
H7/js7
注(12) ポンプ本体と水中軸受とのはめあいをH7/h7にする場合には,水中軸受が抜けたり,回った
りしないように固定する。
備考
はめあいは,JIS B 0401-2による。
7.5
羽根車とライナリングとのすき間 羽根車とライナリングとのすき間は,停止中,運転中を問わず,
焼き付き,かじり付き,異常摩耗などを生じないように適切なすき間寸法及び材料の組合せの選定をしな
ければならない。
7.6
キーの寸法 キーの寸法は,JIS B 1301による。ただし,軸継手以外のキーの寸法は,これによら
なくてもよい。
8. 外観 外観は,次による。
a) 鋳造品は,目視により内外面とも滑らかで,有害な鋳巣,き裂及び偏肉などの欠陥があってはならな
7
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い。
b) ポンプ本体内外面は,JIS K 5664に規定するタールエポキシ樹脂塗料,JIS K 5582に規定する塩化ビ
ニル樹脂エナメル,JIS K 5639に規定する塩化ゴム系塗料又はそれらと同等以上の品質の塗料で十分
なさび止め塗装を施す。ただし,水中でさびるおそれがない材料には,塗装を省略してもよい。
9. 材料 各部に使用する材料は,表8又は品質がこれと同等以上のものとする。
表 8 材料
部品名
材料
ケーシング
アダプタ
吸込フレーム
吸込カバー
JIS G 5501のFC150,JIS H 5120のCAC406,CAC202, JIS G 4305のSUS304,JIS
G 5121のSCS13,JIS G 3101のSS400(13)又は合成樹脂(14)
羽根車
JIS H 5120のCAC406,CAC502A,JIS G 5501のFC150,JIS G 4305のSUS304,JIS
G 5121のSCS13又は合成樹脂(14)
ライナリング
JIS H 5120のCAC406,CAC202,JIS G 5501のFC150,JIS G 4303のSUS403,合
成樹脂又は合成ゴム
ポンプ軸
JIS G 4303のSUS403(焼入れ,焼き戻し),SUS420J2(焼入れ,焼戻し),SUS304
軸継手
JIS G 4303のSUS403,JIS G 4051のS35C又はJIS G 5501のFC200
インペラナット
羽根車止めボルト
JIS H 5120のCAC406, CAC202,JIS H 3250のC3604BE,C3604BD又はJIS G 4303
のSUS304
水中軸受
特殊青銅又は合成樹脂
吸込ケーシング
JIS G 5501のFC150,JIS G 3101のSS400(13),JIS G 3452のSGP(13),JIS G 3454の
STPG(13),JIS G 4305のSUS304又は合成樹脂(14)
ストレーナ
JIS G 4305のSUS304,JIS G 3101のSS400(13),JIS G 5501のFC150又は合成樹脂(14)
キー
JIS G 4303のSUS304
ボルト・ナット類
JIS G 4303のSUS304又はJIS H 3250のC3604BE,C3604BD
注(13) 防食めっき又はその他の方法で,十分な防食処理を施す。
(14) この合成樹脂は,十分な強度と耐久性をもつものとし,受渡当事者間の協定による。
10. 附属品 附属品は,表9による。
表 9 附属品
品名
数量
相フランジ(必要な場合)
1式
銘板
2枚(15)
注(15) 2枚のうち1枚は,本体に付け,他の1枚は,別に附属する。その内容は,2枚とも同一とする
が,大きさは変わってもよい。
11. 試験方法 試験方法は,JIS B 8301による。
なお,運転状態及び耐水圧の試験については,JIS B 8301の5.1.2(付加的なチェック)及びJIS B 8301
附属書2(運転状態,耐水圧及び最小吐出し量における温度上昇)によって行い,確認するのがよい。
備考1. 同時に製作された同一機種で同一仕様の多数のポンプを試験する場合には,10台又はその端
数に対し1台の試験を行い,ほかは規定全揚程における吐出し量,ポンプ効率,軸動力及び
運転状態を試験する運転試験だけを行えばよい。この場合,基準性能に対する許容幅は,吐
出し量で±7 %,軸動力で+7 %とする。
8
B 8325:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2. 品質管理体制が整い,性能のばらつきが小さいことが確認された機種の継続的量産では,生
産台数が50台を超える場合,50台又はその端数に対し1台の試験を行い,ほかは,10台又
はその端数に対し1台,規定全揚程における吐出し量,ポンプ効率,軸動力又は電動機入力
及び運転状態を検査する運転試験だけを行えばよい。この場合,基準性能に対する許容幅は,
吐出し量で±7 %,軸動力で+7 %とする。
12. 製品の呼び方 ポンプの呼び方は,水中モータポンプの種類(ポンプの呼び径,電動機の定格出力,
形式,極数,定格周波数及び吐出し方式)による。
例 80-37UW45-N,32-0.4SDD26-G
13. 表示 ポンプの表示は,次による。
a) 地上の見やすい箇所に,ポンプ銘板及び附属書に規定する電動機の銘板を付ける。
b) ポンプ本体又は電動機には,a)と同一の銘板を付けるか,又はこれらの銘板の代わりに製造番号又は
機番号をそれぞれの見やすい箇所に刻印する。
なお,銘板を付ける場合には,ポンプの見やすい箇所にまとめてつけてもよい。
c) 銘板には,5.5に規定するB効率に合格するポンプの最小吐出し量とそのときの全揚程及び最大吐出
し量とそのときの全揚程とを記入して,2点表示とする。ただし,この場合の最小吐出し量と最大吐
出し量とは,表2の範囲を超えてはならない。2点表示の銘板には,回転速度(16)及び所要電動機の定
格出力を記入する。
なお,受渡当事者の間で契約した場合には,吐出し量及び全揚程はその数値を記入する。また,銘
板には,大きさ(ポンプの呼び径及び電動機の定格出力),吐出し量,全揚程,回転速度,製造業者名,
製造番号並びに製造年又はその略号を記入する。
注(16) 回転速度は,ポンプの回転速度とするが,電動機の同期回転速度としてもよい。
14.提出書類 納入するポンプには,試験合格証,ポンプの性能曲線又はその機種の基準性能となる代表
性能曲線及び取扱説明書を付ける。
備考 ポンプの性能曲線又は機種の基準性能となる代表性能曲線には,ポンプの軸動力及びポンプ効
率とともに電動機入力及びポンプ電動機総合効率を記入することが望ましい。
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備考 図中の吐出し量及び全揚程の枠は,水中誘導電動機と直結の場合の全揚程の標準範囲を示す。二点鎖線で示す動力は,駆動電
動機の定格出力を参考として示したものである。
付図 1 性能図表(50 Hz)
9
B
8
3
2
5
:
2
0
0
3
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備考 図中の吐出し量及び全揚程の枠は,水中誘導電動機と直結の場合の全揚程の標準範囲を示す。二点鎖線
で示す動力は,駆動電動機の定格出力を参考として示したものである。
付図 2 性能図表(60 Hz)
1
0
B
8
3
2
5
:
2
0
0
3
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吐出し量 m3/min
0.08
0.1
0.15
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.8
1.0
1.5
2.0
3.0
4.0
A効率 %
28
30
35.5
38.5
43
46
47.5
49
51
53
55.5
57
59
60
B効率 %
22
24.5
29
31.5
35.5
37.5
39
40
42
43.5
45.5
46.5
48.5
49
付図 3 ポンプ効率
11
B
8
3
2
5
:
2
0
0
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付図 4 下軸外装形(乾式D)
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付図 5 下軸外装形(油封式L)
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付図 6 上軸内装形(キャンド式C)
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附属書(規定)設備排水用水中誘導電動機
1. 適用範囲 この附属書は,本体の設備排水用水中モータポンプに使用する2極及び4極かご形,連続
定格,定格周波数50 Hz又は60 Hzの水中三相及び単相誘導電動機(以下,電動機という。)について規定
する。
備考 この電動機は,水温0〜40 ℃,pH5〜9の汚水,雑排水中で使用する。
2. 種類及び記号 種類及び記号は,附属書表1による。
附属書表 1 種類及び記号
種類
記号
耐熱クラス又は絶縁材
備考
乾式
D
E,B又はF
空気又はその他の気体(1)を充満密閉したもの。
油封式
L
A又はE
油(1)を充満密閉したもの。
キャンド式
C
E,B又はF
水(1)を充満密閉し,固定子巻線がキャンによって
保護され,直接内部封水に触れないもの。
水封式
W
ポリエチレン,
架橋ポリエチレン,
又はポリプロピレン
水(1)を充満密閉し,固定子巻線が直接内部封水に
触れるもの。
注(1) 気体,油及び水は,いずれも電動機の機能に障害を与えないものとする。
3. 定格
3.1
定格出力 定格出力は,キロワット (kW) で表し,次のとおりとする。
三相 0.4,0.75,1.5,2.2,3.7,5.5,7.5,11,15,18.5,22
単相 0.4
3.2
定格電圧 定格電圧は,一般に,三相は200 V,単相は100 Vとする。
4. 性能
4.1
使用電圧及び周波数の変化 電動機は,その端子の供給電源に定格電圧±10 %,定格周波数±1 %
の変化があっても定格トルクにおいて連続的に運転して,実用上差し支えなく使えるものとする。
なお,端子とは,口出し線の先端の部分をいう。
備考 “実用上差し支えない”とは,寿命を著しく短縮しない状態をいい,特性,温度上昇などは,
定格状態の規格値に必ずしも従わなくてもよい。
4.2
特性 特性は,附属書9.6の方法によって試験を行ったとき,附属書表2による。
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附属書表 2 特性
種類
乾式(D)
油封式(L)
水封式(W) キャンド式(C)
参考
定格
出力
Pmot kW
極数
全負荷特性
全負荷
電流
I
三相の
場合は
各相の
平均値
A
最大始
動電流 ( 2 )
Ist
三相の
場合は
各相の
平均値
A
最小
始動
トルク
Tst %
全負荷特性
全負荷
電流
I
各相の
平均値
A
最大始
動電流
( 2 )
Ist
各相の
平均値
A
最小
始動
トルク
Tst %
全負荷特性
全負荷
電流 I
各相の
平均値
A
最大始
動電流
( 2 )
Ist
各相の
平均値
A
最小
始動
トルク
Tst %
口出
し線
の太
さ
mm2
効率
η %
力率
cosφ
%
滑り
s %
効率
η %
力率
cosφ
%
滑り
s %
効率
η %
力率
cosφ
%
滑り
s %
単
相
0.4
2 4
以上
55.0
55.0
以上
65.0
60.0
以下
10.0
10.0
以下
11.0
11.8
以下
37
37
以上
125
125
−
−
1.25
三
相
0.4
2 4
以上
62.0
63.5
以上
72.0
63.0
以下
8.5
9.0
以下
2.6
2.9
以下
26
23
以上
125
125
以上
51.0
57.0
以上
72.0
63.0
以下
8.5
9.0
以下
3.1
3.2
以下
27
24
以上
125
125
以上
48.0
52.0
以上
69.0
61.0
以下
8.5
9.0
以下
3.5
3.6
以下
28
26
以上
125
125
1.25
1.25
0.75
2 4
68.0
69.5
77.0
70.0
7.5
8.0
4.1
4.4
39
35
125
125
60.0
64.0
77.0
70.0
7.5
8.0
4.7
4.8
40
36
125
125
58.0
59.0
74.0
68.0
7.5
8.0
5.0
5.4
43
41
125
125
1.25
1.25
1.5
2 4
74.5
75.5
80.5
75.0
7.0
7.5
7.2
7.6
68
60
125
125
65.0
70.0
80.5
75.0
7.0
7.5
8.3
8.3
71
62
125
125
63.0
64.0
77.5
73.0
7.0
7.5
8.9
9.3
75
69
125
125
1.25
1.25
2.2
2 4
77.0
78.5
81.5
77.0
6.5
7.0
10
10.5
94
83
125
125
68.0
72.0
81.5
77.0
6.5
7.0
11
11
94
83
125
125
66.0
67.0
78.5
75.0
6.5
7.0
12
13
100
98
125
125
1.25
1.25
3.7
2 4
80.0
81.0
82.5
78.0
6.0
6.5
16
17
155
135
125
125
70.0
74.0
82.5
78.0
6.0
6.5
18
18
155
135
125
125
68.0
69.0
79.5
76.0
6.0
6.5
20
20
170
150
125
125
2.0
2.0
5.5
2 4
82.0
82.5
82.5
78.0
6.0
6.0
24
25
230
195
125
125
72.0
75.0
82.5
78.0
6.0
6.0
27
27
230
200
125
125
70.0
72.0
79.5
77.0
6.0
6.0
29
29
240
210
125
125
3.5
3.5
7.5
2 4
83.0
83.5
82.5
79.0
6.0
6.0
32
33
300
250
125
125
74.0
76.0
82.5
79.0
6.0
6.0
36
36
310
270
125
125
72.0
73.0
80.5
78.0
6.0
6.0
37
38
315
280
125
125
5.5
5.5
11
2 4
84.0
84.5
82.5
80.0
5.5
6.0
46
47
420
350
100
100
74.5
77.0
82.5
80.0
5.5
6.0
51
51
420
350
100
100
73.0
74.0
81.0
79.5
5.5
6.0
54
54
420
350
100
100
3.5
3.5
15
2 4
85.0
85.5
83.0
80.5
5.5
5.5
61
62
560
470
100
100
75.0
77.5
83.0
80.5
5.5
5.5
69
69
560
470
100
100
74.0
75.0
82.0
80.5
5.5
5.5
71
72
560
470
100
100
5.5
5.5
18.5
2 4
85.5
85.5
83.5
80.5
5.5
5.5
75
77
700
580
100
100
75.0
78.0
83.5
80.5
5.5
5.5
85
85
700
580
100
100
75.0
76.0
82.5
81.0
5.5
5.5
86
87
700
580
100
100
8
8
22
2 4
86.0
86.0
84.0
81.0
5.5
5.5
88
90
820
580
100
100
75.0
78.0
84.0
81.0
5.5
5.5
100
100
820
680
100
100
76.0
77.0
83.0
81.5
5.5
5.5
101
101
820
680
100
100
14
14
注(2)
三相の場合の最大始動電流の値は,JIS C 4210の7.8 a)(正比例法)による。
備考1. 特性の数値は,乾式の場合,軸封装置を付けないときの値を示し,油封式,キャンド式及び水封式の場合,シール機構を付けたときの値を示す。
2. この表の全負荷電流及び始動電流値は,定格電圧が単相の場合は100 V,三相の場合は200 Vのもので,定格電圧がE(V)の場合は,それぞれその 倍, 倍
をとる。
3. この表の特性は,電動機の口出し線5.0 m付きとして算定した値である。
4. 定格出力11 kW以上の場合の口出し線の太さは,スターデルタのものを示す。
100
E
200
E
1
6
B
8
3
2
5
:
2
0
0
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.3
各相の無負荷電流の差 三相電動機は,附属書9.5の方法によって試験を行ったとき,各相の無負荷
電流とその平均値との差は,平均値の上下5 %を超えてはならない。
4.4
温度上昇 温度上昇は,附属書9.7の方法によって試験を行ったとき,附属書表3による。
附属書表 3 温度上昇限度
単位 K
記号
耐熱クラス又は絶縁材
温度上昇限度
D
E
75
B
80
F
105
L
A
60
E
75
C
E
75
B
80
F
105
W
ポリエチレン
25
架橋ポリエチレン
35
ポリプロピレン
45
なお,電動機が水面上に露出する水中モータポンプに使用する電動機では,周囲の水をなくした状態で
全負荷運転したとき,10分間は異状がなく運転できるものでなければならない。
4.5
耐電圧 耐電圧は,附属書9.8の方法によって試験を行ったとき,これに耐えなければならない。
4.6
耐水圧 耐水圧は,附属書9.9の方法によって試験を行ったとき,漏れその他の異状があってはなら
ない。
4.7
絶縁抵抗 絶縁抵抗は,附属書9.10の方法によって試験を行ったとき,附属書表4による。
附属書表 4 絶縁抵抗下限値
単位 MΩ
記号
絶縁抵抗
D,L
20
C,W
100
参考 絶縁抵抗値は,電動機の使用電線,絶縁構成,周囲条件などによって広く変動するものである
から,いくら以上あればよいかを確認することは難しい。この規格では特に水中使用という特
殊条件を考慮し,出荷前の値については附属書表4のように規定した。
実際運転時における絶縁抵抗値が急激に低下する傾向にある場合及び安定していても1 MΩ
以下になった場合には,修理するか,又は製造業者に運転の可否を確認する。
4.8
振動 振動は,附属書9.11の方法によって試験を行ったとき,全振幅で mmを超えないものと
する。
4.9
騒音 騒音は,附属書9.12の方法によって試験を行ったとき,70 dB (A) 以下とする。
5. 構造
5.1
電動機本体 電動機本体は,ブラケット及び電動機フレームをいんろうで組み合わせ,ボルトで締
め付ける。
なお,下軸形のものには,つり下げ用の座を設けるか,又は金具を取り付ける。
5.2
シール機構及び膨張収縮調整装置 シール機構及び膨張収縮調整装置は,次による。
2
100
18
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 電動機の軸貫通部には,内部に排水が浸入しないように,電動機が乾式の場合は,軸封装置をポンプ
側に設ける。油封式,キャンド式及び水封式の場合は,オイルシール又はメカニカルシールなどを使
用したシール機構を電動機側に設ける。
b) 水封式,キャンド式及び油封式に用いる膨張収縮調整装置は,温度変化による封水又は封油の膨張収
縮を調整でき,その機能は確実であって,排水及び油で老化しないものとする。
備考 シール機構をポンプ側に設けるものは,これを省略してもよい。
5.3
スラスト軸受 電動機には,電動機回転部の質量及びポンプのスラスト荷重を支えるのに十分なス
ラスト軸受を設けなければならない。スラスト軸受の許容荷重は,附属書表5の値以上とする。
スラスト荷重の方向は,下向きとし,これと反対方向の許容スラスト荷重の大きさは,電動機が乾式及
び油封式の場合,附属書表5の下向き許容スラスト荷重の40 %以上,水封式の場合,附属書表5の値と
する。
附属書表 5 スラスト軸受の許容荷重
単位 kN
電動機定格出力 (kW)
0.4,0.75
1.5,2.2
3.7,5.5,7.5
11,15,18.5,22
下向き許容スラスト荷重
0.63+ F(3)
0.8+ F(3)
1.0+ F(3)
1.6+ F(3)
水封式の上向き許容スラスト荷重
0.1
0.16
0.25
0.4
注(3) Fは電動機回転部の質量M (kg)に作用する力(kN)
すなわち,
000
1
g
M
F=
(kN)
ここに, M:電動機回転部の質量 (kg)
g:重力加速度9.80 (m/s2)
5.4
口出し線 口出し線は,電動機フレーム又はブラケットから引き出すこととし,その材料は,JIS C
3312に規定する600 Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル,JIS C 3327に規定する600 Vゴムキャブ
タイヤケーブル,ポリエチレンケーブル(ビニルシースを含む。)又はこれらと同等以上の品質で耐水・耐
油性があるものを使用する。
5.5
接地端子 電動機には,適当な位置に接地端子を設ける。ただし,ポンプ側にそれを付けられるも
のは省略することができる。
5.6
その他の部分 その他の部分は,次による。
5.6.1
回転方向 回転方向は,一般に軸端側から見て下軸形の場合は反時計回り,上軸形の場合は,時計
回りとする。
5.6.2
三相の始動方式 三相の始動方式は,定格出力7.5 kW以下の場合には,全電圧始動とし,11 kW
以上の場合には,スターデルタ始動器,始動補償器などによる減電圧始動とする。
5.6.3
単相の始動装置 単相電動機には,始動後,始動巻線を電源から切り放すための開閉器を設ける。
6. 形状,寸法及び精度
6.1
口出し線 口出し線は,丸3心又は丸4心(4)とし,その長さは,口出し部から5 m以上とする。
注(4) 丸4心中の1本は,アース線とする。
6.2
電動機軸端 電動機軸端の直径は,次の式で算出した値以上とする。
3
n
P
k
d
mot
=
ここに, d (5):電動機軸端の直径 (mm)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Pmot:電動機定格出力 (kW)
n:回転速度 (min-1)
k:材料による係数で,次の式による。
3
116
σ
σSUS403
=
k
ここに, σSUS403: SUS403の引張強さ(590 MPa)
σ: その材料の引張強さ(MPa)
例 JIS G 4303のSUS403の場合 k =116
JIS G 4303のSUS420J2の場合 k =108
なお,軸端の寸法は,JIS B 0903によることが望ましい。
注(5) 動力伝達に関係がある部分の直径で,動力伝達に関係がない部分は,これより細くてもよい。
6.3
軸端の許容差 軸端の許容差は,次による。
a) ポンプと共通軸の場合には,羽根車及びスリーブとのはめあい部の軸径の許容差は,JIS B 0401-2に
よるg6とし,羽根車の位置を決める基準端面とポンプ取付面との軸方向の長さの許容差は,基準寸法
に対し±0.5 mm以下とする。
b) 軸継手を使用する場合の軸径の許容差は,JIS B 0401-2によるh7とし,軸端とポンプ取付面との軸方
向の長さの許容差は,基準寸法に対し,±0.5 mmとする。
c) 電動機軸の軸方向の遊びは,7.5 kWまでは1 mm以下とし,7.5 kWを超えるものは,1.5 mm以下とす
る。
備考 a),b)を測定する場合は,軸を附属書5.3のスラスト荷重方向に寄せた状態で行う。
6.4
組立許容差 組立許容差は,電動機を横置きにした場合,次による。
a) 軸端の振れの値(全幅)は,軸端付近において0.08 mm以下とする。
b) ポンプと接続する面の軸に対する直角度は,接続面の外径付近における振れで表し,その値は,0.10
mm以下とする。
c) ポンプと接続する面のいんろう部と軸心との偏心は,軸受と軸との片側すき間に0.05 mmを加えた値
以下とする。
なお,偏心を測定する場合には,電動機を任意の角度に回して数回行う。
備考 a),b)及びc)の検査の場合は,軸に軸継手又は他のスリーブをはめて行ってもよい。
6.5
ポンプ本体とはめあい部径の許容差 ポンプ本体とのはめあい部径の許容差は,JIS B 0401-2のh7
又はH7とする。
7. 外観 外観は,次による。
a) 鋳造品は,目視により内外面とも滑らかで,有害な鋳巣,き裂,偏肉などの欠陥があってはならない。
b) 電動機本体内外面は,JIS K 5664に規定するタールエポキシ樹脂塗料,JIS K 5582に規定する塩化ビ
ニル樹脂エナメル,JIS K 5639に規定する塩化ゴム系塗料又はそれらと同等以上の品質の塗料で十分
なさび止め塗装を施す。ただし,水中でさびるおそれがない材料には,塗装を省略してもよい。
8. 材料 電動機の各部に使用する材料は,附属書表6又は品質がこれと同等以上のものとする。
なお,水中でさびるおそれがある材料を使用する場合には,適当なさび止め又はめっきを施す。
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B 8325:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書表 6 材料
部品名
材料
電動機フレーム
JIS G 5501のFC150,JIS G 3444のSTK290(6),JIS G 3445のSTKM11A(6),JIS G 3454
のSTPG370(6),JIS G 3101のSS400(6),JIS G 3131のSPHC(6)又はJIS G 4305のSUS304
キャン
JIS G 4305のSUS304
ブラケット
JIS G 5501のFC150
電動機軸
JIS G 4303のSUS403(焼入れ,焼戻し),SUS420J2(焼入れ,焼戻し)
水中軸受
(水封式及びキャ
ンド式)
特殊青銅,合成樹脂,カーボン又はセラミックス
スラスト受
(水封式及びキャ
ンド式)
水中軸受に適する特殊青銅,合成樹脂,カーボン又はセラミックス
スラスト円板
(水封式及び
キャンド式)
JIS G 4303のSUS403,SUS420J2
ボルト,ナット
JIS G 4303のSUS304又はJIS H 3250のC3604BE,C3604BD
注(6) 防食処理を施すこと。特に排水と接触する箇所は,十分な防食性及び耐油性をもたせる。
9. 試験方法
9.1
試験条件 乾式は気体を,油封式は油を,キャンド式及び水封式は水を,それぞれ電動機内部に封
入した状態で行う。
9.2
試験の種類 電動機に対して,通常実施する試験には,次の項目が含まれる。
a) 抵抗測定
b) 拘束試験
c) 無負荷試験
d) 特性試験
e) 温度上昇試験
f)
耐電圧試験
g) 耐水圧試験
h) 絶縁抵抗試験
i)
振動試験
j)
騒音試験
同一設計で製作された電動機では,d),e),i),j)の試験は,代表1機について行えばよい。
9.3
抵抗測定 任意の周囲温度で一次端子間の抵抗を測定する。
9.4
拘束試験 任意の周囲温度で回転子を拘束し,一次端子間に定格周波数の電圧を加え,全負荷電流
に近い電流を通じて,そのときの電圧,電流及び入力を測定する。
9.5
無負荷試験 任意の周囲温度で定格電圧及び定格周波数の下で電動機を無負荷で運転し,入力が一
定になった後,各相に通じる一次電流及び入力を測定する。
9.6
特性試験 電動機の特性を算定するため,常温の水中で次の試験を行う。
9.6.1
三相の場合 三相電動機の特性試験は,JIS C 4210の7.7(負荷特性及びトルク特性の算定)によ
って試験を行い,等価回路法によって特性を算定する。ただし,要求がある場合には,その他の方法によ
ってもよい。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9.6.2 単相の場合 単相電動機の特性は,電動機の温度上昇が一定になった後に実負荷法によって求める。
9.7
温度上昇試験 温度上昇試験は,試験水槽中において電動機を定格電圧,定格周波数及び定格出力
で連続運転して電動機の温度上昇がほぼ一定になったときに抵抗法で測定する。ただし,実負荷法による
ことが困難な場合には,等価負荷法によってもよい。
周囲水温は,電動機の温度上昇が一定となったときの水温とし,電動機から0.5 m離れた所で測定する。
備考 抵抗法による温度測定方法は,JIS C 4034-1の7.6.2(抵抗法による温度上昇の決定)による。
9.8
耐電圧試験 耐電圧試験は,電動機製造工場で行い,口出し線と外枠間の絶縁抵抗を測定し,4.7に
規定する値であることを確かめた後,周波数50 Hz又は60 Hzの正弦波に近い次の電圧で試験し,1分間
加える。ただし,多量生産の電動機には,次の試験電圧の120 %の電圧を1秒間加えて,これに代えるこ
とができる。
− 三相の定格出力1 kW未満 500 V+2 E (最低1 000 V)
− 三相の定格出力1 kW以上 1 000 V+2 E (最低1 500 V)
− 単相の場合 500 V+2 E (最低1000 V)
ここに,E:定格電圧 (V)
9.9
耐水圧試験 耐水圧試験は,電動機完成品の内部に,附属書表7に示す圧力を3分間加える。
附属書表 7 試験圧力
単位 kPa
調整装置がある場合
軸シール部
50
本体及び口出し線引出し部
圧力がかからないもの
圧力がかかるもの
50
400
調整装置がない場合
軸シール部
200
本体及び口出し線引出し部
圧力がかからないもの
圧力がかかるもの
200
400
9.10 絶縁抵抗試験 絶縁抵抗試験は,製造工場出荷前に500 V絶縁抵抗計で,口出し線と外枠間を測定
する。ただし,種類が水封式のものは,1 000 V絶縁抵抗計で測定する。
9.11 振動試験 振動試験は,製造工場において電動機を弾性体上に置き,無負荷で運転した場合の主要
部分の振動を測定する。
9.12 騒音試験 騒音試験は,製造工場において電動機を弾性体上に置き,無負荷で運転した場合の騒音
を電動機の外周からの距離が1 mの場所で測定する。測定方法は,JIS C 4210 の7.9(騒音試験)による。
10. 表示その他
10.1 表示 電動機には,次の事項を記入した銘板を2枚附属させ,その1枚は,本体の見やすいところ
に取り付ける。ただし,ポンプと電動機を総合した銘板の場合は,本体13.c)と重複する事項は省略しても
よい。
a) 名称(水中三相誘導電動機又は水中単相誘導電動機)
b) 種類(7)[記号(8)で表してもよい。]
c) 相数
d) 極数
e) 定格出力 (kW)
f)
定格電圧 (V)
g) 定格周波数 (Hz)
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B 8325:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
h) 定格電流(定格出力における電流)
i)
定格回転速度 (min−1)
j)
耐熱クラス又は温度上昇限度
k) 製造番号又は機番号
l)
製造業者名又はその登録商標
m) 製造年又はその略号。ただし,k)で製造年の分かるものは省略してもよい。
注(7) ここにいう種類とは,封入流体及び軸端方向をいう。
(8) 記号は,本体4.による。
10.2 その他 電動機には,試験合格証及び電動機の特性表を付ける。ただし,電動機の定格出力におけ
る効率のばらつきが±2 %の範囲内である場合には代表特性でよい。
関連規格 ISO 9908:1993 Technical specifications for centrifugal pumps-ClassⅢ